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20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

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Page 1: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

2013年2月3日(日)  金融経済読書会light

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目次

•  第1章 そもそも金融とは何か  •  第2章 日本銀行は「銀行の銀行」だ  •  第3章 日本銀行は「政府の銀行」だ  •  第4章 日本銀行は「発券銀行」だ  •  第5章 紙幣はいくらでも発行できる?  •  第6章 日銀はこうして誕生した  •  第7章 「公定歩合」はなくなった  •  第8章 日銀の政策委員会とは  •  第9章 ゼロ金利政策で悪戦苦闘  •  第10章 景気の動向を常に監視  •  第11章 FRBは「アメリカの日銀」  •  第12章 金融グローバル化時代の日本銀行  

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日本銀行にどんなことを  期待しますか?

Page 4: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

日本銀行の役割

• 金融機関同士の決済手段 • 準備預金制度

•  後の貸し手

銀行の銀行(第2章)

• 国庫金の管理 • 国債発行の事務

政府の銀行(第3章)

• 紙幣の発行(製造しているのは国立印刷局) • 強制通用力

• 偽造防止

発券銀行(第4章)

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物価の安定  (本書第7章 P92)  

金融システムの安定  

日本銀行法 第1条第1項    -­‐日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節を行うことを目的とする。

日本銀行法 第2条    -­‐日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。  

日本銀行法 第1条第2項      -­‐日本銀行は、前項に規定するもののほか、銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の維持に資することを目的とする。

日本銀行の目的とは?

(出所)日本銀行ホームページ

金融政策

Page 6: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

 

金融政策 (第7章)

決済システム (第2章)

金融機関の規制・監督 (第10章)

後の貸し手 (第2章)

政府の銀行 (第10章)

日本銀行 ○ ○ ○

(金融機関考査を実施) ○ ○

FRB (11章)

○ ○ ○

(他の監督当局も存在) ○ ○

ECB ○ ○    

 

イングランド銀行 ○ ○   ○ △(DMOと呼ばれる組織

の役割が大きい)

(出所) 白川方明(2008)

【参考】主要国中央銀行の役割・活動

Page 7: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

各国金融政策の目的

日本  (日本銀行法)

米国  (Federal  Reserved  Act)

ユーロエリア  (マーストリヒト条約)  

英国  (イングランド銀行法)  

物価の安定

物価の安定  雇用の 大化  

長期金利の安定  

物価の安定

物価の安定

Page 8: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

•  【第3章(政府の銀行)】  –  日銀のような中央銀行の場合、お札を勝手に刷るわけにはいきません。お札の価値の

裏付けとなるモノ(例えば国債)と引き換えに紙幣を発行します(P69)。  

→日本銀行誕生の歴史へ  

•  【第7章(公定歩合)】  –  物価の安定のために、日銀は金利のコントロールをしています。これを「金利調節」と

いいます(P94)。  →公定歩合の歴史へ。基準貸付利率、ゼロ金利政策、量的緩和、CP買い取りの説明。  

•  【第9章(ゼロ金利政策)】  –  景気をコントロールするために金利を上下させる。これが日本銀行の大事な役割の一

つですが、どの段階で金利を上げたり下げたりするか、その判断は困難を極めます(P146)。  

→ゼロ金利政策、量的緩和政策の歴史。市場の期待、時間軸効果、インフレ目標。

金融政策の施策

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政策金利 推移

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2  

3  

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5  

6  

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8  

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1985

年7月

1986

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1987

年1月

1987

年10

1988

年7月

1989

年4月

1990

年1月

1990

年10

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年7月

1992

年4月

1993

年1月

1993

年10

1994

年7月

1995

年4月

1996

年1月

1996

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1999

年1月

1999

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2000

年7月

2001

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2002

年1月

2002

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2003

年7月

2004

年4月

2005

年1月

2005

年10

2006

年7月

2007

年4月

2008

年1月

2008

年10

2009

年7月

2010

年4月

2011

年1月

2011

年10

2012

年7月

基準貸付利率

無担保コールレート

(出所)日銀

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あれ、金融政策ってお金を  刷る政策じゃないの?

