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(c)NECソフト株式会社, 横田治樹 2006, all rights reserved. 2.0時代のWeb技術と 情報アーキテクチャ 2006/08/20 (Sun) NECソフト株式会社 Webサービス&SOA技術センター 横田治樹

2.0時代のWeb技術と 情報アーキテクチャ · 1.イントロダクション インターネット 領域における Web 2.0の動向 2 エンタープライズ 領域における

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2.0時代のWeb技術と情報アーキテクチャ

2006/08/20 (Sun)

NECソフト株式会社

Webサービス&SOA技術センター

横田治樹

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アジェンダ

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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1.イントロダクション

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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Web(WWW)の起こり

「あらゆるコンピュータの情報がすべてリンクされていると想像してほしい……そうすれば、CERNをはじめ、地球上のコンピュータに記録されている最高の情報がすべて、私にも、他の誰にも利用できるようになるだろう。グローバルな情報空間がひとつになるのだ」(ティム・バーナーズ=リー)

1969年、インターネットの前身となる軍事目的のネットワークARPANETが開発。軍事的攻撃に耐えられるような分散型ネットワークを採用。1984年、日本で大学の研究用ネットワークJUNETが誕生。1986年、ARPANETから分割された研究用ネットワークNSFNetが作られる。1988年、日本にてWIDEプロジェクト発足。1989年、 CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)で、ティム・バーナーズ=リー氏が「Information Management: A Proposal(情報管理:提案)」を執筆。1992年、イリノイ大学に設置されている米国立スーパーコンピュータ応用研究所 (NCSA)でMosaicが開発される。1993年4月30日、CERNがWorld Wide Webを無料で開放。

出典: 新ネットワーク思考~世界のしくみを読み解く~(NHK出版)

参考 Wikipedia http://wilkipedia.jp/

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Webの標準化団体と最近の動向

IETF(The Internet Engineering Task Force): インターネットで利用される技術の標準化を策定する国際的団体。

W3C(World Wide Web Consortium): 1994年10月に発足。Webの各種標準を策定している国際的団体。

OASIS(Organization for the Advancement of Structured Information Standards): Webサービスなど応用分野の各種標準を策定している国際的団体。

上位レイヤの複雑な仕様策定は企業間の利益争いが絡みしばしば難航。そうした中で、2.0時代には「草の根的」にシンプルな仕様を技術者が自ら作る動きも。

各種のmicroformatsやWeb API仕様など。

出典: Wikipedia http://ja.wikipedia.org/

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インターネット利用動向(1)

日本で7000万人以上がインターネットを利用。老若男女が利用する情報共有プラットフォームに。

出典: インターネット白書2006 http://internet.watch.impress.co.jp/static/index/2006/06/26/index.htm

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インターネット利用動向(2)

携帯電話のみの利用者が多いのが日本の特徴。

出典: 平成17年「通信利用動向調査」 http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/060519_1.html

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Webの進展(Web 1.0からWeb 2.0へ)

人々のインターネットリテラシの向上や、ブロードバンドの普及、様々なWebの標準化の進展によって、

「人とコンピュータのインタラクション(双方向のやりとり)」だけでなく、

「人と人のインタラクション」「コンピュータとコンピュータのインタラクション」

が、加速度的に容易になってきた。こうした大きな流れが、「Web 2.0」という言葉で示される動きとなって現れてくることになる。

実は、ティム・バーナーズ=リー氏が掲げていた当初の目的である「グローバルな情報空間がひとつになる」そのものであるとも言える。

今回はそうした2.0時代の大きな流れを様々な視点から眺めるものである。

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2.インターネット領域におけるWeb 2.0の動向

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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1010

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Web 2.0の本質

Web 2.0はオライリーメディア社のDale Dougherty氏の造語であり、「新しいWebの動き」の総称。2つの重要な特徴として、

「ユーザ参加型のWeb」「プラットフォームとしてのWeb」

ということがある。これは言い換えれば

「人と人のインタラクション」「コンピュータとコンピュータのインタラクション」

が容易に実現できるようになった、ということ。

2005年9月30日、ティム・オライリー氏が「What is Web 2.0」という論文を提示し、グローバルで認識が共有された。

http://www.oreillynet.com/lpt/a/6228

Web 2.0:次世代ソフトウェアのデザインパターンとビジネスモデル (日本語訳)http://japan.cnet.com/column/web20/story/0,2000055933,20090039,00.htm

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プラットフォームとしてのWeb

リッチクライアント(Flash/Ajax)リッチクライアント(Flash/Ajax)

ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ

ストレージストレージ

Web APIWeb API Web APIWeb API Web APIWeb API

ストレージストレージ ストレージストレージ

WebブラウザWebブラウザ

インターネット

インターネット

カスタムWebアプリケーションカスタムWebアプリケーション

リッチクライアント(Flash/Ajax)リッチクライアント(Flash/Ajax)

