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2019年9⽉17⽇ 慈恵ICU勉強会レジ1 鈴⽊ 亜沙美
Introduction
CV catheterization
Purposes• Hemodynamic monitoring • Renal replacement
• Rapid fluid resuscitation• Parenteral nutrition • Medication
Complications• Arterial puncture• Hemothorax
• Pneumothorax• Infection• Anatomical variation
Limitations:
Landmark-based method
超⾳波 vs. ランドマーク法
ランドマーク法︖︖
By ねじ⼦の秘密⼿技
Anatomical variation of IJV
SCVのランドマーク法• 古典的には、鎖⾻下窩(鎖⾻・⼤胸筋・三⾓
筋でできる三⾓のくぼみ)から鎖⾻と第⼀肋⾻を抜けるように穿刺すると表現される
Visualization of aspiration sites
超⾳波 vs. ランドマーク法
• 超⾳波ガイド下とランドマーク法の合併症率を⽐較• ⼼移植患者を対象とし、超⾳波群628⼈/ランドマーク群302⼈が
IJVにCVを挿⼊Results超⾳波︓動脈穿刺1.7%、腕神経叢刺激0.4%、⾎腫0.2%
ランドマーク法︓動脈穿刺8.3%、腕神経叢刺激1.7%、⾎腫3.3%Denys BG, et al. (1993) Circulation 87:1557–1562
Which site is better?
参考①
• 2000年6⽉までのデータを⽤いた。• ランダム化試験はなく、17の前向きの観察研究を分析した
• IJV 2085例, SCV 2428例 が⽐較されていた。• 1試験は⼩児が対象、残り16試験は成⼈が対象• 外科患者もしくはICU患者が対象
動脈穿刺
• 6つの試験の合計ではSVCの⽅が少なかった
カテ先迷⼊
• 6つの試験でIJVの⽅が少なかった
気胸・⾎胸
• 9つの試験で⽐較して差はない
IJV vs. SCV のまとめ
• 観察研究においてはIJVとSCVを⽐較すると、IJVの⽅がカテ先迷⼊が少ないが動脈穿刺が多いとの結果だった。
• 全体としての合併症率の⽐較はなかった。
参考②
• ICUにおけるランダム化試験• SCVはFemoralとIJVに⽐べ感染・症候性DVTが少なかった。
• しかしSCVは機械的合併症が多かった。→穿刺⽅法が超⾳波ガイド下もしくはランドマーク法となっていた。
Introduction
• CV穿刺に関わる合併症(気胸や動脈穿刺など)や穿刺後の合併症(感染や⾎栓)などに関して、穿刺部位や穿刺⽅法に注⽬して様々な観察研究がなされている。
→SCVの⽅が合併症が少ないのではという仮説がたった。• 当院では、周術期・ICU患者でも多くはIJVに超⾳波ガイド下でCV
穿刺をすることが多い。→SCVという選択肢もある︖
Methods
Setting: 3施設 韓国 前向き多施設ランダム化試験Duration:02/2012-04/2018
Participants: 20-80歳の⼿術を受ける患者でCVが必要な⽅
Excluded• 穿刺部位に何らかの外科的処置を受けた• 72時間以内に穿刺予定部位にCV挿⼊が
されていた• 穿刺部位に感染症・⾎腫がある
• 最近頸部の外傷があった• 頚を動かしてはいけない術後
• 凝固異常のある⼈(INR>2、Plt<5万)
• 緊急⼿術• 3回以上の穿刺歴のある⼈
• 胸郭奇形のある⼈• 胸部⼿術を受けたことがある⼈
• 穿刺部位に解剖学的異常がある⼈
右IJV 右SCV • 1︓1に割り付け• ランダム化は、研究に
参加していない⿇酔科医によって⾏われた
• 穿刺はどちらも右に
General anaesthesia
• 前投薬︓ミダゾラム0.03mg/kg• プロポフォール2mg/kg
セボフルランレミフェンタニル(効果部位濃度4ng/kg)ロクロニウム0.6mg/kg
→導⼊が終了後にCV挿⼊
CV catheterization• 2年間でIJV 200件、SVC50件以上をUSガイド下で実施したことが
ある⿇酔科医6⼈で実施
• プレスキャンで動静脈の同定、⾎栓がないことを確認• クロルヘキシジンで消毒、ドレープをかける
CV catheterization• リニアプロ―ベを⽤いて、18G/6.5cmの針でSeldinger法で実施• Arrow のダブルルーメンCVカテーテル
• SonoSite S-nerve• IJV︓交差法• SCV︓平⾏法
• 穿刺後にレントゲンで位置を確認
超⾳波ガイド下SCV穿刺• 鎖⾻下から腋窩静脈~鎖⾻下静脈を描
出する。
• Acoustic shadowを頼りに第⼀肋⾻を同定し、腋窩静脈と鎖⾻下静脈の境⽬を探す。
