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! ! 聞、読 聞と 初の!! 2018 年度報告書 新聞活用プロジェクト 社会学部 メディアコミュニケーション学科

2018...「新聞活用プロジェクト」は2018年4月にスタートしました。最初の行事は4月6日、日本武道 館で挙行された入学式の後、白山キャンパスでおこなった新入生と保護者の皆さんを対象と

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朝日新聞、読売新聞と

  タイアップ!全国初の試み!!

朝日新聞、読売新聞と

  タイアップ!全国初の試み!!

情報、思考、分析、そして未来。

新聞を通して考える

2018 年度報告書

www.toyo.ac.jp〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20

社会学部メディアコミュニケーション学科11mm

6mm52.5mm

新聞活用プロジェクト

❶読売新聞 朝刊 2018.4.7 付❷朝日新聞朝刊 2018.4.12 付❸朝日新聞紙面ー朝刊教育面 2018.5.8 付❹読売新聞 朝刊 2018.9.22 付

新聞記事掲載一覧

社会学部 メディアコミュニケーション学科編集後記

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 約 1 年前、手探りで始めた「新聞活用プロジェクト」でしたが、朝日新聞社と読売新聞社の担当者の皆さんの積極的なご協力もあって最初の年を無事、終了することができました。 数字に表れた成果もさることながら、北朝鮮の核問題やトランプ米大統領の政治などについて、授業で学生がさらっと自分の意見を述べて議論が成り立つようになったことは何よりも驚きでした。「継続は力なり」を地で行くような試みです。2019 年度は対象学生を 2 年生の一部にも拡大し、ますます学生の教養力向上に拍車をかける予定です。

社会学部教授 薬師寺 克行

❺新聞協会報 2018.5.8 . 付❻文化通信  2018.5.21 付❼文化通信  2018.5.1 付

掲載されている所属、身分などは 2019 年3月現在のものです。

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新聞活用プロジェクト

「新聞活用プロジェクト」とは何か

4月新入生と父母対象のガイダンス新聞配達の開始 「新聞活用法」についての合同授業

6月シンポジウム「新聞の未来」開催

7月第 1回「特別講演会」 講師 読売新聞 橋本五郎特別編集委員

8月職場体験(朝日新聞)

9月職場体験(読売新聞)

10月第 2回「特別講演会」 講師 朝日新聞 奥山俊宏編集委員

11月朝日新聞、読売新聞の記者ら     現役社員による「特別授業」

 新聞の朝刊1日分の新聞の活字の量は、新書一冊分と同じです。その内容は政治、経済、国際、教育、福祉、医療、事件事故など多岐に及び、驚きや発見に溢れています。頭がくらくらするほどの広大な情報の世界が目の前に広がっているのです。

 較

 学生の自宅に届く新聞は、学生のための教材です。自宅で、あるいは通学中の電車の中で、大学のキャンパスで、時間があれば積極的に新聞を読みます。それは多くの学生にとって、初めての経験でした。

 読  毎日、継続して新聞を読んでいると、これまで無縁だった政治や経済などの世界が見えてくるようになります。国会で何が議論されているのか。日本経済の先行きはどうなるのか。北朝鮮の核兵器やミサイルはなくなるのか。複雑な問題に関する情報が蓄積され、整理できるようになります。

 見

 次のステップに進むと、ニュースに対して自ずと疑問を持つようになります。なぜこの事件は起きたのか。政府の対応は不十分ではないか。英国がEUを離脱しようとしているのはなぜか。個々のニュースへの関心がどんどん強くなっていきます。

 考 そうなると新聞記事だけではわからないことを自分から調べたり他の手段を使って情報を集め、分析し、疑問に対する答えを見つけていくようになります。その結果、日本や世界で起きている様々な問題に対して自分の意見を創りだすことができるようになるのです。