WebブラウザWebブラウザシンクライアントシンクライアント

WebブラウザWebブラウザ

ストレージストレージ

インターネット

WebアプリケーションWebアプリケーション

WebブラウザWebブラウザ

カスタムアプリケーションカスタムアプリケーション

Win32 APIWin32 API

WindowsWindows

HDDHDD

Windows Platform

Web 1.0

Web 2.0

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Web 2.0の参考資料

Web 2.0についての詳細は、すでに様々な書籍があるので興味があればこちらを参照いただきたい。

Web2.0 BOOK(インプレス)

Web2.0 キーワードブック(翔泳社)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる(筑摩書房)

ここでは、Web 2.0の本質に関わるいくつかの重要な要素について紹介する。

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Web 2.0のいくつかの重要な要素

「人」と「人」、「コンピュータ」と「コンピュータ」といった様々な「双方向性」からいくつかの重要な要素が浮かび上がってくる。

ロングテール低コストなITの普及により80-20の法則(パレートの法則)における「20」の部分でもビジネスが可能に。

リッチなユーザ体験軽量なリッチクライアント技術がもたらすWebアプリケーションの操作性の飛躍的向上。

ユーザ参加型エンドユーザが価値あるデータ、メディアの生成やアプリケーションの機能強化プロセスに参加。

マッシュアップ複数のWebサービスをインターネット上で組み合わせて価値を生み出すインターネットサービスの開発が現実的に。

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事例: Bindows(リッチクライアントフレームワーク)

BindowsTM Home http://www.bindows.net/

WindowsライクなUIを構築できる重量系Ajax(*)フレームワーク。(*)Ajax=Asynchronous JavaScript + XML。

(c)BindowsTM

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事例: Google Spreadsheets(表計算)

Microsoft Excelファイルのインポート/エクスポートが可能。ファイルを共有して編集が可能。

(c)Google

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事例: Wikipedia(オンライン百科事典)

ユーザがWikiサイトに思い思いに登録した情報を、皆でブラッシュアップしていく百科事典サイト。Nature誌によれば、ブリタニア百科事典と同程度の正確さだとされる。

英語版は130万項目、日本語版は24万項目の情報が登録されている。

(c)Wikipedia

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事例: Qooqle(マルチ検索エンジン)

Google+Amazon+はてな+Yahoo!の各Webサービスをマッシュアップ。

Google Yahoo!Japan

Amazon.co.jpはてなブックマーク

(c)Google, (c)Yahoo!Japan, (c)はてな, (c)Amazon.co.jp, (c)オオヒダ タカシ

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Web 2.0とフラット化する世界

Web 2.0は「フラット化する世界(The World Is Flat)」(トーマス・フリードマン)の一現象であり、また、世界のフラット化を加速する要素でもある。

The World Is Flat――世界は「フラット」になった。この言葉の意味を理解しなければ、これからの企業や個人が生き延びることはできません。ITの飛躍的発展はイン ドや中国にグローバルな競争力を与え、その結果、先進国の仕事は次々に奪われています。その一方、知識やアイディアが共有されることにより、あらゆる場所でイノベーションが起きています。競争とイノベーションの新時代を、われわれはどう生き抜けばいいのか? Google、ウォルマート、デルなど「世界の フラット化」を成功に結びつけている実例を多数紹介しながら、21世紀の繁栄の条件を示します。(出典: Amazon.co.jp)

The World Is Flat――世界は「フラット」になった。この言葉の意味を理解しなければ、これからの企業や個人が生き延びることはできません。ITの飛躍的発展はイン ドや中国にグローバルな競争力を与え、その結果、先進国の仕事は次々に奪われています。その一方、知識やアイディアが共有されることにより、あらゆる場所でイノベーションが起きています。競争とイノベーションの新時代を、われわれはどう生き抜けばいいのか? Google、ウォルマート、デルなど「世界の フラット化」を成功に結びつけている実例を多数紹介しながら、21世紀の繁栄の条件を示します。(出典: Amazon.co.jp)

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事例: Google AdSense(ロングテール広告)

Webサイト(中小Webサイトも参加可能)

Webサイト(中小Webサイトも参加可能)

)

広告主

(中小企業も安価な価格帯

から出稿可能

広告主

(中小企業も安価な価格帯

から出稿可能)

AdSense申し込み広告出稿

コンテンツに

マッチした

広告を掲載

広告料金支払い

クリック数

に応じて広告料の

一部を還元

新たなグローバル経済圏の創出

(スケーラブルな広告プラット

フォームの提供)

レポートの提供 レポートの提供

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2020

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3.エンタープライズ領域におけるSOAの動向

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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SOA(サービス指向アーキテクチャ)

