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1 1.光伝導効果と光伝導素子 2.光起電力効果と太陽電池 3.通信用フォトダイオード

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1.光伝導効果と光伝導素子 2.光起電力効果と太陽電池 3.通信用フォトダイオード

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1.光伝導効果と光伝導素子 半導体に禁制帯幅以上のエネルギーを持つ光子が入射した場合、価電子帯の電子が伝導

帯に励起される。この結果、価電子帯に正孔が伝導帯に電子が一対光生成される。光生成

したキャリアは、半導体の外部から電界をかけることにより移動し、電流として寄与する。

これを光導電効果(あるいは内部光電効果)とよぶ。光生成キャリアは半導体に電界が無

い場合移動することができない。半導体には熱平衡状態で定まる電子と正孔が存在するた

め、光生成キャリアはキャリアの注入と見なされる。従って、光の照射の無い場合、外部

から印加した電界により半導体に流れる電流密度 J は J=σE

である。ここで、導電率σは、 σ= neμe + peμh

である。 光照射によりΔn = Δp のキャリアの増加を生じる。従って光照射下での導電率σphは

σphは= (n+Δn)eμe + (p+Δp)eμh

である。光照射による導電率の増加分Δσは Δσ=σph-σ= Δneμe + Δpeμh

である。光生成した電子正孔対の数を g (cm-3 s-1)とすれば、 Δn = gτe Δp = gτh

であるから、 Δσ=σph-σ= gτe eμe + gτh eμh =ge(μeτe +μhτh)

と表され、導電率の変化は移動度μと寿命τの積であるμτ(通常μτ積とよぶ)で決ま

る。 光による導電率変化Δσが求まれば、光電流ΔIが求められる。光導電体の長さを l、断

面積を S、電界をE、印加電圧をVとすればΔIは、 ΔI=ΔσE x S =Δσ(V/l) x D =ΔσS(V/l)

となる。 ΔI= ΔσS(V/l) = Ge(μeτe +μhτh)S(V/l) = (gS l)e(μeτe +μhτh) (V/l2) = (g S l) e(μeτe +μhτh) (V/l) x (1/l) μe(V/l) =μe E = vde μe(V/l) x (1/l) = vde /l = 1/Te

ここで、l / vde = Te [電子走行時間] 同様に、l / vdh = Th [正孔走行時間]

である。よって、 ΔI= (g Sl) e(τe/ Te +τh/ Th)

光生成した電子正孔対の数 g(cm-3 s-1)に体積 Sl をかけた gSl は単位時間に半導体中に生成

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した電子正孔対数である。 ΔI= (gSl) e(τe/ Te +τh/ Th)

より、走行時間に対する寿命 τe/ Te +τh/ Th が光導電体の光に対する感度特性をあらわす

指数であり、これを光導電利得 G という。 G =τe/ Te +τh/ Th

大きな光電流を得るには利得係数が大きいことが重要で、寿命が長く走行時間が短いこ

とが必要である。

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2.光起電力効果と太陽電池 半導体に光が照射され、光導電効果が生じていると仮定する。半導体内部に電界が無け

れば、光生成されたキャリアは電界によるドリフトで光電流に寄与することができない。

しかしキャリアの空間的不均一分布がある場合や、pn接合の空乏層のような電界が存在

している場合、キャリアの拡散やドリフトにより電子・正孔濃度の平衡がやぶれ、起電力

が発生する。この効果を光起電力効果とよぶ。 光が照射された半導体中に電界が存在する場合、電子は電界と逆方向に正孔は電界と同

じ方向にドリフトする。従って電子と正孔は電界により反対方向に分離される。電界によ

って生じたキャリアの移動により半導体に光起電力が生じる。このように電子と正孔を分

離する内蔵電界を生じさせる例としては、人工的に作製されたpn接合、金属・半導体接

触や半導体・電解液界面などの界面を有するもののほかに、表面、結晶粒界など自然に存

在するものがある。これらはいずれもフェルミレベルや電子親和力の違いにより、非常に

強い内蔵電界を生じさせる。たとえばpn接合の空乏層では 104~105 V/cm もの大きな電

界が存在する。 2.1 太陽電池の原理 実用化されている太陽電池は、広い面積を持

ったpn接合ダイオードであり、光起電力効果

を引き起こす為の電界はpn接合の空乏層の

電界である。図1は単結晶シリコン太陽電池の

模式図である。p形のSi基板の表面に薄いn

形層が形成されている。光照射により電子はn

形層上部の電極に、正孔はp形基板下部の電極

に集められ、両電極間には内蔵電界できまる電

圧が発生する。上が負極に下が正極になる。ま

た、照射フォトン数に比例する電流が外部に取り出される。 2.2 太陽電池のエネルギー変換効率 太陽電池のエネルギー変換効率は、入力となる太陽輻射光のエネルギーと太陽電池から

