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徳洲会体操クラブの監督として過ごした4年間は、一言でいえば 学びの多い4年間でした。 4年前には見えなかったことや、わからな かったことが、今は見えたりわかるようになったりして自分の成長を 実感しています。 具体的に反省点を挙げると、 1つは当クラブの活動拠点である徳 洲会スポーツセンターかまくらの運営全体に腐心してしまったこと。 決してクラブの強化を疎かにしていたわけではありませんが、児童 対象の体操教室などを開いている「徳洲会かまくら体操クラブ」を 含め、センターのマネジメント全般について考えることが多かった。 もう1つは世界を必要以上に意識してしまったこと。ほかのチー ムが強いこともあり、いかに当クラブの選手を世界に送り出すかに 目を向けがちだったように思います。 これらに共通する背景として「自分の過去・経験にとらわれ過ぎ た」ことが挙げられるのかもしれません。私が現役の頃は少ない人数でも勝っ ていたので、いつしか「少数精鋭でもいい」、 「国内で勝つことより、世界で活躍す ることが大事」と考えてしまっていました。今は当時と状況が異なり、国内でなか なか勝てない。まずは日本一、その後、世界へとステップアップしていきたい。 16年10月の全日本シニアで8年ぶ りに優勝した際、いろいろな方が「お めでとう」と祝福してくださいました。やはり多くの方が当クラブの活躍を望んで くださっていると実感し、今後はチームを強化するための方策を積極的に打っ ていきます。 一例を挙げれば、選手数をもう少し増やしたり、有望な選手を獲得したりす るなど層を厚くしたい。たとえば全日本シニアの団体総合は6人で戦うので、 1、 2 人けが人が出ると、あっと言う間に戦えなくなります。アクシデントが起こっても 戦える体制を築いていきたいですね。 また、選手個々の意識付けも大切なので、目指すべき方向性を固めるため の取り組みを行っています。そのひとつがチームビルディング研修。 16年12月 に実施したのをふまえ、チームの理念やビジョンを掲げることにしました。 目指すは「最強で最高のチームづくり」。 2016年に得たさまざまな経験を生か し20年の東京五輪を迎えたいと思っています。 17年も引き続き応援をよろしくお 願いいたします。 16 調10 調退17 20 2016年は悔しい1年だった。最大の目標 だったリオ五輪出場が果たせず、選考会直 後は引退しようと考えていた。しかし、時間 が経つにつれ、自信はあるのに勝てないこ とへの怒りや悔しさが芽生え、「勝てるところ で勝ちたい」との欲が大きくなっていったこ とから、現役続行を決めた。 (田中)和仁さんから主将を継ぎ、成長で きた1年だったとも思う。主将という立場を ふだんから強く意識することはないが、リー ダーとして、まとめ役をはじめスタッフと選 手のパイプ役、何より後輩を育成できる主 将でありたいと考えている。 いよいよ東京五輪に向けた戦いが始まる。 団体では日本一になること。個人でも総合、 種目別問わず、常にトップクラスにいなけ ればならない。自分も、あん馬1本に絞っ ている以上、あん馬で勝ち続けるしか代表への道はな い。五輪まで4年あるが、スタートダッシュを図る意味 でも、17年は大変重要な1年になる。 「世界を魅了」――。これは当クラブが掲げる17年の スローガン。17年の1年、日本はもちろん、世界でも 認められる美しい演技を心がけ、1人でも多く代表選手 を輩出するとともに、スポーツ特有の面白さや感動を 伝えたい。 応援・支援してくださる方の期待に応えるためにも、 クラブが一丸となって取り組む覚悟だ。 “お年玉”読者プレゼント 選手のサイン色紙を1人、2017年版カレンダーを3人の方にプレ ゼントします。 ●応募方法 ハガキに①住所、②氏名、③電話番号、④希望の品を 記入のうえ、ご応募ください。 ●宛先 〒102-0083 東京都千代田区麹町3-1-1 麹町311ビル8階 一般社団法人徳洲会『徳洲新聞』編集室・読者プレゼント係 ●締切 2017年1月16日(月)(当日消印有効) ※当選者は賞品の発送をもって、発表にかえさせていただきます。 ※応募の際にいただいた個人情報は、当プレゼント当選者への賞品の 発送ならびに発送に関する問い合わせのために利用いたします。なお法 令により求められた場合を除き、当選者の承諾なく個人情報を第三者に 提供することはありません。 2017年の主な大会スケジュール(予定) 4月7~9日 :第71回全日本体操競技選手権大会 (東京体育館・東京都) 5月20~21日 :第56回NHK杯体操 (東京体育館・東京都) 6月24~25日 第71回全日本体操競技種目別選手権大 (高崎アリーナ・群馬県) 10月27~29日:第50回全日本シニア・マスターズ 体操競技選手権大会 (四日市市中央緑地体育館・三重県) 11月24~26日第71回全日本体操競技団体選手権大会 (高崎アリーナ・群馬) 東京五輪へ選手を導く 力強い声援を! 17 17 16 17 17 17 19 23 会心の演技ができた時に 行う長谷川の“寿司ポー ズ”。このポーズが多く見 られるほど、徳洲会体操ク ラブの勝利が近づく 徳洲会体操クラブの監督として、2016 年、初めてオリンピックに挑戦した米田 功監督。13年に監督に就任し、最大の 目標としていた五輪を終えた今、何を 思うのか。この4年間を振り返るととも に、 “第2章”への決意を語ってもらった。 意識付けの研修も実施 2020東京オリンピックへ始動 おか じゅん ぺい 1993年生まれ、熊本県出身。160㎝55㎏。 得意種目:あん馬。主な実績:15年、全日本 体操団体選手権優勝(日本体育大学) たけ かず ゆき 1992年生まれ、群馬県出身。160㎝58㎏。 得意種目:つり輪。主な実績:14年、韓国・仁 川アジア大会団体金メダル、つり輪銀メダル がわ とも まさ 1993年生まれ、福岡県出身。167㎝60㎏。 得意種目:あん馬。主な実績:14年、韓国・仁 川アジア大会団体金メダル。15年、世界体 操競技選手権(英国グラスゴー)代表入り 東京五輪出場を目指す徳洲会体操クラブ(左から武田、金子健三、岡、亀山 主将、長谷川、齊藤優佑、山本雅賢、瀬島龍三) 羽ばたけ 若手“三銃士” 命だけは平等だ 平成 29 1 1日 日曜日│ No. 1064

