高齢者に必要なサービスを届けるためには、その人の健康・生活情報をサポート側が 共有することが重要です。それを担うのが、地域包括ケアシステムの一つである 「医療連携」です。共有化した情報を介護の現場にどう活かすかを考えましょう。 医療機関と介護施設がそれ ぞれ持つ利用者の情報を、 互いに共有し合うことが「医 療連携」のポイント。そして、 その情報をいかに活用して いくかが大切です。 P O I N T キーワードは 「情報共有」 一緒えよう これからの介護 医療連携の情報共有で 医療と介護の連携を強化 一般社団法人 福祉と介護研 究所 代表理事。社会福祉士、 介護支援専門員。介護専門学 校の助教員を経て、特別養護老 人 ホーム、在 宅 介 護 支 援 セン ター相談員を歴任し、デイサービ スやグループホームの立ち上げ をプロデュースする。介護職・相 談員等の研修のほか、医療保健 福祉関係者が集う「地域包括ケ ア推進全国サミット」を今年度か ら開催予定。 監修 梅沢佳裕 第4回 C退退地域包括ケアシステムにとって 「医療連携」 は、 欠かせないものだね Cはい、しっかり連携します 64

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イラスト/市川彰子

イメージ図

高齢者に必要なサービスを届けるためには、その人の健康・生活情報をサポート側が共有することが重要です。それを担うのが、地域包括ケアシステムの一つである「医療連携」です。共有化した情報を介護の現場にどう活かすかを考えましょう。

医療機関と介護施設がそれぞれ持つ利用者の情報を、互いに共有し合うことが「医療連携」のポイント。そして、その情報をいかに活用していくかが大切です。

 「住み慣れた地域で最期まで自分らしい生

活を続ける」ことを支援する地域包括ケアシ

ステムは、さまざまな人や機関の連携で成り

立っています。

 「医療連携」もその一つ。これは、医療機

関が持つ高齢者一人ひとりの情報をケアマネ

ジャーや介護職員など、高齢者を支えるさま

ざまな職種の人たちと共有することで、高齢

者により適切なケアを行うためのものです。

 高齢者人口、社会資源の地域差によって、

システムは市区町村ごとに違いますが、介護

職員が医療情報を得て、それをケアに活かす

ということに変わりはありません。

 利用者一人ひとりの情報を把握すること

で、介護職員も地域包括ケアというチームの

中で何をすべきかが明確になるはず。目の前

の利用者の状態だけでなく、さまざまな情報

からどうすべきかを考えて、日々のケアに取

り組みましょう。

P O I N T

キーワードは「情報共有」

一緒に考えよう! これからの介護

「医療連携」の情報共有で医療と介護の連携を強化

医療情報を得て

日々のケアにつなげる

一般社団法人 福祉と介護研究所 代表理事。社会福祉士、介護支援専門員。介護専門学校の助教員を経て、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター相談員を歴任し、デイサービスやグループホームの立ち上げをプロデュースする。介護職・相談員等の研修のほか、医療保健福祉関係者が集う「地域包括ケア推進全国サミット」を今年度から開催予定。

監修梅沢佳裕

入退院・在宅療養における医療介護連携山形県鶴岡市の「医療連携」モデルケース

ケアマネジャ-より在宅生活での状況の情報が「入院前状況報告書」の様式を用いて病院へ提供される。その際、ケアマネジャ-は報告書の中の「退院時にカンファレンスを希望します」にチェックする。

主治医、入院棟看護師、退院支援看護師、医療ソ-シャルワ-カ-などが、患者やご家族の希望を聞きながら、在宅療養生活ができるように看護、介護などのバックアップ体制をつくる。

患者の同意を得て、必要に応じて患者情報はNet 4U(ネットフォ-ユ-)電子カルテシステムに登録される。ITを用いて、医療介護従事者がタイムリ-に情報共有を図り、患者を支援していく。 

 2000年より鶴岡地区医師会が運営している、山形県鶴岡市発の地域電子カルテシステムで、地域内の病院、診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局、介護事業所等が患者の情報(病歴、薬歴、受診時の情報、検査データなど)を共有することができる、地域包括ケアに対応したヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク・システムです。 セキュリティを担保したインターネット上で患者にかかわる全ての医療福祉関係者、特にケアマネジャーがフラットに情報を共有し、また、Net 4Uと連動するシステム「Note 4U」を患者・家族・ヘルパー等が活用することでお互いコミュニケーションを図り、顔の見える地域包括ケアをサポートしています。 鶴岡市では、これらの情報共有システムを活用することで医療と介護の連携がよりスムーズになることを期待しています。

