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日本の企業文化特性を生かした 中堅企業グローバル化の促進について 高橋

日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

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Page 1: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

日本の企業文化特性を生かした 中堅企業グローバル化の促進について

高橋 浩

Page 2: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

目次

•中堅企業に注目する背景

•分析の枠組みと事例分析/評価

•中堅企業のグローバル化促進に向けて

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日本イノベーションシステムの特性 • 大企業中心。研究開発に集中投資し、現在でも研究開発投資では世界第2位を維持。しかし、変化のスピードには対応できていない。

• 原因は大企業の自前主義、本社至上主義等による制約との指摘は以前から。それにも拘わらず修正できない。

• 自前主義、本社至上主義などは日本の企業文化に深く根差し簡単には修正できない。

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中堅企業に注目する背景

Page 4: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

日本企業の資本主義分類における位置

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リベラル市場経済 (LME: Liberalized Market Economies)

コーディネート市場経済 (CME: Coordinated Market Economies)

米国、英国、オーストラリア、など

ドイツ、スウェーデン、日本、など

市場機能>非市場機能 非市場機能>市場機能

短期的労使契約 長期的労使契約

短期的利益を追求する資本 辛抱強い資本

組織の柔軟性 関係特殊性

関係性が弱いダイナミックなネットワークを構成

関係性が強い安定的なネットワークを構成

技術革新が速く将来の不確実性が高い急進的イノベーションに優位

明確な目標に向かって着実に技術革新を進める漸進的イノベーションに優位

Page 5: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

中堅・中小企業のビジネス環境

• そうこうしている間に、大量生産形態の下請け企業は国内では成り立たない経済環境に!

• 中堅・中小企業は新たな変化への適応を余儀なくされている!

–ニッチ市場に迅速対応可能な企業へ

–主体的な企業経営者の力量発揮へ

• 従来とは異なる変化対応の切り口を発見し、そこから新たな実践を試みるべき時期に来ている!

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中堅企業分析に向けて • 日本に極めて優秀な中堅企業が存在することは多くの報告が指摘している。 – 細谷裕二,「グローバル・ニッチトップ企業」,白桃書房,2014

– 元橋一之,「日はまた高く 産業競争力の再生」,日経新聞出版,2014

– 稲垣京輔,「中小製造業経営者にみる協働組織の形成と協働関係を構築する能力に関する研究」, RIETI 13-J-021,2013

– 他、多数

• 中堅企業は、経営資源不足を克服するため、外部連携やオープンイノベーションを積極推進し新たな環境に適合するのが生命線

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Page 7: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

中堅企業に着目する理由 新ビジネス環境適応には次のような取組みが重要

1. 企業組織変化の理解・適応が根本的に重要、

2. ユーザーが変化に関する重要な源…*1

• 先進中堅企業は新組織構造を実現し、新ビジネス環境に適合した組織ルーチンを蓄積させているのでは? – 新たな顧客や受託先を探さねばならない。

– 自前で幅広い展開をして行かねばならない。

– 経営資源不足を補完するため、「外部連携」に積極的に取組んで行かねばならない・・日本型オープンイノベーションの可能性!

7 *1:Bernd W. Wirtz, Oliver Schilke and Sebastian Ullrich, “Strategic Development of Business Models -Implications of the Web 2.0 for Creating Value on the Internet-”, Long Range Planning 43 (2010) 272-290

Page 8: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

着眼点

• 組織構造

–日本の企業文化特性に相性が良く….

–新ニーズに的確に対応可能な….

• 組織ルーチン

–既存組織ルーチンの延長線上にあり….

–多様な可能性を促進できるような….

• 日本型オープンイノベーション

–促進に向けての基本パス….

