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1 1 リスニングに関する調査研究 (1) リスニング調査実施に当たって 「リスニング調査(聞き取りクイズ)」は,小学校英語活動における聞き取る力について,お おむね小学校英語活動で扱われている基本的な内容の定着状況について,平成 19 年度(調査対 象となった児童が第5学年次)及び平成 20 年度(第6学年次)に研究協力校全 53 校の児童に 対して調査し,今後の小学校英語教育の在り方についての検討に資する目的で実施したもので ある。 (2) 問題内容 すべての問題の形式は,個々の小問ごとに英語による音声が流れ,児童がそれを聞いて適切 な選択肢の絵ないしは番号を選ぶものであった。 平成 19 年度に実施した「聞き取りクイズ」は,次の7つの大問からなる。 大問1は,「基本的語彙の理解」を問う3つの小問からなる。それぞれ,“Horse.” “Desk.” “Strawberry.”の単語を聞いて,「鳥,犬,熊,馬」「消しゴム,椅子,鉛筆,机」「パイナップ ル,いちご,メロン,すいか」の4つの絵の中から適切なものを選ぶ。 図 1-1 大問1の選択肢:平成 19 年度と平成 20 年度では選択肢の位置が異なる(以下同じ) 大問2は,「複数の語彙理解」を問う3つの小問からなる。「1頭のライオンと1匹の猿」「5 冊の本」「2匹の犬と1匹の猫」の絵が提示されており,それに対して,それぞれ,“A lion and a monkey.” “A monkey and an elephant.” “A lion and an elephant.”“Five balls.” “Five books.” “Three books.”あるいは“One dog and two cats.” “Two dogs and one cat.” “Two dogs and two cats.”の,3種類のフレーズを聞いて,絵に合うものを選ぶ。

1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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Page 1: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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1 リスニングに関する調査研究

(1) リスニング調査実施に当たって

「リスニング調査(聞き取りクイズ)」は,小学校英語活動における聞き取る力について,お

おむね小学校英語活動で扱われている基本的な内容の定着状況について,平成 19 年度(調査対

象となった児童が第5学年次)及び平成 20 年度(第6学年次)に研究協力校全 53 校の児童に

対して調査し,今後の小学校英語教育の在り方についての検討に資する目的で実施したもので

ある。

(2) 問題内容

すべての問題の形式は,個々の小問ごとに英語による音声が流れ,児童がそれを聞いて適切

な選択肢の絵ないしは番号を選ぶものであった。 平成 19 年度に実施した「聞き取りクイズ」は,次の7つの大問からなる。

大問1は,「基本的語彙の理解」を問う3つの小問からなる。それぞれ,“Horse.” “Desk.” “Strawberry.”の単語を聞いて,「鳥,犬,熊,馬」「消しゴム,椅子,鉛筆,机」「パイナップ

ル,いちご,メロン,すいか」の4つの絵の中から適切なものを選ぶ。

図 1-1 大問1の選択肢:平成 19 年度と平成 20 年度では選択肢の位置が異なる(以下同じ) 大問2は,「複数の語彙理解」を問う3つの小問からなる。「1頭のライオンと1匹の猿」「5

冊の本」「2匹の犬と1匹の猫」の絵が提示されており,それに対して,それぞれ,“A lion and a monkey.” “A monkey and an elephant.” “A lion and an elephant.”や“Five balls.” “Five books.” “Three books.”あるいは“One dog and two cats.” “Two dogs and one cat.” “Two dogs and two cats.”の,3種類のフレーズを聞いて,絵に合うものを選ぶ。

Page 2: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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図 1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

everyday.” “I like dogs.”の英語1文を聞いて,それぞれ,「自転車に乗っている,歩いている,

バスに乗っている」や「泳いでいる,勉強している,サッカーをしている」「猫をうれしそうに

抱いている,犬を怖がっている,犬をうれしそうに抱いている」の,3つの絵の中から適切な

ものを選ぶ。

図 1-3 大問3の選択肢

大問4は,「教室英語の理解」を問う3つの小問からなる。“Open your eyes.” “Stand up,

please.” “Touch your mouth.”の命令文を聞いて,それぞれ,「目を開けている,目を閉じてい

る,片目を手で押さえている」「椅子に座っている,歩いている,椅子から立っている」「口を

触っている,口を開けている,口を閉じている」の3つの絵の中から適切なものを選ぶ。

Page 3: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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図 1-4 大問4の選択肢

大問5は,「対話文の内容理解」を問う3つの小問からなる。“Do you like apples?” “No,

I don’t. I like melons.”や“I have three cards. How many cards do you have?” “I have two.”や“I like soccer and baseball.” “I like soccer, too. Let’s play soccer.”の対話文を聞いて,

それぞれ4つの絵の中から,適切な「りんごには×でメロンには○がついた絵」や「男の子が

3枚,女の子が2枚のカードを持っている絵」や「男の子の吹き出しでは野球とサッカー共に

○がついていて,女の子の吹き出しにはサッカーが描いてある絵」を選ぶ。

図 1-5 大問5の選択肢(次頁に続く)

Page 4: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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図 1-5 大問5の選択肢(前頁の続き)

大問6は,「日常会話の理解」を問う3つの小問からなる。「眠そうな男の子」「雨が降ってい

る」「9月 10 日の日めくり」の絵が提示されており,それに対して,それぞれ,“How are you?” “I’m fine.”,“How are you?” “I’m hungry.”,“How are you?” “I’m sleepy.”や,“How is the weather?” “It’s sunny.”,“How is the weather?” “It’s rainy.”,“How is the weather?” “It’s cloudy.”や“When is your birthday?” “It’s September tenth.”,“When is your birthday?” “It’s November tenth.”,“When is your birthday?” “It’s February tenth.”の3種類の日常会話を

聞いて,絵に合うものを選ぶ。

図 1-6 大問6の問

大問7は,「まとまった文の概要理解」を問う3つの小問からなる。“I’m an animal. I can

jump. I am in the water.”や“I’m a fruit. I’m round. I’m red.”や“I am in the classroom. I have numbers. I have hands.”の3つの文を聞いて,「かめ,カンガルー,机,カエル」や

「にんじん,りんご,バナナ,パイナップル」「時計,椅子,電話,定規」の4つの絵の中から

適切なものを選ぶ。

Page 5: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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図 1-7 大問7の選択肢 平成 20 年度は,上記に加えて,次の大問を実施した(このことに伴い,平成 19 年度の大問

7は,平成 20 年度では大問8とした)。 大問7(平成 20 年度)では「質問の意図の理解」を問う3つの小問からなる。“What fruit do you like?” “How do you go to school?” “Where do you want to go?”の質問に対して,

それぞれ,「うさぎ,りんご,本」や「歩いている,時計,学校」「にんじん,海,時計」の3

つの絵の中から適切なものを選ぶ。

図 1-8 大問7(平成 20 年度)の選択肢

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(3) 実施方法

① 調査対象学年,児童生徒数

「小学校における英語教育の在り方に関する調査研究」研究協力校全 53 校の平成 19 年度は

第5学年約 3,500 名を対象とし,欠席者等を除いた 3,312 名分のデータを,平成 20 年度は第6

学年約 3,500 名を対象とし,欠席者等を除いた 3,336 名分のデータを分析に用いた。

② 調査内容・方法等

・聞き取りクイズ(約 10 分程度):小学校英語活動における聞き取る力の定着状況について ・児童用質問紙調査(約 10 分程度):小学校英語活動内容に関連した児童の意識や授業への取

組状況について

③ 調査実施日時等

・平成 19 年 11 月1日(木)~11 月 30 日(金)まで,及び平成 20 年9月 22 日(月)~10 月

10 日(金)までのいずれかの間で,調査研究協力校が定めた日時に実施。

・調査の実施に必要となる時間は,聞き取りクイズ及び児童用質問紙調査併せて,1単位時間

(45 分)以内。

(4) 分析方法

平成 19 年度・20 年度ともに,次の分析を行った。 ・小問ごとの分析

小問ごとに正答率と錯乱肢の引き付けやすさを分析

・大問ごとに分類

大問ごとに,傾向を分析

・大問を次のカテゴリーに分類して分析

【単語】基本的語彙・複数の語彙・基本的動詞の理解

【教室英語】教室英語の理解

【会話】対話文・日常会話の理解

【概要理解】まとまった文の概要理解

【応答】質問の意図の理解(平成 20 年度のみ)

・年間授業時間数(該当年度)の分類と聞き取りクイズとの関連

また,平成 20 年度のデータについては,児童用質問紙調査の項目ごとに見た聞き取りクイズ

の結果を示す。

(5) 結果と考察(平成 19 年度)

① 小問ごとの分析

大問1(1)は,鳥,犬,熊,馬の絵があり,“Horse.”と音声が流れる問題である。正答率

は 94.6%であった。鳥の絵にわずかに引き付けられやすい傾向が見られた。

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表 1-1 大問1(1)の解答状況:正答の選択肢には□を付けている(以下同じ)

無答・誤記

人数 93 20 56 3132 11 割合(%) 2.8 0.6 1.7 94.6 0.3 大問1(2)は,消しゴム,椅子,鉛筆,机の絵があり,“Desk.”と音声が流れる問題である。

正答率は 86.4%であった。椅子の絵に引き付けられやすい傾向が見られたが,これは,机と椅

子をセットで導入することが多いことも要因として考えられる。

表 1-2 大問1(2)の解答状況

無答・誤記

人数 103 257 66 2861 25 割合(%) 3.1 7.8 2.0 86.4 0.8 大問1(3)は,パイナップル,いちご,メロン,すいかの絵があり,“Strawberry.”と音声

が流れる問題である。正答率は 99.5%であった。この小問については 99%以上の児童が正答した。

買い物など様々な活動の中で,くだものについての英語に触れる機会が多く,十分な定着が見

られた。

表 1-3 大問1(3)の解答状況

無答・誤記

人数 2 3297 5 2 6 割合(%) 0.1 99.5 0.2 0.1 0.2 大問2(4)は,一頭のライオンと一匹の猿がいる絵があり,(1) “A lion and a monkey.”