 展 プロジェクトの主な内容

新聞は教材 情報に接する

理解と整理

疑問を持つ意見を創る

 東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科は2018年度から、「新聞活用

プロジェクト」をスタートさせました。大学に入学したばかりの1年生の自宅に毎

朝、新聞が配達されます。この新聞は大学が学生に提供する教材で、配達されるの

は朝日新聞か読売新聞のいずれかです。学生は必ず新聞を読んで授業に出席し、

日々のニュースについて様々な観点から議論します。

 新聞は情報の宝庫です。毎日、新聞を読むことで、膨大な情報を整理し考え、自分

の意見を生み出すことができるようになります。それが大学と朝日新聞社、読売新

聞社が協力して実施する日本で初めてのプロジェクトの目的です。

 東洋大学社会学部メディアコミュニケーション学科は2018年度から、「新聞活用

プロジェクト」をスタートさせました。大学に入学したばかりの1年生の自宅に毎

朝、新聞が配達されます。この新聞は大学が学生に提供する教材で、配達されるの

は朝日新聞か読売新聞のいずれかです。学生は必ず新聞を読んで授業に出席し、

日々のニュースについて様々な観点から議論します。

 新聞は情報の宝庫です。毎日、新聞を読むことで、膨大な情報を整理し考え、自分

の意見を生み出すことができるようになります。それが大学と朝日新聞社、読売新

聞社が協力して実施する日本で初めてのプロジェクトの目的です。

朝日新聞社日本を代表する日刊の全国紙。明治12年(1879)創刊で、朝刊の発行部数は約610万部(2018年)。社員数4460人。国内の取

材拠点は302か所、海外の総支局は36か所。夏の全国高校野球選手権大会を主催している。

読売新聞社世界で最大の発行部数の 全 国 紙 。明 治 7 年(1874年)創刊で、朝刊発行部数は8 4 7万部(2018年)。社員数4563人。国内の取材拠点は

307か所、海外の総支局は27か所。グループ会社に読売巨人軍、中央公論新社がある。

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 「新聞活用プロジェクト」は2018年4月にスタートしました。最初の行事は4月6日、日本武道