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Page 9: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

組織化を可視化する組織境界の“透過性”の概念

• 透過的垂直アーキテクチャ:企業のバリューチェーンに沿って、市場に部分的に統合され

、部分的に開放されている状態。

• 透過性の増大は、資源と能力の活用をより高め、より良い市場ニーズとのマッチングを進め、効率を改善できる。

• 部分的統合は、よりダイナミックで、オープンなイノベーションを促進させ戦略的機能を強化できる。

9 Michael G. Jacobides, Stephan Billinger, “Designing the Boundaries of the Firm: From “Make, Buy, or Ally” to the Dynamic Benefits of Vertical Architecture”, Organization Science, Vol. 17, No. 2, March–April 2006, pp. 249–261

M.G.Jacobides LSE教授

分析の枠組みA:組織境界の透過性

分析の枠組みと事例分析/評価

Page 10: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

垂直アーキテクチャの組織面への影響要因 能力、資源、取引コスト

垂直アーキテクチャ 全体的企業スコープ、垂直透過性の性質、垂直的部門間リンク

運用効率性と有効性 戦略能力とイノベーション 成長と資源配分の動力学

ベンチマーク、モニタリング・インセンティブによる効率性

能力や資源活用、差別能力のマッチングを通した効率性

部分統合

による能力開発とシステミック適応をサポートする行動

オープンイノベーションを促進するための市場の部分利用

分割された関係やインセンティブ構造改善のための透明性

資源のより効果的な活用と最も有望な部門への移動

垂直アーキテクチャの動的メリット

企業境界の組織内と戦略の論理

マクロレベルのメリット

ミクロレベルのメリット

M. G. Jacobides, S. Billinger, “Designing the Boundaries of the Firm: From “Make, Buy, or Ally” to the Dynamic Benefits of Vertical Architecture”, OrganizationScience, Vol. 17, No. 2, March–April 2006, pp. 249–261

① ② ③ ④ ⑤ ⑥

Page 11: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

定義:雇用関係に基づいた権威によっては拘束されないが、目標によって特徴づけられた、企業または個人のネットワークから構成される組織

メタ組織拡大の機構

• 顧客はより多くの情報とより多くの選択肢を保有

• これが顧客ニーズへの俊敏な対応を拡大

• このビジネス環境では、内部コストがしばしば外部取引コストを超過

• 自前の事業単位より、より応答性の良い外部パートナーを探索

R. Gulati Harvard Business School 教授

分析の枠組みB:「メタ組織デザイン」

Gulati R., Puranam P., Tushman M., “Meta-organization Design: Rethinking Design in Interorganizational and Community Contexts”, Strategic Management journal, 33, pp.571-586, 2012.

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低い成層度 非階層的な意思決定

高い成層度 階層的な意思決定

閉鎖的な組織境界

(クローズド・メンバーシップ)

クローズド・コミュニティ: 下請け企業、 技術的標準機関

拡張エンタープライズ: サプライヤー・ネットワーク、 フランチャイズ・ネットワーク

開放的な組織境界 (オープン・メンバーシップ)

オープン・コミュニティ: Wikipedia, オープンソース

マネージド・エコシステム: Android OS

メタ組織デザインの2軸

組織境界の透過性

低い

高い

意思決定の成層度

低い 高い

(a) (b)

(c) (d)

検討の方向性

Gulati R., Puranam P., Tushman M., “Meta-organization Design: Rethinking Design in Interorganizational and Community Contexts”, Strategic Management journal, 33, pp.571-586, 2012.

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一般(平均) 先端(リード)・特殊

企業 消費者 企業 消費者

ミクロ・レベル

事業部

自社

エコシステム

マクロ・レベル

事業部

自社

エコシステム

日本の大企業の領域

日本の中堅企業の領域

中堅企業領域 大企業領域

大企業と中堅企業連携領域

着目領域特定のための図式

顧客(起点)イノベーション・レベル

オープンイノベーション・レベル

(組織境界の透過性)

低い

高い

分析の枠組A

分析の枠組B

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分析の方法

• Step1:注目中堅企業(先端・特殊顧客ニーズ×オープンイノベーション(マクロレベル)×自社)の組織ルーチン抽出

• Step2:中堅企業を中心とするコミュニティも評価

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企業名 運用効率性と有効性 戦略能力とイノベーション 成長と資源配分の動力学

