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はじめに - jikkyo.co.jp(m〓nb<m+1だ から〓 〓b<〓 である.もし〓 〓aで ある とすると,b<〓+〓 よりb-a<〓 となり,〓 <nに 矛盾する.

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は じ め に

例解 シ リー ズの2冊 目をお届 けす る.

この 本で は微 分積 分の論理 的 な部 分 を主題 と した .数列 の収束 、関数 の連 続性 、積

分 な どの 厳密 な定 義 を与 え るこ とが 中心 にな って い る. これ らの厳 密 な定 義 は高校

で はほ とん どふれ られ て はい ない. た とえば 、〓〓=0と い う事実 やf(x)=x2

が 連続で あ るこ となどは 、高校 では 自明 の こと として い る.しか し、大 学で 数学 を学

ん で い くには 、これ らの 定義 を厳 密 に与 えねば 、その 後 の議論 を発展 させ て い くこ

とがで きな い. と ころが この 厳密 な定 義 とい うのが 、論 理的 な思 考 を必 要 とす るた

め 、しば しば 、大学 で数 学 を学ん で い く過程 で 、 大 きな障害 となって い る.

この 障害 を除 くため に 、この テキ ス トで は 、 これ らの定義 につ いて 、た くさん の

例 題 を与 え 、そ の解 法 をて いね い に説 明す る こ とで 、そ の意 味 を じっ くり考え る こ

とが 出来 る ように配慮 した. 定義 は 最初 は記 号の羅列 で あ る としか 見 えな いか もし

れ ない. しか し 、例 題など を通 してその 意味 を じっ くり考 えれば 、それ ほど難 しい定

義で はな い とわか るはず であ る. さらに 、意味 を考 えて 、そ のあ とに付 いてい る問題

を解 い てみれ ば 、その 理解 を深め るこ とが 出 来 るはずで あ る.

このテ キ ス トで は 、 まず 定義が あ る .定義 は これか ら使 う数学 用語 や記 写など を

説 明す る もの であ る. よ く読 んで それ らの用 語 や記号 をしっか り理 解 し よう.次 に 、

例題 の解 法は じっ くり読 んで 、なぜ 、こ うい う解 き方 をす るのか を 、よ く考 えてほ し

い 。そ うすれ ば 、そ れに続 く問題 はど の よ うに解 けば よいのか は 、おのず とわ か るは

ず であ る。例題 の 解法 の意 味 を よ くよ く考 え る こ とが 、この テキ ス トを使 い こなす

た めの キ ーポ イン トで あ る こ とを 強調 してお きたい 。

な お 、例 題 の解 法 は 、しつ こい くらいに文 章 をつ け てあ る。 これ は 、数 学 の解 答

とい うものは 、式 を な らべ れば よい 、 とい う広 く流布 して い る誤 解 を解 きた いた め

で もあ る。式 をな らべ るだけで は な く、式 と式 の間 のつ なが りを ちゃん と説明 して 、

は じめ て意 味の わか る解 答 にな るのだ 、 とい うこ と も強 調 してお きた い。

と もか くも、この テキ ス トが 、皆 さんの 考え る数学へ の導入 となる ことを切に 願っ

てい る。

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目 次

第1章 実数 の連続性3

1.110進 小 数展 開3

1.2上 限 と下限14

第2章 数 列23

2.1数 列の収束の定義 と性 質23

2.2数 列が 収束するための1つ の条件30

2.3コ ーシーの判定条件37

第3章 連 続 関 数45

3.1関 数の収 束45

3.2連 続 関 数57

3.3中 間値 の定理 と逆関数64

第4章 微 分 と積分75

4.1微 分の定義75

4.2平 均値の定理91

4.3積 分94

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第5章 級 数107

5.1級 数の定義 と性質107

5.2関 数列 と関数項級数128

5.3べ き 級 数140

5.4指 数関数 と対数関数149

第6章 フー リェ級数155

6.1フ ー リェ級 数の定義155

6.2フ ー リェ級 数の収束161

6.3フ ー リェ展 開167

6.4フ ー リェ展 開の例178

問題 の解答187

1章187

2章188

3章188

4章189

5章190

6章192

索 引194

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第1章 実数の連続性

1.110進 小 数 展 開

数列の収束,および連続関数を定義 したい.しか し,そのためには,ま

ず実数 とは何か を明確 にしなければ ならない .そのために, 自然数,整

数 ,有理数について復習 しておこ う.

