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- 1 - 平成 30 年度 第1回 西宮市 権利擁護支援システム推進委員会 □開催日時 平成 30 年7月 31 日(火) 午後2時~ □開催場所 西宮市役所東館 801・802 会議室 □出席者 委 員:北野委員長・福島副委員長・井上委員・岩宮委員・上田委員・近藤委員 清水委員・原田委員・藤田委員・横倉委員 【欠席者】玉木委員・三木委員 事務局:土井健康福祉局長・藤井福祉総括室長・西岡生活支援部長・廣田保健所所長 小田保健所副所長・松本地域共生推進課長・山本福祉のまちづくり課長 田中法人指導課長・田渕高齢福祉課長・大谷障害福祉課長・松田生活支援課長 塚本地域保健課長・地行健康増進課長 ○委員長 議事に入ります前に、傍聴の方はいらっしゃいますか。 ○事務局 本日、3名の方が傍聴を希望されています。 ○委員長 傍聴の方がおられるようですので、傍聴について確認します。 この委員会については原則公開とし、審議事項によっては議決により非公開とすることが できることになっていますが、本日の議事については公開しても特段支障がないものと考え ますので、公開とすることでよろしいでしょうか。 〔「はい」の声あり〕

委員長 1 - 平成30年度 第1回 西宮市 権利擁護支援システム推進委員会 会 議 録 開催日時 平成30年7月31日(火) 午後2時~ 開催場所 西宮市役所東館

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平成 30 年度 第1回

西宮市 権利擁護支援システム推進委員会

会 議 録

□開催日時 平成 30年7月 31日(火) 午後2時~

□開催場所 西宮市役所東館 801・802 会議室

□出席者

委 員:北野委員長・福島副委員長・井上委員・岩宮委員・上田委員・近藤委員

清水委員・原田委員・藤田委員・横倉委員

【欠席者】玉木委員・三木委員

事務局:土井健康福祉局長・藤井福祉総括室長・西岡生活支援部長・廣田保健所所長

小田保健所副所長・松本地域共生推進課長・山本福祉のまちづくり課長

田中法人指導課長・田渕高齢福祉課長・大谷障害福祉課長・松田生活支援課長

塚本地域保健課長・地行健康増進課長

○委員長

議事に入ります前に、傍聴の方はいらっしゃいますか。

○事務局

本日、3名の方が傍聴を希望されています。

○委員長

傍聴の方がおられるようですので、傍聴について確認します。

この委員会については原則公開とし、審議事項によっては議決により非公開とすることが

できることになっていますが、本日の議事については公開しても特段支障がないものと考え

ますので、公開とすることでよろしいでしょうか。

〔「はい」の声あり〕

- 2 -

○委員長

異議はないようですので、傍聴の方にお入りいただきたいと思います。

○委員長

まず、事務局から連絡事項がありますので、お願いします。

○事務局

参考資料№1及び参考資料№2をご覧ください。このたび、本委員会にかかる運営要綱の

策定及び要領の作成を行いましたので、ご報告します。

本委員会は、西宮市附属機関条例に規定される委員会として開催されていますが、運営方

法などは、平成 25 年8月施行の西宮市権利擁護支援システム推進委員会運営要領に定めてい

ました。西宮市附属機関の設置・運営の指針では、会議の公開又は非公開の決定方法、公開

方法については運営要領等において定めることとされていますが、これまでの運営要領には

その定めがありませんでした。また、平成 29 年度委員会の審議において、障害者差別解消支

援地域協議会については本委員会がその役割を担うとされました。

そこで、これまで事務内容のみを定めていた運営要領の全面的な見直しを行い、会議の公

開等に関する規定を設けた運営要綱を新たに制定するとともに、障害者差別解消支援地域協

議会に関する要領を作成しました。新たな要綱・要領は、ともに平成 30 年7月1日から施行

開始とさせていただきます。

事務局からの報告は以上です。

○委員長

これは審議することではないのですね。

○事務局

はい。

○委員長

議題(1)「平成 29 年度西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センター運営委員会報告」につ

いて、事務局から説明をお願いします。

○事務局

平成 29 年度西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センター運営委員会報告をします。資料№

2をご覧ください。また、参考資料№3は、運営委員会の際に配付した資料ですので、併せ

てご覧ください。平成 29 年度権利擁護支援センター運営委員会は、平成 30 年3月 14 日に第

2回が開催されました。

まず、「平成 29 年度西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センター実績報告」です。ここで

は、西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センター運営事業実施要綱第4条に基づく7つの事

業内容に沿って、平成 29 年4月~平成 30 年1月に権利擁護支援センターが受け付けた新規

相談、継続相談の件数や内容、相談経路などの報告や、権利擁護支援者人材バンクの運営状

- 3 -

況、成年後見制度の普及啓発を目的に権利擁護支援センターが主催もしくは依頼を受けた研

修会やネットワーク構築を目的に権利擁護支援の関係機関を対象とした合同研修会の報告、

権利擁護支援者を対象とした研修についての報告などがされるとともに、平成 29 年度の重点

目標についての達成状況が報告されました。

次に、「平成 30 年度西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センター事業計画」です。ここで