(2) “A monkey and an elephant.” (3) “A lion and an elephant.”と音声が流れる問題であ

る。正答率は 97.6%であった。錯乱肢の中では,(2)がわずかに引き付けやすかった。

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表 1-4 大問2(4)の解答状況

選択肢1 “A lion and a monkey.”

選択肢2 “A monkey and an elephant.”

選択肢3 “A lion and

an elephant.” 無答・誤記

人数 3232 50 19 11 割合(%) 97.6 1.5 0.6 0.3 大問2(5)は,5冊の本の絵があり,(1) “Five balls.” (2) “Five books.” (3) “Three books.”

と音声が流れる問題である。正答率は 88.9%であった。錯乱肢の中では(1)が引き付けやすかっ

た。最初の語をより手がかりとすることや,物の名前よりは数字の英語の方がより馴染みがあ

ることなどが要因として考えられる。

表 1-5 大問2(5)の解答状況

選択肢1 “Five balls.”

選択肢2 “Five books.”

選択肢3 “Three books.”

無答・誤記

人数 255 2946 103 8 割合(%) 7.7 88.9 3.1 0.2 大問2(6)は,2匹の犬と1匹の猫がいる絵があり,(1) “One dog and two cats.” (2) “Two

dogs and one cat.” (3) “Two dogs and two cats.”と音声が流れる問題である。正答率は 97.6%

と極めて高かった。

表 1-6 大問2(6)の解答状況

選択肢1 “One dog and

two cats.”

選択肢2 “Two dogs and

one cat.”

選択肢3 “Two dogs and

two cats.” 無答・誤記

人数 36 3234 33 9 割合(%) 1.1 97.6 1.0 0.3 大問3(7)は,自転車に乗っている絵,歩いている絵,バスに乗っている絵があり,“I walk

to school.”と音声が流れる問題である。正答率は 91.0%であった。

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表 1-7 大問3(7)の解答状況

無答・誤記

人数 123 3013 162 14 割合(%) 3.7 91.0 4.9 0.4 大問3(8)は,泳いでいる絵,勉強している絵,サッカーをしている絵があり,“I swim

everyday.”と音声が流れる問題である。正答率は 74.3%であった。錯乱肢の中では,勉強して

いる絵に引き付けられやすかった。これは,もう1つの錯乱肢のサッカーは日本語でも単語が

同じであるため,引き付けられにくかったことも考えられる。

表 1-8 大問3(8)の解答状況

無答・誤記

人数 2462 731 98 21 割合(%) 74.3 22.1 3.0 0.6 大問3(9)は,猫をうれしそうに抱いている絵,犬を怖がっている絵,犬をうれしそうに

抱いている絵があり,“I like dogs.”と音声が流れる問題である。正答率は 95.9%であった。錯

乱肢の中では,犬を怖がっている絵に引き付けられやすかった。猫と犬を英語で区別できてい

るため,猫をうれしそうに抱いている絵には引き付けられなかったことも要因として考えられ

る。

表 1-9 大問3(9)の解答状況

無答・誤記

人数 13 117 3176 6 割合(%) 0.4 3.5 95.9 0.2 大問4(10)は,目を開けている絵,目を閉じている絵,片目を手で押さえている絵があり,

“Open your eyes.”と音声が流れる問題である。正答率は 74.9%であった。どちらの錯乱肢も同

程度の引き付けやすさであったが,やや目を閉じている絵へ引き付けられる児童が多かった。

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表 1-10 大問4(10)の解答状況

無答・誤記

人数 2481 441 376 14 割合(%) 74.9 13.3 11.4 0.4 大問4(11)は,椅子に座っている絵,歩いている絵,椅子から立っている絵があり,“Stand

up, please.”と音声が流れる問題である。正答率は 96.6%であった。どちらの錯乱肢も同程度の

引き付けやすさであった。

表 1-11 大問4(11)の解答状況

無答・誤記

人数 66 41 3199 6 割合(%) 2.0 1.2 96.6 0.2 大問4(12)は,口を触っている絵,口を開けている絵,口を閉じている絵があり,“Touch

your mouth.”と音声が流れる問題である。正答率は 84.1%で,錯乱肢の中では,口を開けてい

る絵に引き付けられていた。

表 1-12 大問4(12)の解答状況

無答・誤記

人数 2785 312 197 18 割合(%) 84.1 9.4 5.9 0.5 大問5(13)は,女の子の吹き出しの中にあるりんごやメロンに○や×がついた絵が4枚あ

る。それぞれ,(1) りんごとメロンに×,(2) りんごには×でメロンには○,(3) りんごとメ

ロンに○,(4) りんごには○でメロンには×がついている。会話文で,“Do you like apples?” “No, I don’t. I like melons.”と音声が流れる問題である。正答率は 95.8%であった。錯乱肢の

中では,(4)の絵にやや引き付けられていた。児童はどちらかのくだものが好きで,どちらかが

好きではない,という内容までは理解できているようであった。

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表 1-13 大問5(13)の解答状況

無答・誤記

人数 15 3172 39 52 34 割合(%) 0.5 95.8 1.2 1.6 1.0 大問5(14)は,男の子と女の子が違う枚数のカードを持っている絵が4枚ある。それぞれ,

(1) 男の子が2枚カードを持っており女の子は何も持っていない,(2) 男の子が3枚カードを

持っており女の子は何も持っていない,(3) 男の子が3枚,女の子が2枚カードを持っている,

(4) 男の子が2枚,女の子が3枚カードを持っている。会話文は,男の子が“I have three cards. How many cards do you have?”と聞き,女の子が “I have two.”と答える音声が流れる問題

である。正答率は 94.4%であった。どの錯乱肢も引き付けやすさは同程度であった。

表 1-14 大問5(14)の解答状況

無答・誤記

人数 53 53 3125 53 28 割合(%) 1.6 1.6 94.4 1.6 0.8 大問5(15)は,男の子と女の子にそれぞれ吹き出しが付いており,男の子の吹き出しには

野球とサッカーの絵が,そして女の子の吹き出しには野球ないしサッカーの絵が描かれている。

それぞれ,(1) 男の子の吹き出しでは野球に○,サッカーに×がついていて,女の子の吹き出

しには野球の絵が描いてある,(2) 男の子の吹き出しでは野球とサッカー共に○がついていて,

女の子の吹き出しには野球の絵が描いてある,(3) 男の子の吹き出しでは野球に×,サッカー

に○がついていて,女の子の吹き出しにはサッカーの絵が描いてある,(4) 男の子の吹き出し

では野球とサッカー共に○がついていて,女の子の吹き出しにはサッカーの絵が描いてある。

会話文で,男の子が“I like soccer and baseball.”と言い,女の子が“I like soccer, too. Let’s play soccer.”と答える音声が流れる問題である。正答率は 79.2%であった。錯乱肢の中では(3)

の絵が引き付けやすかった。女の子の会話文を聞き取った時点で,保持していた男の子の会話

文の情報が既に消えていたという可能性が,この要因として考えられる。

表 1-15 大問5(15)の解答状況

無答・誤記

人数 31 53 566 2624 38 割合(%) 0.9 1.6 17.1 79.2 1.1

Page 12: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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大問6(16)は,眠そうな男の子の絵があり,(1) “How are you?” “I’m fine.” (2) “How are you?” “I’m hungry.” (3) “How are you?” “I’m sleepy.” と音声が流れる問題である。正答率

は 98.6%であった。錯乱肢の中では,(2)がわずかに引き付けやすかった。(1)の I’m fine. という表現は英語活動の中で比較的早く導入されることから,比較的よく定着していたのではな

いかと考えられる。

表 1-16 大問6(16)の解答状況

選択肢1 “How are you?”

“I’m fine.”

選択肢2 “How are you?”

“I’m hungry.”

選択肢3 “How are you?”

“I’m sleepy.” 無答・誤記

人数 11 34 3266 1 割合(%) 0.3 1.0 98.6 0.0 大問6(17)は,雨が降っている絵があり,(1) “How is the weather?” “It’s sunny.” (2)

“How is the weather?” “It’s rainy.” (3) “How is the weather?” “It’s cloudy.”と音声が流

れる問題である。正答率は 88.1%であった。錯乱肢の中では,(3)が引き付けやすかった。

表 1-17 大問6(17)の解答状況

選択肢1 “How is the weather?”

“It’s sunny.”

選択肢2 “How is the weather?”

“It’s rainy.”

選択肢3 “How is the weather?”

“It’s cloudy.” 無答・誤記

人数 124 2919 261 8 割合(%) 3.7 88.1 7.9 0.2 大問6(18)は,9月 10 日の日めくりの絵があり,(1) “When is your birthday?” “It’s

September tenth.” (2) “When is your birthday?” “It’s November tenth.” (3) “When is your birthday?” “It’s February tenth.”と音声が流れる問題である。正答率は 57.0%であった。正答

率が低かったため,錯乱肢の中では,(2)も(3)も引き付けやすかったが,(2)がより引き付けや

すかった。September も November も~ember という同じ語尾であることや,12 ヶ月の中で

February のような前半の月の語彙よりも,後半の語彙の方が十分に定着していないことなど

が要因として考えられる。

表 1-18 大問6(18)の解答状況

選択肢1 “When is your birthday?” “It’s September tenth.”

選択肢2 “When is your birthday?” “It’s November tenth.”

選択肢3 “When is your birthday?” “It’s February tenth.”