(1)自然数 :自然数 とは,個数 を表す数1,2,3,4,… である.自然数全体

の集合を記号Nで 表す.

(2)整数 :整数 とは,自然数 とゼ ロ0と 負の整数-1,-2,-3, … をあわ

せ た数であ る.整数全体 の集合 を記 号Zで 表す.

(3)有理数 :有理数 とは,分数で表 される数である.つ ま り,2つ の整数

m,n( ただ しn>0) に より〓 と表 され る数が有理数である.有 理

数全体の集合 を記号Qで 表す.

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これ らはわ りとわか りやすい定義であ る. しか し,実数を定義 しよ う

とする と,この よ うに簡単な定義 はない .そ こで,実 数は存在す ると仮

定 して,その性 質をしらべ ていこ う.実数全体 の集合 をRと 表す.

まず ,実数 と整数 との関係で大切 な公理を1つ あげ よう.

公理1.1( アルキ メデ スの公理 )

すべ ての実数に対 し,それ よ り大 きな整数が存在する.

一見,あた りまえの よ うだが ,これは証明で きない性 質で ある.

(実数xに 対 し,その整数部分 をnと すれ ば,n〓x<n+1だ か ら

n+1がxよ り大 きな整数だか ら証明で きる, と思 うが,次の例題で示

す ように,整数部分 を定義するためには ,アルキ メデ スの公理が必要 な

のである.)

例題1.1実 数xに 対 し,n〓x<n+1を 満たす整数nが ただ1つ 存

在 する.このnをxの 整数部分 といい,[x]と 表す.

証 明 :xを 正の実数 とす る (負 の実数の と きも同様 に証明で きるので ,

皆 さん,考 えてみて くだ さい).アルキ メデスの公理 よ り,x<Nを み

たす整数Nが ある.そ こで,0以 上N未 満の有 限個の整数の うちで,x

以下の ものの うち,最大の ものをnと すれば よい.

次 に実数 と有理数の関係 を1つ あげ よう.

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例題1.2任 意の2つ の実数a<bに 対 し,その間に有理数が存在す る.

証明 : アルキ メデ スの公理 よ り,〓 <nを みたす整数nが 存在す

る.m=[nb]と す る と ,〓 が 求 め る 有 理 数 で あ る .

(m〓nb<m+1だ か ら〓 〓b<〓 で あ る . も し〓 〓aで あ る

と す る と ,b<〓+〓 よ りb-a<〓 と な り,〓 <nに 矛 盾 す る .

し た が っ て ,a<〓 〓bで あ る . )

つ ま り,数直線のどんなにせ まい間に も有理数が存 在す る.この こと

を,QはRで 稠密であ るとい う.

以上の議論 をふ まえて,実数が10進 小数展開で きる ことを示す.

定義1.1実 数xを10進 小数展開する とは,

a0∈Z,anは0以 上9以 下の整数 (n=1,2,3, ……)

によってxを

x=a0・a1a2a3…an…=a0+〓+〓+〓+…+〓+…

の 形 に 表 す こ と で あ る .

まず , 有 理 数 を10進 小 数 展 開 し て み よ う.

例 題1.3次 の 分 数 を 小 数 に 表 せ .

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(1) (2) (3)

解 : それぞれ わ り算 をする と

である.(2)と (3)は丸印のあいだが繰 り返されるので循環小数となる.

し た が っ て (1)〓=0.625(2)〓=0.272727…=0.27

(3)〓=0.1243243243…=0.1243と な る.循 環 小 数 は , 循 環 す

る 部 分 を1つ だ け 書 き , そ の 上に 線 を 引 い て 表 す .

問 題1.1次 の 分 数 を 小 数 に 表 せ .