SOA(Service Oriented Architecture)=業務システムをビジネス視点からモジュールに分割し、標準的なインタフェースを持つ業務機能(「サービス」と呼ぶ)の組み合わせによって実現することで、業務システムの迅速な組み換えや連携を可能にする設計手法。

米国ではすでにメインストリームの構築手法になっているが、日本では2,3年の遅れが見られる。(ガートナー)

詳細は参考書籍を参照。ビジネスはSOAで変革する。 <インターネット時代の「フォード革命」>(IDGジャパン): 経営企画/ビジネス向け

SOA大全 サービス指向アーキテクチャ導入・設計・構築の指針(日経BP社): 技術者向け

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SOAベースの情報システム

Webシステムの多階層アーキテクチャの進化形。プロセス層とサービス層を分離するのが特徴。

プロセス層プロセス層

サービス層サービス層

アプリケーション層アプリケーション層

データ層データ層

プレゼンテーション層プレゼンテーション層

利用者

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業務の可視化(「見える化」)とSOA

業務の可視化によるPDCAサイクルによるカイゼン(BPM; ビジネスプロセスマネジメント)を行う際の情報システムによる実装部分をSOAで構築することが次第に現実的に。

標準的なビジネスプロセスモデリング記法としてBPMN(*)が策定されており、これを情報システムに落とし込むためのXPDL(*)やBPEL(*)といったビジネスプロセス記述言語も策定されている。

内部統制上も業務の可視化が重要な役割を果たす。ただし、日本版SOX法(日本版企業改革法)でははBPM/SOAで行うビジネスプロセスモデリングよりも通常粒度が大きく、あくまでも会計系が中心のため、BPM/SOAとは必ずしもスコープが一致しない。

出典: BPMNの概要(http://www.jsys-products.com/iwaken/bpmn/)

(*)BPMN=Business Process Modeling Notation(BPMI.org)XPDL=XML Process Definition Language(WfMC)BPEL=Business Process Execution Language(OASIS)

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EA(エンタープライズアーキテクチャ)とSOA

SOAはEAの実装基盤としても有力。EAとは、「組織全体の業務とシステムを共通言語と統一的手法でモデル化し、部局毎ではなく『全体最適』の観点から、業務とシステムを同時に顧客志向に改善していくための組織の設計・管理手法」である。(EA策定ガイドラインver.1.1: 経済産業省)

参考: EAとSOAはビジネスでバリューを出す両輪http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0508/17/news002.html

TAテクノロジアーキテクチャ(技受体系)

TAテクノロジアーキテクチャ(技受体系)

AAアプリケーションアーキテクチャ(適用処理体系)

DAデータアーキテクチャ(データ体系)

BAビジネスアーキテクチャ(政策・業務体系)

EA

SOAによる実現範囲

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SOAと既存の業務システムのイメージ

リッチクライアント(Flash/Ajax)リッチクライアント(Flash/Ajax)

ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ ビジネスロジック/データビジネスロジック/データ

ストレージストレージ

Web APIWeb API Web APIWeb API Web APIWeb API

ストレージストレージ ストレージストレージ

WebブラウザWebブラウザ

イントラネット

イントラネット

カスタムWebアプリケーションカスタムWebアプリケーション

リッチクライアント(Flash/Ajax)リッチクライアント(Flash/Ajax)

WebブラウザWebブラウザシンクライアントシンクライアント

WebブラウザWebブラウザ

ストレージストレージ

イントラネット

WebアプリケーションWebアプリケーション

WebブラウザWebブラウザ

カスタムアプリケーションカスタムアプリケーション

Win32 APIWin32 API

WindowsWindows

HDDHDD

Standalone AP

C/S Application

SOA

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類似するSOAとWeb 2.0のアーキテクチャ

SOAとWeb 2.0のアーキテクチャは、イントラネットとインターネットの違いがあるものの類似している。

つまり、Web(インターネット)ベースのネットワークで繋がった先に情報(構造化されたデータベース、非構造的なテキスト、画像、音声、動画など)もしくは、ビジネスロジック(業務処理を行うソフトウェア・プログラム)、あるいはコンピュータリソース(処理能力やストレージ)が置かれており、これを組み合わせることで、業務を実現したり、価値を生み出すというのが、Web(インターネット)技術が可能にした大きな流れであると言える。

Grid技術もWSRF(Web Services Resource Framework)仕様によって、Webサービスベースに統合された。

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SOAとWeb 2.0の違い

Web技術を使ったアーキテクチャということでは共通しているSOAとWeb 2.0だが、逆にそれ以外はほとんど異なる。

ただし、SOAとWeb 2.0は対立するものではなく、適用する場面が異なるだけであり共存するものである。

比較ポイント Web 2.0 SOA

ビジネスプレーヤ インターネット産業

ロングテール広告(バナー広告/リスティング広告/コンテンツマッチ広告/...)