は、平成 30 年度の事業計画案について事業方針と重点目標についての説明と、それらを達成

するための具体的な取組みについて平成 30 年度に予定しているスケジュールについての説明

がされました。

次に、「西宮市権利擁護支援者人材バンク登録者の活動状況について」です。ここでは、

西宮市権利擁護支援者人材バンク運営要領第5条に定める活動内容別に、西宮市権利擁護支

援者人材バンク登録者の活動状況についての説明がされました。また、市民後見人の活動に

ついては、平成 29 年7月に本市初となる市民後見人の選任後、初めて具体的な活動状況を報

告する機会でもあったため、活動報告書の実際の使用状況も含めた報告がありました。

最後に、「権利擁護支援者養成研修の実施について」です。ここでは、平成 30 年度から再

開される権利擁護支援者養成研修について、前回までの養成研修からの変更点や、それによ

り期待される効果などの説明がありました。また、平成 30 年度西宮市権利擁護支援者養成研

修カリキュラム案と今後本格的に実施される後見実務研修についての説明がありました。

事務局からの説明は以上です。

○委員長

議題(1)について何かご質問、ご意見等がありましたらお願いします。

〔発言者なし〕

○委員長

議題(2)「平成 29 年度委員会付属調査研究プロジェクト報告」について、事務局からお願

いします。

○事務局

平成 29 年度の委員会付属調査研究プロジェクトとして取り組みました「西宮市における高

齢者虐待対応の状況について」の報告書が完成しましたので報告します。資料№3をご覧く

ださい。

本プロジェクトは、平成 24 年度から、高齢者虐待対応にかかる各種データをもとに、西宮

市における高齢者虐待事案の特徴やその対応、支援の実効性などについての分析・評価を行

い、高齢者虐待対応の改善に向けた提言としてまとめ、高齢者の権利擁護支援システムの推

進を図ることを目的に、平成 29 年度に委員会付属の調査研究プロジェクトとして実施しまし

た。

報告書2~9ページは、西宮市における高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援

等に関する法律に基づく対応状況等に関する調査結果です。ここでは、西宮市における年度

ごとの高齢者虐待の通報件数や通報者内訳、通報に基づく事実確認の状況や虐待認定した事

- 4 -

案の類型、被虐待高齢者の状況、とられた対応策などを報告しています。

虐待通報件数は、平成 29 年度をピークに減少に転じており、ケアマネジャーからの通報件

数も平成 27 年度から減少しています。目視による事実確認は約9割実施されていますが、通

報から事実確認までの期間で 48 時間以内の実施が、平成 26 年度以降、年々減少していまし

た。

虐待事実の有無の認定では、虐待ではないと判断した事例が年々増加しています。虐待と

判断した事案においては、身体的虐待の割合が高い傾向にありますが、平成 28 年度について

は、介護放棄が身体的虐待を上回り、約半数となっていました。

被虐待高齢者の状況としては、女性の割合が高く、被虐待率は 70 歳以上から高くなる傾向

にあることや、中等度の介護度の割合が高いこと、また、何らかの認知症状を有しているこ

とが多いことが分かりました。また、被虐待高齢者は虐待者と同居している割合が高く、家

族形態としては未婚の子との同居の割合が高いこと、虐待者は各年度で約6~7割が息子・

娘となっていました。

虐待への対応としては、各年度とも一定の割合で分離対応しており、養護者の支援として

助言・指導の割合が高い結果でした。

次に、10~20 ページは、調査結果の検証と考察です。ここでは、調査結果を踏まえて、平

成 28 年度のデータを中心に、高齢者虐待対応における課題について、通報段階、事実確認の

段階、虐待事実の有無の認定段階の各段階とその他の事項について、検証と考察を行ってい

ます。

通報段階では、虐待通報として受理する・しないの判断基準について、客観的の検証の必

要性と、通報に至っていない潜在的な事案がある可能性が考えられることなどが挙がりまし

た。

事実確認の段階では、通報受理時点で緊急性や緊迫性をある程度判断してしまっており、

それによって対応が遅くなっている現状があることや、支援機関の各帳票への記載のルール

が曖昧になっていることなどが挙がりました。

虐待事実の有無の認定段階では、虐待事実の有無の認定に時間がかかる原因について、会

議の設定の仕方や事実確認中の対応方法との関係性を検証しました。

その他の事項としては、高齢者虐待事案通報における家族形態についての特徴やその背景

についての考察を行いました。

21 ページからは、今後に向けての提言です。ここでは、虐待防止としての支援やマニュア

ルの運用について、個人情報の開示について、他機関との連携についてなど、今回の調査結

果やこの検証・考察を踏まえた提言を行っています。

本報告書の提言と平成 29 年度の地域包括支援センター運営協議会に報告された「地域包括

支援センターにおける権利擁護業務の外部評価」の結果を受け、関係課・機関と協議し、高

齢者虐待対応に関する指針の策定や記録シートの改善、虐待対応機関の職員に対する研修会

の実施など、具体的な取組みにつなげていけるよう調整しています。

平成 29年度委員会付属調査研究プロジェクト報告は以上です。

○委員長

資料№3を使って調査研究プロジェクトの概要についてお話をしていただきました。22

- 5 -

ページを見ていただきますと、このプロジェクトにかかわった委員がこの委員会にいらっし

ゃいますので、補足も含めて少しお聞きしたいと思います。

○委員

高齢者虐待は特別なことではなく、どれほど仲むつまじい家庭でも、高齢者が認知症など

で介護が必要になって、養護者との関係の中で起こり得ると思います。ですから、通報件数

も、西宮だけで年間 150 件もあると思うのです。そういう状況になる前に関係を調整して、

そこを改善する、又は虐待が起こりつつあるところにできるだけ早急に介入して、軽微な状

態から悪化しないように収めていくことがこの活動だと思うのです。そのためにこの調査は、

高齢者虐待が起こることを予防する、あるいは軽微な段階で収めることをみんなで連携して

やっていくのがいいのか、今はどのような状態になっていて、何が課題で何を目指していけ

ばいいのかを明らかにして、これをもとに今からの活動をつくっていくものだと思います。

その意味では、これは非常に有意義で貴重な資料で、これからこれに基づいていろいろな連

携の工夫をしていくことになると思います。

私がこの中で思ったのは、西宮市での課題としては、18 ページに「未婚の子との同居事案

が特徴」とありますが、平成 28 年度の虐待通報は 119 件で、そのうち高齢者が未婚の子と同

居している案件が 43 件で 36%あり、結構多いと思います。国のデータでは、65 歳以上の高

齢者は、夫婦で住んでいるのが3分の1、独居が4分の1、未婚の子との同居が5分の1と

出ています。ですから、全体の 20%のうちの 36%で虐待が起こっていることになります。65

歳以上の親が未婚の子と暮らしているのですから、中には仕事に通って仲良くやっていると

ころもあると思いますが、介護が必要になって、介護離職や貧困の状況が起こって経済的搾

取が起こったり、介護でストレスがたまって暴力が起こる可能性の高い環境なのかなと思い

ます。今、80 歳の親のもとに 50 歳のひきこもりの子供がいるという「8050 問題」が社会の

課題になっていますが、こういうところで虐待が起こるリスクが高いことを私たちはよく把

握して、そこで虐待が起こる前に介入する工夫をしていく必要があると思いました。

○委員

高齢者虐待防止法が施行されてから 10 年余り経ちました。西宮市においても、当初は残念

ながら高齢者虐待対応が進んでいるとは言えない状況がしばらく続いていましたが、権利擁

護支援センターが設置されて以降、人口規模に応じた一定の通報件数が出てくるようになっ

たことで、西宮市における権利擁護支援システムという意味では機能し始めたのではないか

と思っています。

この権利擁護支援センターが設置されてから7年が経ちます。これは他の地域でもそうい

う傾向が言えないわけではないのですが、周知啓発あるいは対応が進んでくると、相対的に

通報件数が低下してくるところがあります。これはもう一度きちんと研究しなければいけな

いかもしれませんが、他地域のデータでも言えるように、通報件数自体は人口規模に対して

一定数で推移して、虐待防止が進んだから通報件数が極端に低下することはないはずです。

健全な形としては、通報件数は一定数をキープして、虐待ではないという件数が相対的に高

くなることだと思います。これは、早期発見・早期対応が多ければ、結果として虐待でない

という判断に至るケースが増えてくるという意味で、機能しているのではないかと思われま

- 6 -

す。西宮市でも、今回のデータで一定そういう傾向があります。

それと、これは西宮市の特徴的なことになるかもしれませんが、全国データなど他のデー

タと比較すると、ケアマネジャーからの通報件数の割合が、相対的に少なくなってきている

ことも指摘できますので、毎年確実にケアマネジャーあるいは事業所の方への虐待防止研修

を継続していくことが求められるのではないかと思います。

高齢者のことはこれでいいのですが、もう1点、先ほどの運営委員会の資料にも出ていな

いように、不思議なことに障害者虐待のデータが出てこないのです。西宮市では障害者への

虐待が全くないのか。高齢者のほうはこれだけデータをちゃんと出されていて、対応の分析

もされているにもかかわらず、障害者虐待の状況のデータや対応の検討がよく分からないの

です。権利擁護支援センターがその状況について把握できていないようにも聞いています。

虐待対応においては、高齢者の虐待で対応していても、虐待している養護者に障害がある

場合もあるし、その世帯の中に障害のある人がいる場合も当然あるわけで、どの地域でも複

合事案の中で障害分野と高齢分野との連携・協力が欠かせなくなっています。そういう意味

では、虐待状況や対応についての情報共有が必須要件になると思うのですが、なぜか障害者

虐待の状況や対応が表に出てこないので、それはいかなる理由があるのかをぜひお聞きした

いと思います。この調査結果とは直接関係なくて恐縮ですが、虐待対応の一環としてお聞き

しました。よろしくお願いします。

○委員長

今ご質問のあった件については、他の委員の意見を聞いてからにしましょうか。

○事務局

私も分析・評価チームに入らせていただいたのですが、実際に私が分析・評価をするとい

うよりも、参加された委員の方から意見をいただいて、市が対応するときの参考にさせてい

ただければと思って参加していました。

まず、48 時間以内の安否確認については、西宮市の虐待対応においてはその部分ができて

いなくて、もしトラブルがあったときにはマニュアルどおりの対応ができていないことが大

きな問題になってしまうので気をつけてくださいというご意見をいただきました。

先ほど説明がありましたとおり、どういった形で指針を出すかを検討しているのですが、

48 時間以内がどういうことを意味するのかと考えると、やはり安否確認が一番大事だと思い

ます。事実確認を全てできるまでが 48 時間となるとなかなか難しいので、まずは 48 時間以

内に安否確認の対応をするべきという指針をつくろうと思っています。また、虐待対応シー

トについても、現在はそういう部分が多いので、その部分の改定も今後予定しています。

○委員

ケアマネジャーからの通報件数が少ないことのご指摘をいただきまして、地域包括支援セ

ンターとケアマネジャーの関係性を考え直すきっかけになりました。

地域包括支援センターでは、担当地域において顔の見える関係をつくるために、主任ケア

マネジャーを中心に居宅訪問を開始しています。

ケアマネジャーへの聞き取りも個別に幾つかしたのですが、やはり関係性ができているケ

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アマネジャーは、事情がよく見えているのでかえって迷ってしまうことと、「虐待」という

