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環境経済学 2016年度 九州大学 経済学部 専門科目 201712027九州大学大学院 経済学研究院 藤田敏之

環境経済学 - econ.kyushu-u.ac.jptfujita/envecon170120.pdf · Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007 8.2 国際的な取組み(1) 地球温暖化対策には国際協力が不可欠であり,1980年代から多数の国際

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環境経済学

2016年度 九州大学 経済学部 専門科目

2017年1月20,27日

九州大学大学院 経済学研究院

藤田敏之

Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

8 地球温暖化問題

8.1 地球温暖化

地球温暖化・・・温室効果ガス(GHG)の濃度上昇によって地球の放射する赤外線の吸収が増加し,気温が上昇する現象

気温上昇そのものよりも,それにともなう気候変動およびその影響,つまり海面上昇や異常気象,生態系の混乱などが懸念される

20世紀の間に気温は0.4~0.8℃上昇した.さらに第5次IPCC報告書(2014)によると, 21世紀末には平均気温は20世紀末水準よりも0.3~4.8℃上昇すると予測されている

地球温暖化問題の特徴

越境性・・・世界全体の問題であり,南北問題がからむ

長期性・・・被害のリスクを負うのは将来世代

不確実性・・・温暖化のメカニズムや被害の程度がはっきりしない

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

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気候変動の将来予測

出典:環境省(2014)『IPCC第5次評価報告書の概要』p.37

https://www.env.go.jp/earth/ipcc/5th/pdf/ar5_wg1_overview_presentation.pdf

Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

(参考)IPCC4次評価報告書での気候変動の将来予測

出典:気象庁(2007)『IPCC第4次評価報告書統合報告書政策決定者向け要約』p.7

http://www.env.go.jp/earth/ipcc/4th/syr_spm.pdf

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

世界のCO2排出量(2013年)

出典:日本エネルギー経済研究所(2016)『エネルギー・経済統計要覧』 http://www.jccca.org/chart/chart03_01.html

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

主要国の1人当たりCO2排出量(2013年)

出典:日本エネルギー経済研究所(2016)『エネルギー・経済統計要覧』 http://www.jccca.org/chart/chart03_02.html

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

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(参考)世界のCO2排出量(2005年)

出典:日本エネルギー経済研究所(2008)『エネルギー・経済統計要覧』

Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

出典:環境省(2014)『2012年度(H24年度)の温室効果ガス排出量(確定値)について』 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/ghg/2012.pdf

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CO2部門別排出量の推移

Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

8.2 国際的な取組み(1)

地球温暖化対策には国際協力が不可欠であり,1980年代から多数の国際会議が開催されている

1985年 フィラハ会議

1988年 IPCC設立,トロント会議

1990年 フィンランドで炭素税導入 → 現在8ヶ国で導入

1992年 国連環境開発会議(リオ・サミット) → 気候変動枠組条約

1997年 第3回締約国会議(COP3, 京都会議) → 京都議定書採択

2001年 米国が京都議定書を離脱

2005年 京都議定書発効,京都議定書締約国会合(MOP)始まる

2008-2012年 京都議定書第1次約束期間

2015年 パリ協定採択(2016年発効)

東日本大震災による原発停止により,日本は京都議定書の目標を達成するのが困難な状況と思われたが,京都メカニズム(国際排出量取引,JI,CDM)を最大限活用して達成した

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

出典:環境省(2014)『2012年度(H24年度)の温室効果ガス排出量(確定値) <概要>』 http://www.env.go.jp/press/files/jp/24374.pdf

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

8.2 国際的な取組み(2)

2015年のパリ協定では,京都議定書とは異なりすべての国がCO2削減

に取り組むことに合意しており,技術・資金援助や市場メカニズムの利用なども明記され,世界全体での気候変動緩和実現に向けて前進している

ただし各国の削減目標に関する約束草案(Intended Nationally

Determined Contributions: INDC)は自主的に提案されるものであり,遵守規定などは明記されていない

次頁に示すように,2015年に提出されたINDCは野心的なものであるが,これでも世界の長期目標(産業革命前からの気温上昇を2 ℃または1.5 ℃以内に抑える)の達成には不足しているようである.また基準年が統一されておらず,途上国のINDCには「GDPあたり」「BAU比」といった表現も多く,単純な比較が困難である

今後INDCは5年ごとに改訂・更新されていく予定であるが,具体的な各

国の削減目標設定や協定のエンフォースメントには困難が伴うことが予想される

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Kyushu University UI project Kyudai Taro,2007

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出典:環境省地球環境局(2015)『COP21の成果と今後』p.9

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/cop21_paris/paris_conv-c.pdf