無答・誤記

人数 1887 909 507 9 割合(%) 57.0 27.4 15.3 0.3

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大問7(19)は,かめ,カンガルー,机,カエルの絵があり,“I’m an animal. I can jump. I am in the water.”と音声が流れる問題である。正答率は 32.3%であった。錯乱肢の中では,

カンガルーの絵に引き付けられやすかった。2文目まではカンガルーとカエルのどちらにも当

てはまるためと考えられる。

表 1-19 大問7(19)の解答状況

無答・誤記

人数 80 2068 70 1071 23 割合(%) 2.4 62.4 2.1 32.3 0.7 大問7(20)は,にんじん,りんご,バナナ,パイナップルの絵があり,“I’m a fruit. I’m round.

I’m red.”と音声が流れる問題である。正答率は 82.5%であった。錯乱肢の中では,にんじんの

絵に引き付けられやすい傾向が見られた。にんじんは,3番目の文が当てはまる。1番目と2

番目の文が当てはまるパイナップルの絵には,その次に引き付けられていた。

表 1-20 大問7(20)の解答状況

無答・誤記

人数 354 2734 78 131 15 割合(%) 10.7 82.5 2.4 4.0 0.5 大問7(21)は,時計,椅子,電卓,定規の絵があり,“I am in the classroom. I have numbers.

I have hands.”と音声が流れる問題である。正答率は 26.7%であった。錯乱肢の中では,電卓

と定規の絵に引き付けられやすく,特に電卓に引き付けられやすかった。すべての絵が1文目

に当てはまり,時計,電卓,定規の絵が2文目にも当てはまっていたためと考えられる。また,

3文目の I have hands.という表現については,児童が仮に hand(手)という単語を知って

いても,時計の針を示すことを知らなかった可能性が考えられる。そのため,「手」で用いる電

卓や定規に引き付けられたのではないかと考えられる。

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表 1-21 大問7(21)の解答状況

無答・誤記

人数 883 154 1479 760 36 割合(%) 26.7 4.6 44.7 22.9 1.1

② 大問ごとに分類した分析

大問ごとに分類した結果は次のとおりである。 表 1-22 大問ごとの正答状況

全問正答者 2問正答者 1問正答者 全問不正答者 大問1 82.6% 15.6% 1.5% 0.3% 大問2 86.4% 11.8% 1.4% 0.4% 大問3 68.0% 25.9% 5.4% 0.7% 大問4 63.9% 28.5% 6.9% 0.7% 大問5 75.0% 20.6% 3.1% 1.3% 大問6 52.5% 39.2% 7.7% 0.5% 大問7 8.7% 35.1% 45.2% 11.0%

大問1~3はすべて単語の知識を問う問題だが,大問1は単語1語のみの提示,大問2は句

での提示,大問3は文内での提示であった。1語での提示や句での提示と比べると,文内で提

示する方が困難度が高くなることが分かる。また,大問1の方が大問2よりもやや困難度が高

かったが,これは選択肢の数の影響が考えられる(大問1では選択肢が4つ,大問2では3つ)。

また,大問5と6の会話文を比較すると,大問6の方が困難度が高い。大問5は1組の英文を

聞いて4つの絵の中から選ぶ問題であり,大問6は3組の英文を聞いて絵に合うものを答える

問題であるため,より多くの英文を聞かなければならない大問6の方が困難度が高い結果とな

った。また,大問7はすべての大問の中で最も英文量が多く,また錯乱肢も引き付けられやす

いものが多かったため,最も困難度が高かった。

③ 4つのカテゴリーによる分析

大問を次の4つのカテゴリーに分類し,傾向を分析した。 【単語】基本的語彙・複数の語彙・基本的動詞の理解(大問1~3) 【教室英語】教室英語の理解(大問4) 【会話】対話文・日常会話の理解(大問5・6) 【概要理解】まとまった文の概要理解(大問7)

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【単語】については,9問全問正答者 54.8%,8問正答者 27.1%,7問正答者 11.5%,6問正

答者 4.5%,5問正答者 1.3%,4問正答者 0.5%,3問正答者 0.1%,2問正答者 0.1%,1問

正答者 0.1%,全問誤答者 0.1%という結果であった。 【教室英語】は,3問全問正答者 63.9%,2問正答者 28.5%,1問正答者 6.9%,全問誤答者

0.7%であった。 【会話】は,6問全問正答者 43.2%,5問正答者 35.4%,4問正答者 14.9%,3問正答者 4.6%,

2問正答者 1.4%,1問正答者 0.2%,全問誤答者 0.2%であった。 【概要理解】は,全問正答者 8.7%,2問正答者 35.1%,1問正答者 45.2%,全問誤答 11.0%

であった。 上記の結果を見ると,概要理解問題が最も困難度が高く,会話問題が2番目に困難度が高か

った。単語単位,句単位,文単位で音声が流れる問題よりも,2文以上の音声が流れる問題の

方が困難度が高くなっている。 単語問題は,全問正答者と8問正答者を合わせると全児童の8割に上り,7問正答者まで合

わせると9割を超える。したがって,ほとんどの児童が基本的な語彙を理解できていると言え

る。これは,教室英語問題,会話問題でもほぼ同様の傾向である。 一方,概要理解問題では1問しか正答できなかった児童と全問誤答であった児童を合わせる

と5割を超える。会話問題と異なり,3文すべてを細かいところまで聞き取らなければならな

いことや,複数の情報を整理しなければならないことが,正答しにくかった理由だと考えられ

る。 ④ 年間授業時間数(第5学年次)の分類と聞き取りクイズとの関連

年間授業時間数との関連を検討するため,調査実施時である第5学年次の年間授業時間数を

基に,1~11 時間(4校,285 名),12~22 時間(6校,411 名),23~35 時間(32 校,1,895

名),36~90 時間(11 校,721 名)に児童を分類し,年間授業時間数が多い分類であるほど正

答率がどのように異なるのかを分析した。

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表 1-23 平成 19 年度(第5学年次)における年間授業時間数別の正答率(%)

1~11 時間

(4 校,285 名)

12~22 時間

(6 校,411 名)

23~35 時間

(32 校,1895 名)

36~90 時間

(11 校,721 名)

全体

(53 校,3312 名)

大問1(1) 97.2 88.1 94.2 98.2 94.6 大問1(2) 81.4 80.3 87.3 89.5 86.4 大問1(3) 100.0 99.8 99.6 99.2 99.5 大問2(4) 95.4 95.6 97.9 98.8 97.6 大問2(5) 89.5 83.7 89.1 91.4 88.9 大問2(6) 95.4 95.4 97.9 99.2 97.6 大問3(7) 93.3 83.5 90.7 95.1 91.0 大問3(8) 70.2 61.1 76.6 77.7 74.3 大問3(9) 94.0 94.2 95.9 97.6 95.9 大問4(10) 75.4 56.0 76.0 82.7 74.9 大問4(11) 93.7 93.4 97.3 97.8 96.6 大問4(12) 66.0 71.0 86.3 92.8 84.1 大問5(13) 95.8 92.2 95.9 97.4 95.8 大問5(14) 94.4 88.1 95.1 95.8 94.4 大問5(15) 76.1 75.9 80.1 80.0 79.2 大問6(16) 98.9 96.1 99.1 98.8 98.6 大問6(17) 79.3 74.9 90.0 94.2 88.1 大問6(18) 41.4 36.0 58.4 71.3 57.0 大問7(19) 33.7 27.5 34.5 28.8 32.3 大問7(20) 82.5 66.2 84.5 86.8 82.5 大問7(21) 24.2 24.1 24.6 34.5 26.7 合計(21 問) 79.9 75.4 83.4 86.1 82.7

全体的な結果としては,年間授業時間数が1~11 時間の群を除くと,正答率が右上がりにな

る場合が多い。これは,以下の大問ごとの傾向や,大問のカテゴリーで分類した場合の傾向で

も見て取れる。また,大問4では伸び率が高いことから,年間授業時間数が多い方が正答しや

すくなっていることが分かる。さらに,会話問題(大問5,大問6)では,大問6の方が年間

授業時間数が増えるほど正答率が上がっている傾向にある。1つの会話を聞いて複数の絵の中

から選ぶ大問5よりも,複数の会話を聞いて絵に当てはまる会話を選ぶ大問6の方が,より多

く英文を聞かなければならないということが,年間授業時間数の影響を受けやすいことの理由

のひとつとして考えられる。 大問ごとに4つの群で年間授業時間数が多いほど,全問正答者の割合がどのように上昇する

かをまとめると,次のとおりである。 大問1…1~11 時間を除くと右上がり 大問2…1~11 時間を除くと右上がり

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大問3…1~11 時間を除くと右上がり 大問4…1~11 時間を除くと右上がり(12~22 時間では極端に低い) 大問5…1~11 時間を除くと右上がり(23~35 時間と 36~90 時間では横ばい) 大問6…1~11 時間を除くと右上がり(23~35 時間と 36~90 時間がかなり高い) 大問7…10%前後でほぼ横ばい。36~90 時間ではやや上がっている

また,大問のカテゴリーごとに,全問正答者の割合が顕著に高いあるいは低い群にも着目す

ると,次のとおりである。 【単語】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,12~22 時間では極端に低い 【教室英語】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,12~22 時間では極端に低い 【会話】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,23~35 時間,36~90 時間では大きく上昇 【概要理解】…10%前後でほぼ横ばい

(6) 結果と考察(平成 20 年度)

① 小問ごとの分析

大問1(1)は,熊,馬,鳥,犬の絵があり,“Horse.”と音声が流れる問題である。正答率

は 97.7%であった。鳥の絵にわずかに引き付けられやすい傾向が見られた。

表 1-24 大問1(1)の解答状況

無答・誤記

人数 14 3258 58 3 3 割合(%) 0.4 97.7 1.7 0.1 0.1

大問1(2)は,机,鉛筆,椅子,消しゴムの絵があり,“Desk.”と音声が流れる問題である。

正答率は 93.6%であった。椅子の絵に引き付けられやすい傾向が見られたが,これは,机と椅

子をセットで導入することが多いことも要因として考えられる。 表 1-25 大問1(2)の解答状況

無答・誤記

人数 3123 43 119 43 8 割合(%) 93.6 1.3 3.6 1.3 0.2

大問1(3)は,メロン,すいか,いちご,パイナップルの絵があり,“Strawberry.”と音声

が流れる問題である。正答率は 99.8%であった。この小問については 99%以上の児童が正答した。

買い物など様々な活動の中で,くだものについての英語に触れる機会が多く,十分な定着が見

られた。

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表 1-26 大問1(3)の解答状況

無答・誤記

人数 2 0 3330 1 3 割合(%) 0.1 0.0 99.8 0.0 0.1

大問2(4)は,一頭のライオンと一匹の猿がいる絵があり,(1) “A lion and an elephant.”