① ② ③ ④ ⑤ ⑥

A社

B社

C社

分析の枠組みA

分析の枠組みB

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日本の“GNT/中堅”企業 企業名 業種 本社 売上高 創業

キャステム 精密部品成形加工 福山市 45億円/200名 1970

インテリジェントセンサーテクノロジー 味覚センサー 厚木市 未公開/26名 2002

日本ミクロコーティング(Mipox) 磁気記録デバイス研磨 立川市 38億円/未公開 1925

東成エレクトロビーム 電子ビーム/レーザー加工 瑞穂町 未公開/80名 1977

野呂英作 多色混合毛糸 一宮市 未公開 1973

日本分析工業 分取液体クロマトグラフィー 瑞穂町 未公開 1965

電子制御国際 コイル試験機 羽村市 未公開/42名 1968

メトロール 旋盤用刃先位置決めセンサー 立川市 未公開/118名 1976

東洋ボディー 中小型トラック据付荷台 武蔵村山市 未公開/97名 1952

シギヤ精機製作所 円筒研削盤 福山市 72億円/277名 1911

タカコ 精密油圧ポンプ 京都精華町 単独65億円

/1248名(海外含) 1973

新日本テック 超精密金型製造 大阪鶴見区 未公開/75名 1954

細谷裕二「グローバル・ニッチトップ企業論」白桃書房(2014)で調査した「優れたNT型企業」40社中、インタビュー記事が充実している12社

事例分析の企業リスト

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企業名

運用効率性と有効性 戦略能力とイノベーション 成長と資源配分の動力学

①インセンティブによる効率性

②マッチングを通した効率性

③部分統合とシステミック適応

④オープンイノベーション促進策

⑤インセンティブ構造改変策

⑥資源利用向け部門移動

キャステム 開発成功時は安価納入を前提に開発費半額顧客負担受注も

米国企業特許に抵触しない独自製法開発。しかし、米国企業圧力で大口顧客失う。そこで、小ロット顧客を急激に開拓し、加工対象拡大

インテリジェントセンサーテクノロジー

利用サードの別会社を作成。そのデータも踏まえてリードユーザーイノベーションを誘発

日本ミクロコーティング

ニーズを持つメーカーと密接に関わり逸早く製品開発しトップ継続

東成エレクトロビーム

米欧日民間航空機用国際認証プログラムNadcapなど国際資格逸早く取得

中小企業同士が対等の立場でもっと協力/連携

し合い集まれれば大きな力になると認識

世界最新加工機1号機を導入。

その装置で完成品メーカーの試作品加工を請け負うビジネスモデル

電子ビーム/レーザー加工

垂直アーキテクチャ・ダイアグラムに基づく中堅企業組織ルーチンの抽出

鋳造による精密部品成形加工

味覚センサー

磁気記録デバイス研磨

Step.1

:step2評価会社

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企業名

運用効率性と有効性 戦略能力とイノベーション 成長と資源配分の動力学

①インセンティブによる効率性

②マッチングを通した効率性

③部分統合とシステミック適応

④オープンイノベーション促進策

⑤インセンティブ構造改変策

⑥資源利用向け部門移動

野呂英作 代理店各国一社。国内製造に限定

手間コストが掛かり他企業が手を出さない分野へ

日本分析工業

大手が手掛けないニッチ市場目指す

用途を絞った専用機に特化

電子制御国際

実施義務無し試験機(コイル試験)を不可欠検査に

特許は存在せず模倣可能だが市場小で旨味無

メトロール 工作機械に標準採用され世界トップシェアに

工作機械向に加えB2Bインターネット販売で世界へ

トヨタとの共同開発ノウハウを工作機械分野他へ

東洋ボディー

顧客要望に応じた多品種生産を垂直統合的に

伊藤園他大手ベンディングカーボディを全量直接取引

シギヤ精機製作所

工作機械中でも円筒研削盤に特化

タカコ 原理が公知で特許が取れないので工法のノウハウと絶えざる工法改善で対処

全てを投げ出して新型ポンフ開発゚に没頭。現在、民生用で世界シェア75%

新日本テック

中小企業同士の連携

大企業自身ニーズを提示できなくなり丸投げしてくるのに対応し、自立的にソリューションを提案

多色混合毛糸

分取液体クロマトグラフィー

コイル試験機

旋盤用刃先位置決めセンサー

中小型トラック据付荷台

円筒研削盤

超精密金型製造

精密油圧ポンプ

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企業名

(コミュニティ名)