言葉の重みに少し恐れをなしているところがあるようです。そういう方に対しては、みんな

で考えていくことなのだとその都度こちらから発信しているのですが、やはりそういった2

つの思いがあるためにケアマネジャーからの通報件数が減っているのかなと思っています。

48 時間以内対応の件もそうですが、少し対応に慣れてきて、最初にどう対応するかが流れ

として分かってしまうと、マニュアルどおりではなく、ここまで確認してから上げてみんな

で考えていくという手順を勝手につくってしまっていた部分もあるかなという声も出ていま

した。

先ほどマニュアルを少し見直していこうと考えていると言われた 48 時間以内の対応につい

て、今までは「事実確認」となっていたのですが、これは「安否確認」のことだとおっしゃ

ってくださったので、気持ちが軽くなるというか、スムーズに理解できるのではないかと思

います。

○副委員長

私は地域包括支援センターの外部評価にも関わっていて、そういう部分からもずっと見て

きているのですが、対応のスキル自体はずっと上がっているだろうなとは思います。

ただ、その中で、各自である程度の判断・見立てができてしまっているために、マニュア

ルとは異なるような対応をしてしまっていると思うのです。今は大きな問題が起きていない

からいいのですが、ひとたび見立てと違うことが起きて、ふたを開けると大変なことになっ

ていたという話になったときには、適正な対応をしていたという根拠にあるマニュアルと違

っているとなって、一気にその対応の責任を問われることになります。ここに書いていただ

いていますが、改めてマニュアルの意味をきちんと抑えて、先ほど言われた「48 時間以内に

行う」という意味も再度確認して、対応していくことが大事だろうなと思います。

連携という部分で言うと、行政内での情報の取扱いの部分の連携が十分にできていないと

ころもあるやに聞いています。特に経済的虐待の関係で、所得・収入に関する情報について

行政内部でもうまく取得できないことも聞いていますので、行政内で情報のやりとりができ

るような内規をつくるなどしていただいて、支障が起こらないようにしていただく必要があ

ると思います。

養護者支援の部分で一番難しいのは、養護者に障害があっても支援を求めていないので福

祉サービスの導入につなげない場合に、養護者支援を誰がするのかとなったときに、望んで

いない場合には障害福祉サービス等の相談支援事業所などが入っていくのは難しい。だから

といって、養護者支援としてずっと地域包括支援センターが関わることもそれはそれでまた

大変ですから、どこが担えばいいのかがはっきりしないところも出てきてしまいます。そう

なると、行政の生活支援課において動いていただくことがまず大事になってくるのかなと思

います。そのあたりの役割分担や連携も改めて確認していただきたいと思います。

通報件数についても、先ほどから出ている通りだと思いますが、介入の意味をきちんと通

報する方に理解していただくことが必要だと思います。処罰するとか非難するという趣旨で

通報するのではなく、今起こっているニーズにきちんと対応するために介入する、行政がき

ちんと根拠を持ってかかわるために通報するわけですから、別に大ごとになるわけでもあり

ません。今うまくできていない部分をみんなで考えてやれるようにする意味できちんと通報

- 8 -

する。しかも、早く通報すれば早く適切な対応ができるわけですから、早期の通報が必要だ

といったところをもう一度啓発していくことが大事だと思います。

○委員長

それでは、先ほどの委員の質問に対してお願いします。

○事務局

障害のデータについてご質問をいただきました。センターのことだから高齢者と障害者を

一緒にやるべきだというご意見でしたが、いかんせん障害の件数が上がっていなかったこと

と、去年はさらに件数が少なくなっていたこと、さらに、そのケースが終了までに至ってい

るのかなどのマニュアルに即した対応ができていないケースが多数見られたことで、まずは、

マニュアルを現実的に障害にも合わせて見直しているところです。西宮市でも障害者虐待も

一定の件数があるはずですので、処理をきちんとしていった後に、そこについて検証してい

けたらなと考えています。よろしくお願いします。

○副委員長

件数で言うと、参考資料№3にある虐待の新規相談数を見れば、障害の相談は一定程度来

ていることは分かるのですが、高齢者と比べても圧倒的に少ないです。かつ、障害の虐待に

ついては県に報告しているはずなので、市役所の中で把握自体は必ずしているはずです。

マニュアルからすると、本当はこの数と県に報告している数が一致しないといけないはず

なのですが、それが多分一致していなくて、権利擁護支援センターと一緒にやるケースとそ

うではないケースがあったりしていると思うのです。

このあたりの検証自体はすぐにできると思いますし、個人的に私に相談に来ているケース

などもあって、しかも、それは施設従事者等による虐待の疑いというケースですから、より

訴訟リスクがあって、かつマニュアルどおり適切に対応しないと問題になってしまうような

ケースだと思うのですが、そういうケースが幾つもあると思うのです。ここは委員が初めて

言う話ではなくて、ずっと前から言っていることですから、時間をかけてという話ではなく、

早急に対応していただく必要がある話だろうと思います。

○委員長

他の委員からも何かお気付きのことやご意見がありましたら。

○委員

幾つかもやもやとしていて上手に表現できないのですが、1つは、件数の多い親子という

家族形態で、対策として分離が非常に少ないことが気になっています。夫婦間のDVと同じ

かどうか分かりませんし、心理学のことはよく分かりませんが、DVは心理的に治らなくて、

謝っても収まらないらしいですね。この表は分類しているのであって、対策の全てではない

でしょうが、親子間の虐待も同じで、分離しないと対策にならないのではないかと思うので

す。これで大丈夫かなともやもやとしています。さらに、チームのメンバーには後見の方も

いらっしゃいますので、例えば親子事案の中には後見につなげれば対策できるものはないか

- 9 -

なとちょっと気になっています。

もう1つは、啓発の問題です。当事者に啓発することはなかなか難しいと思いますが、世

間一般では、殴ったら虐待だと分かっていても、年金を使っても虐待になることを分かって

いない方が多くいますので、そのあたりをもっとアピールしていくといいかなと思ったりし

ます。

○委員長

他の委員はよろしいでしょうか。

〔発言者なし〕

○委員長

委員もおっしゃったように、障害、高齢と複合の虐待・被虐待の事例はかなりあると思い

ます。特に今回の資料の中で、未婚の子との同居事例が 36%あり、虐待する養護者の性別

等々は書いてありますが、実際にその方が抱えている問題そのものをどう分析するのかが問

題になります。例えばひきこもりの方や、心身に障害を持っている兄弟やご家族との問題な

ど、しっかりと考えなければいけない問題が幾つかあると思いますので、そこも含めて今後

分析を進めていただけたらと思いました。

この件も戻っていただいても結構ですから、次の議題に移らせていただいてよろしいでし

ょうか。

〔「はい」の声あり〕

○委員長

議題(3)「成年後見制度利用促進基本計画」について、事務局から説明をお願いします。

○事務局

成年後見制度利用促進基本計画について説明します。資料№4をご覧ください。

平成 28 年5月に施行された成年後見利用促進法では、第 23 条で「市町村の講ずる措置」

として、市町村における基本計画の策定に関する努力義務と、基本的な事項を調査・審議な

どするための審議会その他合議制の機関の設置に関する努力義務を規定しています。

国は説明会などでの回答で、市の基本計画は単独で定めるほか、関連計画にその内容を盛

り込み、その部分を市町村計画と明示する方法もあること、策定時期、計画期間についての

規定は特になく、関連計画の一部に内容を盛り込む場合は、当該計画の期間に合わせること

も可能であることとしています。これを受け、本市の対応として、市の基本計画は単独では

策定せず、高齢者福祉計画・介護保険事業計画及び障害福祉推進計画にその内容を盛り込み、

西宮市成年後見制度利用促進基本計画とすること、審議会その他合議制の機関には西宮市権

利擁護支援システム推進委員会を位置付けることを平成 29 年度の本委員会で報告したところ

です。

平成 29 年3月に国において成年後見制度利用促進基本計画が策定・閣議決定されたところ

- 10 -

ですが、資料の2ページには、全 27 ページにわたる国の基本計画のうち、市町村計画の策定