(2) “A monkey and an elephant.” (3) “A lion and a monkey.” と音声が流れる問題であ

る。正答率は 99.3%であった。錯乱肢の中では,(2)の“A monkey and an elephant.”がわず

かに引き付けやすかった。

表 1-27 大問2(4)の解答状況

選択肢1 “A lion and

an elephant.”

選択肢2 “A monkey and an elephant.”

選択肢3 “A lion and a monkey.”

無答・誤記

人数 4 14 3314 4 割合(%) 0.1 0.4 99.3 0.1

大問2(5)は,5冊の本の絵があり,(1) “Five books.” (2) “Three books.” (3) “Five balls.”

と音声が流れる問題である。正答率は 91.8%であった。錯乱肢の中では(3)の“Five balls.”が引

き付けやすかった。最初の語をより手がかりとすることや,物の名前よりは数字の英語の方が

より馴染みがあることなどが要因として考えられる。 表 1-28 大問2(5)の解答状況

選択肢1 “Five books.”

選択肢2 “Three books.”

選択肢3 “Five balls.”

無答・誤記

人数 3061 27 240 8 割合(%) 91.8 0.8 7.2 0.2

大問2(6)は,2匹の犬と1匹の猫がいる絵があり,(1) “Two dogs and two cats.” (2)

“One dog and two cats.” (3) “Two dogs and one cat.”と音声が流れる問題である。正答率

は 98.7%と極めて高かった。

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表 1-29 大問2(6)の解答状況

選択肢1 “Two dogs and

two cats.”

選択肢2 “One dog and

two cats.”

選択肢3 “Two dogs and

one cat.” 無答・誤記

人数 29 11 3291 5 割合(%) 0.9 0.3 98.7 0.1

大問3(7)は,バスに乗っている絵,自転車に乗っている絵,歩いている絵があり,“I walk

to school.”と音声が流れる問題である。正答率は 92.5%であった。バスで行く絵にやや引き付

けられていた。 表 1-30 大問3(7)の解答状況

無答・誤記

人数 156 90 3085 5 割合(%) 4.7 2.7 92.5 0.1

大問3(8)は,サッカーをしている絵,泳いでいる絵,勉強している絵があり,“I swim

everyday.”と音声が流れる問題である。正答率は 83.7%であった。錯乱肢の中では,勉強して

いる絵に引き付けられやすかった。これは,もう1つの錯乱肢のサッカーは日本語でも単語が

同じであるため引き付けられにくかったことも考えられる。 表 1-31 大問3(8)の解答状況

無答・誤記

人数 51 2792 483 10 割合(%) 1.5 83.7 14.5 0.3

大問3(9)は,犬をうれしそうに抱いている絵,猫をうれしそうに抱いている絵,犬を怖

がっている絵があり,“I like dogs.”と音声が流れる問題である。正答率は 98.5%であった。錯

乱肢の中では,犬を怖がっている絵にやや引き付けられやすかった。猫と犬を英語で区別でき

ているため,猫をうれしそうに抱いている絵には引き付けられなかったことも要因として考え

られる。

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表 1-32 大問3(9)の解答状況

無答・誤記

人数 3285 6 39 6 割合(%) 98.5 0.2 1.2 0.2 大問4(10)は,片目を手で押さえている絵,目を開けている絵,目を閉じている絵があり,

“Open your eyes.”と音声が流れる問題である。正答率は 87.5%であった。どちらの錯乱肢も同

程度の引き付けやすさであったが,やや目を閉じている絵へ引き付けられる児童が多かった。

表 1-33 大問4(10)の解答状況

無答・誤記

人数 182 2919 226 9 割合(%) 5.5 87.5 6.8 0.3 大問4(11)は,歩いている絵,椅子から立っている絵,椅子に座っている絵があり,“Stand

up, please.”と音声が流れる問題である。正答率は 97.8%であった。どちらの錯乱肢も同程度の

引き付けやすさであった。

表 1-34 大問4(11)の解答状況

無答・誤記

人数 28 3264 40 4 割合(%) 0.8 97.8 1.2 0.1 大問4(12)は,口を開けている絵,口を閉じている絵,口を触っている絵があり,“Touch

your mouth.”と音声が流れる問題である。正答率は 91.8%で,どちらの錯乱肢にも同程度引き

付けられていた。

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表 1-35 大問4(12)の解答状況

無答・誤記

人数 134 135 3062 5 割合(%) 4.0 4.0 91.8 0.1 大問5(13)は,女の子の吹き出しの中にあるりんごやメロンに○や×がついた絵が4枚あ

る。それぞれ,(1) りんごとメロンに○,(2) りんごには○でメロンには×,(3) りんごとメ

ロンに×,(4) りんごには×でメロンには○がついている。会話文で,“Do you like apples?” “No, I don’t. I like melons.”と音声が流れる問題である。正答率は 97.8%であった。錯乱肢の

中では,(1)と(2)の絵にやや引き付けられていた。

表 1-36 大問5(13)の解答状況

無答・誤記

人数 23 27 7 3262 17 割合(%) 0.7 0.8 0.2 97.8 0.5 大問5(14)は,男の子と女の子が違う枚数のカードを持っている絵が4枚ある。それぞれ,

(1) 男の子が2枚,女の子が3枚カードを持っている,(2) 男の子が3枚,女の子が2枚カー

ドを持っている,(3) 男の子が3枚カードを持っており女の子は何も持っていない,(4) 男の

子が2枚カードを持っており女の子は何も持っていない。会話文は,男の子が“I have three cards. How many cards do you have?”と聞き,女の子が “I have two.”と答える音声が流れ

る問題である。正答率は 98.4%であった。どの錯乱肢も引き付けやすさはほぼ同じであった。 表 1-37 大問5(14)の解答状況

無答・誤記

人数 16 3281 8 20 11 割合(%) 0.5 98.4 0.2 0.6 0.3 大問5(15)は,男の子と女の子にそれぞれ吹き出しが付いており,男の子の吹き出しには

野球とサッカーの絵が,そして女の子の吹き出しには野球ないしサッカーの絵が描かれている。

それぞれ,(1) 男の子の吹き出しでは野球とサッカー共に○がついていて,女の子の吹き出し

には野球の絵が描いてある,(2) 男の子の吹き出しでは野球に○,サッカーに×がついていて,

女の子の吹き出しには野球の絵が描いてある,(3) 男の子の吹き出しでは野球とサッカー共に

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○がついていて,女の子の吹き出しにはサッカーの絵が描いてある,(4) 男の子の吹き出しで

は野球に×,サッカーに○がついていて,女の子の吹き出しにはサッカーの絵が描いてある。

会話文で,男の子が “I like soccer and baseball.” と言い,女の子が “I like soccer, too. Let’s play soccer.”と答える音声が流れる問題である。正答率は 90.7%であった。錯乱肢の中では(4)

の絵が引き付けやすかった。

表 1-38 大問5(15)の解答状況

無答・誤記

人数 28 11 3025 260 12 割合(%) 0.8 0.3 90.7 7.8 0.4 大問6(16)は,眠そうな男の子の絵があり,(1) “How are you?” “I’m sleepy.” (2) “How

are you?” “I’m fine.” (3) “How are you?” “I’m hungry.”と音声が流れる問題である。正答

率は 98.6%であった。錯乱肢の中では,(3)がわずかに引き付けやすかった。(2)の I’m fine.という表現は英語活動の中で比較的早く導入されることから,比較的よく定着していたのではな

いかと考えられる。

表 1-39 大問6(16)の解答状況

選択肢1 “How are you?”

“I’m sleepy.”

選択肢2 “How are you?”

“I’m fine.”

選択肢3 “How are you?” “I’m hungry.”

無答・誤記

人数 3289 12 33 2 割合(%) 98.6 0.4 1.0 0.1 大問6(17)は,雨が降っている絵があり,(1) “How is the weather?” “It’s cloudy.” (2)

“How is the weather?” “It’s sunny.” (3) “How is the weather?” “It’s rainy.”と音声が流れ

る問題である。正答率は 93.8%であった。錯乱肢の中では,(1)がやや引き付けやすかった。

表 1-40 大問6(17)の解答状況

選択肢1 “How is the weather?”

“It’s cloudy.”

選択肢2 “How is the weather?”

“It’s sunny.”

選択肢3 “How is the weather?”

