微小サイズ試験片による強度・疲労試験 MATERIAL TESTING LABORATORY GROUP 1 微小サイズ試験片による強度・疲労試験 2010．3．9 神戸工業試験場

KOBE MATERIAL TESTING LABORATORY GROUP

1

微小サイズ試験片による強度・疲労試験

2010．3．9

㈱神戸工業試験場

坪内千明

日本機械学会計算力学部門日本機械学会計算力学部門日本機械学会計算力学部門日本機械学会計算力学部門マルチスケールモデリングによる材料科学研究会資料マルチスケールモデリングによる材料科学研究会資料マルチスケールモデリングによる材料科学研究会資料マルチスケールモデリングによる材料科学研究会資料


2

内容内容内容内容

１．微小サイズ試験片の応用１．微小サイズ試験片の応用１．微小サイズ試験片の応用１．微小サイズ試験片の応用

２．引張試験２．引張試験２．引張試験２．引張試験

３．疲労試験３．疲労試験３．疲労試験３．疲労試験

４．クリープ試験４．クリープ試験４．クリープ試験４．クリープ試験

５．サンプリングと試験片加工技術５．サンプリングと試験片加工技術５．サンプリングと試験片加工技術５．サンプリングと試験片加工技術

６．まとめ６．まとめ６．まとめ６．まとめ


3

神戸工業試験場グループ紹介神戸工業試験場グループ紹介神戸工業試験場グループ紹介神戸工業試験場グループ紹介

◆株式会社神戸工業試験場

Kobe Material Testing Laboratory Co.,Ltd.

◆株式会社湊川金属テストピ－ス製作所

Minatogawa Kinzoku Test Piece Manufacturing Co.,Ltd.

◆ツルイ化学株式会社

Tsurui Chemical Co.,Ltd．．．．



4

神戸工業試験場グループ所在地神戸工業試験場グループ所在地神戸工業試験場グループ所在地神戸工業試験場グループ所在地

本社本社本社本社

ツルイ化学ツルイ化学ツルイ化学ツルイ化学

茨城事業所・茨城営業所茨城事業所・茨城営業所茨城事業所・茨城営業所茨城事業所・茨城営業所

機器事業部機器事業部機器事業部機器事業部播磨事業所・営業部播磨事業所・営業部播磨事業所・営業部播磨事業所・営業部

東京営業所東京営業所東京営業所東京営業所

名古屋営業所名古屋営業所名古屋営業所名古屋営業所


5

1.1 微小サイズ試験片の必要性微小サイズ試験片の必要性微小サイズ試験片の必要性微小サイズ試験片の必要性

稼働機器の損傷表層部稼働機器の損傷表層部稼働機器の損傷表層部稼働機器の損傷表層部溶接継ぎ手の熱影響部溶接継ぎ手の熱影響部溶接継ぎ手の熱影響部溶接継ぎ手の熱影響部温度勾配のある加熱劣化部温度勾配のある加熱劣化部温度勾配のある加熱劣化部温度勾配のある加熱劣化部