• 平⾏法で、第⼀肋⾻のacoustic shadowをめがけて針を進める。
→胸膜・肺の損傷を避けれる。• 後はIJVと同様の⼿順でカテーテルを
留置する。
Crit Care Med 2011 Vol. 39, No. 7
Outcomeの設定<Primary outcome>合併症発⽣率
合併症︓動脈穿刺(拍動性の逆流があったもの)気胸・⾎胸
<Secondary outcome>穿刺回数(成功するまでの)穿刺時間(針を刺してから逆⾎が来るまで)カテ先迷⼊カテ留置までの時間
Sample Sizeの決定• 超⾳波ガイド下での合併症発⽣率を検討する前向き観察研究• ⾎液腫瘍内科でCVが必要な患者が対象• 1978回の穿刺が1660⼈に実施された。580回が⾎液腫瘍、1398回が固
形がんの患者であった。Results• 気胸・出⾎・神経損傷0%、動脈穿刺0.3%、穿刺失敗0.9%、⾎腫0.2%
全体の合併症率は1.4%• 上肢のDVT2.42%、CV感染9.96%、2.9%が感染、⾎栓、閉塞などでCV
を抜去した。Cavanna et al. World Journal of Surgical Oncology 2010, 8:91
Sample Sizeの決定
667⼈ずつのグループにおいて、合併症率2.3%80%の検出率、5%信頼区間
10%が離脱するとして1484⼈と設定された
Statistic Analysis
• Shapiro-Wilk Test• T検定 or Mann-Whitney U検定
• Χ2検定 or Fisherの正確検定• SPSSversion22
Results
Characteristics• 年齢の中央値は64歳、男⼥ほぼ半々• BMIの中央値は23• 脳外科・腹部外科が約30%
⼼臓/⾎管外科が約17%整形が2%、泌尿器が1%
• 併存症は⾼⾎圧が50%、DMが10%、CKD、虚⾎性⼼疾患、脳⾎管疾患、慢性肺疾患が数%ずつ
穿刺までの時間
1回⽬の穿刺で成功
カテ先の位置
合併症発⽣率 0.1% 0.7%
<
Discussion • 処置による合併症発⽣率はとても低く、SCVとIJVで⼤きな差はないが、
SCVでは穿刺時間が⻑く、迷⼊も多かった。
<合併症が低いのは、、、>• USは穿刺⾎管の描出を可能にし、穿刺のすべての過程をモニターできる。Randolph AG, et al.(1996) Crit Care Med 24:2053–2058 ,Hind D, et al.(2003) BMJ 327:361,Schmidt GA, et al.(2019) Intensive Care Med 45:434–446
• USガイド下穿刺は、ランドマーク法に⽐べ
<IJV> 動脈誤穿刺を72%減少、穿刺時間を30.2秒短縮、穿刺回数も1.19回減少させた。
Brass P, et al.(2015) Cochrane Database Syst Rev 1: CD006962
<SCV>動脈穿刺を79%減少、⾎腫形成を74%減少Brass P, et al.(2015) Cochrane Database Syst Rev 1: CD011447
IJV SCV
USでの⾒えかた アーチファクト少 ⾻のアーチファクト
上⼤静脈まで まっすぐ ⼤きくカーブする
Limitation• 事後分析を⾏った結果、検定⼒が弱かった可能性(power 41% )• 熟練した⿇酔科医による⼿技であった
• 予定⼿術での成績であり、緊急の状況では異なる可能性• 全⾝⿇酔下でおこなわれた。
⼼臓⼿術後の局所⿇酔下での穿刺⽐較: ⾼い合併症率(14%)と低い1回⽬の穿刺成功率(64%)
Limitation
• 平均BMIが23―肥満者ではエコーで描出が難しい。• 腋窩静脈を穿刺をしている可能性
• ⼿技の違い 平⾏法vs交差法• 実施場所による違いが考慮されていない
平⾏法か交差法か
• 190⼈の⼼臓⾎管⼿術の術後にSCVにCV挿⼊が必要と判断された患者を1︓1にランダム化して割り付け
• 平⾏法も交差法も同じくらい経験のある3-6年⽬以上の⿇酔科医
<交差法>・動静脈、胸膜ラインが⾒えるビュー・45°の⾓で刺⼊・針が⾎管を穿刺するまでエコーで描出
<平⾏法>・静脈のみ⾒えるビュー・30°の⾓度でプローベの端から刺⼊・全⾏程で針の全体像が⾒えるように
交差法 平⾏法
成功率
合併症率 3% 14%
穿刺時間
>
>
>
動脈穿刺感染⾎腫⾎栓
Conclusion
• USガイド下での、IJVまたはSCVの穿刺では合併症発⽣率に差がなかった。
• さらにUSガイド下では合併症の発⽣率すらとても低い。
→USガイド下において、SCVとIJVではどちらが有意であるという結果はでなかった。
私⾒
• 緊急的な状況の場合、⼿術前の場合などは穿刺時間が⻑くかかるSCVは不利
→IJVが好まれる• エコーで描出さえできれば、穿刺にかかわる合併症発⽣率は低い• 感染症の発⽣率や患者の快適性を考慮するとSCVの⽅がよい
→⻑期留置が考えられる慢性疾患・癌患者などはSCVが好まれる