“It’s rainy.” 無答・誤記

人数 136 68 3128 4 割合(%) 4.1 2.0 93.8 0.1 大問6(18)は,9月 10 日の日めくりの絵があり,(1) “When is your birthday?” “It’s

February tenth.” (2) “When is your birthday?” “It’s September tenth.” (3) “When is your

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birthday?” “It’s November tenth.”と音声が流れる問題である。正答率は 72.2%であった。正

答率が比較的低かったため,錯乱肢の中では,(1)も(3)も引き付けやすかったが,(3)がより引

き付けやすかった。September も November も~ember という同じ語尾であることや,12 ヶ

月の中で February のような前半の月の語彙よりも,後半の語彙の方が十分に定着していない

ことなどが要因として考えられる。

表 1-41 大問6(18)の解答状況

選択肢1 “When is your birthday?” “It’s February tenth.”

選択肢2 “When is your birthday?”“It’s September tenth.”

選択肢3 “When is your birthday?” “It’s November tenth.”

無答・誤記

人数 384 2409 540 3 割合(%) 11.5 72.2 16.2 0.1 大問7(19)はうさぎ,りんご,本の絵があり,“What fruit do you like?”と音声が流れる

問題である。正答率は 59.6%であり,2つの錯乱肢のうちではうさぎよりも本の絵に引き付け

られやすかった。

表 1-42 大問7(19)の解答状況

無答・誤記

人数 357 1989 957 33 割合(%) 10.7 59.6 28.7 1.0 大問7(20)は歩いている,時計,学校の絵があり,“How do you go to school?”と音声が

流れる問題である。正答率は 42.0%であり,学校の絵に引き付けられやすかった。音声の中に

school が含まれていたため,その音声を元に学校の絵を選んだものと考えられる。

表 1-43 大問7(20)の解答状況

無答・誤記

人数 1400 162 1761 13 割合(%) 42.0 4.9 52.8 0.4 大問7(21)はにんじん,海,時計の絵があり,“Where do you want to go?”と音声が流

れる問題である。正答率は 64.7%であった。時計の絵に引き付けられやすかった。where と when

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の違いが理解できておらず,when と勘違いした児童が時計の絵を選んでしまった可能性が考

えられる。

表 1-44 大問7(21)の解答状況

無答・誤記

人数 84 2160 1062 30 割合(%) 2.5 64.7 31.8 0.9 大問8(22)は,机,カエル,カンガルー,かめの絵があり,“I’m an animal. I can jump.

I am in the water.”と音声が流れる問題である。正答率は 38.5%であった。錯乱肢の中では,

カンガルーの絵に引き付けやすかった。2文目まではカンガルーとカエルのどちらにも当ては

まるためと考えられる。 表 1-45 大問8(22)の解答状況

無答・誤記

人数 27 1283 1931 84 11 割合(%) 0.8 38.5 57.9 2.5 0.3 大問8(23)は,パイナップル,バナナ,にんじん,りんごの絵があり,“I’m a fruit. I’m round.

I’m red.”と音声が流れる問題である。正答率は 89.1%であった。錯乱肢の中では,にんじんの

絵に引き付けられやすい傾向が見られた。にんじんは,3番目の文が当てはまる。1番目と2

番目の文が当てはまるパイナップルの絵には,その次に引き付けられていた。

表 1-46 大問8(23)の解答状況

無答・誤記

人数 108 63 187 2971 7 割合(%) 3.2 1.9 5.6 89.1 0.2

大問8(24)は,電卓,定規,時計,椅子の絵があり,“I am in the classroom. I have numbers.

I have hands.”と音声が流れる問題である。正答率は 24.6%であった。錯乱肢の中では,電卓

と定規の絵に引き付けられやすく,特に電卓に引き付けられやすかった。すべての絵が1文目

に当てはまり,時計,電卓,定規の絵が2文目にも当てはまっていたためと考えられる。また,

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3文目の I have hands.という表現については,児童が仮に hand(手)という単語を知って

いても,時計の針を示すことを知らなかった可能性が考えられる。そのため,「手」で用いる電

卓や定規に引き付けられたのではないかと考えられる。

表 1-47 大問8(24)の解答状況

無答・誤記

人数 1252 1163 821 86 14 割合(%) 37.5 34.9 24.6 2.6 0.4

② 大問ごとに分類した分析

大問ごとに分類した結果は次のとおりである。 表 1-48 大問ごとの正答状況

全問正答者 2問正答者 1問正答者 全問誤答者 大問1 92.0% 7.1% 0.7% 0.1% 大問2 91.0% 8.0% 0.9% 0.2% 大問3 78.3% 18.2% 3.3% 0.2% 大問4 81.4% 14.7% 3.7% 0.3% 大問5 88.5% 10.3% 0.6% 0.5% 大問6 69.1% 26.7% 4.0% 0.2% 大問7 20.9% 36.3% 30.9% 11.8% 大問8 9.8% 38.4% 46.0% 5.8%

大問1~3はすべて単語の知識を問う問題だが,大問1は単語1語のみの提示,大問2は句

での提示,大問3は文内での提示であった。1語での提示や句での提示と比べると,文内で提

示する方が困難度が高くなることが分かる。また,大問1の方が大問2よりもやや困難度が高

かったが,これは選択肢の数の影響が考えられる(大問1では選択肢が4つ,大問2では3つ)。

また,大問5と6の会話文を比較すると,大問6の方が困難度が高い。大問5は1組の英文を

聞いて4つの絵の中から選ぶ問題であり,大問6は3組の英文を聞いて絵に合うものを答える

問題であるため,より多くの英文を聞かなければならない大問6の方が困難度が高い結果とな

った。また,大問7は,大問5,6と比較すると英文を聞く量は少ないが,困難度は高かった。

大問7はある疑問文が流れ,それに対する答えに該当する絵を選ぶ問題である。流れてくる疑

問文の意図を理解した上で,最も適当な答えを選ぶという形式のために困難度が高くなったと

考えられる。また,大問8はすべての大問の中で最も英文量が多く,また錯乱肢も引き付けら

れやすいものが多かったため,最も困難度が高かった。

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③ 5つのカテゴリーによる分析

大問を次の5つのカテゴリーに分類し,傾向を分析した。 【単語】基本的語彙・複数の語彙・基本的動詞の理解(大問1~3) 【教室英語】教室英語の理解(大問4) 【会話】対話文・日常会話の理解(大問5・6) 【応答】質問の意図の理解(大問7) 【概要理解】まとまった文の概要理解(大問8) 【単語】については,9問全問正答者 70.3%,8問正答者 19.5%,7問正答者 6.9%,6問正

答者 2.4%,5問正答者 0.7%,4問正答者 0.1%,3問正答者 0.0%,2問正答者 0.0%,1問

正答者 0.0%,全問誤答者 0.1%という結果であった。 【教室英語】は,3問全問正答者 81.4%,2問正答者 14.7%,1問正答者 3.7%,全問誤答者

0.3%であった。 【会話】は,6問全問正答者 63.8%,5問正答者 27.0%,4問正答者 7.1%,3問正答者 1.3%,

2問正答者 0.4%,1問正答者 0.2%,全問誤答者 0.1%であった。 【応答】は,3問全問正答者 20.9%,2問正答者 36.3%,1問正答者 30.9%,全問誤答者 11.8%

であった。 【概要理解】は,全問正答者 9.8%,2問正答者 38.4%,1問正答者 46.0%,全問誤答 5.8%で

あった。

上記の結果を見ると,概要理解問題が最も困難度が高く,応答問題が2番目,そして会話問

題が3番目に困難度が高かった。単語単位,句単位,文単位で音声が流れる問題よりも,2文

以上の音声が流れる問題の方が困難度が高くなっており,また自分で応答を選んで答える問題

も困難度が高かった。 単語問題は,全問正答者と8問正答者を合わせると全児童の9割近くに上る。従って,ほと

んどの児童が基本的な語彙を理解できていると言える。これは,教室英語問題,会話問題でも

ほぼ同様の傾向である。 一方,応答問題では全問正答者と2問正答者を合わせても6割に満たない。適切な応答を選

ぶことは,産出能力の前段階の能力と関わっていると考えられるため,聞こえた音声と一致す

る絵を選ぶ問題などと比較すると,より高度な能力を求めている問題であると考えられる。 また,概要理解問題では1問しか正答できなかった児童と全問誤答であった児童を合わせる

と5割を超える。会話問題と異なり,3文すべてを細かいところまで聞き取らなければならな

いことや,複数の情報を整理しなければならないことが,困難度が高かった理由だと考えられ

る。

④ 年間授業時間数(第6学年次)の分類と聞き取りクイズとの関連

年間授業時間数との関連を検討するため,調査実施時である第6学年次の年間授業時間数を

基に,1~11 時間(4校,289 名),12~22 時間(5校,347 名),23~35 時間(36 校,2,141

名),36~90 時間(8校,559 名)に児童を分類し,年間授業時間数が多い分類であるほど正答

率がどのように異なるのかを分析した(表 1-49)。

Page 27: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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なお,全体的な傾向を示すものとして,「合計(21 問)」と「合計(24 問)」という2つを設

けた。これらのうち前者は平成 19 年度には用いていない大問を除いた 21 問の合計,後者は平

成 20 年度に用いた 24 問すべての合計の得点率を示す。

表 1-49 平成 20 年度(第6学年次)における年間授業時間数別の正答率(%)

1~11時間

(4校,289 名)

12~22時間

(5校,347 名)

23~35時間

(36校,2141名)

36~90時間

(8校,559名)

全体

(53校,3336名)