取り出せる電気エネルギーの比として定義され、パーセント表示される。変換効率ηは、 [太陽電池の電気出力]

η = ____________________________________ x 100 (%)(1) [太陽電池の入射太陽光のエネルギー]

として定義される。地上用太陽電池について、太陽輻射光の空気質量透過条件がAM1.

5で、入射光電力が 100 mW/cm2 という条件での最大負荷時での電力を太陽電池の電気出

力として定義された変換効率が公称効率とよばれる。

図1 単結晶シリコン太陽電池

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図2に太陽電池のpn接合を示す。表面から深さdに接合が存在し、電子の拡散長を Le

正孔の拡散長を Lh、空乏層の幅をWとする。表面から x の位置における電子正孔対の生成

率 g(x)は、Φを光束密度とすれば、位置 x の光吸収-dΦ/dx に比例する。光吸収係数をαと

すれば Φ=Φ0 exp-αx (2)

であるから光吸収の割合は、 -dΦ/dx=Φ0αexpαx (3)

である。光電量子効率をγとすれば、電子正孔対の生成率 g(x)は、 g(x) =γΦ0αexpαx (4)

である。 光起電力効果に寄与するキャリアは、空乏層

の端から少数キャリアの拡散長の範囲にある

ものが収集される。 n領域では g(x) に exp[-(d-x)/Lh]を乗じたもの

を x=0 から d まで積分して ʃ0

dg(x) exp[-(d-x)/Lh]dx (5) 同様にp領域に対して、

ʃdd+Leg(x) exp[-(x-d)/Le]dx (6)

この和をとることにより光電流を求めることができる。 実際の太陽電池では、光の侵入深さに対してdを浅くとり、

αLe ≪ 1 αLh ≪ 1

として、キャリアの収集を有効にしている。 半導体のpn接合を太陽電池として利用する場合、光感度スペクトルと太陽輻射エネル

ギーのスペクトル分布とのマッチングが重要で、これらの重なりが大きいほど変換効率が

高くなる。 pn接合の光感度の長波長は半導体の禁制帯幅で決まり、感度スペクトルの形状は、素

子構造と半導体の物性定数である拡散定数およびに光吸収スペクトルで決まる。従って、

これらが変換効率の理論限界を決める。 短絡光電流は、

Isc = ʃ0∞IL(λ)dλ = eAγ(Le+Lh) ʃ0∞Φ(λ)α(λ)e-α(λ)ddλ (7) となる。

図2 太陽電池のpn接合

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pn接合中では、電流はn側からp側へ流れる。 p側を正とすれば、太陽電池の電圧-電流特性は、 I=Io[exp(eV/nkT)-1] - Isc (8) と表される。ここで Io は逆方向飽和電流である。 太陽電池を開放にしたとき、光電流の大きさにより光起電力が生じる。これを開放電圧

とよび、(8)式で I=0 としたとき V = Voc として、次

式で表される。 Voc = (nkT/e) ln{Isc/I0 + 1} (9)

(8)式を図示すれば図3に示すようになる。 太陽電池から負荷に供給する電力が最大の電圧を Vmax、

電流を Imax とし、これを最適負荷点(図3中のP点)

としてこの電力を Pmaxとする。Pmaxを求める。 太陽電池から負荷へ供給される電力 Poutは、 Pout = V・I = V・{Isc - Io[exp(eV/nkT)-1]} (10) 最適負荷点は

dPout/dV = 0 (11) で与えられ、最適動作電圧 Vmax、および最適動作電流

Imaxは次式で与えられる。

exp(eVmax/nkT) (1+eVmax/nkT) = (Isc/I0) + 1 (12) Imax = (Isc + I0)( eVmax/nkT)/{1 + ( eVmax/nkT)} (13)

受光面積をSとすれば、 η0 = Vmax・Imax/PinS x 100 (%) = Voc・Isc・FF/PinS x 100 (%)