及び市町村の役割について記載された部分を抜粋しています。市町村計画は国の基本計画を

勘案して定めるよう務めるとされており、国の計画には、市町村計画を定めるにあたって具

体的に盛り込むことが望ましい内容が記載されています。

市町村の役割として、地域連携ネットワークや中核機関の設立・運営に関しての積極的な

関与や、それに期待される機能の段階的・計画的な整備に向けた計画の策定、合議制の機関

の設置とその機関を活用した計画の検討・策定、取組みの継続的な点検・評価が求められて

います。また、既存の資源・仕組みの活用などについても記載されています。

3ページには、市町村計画の策定、市町村の役割について、国の計画に記載されているこ

とをまとめています。本市の基本計画を策定していく中でも、ここに記載されている内容を

もとに、本市の現状把握と今後に向けての取組みなどを考えていく必要があると考えていま

す。

4ページからは、本市の権利擁護をめぐる状況について各種データをまとめています。ま

ず、高齢者人口と療育手帳及び精神障害者保健福祉手帳所持者の状況です。それぞれ平成 25

年度~平成 29年度の推移となっています。

高齢者人口は、平成 29 年度は 11 万 2,979 人で、高齢化率は 23.3%となっています。65~

74 歳の前期高齢者人口は、平成 27 年度以降は横ばいで推移していますが、75 歳以上の後期

高齢者人口は年々増加しています。

療育手帳所持者は年々増加していますが、年齢別では、0~17 歳の増加率が高く、判定別

ではB2の増加率が高くなっています。

精神障害者保健福祉手帳所持者についても年々増加していますが、特に3級の増加率が高

い状況です。

これらのことから考えると、本市においても権利擁護支援が現に必要か、今後必要になる

可能性のある方が一定数おられ、また、今後も増加傾向が見込まれるのではないかと思いま

す。

次に、5・6ページは、西宮市高齢者・障害者権利擁護支援センターに寄せられる相談内

容、相談経路について、平成 25年度~平成 29年度の各年度の集計です。

まず、5ページの相談内容については、各年度ともに虐待・DVに関する相談が一番多く

なっていますが、成年後見制度利用や金銭管理、福祉・医療サービス利用に関しての相談も

一定のニーズがあることが分かります。また、近年は債務整理についての相談も増加してい

ます。

なお、本市では、権利擁護支援に関する相談窓口機能として権利擁護支援センターを2次

機関、地域包括支援センターや障害者総合相談支援センターを1次機関と位置付け機能分化

しているところですが、1次機関で対応している権利擁護支援に関する相談も併せて考える

と、本市においても多くの権利擁護支援ニーズがあることが推測されます。

次に、6ページの相談経路については、ご本人や家族、親族からのほか、ケアマネジャー

や地域包括支援センターなどの直接支援にかかわっている方々からの相談が入ることが多い

ことが分かります。

下段は、日常生活自立支援事業の契約者数の推移です。平成 25 年度の契約者は 42 人でし

たが、平成 29年度の契約者は 78人と、5年間で約 1.9 倍になっている状況です。

- 11 -

7ページからは、成年後見制度利用状況として、本市の成年後見市長申立事案と報酬助成

決定事案の件数の推移と、参考資料として、最高裁判所や神戸家庭裁判所が集計した成年後

見制度に関する各種データです。また、本市の権利擁護支援者人材バンクの登録・運営状況

も併せて記載しています。

本市で実施する成年後見制度利用支援事業においては、それぞれ要綱に基づき、その他申

立人が存在しない場合の成年後見市長申立てと、一定の資力を下回る被後見人等の生活を支

援するための後見人等への報酬助成を実施しています。

市長申立事案ですが、平成 29 年度は、高齢者 16 件、障害者5件、合わせて 21 件が申し立

てられました。報酬助成決定事案ですが、平成 29 年度は、高齢者 39 件、障害者 12 件、合わ

せて 51件の事案に対し決定が出されています。

なお、報酬助成については、生活保護受給者か、市長申立てでかつ活用できる資産・貯蓄

等が乏しいものについて対象としていましたが、平成 29 年度に要綱改正し、それまでの対象

者以外でも、活用できる資産・貯蓄等が乏しいものについても対象とできるよう、助成対象

者の拡大をしています。

10 ページは、今後予定しているスケジュールです。まず、本年度秋頃を目途にアンケート

調査を実施したいと考えています。

1つ目は、高齢者や障害者の生活施設、ケアマネジャーや相談支援専門員、医療機関など

に対し、本人の身上監護や財産管理について客観的指標を用いたアンケートを実施し、客観

的な権利擁護ニーズの把握をしたいと考えています。

2つ目は、既存の地域資源の把握で、本市で後見活動を行っている弁護士や司法書士とい

った各専門職に対し、現在の後見活動についてのご意見や、地域連携ネットワーク構築にあ

たってのご意見などを伺う機会をつくりたいと考えています。こちらは、弁護士会や司法書

士会などの各団体との懇談会形式など、方法を検討します。

次に、本年度第2回委員会を平成 31 年2月頃開催で予定しています。そこで、秋に実施し

たアンケート結果の報告と、その結果をもとにして、本市における地域連携ネットワーク、

中核機関のあり方・機能の検討を行っていただきたいと考えています。

平成 31 年度は、本年度第2回の内容の検討と、基本計画に記載すべき事項についての具体

的な協議をしていただき、高齢者福祉計画・介護保険事業計画及び障害福祉推進計画の各策

定委員会に対しての提言をまとめていただきたいと考えています。

事務局からの説明は以上です。

○委員長

資料№4を使って、西宮市における成年後見制度利用促進に関する計画についての説明を

いただきました。各委員からご質問、ご意見等がございましたらご自由にお願いします。

○委員

私は、第1回になる平成 23 年度の養成研修の修了者ですが、この資料を見ると、一見、後

見も件数的に進んでいるように見えます。ただ、我々は市民後見をするために長い研修を受

け、その後も毎年セミナーにずっと出ていまして、我々の仲間も大分人数が増えたのですが、

昨年1人だけ補佐の仕事をいただいたぐらいで、市民後見が全然進んでいないことが非常に

- 12 -

気になっています。

時々他の地域の方と懇談するのですが、我々よりも随分後に研修を受けていても、市民後

見が大分進んでいます。その市町の特色もあるのでしょうが、最初の研修のときに西宮は結

構早い時期にスタートしたと言われていても、それでもやっと1人か、数百人の人たちはた

だ遊んでいるだけかと思っていて、それが非常に気になっています。私も、市民後見の登録

はしていますが、もう少し進まないと、上っ面の話をしていても何も進まないのではないか

という気がしています。

親族後見が日本人には合うのでしょうが、搾取という点から考えると、親族後見が一番搾

取が多いらしいです。専門職の方が搾取すると新聞沙汰になりますから、法律の専門家が搾

取するぐらいだから、普通の人が後見したらいけないというイメージを持っている方がいら

っしゃるかもしれません。しかし、搾取を減らすためにも市民後見を増やさなければいけな

いということが通説のようですし、裁判所も最近はそう思いつつあるにもかかわらず、なぜ

西宮市では市民後見が増えないのかが非常に気になっていますので、ここで声を大にして言

わせていただきました。

○委員長

権利擁護支援者養成研修を修了した後の市民権利擁護者が遊んでいるわけではなく、参考

資料№3を見ていただきますと、研修修了者はさまざまな活動をしておられます。市民後見

人になるためだけの研修ではなく、全体として、生活支援員や後見活動支援員、介護相談員、

運営推進会議委員などのいろいろな活動は一応していることだけは申し上げておきたいと思

います。

○委員

目指すところがそこではなく、後見ですから。

○委員長

そういう方もいらっしゃるでしょうが、いろいろな思いで研修を受けてらっしゃいます。

○委員

分かっていないので確認したいのですが、1つは、成年後見制度利用促進基本計画を既存

の計画の中に埋め込んで機能させていくという戦略については、非常に有効だと思います。

ただ、高齢者福祉計画・介護保険事業計画や障害福祉推進計画はもちろんですが、西宮市の

目指す成年後見制度利用促進基本計画は権利擁護支援計画ですので、その意味で言えば、や

はり地域福祉計画にかなりストレートに反映させていく必要があるのではないかと考えてい

ます。

もう1つは、この権利擁護支援システム推進委員会をベースにして、資料№4の 10 ページ

にあるスケジュールのように進めていくことについては、基本的には理解しました。ただ、