大問1(1) 98.6 93.4 97.9 98.7 97.7 大問1(2) 92.7 89.0 94.0 95.5 93.6 大問1(3) 100.0 100.0 99.9 99.5 99.8 大問2(4) 99.7 99.1 99.4 99.1 99.3 大問2(5) 86.9 84.7 93.4 92.5 91.8 大問2(6) 96.9 98.3 99.1 98.0 98.7 大問3(7) 91.7 83.3 93.3 95.3 92.5 大問3(8) 77.9 70.3 85.9 86.6 83.7 大問3(9) 96.5 98.3 98.6 99.1 98.5 大問4(10) 84.8 71.5 89.5 91.2 87.5 大問4(11) 94.8 95.1 98.6 98.0 97.8 大問4(12) 83.0 80.4 93.5 97.0 91.8 大問5(13) 96.9 96.8 97.9 98.6 97.8 大問5(14) 97.2 97.4 98.6 98.4 98.4 大問5(15) 87.9 86.5 91.4 91.9 90.7 大問6(16) 97.6 96.3 99.2 98.4 98.6 大問6(17) 87.5 89.0 94.8 96.1 93.8 大問6(18) 50.9 47.8 76.5 82.1 72.2 大問7(19) 57.1 43.8 57.7 78.0 59.6 大問7(20) 45.7 32.0 39.1 57.1 42.0 大問7(21) 69.2 60.8 63.7 69.1 64.7 大問8(22) 38.4 28.5 39.7 39.7 38.5 大問8(23) 86.5 79.0 90.5 91.2 89.1 大問8(24) 20.1 20.7 24.5 29.7 24.6 合計(21 問) 84.1 81.2 88.4 89.4 87.4 合計(24 問) 80.8 76.8 84.0 86.7 83.4

全体的な結果としては,年間授業時間数が1~11 時間の群を除くと正答率が右上がりになる

場合が多い。これは,以下の大問ごとの傾向や,大問のカテゴリーで分類した場合の傾向でも

見て取れる。また,大問4で伸び率が高いことから,年間授業時間数が多い方が正答しやすく

なっていることが分かる。さらに,会話問題(大問5,大問6)では,大問6の方が年間授業

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時間数が増えるほど正答率が上がっている傾向にある。1つの会話を聞いて複数の絵の中から

選ぶ大問5よりも,複数の会話を聞いて絵に当てはまる会話を選ぶ大問6の方が,より多く英

文を聞かなければならないということが,年間授業時間数の影響を受けやすいことが理由のひ

とつとして考えられる。 大問ごとに4つの群で年間授業時間数が多いほど,全問正答者の割合がどのように上昇する

かをまとめると,次のとおりである。 大問1…1~11 時間を除くと右上がり 大問2…1~11 時間を除くと右上がり(1~11 時間と 12~22 時間,そして 23~35 時間と

36~90 時間の間ではほぼ横ばい) 大問3…1~11 時間を除くと右上がり 大問4…1~11 時間を除くと右上がり(23~35 時間と 36~90 時間でかなり上がっている) 大問5…1~11 時間を除くと右上がり(23~35 時間と 36~90 時間では横ばい) 大問6…1~11 時間を除くと右上がり(23~35 時間と 36~90 時間でかなり上がっている) 大問7…1~11 時間を除くと右上がり(36~90 時間では上がっている) 大問8…1~11 時間を除くと右上がり(10%前後でほぼ横ばい)

また,大問のカテゴリーごとに,全問正答者の割合が顕著に高いあるいは低い群にも着目す

ると,次のとおりである。 【単語】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,12~22 時間では極端に低い 【教室英語】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,12~22 時間では極端に低い 【会話】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,23~35 時間,36~90 時間では大きく上昇 【応答】…1~11 時間を除くと右上がり。ただし,36~90 時間では大きく上昇 【概要理解】…10%前後でほぼ横ばい

(7) 結果と考察(平成 19 年度と平成 20 年度の聞き取りクイズの結果の比較)

① 小問ごとの分析

以下は,平成 19 年度と 20 年度の,小問ごとの正答率である(小問の番号は,平成 20 年度の

通し番号を使用しているため,平成 20 年度のみで使用した(19),(20),(21)は以下の表には

含まれない)。

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表 1-50 平成 19 年度と平成 20 年度の小問ごとの正答率(%)

小問 平成 19 年度 平成 20 年度 小問 平成 19 年度 平成 20 年度

大問1(1) 94.6 97.7 大問5(13) 95.8 97.8 大問1(2) 86.4 93.6 大問5(14) 94.4 98.4 大問1(3) 99.5 99.8 大問5(15) 79.2 90.7 大問2(4) 97.6 99.3 大問6(16) 98.6 98.6 大問2(5) 88.9 91.8 大問6(17) 88.1 93.8 大問2(6) 97.6 98.7 大問6(18) 57.0 72.2 大問3(7) 91.0 92.5 大問7(19) - - 大問3(8) 74.3 83.7 大問7(20) - - 大問3(9) 95.9 98.5 大問7(21) - - 大問4(10) 74.9 87.5 大問8(22) 32.3 38.5 大問4(11) 96.6 97.8 大問8(23) 82.5 89.1 大問4(12) 84.1 91.8 大問8(24) 26.7 24.6

※平成 19 年度の大問7(19)~(21)はそれぞれ大問8(22)~(24)として表記。

全体を通して平成 19 年度と比べて平成 20 年度の方が正答率が高かった。ただし,(24)は唯

一平成 19 年度の方が正答率が高かったが,これは最も正答率が低い小問であり,両年度共に正

答率が低い。そのため,正答率が下がったことを指摘するよりは,伸びがあまり見られなかっ

た小問であるとみなすべきであろう。平成 19 年度と平成 20 年度で正答率に大きな差があった

小問は(10),(15),(18)である。 また,全体的に引き付けられやすい錯乱肢は平成 19 年度・20 年度で共通していた。ただし,

大問4(12)“Touch your mouth.”では,平成 19 年度では,口を開けている絵により引き付け

られていたものの,平成 20 年度では2つの錯乱肢間(口を閉じている絵,口を開けている絵)

の引き付けやすさは同じであった。 ② 大問ごとに分類した分析

続いて,大問ごとに平成 19 年度と平成 20 年度を比較した。以下の表はそれぞれの大問に全

問正答した児童の割合を示している。

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表 1-51 平成 19 年度と平成 20 年度の大問ごとの全問正答者の割合(%)

大問 平成 19 年度 平成 20 年度 大問1 82.6 92.0 大問2 86.4 91.0 大問3 68.0 78.3 大問4 63.9 81.4 大問5 75.0 88.5 大問6 52.5 69.1 大問8 8.7 9.8

※平成 19 年度の大問7は大問8として表記。 全体として平成 20 年度の方が全問正答者の割合が多いが,特に大問4,5,6において差が

顕著である。一方,大問8では,平成 19 年度と平成 20 年度でほとんど差がない。 ③ 4つのカテゴリーによる分析

単語(大問1,2,3),教室英語(大問4),会話(大問5,6),概要理解(大問8)に分

け,それぞれについて平成 19 年度と平成 20 年度の全問正答者の割合を比較した。 表 1-52 平成 19 年度と平成 20 年度のカテゴリーごとの全問正答者の割合(%)

カテゴリー 平成 19 年度 平成 20 年度 単語 54.8 70.3

教室英語 63.9 81.4 会話 43.2 63.8

概要理解 8.7 9.8

この結果,概要理解問題以外では平成 20 年度において平成 19 年度よりも全問正答者の割合

が 15 ポイントから 20 ポイント程度高くなっていた。 ④ 年間授業時間数の分類と聞き取りクイズとの関連

いずれの年度でも,年間授業時間数が1~11 時間の児童を除くと,年間授業時間数が増える

につれ正答率が上昇する場合が多かった。特に,いずれの年度も大問4,6において伸びが見

られた。これは,大問4は教室英語についての英文であること,そして,会話問題(大問5,

大問6)の中でも,1つの会話を聞いて複数の絵の中から選ぶ大問5よりも,複数の会話を聞

いて絵に当てはまる会話を選ぶ大問6の方が,より多く英文を聞かなければならないことが,

年間授業時間数の影響を受けやすいことの理由のひとつとして考えられる。 また,大問・カテゴリーごとの全問正答者の割合については,1~11 時間の児童を除いて右

上がりになる傾向が見られた。ただし,大問8の概要理解問題では 10%程度で横ばいの傾向が

あった。

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(8) 児童用質問紙調査の項目ごとに見た聞き取りクイズの結果(平成 20 年度)

以下,児童用質問紙調査の項目ごとに見た聞き取りクイズの結果として,各項目のそれぞれ

の選択肢ごとに正答数の合計(満点は 24)の平均(平均正答数)とその標準偏差を示す。ただ

し,児童用質問紙の各項目の選択肢については,無回答等を除いている。なお,標準偏差とは

データのばらつきを示す指標であり,データが正規分布する場合±1標準偏差の範囲の中にデ

ータの 68.2%が収まり,±2標準偏差の範囲にデータの 95.4%が収まる。そのため,標準偏差が

大きいほどデータのばらつきが大きいと言える。 ・(1)あなたは,英語が使えるようになりたいですか。 記述統計を見ると,「そう思う」と答えた児童の方が「そう思わない」と答えた児童よりも平

均正答数が高かった。 表1-53 項目「(1)あなたは,英語が使えるようになりたいですか。」への回答別に見た聞き

取りクイズの記述統計

人数 平均正答数 標準偏差 そう思う 2560 20.3 2.3

そう思わない 322 19.2 2.8 わからない 407 19.3 2.6

・(2)英語を使ってやってみたいこと:ア 外国の人と英語で話すこと 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-54 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:ア 外国の人と英語で話すこと」への回

答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1063 20.6 2.3 どちらかといえばやってみたい 1162 20.1 2.2 どちらかといえばやってみたくない 586 19.7 2.4

やってみたくない 340 19.1 2.9 分からない 179 19.2 2.6

・(2)英語を使ってやってみたいこと:イ 外国の人と英語で手紙やメールのやりとりをする

こと 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

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表1-55 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:イ 外国の人と英語で手紙やメールのや

りとりをすること」への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 671 20.7 2.3 どちらかといえばやってみたい 969 20.3 2.1 どちらかといえばやってみたくない 812 19.9 2.4