住み慣れた自宅で療養生活を送る

ケアマネジャー 病院

Net4U

退院後、患者とそのご家族が在宅療養を希望した場合

Net4U(ネットフォ-ユ-)電子カルテシステムに登録

●家族など同席のもと、在宅療養を支える訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャ-などを交えて、病院スタッフと「退院前カンファレンス」を行う。

●在宅主治医の訪問診療や訪問看護師の訪問。●ケアプランに沿って在宅福祉サ-ビス(訪問介護、デイサ-ビス、ショ-トステイなど)を利用。

Net 4Uや顔の見えるヒュ-マンネットワ-クによる随時のモニタリングにより、療養生活を安定させる。

病院で開催される褥瘡研修会などの案内を福祉施設などへ連絡し、地域全体で医療福祉従事者のレベルアップを図る。

●在宅福祉サ-ビスの具体的な計画も立てる。退院後、すぐにサ-ビス利用ができるよう、どんな看護をするのかを整理してまとめ、訪問看護指示書等も依頼する。

患者にかかわる医療・介護スタッフ間の情報共有を図り、患者を支えるチ-ムであることを確認する。

利用者

 

第4回

入院

退院(自宅へ)

在宅療養の整備のためのカンファレンス

退院前のカンファレンス

医師ケアマネジャー 薬剤師 介護職員看護職員

(看護師など)

など

★介護職員 かかりつけ

訪問介護師

薬局

介護施設

回復期病院

病院

ケアマネジャ-が調整し、かかりつけ医・訪問看護師・薬剤師・ヘルパ-事業所・デイサ-ビス事業所・ショ-トステイ事業所の各介護職員などによる、サ-ビス担当者会議を開催し、在宅生活の課題について確認、今後のプランを確定させる。

ケアマネジャー

電子カルテ

利用者のCさん、

入院されてたけど、

来週退院ですって

今こそ地域包括ケアの

「医療連携」が必要に

なる時!

退院して

在宅療養する高齢者

に対して、医療関係

者、ケアマネジャー、

介護職員などが

カンファレンスを行って

情報を共有し、その後

のケアやサービスを

よりよいものにして

いかなくてはね

在宅生活に

あたって、

私たちに何が

できるかしら

地域包括ケアシステムにとって

「医療連携」は、

欠かせないものだね

確かにCさんが

どんな治療を

受けてきて、

今はどんな

治療を

継続しているかとか、

医療側からの情報が

得られれば、それに即した

ケアができるわ

そうだね

はい、しっかり連携します

★次回は、地域ケア会議について考えてみましょう。

電子カルテシステムで情報を共有し、退院後も地域で在宅療養を支えています。

じゅくそう

2C= A色(K) B色(M=DIC000)仕上り:A4判/210×297㎜

P.64P.65 世界文化社「レクリエ」2016 11・12月号

64

イラスト/市川彰子

イメージ図

高齢者に必要なサービスを届けるためには、その人の健康・生活情報をサポート側が共有することが重要です。それを担うのが、地域包括ケアシステムの一つである「医療連携」です。共有化した情報を介護の現場にどう活かすかを考えましょう。

医療機関と介護施設がそれぞれ持つ利用者の情報を、互いに共有し合うことが「医療連携」のポイント。そして、その情報をいかに活用していくかが大切です。

 「住み慣れた地域で最期まで自分らしい生

活を続ける」ことを支援する地域包括ケアシ

ステムは、さまざまな人や機関の連携で成り

立っています。

 「医療連携」もその一つ。これは、医療機

関が持つ高齢者一人ひとりの情報をケアマネ

ジャーや介護職員など、高齢者を支えるさま

ざまな職種の人たちと共有することで、高齢

者により適切なケアを行うためのものです。

 高齢者人口、社会資源の地域差によって、

システムは市区町村ごとに違いますが、介護

職員が医療情報を得て、それをケアに活かす

ということに変わりはありません。

 利用者一人ひとりの情報を把握すること

で、介護職員も地域包括ケアというチームの

中で何をすべきかが明確になるはず。目の前

の利用者の状態だけでなく、さまざまな情報

からどうすべきかを考えて、日々のケアに取

り組みましょう。

P O I N T

キーワードは「情報共有」

一緒に考えよう! これからの介護

「医療連携」の情報共有で医療と介護の連携を強化

医療情報を得て

日々のケアにつなげる

一般社団法人 福祉と介護研究所 代表理事。社会福祉士、介護支援専門員。介護専門学校の助教員を経て、特別養護老人ホーム、在宅介護支援センター相談員を歴任し、デイサービスやグループホームの立ち上げをプロデュースする。介護職・相談員等の研修のほか、医療保健福祉関係者が集う「地域包括ケア推進全国サミット」を今年度から開催予定。