運用効率性と有効性 戦略能力とイノベーション

成長と資源配分の動力学

コミュニティ ①インセンティブによる効率性

②マッチングを通した効率性

③部分統合とシステミック適応

④オープンイノベーション促進策

⑤インセンティブ構造改変策

⑥資源利用向け部門移動

ゼネラルプロダクション(タカコ主導)

世界から高度加工技術を必要とする部品量産を受注。東大阪地区中小企業に発注

日本の特殊鋼関連技術力は高く、日系海外進出企業や現地地場企業でも調達不可との認識

共同受発注会社

ファイブテックネット(東

成エレクトロビーム主導)

電子ビーム/レー

ザー加工に、チタン材、ダイヤモンド材加工、超精密切削加工、セラミック材加工を合体

共通カタログ作成、メディア広報、展示会共同出展などに加え5社

間で株式持ち合いまで

各社それぞれのユーザーニーズを持ち寄り共同で新製品開発。場合によって量産は共同出資新会社設立で

広域強者連合

(地域と得意加工サービスを異にする5社から構成)

大阪ケイオス(新日本テック主導)

情報の発信の仕方なども管理し協働運用

人材育成に観点を当てた経営者密着のインターンシップ事業推進

中小企業経営の共通課題克服のための戦略的協働関係樹立

各社がニーズを持ち寄って新製品開発。ニーズ持込み企業は「主幹企業」として責任も負う

加工サービス提供の企業集合による新製品開発

稲垣京輔,「中小製造業経営者にみる協働組織の形成と協働関係を構築する能力に関する研究」に基づく

垂直アーキテクチャ・ダイアグラムに基づく中堅企業主導コミュニティの評価

(a)型

(b)型

(a→c)型

Step.2

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評価

• 分析の枠組みAによる結果

–①~⑥の多様な組織ルーチンが存在

–先進企業においてはより高レベル(⑥側)の組織ルーチンが積みあがっている。

• 分析の枠組みBによる結果

– 「メタ組織」で多様な形態が存在

–先進事例は「下請け」脱却から多様なステータスにステップアップしている。

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中堅企業変化の経緯

資源配分を変えている例もあるがオンリーワン技術依存で分野はかなり限定されている

地域中小企業群受注、活性化の受け皿などになっている

下請け 独立化 外部連携 顧客ニーズ探索能力向上

大手メーカー・グローバル化

外部変化

中堅企業の自主的変化

市場向け情報発信 産産連携 産学連携

大企業が果たしていたハブ機能を一部代替

統合力を確保

全企業 多くの企業 コミュニティ主導企業など

客観性のあるベンチマーク (標準認定、標準化等)