例えば部会形成をするのかとか、実効的な機能展開ができるような工夫をしなければ、権利

擁護支援システム推進委員会を秋と2月と6月に開いたからといって、なかなか難しいので

はないかと思います。

- 13 -

それから、地域連携ネットワーク及び中核機関は、場合によっては現在の権利擁護支援セ

ンターになるかもしれないし、違う方向があるかもしれないし、そういったことも含めて実

効的な機能構築のためにこのスケジュールできちんと話し合うと理解したらいいのですか。

○委員長

1つは、成年後見制度利用促進に関する法律に基づく基本計画を、西宮市の場合は単独で

つくらずに、高齢者福祉計画・介護保険事業計画と障害福祉推進計画に埋め込むとあります

が、地域福祉計画にどういう形でこれを反映させるのかという質問です。

2つ目は、資料№4の 10 ページのスケジュールでは、アンケート調査や各種専門団体との

懇談会をされ、それを踏まえて地域連携ネットワークや中核機関のあり方・機能の検討等を

この委員会で一定議論するとなっているのですが、そこでのたたき案などの事務的な機能は

どこでどのようにされるのかという質問です。

○事務局

まず、地域福祉計画は仕組みのところの計画だと思いますので、資料№4の1ページの①

の※に書いていますように、成年後見制度利用促進基本計画の内容はもちろん反映していき

ます。

ただ、見直しの時期が地域福祉計画は平成 33 年度で、それより先に高齢と障害の計画の見

直しが来ますのと、高齢と障害の計画のほうがより実効性がある計画という位置付けだと思

いますので、ここに盛り込むほうが、権利擁護の考えの中でより一体的に介護保険や障害者

施策が進んでいくと考えていますので、来年度1年かけて提言案をまとめて、次の年度が各

計画の策定年度になりますから、そちらに盛り込んでいこうと考えています。さらに、高齢、

障害の各策定委員会で出された意見と併せて、こちらでも策定している間にいろいろと議論

が進むかと思いますので、その内容も踏まえて、地域福祉計画の中に入れて、それをまたこ

こでもう一度議論して、高齢や障害の各計画のほうにも反映するというように、毎年少しず

つバージョンアップすることができたらと考えています。

実際の作業の進め方ですが、この推進委員会だけでできるわけではありませんので、何ら

かのまとめなりはもちろん我々事務局でしますが、別にご意見をいただくところが必要と思

っています。今年度は、権利擁護支援センターのご意見をいただきながらやっていきたいと

考えていまして、来年度については、この委員会だけでは提言はまとめていけないと思いま

すので、昨年度もプロジェクトを設置させていただきましたように、部会の形でこの計画に

関することを推進委員会の合間に開催して、ご意見をいただいてまとめていけたらと考えて

います。

○委員

地域福祉計画に反映するとは書いていますが、理念の部分で言いたかっただけです。あと、

部会などについては必要だと思います。

○副委員長

情報提供なのですが、日弁連と最高裁とでずっと話し合いをしています。利用促進基本計

- 14 -

画は後見制度を利用しやすくするためにとなっているのですが、最高裁の意向がほぼ固まっ

てきていて、最高裁は親族後見を中心にやっていきたいと考えています。これは、表向きは

そうは言いませんが、結局は報酬の問題です。それと併せて、中核機関が担う部分としては、

申立てや親族後見のフォローをさせたいようです。

厚労省がつくった中核機関の体制整備に向けた手引きが出ています。これに従わなければ

いけないわけではないのですが、厚労省が中核機関に求める内容になっています。

当然、各地区の家庭裁判所と連携していかなければいけないことになってくると思います

が、それは最高裁からおりてきて各地区の裁判所も、親族後見の事案については申立て当初

から中核機関に関与させたい、申し立てた後もフォローして欲しい。今は資産がたくさんあ

るケースは専門職にとなっていますが、もっと信託を活用する形で親族後見を増やしていき

たいという意向なのです。それに従うかどうかは別ですが、家庭裁判所からはそうあってほ

しいと多分言ってきます。ですから、今後のスケジュールということからすると、そういっ

たことも踏まえながら、家裁との協議も進めていかなければいけないのかなと思います。

そうはしないと言った場合にどうなるのかという話もあると思うのです。先ほど言われた

市民後見をもっと活用する、あるいは専門職後見を活用する、あるいは法人後見でと、いろ

いろと方策はあると思いますが、いずれにしても、一部の家裁はそういう形で動いています

し、今までの報酬の規定も見直してもっと別のやり方でという話もしてきています。意見を

聞くようなスタンスで私たちと話合いをしていますが、アリバイづくりで、やるからねとい

う感じで来てしまっているのです。結構なスケジュール感で動き出しているところがありま

す。西宮市のあり方としてはこれでいいと思いますが、それと厚労省や最高裁が考えている

こととは大分齟齬がある気がしますので、そこは意識をされたほうがいいのかなと思います。

○委員長

西宮市では、歴史的に権利擁護の仕組みを粛々と構築してきましたので、国の方向の親族

後見の方向に任せる、あるいは本人が使っているサービスを提供する法人の法人後見に任せ

るという方向は、とてものみがたいと思うのです。利益相反の問題も出ますので、このこと

については、ぜひとも西宮らしいものをつくっていきたい、ぜひともその方向で検討してい

きたいと考えています。我々はその方向でよろしいのですね。

○事務局

はい。

○委員長

障害を持っている家族の場合ですと、親子、次に兄弟、それ以外の親族となっていくと、

親族後見はあまり安心感がないような気がするのですが、そのあたりはどうですか。

○委員

今お聞きしてびっくりしました。親族後見をと思っている方もたくさんおられるとは思い

ますが、個人的にはすごくナンセンスだなと思っていて、私自身も、息子の後見を考えたこ

とはないですし、兄弟も考えたことはありません。

- 15 -

先ほど市民後見の事例が増えないと言われていましたが、後見自体が今必要かと言われる

と、自分がいなくなった後には必要になるかもしれないが、今の時点で後見人がついてしま

うと非常に生活がしにくいのではないかと考えてしまうので、申立てはしない、後見人が必

要だとは思わないという家族も非常に多いのではないかと思います。

高齢の方については、言い方は悪いのですが、先が短いので後見人という形も考えられる

と思います。しかし、うちの場合、息子はまだ 30 代ですし、契約行為があるので後見人を付

けないといけないとよく言われた時期もあったのですが、付けてしまったがために、本人が

生活しにくくなった例もたくさん聞くので、利用促進法自体に私は違和感があります。

○委員長

ある意味では非常に分かりやすいご意見をいただきました。みんなもそう感じているとこ

ろもあると思うのです。つまり、後見の地域連携ネットワークの3つの役割の最後に「意思

決定支援や身上保護を重視した成年後見制度の運用」と書いてあるのですが、そもそも意思

決定支援と身上保護を横並びにしてあるところはどういう認識を持っているのか、ご本人の

生き方・意思決定を尊重したようなあり方をどこまできっちりと担保できるのかというとこ

ろもあります。

○委員

後見人を付けると、どういう面で生活しにくくなるのですか。

○委員

うちも後見人を付けているわけではないので、ものすごく間違った意見かもしれませんが、

例えば財産を後見人が管理される場合に、今ある財産を死ぬまで減らしてはいけないと考え

る後見人がおられたら、毎月1万円しか使えないと決めていたとしても、我々でも1万円以

上のものが欲しいときがありますね。それが買えないことになってしまうという事例をたく

さん聞くので、今持っている彼のお金を自由に使えるようにしておいてあげたいなとは思い

ます。そういう感じです。

○委員

分かりました。ありがとうございます。後見人の価値観にもよるような気がします。うち

のように精神障害のある子がぱっとお金を使いたいと言っても、その人が一生食べていける

ように考えて、だめだと言うのか、その人が今したい勉強や旅行などにお金を使わせるのか、

後見人がどこまで判断できるのか難しいところですね。

○委員長

私のところは、弟が統合失調症で、事実上、私が後見人として金銭の管理をしていますが、

おっしゃるとおりです。あと何十年生きるかというところで、本人が持っている財産をいか

に有効に、かつ本人の生きたいようにたっぷり使ってもらうか、かといって、完全になくな

ってホームレスになってしまっても困りますのでどうするかとか、そこのバランスをプロフ