館で挙行された入学式の後、白山キャンパスでおこなった新入生と保護者の皆さんを対象と

したガイダンスで、約300人が出席しました。

 冒頭、学科長の栗山和子教授と海野敏教授が、学科の教育内容や目的、学生の就職状況など

を説明しました。そして、薬師寺克行教授が「新聞活用プロジェクト」の目的や概要を具体的

に説明しました。

合同授業「新聞活用法」朝日新聞 教育総合本部教育事業部ディレクター 鹿島啓司氏

読売新聞 教育ネットワーク事務局専門委員 岩本洋二氏

 続いて朝日新聞朝日学情ナビの木之本

敬介編集長と、読売新聞教育ネットワーク

事務局の鈴木美潮専門委員が、新聞を毎日

読むことがいかに大切か、企業はニュース

に敏感な人材を求めていることなどにつ

いて講演しました。

 木之本氏は、「新聞を読むことで社会や

世界に対するアンテナを広げて情報感度

の高い大人になってほしい。読む習慣を身

に付ければ一生、役に立ちます」、「今の時

代は世界の動きに常にアンテナを張って

いる人材が求められている」と強調し、「新

聞は就職活動に絶対役立つし、読み続けて

身につけた力は一生役に立ちます。ぜひ、

毎日読んで下さい」と話しました。

新入生・父母ガイダンス朝日新聞 朝日学情ナビ 木之本敬介編集長

読売新聞 教育ネットワーク事務局 鈴木美潮専門委員

 また鈴木さんは、「世の中にはフェイク

ニュースと呼ばれるようないかがわしい情

報があふれています。だからこそ本当の情

報を見極める力を身につけることが必要で

す」、「情報の洪水の中から真実を見極め、す

くい上げる力を付けることが大事です。新

聞はそのための道しるべとなるのです」、と

メディア・リテラシーの重要性を説明しま

した。

 ガイダンスの様子

は4月7日付の朝日新

聞と読売新聞の朝刊

で紹介されました。

朝日新聞  読売新聞×

 1年生の授業は4月にスタートし、毎日、

配達される新聞は必修授業である「メディ

アコミュニケーション学基礎演習」を中心

に教材として使われ、多様な授業が行われ

ました。しかし、多くの学生にとって新聞を

毎日読むということは初めての体験です。

そこで、新聞について基本的なことを学ぶ

ため「新聞活用法」をテーマとした「合同授

業」が4月24日に開催されました。講師は朝

日新聞の鹿島啓司・教育総合本部教育事業

部ディレクターと読売新聞の岩本洋二・教

育ネットワーク事務局専門委員でした。

 鹿島さんは新聞の各ページが「政治」「経

済」「国際」などのテーマごとに編集されて

いることなどを説明し、上手に読む方法を

話してくれました。また、大きな組織である

新聞社の編集局をはじめとする様々な部

門の名称や役割などを説明しました。その

うえで第一線の記者の取材から、原稿執

筆、紙面のレイアウト、印刷、各家庭への配

達までの新聞の制作過程を詳しく紹介し

ました。学生が毎日、新聞を読むうえで大

いに役立つ情報でした。

 岩本さんの講義は、学生が5~6人のグ

ループに分かれて、それぞれがこれはと思

う記事を選び模造紙の上にレイアウトす

る「まわしよみ新聞」作りでした。単に記事

を並べるだけでなく、各記事に共通した

テーマを考え見出しとして書くという抽

象化を伴う作業でした。個々の記事の内容

を踏まえ、女性問題や地域紛争など大きな

テーマに収れんさせていくという興味深

い授業となりました。

 合同授業の様子は5月8日付の朝日新聞朝

刊や「新聞協会報」などに掲載されました。

新聞プロジェクトスタート!朝日新聞×読売新聞×東洋大学

朝日新聞  読売新聞×

朝日新聞 奥山俊宏編集委員

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 第1回「特別講演会」は7月9日、読売新

聞の橋本五郎・特別編集委員を講師に招い

て開催されました。テーマは「知とジャー

ナリズム」で、会場の井上円了ホールには

様々な学部から約200人の学生が集まりま

した。

 読売新聞の論説委員、政治部長、編集局

次長などを務めた橋本氏は、政治記者であ

るとともに読書家としても有名で、郷里の

秋田県・三種町のみたね鯉川地区交流セン

ターに蔵書2万冊を寄贈し「橋本五郎文

庫」を開設したことでも知られています。

 橋本氏は「世の中には多くの“なぜ”があ

る。この“なぜ”にこたえるのがジャーナリ

「知とジャーナリズム」ズムです」などと新聞記者になった理由を

語りました。そしてジャーナリズムに必要

なこととして、「健全な相対主義」、「適度な

懐疑心」、「鳥の

目と虫の目でも

のをみること」

を上げました。

また読書につい

ては「まず、古典

を読むことが大

切です」と強調

しました。

読売新聞 橋本五郎特別編集委員

 第2回「特別講演会」は10月22日、125記念

ホールで朝日新聞の奥山俊宏編集委員を招