やってみたくない 618 19.3 2.8 分からない 256 19.5 2.4

・(2)英語を使ってやってみたいこと:ウ 外国のテレビや映画を英語で見ること

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-56 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:ウ 外国のテレビや映画を英語で見るこ

と」への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 860 20.5 2.2 どちらかといえばやってみたい 895 20.3 2.3 どちらかといえばやってみたくない 737 19.8 2.3

やってみたくない 620 19.4 2.7 分からない 213 19.5 2.5

・(2)英語を使ってやってみたいこと:エ 将来英語を使う仕事をすること

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-57 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:エ 将来英語を使う仕事をすること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 416 20.9 2.1 どちらかといえばやってみたい 727 20.6 2.0 どちらかといえばやってみたくない 886 19.9 2.3

やってみたくない 888 19.5 2.7 分からない 403 19.7 2.5

・(2)英語を使ってやってみたいこと:オ 外国に行って英語を使うこと

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

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表1-58 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:オ 外国に行って英語を使うこと」への

回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1196 20.6 2.2 どちらかといえばやってみたい 937 20.1 2.3 どちらかといえばやってみたくない 544 19.7 2.3

やってみたくない 436 19.3 2.8 分からない 200 19.2 2.6

・(2)英語を使ってやってみたいこと:カ 日本のことを英語で説明すること

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-59 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:カ 日本のことを英語で説明すること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 762 20.5 2.4 どちらかといえばやってみたい 983 20.4 2.2 どちらかといえばやってみたくない 740 20.0 2.2

やってみたくない 589 19.2 2.8 分からない 249 19.4 2.4

・(2)英語を使ってやってみたいこと:キ 外国の人と英語で交流すること

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-60 項目「(2)英語を使ってやってみたいこと:キ 外国の人と英語で交流すること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1029 20.6 2.1 どちらかといえばやってみたい 971 20.2 2.2 どちらかといえばやってみたくない 614 19.8 2.3

やってみたくない 465 19.1 3.0 分からない 248 19.3 2.6

・(3)英語の授業は好きですか。

記述統計を見ると,「好き」「どちらかといえば好き」「どちらともいえない」「どちらかとい

えばきらい」の順に平均正答数が低くなっていた。また,「どちらかといえばきらい」と「きら

い」は同程度の平均正答数であった。

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表1-61 項目「(3)英語の授業は好きですか。」への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計

人数 平均正答数 標準偏差 好き 1069 20.5 2.2

どちらかといえば好き 1138 20.1 2.3 どちらともいえない 701 19.8 2.4

どちらかといえばきらい 232 19.2 2.6 きらい 169 19.2 3.1

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ア 英語の歌を歌うこと

記述統計を見ると,他の項目とは異なり「どちらかといえばあてはまる」において最も平均

正答数が高くなっていた。 表1-62 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ア 英語の歌を歌うこと」への回答

別に見た聞き取りクイズの記述統計

人数 平均正答数 標準偏差 あてはまる 691 20.2 2.3

どちらかといえばあてはまる 1041 20.3 2.2 どちらかといえばあてはまらない 802 20.1 2.3

あてはまらない 544 19.6 2.6 分からない 181 19.3 2.9

・(4)英語の授業中で楽しいと思うこと:イ 英語のゲームをすること 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-63 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:イ 英語のゲームをすること」への

回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 1965 20.2 2.3 どちらかといえばあてはまる 885 20.1 2.3 どちらかといえばあてはまらない 243 19.7 2.4

あてはまらない 170 19.1 2.9 分からない 65 18.2 3.4

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ウ 英語の発音を練習すること 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 35: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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表1-64 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ウ 英語の発音を練習すること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 727 20.6 2.3 どちらかといえばあてはまる 1106 20.2 2.3 どちらかといえばあてはまらない 836 19.9 2.4

あてはまらない 493 19.5 2.5 分からない 155 18.8 3.0

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:エ 英語で友達と会話をすること 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-65 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:エ 英語で友達と会話をすること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 922 20.6 2.2 どちらかといえばあてはまる 984 20.3 2.2 どちらかといえばあてはまらない 747 19.7 2.4

あてはまらない 500 19.3 2.6 分からない 159 19.1 2.8

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:オ 英語で先生と会話をすること 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-66 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:オ 英語で先生と会話をすること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 662 20.7 2.3 どちらかといえばあてはまる 959 20.4 2.1 どちらかといえばあてはまらない 916 19.8 2.4

あてはまらない 567 19.3 2.5 分からない 198 19.3 2.7

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:カ 外国のことについて学ぶこと

記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 36: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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表1-67 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:カ 外国のことについて学ぶこと」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 1147 20.5 2.2 どちらかといえばあてはまる 982 20.2 2.3 どちらかといえばあてはまらない 567 19.8 2.4

あてはまらない 369 19.1 2.8 分からない 150 19.1 2.7

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:キ 日本のことを英語で説明すること 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-68 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:キ 日本のことを英語で説明するこ

と」への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 513 20.7 2.2 どちらかといえばあてはまる 830 20.5 2.1 どちらかといえばあてはまらない 830 19.9 2.3

あてはまらない 561 19.5 2.6 分からない 233 19.2 2.7

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ク 日本語と英語の違いを知ること

記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-69 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ク 日本語と英語の違いを知ること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 895 20.5 2.1 どちらかといえばあてはまる 882 20.1 2.3 どちらかといえばあてはまらない 650 19.9 2.3

あてはまらない 427 19.6 2.5 分からない 225 19.1 3.1

・(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ケ 英語の表現を学ぶこと 記述統計を見ると,「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばあては

まらない」「あてはまらない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 37: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

37

表1-70 項目「(4)英語の授業の中で楽しいと思うこと:ケ 英語の表現を学ぶこと」への回

答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

あてはまる 799 20.5 2.2 どちらかといえばあてはまる 910 20.2 2.3 どちらかといえばあてはまらない 700 19.9 2.2

あてはまらない 452 19.6 2.5 分からない 293 19.4 3.0

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ア 英語の歌を歌うこと 記述統計を見ると,他の項目と異なり「どちらかといえばやってみたい」において最も平均

正答数が高くなっていた。 表1-71 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ア 英語の歌を歌うこと」への回答

別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 870 20.2 2.3 どちらかといえばやってみたい 956 20.3 2.2 どちらかといえばやってみたくない 805 20.0 2.4

やってみたくない 513 19.5 2.7 分からない 173 19.5 2.6

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:イ 英語のゲームをすること 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかとえばやっ

てみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-72 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:イ 英語のゲームをすること」への

回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 2106 20.2 2.3 どちらかといえばやってみたい 767 19.9 2.4 どちらかといえばやってみたくない 214 19.6 2.4

やってみたくない 161 19.4 2.9 分からない 67 19.4 2.7

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ウ 英語の発音を練習すること

記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 38: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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表1-73 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ウ 英語の発音を練習すること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 926 20.6 2.2 どちらかといえばやってみたい 1041 20.1 2.3 どちらかといえばやってみたくない 784 19.8 2.5

やってみたくない 422 19.4 2.6 分からない 138 19.1 2.6

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:エ 英語で友達と会話をすること 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-74 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:エ 英語で友達と会話をすること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1078 20.5 2.3 どちらかといえばやってみたい 971 20.2 2.2 どちらかといえばやってみたくない 701 19.7 2.4

やってみたくない 438 19.3 2.7 分からない 126 19.1 2.6

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:オ 英語で先生と会話をすること 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-75 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:オ 英語で先生と会話をすること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 759 20.7 2.2 どちらかといえばやってみたい 948 20.3 2.1 どちらかといえばやってみたくない 886 19.8 2.5

やってみたくない 549 19.4 2.7 分からない 169 19.1 2.7

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:カ 外国のことについて学ぶこと 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 39: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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表1-76 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:カ 外国のことについて学ぶこと」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1358 20.4 2.2 どちらかといえばやってみたい 906 20.1 2.3 どちらかといえばやってみたくない 511 19.6 2.3

やってみたくない 388 19.3 2.8 分からない 143 19.0 2.8

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:キ 日本のことを英語で説明すること 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。 表1-77 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:キ 日本のことを英語で説明するこ

と」への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 730 20.6 2.2 どちらかといえばやってみたい 879 20.4 2.1 どちらかといえばやってみたくない 862 19.8 2.3

やってみたくない 611 19.5 2.7 分からない 226 19.1 2.7

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ク 日本語と英語の違いを知ること 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

表1-78 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ク 日本語と英語の違いを知ること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 1085 20.5 2.2 どちらかといえばやってみたい 897 20.1 2.2 どちらかといえばやってみたくない 674 19.9 2.4

やってみたくない 465 19.3 2.8 分からない 195 19.3 2.7

・(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ケ 英語の表現を学ぶこと 記述統計を見ると,「やってみたい」「どちらかといえばやってみたい」「どちらかといえばや

ってみたくない」「やってみたくない」の順に平均正答数が低くなっていた。

Page 40: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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表1-79 項目「(5)英語の授業の中でやってみたいこと:ケ 英語の表現を学ぶこと」への回

答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

やってみたい 948 20.6 2.2 どちらかといえばやってみたい 894 20.2 2.3 どちらかといえばやってみたくない 740 19.8 2.3

やってみたくない 474 19.3 2.8 分からない 254 19.4 2.7

・(6)あなたは,英語の授業に進んで参加していますか。 記述統計を見ると,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参加している」「どちら