で与えられる。 ただし FF は曲線因子と呼ばれ、

FF = Vmax・Imax / Voc・Isc (14) で定義される。 2.3 太陽電池の等価回路 太陽電池の等価回路は図4で表されるようにpn接合ダイオードと電流源の並列回路で

表される。ここで、電流源は太陽光による光電流であり、短絡電流である。従って、太陽

電池の出力特性は、pn接合ダイオードの電圧電流特性と類似しており、これを短絡電流

だけ電流をシフトして得られることがわかる。実際にはこれに直列抵抗 Rsがあり、これが

pn接合から電極を通して外部に流れ出る出力電流を制限する。また、pn接合部の漏れ

図3 pn接合太陽電池の電圧-電

流特性

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電流に起因した並列抵抗 Rshがあり、等価回路ではpn接合と並列回路として示される。光

電流の一部は Rshを流れるため、Rshが小さい場合負荷時の電流が小さくなる。 図4の等価回路に基づいて太陽電池の電圧電流特性を求めると(8)式を参考にして次

式で表される。ただし負荷特性を示す為に、電流の向きは(8)式と反対にとってある。 I= Isc - [ Ioexp{(eV+RsI)/nkT}-1] – (V+RsI)/Rsh (15) 太陽光の強度が小さく光電流が小さいときは、ダイオード電流 Idと漏れ電流 Vd/Rshが同

レベルとなるため、電流は並列抵抗 Rshの影響を受けやすい。この場合、太陽電池の電圧電

流特性は(15)式において直列抵抗 Rsをゼロと近似して次式で与えられる。 I= Isc – { Ioexp(eV/nkT)-1} – V/Rsh (16) 太陽光の強度が強く光電流が大きいときは、Id>>Vd/Rshとなるため、並列抵抗 Rshの影響

を受けにくい。この場合、太陽電池の電圧電流特性は(15)式において並列抵抗 Rshを無

限大と近似して次式で与えられる。 I= Isc - [ Ioexp{(eV+RsI)/nkT}-1] (17)

これらの結果から、以下のことが定性的にわかる。 直列抵抗 Rs は開放電圧 Voc にほとん

ど影響を与えないが短絡電流 Iscを低下させる。 一方で、並列抵抗 Rshは短絡電流 Iscにほ

とんど影響を与えないが開放電圧 Vocを低下させる。

図4太陽電池の等価回路

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並列抵抗 Rshの影響 直列抵抗 Rsの影響

図5 太陽電池の出力特性に与える 並列抵抗 Rshの影響

図6 太陽電池の出力特性に与える直

列抵抗 Rsの影響

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2.4 太陽電池の変換効率 太陽電池の変換効率を半導体の光吸収スペクトルから求めた短絡電流 Isc を用いて、太陽

電池の感度スペクトルと太陽光のスペクトルの整合により制限される、すなわち太陽光の

スペクトルと太陽電池の整合が半導体の光吸収スペクトルのみにより制限されると仮定し

た場合の変換効率が、理論限界効率と呼ばれる。図7に太陽電池の輻射スペクトルを示す。 図8に太陽電池に用いられる主な半導体の光吸収スペクトルを示す。光吸収スペクトルか

ら計算した理論限界効率を図9に示す。理論限界効率は、単一のホモ接合に対する理論限

界であることに注意したい。また図8に示す理論限界効率は、入射光の条件がエアマス1.

5(AM1.5)の太陽光スペクトルのもとで 100 mW/cm2強度の太陽光に対して計算さ

れたものである。これからわかることは、禁制帯幅が約 1.5eV 付近で理論限界効率は最大

値をとり、その値は約 30%であることがわかる。禁制帯幅が約 1.5eV の半導体の一例とし

ては GaAs(Eg=1.43 eV,直接遷移)があり、理論限界効率の 28.5%に対して、研究段階で 25%の変換効率が得られている。太陽電池で最も多く

生産されているシリコン太陽電池(Si:Eg=1.1 eV, 間接遷移)では、理論限界効率の28.0%に対して、

研究段階で 24.2%の変換効率が得られている。薄

膜太陽電池の一例であるアモルファスシリコン

太陽電池では、理論限界効率の 25.5%に対して、

pin形の単一接合素子に対して研究段階で 13%の

変換効率が得られている。

図8 太陽電池の変換効率と禁制帯幅

図8 太陽電池に用いられる主な半導

体の光吸収スペクトル

図7 太陽電池の輻射スペクトル

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太陽電池の変換効率を決める要因 太陽電池の効率を決める要因としてまず考えなければいけないことに、半導体の光吸収