いて「ジャーナリズムの役割と実践」をテー

マに開催されました。

 奥山氏は、調査報道によって数多くのス

クープを書いてきた記者です。最近では世

界各国の経営者や権力者らが、資産隠しや

税金逃れを目的に租税回避地(タックスヘ

ブン)と言われる国々にペーパーカンパニー

を作っている実態を暴いた「パラダイス文

書」や「パナマ文書」の報道に携わりました。

また2017年には著書、『秘密解除 ロッキー

ド事件 田中角栄はなぜアメリカに嫌われ

たのか』(岩波書店、2016 年7月)が高く評価

され、現役の記者として初めて司馬

遼太郎賞を受賞しました。

 講演では、動画や図を使っ

て、タックスヘブンの仕組み

がわかりやすく解説される

とともに、ワシントンにある

国際調査報道ジャーナリスト

連合 (ICIJ)の取材活動に奥

「ジャーナリズムの役割と実践」山さんをはじめ世界の多くの記者たちが参

加して、真実が解き明かされていったプロ

セスが紹介されました。奥山氏は「絶対権力

は絶対に腐敗するといわれている。ジャー

ナリズムは、知りたいという好奇心が原動

力です。そして、報道することが世の中のた

めになるから、この仕事はやりがいがある

のです」と

語った。

朝日新聞 奥山俊宏編集委員

 「新聞活用プロジェクト」では、全学の学生を対象に朝日新聞と読売新聞の専門記者を講師

とする「特別講演会」を7月と10月に実施しました。日本や世界が直面する問題を、実際の取材

体験などを踏まえて語っていただくという企画です。

特別講演会

 「新聞活用プロジェクト」では、全学の学生を対象に朝日新聞と読売新聞の専門記者を講師

とする「特別講演会」を7月と10月に実施しました。日本や世界が直面する問題を、実際の取材

体験などを踏まえて語っていただくという企画です。

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第2回 特別講演会

第1回 特別講演会

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読売新聞社   東洋大学生×

 朝日新聞の職場体験は8月9日で、東京都

中央区築地の朝日新聞東京本社を尋ね、朝

日新聞が力を入れているデジタル編集部を

はじめ、各部門の担当者から説明を受けました。

 午後1時に朝日新聞東京本社に集合し、

ジャーナリスト学校の南雲隆・事務局長か

ら会社の概要を伺ったのち、地下にある印

刷部門で夕刊が印刷される様子、さらに編

集局フロアをそれぞれ見学しました。

 編集局では平栗大地・デジタル編集長か

ら朝日新聞社自慢のネット分析ツール「ホ

タル」について説明を受けました。朝日新聞

デジタルの利用者はおよそ330万人で、「紙

の新聞の利用者は通勤時間帯の午前7時か

ら8時がピークだが、ネットニュースは昼休

みの時間帯にピークが来る」という興味深

いデータが紹介されました。

 その後、奥山晶二朗・ウィズニュース編集

長が若者向けサービスの「ウィズニュース」

を紹介してくれました。インターネットを

使った発信では、東日本大震災後にコメン

トを寄せた被災者の位置情報を地図上に配

置したり、折り込みチラシ5000枚をスキャ

ンしてアーカイブ化したりするなど、紙媒

体ではできないリッチコンテンツを作成す

ることができるという。そして、ユーザーと

の接点やスマートフォンでの読みやすさ、

新しいニュースの伝え方を探すことが重要

だと話してくれました。

 その後、参加者が4つのグループに分か

れ、ニュース記事の見出しと内容を自由に

考えて発表しました。「大学生が考えた『平

成が最後の夏』にしたこと」(1班)、「芸能人

の結婚ラッシュ、世の中の晩婚化に対抗」(2

班)、「スマホで見るから面白い動画」(3班)、

「これ撮りたいから始まる女子大学生の実

態」(4班)という見出しと共に記事の企画を

発表しました。

 職場体験は午後5時過ぎに、本社正面入り

口で記念撮影をして終了しました。

朝日新聞社   東洋大学生

職場体験

×

 新聞活用プロジェクトでは、キャリア教育の一環として学生が朝日新聞と読売新聞の本

社を訪問して、新聞の製作過程や最新設備などについて現場で説明を受けるなどの「職場体

験」を実施しました。参加した学生は希望者の中から選抜された20人で、変貌著しい新聞社

の姿を肌で知ることができました。

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読売新聞での職場体験

朝日新聞での職場体験

 読売新聞の「職場体験」は、9月13日に行

われ、東京都千代田区大手町の読売新聞東

京本社を朝日新聞と同じ20人が訪ねました。

 社内見学では、新聞社の心臓部分である

編集局について、ガイド役の女性から「政治

部、経済部、社会部など多くのセクションの

