21
痛みと鎮痛薬 2015/1/29 モーニングレクチャー 山本 和一

痛みと鎮痛薬 - 日本赤十字社 松山赤十字病院‚¢ヘン(opium)+の様な物(-oid) オピオイドの種類 ①植物のケシ由来②内因性③化学的に合成

Embed Size (px)

Citation preview

痛みと鎮痛薬

2015/1/29 モーニングレクチャー

山本 和一

痛みの分類

侵害受容性疼痛

1)体性痛

2)内臓痛

神経障害性疼痛

痛みの分類

体性痛

皮膚や関節、筋肉、結合組織に分布する 体性神経を介して伝わる痛み。

内臓痛

①管腔臓器:粘膜障害、閉塞、圧迫、虚血など

②実質臓器:被膜の伸展、支持組織の圧迫過伸展

そもそも痛みって何?

痛みは…

刺激によって神経細胞で電位が起こる。

電位が脳まで伝わって痛みを感じる。

痛みの伝わる経路

痛み刺激 脊髄

脳幹

介在神経

大脳皮質

大脳辺縁系

後角

痛い!!

不快!!

下降性疼痛抑制系

下降性疼痛抑制系

鎮痛薬の標的となっている機構。

脊髄後角での内因性鎮痛物質を高めるには

①自分で出す

②脳幹にある神経を活性化する

③分泌された鎮痛物質が低下しないようにする

イタイのイタイのとんでけ~!!

目の前の人に気をとられる中枢性抑制

触覚(Aβ線維)による末梢性抑制

痛みの伝わる経路

痛み刺激 脊髄

脳幹

介在神経

大脳皮質

大脳辺縁系

後角

痛い!!

不快!!

下降性疼痛抑制系

痛み治療の目標

第1段階:夜間良眠の達成

第2段階:昼間安静時の痛み軽減・消失

第3段階:体動時や体重負荷を かけたときの痛みの消失

痛み治療に使われる薬 NSAIDs

アセトアミノフェン

トラマドール

コデイン

ペンタゾシン

ブプレノルフィン

モルヒネ

オキシコドン

フェンタニル

抗うつ薬

ノイロトロピン

プレガバリン

非オピオイド

弱オピオイド

(非麻薬性鎮痛薬)

強オピオイド

鎮痛補助薬

非オピオイド

NSAIDs

発痛物質のプロスタグランジンE(PGE)の産生を抑えて鎮痛効果を発揮する。

PGEは炎症の局所に動因される白血球 から産生される。

PGEは神経終末に作用して痛みの電気 信号が起こりやすくしている。

副作用:消化管出血、腎血流障害

非オピオイド

アセトアミノフェン

作用機序は十分に分かっていない・・・。

想定されている所で下降性抑制系の促進、中枢での内因性オピオイドの上昇

NSAIDs、オピオイドとの併用も可能

オピオイド

オピオイド(opioid)とはμ、κ、δ受容体に結合し効果を示す化合物の総称。

アヘン(opium)+の様な物(-oid)

オピオイドの種類

①植物のケシ由来②内因性③化学的に合成

神経細胞のオピオイド受容体に結合し、その 細胞の興奮を抑制する。

具体的な作用は鎮痛、陶酔、便秘など。多量に使用すると呼吸抑制。

弱オピオイド

弱オピオイドとは、鎮痛効果に上限があり、「それ以上増やしても鎮痛効果が上がらない投与量がある」オピオイドを言う。

ペンタゾシン:κ受容体に作用して鎮痛作用を発揮する。μ受容体にも強い親和性を持つが活性は示さない。

ブプレノルフィン:μ受容体に強く長く結合するがその効果は小さい。

→その他のオピオイドと併用は不可

弱オピオイド

トラマドール:コデインの誘導体。 トラマドール自体に抗うつ薬様の作用あり。 代謝産物がオピオイド受容体に作用する。

コデイン:モルヒネの前駆体。 体内で代謝されてモルヒネに変化。 コデイン自体も弱いながらオピオイド受容体に作用する。

強オピオイド

①モルヒネ②オキシコドン③フェンタニル

オピオイド受容体に対する親和性の差が、薬理作用の差。

肝機能障害時には減量の必要がある。

呼吸困難感に対してはモルヒネが第1選択。

オキシコドンは代謝産物が生物活性を持たないため腎機能障害患者でも使用しやすい。

フェンタニルはオピオイド受容体のμ1受容体への親和性が高く、便秘、耐性、依存性が少ない。

鎮痛補助薬 抗うつ薬

①三環系抗うつ薬:下降性抑制系の促進 +セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害

②セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬:下降性抑制系から分泌された内因性鎮痛物質が 減少しないようにする。

・SNRIには即効性はなく内服を開始してから

数日後に効果が現れる。

ノイロトロピン

下降性抑制系の神経細胞を刺激し鎮痛を示す。

鎮痛補助薬

プレガバリン

Caチャネルα2δリガンド

神経損傷や抗がん剤による神経障害性 疼痛では脊髄後角でα2δサブユニットが 過剰発現している。

弱い痛みを強く、痛くないことを痛く感じる。

α2δサブユニットに結合してCa2+の流入を抑制する。

神経障害性疼痛の治療

消炎鎮痛薬やオピオイドはほぼ無効。

鎮痛補助薬を使用する。

神経自体には炎症は起こっていない。

α2δサブユニットの過剰発現

オピオイド受容体の機能低下

参考文献

わかる・できる がん症状マネージメント ワンポイントレッスン集 松山ベテル病院編

痛みの考えかた しくみ・何を・どう効かす丸山一男 著 南江堂

痛みのマネジメントupdate 日本医師会編