2020東京オリンピックへ始動 - tokushukai.or.jp · 6月24~25日 : 第71回全日本体操競技種目別選手権大 (高崎アリーナ・群馬県) 10月27~29日

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徳洲会体操クラブの監督として過ごした4年間は、一言でいえば学びの多い4年間でした。4年前には見えなかったことや、わからなかったことが、今は見えたりわかるようになったりして自分の成長を実感しています。具体的に反省点を挙げると、1つは当クラブの活動拠点である徳洲会スポーツセンターかまくらの運営全体に腐心してしまったこと。決してクラブの強化を疎かにしていたわけではありませんが、児童対象の体操教室などを開いている「徳洲会かまくら体操クラブ」を含め、センターのマネジメント全般について考えることが多かった。もう1つは世界を必要以上に意識してしまったこと。ほかのチームが強いこともあり、いかに当クラブの選手を世界に送り出すかに目を向けがちだったように思います。これらに共通する背景として「自分の過去・経験にとらわれ過ぎた」ことが挙げられるのかもしれません。私が現役の頃は少ない人数でも勝っていたので、いつしか「少数精鋭でもいい」、「国内で勝つことより、世界で活躍することが大事」と考えてしまっていました。今は当時と状況が異なり、国内でなかなか勝てない。まずは日本一、その後、世界へとステップアップしていきたい。

16年10月の全日本シニアで8年ぶりに優勝した際、いろいろな方が「お

めでとう」と祝福してくださいました。やはり多くの方が当クラブの活躍を望んでくださっていると実感し、今後はチームを強化するための方策を積極的に打っていきます。一例を挙げれば、選手数をもう少し増やしたり、有望な選手を獲得したりす

るなど層を厚くしたい。たとえば全日本シニアの団体総合は6人で戦うので、1、2人けが人が出ると、あっと言う間に戦えなくなります。アクシデントが起こっても戦える体制を築いていきたいですね。また、選手個々の意識付けも大切なので、目指すべき方向性を固めるための取り組みを行っています。そのひとつがチームビルディング研修。16年12月に実施したのをふまえ、チームの理念やビジョンを掲げることにしました。目指すは「最強で最高のチームづくり」。2016年に得たさまざまな経験を生か

し20年の東京五輪を迎えたいと思っています。17年も引き続き応援をよろしくお願いいたします。

―あらためて16年

を振り返ると?