記者たちが連日、深夜まで取材や原稿執筆

などをしている活気のある職場です」と詳

しい説明を聞きました。

 その後、別室で編成部の石橋大祐記者が、

9月6日未明に起きた北海道胆振地方を震源

とする地震の発生から1週間目に2ページを

使った特集紙面について、その作製過程や

苦労した部分などを詳しく話してくださっ

た。

 「写真撮影実習」では、横山聡記者の指導

の下で、大手企業の社長の謝罪会見を想定

し、社長役を演じた重田育哉記者を学生が

実際に撮影しました。うまく表情をとらえ

るためには低い位置から撮影することがポ

イントだとアドバイスされ、床に這うよう

にして撮影した学生もいました。

 昼食は読売新聞社内の食堂に。各テーブ

ルに女性記者の皆さんがひとりずつ同席し

てくださり、学生の質問に答えるなど、和や

かな雰囲気で食事が進み、就職後の育児や

子育てなどにも話が及びました。

 その後、場所を移して文京区の東京ドー

ムへ。スポーツ事業部の小林拓実氏が仕事

の内容などを詳しく説明してくださった

後、東京ドームの中を見学に。学生たちは特

別にグラウンドに入ることを許されたので

すが、ちょうど読売巨人軍の選手たちが試

合前のバッティング練習などをしており、

高橋由伸監督はじめ有名な選手の姿を間近

に見ることができました。

 最後は東京ドーム内の会議室で、スター

トして半年たった「新聞活用プロジェクト」

について、その感想や成果を話し合いまし

た。竹内和佳子記者の質問に学生から「新聞

を毎日、読むようになったことで、話題が増

えた」「学生食堂で友達らと憲法改正問題

について議論した」などという発言がでま

した。

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 渡辺知二氏は、新聞以外の新しいビジネ

スを作り出すために設けられた組織「メ

ディアラボ」について説明しました。毎年、

社員に新規事業を提案してもらうコンテス

トを行い、優秀なアイデアは実際に事業化

しているのです。キーワードは「朝日新聞の

DNAを断ち切れ」だそうです。

このシンポジウムの様子は6月28日付の朝日新聞朝刊に掲載されました。また、詳細な内容は朝日新聞発行の月刊誌「Jou r n a l i sm」の8月号に掲載されました。

 国谷一樹氏は、今年発足

した社内ベンチャー組織

のような役割を持つ「ヨミ

ウリ・ブランド・スタジオ」

について説明しました。す

でにビール会社公式サイ

トのコンテンツ制作や、物

流事業会社のウェブサイ

トなどを受注しているそ

うで、新聞以外のものも制

作する新聞社の新しい姿

を象徴する話しでした。

 貞広貴志氏は直近の米国での取材を踏ま

えて、「経営モデルとして紙の優位性は明ら

かです」として、紙媒体の可能性をもう一

度、最大化するという読売新聞の方針を説

明しました。また、憲法改正試案など提言報

道に力を入れていることも紹介しました。

 4人のプレセンテーションに対して学生

からは、「安倍政権に対する朝日新聞と読売

新聞の論調が大きく異なるのはなぜか」な

どという質問が出されました。貞広さんは

「安倍政権について朝日と読売の主張が真

逆になることはよくある。それは言論機関

としては健全だ」と答えました。また泗水さ

んは「報道と論評は分けて考えるべきだ。

読売、産経も財務省の不祥事を厳しく批判

シンポジウム「新聞の未来」

 6月19日には、1年生全員を対象に「新聞の未来」をテーマとするシンポジウムが開かれ、参

加した朝日新聞と読売新聞の社員4人が、これからの新聞の姿や可能性などについて活発な

議論を展開しました。

 参加した講師は、朝日新聞が渡辺知二・メディアラボ室長補佐と、泗水康信・東京本社社会

部次長、読売新聞が国谷一樹・広告局メディアデザイン部グループリーダーと貞広貴志・教

育ネットワーク事務局長兼社長室次長の4人でした。

 社会部次長として事件や事故などを担当

している泗水康信氏は、歴史を刻むという

新聞の役割、さらには権力が公正、公平に公

正に行使されているかをチェックするとい

う意味での調査報道について話してくれま

した。泗水氏は「調査報道は健全な民主主義

のために不可欠だ」と強調しました。

しているし、逆に朝日や毎日が、なにがな

んでも安倍政権憎しで記事を書いている

わけでもない」と説明しました。

朝日新聞 東京本社社会部次長 泗水 康信氏

読売新聞 広告局メディアデザイン部グループリーダー 国谷 一樹氏

読売新聞 教育ネットワーク事務局長兼社長室次長 貞広 貴志氏

朝日新聞 メディアラボ室長補佐 渡辺 知二氏

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通読   >>  比較   >>   発見                      >>   熟考   >>   発展