等の微小領域の強度評価が必要な場合に有効等の微小領域の強度評価が必要な場合に有効等の微小領域の強度評価が必要な場合に有効等の微小領域の強度評価が必要な場合に有効

タービンブレード溶接熱影響部

管台

放電サンプリング放電サンプリング放電サンプリング放電サンプリング

現場で表層のみ切り出し、調査したい現場で表層のみ切り出し、調査したい現場で表層のみ切り出し、調査したい現場で表層のみ切り出し、調査したい

長さ：24mm（板厚：2mm）

直径φ1mm


6

Weld Metal

HAZCoarse Grain RegionCoarse Grain RegionCoarse Grain RegionCoarse Grain Region

Fine Grain RegionFine Grain RegionFine Grain RegionFine Grain Region

1.4mm

φ1φ

1φ

1φ

1φ6

1000μμμμm

1.2 微小サイズ試験片の寸法選択理由微小サイズ試験片の寸法選択理由微小サイズ試験片の寸法選択理由微小サイズ試験片の寸法選択理由

標準試験片

微小試験片

Weld Metal

Fine Grain Region

HAZ粗粒領域での罫書き状況

・溶接部熱影響部等の領域毎に強度特性が把握できる。

Coarse Grain Region

PL=6PL=6PL=6PL=610101010 10101010

30303030

R2R2R2R2

C0.5C0

.5C0

.5C0

.5

M4×0.7M4×0.7M4×0.7M4×0.7

φ1±

0.02

φ1±

0.02

φ1±

0.02

φ1±

0.02

微小クリープ試験片


7

２．２．２．２．引張試験機引張試験機引張試験機引張試験機

＜仕様＞

・容量： ± 9.8kN，±19.6ｋN

・ひずみ速度(引張,圧縮)：0.001～0.1%/sec

・ひずみ振幅：±0.1～±1％

・ストロ－ク量：50mm

・電気炉：最大900℃（3ゾ－ン独立制御）

＜装置機能＞・負荷方式：引張，圧縮，保持（リラクゼーション）

試験片形状（φ1，GL=2）

10.06 10.06PL=6

30

φ1±0.02

R2

R2

2-M4×0.7

C0.5

C0.5

試験機外観


8

2.1 引張試験引張試験引張試験引張試験（（（（RT））））

微小試験片では降伏点が現れていない。微小試験片では降伏点が現れていない。微小試験片では降伏点が現れていない。微小試験片では降伏点が現れていない。

加工層の深さが加工層の深さが加工層の深さが加工層の深さがσσσσ－－－－εεεε線図の塑性初期に影響している。線図の塑性初期に影響している。線図の塑性初期に影響している。線図の塑性初期に影響している。

0.0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.60

100

200

300

400

500材料：S35C　試験温度：RT

標準試験片(φ6.35 #600) 微小試験片(φ1 研削まま) 微小試験片(φ1 手研磨) 微小試験片(φ1 手研磨+再手研磨) 微小試験片(φ1 電解研磨)

応力

σ　(MPa)

ひずみ　（%)


9

2.2 引張強さ・耐力の寸法効果引張強さ・耐力の寸法効果引張強さ・耐力の寸法効果引張強さ・耐力の寸法効果

・標準試験片（Φ6）に対してΦ1試験片の耐力・引張強さはほぼ同等である。

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 130

100

200

300

400

500

600

700

800材質:SUS304 試験温度:RT

標準試験片と微小試験片との比較（0.2%耐力，引張強さ）

■標準試験片(φ6.35)■微小試験片-1(φ1)■微小試験片-2(φ1)■微小試験片-3(φ1)■微小試験片-4(φ1)

標準　　　　微小　　　　　標準　　　　微小

0.2%耐力(MPa) 引張強さ(MPa)

0.2%耐

力，

引張

強さ(MPa)


10

2.3 表面粗さの影響について表面粗さの影響について表面粗さの影響について表面粗さの影響について

○○○○

○○○○

○○○○微小引張試験片（平行部：φ1）微小引張試験片（平行部：φ1）微小引張試験片（平行部：φ1）微小引張試験片（平行部：φ1）

○○○○

○○○○

標準引張試験片（平行部：φ6）標準引張試験片（平行部：φ6）標準引張試験片（平行部：φ6）標準引張試験片（平行部：φ6）

試験片表面仕上げ試験片表面仕上げ試験片表面仕上げ試験片表面仕上げ旋研のまま旋研のまま旋研のまま旋研のままエメリー紙#800エメリー紙#800エメリー紙#800エメリー紙#800 電解研磨電解研磨電解研磨電解研磨

○○○○

φ6±0.05

36

(51.9)

100

R12

2-M12×1.0

標準試験片（φ6，GL=12）微小試験片（φ1，GL=2）

10.06 10.06PL=6

30

φ1±0.02

R2

R2

2-M4×0.7

C0.5

C0.5

降伏点あたりで試験を中断し、表面粗さの相違による応力－ひずみ降伏点あたりで試験を中断し、表面粗さの相違による応力－ひずみ降伏点あたりで試験を中断し、表面粗さの相違による応力－ひずみ降伏点あたりで試験を中断し、表面粗さの相違による応力－ひずみ

線図に与える影響を組織観察により検討する。線図に与える影響を組織観察により検討する。線図に与える影響を組織観察により検討する。線図に与える影響を組織観察により検討する。


11

３．３．３．３．疲労試験機疲労試験機疲労試験機疲労試験機

本体制御部

試験機外観

＜仕様＞

・制御方式：変位（波形：三角波，台形波）

・最大試験荷重：±1000N

・試験環境：室温，大気中

（高温、真空雰囲気は近々対応予定）

・最大ストローク：190μm

・装置概略寸法：300mm×755mm×200mm疲労試験片形状

長さ：24mm（板厚：2mm）

直径φ1mm


12

3.1 低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験(RT)

表面仕上げ程度が疲労寿命に影響し、Φ1試験片では#800エメ

リーペーパー軸方向仕上げで標準試験片と同等となる。電解研磨も研磨深さが浅いと寿命は低下する。

103

104

105

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4材料：S35C　試験温度：RT

φ1電解研磨(20μm)

φ1旋削#800軸仕上げ

φ1旋削

●：φ6.35エメリー紙#600仕上げ

○：φ6.35電解研磨△：φ1旋削▲：φ1旋削#800軸仕上げ

□：φ1電解研磨（40μm）■：φ1電解研磨（20μm）

Δε ％

Nf


13

3.2 低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験低サイクル疲労試験(RT)