サブスクリプション(定額制)

技術要素 プロトコル、データフォーマット、開発フレームワークなど、あらゆるものが「軽量」

プロトコル、データフォーマット、開発フレームワークなど、あらゆるものが「重量」

ボトムアップ

フラット構造

ハック

他者への信頼

オープンソース/データ

Creative Commons=それ自身として流用を促すアーキテクチャ

ソフトウェア産業

SI産業

ビジネスモデル 高付加価値な(≒高額な)

ソフトウェア

コンサルティング/SI

文化 トップダウン

ヒエラルキー構造

ガバナンス

セキュリティ

データ 企業内データ

セキュリティ/アクセス管理

コンプライアンス

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標準化が進むSOA/Webサービス技術スタック

XMLXML

XML Signature/XML Encryption/XKMSXML Signature/XML Encryption/XKMS

SOAPSOAP

WSDLWSDL

WS-ReliabilityWS-Reliability WS-ReliableMessagingWS-ReliableMessaging

SAML/XACMLSAML/XACML

WS-SecurityWS-Security

WS-Policy/WS-Privacy/WS-TrustWS-Authorization

WS-Policy/WS-Privacy/WS-TrustWS-Authorization

WS-TransactionWS-CoordinationWS-TransactionWS-Coordination WS-CAFWS-CAF BTPBTP

UDDIUDDI

WSDM/WS-ManageabilityWSDM/WS-Manageability

BPEL4WS -> WS-BPELBPEL4WS -> WS-BPEL

WS-I B

asic

Pro

fileW

S-I B

asic

Pro

file

サービス管理

サービス連携

サービスインタフェース

メッセージ到達保証/信頼性

プロトコル

相互運用性

WS-I B

asic

Security

Pro

file

W3C OASIS WS-I その他

サービスセキュリティ/

認証制御

WS-I B

asic

Security

Pro

file

トランザクション管理

完了

完了

策定中

完了

サービス運用管理策定中

完了

ID-FFID-FF

標準化進捗度

WS-AddressingWS-Addressing非同期メッセージ 完了

策定中分散サービスSSO

高度セキュリティ

WS-FederationWS-Federation

2-5年後

1-2年後

2-5年後

2-5年後

標準化目処標準

1-2年後

策定中

策定中

策定中

LibertyAlliance

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2929

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4.2.0時代のセキュリティ技術

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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3030

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Webセキュリティ

従来からWebサイトの運用には様々なセキュリティ対策が必要だったが、Webサービスが活用される2.0時代には、一段踏み込んだセキュリティが必要。

【従来のWebサイトセキュリティ】

アプリケーションセキュリティWebアプリケーションFirewall、SQLインジェクション対策、OSコマンドインジェクション対策、クロスサイトスクリプティング対策、セッションセキュリティ、リクエストパラメータチェック、…

サーバセキュリティセキュアOS、セキュリティパッチ運用、ウイルス対策、サービス・ポート制御、パスワード管理、アクセス制御、…

ネットワークセキュリティFirewall、IDS/IPS、ウイルス対策ゲートウェイ、SSL、電子証明書、…

物理的セキュリティ入退室管理、持出管理、データセンタ設備、…

参考: 安全なウェブサイトの作り方(IPA)http://www.ipa.go.jp/security/vuln/20060131_websecurity.html

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2.0時代のセキュリティ

より一般的な利用者がWebを活用する中で、いかに利用者が意識しなくてもセキュリティが確保できる仕組みを組み込むかが重要。

コンピュータとコンピュータが自動的に繋がる2.0時代では、複数のコンピュータを渡り歩いた時の、1)エンドツーエンドの情報保護と、2)複数のコンピュータをシームレスに繋ぐ認証(分散サービスSSO)が課題となる。

そうした課題に対して、SOA/Webサービススタックで前述したように様々な標準仕様が検討されている。

ここでは現時点でほぼ採用して間違いのない標準仕様である、WS-Security、SAMLを紹介する。

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エンドツーエンドの情報保護: WS-Security

OASISにて策定。メッセージの完全性、メッセージの秘匿性、および単一メッセージの認証を提供し、SOAPメッセージを強化。

OASIS Web Services Security (WSS) TChttp://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=wss

Web Services Security 1.0 日本語訳http://www.xmlconsortium.org/wg/sec/wss.html

SSL(HTTPS) の場合

WS-Securityの場合

インターネット インターネット

HTTPS HTTPS

インターネット インターネット

WS-Security

メッセージ内の情報を利用するために、

HTTPSを解く必要があり、メッセージが丸見えに。

クレジットカード情報など一部の情報は暗号化し

たまま、一部の情報を利用可能。

※正確にはXML Encryptionの機能。

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3333

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分散サービスSSO(の基盤技術仕様): SAML

認証情報、属性情報、認可情報を格納する「アサーション」と呼ばれるXMLベース証明書とそれを交換するプロトコルの標準仕様。分散サービスを連携するためのSSO基盤。

OASIS Security Services (SAML) TChttp://www.oasis-open.org/committees/tc_home.php?wg_abbrev=security