(1) (2) (3) (4) (5)

(6) 〓,〓,〓,〓,〓,〓 (〓を求めれば,残りはそれからわかるはず)

一般 に, 有 理 数〓 を 小 数 展 開 す る と き , わ り算 の 各段 階 で の 余 りは ,

0,1,2,… ,n-1の い ず れ か で あ り, 余 りが0と な っ た と き , そ こ で わ

り算 は 終 了し , 有 限 小 数 と な る . 余 りが0と な ら な い 場 合 , わ り算 は 無

図1

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限に繰 り返 され るが ,余 りは1,2,… ,n-1の 有限個 しか ないので ,い

つか はそれ以前に 出た余 りと同 じ余 りが現れ る.そ うすれば,その後の

わ り算は繰 り返 しになるので,循環小数 とな る.

逆に,有 限小数 と循環小数は有理数 になることが いえるのだが, これ

を示すために,まず,無 限等比級数の和の公式 を導 こ う.

例 題1.4次 の (1),(2)を 証 明 せ よ .

(1)

(2)

証 明 : (1)

と お く. 両 辺 にrを 掛 け る と ,

と な る . こ の2式 の 差 を と る と ,

となるので ,r≠1の と きはS=〓 とな る. また,r=1の

ときは明らか にS=(n+1) αである.

(2)|r|<1の と き , (1)よ りa+ar+an2+…+arn=〓

で あ っ た . こ の 式 でn→ ∞ と す れ ば , 〓arn+1=0だ か ら ,

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(〓arn+1=0の 証 明 は 第2章 で )

となる.(|r|〓1の ときは この級数は収束 しない)

例 題1.5次 の 小 数 を 既 約 分 数 に 表 せ .

(1)0.28(2)0.36(=0.363636… )

(3)0.4136(=0.41363636… )

解 : (1)

(2)

で あ る . (初 項〓 , 公 比〓 の 等 比 級 数 の 和 の 公 式 を 用 い た )

(2)の 別 解x=0.363636… と お く. 両 辺 に100を 掛 け る と

100x=36.363636…=36+xだ か ら99x=36で あ り,

x=〓=〓 と な る .

(3) (2)を 用 い れ ば ,

と な る .

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問題1.2次 の小数 を既約分 数に表せ.

(1)0.04(2)0.3(3)0.162(4)0.245

次 に, 一般の実数xの 小数展 開を求めてみ よう. まず,

とす る と ,

で あ る . 次 に ,

とす る と ,

a1=0以 上9以 下 の 整 数 ,x2∈[0,1) ,x1=〓+〓

で あ り, し た が っ て

が 得 ら れ る . 同 様 に し て ,

とす る と ,

a2=0以 上9以 下の整数,x3∈[0,1) ,x2-〓+〓

で あ り, し た が っ て

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が 得 ら れ る . これ を繰 り返 せ ば , す べ て のn=1,2, … に 対 し て ,

が 得 ら れ る . こ れ か ら ,

とな り, 〓〓=0だ か らxは

と小 数 展 開 さ れ る .

逆 に , 整 数a0と0以 上9以 下 の 整 数an(n=1,2, … )を 勝 手 に 与

え た と き, 小 数 展 開

は1つ の実数 を定め るだろ うか .これ を示すには,実数の連続性の公 理

が必要 になる.

公理1.2( 実数の連続性の公理) 閉区間の列I1,I2, … ,In,… が ,

(1)

(2)

(|I|=区 間Iの 幅 )をみたす とす る.この とき,すべ てのInに 含 まれ る

実数がただ1つ 存在す る.

これは実数全体 の集合Rが 持つべ き性質の1つ で あるが ,これ を証

明す ることはで きない. よって公 理 とい う形で実数の持 つべ き性 質 とし

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て認めて話 を進め ようとい うわけである.

ここにあげた公理 は,区間縮小法の原理 と呼ばれてい る.実数の連続性

の公理は,この公理以外に も,同値 な公理が い くつかある.