かといえば進んで参加していない」「進んで参加していない」の順に平均正答数が低くなってい

た。 表1-80 項目「(6)あなたは,英語の授業に進んで参加していますか。」への回答別に見た聞

き取りクイズの記述統計

人数 平均正答数 標準偏差 進んで参加している 835 20.6 2.2

どちらかといえば進んで参加している 1282 20.1 2.3 どちらともいえない 796 19.6 2.5

どちらかといえば進んで参加していない 258 19.8 2.3 進んで参加していない 116 19.0 3.1

・(7)英語の授業の中でやっていること:ア 英語で身近なことを言うこと 記述統計を見ると,他の項目とは異なり,「どちらともいえない」「どちらかといえば進んで

参加していない」が同程度の平均正答数であった。 表1-81 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:ア 英語で身近なことを言うこと」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

進んで参加している 920 20.7 2.1 どちらかといえば進んで参加している 1161 20.1 2.2

どちらともいえない 781 19.5 2.5 どちらかといえば進んで参加していない 230 19.5 2.7 進んで参加していない 190 19.1 2.8

・(7)英語の授業の中でやっていること:イ 英語で自分のことを言うこと 記述統計を見ると,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参加している」「どちら

Page 41: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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ともいえない」「どちらかといえば進んで参加していない」「進んで参加していない」の順に平

均正答数が低くなっていた。

表1-82 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:イ 英語で自分のことを言うこと」へ の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計

人数 平均正答数 標準偏差 進んで参加している 998 20.6 2.2

どちらかといえば進んで参加している 1108 20.1 2.3 どちらともいえない 722 19.6 2.4

どちらかといえば進んで参加していない 305 19.4 2.8 進んで参加していない 170 19.2 2.8

・(7)英語の授業の中でやっていること:ウ 英語で友達と会話をすること 記述統計を見ると,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参加している」「どちら

かといえば進んで参加していない」「進んで参加していない」の順に平均正答数が低くなってい

た。 表1-83 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:ウ 英語で友達と会話をすること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

進んで参加している 984 20.6 2.2 どちらかといえば進んで参加している 1062 20.1 2.3

どちらともいえない 761 19.6 2.5 どちらかといえば進んで参加していない 294 19.7 2.3 進んで参加していない 204 19.1 2.7

・(7)英語の授業の中でやっていること:エ 英語で先生と会話をすること 記述統計を見ると,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参加している」「どちら

かといえば進んで参加していない」「進んで参加していない」の順に平均正答数が低くなってい

た。 表1-84 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:エ 英語で先生と会話をすること」へ

の回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

進んで参加している 592 20.6 2.4 どちらかといえば進んで参加している 947 20.3 2.2

どちらともいえない 995 19.8 2.5 どちらかといえば進んで参加していない 469 19.9 2.3 進んで参加していない 290 19.3 2.6

Page 42: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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・(7)英語の授業の中でやっていること:オ 先生の話す英語を聞くこと 記述統計を見ると,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参加している」「どちら

かといえば進んで参加していない」「進んで参加していない」の順に平均正答数が低くなってい

た。 表1-85 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:オ 先生の話す英語を聞くこと」への

回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

進んで参加している 1405 20.5 2.2 どちらかといえば進んで参加している 1064 20.0 2.3

どちらともいえない 535 19.3 2.6 どちらかといえば進んで参加していない 166 19.7 2.4 進んで参加していない 144 18.9 3.0

・(7)英語の授業の中でやっていること:カ 日本のことを英語で説明すること 記述統計を見ると,他の項目と異なり,「進んで参加している」「どちらかといえば進んで参

加している」が同程度の平均正答数であった。 表1-86 項目「(7)英語の授業の中でやっていること:カ 日本のことを英語で説明すること」

への回答別に見た聞き取りクイズの記述統計 人数 平均正答数 標準偏差

進んで参加している 415 20.4 2.5 どちらかといえば進んで参加している 837 20.4 2.1

どちらともいえない 993 19.9 2.4 どちらかといえば進んで参加していない 384 19.7 2.5 進んで参加していない 294 19.4 2.6

全体的に意欲が高い児童の方が,聞き取りクイズの平均正答数も高い傾向が見て取れる。し

かし,いくつかの例外も見られた。例えば,英語の歌に関わるアンケート項目((4)ア,(5)

ア)では,「どちらかといえばあてはまる」「どちらかといえばやってみたい」を選んだ児童の

方が,より肯定的な「あてはまる」「やってみたい」を選んだ児童よりも聞き取りクイズの平均

正答数が高くなっていた。 (9) まとめ

① 平成 19 年度の結果と考察 平成 19 年度は,単語1語のみを提示する大問1や句で提示する大問2と比べると,文内で提

示する大問3の方が困難度が高くなっていた。同様に,1組の英文を聞いて4つの絵の中から

選ぶ大問5よりも,3組の英文を聞いて絵に合うものを答える大問6の方が困難度が高い結果

となった。

Page 43: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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大問を,「単語:基本的語彙・複数の語彙・基本的動詞の理解(大問1~3)」「教室英語:教

室英語の理解(大問4)」「会話:対話文・日常会話の理解(大問5・6)」「概要理解:まとま

った文の概要理解(大問7)」の4つのカテゴリーに分類したところ,「概要理解」が最も困難

度が高く,次に「会話」が困難度が高かった。

「概要理解」では5割を超える児童が3問中1問以下の正答数であった。3文すべてを細か

いところまで聞き取らなければならないことや,複数の情報を聞いて整理しなければならない

ことが理由だと考えられる。

一方,「単語」は,9問中8問以上の正答者が8割,7問以上の正答者が9割を超え,ほとん

どの児童が基本的な語彙を理解できていると言える。

年間授業時間数との関連を検討するため,調査実施時である第5学年次の年間授業時間数を

基に,1~11 時間(4校,285 名),12~22 時間(6校,411 名),23~35 時間(32 校,1,895

名),36~90 時間(11 校,721 名)に児童を分類し,小問ごとに正答率を分析したところ,全

体的に,年間授業時間数が1~11 時間の群を除くと正答率が右上がりになる場合が多かった。

年間授業時間数との関連を,4つのカテゴリー別に全問正答者の割合で見ると,「単語」と「教

室英語」は共に1~11 時間を除くと右上がりであるが,12~22 時間では極端に低い。「会話」

は1~11 時間を除くと右上がり。ただし,23~35 時間,36~90 時間では大きく上昇している。

「概要理解」は 10%前後でほぼ横ばいである。

② 平成 20 年度の結果と考察

大問ごとの傾向は平成 19 年度とほぼ同様であったが,平成 20 年度に新たに加えて出題した

大問7(質問の意図の理解)は,大問5,大問6と比較すると英文を聞く量は少ないが,困難

度は高かった。この大問は疑問文が流れ,それに対する答えに該当する絵を選ぶ問題であるが,

流れてくる疑問文の質問の意図を理解した上で,最も適当な答えを選ぶという形式のために困

難度が高くなっていると考えられる。

新たに加えた大問7を「応答」とし,平成 19 年度の4つのカテゴリーと合わせた5つのカテ

ゴリーで分析したところ,やはり「概要理解」が最も正答率が低く,次に新設の「応答」が続

いた。単語・句・文単位で音声が流れる問題よりも,2文以上の音声が流れる問題の方が困難

度が高くなっており,また疑問文の意図を理解した上で答える問題も困難度が高かった。

「単語」は,9問中8問以上の正答者が9割近くに上り,ほとんどの児童が基本的な語彙を

理解できていると言える。

一方,「応答」では,全問正答者と2問正答者を合わせても6割に満たない。適切な応答を選

ぶことは,産出能力の前段階の能力と関わっていると考えられるため,聞こえた音声と一致す

る絵を選ぶ問題などと比較すると,より高度な能力を求めている問題であると考えられる。

また,「概要理解」では1問しか正答できなかった児童と全問誤答であった児童を合わせると

5割を超える。「会話」と異なり,3文すべてを細かいところまで聞き取らなければならないこ

とや,複数の情報を整理しなければならないことが,困難度が高かった理由だと考えられる。

年間授業時間数との関連を検討するため,調査実施時である第6学年次の年間授業時間数を

基に,1~11 時間(4校,289 名),12~22 時間(5校,347 名),23~35 時間(36 校,2,141

名),36~90 時間(8校,559 名)に児童を分類し,小問ごとに正答率を分析したところ,全体

的な傾向としては,平成 19 年度同様に,年間授業時間数が1~11 時間の群を除くと正答率が

Page 44: 1 小英調査報告q L 0903221942 - NIER...2 図1-2 大問2の問 大問3は,「基本的動詞の理解」を問う3つの小問からなる。“I walk to school.” “I swim

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右上がりになる場合が多かった。

年間授業時間数との関連をカテゴリー別にみると,4つのカテゴリーについては平成 19 年度

と同じ傾向が見られ,新設の「応答」については,1~11 時間を除くと右上がりであった。

③ 平成 19 年度と平成 20 年度の聞き取りクイズの結果の比較

全体を通して,大問8(24)を除いて,平成 20 年度の方が正答率が高かった。平成 19 年度

と平成 20 年度で正答率に大きな差があった小問は(10),(15),(18)である。

大問ごとに見ると,特に大問4,大問5,大問6において差が顕著である。

④ おわりに

全体的には,年間授業時間数が1~11 時間の児童を除くと,年間授業時間数が増えるにつれ

正答率が上昇する場合が多かった。また,英語に対して意欲的であるほど,聞き取りクイズで

正答しやすい傾向を示していた。ただし,この調査の結果から,年間授業時間数の分類や英語

に対する姿勢との関連において,英語を聞いて理解する力と英語活動等との因果関係や影響の

強さを論じることには,慎重にならなければならない。

今回得られた結果を基に,継続的に児童の英語を聞く力について調査を行い,年間授業時間

数のみならず活動の種類や内容等についても十分な検討を加えていく必要があるだろう。それ

により,さらに有益な資料を得ることができ,小学校の外国語活動に示唆を与えるものと考え

られる。