ェッショナルとして我々家族がどう考えるかなのですが、そこは副委員長からお願いします。

- 16 -

○副委員長

委員がおっしゃるような管理の仕方は後見人次第の部分でもあって、そういうことを言わ

ない後見人もたくさんいたとは思いますが、裁判所のスタンスとしては、今まではあまり使

わないように残しましょうというスタンスでした。

しかし、利用促進法の関係で裁判所のスタンスも変えるべきだという話にはなっていて、

本人のためになるのであれば使ったらいいのではないかという方向に今行こうとしています。

そういう意味では、少しプラスの方向で利用促進法が作用しているところはあると思います

ので、そこは、少し改まるのかなとは思います。

○委員

利用促進法という制度の中で意思決定支援、身上監護を厚くすることはよく分かるのです

が、どうしても代行決定が起こる。つまり、意思決定支援と言いながら、後見人が代わりに

決定してしまうことも起こり得るでしょうし、同意権や取消権なども本人の意にそぐわない

ことが起こってしまう可能性もある、そのあたりをどのように改善していくかだと思います。

しかし、意思決定支援や権利擁護支援の方法ですから、成年後見制度ありきではないと思う

のです。その人に寄り添いつつ意思決定を支援していって、権利擁護支援をしていくかだと

思うのです。

資料№4の6ページの下に「日常生活自立支援事業(福祉サービス利用援助事業)契約者

数」の表があります。これは社会福祉協議会が実施している判断能力の不十分な方に対する

金銭管理の支援ですが、これは、ご本人さんとの契約で、通帳や印鑑をお預かりして、公共

料金や家賃を払ったりしながら、いろいろなことがその日その日に起こるから、一緒に悩ん

で対応しながら、ご本人さんが自分の力で生活していくことを周りで支えていくという事業

です。

しかし、契約ですから、本人さんから通帳を返せと言われたら返さざるを得ないのですが、

「そうではなくて、一緒にやっていきましょう」と言いながら、本人と右往左往しながら前

へ進んでいくみたいなところがあります。

成年後見制度でなければ支援できない人もいるかもしれませんが、福祉サービス利用援助

事業で地域生活を送ることを支援できる人は、これで支援していくほうが意思決定支援に関

しては親和性があると思います。

これは、平成 25 年度の 42 人の利用者が、約5年間で 78 人になっています。非常に心苦し

いのですが、今は希望されてもお待ちいただいている方が数十人おられて、対応し切れてい

ないのです。精神障害の方でも希望者は多くなっているのですが、これに関して国は予算を

減らしてきています。国が予算を減らして、県が減らしてとなって、だんだん財源が難しく

なってきています。その一方では、利用促進法で成年後見制度の利用を促進していこうと言

っていますから、権利擁護支援を当事者にしていくことをもう一つ上の視点から見たときに、

なぜこうなるのかなと思います。

確かに福祉サービス利用援助事業は社会福祉法の中の事業で、成年後見制度は民法という

違いはありますが、国ではそうなっていても、西宮市としては、権利擁護支援という観点か

ら、福祉サービス利用援助事業も成年後見制度も権利擁護支援の制度として、その人の意思

決定支援をするときにどうあるべきかを一緒に考えて、今後の計画の中に取り入れていただ

- 17 -

きたいですし、我々もやっていこうと思っています。

○委員長

意思決定をしっかりと踏まえた本人の権利擁護を考えると、日常生活自立支援事業という

金銭管理事業は大事な事業です。兵庫県は若干予算を減らすという話ですが、西宮市ではし

っかりと予算をキープしていただいて、展開していただけたらと思いますので、よろしくお

願いします。

○副委員長

資料№4の7ページにある市長申立ての件数が、前年度に比べて半分ぐらいに減っていま

す。ここについては利用促進法とは直接関係はないと思いますが、いずれにしても、ニーズ

として半分に減るはずもない中で減ってしまっているのは、利用しづらくなっている、ハー

ドルが上がっているというような現場の声も出てきています。

成年後見制度利用支援事業のハードルは下がったという話ですが、市長申立てについて、

例えば後見類型に限らず、本来であれば補佐も対象としているにもかかわらず、そうではな

いケースについては本人申立てにという話があったり、親族の意向確認の部分があったり、

なかなか申立てに至らないという声も聞かれてくるのです。このあたりはいかがですか。

○委員長

7ページの市長申立ての件数が、平成 28 年度は 45 件でしたが、29 年度は 21 件で、ここ

についてご質問がありました。

○事務局

市長申立ての担当しているチームでは、特段ハードルを上げたつもりはありません。

ただ、今まで親族に対するアプローチがあまりできていなかったわけではないのですが、

手紙を送って、「疎遠だからできません」という返事が返ってくればそれで終わりとしてい

たものを、改めてもう少しアプローチしていこうとした結果、件数が減ってきたのかなとい

う感じではあります。

○副委員長

もちろん親族にお願いしてスムーズにいくのであればいいのですが、そうでないようなお

話も聞こえてきています。利用促進という関係からすると、当然、市長申立てという部分も

重要な役割を担っていますので、決して抑制的にという趣旨ではないのでしょうが、積極的

に活用できるようにしていただきたいと思います。

○事務局

担当のケースワーカーがどのような形で他の担当者とお話ししているのかを私のほうで調

査して、回答したいと思います。

- 18 -

○委員長

調べていただくようにお願いします。

○委員

先ほど制度動向の話が出ましたが、私からも少し補足しておきたいと思います。

現実的に親族後見は、平成 12 年度の成年後見制度設立当初は 90 数%あったものが、現在

は4分の1に減っているという状況がありますので、第三者後見が今後も一定の役割を担う

のは避けられないと思います。

しかし、先ほど言われたように、後見人だからといって、特に財産保全をメインにして本

人の意向を無視するような対応をしていいわけではないので、この点については後見活動の

基本的な支援と考えて、現段階においてもそういった事案がありましたら、恐らく中核機関

としては権利擁護支援センターが位置付けられると思いますので、権利擁護支援センターに

ご相談されたらいいと思います。

現状での考え方としては、後見人を含めてその人の支援に関わる人たちが集まって、もち

ろん本人の意向も最大限受け止めながら、この人にとってはどういう方法がいいのかを一緒

になって対応していくことが現在の考え方です。利用促進関係の内容でも、個別支援チーム

を基本に意思決定支援を図りながら、と具体的になっていますので、そうした事案に対する

対応についても、権利擁護支援センターで一緒になって考えていくことが出ていると思いま

すので、ご相談いただいたらいいのではないでしょうか。

それと関連して、意思決定を尊重した後見活動という意味合いで、大阪意思決定支援研究

会というところがあります。これは、大阪家裁と3士会(弁護士会、司法書士会、社会福祉

士会)などが中心に構成している研究会ですが、ここが成年後見の活動における意思決定支

援ガイドラインを出していまして、現在国のほうでは、この大阪で出されている意思決定支

援ガイドラインをもとにした後見活動を軸に本格的に考えていこうとしているようです。

基本的には各都道府県の家裁段階で考えられていくと思いますが、独自のガイドラインを

つくるのでなければ、大阪のガイドラインが良くも悪くも、悪くもというのはあまり良いも

のではないかも分からないところもあるのでよく考えなければいけませんが、先ほど言った

後見人が自分の考えで好きにしていいみたいなことはだめだという話は出ているので、そう

いうことはないのではないかと思います。

成年後見制度の利用促進については、いろいろな問題もありますが、1つは、現行の成年

後見制度の改善もしていくことが内容の中に含まれているので、決して制度利用だけを進め

るものではないと理解していただきたいと思います。

残念ながら今回の国会では、被後見人に対するさまざまな欠格条項を全廃する法案を出し

ていたのですが、カジノ法案にやられてしまって、次期の国会に回されると思います。次回

にはまず通ると思いますので、欠格条項は全部なくなります。

また、成年後見の申立て時に診断書が求められるのですが、その診断書の書式もほぼ全面

改訂になります。従来、類型判断のところで、本人が自分で財産管理ができるのか、あるい

は一部援助が必要かと、財産管理をベースにした類型判断の記述でしたが、それは一切なく