テーマは「トランプ政権」、「ネットジャーナリズム」、「校閲の仕事」、「囲碁・将棋」、「箱根駅伝」

 朝日新聞と読売新聞の協力で、1年生の必修授業「メディアコミュニケーション学基礎演

習」(通称基礎ゼミ)に、両社の第一線の新聞記者をはじめ様々な分野の社員が講師としてき

てくださる特別授業がおこなわれました。実施したのは5クラスで、学生にとっては初めての

体験ばかりで、どの授業でも活発な質問が出るなど学生にとって貴重な機会となりました。

 水野剛也教授のゼミは「箱根駅伝」がテー

マで、講師は読売新聞事業局スポーツ事業

部の竹村莉幸(りこ)氏でした。竹村氏は入

社3年目の若手で、2017年、18年と箱根駅伝

を担当したほか、事業局が扱っている読売

ジャイアンツの試合や絵画展、読売日本交

響楽団などについても幅広く紹介してくだ

さった。

 箱根駅伝の準備は実施の約1年前からは

じまる。その内容は沿道の観戦者対応、警察

への警備依頼、各自治体や箱根温泉街との協

議、予選会の計画・実施、各報道機関への対

応、さらには弁当や小旗の手配など多岐にわ

たる。竹村氏はそれら裏方業務について詳細

に説明してくれました。

 学生からは学生時代の経験や就職活動な

どについても数多くの質問がでました。実

は事前に示し合わせて、学生・教員とも当日

は東洋大学のスクールカラー鉄紺の服装で

統一しており、この講義によって母校愛が

一段と高まったようでした。

 「特別授業」の第1弾は7月3日、鈴木崇史

教授のゼミで実施されました。講師は読売

新聞文化部の田中聡編集委員で、テーマは

「囲碁・将棋」でした。

 田中氏は囲碁・将棋の歴史から、タイトル

戦の運営、新聞記者らによる取材の様子、囲

碁・将棋の世界とAI(人工知能)との関わり

などについて自身の取材経験を踏まえなが

ら話してくれました。囲碁・将棋を題材と

して、情報学、メディア論の幅広い分野と

関連する興味深いお話を伺うことができま

した。同時に、学生にとっ

て、取材現場の様子を知る

ことができる貴重な機会

ともなりました。

 「特別授業」は後期に相

次いで実施され、11月6日

には薬師寺克行教授のゼ

ミで、読売新聞校閲部の川井彩記者が校閲

の仕事について講義をしました。 新聞社

内では「校閲記者は新聞制作過程の最後の

記者であるとともに最初の読者」と言われ

ています。校閲記者の仕事は、単に文字間違

いを探すだけではなく、事実関係などに誤

りはないか、読者にとって分かりにくい表

現はないかなどをチェックする最後の関門

です。

 川井氏はパソコンで原稿を書いたときに

起こりやすい変換ミスなどを具体的に紹介

し、「時代とともに本来の意味とは違う使い

方が広がっている言葉がいくつもありま

す。そういう時の対応が難しい問題です」と

現役の記者らによる「特別授業」シリーズ 語りました。さらに新聞制作過程で実際に

あった間違い見つけ出す「校閲クイズ」を配

布し、学生が挑戦しましたが、見つけるのは

かなり難しかったようです。

 11月13日には3つのゼミで「特別授業」が

行われました。

 王雪萍教授のゼミでは、朝日新聞の元ワ

シントン特派員の大島隆・政治部次長が「ト

ランプ政権で米国、世界はどう変わったか」

と題して講義をしました。アメリカの政治、

外交、選挙に関する基礎知識及び日米関係

について分かりやすく学生たちに説明した

うえで、トランプ大統領の登場がアメリカ

政治や国際社会に与えている影響について

語ってくれました。授業では大島氏が学生

に「トランプが米国を変えたのか、それとも

米国が変わったからトランプが現れたの

か」という問いを投げかけ、学生が苦労して

答えていました。

 学生からは「先日のアメリカの中間選挙

について話す前に、トランプさんはどのよ

うな人たちに支持されているのか、今まで

どのような政策をしてきたのかをお話して

くださったので、理解が深まった」などの感

想がでていました。

 薗部靖史准教授のゼミでは朝日新聞社の

平栗大地・デジタル編集長が「ネットジャー

ナリズムと新聞」というテーマで講義しま

した。インターネットは情報を無料で入手

できる媒体だと言われていますが、平栗氏

は「信頼できる情報だけでなくフェイク

ニュースも溢れているため、全体の信用度

が低い。また、SNSアプリでニュースが読ま

れるようになってきています。実は、そうし