この公理を前提にすれば,小数展開

は1つ の 実 数 を 定 め る こ と が , 次 の よ う に 証 明 で き る .

n=1,2, … に 対 し ,

と し ,In=[bn,cn]と す る と , こ れ は 公 理 の (1),(2)を 満 た す . し た

が っ て 公 理 よ り, す べ て のInに 含 ま れ る 実 数xが た だ1つ 存 在 す る .

bn〓x〓cnだ か ら|bn-x|〓cn-bn=〓 よ り 〓|bn-x|=0

で あ り,

が いえた.

最後 に,実数 を小数展 開に表す とき,表 し方はただ1通 りだろ うか ?

そこで ,異 なる2つ の小数展開

が 同 じ実数xに 収 束す るとしよ う.簡単のために,

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と し よ う.a2とb2は ど ち らか が 大 き い は ず だ か ら ,a2<b2と す る .

こ の と きa2+1〓b2だ か ら ,

が 成 り立つ. この式の最初 と最後がxで 等 しいか ら,途 中の 〓 はすべ

て=と なる. したが って

で なければな らない.つま り,異なる小数展 開が同じ実数 となるのは,そ

の一方の小数展開が有限小数で あ り,他方が有限小数の最後 の桁の数を1

だ け減 らし,その後に999… をつなげ た循環小数である場合,つ まり,

の様 な場合だけであ ることが わか った.つ ま り,有限小数で表 され る実

数 だけが2通 りの小数展開を持 ち,それ以外 の実数はただ1通 りの小数

展 開を持つ.

例題1.6次 の 各々は正 しいか ?正 しければ それ を証明 し,正 し くなけ

れば,反例 をあげ よ.

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(1) 有理数 ±有理数は常に有理数である.

(2) 無理数 ±有理数は常に無理数であ る.

(3) 無理数 ±無理数は常に無理 数であ る.

解 : (1)は正 しい.2つ の有理数を

と す る . こ の と き ,

で ある.

(2)も正しい.これ は背理法で示 す.無理数 ±有理数=有 理数 とする

と,無理数=有 理数 〓有理数 とな り,(1)に矛 盾す る.

(3)は正 し くない.反例は 〓+(-〓 )=0で あ る.

問題1.3次 の各 々は正 しいか ?正 しければ それ を証明 し,正 し くなけ

れば ,反例 をあげ よ.

(1) 有理数 ×有理数は常 に有理数であ る.

(2) 無理数 ×有理数は常 に無理数であ る.

(3) 無理数 ×無理数は常 に無理数であ る.

(4) 有理数 ÷有理数は常 に有理数であ る.

(5) 無理数 ÷有理数は常 に無理数であ る.

(6) 無理数 ÷無理数は常 に無理数であ る.

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1.2上 限 と 下 限

定義1.2AをRの 空で ない部分集合 とする.

(1)Aが 上に有界であるとは,実数Mが 存在 して,∀x∈A,x〓M

が成 り立つことである.この とき,この性 質を満たすMを 集合Aの 上

界とい う.Aが 上 に有界の とき,Aの 上 界た ちの 中に最小の ものがある.

この最小の 上界を集合Aの 上限 といい ,supAと 表す.

(2)Aが 下に有界である とは,実 数Lが 存在 して ,∀x∈A,x〓L

が成 り立つこ とで ある.この とき,この性質 を満たすLを 集合Aの 下

界 とい う.Aが 下に有界の とき,Aの 下界た ちの 中に最大の ものがある.

この最大の下界を集合Aの 下限 といい,infAと 表す.

(3)Aが 上に も下 に も有界である とき,Aは 有界である, とい う.

例題1.7Aが 上 に有界の とき,Aの 上界たちの 中に最小の ものがあ る

ことを証明せ よ.

証明 : まず,Aの 上界ではない実数a1と 上界で ある実 数b1を1つ

ずつ と り,I1=[a1,b1]と お く (Aが 上に有界 な空で ない集合だか ら,

a1,b1は 確かに とれ る.a1<b1で あることに注意せ よ).次に,a1とb1

の 中点c=〓 を とり,

と し ,I2=[a2,b2]と お く. こ の と き ,

a2はAの 上界ではな くb2はAの 上 界であ り,I2⊂I1,|I2|=〓