武田 

目標に届かな

いことが多く、苦し

い1年でした。目標

を下げるわけにもい

かず、正直、逃げ出

したいと思ったこと

もありました。

岡 

社会人になり、

試行錯誤の1年でし

た。とくに難しかっ

たのは試合間の調整。

学生の頃は春の大会

(天皇杯、NHK杯、

全日本種目別)の後、

8月にメインの大会

(全日本学生体操競

技選手権大会)を迎

えます。社会人は6

月の全日本種目別の

後は10月の全日本シ

ニア。約4カ月と長

期間の調整は難しか

ったですね。さらに

エース兼主将の田中和仁が引退し、全日本シニア体操競技選手権大会の

団体総合で8年ぶりの優勝など、徳洲会体操クラブにとって節目となっ

た2016年だが、17年は、20年開催の東京五輪へ向け始動する年となる。

ホープとして、とくに活躍が期待される武田一志、岡準平、長谷川智将の

〝若手三銃士〟に東京五輪を見据えた決意を聞いた。

2016年は悔しい1年だった。最大の目標だったリオ五輪出場が果たせず、選考会直後は引退しようと考えていた。しかし、時間が経つにつれ、自信はあるのに勝てないことへの怒りや悔しさが芽生え、「勝てるところで勝ちたい」との欲が大きくなっていったことから、現役続行を決めた。(田中)和仁さんから主将を継ぎ、成長できた1年だったとも思う。主将という立場をふだんから強く意識することはないが、リーダーとして、まとめ役をはじめスタッフと選手のパイプ役、何より後輩を育成できる主将でありたいと考えている。いよいよ東京五輪に向けた戦いが始まる。団体では日本一になること。個人でも総合、種目別問わず、常にトップクラスにいなければならない。自分も、あん馬1本に絞っている以上、あん馬で勝ち続けるしか代表への道はない。五輪まで4年あるが、スタートダッシュを図る意味でも、17年は大変重要な1年になる。「世界を魅了」――。これは当クラブが掲げる17年のスローガン。17年の1年、日本はもちろん、世界でも認められる美しい演技を心がけ、1人でも多く代表選手を輩出するとともに、スポーツ特有の面白さや感動を伝えたい。応援・支援してくださる方の期待に応えるためにも、

クラブが一丸となって取り組む覚悟だ。

世界を魅了するクラブへ

“お年玉”読者プレゼント選手のサイン色紙を1人、2017年版カレンダーを3人の方にプレゼントします。●応募方法:ハガキに①住所、②氏名、③電話番号、④希望の品を記入のうえ、ご応募ください。●宛先:〒102-0083東京都千代田区麹町3-1-1麹町311ビル8階一般社団法人徳洲会『徳洲新聞』編集室・読者プレゼント係●締切:2017年1月16日(月)(当日消印有効)※当選者は賞品の発送をもって、発表にかえさせていただきます。※応募の際にいただいた個人情報は、当プレゼント当選者への賞品の発送ならびに発送に関する問い合わせのために利用いたします。なお法令により求められた場合を除き、当選者の承諾なく個人情報を第三者に提供することはありません。

2017年の主な大会スケジュール(予定)4月7~9日 :第71回全日本体操競技選手権大会 (東京体育館・東京都)5月20~21日 :第56回NHK杯体操 (東京体育館・東京都)6月24~25日 :第71回全日本体操競技種目別選手権大 (高崎アリーナ・群馬県)10月27~29日:第50回全日本シニア・マスターズ 体操競技選手権大会 (四日市市中央緑地体育館・三重県)11月24~26日:第71回全日本体操競技団体選手権大会 (高崎アリーナ・群馬)

東京五輪へ選手を導く力強い声援を!