たニュースのほとんどはマスメディアが提

供しています。受け取る情報が正しいかど

うかを見極めるためには、様々な情報源を

見比べることが大切だ」と強調しました。

 また、朝日新聞が新たに取り入れた分析

ツール「Hotaru(ホタル)」や、高校野球の試

合についての記事を書くAI記者の「おーと

りぃ」など、最新技術についても紹介があり

ました。

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 発展

 次に新聞の情報をどのくらい信頼してい

るか聞いてみました。すると、メディア学科

の1年生は42.4%で、他の学生より高い結果

となりました。日々、新聞を読み情報を得た

ことが、情報の信頼性を高めることにつな

がっているようです。(図2)

中川紗綾さん サークルやバイト先での会話が苦手だったが、新聞を読むようになって話題が増え苦にならなくなった。米朝首脳会談やトランプ政権なども話題になる。同じニュースでもテレビは説明が短く、新聞記事の方が長くて詳しく、さらに解説記事もあり、物事をより詳しく深く理解できることを知った。このプロジェクトが始まったときは、新聞だけしか授業で使わないのかと思ったが、やがて新聞記事がいろんな意味でベースになることがわかり、ネットも含め他の媒体と比較ができるようになった。

伍井俊貴さん 最初は苦痛でしかなく興味ある記事しか読まなかったが、最近はまず全体をざっと読み、そのうえで詳しく読みたいと思った記事を読み返すようになった。時間もはじめは10分か15分しか読んでいなかったが、今は通学時間を使って電車の中を含め毎日1時間くらい読んでいる。テレビも見るがコメンテーターは主観的な意見が多く情報が不足していると感じる。またネットニュースは早いが、短く情報量が少ないうえに間違いやウソもあり信頼性に欠ける気がする。新聞は事実が中心で、さらに自分で調べてみるきっかけになっている。

辻 武琉さん 総合面を中心に毎日読むようにしたが、慣れてくるにつれて少ない時間で理解できるようになった。2018年は内外で米朝首脳会談をはじめ色々なことが起きたが、新聞を毎日読むことでそれらを理解でき、得をした感じがした。また、欧州や南米など日本から遠い地域のニュースにも興味を持ち、テレビやスマホのニュースにも反応できるようにもなった。他のメディアに反応できるようになったのは、新聞を読むことで基礎的な知識などが身に着いたからだと思う。

大塚菜央さん 通学時間を使って読むようにしたが、電車が満員で新聞を広げることができないので、毎朝、これはという記事をスマホで写真撮影して、それを車内で読むようにした。大学入学まで政治ニュースなど読んだことがなかったので、最初は大きな記事を2、3本読むだけで疲れたが、習慣になると平気になった。記事を読み、ゼミで議論することで、自分もしっかりとした意見を持たなければと思うようになった。昨年、有権者になったが、きちんとした考えをもって投票に臨むことが大事だと考えている。

学生はこんなに変化した -アンケート調査の結果

 まず、どのくらいの頻度で新聞を読むか

を聞いたところ、メディアコミュニケー

ション学科の1年生は、同じ学科の他学年

や他学科の同学年の学生に比べると、よく

新聞を読んでいることが分かりました。

 週1回以上新聞を読む学生は、他学科の

受講学生は社会学部メディアコミュニケーション学科1年生です(2 0 1 9.3現在)。

1年生が13.7%、メディア学科の他学年生

が22.5%なのに対して、メディアの1年生

は71.9%に達していました。 (図1)

 メディア学科の1年生に、新聞活用プロ

ジェクトへの評価も聞いてみました。その

結果、「事件・事故・災害などに関心を持つ

ようになった」とした学生が74.8%、「ほか

の媒体のニュースも注意するようになっ

た」が74.8%、「社会を知る意欲が出てき

た」が71.2%、「政治や経済、国際情勢に関

心を持つようになった」が64.7%など、多

くの学生が社会の多様な問題に関心を持

つようになっており、プロジェクトが教育

面でも高い効果を生んでいることが明ら

かになりました。

 またこのプロジェクトに対しては、「満

足している」が61 .2%、「面白かった」が

59.7%と総じて高い評価でした。その一方

で、「大変だった」(82.7%)「新聞紙の処分

に困った」(79.1%)とする人も多くいまし

た。(図3)