なりまして、適正な記述になっています。これは、基本的には来年度から適用となっていき

ますので、現行の成年後見制度の中で課題としていた部分も、確実に進んではいるのです。

- 19 -

そのほか、後見支援信託についても、これまでは信託銀行のみだったのが、まちの信用金

庫等も含めて全面的に対応できるような方向で最終調整ができていると思いますので、これ

も随分使いやすくなるのではないかと思います。

このように、いろいろなところで改善が進んでいることはご承知いただくといいかなと思

います。これだけ補足しておきます。

○委員長

利用促進法との関係で、欠格条項を全てなくすなどが抱き合わせのはずだったのですが、

一方だけやってしまって、もう一方が通らないというのは反則ですね。絶対に進めていただ

きたいと思っているところです。

時間の関係で、もとに戻っていただいても結構ですから、次に進めさせていただきます。

きょうはもう1つ重要な議題があります、

議題(4)「平成 30 年度第1回西宮市差別解消支援地域協議会」について、事務局から説明

をお願いします。

○事務局

議題(4)西宮市障害者差別解消支援地域協議会について説明します。資料№5をご覧く

ださい。

「1.西宮市障害者差別解消支援地域協議会について」ですが、今年2月の本委員会でも

お伝えしましたように、障害者差別解消法に規定されている障害者差別解消支援地域協議会

をこの権利擁護支援システム推進委員会に位置付け、本日開催させていただきたいと思いま

す。協議会の役割として委員の皆様にお願いしたいことについてですが、主に2つあります。

1つ目は、今後、市からおおよそ半期分の障害を理由とする差別に関する相談事例を報告

しますので、事例検討をお願いしたいと思います。

2つ目は、事例検討を通じ、差別解消に向けて必要な仕組みについてご提言いただきたい

と考えています。

なお、現段階では、協議会の委員の方に相談者が直接相談することや、委員の方から当事

者に連絡をするようなことは想定していません。あくまでこのような場を通じてご意見をい

ただくことを想定しています。

また、差別解消支援地域協議会は、年間2回程度の開催を予定しています。その間に必要

に応じ、少数の委員の方にお集まりいただき、意見の整理を行う運営委員会を開催したいと

考えています。

また、今後、あっせん・調整といった仕組みを設ける場合、場合によっては市から早急に

ご意見を伺いたいケースが生じる可能性があります。その際にも、少数の委員で構成する運

営委員会を開催するなどし、ご意見を伺いたいと考えています。

次に、「2.差別解消の仕組みづくりについて」ですが、まず、西宮市における現行の相

談体制について説明します。

障害福祉課をはじめ、教育総務課など市役所の各課や障害者総合相談支援センターにしの

みやに対し、電話や窓口などで差別に関する相談をお受けします。相談をお受けする際には、

要旨を聞き取り、相談者が希望しない場合を除いては相手方に事実確認などを行います。必

- 20 -

要に応じ、その結果を相談者にお知らせします。

(2)差別解消法施行後の相談件数については表のとおりです。相談件数の内訳にあります

「合理的配慮」とは、障害のある人が配慮して欲しいと要望したにもかかわらず配慮しても

らえなかったことをいいます。「差別的取扱い」とは、障害を理由に利用を断られたなど、

障害を理由とした不当な差別的取扱いのことをいい、内容については、障害福祉課において

分類しています。

ページをめくって(3)です。昨年度に開催した障害福祉推進計画策定委員会において、差

別解消を進めるためには条例が不可欠であること、また、条例については、鳥取県の条例の

ように、差別解消だけでなく、手話言語条例や情報コミュニケーション条例の内容を含めた

ものとするべきというご意見をいただきましたことから、障害福祉推進計画にもその旨を明

記し、次期計画の策定年度となる 2020 年度中には、「(仮称)障害のある人が暮らしやすい

まちづくり条例」を策定することとしています。

条例の内容については、差別解消以外の内容を含むため、条例全体の審議については障害

福祉推進計画策定委員会において審議したいと考えています。ただし、この委員会でご意見

をいただきたい差別解消の仕組みと条例の内容は連動することも考えられることから、本日

は、他の自治体の条例を紹介させていただき、差別解消の仕組みについてご意見をいただき

たいと考えています。

他市の例によりますと、差別解消に関する条例を制定する意義として、1つ目は、あっせ

んについて規定すること、2つ目は、法律では民間事業者においては努力義務とされている

合理的配慮の提供を義務とすること、3つ目は、よほど悪質な場合、事業者に対する罰則規

定を設けることの3つが考えられます。

例として明石市の条例とその概要を参考資料として本日お配りしていますので、参考資料

№4の6ページをご覧ください。

一番下の左側に明石市の相談体制が書いてあります。相談者からの相談に対して相談員が

助言・調整を行います。相談・助言で解決しない場合は、相談者からの申立てにより、あっ

せん手続きに移行します。明石市においては、あっせん手続きは協議会が行っています。そ

れでも解決しない場合など、また、業者が悪質な場合は、事業所名などの公表を行うことが

できる規定があります。以上が明石市の例ですが、茨木市や長岡京市においても、同様の手

続きが規定されています。

資料№5に戻って、3ページの一番下(4) 合理的配慮助成事業ですが、これは、明石市な

ど幾つかの自治体で既に実施されている事業で、例えば飲食店などの事業者がスロープを購

入した場合などにおいて、その購入費用の助成を行う事業です。この事業を実施することで、

差別案件が減少することに加え、周知啓発の効果も考えられることから、本市においても差

別解消の取組みの一環として本事業の実施を検討しています。

資料の説明は以上です。

○委員長

資料№5と参考資料№4を使って、西宮市の差別解消支援地域協議会についての説明をい

ただきました。ご質問、ご意見がありましたらよろしくお願いします。

- 21 -

○委員

頭が混乱して整理がつかないのですが、この権利擁護支援システム推進委員会をそのまま

差別解消支援地域協議会にするということですね。これは、要領もできているし、既定のこ

とです。そこで事例の報告を受けて、事例検討や市の対応方法についての協議をして、そこ

から仕組みについての提言も行うということですね。

また同じような論議になるのですが、それは、運営委員会のようなものを別途つくるとい

う考え方でいいのですか。

○事務局

運営委員会も開催するのですが、事例検討については、今回は事例が少ないので挙げてい

ないのですが、この権利擁護支援システム推進委員会で事例を提示させていただきたいと考

えています。

○委員

どのように協議を進めて提言を重ねていくかとか、一方では条例化の問題がありますので、

それは障害福祉推進計画策定委員会でするのですが、それにしても平成 32 年度に条例化する

という条例協議の問題もありますので、その中である部分だけを差別解消支援地域協議会で

すればいいということだと思うのです。

その話の一方で、策定委員会や地域自立支援協議会での協議もありますし、それぞれの協

議母体の関連性や、機能的に協議を進めていく部会や運営委員会のスケジュール等、そして、

先ほど出ていた成年後見制度利用促進法絡みの構築問題もあるので、そのあたりをすべて権

利擁護支援システム推進委員会でも文句はないのですが、スケジュール感や構築推進展望み

たいなものを委員長はどのようにお考えですか。

○委員長

私は滋賀県の計画の委員長をしているのですが、滋賀県では、計画の委員会とは全く別個

に差別解消支援地域協議会を持たれたのです。しかし、ほとんど機能していなかったのです

が、それは、将来条例ができるだろうし、条例ができたら差別解消支援地域協議会の役割は

根本的に変わるだろうから、つくれと言われたから一応つくったわけです。

条例ができると、条例に基づいて、あっせんの機能や、専門相談員の研修、専門相談員の

バックアップなど、いろいろな機能を付与されまして、それによって体制が変わりますので、

基本的に滋賀県では、条例の検討委員会でいろいろと仕組みが変わり、地域協議会は来年度

に根本的に変わることになります。これは西宮市でも恐らく同じだと思います。ここで熱を

入れても、条例ができたら条例に基づいて役割がかなり変わります。その役割か変わる条例

に関する検討は、ここではなく、計画策定委員会がされます。

市としても、これに関しては権利擁護支援システム推進委員会との関係もあるし、自立支