OASIS規格解説 SAML(Security Assertion Markup Language)http://www.utj.co.jp/xml/sta/saml.html

強力なSSOを実現するXML認証・認可サービス(SAML)http://www.atmarkit.co.jp/fsecurity/rensai/webserv04/webserv01.html

(2)SSO Pushモデル(1)SSO Pullモデル

(c) ITMedia Inc.

出典: @IT

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3434

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5.法制度と情報倫理

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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3535

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Webセキュリティに関わる法制度/標準

Webで様々な問題が発生するに従って法制度が強化されてきたが、情報流出、フィッシング、クラッキングや著作権法違反等の問題は依然として残る。

ISO/IEC17799ISMS適合性評価制度

ISO/IEC15408電子署名法個人情報保護法不正アクセス禁止法特定電子メールの送信の適正化等に関する法律プロバイダ責任法サイバー犯罪条約プライバシーマーク制度著作権法(参考)DMCA(デジタルミレニアム著作権法): 米国

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繰り返し出現する「共有」サイト

Web(インターネット)を使ってグローバルな共有ネットワークを構成するサービスがNapsterを皮切りに続々と登場。しばしば「グレーなコンテンツ」によって人気を獲得し利用者を拡大。

情報は使われれば使われるほど「価値」を生み出す性質を持っているが、既存の著作権隣接者の「利益」に反し、しばしば社会問題化。

しかし「便利さ」に慣れた利用者はもう不便な時代には戻れない。音楽はiTunesに回収された。動画はどうか?

【様々な「共有」ネットワーク】

1999 Napster(音楽共有P2Pネットワーク)

2000 Gnutella(ファイル共有P2Pネットワーク)

2001 WinMX(ファイル共有P2Pネットワーク)

2002 Winny(ファイル共有P2Pネットワーク)

2003 BitTorrent(ファイル共有P2Pネットワーク)

2005 YouTube(ビデオ共有コミュニティサイト)

【様々な「共有」ネットワーク】

1999 Napster(音楽共有P2Pネットワーク)

2000 Gnutella(ファイル共有P2Pネットワーク)

2001 WinMX(ファイル共有P2Pネットワーク)

2002 Winny(ファイル共有P2Pネットワーク)

2003 BitTorrent(ファイル共有P2Pネットワーク)

2005 YouTube(ビデオ共有コミュニティサイト)

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事例: YouTube(ビデオ共有コミュニティサイト)

個人が動画をアップロードし、共有・参照できるサイト。

著作権的にグレーなファイルも少なくないが、メディアや作者自らがファイルをアップロードするなどプロモーションツールとしての使い方が始まっている。

NBCユニバーサル、かつての仇敵YouTubeと提携http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20153148,00.htm

収益モデルは、広告モデル。

2006/05/01、フジテレビは対抗サイトとなる「ワッチミー!TV」事業の開始を発表。

(c)YouTube

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参考: YouTubeのページビュー

出典: Alexa

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オープンソースとCreative Commons

ソフトウェアにおけるオープンソースに対応するものとして、コンテンツにおけるCreative Commonsが普及。

Creative Commons http://creativecommons.org/従来のコピーライトと、パブリックドメインの中間のライセンスを以下の組み合わせで定義可能。

Attribution(帰属)

Noncommercial(非営利目的利用)

No Derivative Works(派生禁止/二次的著作物禁止)

Share Alike(二次的著作物の同一条件許諾)

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事例: ClipLife (動画共有サイト)

2006/08/07、日本電信電話株式会社(NTT)はCreative Commonsに基づくコンテンツの利用促進を目指したビデオ共有サイトClipLifeを8/28から開始すると発表。

出典: NTTプレスリリース(http://www.ntt.co.jp/news/news06/0608/060807a.html)