「新聞活用プロジェクト」参加学生から

 「新聞活用プロジェクト」はどのような教育効果があったのだろうか。メディアコミュニ

ケーション学科は、2018年12月上旬、学生を対象とするアンケート調査を行いました。対象

はメディア学科1年生139人のほか、プロジェクト対象でない学生と比較するため、メディア

コミュニケーション学科の2~4年生324人と、社会学部の他の学科(社会・文化システム・福

祉・社会心理学科)の1年生合計146人にも協力してもらいました。

0 20 40 60 80 100

■ 毎日 ■ 毎週 5~6日 ■ 週3~4日 ■ 週1~2日 ■ 週1日 ■ ほとんど読まない ■ 全く読まない

メディア学科1年

メディア学科2-4年

メディア学科以外1年

8.6 12.2   21.6 23  6.5 20.9  7.2

2.8 8 4 34.6 42.9

4.1  29.5       56.8

5.2

2.5

3.4

1.4

2.7

2.1

■ 信頼している  ■ やや信頼している ■ あまり信頼していない ■ まったく信頼していない ■ 未解答

メディア学科1年

メディア学科2-4年

メディア学科以外1年

0 20 40 60 80 100

    42.4 54 2.9 0.7

   34.9   57.4   6.8 0.6

17.8   65.1 16.4 0.7

0.3

図1)新聞を読む習慣

図2)新聞への信頼性

0 20 40 60 80 100

図3 「新聞活用プロジェクト」への評価(複数解答)

51.1% 新聞記事を読むことが苦痛でなくなった

64.7% 政治や経済、国際情勢に関心を持つようになった

74.8% 事件、事故、災害などに関心を持つようになった

53.2% 時事問題が理解できるようになった

74.8% テレビやネットなど他の媒体のニュースも注意するようになった

38.8% ニュースに関連していろいろ調べるようになった

25.9% 新聞の切り抜きをするようになった

53.2% 異なる新聞の論調が違い、おどろいた

52.5% 物事の見方が深くなった

60.4% 物事の見方が広くなった

54.0% 物事の見方が多角的になった

42.4% 友達とニュースの話をするようになった

59.7% 面白かった

61.2% 満足している

71.2% 社会を知る意欲が出てきた

61.2% 今後も続けた方がよい

82.7% 大変だった

79.1% 新聞の処理に困った

45.3% 家族や友人の評判がよかった

Page 9: 2018...「新聞活用プロジェクト」は2018年4月にスタートしました。最初の行事は4月6日、日本武道 館で挙行された入学式の後、白山キャンパスでおこなった新入生と保護者の皆さんを対象と

朝日新聞、読売新聞と

  タイアップ!全国初の試み!!

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情報、思考、分析、そして未来。

新聞を通して考える

2018 年度報告書

www.toyo.ac.jp〒112-8606 東京都文京区白山5-28-20

社会学部メディアコミュニケーション学科11mm

6mm52.5mm

新聞活用プロジェクト

❶読売新聞 朝刊 2018.4.7 付❷朝日新聞朝刊 2018.4.12 付❸朝日新聞紙面ー朝刊教育面 2018.5.8 付❹読売新聞 朝刊 2018.9.22 付

新聞記事掲載一覧

社会学部 メディアコミュニケーション学科編集後記

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 約 1 年前、手探りで始めた「新聞活用プロジェクト」でしたが、朝日新聞社と読売新聞社の担当者の皆さんの積極的なご協力もあって最初の年を無事、終了することができました。 数字に表れた成果もさることながら、北朝鮮の核問題やトランプ米大統領の政治などについて、授業で学生がさらっと自分の意見を述べて議論が成り立つようになったことは何よりも驚きでした。「継続は力なり」を地で行くような試みです。2019 年度は対象学生を 2 年生の一部にも拡大し、ますます学生の教養力向上に拍車をかける予定です。

社会学部教授 薬師寺 克行

❺新聞協会報 2018.5.8 . 付❻文化通信  2018.5.21 付❼文化通信  2018.5.1 付

掲載されている所属、身分などは 2019 年3月現在のものです。