援協議会との関係などいろいろなことがありますし、しかも、権利擁護と深く関係しますの

で、今後、計画策定委員会に副委員長をはじめ何人かの委員を補強していただいて、これに

ついてちゃんと議論できる体制を組んでいただきたいと検討してもらっているところです。

そのあたりを含めてご説明いただけますか。

- 22 -

○事務局

今後、主に策定委員会で条例の内容の審議をしていただこうと思っています。本日の地域

協議会については、先ほど申し上げたように、あっせんや罰則規定などの仕組みも他市では

条例に記載されていますので、そのあたりについてご意見を主にいただければなと考えてい

ます。策定委員会と地域協議会が連携し合いながら条例をつくっていけたらと考えています。

○委員長

私も初めはこの2つの関係がよく分からなかったのです。よく聞くと、西宮の条例の中に

はどういう委員を入れることができるかという細かい規定があるらしくて、権利擁護支援シ

ステム推進委員会の規定ではどうでしたか。

○事務局

外部委員を委嘱することはできないとなっています。一方、障害福祉推進計画策定委員会

においては、障害福祉に関係のある方を呼べるという規定になっていますので、そちらのほ

うが全体のことを考えるときに柔軟に対応できるかなと考えまして、そのようにしています。

○委員長

つまり、差別を受ける側だけではなく、差別をする側と言うとややこしいのですが、事業

者や交通機関、医療などいろいろな関係の方を差別解消の条例をつくるときにはお呼びしな

ければなりません。そのときに、この委員会では呼べなくて、計画策定委員会のほうでは条

例で呼べることになっているらしいのです。そこでいろいろな関係の方に入っていただいて

大きな仕組みをつくってもらって、大きな仕組みのうちのある部分はここでお願いする。条

例の関係でそういうすみ分けをしなければいけないので、そうさせていただくという理解で

よろしいですね。

○事務局

はい、そうです。ありがとうございます。

○委員長

恐らく地域協議会でも、差別に関する条例ができて、条例の関係で、例えば相談支援専門

員をどこに置いて、どこが相談を受けるかとか、相談支援の専門の方ではうまくいかない場

合はどこであっせんするかとか、あっせんするときにどういうメンバーを入れるかによって、

権利擁護支援システム推進委員会のメンバーではカバーし切れない場合が出てきます。そこ

でプラスアルファの委員を入れることがもし難しければ、差別解消の条例も含めた大きな条

例の改正をお願いせざるを得ないとも思ったりしていまして、いろいろな仕組みをそのとき

に変えていくと。

○委員

仕組みづくりに関する意見聴取ですが、仕組みをつくる中でどういうアイテムがあるのか

も把握していなくて、ここに出ているあっせんや合理的配慮がどうとかいう項目がアイテム

- 23 -

の全てなのですか。それとも、もっといろいろなアイテムがあって、どれを盛り込むべきか、

どれを盛り込まないべきかみたいな話になるのかが見えてこないのです。

○委員長

資料№5の2ページに「他自治体の条例について」というところでは簡単にしか触れてい

ないのですが、私が関わっているところで言えば、差別解消に関する専門相談支援員を養成

して、その方々が第三者として間に立って相談を聞かれたら、問題の9割は解決するのです。

そこを書いていないのですが、実は一番大きいのは、その仕組みをどうするかなのです。そ

このところを市が自分でされるのか、相談支援のところに回すのか、権利擁護支援センター

がするかを含めて、そこが実は一番大きなところです。

ただ、そうしても実際に解決しない事例は1割ぐらい出てきます。そのうちの半分は、合

理的配慮をお願いしても、事業者にとって金銭的に非常に負担が大きい場合があります。

この場合は、3ページの(4)にあるように、合理的配慮を助成する事業が一定機能すれば、

つまりお金を提供すれば解決します。あとの残りは、かなり専門的なプロフェッショナルな

方に入っていただいて、両者の間を調整しながらあっせん案を出せるレベルの仕組みをつく

らなければいけません。それをどういうメンバーでどのようにあっせんしていただくかとい

う仕組みです。全体が見えにくい図ですので、そういう全体のことを条例の決定のところで

していただこうと思っているところです。

○委員

少し見えたような気がします。

○副委員長

今のアイテムという部分で言うと、市だけではなく、例えば県がやっている相談機関を紹

介することもあるかもしれないし、和歌山のように、弁護士会がADRであっせんを受けら

れるようにする仕組みをつくっているところがあります。兵庫県とは少し話をしているので

すが、できればそういうものを使うことを盛り込む場合もあるでしょうし、そういう形なの

かなという感じです。

教えてほしいのですが、長岡京市の条例の特徴として「あらゆる場面での合理的配慮につ

いて規定している」というのは、意思表明がない場合でも合理的配慮の提供をするという形

になっているのですか。

○事務局

長岡京市の条例では、合理的配慮を提供しなさいというよりは、例えば教育場面では配慮

しなさいであるとか、就労の場面であるとか、いろいろな場面で配慮すべき場面があるとい

ったことを一つ一つ条例に位置付けているところです。それを「こうすることが義務だ」と

いうところまで書いているかというと、そこまでではないのかなという印象があります。

○副委員長

これは難しいところで、意思の表明ができない人はどうするかは抜きにしても、合理的配

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慮自体は、気を使って対応しなさいということではなく、本人が何を望んでいるのかをきち

んと聴いて、どう折り合いをつけるかが大事なところで、先回りしてやるのがいいという話

では多分ないと思うのです。ですから、「あらゆる場面で合理的配慮」というのは、どうい

う場面でも本人が望んでいることに対応できるような体制をとりなさいということなら分か

るのですが、先回りしろという話になると少し違うなと思ったのです。

○事務局

「あらゆる場面」という書き方ですが、長岡京市の条例では、教育に関する場面での合理

的配慮とか、いろいろな場面で細かく書かれているので、それをとらえて「あらゆる場面」

と書いていますので、副委員長のおっしゃる意味とは違う意味で書かせていただいています。

○委員

「公表」と書いてありまして、これは絶対に入れて欲しいなと思うのですが、公表の仕方

については個々に影響してくるものですので、そこのところもよく検討してから規定に盛り

込んでいただいたほうがいいかなと思います。

○委員長

おっしゃるとおりで、公表する前には、再度あっせん案を示して、担当者に来ていただい

て、かなり細かくきっちりする仕組みにするつもりではあります。

ほかの委員はよろしいでしょうか。

〔発言者なし〕

○委員長

それでは、その他の項目の連絡事項について、事務局からお願いします。

○事務局

次回の委員会ですが、先ほどスケジュールのところで触れましたように、次回は2月頃を

予定しています。まだ日程は決まっていませんので、決まり次第、ご連絡させていただきま

す。

連絡事項は以上です。

○委員長

それでは、副委員長、簡単にまとめをお願いします。

○副委員長

本日は議論することがいろいろと多くて、大きく動いていこうとしている中で、権利擁護

支援システム推進委員会の役割は非常に大きなものになると思います。そういう意味ではこ

れからが大事になってくるのですが、障害の虐待への対応についてはここで何度も言ってい

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て、それができないとここが機能していないことになってしまうので、そこはお願いという

か、お願いどころではないのですが、なんとか早く適正な運用がなされるように、まずはそ

こからしていただきたいと思います。新しいことをやるよりも、既存のやるべきことをきち

んとやっていかなければいけないのかなと思います。これからもよろしくお願いします。

○委員長

最後に、事務局から一言お願いします。

○事務局

長時間にわたり、貴重なご意見、たくさんのご意見をありがとうございました。特に議題

(3)成年後見制度利用促進計画について、委員長から何回も念押しがありました。市として

は、後見だけではなく、意思決定支援や虐待予防等も含めた西宮市らしい計画を考えていき

たいと思っていますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。本日はありがとうござい

ました。

○委員長

これをもって委員会を閉会します。

【午後4時2分閉会】