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プロシューマ(生産消費者)と「富の未来」

Webのブログ執筆者は「第三の波」「富の未来」(トフラー夫妻)が言うところのプロシューマ(生産消費者)。

プロシューマ(生産消費者)=自ら消費するためにモノ・サービス・情報を生産し、その活動によって収益を上げていない人たち。

例1)Amazon.comのレビュー。

例2)たのみこむのプロシューマ参加型開発モデル。

もちろんWebの情報は玉石混交だが、検索技術の発展と相まって、プロシューマ(生産消費者)が生み出す富が拡大する可能性。

コントロールと活用の適正なバランスに未来があるのではないか。

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6.次世代Webの情報アーキテクチャと企業の姿

インターネット

領域における

Web 2.0の動向

2

エンタープライズ

領域における

SOAの動向

3

2.0時代の

セキュリティ技術

4

法制度と

情報倫理

5

次世代Webの

情報

アーキテクチャ

と企業の姿

6

イントロ

ダクション

1

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Webがもたらした情報爆発・情報過多

Webページは2006年現在数百億ページとも数千億ページとも言われ、ブログや動的生成ページも拡大。情報の流通量の爆発的な増加が起きている。1)PCの普及…情報生成の民主化2)Webの普及…情報流通の民主化3)あらゆるデバイスからアクセス可能に(ユビキタス化)

情報過多は意思決定の精度を下げる。Info-overload harms concentration more than marijuana(情報過多はマリファナよりも集中力にダメージを与える)

http://www.newscientist.com/channel/being-human/mg18624973.400

インターネット

3)あらゆるデバイスからアクセス可能に(ユビキタス化)-ケータイ、PDA、ゲームコンソール、TV、カーナビ、情報家電…

1)PCの普及…情報生成の民主化

2)Webの普及…情報流通の民主化

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情報爆発に対応する2つのキーワード

こうした中で、情報爆発に対応するために2つのキーワード、すなわち、

a)アテンション・エコノミーb)ファインダビリティ

が重要であると考えられる。アテンション!(シュプリンガー・フェアラーク東京)

アンビエント・ファインダビリティ―ウェブ、検索、そしてコミュニケーションをめぐる旅(オライリージャパン)

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アテンション・エコノミー

Webや、ケーブルTV、地上波デジタル放送、ワンセグ放送を含むケータイメディアの拡大などから、チャネルとそこを流れる情報量が爆発的に増加。人間側が処理し切れない状態。

そうした中で、単に情報を持っていることにはもはや価値がなく、いかに消費者の「注目」「注目」「関心」「興味」を喚起できるか、ということが課題となる、「アテンション・エコノミー」化が語られるようになった。

【アテンション経済】

誰でも情報発信。

情報の氾濫。

より多くの消費者の注目を集めたものが富を獲得。

【アテンション経済】

誰でも情報発信。

情報の氾濫。

より多くの消費者の注目を集めたものが富を獲得。

情報インフラ(PC,インターネット,etc.)の低コスト化情報チャネルの爆発的拡大

無料で利用できる情報量の爆発的増加

情報インフラ(PC,インターネット,etc.)の低コスト化情報チャネルの爆発的拡大

無料で利用できる情報量の爆発的増加

【貨幣/情報経済】限られたメディアが情報を独占。

より多くの情報を持つものが富を獲得。

【貨幣/情報経済】限られたメディアが情報を独占。

より多くの情報を持つものが富を獲得。

アテンション アテンション

アテンション情報 情報 情報

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ファインダビリティ

ファインダビリティ=「情報の見つけやすさ」。

見つけられない情報は、存在しないことと同じ。

検索エンジンで上位に表示させることがともするとビジネスの生死に関わるようになり、検索エンジンの周辺に様々なビジネスが誕生(サーチ・エコノミー化)。

ロングテールのビジネス化が可能になったのは、ITコストの低下に加えて、玉石混交の中から、自分の欲しい情報を「見つける」技術が発達したためでもある。

検索エンジンを含めて「情報の意味づけ」「情報の分類」についての複数のアプローチが存在。

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セマンティックWeb vs. microformats vs. Google

「情報の意味付け」のアプローチについての3つの思想。

セマンティックWeb: W3Cが策定するRDF/OWLなど由緒正しき汎用メタ情報記述言語を利用。

RDF http://www.w3.org/RDF/

OWL Web Ontology Language Overview http://www.w3.org/TR/owl-features/

ウェブのオントロジー言語OWL -- ウェブに存在するものとその関係の定義http://www.kanzaki.com/docs/sw/webont-owl.html

microformats: 「草の根的」「自然淘汰的」に発生するよりシンプルなメタ情報記述言語を利用。

例)XFN(XHTML Friends Network) http://gmpg.org/xfn/

Google: 企業のミッションを「世界のあらゆる情報 を整理して世界中の人がアクセスできるようにすること」とし、ユーザが極力自分でメタ情報を付加することなく、機械的に意味づけ・整理する方法を模索。

ただしGoogleは専門家の意見を取り入れる仕組み(Google Co-op)や、Digg(ソーシャルニュースサイト)との連携も取り入れている。

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セマンティックWebのスタック

出典: http://www.w3.org/DesignIssues/diagrams/sw-stack-2005.png

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例: FOAFとXFN

【XFN】

<a href="http://someone.example.org" rel="friend met">Someone</a>→直接会ったことがある友人。

【XFN】

<a href="http://someone.example.org" rel="friend met">Someone</a>→直接会ったことがある友人。

【FOAF】<rdf:RDF

xmlns:foaf="http://xmlns.com/foaf/0.1/"xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"xmlns:rdfs="http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#">