特性がある。これは真性的な損失であり、次の2つにより損失が生じる。 ① 禁制帯幅以下のエネルギーの光子が吸収できない(半導体を透過する為に利用できな

い)。 ②禁制帯幅以上のエネルギー(hν)の光子を吸収した場合、1光子あたりバンドギャッ

プとのエネルギー差(hν-Eg)を生じる。 したがって、太陽光スペクトルを考えた場合、太陽光に含まれる光子の中で禁制帯幅以上

のエネルギーの光子に対して、hνのエネルギーを持つ光子数とエネルギー差(hν-Eg)

に対する損失の両方を考慮して得られる理論的効率はショックレイ・クワイサー限界効率

と呼ばれる。太陽電池に入射するすべての光子が吸収される(表面での反射や散乱が無い)。

したがって1つのホモpn接合を持つ太陽電池の変換効率はこの限界効率をこえることは

決してできない。 実際の太陽電池はこれらの2つの損失に加えて次の損失を有する。 ① 禁制帯幅以上のエネルギーの光子が太陽電池表面での反射や散乱で失われることによ

る損失。これは太陽電池が感度を持たない短波長領域での光の反射や散乱による損失であ

り、低減できない損失である。これは太陽電池の感度スペクトルの短波長での応答をきめ

る要因の一つである。一方で太陽電池のスペクトル感度を有する波長の光に対して、スペ

クトル感度スペクトルと太陽光スペクトルとのマッチングは重要である。太陽電池のスペ

クトル感度を有する波長の光の反射による損失は、無反射コーティングにより低減させる

ことができる。 ② キャリアの表面再結合による損失。これは、吸収された光子により生じたキャリアが

半導体表面あるいは背面電極との境界面で再結合することにより、光電流に寄与できない

ことによる損失である。 ③キャリアの界面再結合による損失。これは、吸収された光子により生じたキャリアがヘ

テロ接合の界面で再結合することにより、光電流に寄与できないことによる損失である。

④キャリアのバルク再結合による損失。これは、吸収された光子により生じたキャリアが

半導体の光吸収層内部で再結合することにより、光電流に寄与できないことによる損失で

ある。結晶の不完全性や不純物による深い欠陥・不純物準位による間接再結合が要因と考

えられる。ショックレイ・リード・ホール統計を用いて計算されることが多い。このとき

に少数キャリアの寿命が再結合の目安として用いられる。 ⑤直列抵抗による損失。太陽電池から負荷へ電流を供給する際に、半導体のバルク抵抗や

電極内の抵抗においてジュール損として失われるエネルギーである。 ⑥電圧低下による損失。開放電圧がpn接合において不純物濃度で決まる拡散電位に達す

ることができないこと、およびキャリア濃度が低い為に拡散電位が禁制帯幅に比べて低く

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なることによる損失である。一般的に、キャリアの再結合により開放電圧が低下する。太

陽電池からの電気出力は電圧と電流の積である。電流は入射した光子により生成されたキ

ャリアがpn接合の電界で分離されて生じる為、量子効率できまる値となる。しかし、電

圧はpn接合の特性できまる電流の従属変数であるため、pn接合の特性自身を良くする

ことが電圧の向上に必要であり、これが従って出力および変換効率の向上に重要な要素で

ある。特に薄膜系の太陽電池の開放電圧は禁制帯幅と比べて低く、開放電圧の向上が変換

効率の向上にむすびついている。

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2.5 太陽電池とバンド図 ホモpn接合太陽電池 pin接合太陽電池 ヘテロ接合太陽電池

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2.6キャリア収集効率 太陽電池に理想的な白色光が照射されたときの光生成キャリアの収集に基づいて、太陽

電池の感度スペクトルを内部量子効率であらわしたスペクトルをキャリア収集効率スペク

トルとよぶ。キャリア収集効率は、素子のバンドプロファイルについて、光生成により生

じる少数キャリア連続の方程式を解いて、pn接合に集められるキャリア数を求めること

により計算される。図 2.6 は光生成キャリア数(波線)と収集される光励起キャリア(実線)

を(a) はホモ接合と (b) はヘテロ接合に対して示したものである。

図 2.6 光生成キャリア数(波線)と収集される光励起キャリ

ア(実線)。(a) はホモ接合 (b) はヘテロ接合の例である。

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図8 ヘテロ接合の窓効果