監修梅沢佳裕

入退院・在宅療養における医療介護連携山形県鶴岡市の「医療連携」モデルケース

ケアマネジャ-より在宅生活での状況の情報が「入院前状況報告書」の様式を用いて病院へ提供される。その際、ケアマネジャ-は報告書の中の「退院時にカンファレンスを希望します」にチェックする。

主治医、入院棟看護師、退院支援看護師、医療ソ-シャルワ-カ-などが、患者やご家族の希望を聞きながら、在宅療養生活ができるように看護、介護などのバックアップ体制をつくる。

患者の同意を得て、必要に応じて患者情報はNet 4U(ネットフォ-ユ-)電子カルテシステムに登録される。ITを用いて、医療介護従事者がタイムリ-に情報共有を図り、患者を支援していく。 

 2000年より鶴岡地区医師会が運営している、山形県鶴岡市発の地域電子カルテシステムで、地域内の病院、診療所、訪問看護ステーション、調剤薬局、介護事業所等が患者の情報(病歴、薬歴、受診時の情報、検査データなど)を共有することができる、地域包括ケアに対応したヘルスケア・ソーシャル・ネットワーク・システムです。 セキュリティを担保したインターネット上で患者にかかわる全ての医療福祉関係者、特にケアマネジャーがフラットに情報を共有し、また、Net 4Uと連動するシステム「Note 4U」を患者・家族・ヘルパー等が活用することでお互いコミュニケーションを図り、顔の見える地域包括ケアをサポートしています。 鶴岡市では、これらの情報共有システムを活用することで医療と介護の連携がよりスムーズになることを期待しています。

住み慣れた自宅で療養生活を送る

ケアマネジャー 病院

Net4U

退院後、患者とそのご家族が在宅療養を希望した場合

Net4U(ネットフォ-ユ-)電子カルテシステムに登録

●家族など同席のもと、在宅療養を支える訪問看護師、薬剤師、ケアマネジャ-などを交えて、病院スタッフと「退院前カンファレンス」を行う。

●在宅主治医の訪問診療や訪問看護師の訪問。●ケアプランに沿って在宅福祉サ-ビス(訪問介護、デイサ-ビス、ショ-トステイなど)を利用。

Net 4Uや顔の見えるヒュ-マンネットワ-クによる随時のモニタリングにより、療養生活を安定させる。

病院で開催される褥瘡研修会などの案内を福祉施設などへ連絡し、地域全体で医療福祉従事者のレベルアップを図る。

●在宅福祉サ-ビスの具体的な計画も立てる。退院後、すぐにサ-ビス利用ができるよう、どんな看護をするのかを整理してまとめ、訪問看護指示書等も依頼する。

患者にかかわる医療・介護スタッフ間の情報共有を図り、患者を支えるチ-ムであることを確認する。

利用者

 

第4回

入院

退院(自宅へ)

在宅療養の整備のためのカンファレンス

退院前のカンファレンス

医師ケアマネジャー 薬剤師 介護職員看護職員

(看護師など)

など

★介護職員 かかりつけ

訪問介護師

薬局

介護施設

回復期病院

病院

ケアマネジャ-が調整し、かかりつけ医・訪問看護師・薬剤師・ヘルパ-事業所・デイサ-ビス事業所・ショ-トステイ事業所の各介護職員などによる、サ-ビス担当者会議を開催し、在宅生活の課題について確認、今後のプランを確定させる。

ケアマネジャー

電子カルテ

利用者のCさん、

入院されてたけど、

来週退院ですって

今こそ地域包括ケアの

「医療連携」が必要に

なる時!

退院して

在宅療養する高齢者

に対して、医療関係

者、ケアマネジャー、

介護職員などが

カンファレンスを行って

情報を共有し、その後

のケアやサービスを

よりよいものにして

いかなくてはね

在宅生活に

あたって、

私たちに何が

できるかしら

地域包括ケアシステムにとって

「医療連携」は、

欠かせないものだね

確かにCさんが

どんな治療を

受けてきて、

今はどんな

治療を

継続しているかとか、

医療側からの情報が

得られれば、それに即した

ケアができるわ

そうだね

はい、しっかり連携します

★次回は、地域ケア会議について考えてみましょう。

電子カルテシステムで情報を共有し、退院後も地域で在宅療養を支えています。

じゅくそう

2C= A色(K) B色(M=DIC000)仕上り:A4判/210×297㎜

P.64P.65 世界文化社「レクリエ」2016 11・12月号

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