自前技術を生かした初期製品開発。高評価の延長での後続製品開発時にユーザー企業などと連携強化

有力中堅企業経営者のイニシアティブで多様な組織形態のコミュニティ(企業連合orプラットフォーム)が登場

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日本の中堅企業の現状

• 下請性が低く独立性が高い。

• 初期製品は自前開発が多いが、第二、第三の製品開発では、海外を含む大手ユーザーからのニーズで開発している傾向が認められる。

• ユーザーおよび関連企業との有機的ネットワークを構築し、一層拡大させている。

• 内部資源不足を外部資源活用で補う積極的取組みを実施している。

• 企業経営者自らが中心課題に関与し、強いリーダーシップを発揮している。

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下請けからの脱却

外部連携

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ドイツの“隠れたチャンピオン”の戦略

主戦略 市場を意識的に狭く定義⇒絞った市場をグローバル化で拡大【“フォーカス&グローバル”戦略】

目標と成果

成長指向の高い目標設定と積極経営⇒選択市場への執拗な拘り【最近10年10%成長。10年間で2.5倍】

イノベーション

技術と市場をバランス良く統合⇒大企業を上回るイノベーション実現【一人当たり特許保有大企業の5倍以上。特許あたりコスト大企業の5分の1】

組織構成戦略

顧客との近さを技術以上に重視⇒顧客コンタクト従業員比率を拡大【従業員の25~50%顧客コンタクト対応(大企業は平均して5~10%)】

従業員モラル

独自職業訓練システムと有能な従業員⇒高い忠誠心と低い離職率【離職率年2.7%(ドイツ平均7.3%)】

中堅企業のグローバル化促進に向けて

Hermann Simon, “Hidden Champions (1): what German companies can teach you about innovation”

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日本とドイツの相違は“新しいニーズ収集とソリューション提供の段階の相違” 1. トップクラスの顧客から「課題、難題」が潜在ニーズとして持ち込まれる。

2. 世界トップ顧客の潜在ニーズを「嗅ぎ取り」、他のトップ企業で確認。挑戦目標を立てる。

3. トップクラス企業へのソリューション/新技術を提案。次世代製品に搭載し世界に訴求。世界デファクトスタンダードに影響力を行使する(標準化への発信力)。

挑戦的目標とリーダーシップ

高度に有能な従業員

顧客への近さ

焦点の絞り込み グローバル指向

競争優位

下請けからの脱却

外部連携

日本のGNT/中堅企業

ドイツの“隠れたチャンピオン”との比較

日本は1.レベルの段階か?

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ドイツの“隠れたチャンピオン”の強み ビジネスサービス重視!

製品品質

アドバイス

顧客との密接さ

経済性 定刻の配送

サービス

システム統合性 配送の柔軟性 価格

ドイツ製 特許

流通

広告

ベンダーとの協力

競争パフォーマンス

重要性

ドイツの

“隠れたチャンピオン”

製品専門化 顧客「ニッチ」市場 商品サービス

通常の 多国籍企業

生産ネットワーク ボリューム市場 新製品

ハーマン・サイモン,「グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業」より

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日本のビジネス環境

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供給者1

供給者2

焦点企業

補完者1/ 供給者3

補完者2/ 供給者4

顧客企業1/ 顧客企業2

顧客企業n

補完者X2/ 供給者Y2

補完者X1/ 供給者Y1

• システミック・イノベーションでドラスティック変革を狙うだけでなく、わずかな差の連続からの変革への挑戦が必要!

• 多様な検討対象が存在すると考えられるが、充分取り組まれているとは言えない。積極的発掘が必要!

持続的イノベーション連鎖が深く強い

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挑戦的目標とリーダーシップ

高度に有能な従業員

顧客への近さ

焦点の絞り込み

グローバル指向

競争優位

下請けからの脱却

外部連携

コアのレベルアップ

戦略の重層化と基盤整備

日本の中堅企業グローバル化に向けた方向性

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中堅企業のグローバル化促進のパス マーケット指向

技術指向

ミクロレベルのメリット

マクロレベルのメリット

組織境界の透過性 大 小

下請けだった企業が独立を決意→オンリーワン技術指向で成就

不足経営資源をカバーするため産学連携他に挑戦(オープンイノベーションを包含)

グローバルな顧客ニーズを察知し思い切って資源を集中

グローバル展開をわずかな差の連続変革として実施

分析の枠組みA,B縦軸

分析の枠組みB横軸

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ドイツの“隠れたチャンピオン”の例

観賞魚用飼料

災害で被災した機器、設備復旧サービス (ディザスターリカバリー)