<foaf:Person><foaf:mbox rdf:resource="mailto:[email protected]"/><foaf:knows>

<foaf:Person><foaf:name="Someone"/><foaf:mbox_sha1sum>44e03919a65.....402bed5c1f</foaf:mbox_sha1sum><foaf:homepage rdf:resource="http://me.example.org/"/>

</foaf:Person></foaf:knows>

</foaf:Person></rdf:RDF>

【FOAF】<rdf:RDF

xmlns:foaf="http://xmlns.com/foaf/0.1/"xmlns:rdf="http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#"xmlns:rdfs="http://www.w3.org/2000/01/rdf-schema#">

<foaf:Person><foaf:mbox rdf:resource="mailto:[email protected]"/><foaf:knows>

<foaf:Person><foaf:name="Someone"/><foaf:mbox_sha1sum>44e03919a65.....402bed5c1f</foaf:mbox_sha1sum><foaf:homepage rdf:resource="http://me.example.org/"/>

</foaf:Person></foaf:knows>

</foaf:Person></rdf:RDF>

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事例: Google Base(オンラインデータベース)

自由にカラムを設定できるオンラインデータベース。デフォルトで、商品・サービス、就職情報、レシピ、地域ニュース、などのサービスレベルの「型」があり、ユーザがセルフサービスで登録できる「地域情報/広告サービスサイト」として機能している。

登録したデータは、Googleのサーチエンジンで検索できる。

今後EC機能との連携も。

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taxonomy vs. folksonomy vs. 検索エンジン

「情報の分類」のアプローチについての3つの思想。

フォークソノミー(folksonomy)=「民族・人々(folk)」+「分類(taxonomy)」。

「多数の人々が思い思いに入力した情報に基づく、ネットワーク的かつフラットな情報の構造。諸概念を階層的に組織する従来の分類学的発想に対して言う言葉。」(出典: はてなキーワード)

ソーシャルブックマークやソーシャルアルバムで使われている。

分類法 ディレクトリ/taxonomy

ロボット検索エンジン folksonomy(フォークソノミー)

分類学的分類 数学的分類 社会学的分類

情報収集 選ばれた特定の人 コンピュータ(アルゴリズム)

多数の人

情報分類 選ばれた特定の人 コンピュータ(アルゴリズム)

多数の人

価値付け 選ばれた特定の人 コンピュータ(アルゴリズム)

多数の人

例 (旧)Yahoo!, all about Google,(新)Yahoo! del.icio.us, はてなBM

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企業におけるWeb 2.0/SOAの活用

企業におけるWeb 2.0/SOAの活用は、「人と人とのインタラクション」「コンピュータとコンピュータのインタラクション」という本質に立ち返ることが重要。

【社内向けWeb 2.0活用例】

次世代経営ダッシュボード

ビジネスブログ(ナレッジ、日報、…)、ビジネスSNS(コラボレーション活性化、ノウフー)

エンタープライズサーチ(企業内検索)、ビジネスソーシャルブックマーク

【社外向けWeb 2.0活用例】

ユーザコミュニティ構築、口コミマーケティング、ユーザ参加型商品開発

CGM(コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)コンテンツ/リサーチデータ販売

Webサイト機能のAPI公開

【SOA活用例】

ビジネスプロセス可視化、ビジネス変化への対応力強化

情報基盤策定、重複した情報資産の統合、シェアドサービス化

次世代ポータル、データ統合

レガシー資産活用、情報システム連携の容易化

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IT産業に訪れる「サービス化」の波

「サービス化の波に備えよ」(ビル・ゲイツ,2005/11)「サービス化の波に備えよ」--ビル・ゲイツによる話題のメモを全文公開http://japan.cnet.com/news/biz/story/0,2000056020,20090623,00.htm

「今度の主役はサービスだ。」(Ray Ozzie,2005/11)Ozzie memo: 'Internet services disruption‘http://news.com.com/2100-1016_3-5942232.html

「ソフトウェアのサービス化に移行することが重要になっている」(マーク・ベニオフ,2006/07)

「アプリケーションはパッケージからサービスに」-米salesforce.comベニオフCEOhttp://enterprise.watch.impress.co.jp/cda/topic/2006/07/07/8215.html

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Microsoft(こちら側)とGoogle(あちら側)の戦いMicrosoftに代表されるソフトウェア販売のビジネスモデルと、無償ネットワーク・ソフトウェア・サービス+広告のビジネスモデルの戦い。