Page 11: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

ベースマネーとマネーストックの違い

ベースマネー

マネーストック

現金(日本銀行発券発行高+貨幣流通高)  +  

日銀当座預金(第2章)

M1=現金通貨+預金通貨 M2=現金通貨+国内銀行等に預けられた預金 M3=M1+準通貨+CD(譲渡性預金)=現金通貨+全預金取扱

機関に預けられた預金 広義流動性=M3+金銭の信託+投資信託+金融債+  

銀行発行普通社債+金融機関発行CP+国債+外債

※  現金通貨:銀行券発行高+貨幣流通高

預金通貨:要求払預金(当座、普通、貯蓄、通知、別段、納税準備)−調査対象金融機関の保有小切手・手形  M1:対象金融機関(全預金取扱機関):M2対象金融機関、ゆうちょ銀行、その他金融機関(全国信用協同組合連合会、信用組合、労働金庫連合会、労働金庫、信用農業協同

組合連合会、農業協同組合、信用漁業協同組合連合会、漁業協同組合)  M2:対象金融機関:日本銀行、国内銀行(除くゆうちょ銀行)、外国銀行在日支店、信金中央金庫、信用金庫、農林中央金庫、商工組合中央金庫 M3:対象金融機関:M1と同じ。

準通貨:定期預金+据置貯金+定期積金+外貨預金 広義流動性: 対象機関:M3対象金融機関、国内銀行信託勘定、中央政府、保険会社等、外債発行機関

 

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日銀でコントロールできるマネーとは

中央銀行による公開市場操作

マネーストックの増減  銀行貸出(信用創

造)を通じて、マネーストックに波及

ベースマネーの増減  (日銀にある各銀行の当座預金)  

買いオペ・売りオペ  (第7章)  量的緩和  (第9章)

第9章 P164  

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マネタリーベースとマネーストックの時系列推移

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2001  

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2006  

2007  

2008  

2009  

2010  

2011  

2012  

前年増減率

ベースマネー マネーストック

0  

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0  

2,000,000  

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6,000,000  

8,000,000  

10,000,000  

12,000,000  

2003  2004  2005  2006  2007  2008  2009  2010  2011  2012  

残高

ベースマネー マネーストック

(出所)日本銀行  マネーストックはM3季節調整済み  増減率については、2003年以前は、マネーサプライベースのM3を使用信用乗数

単位:億円

% 信用乗数

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日銀当座預金残高がドンドン増え続けることを、金融業界では「ブタ積み」と自嘲する表現がうまれました(P171)。

0  

50,000  

100,000  

150,000  

200,000  

250,000  

300,000  

350,000  

400,000  

450,000  

500,000  

1981  

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2006  

2007  

2008  

2009  

2010  

2011  

2012  

マネタリーベース平均残高/うち 日銀当座預金

マネタリーベース平均残高/うち 日銀当座預金

単位:億円

2006年  量的緩和解除

2010年  包括的な金融緩和策  

(出所)日本銀行

Page 15: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

アベノミクスの金融政策で景気がよくなるの?  今って、お金(ベースマネー)がじゃぶじゃぶだし、  

金利(政策金利)がほぼゼロですよね?