世界最大級のリチウム生産企業

医学理科学教材

犬のリード

ホビー

教育

電子機器用特殊接着剤

製薬業界向け包装システム 高圧水洗浄剤

マイクロ電子機器組立システム

製造業関係

サービス

資源

商用食器洗浄システム

ショッピングカート 空港手荷物カート

風力発電システム

各種システム

シガレット製造機

グミのお菓子

食品産業

Page 29: 日本の企業文化特性を生かした中堅企業グローバル化の促進について  

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ドイツ 日本

自動車 鉄鋼 化学 機械 カメラ

フォルクスワーゲン BMW ティッセンクルップ BASF シーメンス ライカ

トヨタ ホンダ JFEスチール 三菱化学 日立製作所 ニコン

ホビー 教育 製造業 資源 サービス 各種システム 食品産業

Tetra, flexi,… 3B,… DELO,Uhlmann,KARCHER, GROHMANN,… Chemetall,… BELFOR,… ENERCON,Winterhalter, Wanzl,HAUNI,… HARIBO,…

製造業である程度類似企業が存在(ハイテック寄り、規模小)

ドイツ 日本

住民百万人当たり“隠れたチャンピオン”企業数

16 1.7

ハーマン・サイモンの“隠れたチャンピオン”の定義: ①世界市場で業種上位3位以内orその企業が位置している大陸でトップ +②売上高が50億ドル未満 +③一般にほとんど無名

日本とドイツの大企業/中堅企業比較

大企業

中堅企業

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中堅企業のグローバル競争力向上:まとめ

日本の中小企業の多くは、隠れたグローバル・チャンピオン企業になる社内的な能力と技術力を持ちあわせている。

しかし、ドイツの隠れたチャンピオン企業のように、精力的、迅速にグローバル化を進めないため、潜在力を十分に活かせていない。

部分的には日本文化に根ざしている。言語も含め、①外国に対する消極性、②大企業への依存性、③起業家でなく従業員として働くことを好む傾向、などに起因している。

海外進出への圧倒的貪欲さを身に付け、隠れたチャンピオン企業キャッチアップ戦略が有効である。

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参考文献 • Bernd W. Wirtz, Oliver Schilke and Sebastian Ullrich, “Strategic Development of Business

Models -Implications of the Web 2.0 for Creating Value on the Internet-”, Long Range Planning 43 (2010) 272-290.

• Hall & Soskice, “An Introduction to Varieties of Capitalism”, http://www.cerium.ca/IMG/pdf/HALL-_A_Peter_and_SOSKICE_David-_An_introduction_to_varieties_of_capitalism-2.pdf.

• Michael G. Jacobides, Stephan Billinger, “Designing the Boundaries of the Firm: From “Make, Buy, or Ally” to the Dynamic Benefits of Vertical Architecture”, Organization Science, Vol. 17, No. 2, March–April 2006, pp. 249–261.

• Gulati R., Puranam P., Tushman M., “Meta-organization Design: Rethinking Design in Interorganizational and Community Contexts”, Strategic Management journal, 33, pp.571-586, 2012.

• 細谷裕二,「グローバル・ニッチトップ企業」,白桃書房,2014.

• 細谷裕二, 「グローバル・ニッチトップ企業に代表される優れたものづくり中小・中堅企業の研究-日本のものづくりニッチトップ企業に関するアンケート調査結果を中心に- 」, RIETI Discussion Paper Series 13-J-007, 2013.

• 元橋一之,「日はまた高く 産業競争力の再生」,日経新聞出版,2014.

• 稲垣京輔,「中小製造業経営者にみる協働組織の形成と協働関係を構築する能力に関する研究」, RIETI Discussion Paper Series 13-J-021, 2013.

• ハーマン・サイモン,「Hidden Champions of the 21st Century(グローバルビジネスの隠れたチャンピオン企業)」,中央経済社,2012.

• Hermann Simon, “Hidden Champions (1): what German companies can teach you about innovation”,http://www.whiteboardmag.com/hidden-champions-1-what-german-companies-can-teach-you-about-innovation/

• Hermann Simon, “ Hidden Champions (2): why do these hidden, global, innovative, extremely profitable companies thrive?”, http://www.whiteboardmag.com/hidden-champions-2-why-do-these-hidden-global-innovative-extremely-profitable-companies-thrive/ 31