全日本シニアの翌月には

全日本団体が迫り、休養

すべきか、練習すべきか

手探りでした。

長谷川 

リオ五輪に出ら

れず、すごく悔しい1年

でした。また社会人とな

り、練習の環境に合わせ

るのが大変でした。午前、

午後と練習するため体力、

集中力を維持するのが厳

しかったです。

―東京五輪までに大事

なことは?

武田 

開催年に突然、代

表に選ばれるのは難しい

ので、早くから代表に選

ばれ続けることが大切だ

と思っています。その意

味ではスタートとなる17

年が大事になるでしょう。

岡 

自分も17年から代表

になり続け、見ている人

から「あの人なら大丈夫」

と信頼されるような選手

になりたいです。

長谷川 

けがで代表を外

れ16年のリオ五輪に出ら

れなかったので、体の管

理をしっかり行いたい。

生活習慣もそうですが、

とくに練習前後のストレ

ッチが大切。自分を管理

できれば、きちんとした

練習が行え、結果も出る

と思います。もうひとつ

は慢心しないこと。父に

よく「勝って兜か

ぶと

の緒を締

めよ」と言われてきまし

た。勝っても「喜ぶのは今

日まで。ひもを解いたら

切られるぞ」と。地に足

を付け、気を抜くことな

く過ごしたいと思います。

―17年の豊富を。

武田 

今年から個人総合

に参加する予定です。つ

り輪以外に平行棒も得意

種目になりそうな手応え

をつかんでおり、跳馬を

強化すれば、ゆか、鉄棒は

失敗せずに演技できる種

目なので、個人総合でも

上位に食い込めると思い

ます。どの大会でも2

番以内が目標。内村航

平選手を脅かす存在に

なりたいです。また、

徳洲会体操クラブの不

動のエースを目指します。

徳洲会のエースになれな

ければ日本、世界で戦え

ないと思っています。も

し17年にきちんとできな

ければ……今後の体操人

生はないなというくらい

強い覚悟で臨みたい。

岡 

五輪の翌年はルール

が改正され、うまく対応

できる選手が少ないだけ

に、17年は多くの選手に

チャンスがあると思いま

す。そこで、しっかり点

数を残していきたいです

ね。年齢的に最後のチャ

ンスとなるユニバーシア

ード(8月19〜23日・台

湾)への出場も考えてい

ます。種目では、ゆかと

平行棒に力を入れたい。

長谷川 

あん馬では優勝

し続けたいと思っていま

す。あん馬は地味な種目

ですが、自分の演技はダ

イナミックと言われるの

で、そこを見てほしい。

東京五輪は代表が4人と、

リオ五輪から1人減る可

能性があるので、あん馬

以外にもゆか、跳馬、平

行棒の底上げを図らなけ

ればなりません。

まず日本一目指し強化

米田監督インタビュー

会心の演技ができた時に行う長谷川の“寿司ポーズ”。このポーズが多く見られるほど、徳洲会体操クラブの勝利が近づく

手記

―主将・亀山耕平

徳洲会体操クラブの監督として、2016年、初めてオリンピックに挑戦した米田功監督。13年に監督に就任し、最大の目標としていた五輪を終えた今、何を思うのか。この4年間を振り返るとともに、“第2章”への決意を語ってもらった。

意識付けの研修も実施

2020東京オリンピックへ始動岡おか

準じゅん

平ぺい

1993年生まれ、熊本県出身。160㎝55㎏。得意種目:あん馬。主な実績:15年、全日本体操団体選手権優勝(日本体育大学)

武たけ

田だ

一かず

志ゆき

1992年生まれ、群馬県出身。160㎝58㎏。得意種目:つり輪。主な実績:14年、韓国・仁川アジア大会団体金メダル、つり輪銀メダル

長は

谷せ

川がわ

智とも

将まさ

1993年生まれ、福岡県出身。167㎝60㎏。得意種目:あん馬。主な実績:14年、韓国・仁川アジア大会団体金メダル。15年、世界体操競技選手権(英国グラスゴー)代表入り

東京五輪出場を目指す徳洲会体操クラブ(左から武田、金子健三、岡、亀山主将、長谷川、齊藤優佑、山本雅賢、瀬島龍三)

羽ばたけ! 若手“三銃士”

徳 洲 新 聞生い の ち

命だけは平等だ 平成 29 年1月1日 日曜日 │ No.1064 ❹