Page 16: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

16  

金融政策波及経路 オペレーション

中央銀行当座預金

オーバーナイト金利 貸出供給 資産価格 為替レート

担保価格

総支出 Y=C消費+I投資+G政府支出+NX純輸出

予想物価上昇率 中長期金利

実質長中長期金利

金利チャネル

信用チャネル 為替チャネル 量的緩和チャネル

KuOner  and  Mosser(2002)及び白川(2008)を参考に作成

資産チャネル

Page 17: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

2013年1月  日銀金融政策決定会合 要旨

•  デフレ脱却に向け政府・日銀の連携を強化  •  日銀は物価上昇率目標2%の「出来るだけ早期の実現」を目

指し、金融緩和を続ける。  •  政府は財政への信認を確保し、日本経済の競争・成長力強

化に向けて取り組む。  •  経済財政諮問会議で金融政策と物価情勢を定期的に検証  

•  物価上昇率を目標として2%を明記  •  2014年から期限を定めず資産を買い取る(オープンエンド)方

式を導入  •  ゼロ金利と資産買い入れ措置を、必要と判断する間は続ける  •  14年から、毎月長期国債2兆円を含む13兆円を買い入れる。  

   政府と日銀の共同声明のポイント        

   日銀の金融政策運営のポイント        

(出所)日経新聞

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インフレターゲッティングとは

1.  金融政策の主たる目的としての物価安定を目指すために中央銀行が明示的にマンデートすること、並びにこの目的を達成するための実行の責任を追うもの  

2.  物価上昇に対して量的なターゲットを明示するもの  

3.  幅広い情報を考慮に入れた上で、インフレ圧力へのフォワードルッキングな評価に基づいた政策アクション  

4.  金融政策の戦略と実行の透明性

(出所)Heenman,  Peter  ,and  Roger(2006)

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よくわからなくなってきました。  今まで、金融政策で金利を操作することを習いました。  

 そして金融政策の波及経路として、金利チャネルに加え、  信用チャネル、為替チャネルがあることがわかりました。  

 で、なんでいきなりインフレターゲットが出てくるの?

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日本の物価上昇率  2008年のリーマンショック以降、デフレ傾向が顕著に

-­‐2%  

-­‐1%  

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1980  

1981  

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2000  

2001  

2002  

2003  

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2006  

2007  

2008  

2009  

2010  

2011  

2012  

CPI総合

CPI総合

(出所)総務省統計局

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物価目標の狙いは 

Q なぜ物価を目標とするのか。

A 日本経済はモノやサービスの値段が継続的に下落する「デフレ」状態が続いている。将来にわたって物価が下がり続けると予想されれば、消費者は買い控え、企業は投資に慎重になる。逆に、物価が上がるとの予想が広がれば、物価が上がる前に消費や投資へと動き、経済が活性化するとされる。

 Q どうやって物価を上げるのか。

A 日銀は2%の物価目標の実現を目指し、強力な金融緩和を続けることを約束する。金融緩和への姿勢を今まで以上に強めることで、物価が下がり続けるとの予想を反転させる狙いだ。さらに日銀が金融緩和でお金を大量に供給すれば、為替が円安に振れやすくなる。  

Q 今までと何が違うのか。

A 日銀は昨年2月に物価安定の「めど」を打ち出したが、曖昧だと指摘されていた。これを「目標」に改め金融緩和の姿勢を明確にする。

(出所)日経新聞

Page 22: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

なぜデフレがダメなのか?

•  デフレ(物価が持続的に下落すること)が問題である 大の理由は「社会のリフレッシュ」、すなわち新陳代謝を妨げることです。お金が社会の中で回らないために雇用が減り、ビジネスチャンスが減り、福祉やセーフティネットも切り詰められ、生きるための想像力や希望が狭められてしまう(勝間・宮崎・飯田(2010))。  

•  断言しますが、「良いデフレ」というものはありません。なぜなら、デフレというのはモノの値段が下がるという現象に付随して、様々なデメリットがあるからです。大の問題は失業です。ほかにも住宅ローン破綻が増える、企業の倒産が増える、といった問題もあります(上念(2010))。  

•  いま国民生活に多大な苦しみをもたらしているのは、デフレと円高である(浜田(2012))。

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フィリップス曲線  1989〜2012

-­‐2.0%  

-­‐1.0%  

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1.0%  

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3.0%  

4.0%  

0.0%   1.0%   2.0%   3.0%   4.0%   5.0%   6.0%  

物価上昇率

失業率

(出所)総務省より作成

Page 24: 20130203 金融経済読書会 日銀を知れば経済がわかる

次期日銀総裁候補一覧  (第8章日銀の政策委員会とは)

13.80%  

10.20%  

5.70%   6.40%  

2.10%  

29.40%  

14.30%  

10.20%  

2.20%  

5.70%  

0.00%  

5.00%  

10.00%  

15.00%  

20.00%  

25.00%  

30.00%  

35.00%  

(出所)日経クイックVote

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2013年2月16日(土)  「アベノミクス総点検:  

インフレターゲットとマクロ経済政策について」