インターネットの「こちら側」

インターネット

企業

PC

ソフトウェア

データ

コンシューマ

PC

ソフトウェア

データ

企業

PC

ブラウザ

コンシューマ

PC

ブラウザ

インターネット

インターネットの「あちら側」

データ作成 データ作成

ソフトウェア販売ソフトウェア販売 ソフトウェア販売ソフトウェア販売

インターネットの「こちら側」

サーバ

ソフトウェア広告

データ集計・分析・評価

広告掲載

データ作成

広告出稿広告料

広告出稿広告料

サービス無償利用広告閲覧

サービス無償利用広告閲覧

エンドユーザはソフトウェアの購入不要

ソフトウェア販売ビジネス 無償ネットワーク・ソフトウェア・サービス+広告ビジネス

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NGN(*)時代の産業フレームワーク(*)NGN=Next Generation Network

インターネットビジネスは水平分散が基本だったが、水平分散+垂直統合の両取りが今後有力になっていく可能性。Googleは半導体やNWに着手するなど垂直統合指向を鮮明にしている。

キャリア(通信事業者) エンタープライズ コンシューマ

NW

HW

mobile

Service

AP

DB

Web 2.0広義のNGN

狭義のNGN

SOA/SaaSEnterprise Web 2.0

Semicon

Google

Google

の収益領域

Google

の差別化/

参入障壁領域

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「サービス化」の潮流(1)

資本主義が要請する「スピード」「アジリティ(俊敏性)」「フレキシビリティ(柔軟性)」

「環境変化への柔軟な対応」が要求される世界では、「所有(have)」から「利用(use)」へ。

3PLなどのアウトソーシング、オフショア活用の進展。

企業における正社員の非正規化もある意味では労働力の「ユーティリティ化」。

つまり、あらゆるものの「サービス化」「ユーティリティ化」「モジュール化」が一層進む可能性。

モジュール化―新しい産業アーキテクチャの本質(東洋経済出版社)

デザイン・ルール―モジュール化パワー(東洋経済出版社)

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「サービス化」の潮流(2)

Web、企業、産業構造など、あらゆるものにおいて「サービス化」していく大きな流れが見受けられる。

「サービス化」の潮流「サービス化」の潮流

Web 1.0Web 1.0 Web 2.0Web 2.0

Web/Webデータのサービス化

モノリシック

アプリケーション

モノリシック

アプリケーションSOASOA SOESOE

業務プロセス/業務データのサービス化

Web 3.0Web 3.0

産業構造のサービス化

(第1次産業→第2次産業→第3次産業→第4次産業)産業構造のサービス化

(第1次産業→第2次産業→第3次産業→第4次産業)

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SOE(サービス指向エンタープライズ)の可能性

次世代エンタープライズの姿=SOE? (Service Oriented Enterprise; サービス指向エンタープライズ)

ノンコア業務を全てソース。しかもしばしばグローバルで行われる。アウトソーシングの極北。ただしソースしている業務が他の企業と交換可能でなければ、その企業に依存するリスクもある。

コンピュータとコンピュータとのインタラクション、人と人とのインタラクションの同時活用。

【企業A】【企業A】

SOA

研究 受注 製造 配送 決済

受発注

サービス

製造

サービス

配送

サービス

決済

サービス

【企業A】【企業A】

SOE

研究 受注 製造 配送 決済

受発注

サービス

企業C

製造

サービス

企業D

配送

サービス

企業E

決済

サービス

企業F

?研究

サービス

企業B

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事例: Apple iPod

Apple自身はコンセプトやデザインを決めているだけであり、設計・製造はグローバル・サプライチェーンを活用して行われている。

高付加価値を生み出しているものは高いコンセプト/デザイン策定力。

商品コンセプト/外形デザイン/機能 Apple

MPU シリコンバレーのベンチャー企業のポータルプレーヤー

製造 中国

パッケージ・テスト 韓国/台湾企業

フラッシュメモリ 東芝->Samsung?

その他の部品 SCMで世界中から

最終組み立て 中国

鏡面磨き 磨き屋シンジケート(日本/新潟)

(c)Apple

参考: 日経:iPod の作り方

http://homepage.mac.com/naoyuki_hashimoto/iblog/C562789584/E20051017103803/

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事例: IBM Globally Integrated Enterprise

「多国籍企業」から「グローバル統合企業」へ。

グローバルにおいて各国で完結して生産・販売する多国籍企業ではなく、単に物価・人件費の安い国で生産して物価の高い国で販売するオフショアでもなく、グローバルで各国で得意な業務を分担し、それらを自動化されたサプライチェーンで繋ぐ統合された企業の姿。

The Globally Integrated Enterprisehttp://www.ibm.com/ibm/publicaffairs/gp/samforeignaffairs.pdf

(c)IBM (c)IBM

出典: Global Integration http://www.ibm.com/investor/events/global0606/session1/presentation2/session1_2.pdf

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