Φ1試験片の研削加工ままでは、#800砥石では不十分で、#2000砥石加工が必要である。

103

104

105

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

標準試験片

材質：SUS304　試験温度：RT●φ6#600軸方向研磨△φ1#180研削□φ1#800研削▽φ1#2000研削◇φ1NC旋削＋φ1#800軸方向研磨×φ1#1200軸方向研磨＊NRIM-data(φ6#600軸方向研磨)

Δε

％

Nf


14

102

103

104

105

0.1

1.0

10.0

表面粗さの寿命への影響（SUS304,Δε=1.2%）

●φ6.35：#600○φ1：NC旋削△φ1：#800□φ1：#2000▽φ1：#180◇φ1：#180+#800

φ6.35標準試験片寿命範囲

表面

粗さ

Rt（

μm）

Nf

試験片の表面粗さRt≒1μm以下にする必要がある。

3.3 LCF寿命と表面粗さ寿命と表面粗さ寿命と表面粗さ寿命と表面粗さ

１０μｍ

１０１０１０１０μμμμｍｍｍｍ

１０１０１０１０μμμμｍｍｍｍ


15

3.4 試験片加工方法と加工層深さ試験片加工方法と加工層深さ試験片加工方法と加工層深さ試験片加工方法と加工層深さ

旋削加工では15μmの加工層が残る。＃800以上のエ

メリーペーパーで旋削加工層は除去する必要がある。

0 20 40 60 80 100 120 140 1600

50

100

150

200

250

300

350

400

SUS304 旋削／研削による微小試験片表面の硬度分布

15μm

●:NC旋盤▲:#180砥石研削■:#800砥石研削◆:#2000砥石研削

ビッ

カー

ス硬

さ HV0.01

表面からの距離(μm)


16

４．４．４．４．クリープ試験機クリープ試験機クリープ試験機クリープ試験機

＜仕様＞

型式：直下型クリープ試験機

最大負荷容量：120kg

初荷重：約2.5kg

温度精度：Max700℃±2℃

試験雰囲気：Arガス中

外観寸法：

幅540mm×奥行540mm×高1,858mm

PL=6PL=6PL=6PL=610101010 10101010

30303030

R2R2R2R2

C0.5C0

.5C0

.5C0

.5M4×0.7M4×0.7M4×0.7M4×0.7

φ1±0.02

φ1±0.02

φ1±0.02

φ1±0.02

クリープ試験片形状

試験機外観


17


電極揺動

サンプル

放電加工部放電加工部放電加工部放電加工部

放電により表層のみをスキンカットできる。放電により表層のみをスキンカットできる。放電により表層のみをスキンカットできる。放電により表層のみをスキンカットできる。

装置は可搬性に富み、垂直・上向き作業も可能である。装置は可搬性に富み、垂直・上向き作業も可能である。装置は可搬性に富み、垂直・上向き作業も可能である。装置は可搬性に富み、垂直・上向き作業も可能である。

５．１放電サンプリング装置

2.5mm


18


５．２サンプリング装置利用のメリット

(1) 従来方式 (2)サンプリング装置方式

部材を裁断し試験片を採取する必要がある。部材を裁断し試験片を採取する必要がある。部材を裁断し試験片を採取する必要がある。部材を裁断し試験片を採取する必要がある。作業工数・修復に多大の費用発生。作業工数・修復に多大の費用発生。作業工数・修復に多大の費用発生。作業工数・修復に多大の費用発生。

部材の局部から小片を切り出し試験片を採部材の局部から小片を切り出し試験片を採部材の局部から小片を切り出し試験片を採部材の局部から小片を切り出し試験片を採取できる。切り出しや部材修復費用が安価。取できる。切り出しや部材修復費用が安価。取できる。切り出しや部材修復費用が安価。取できる。切り出しや部材修復費用が安価。

裁断試料裁断試料裁断試料裁断試料

裁断試料裁断試料裁断試料裁断試料


19

５．サンプリング状況５．サンプリング状況５．サンプリング状況５．サンプリング状況


20

６．まとめ６．まとめ６．まとめ６．まとめ

(1) 直径１mmの微小試験片の強度特性は標準試験片とほ

ぼ同等である。

(2) 微小試験片の加工では加工層が強度特性に影響する。

(3) 微小試験片では強度（寿命）のばらつきがやや大きくなる。

(4) 微小試験では試験片ひずみ計測が難しい。（特に高温）

(5) 試験片の高温雰囲気（酸化）の影響は未検討である。

Documents

微小サイズ試験片による強度・疲労試験 MATERIAL TESTING LABORATORY GROUP 1 微小サイズ試験片による強度・疲労試験 2010．3．9 神戸工業試験場