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東大土木メールニュース 21 号 Nov 11th, 2016 目次 1.「先輩の声」ランビンさん(ウィスコンシン大学、1989 修) 2.「先輩の声」ヤニさん(スラバヤ大学、2010 博) 3.「先輩の声」ジェシュさん(ソニーモバイルコミュニケーション、2012 ) 4.モスクワセミナーの報告(交通研より) 5.「私の同期会」昭和 61 桑野玲子さん 東大土木メールニュースは、同窓会のウェブ名簿にご登録いただきました会員さまに、東大土木の今をお 知らせする情報をお届けするものです。月 1 回程度配信する予定です。また、会員さまからのご投稿や 「こんな情報を知りたい」というリクエストも歓迎いたします。 ご意見、ご要望は、[email protected] までお寄せください。 (東大土木メールニュース 編集部一同) 表紙の写真:藤野先生宅での一コマ、先生、先輩、後輩がご家族を連れて一同に会しました。 真ん中は 19 号でインタビューに答えてくださったペンヌン先生です。

東大土木メールニュース21号 - [東大社会基盤学] 東 … Putri Nuradi (アユさん、清田研M2、右手前)・Juliafad Eka (エカさん、 目黒研D2、右 奥

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東大土木メールニュース 21 号 Nov 11th, 2016

目次

1.「先輩の声」ランビンさん(ウィスコンシン大学、1989修)

2.「先輩の声」ヤニさん(スラバヤ大学、2010博)

3.「先輩の声」ジェシュさん(ソニーモバイルコミュニケーション、2012 修)

4.モスクワセミナーの報告(交通研より)

5.「私の同期会」昭和 61 年 桑野玲子さん

東大土木メールニュースは、同窓会のウェブ名簿にご登録いただきました会員さまに、東大土木の今をお

知らせする情報をお届けするものです。月 1 回程度配信する予定です。また、会員さまからのご投稿や

「こんな情報を知りたい」というリクエストも歓迎いたします。 ご意見、ご要望は、[email protected] までお寄せください。

(東大土木メールニュース 編集部一同)

表紙の写真:藤野先生宅での一コマ、先生、先輩、後輩がご家族を連れて一同に会しました。

真ん中は 19 号でインタビューに答えてくださったペンヌン先生です。

1.「先輩の声」ランビンさん(ウィスコンシン大学、1989修)

学生時代の学び –交通工学-

東大ではどんな研究をしていましたか。

私は清華大学からの留学生として東京大学に来ました。当時、土木工学専攻では西野文雄先生が年間

20 人前後の留学生を受け入れるプログラムを始めた時で、私はそのプログラムの最初の留学生でした。

清華大学の時は構造工学が専門でしたが、東大に来てから交通工学に専門を変えましたので、最初の半

年間は、研究室と下宿を往復してひたすら勉強に打ち込みました。静的交通ネットワークのモデリング

から始めて、すぐに動的モデルの方に移行しました。ちょうどその頃に桑原雅夫先生(1981 年修卒)、

赤松隆先生(1985 年卒)がいらっしゃったので、3 人でトライアングルのようにタグを組み、一緒に研

究をしました。現在でも私が取り組んでいる動的交通モデルは、世界の最先端を行く研究テーマです。

Prof. Ran Bin

●ランビン先生(写真右):1989 年 3 月修士課程修了(指導教官:松本嘉司先生)。ウィスコンシン

大学マディソン校 教授。専門分野は動的交通ネットワークモデル、交通シミュレーション・コント

ロール、交通情報システム、高速道路における路車間通信。 ●インタビュアー:梅澤祥太(交通研M1、左手前)・長谷川悠(大口井料研M1、左奥)

たまたま留学した日本で出会った楽しい研究室

なぜ留学先に日本を選ぼうと思ったのですか。

実は自分の選択ではなかったのです。その頃の中国は学問のレベルが最先端ではなかったので、清華

大学では優秀な学生に対して留学を勧めていました。私は自分の選択ではなく大学から「交通工学を学

んで来なさい」といわれて東京大学に来ましたが、今思えばとても良い結果になったと思います。 研究室生活で一番楽しかったことは何ですか。

楽しかった思い出はたくさんあるので一番を決めるのは難しいのですが、研究室のメンバーと土木学

会で沖縄に行ったり、紅葉の箱根を訪れたりしたことでしょうか。研究室のメンバーとはみな距離感な

く、寝食を共にする楽しい仲間でした。妻もそんな研究室のメンバーの一人でしたので、東大での思い

出は格別です。それから、先生方もよく学生の面倒をみてくれました。

BE A LEADER 世界にネットワークを

社会基盤の学生にメッセージをお願いします。

「リーダーになれ」ということです。日本一の、そして世界にも通用する東京大学という名前を背負

う学生は、学術のみならず、将来の政治経済といった分野においてリーダーになるでしょう。私が期待

するのは、日本に限ったリーダーではなく、世界のリーダーなのです。そのためには、まず本を書くこ

とです。私の書いた本はアメリカや中国で出版されています。そして、次に日本以外の人々ともたくさ

ん交流して、共働しなくてはなりません。世界中の人々のネットワークというのは将来、あなた方をさ

まざまな場面で助けてくれることでしょう。 例えば、私は世界中に「アカデミックなネットワーク」を持っています。私はこれまで本当にたくさ

んの学生を教育してきました。その学生たちは今、世界中で教鞭を執っています。たとえばミシガン大

学、ワシントン大学、ノースカナダ大学など北アメリカの主要な大学では私の教え子たちが教授になっ

ています。そのほかにもオーストラリア、韓国、台湾、など 36 の大学で私の教え子たちが活躍してい

ます。中国では 100 名を超えるドクターを指導してきました。今ではそうした教え子たちが、さらに学

生を受け持つようになっています。 つまり今の私は、たくさんの孫弟子の「アカデミックなおじいちゃん」になっているのです。

2.「先輩の声」ヤニさん(スラバヤ大学、2010博)

留学 それは困難に立ち向かうこと

生きていくということは、安住の地を去ることから始まります。しばし、たやすい場所は生きる意味

を問い、学ぶことを忘れさせてしまうから。しかし、安住の場所を離れ、新しい一歩を踏み出すことは、

人生を困難にも導きます。その一番身近な例が留学でしょう。 海外で学ぶことは多くの変化をもたらします。例えば家族や親せき、親しい友人との別れ、現在の仕

事を辞めること、母国を離れること、そして新しい文化や生活習慣を受け入れること。これらが私たち

にとって、安住の地から飛び立つことであり、多くの留学生が同じように経験することなのです。例え

ばヤニさんのように。Dr. Januarti Jaya Ekaputri さん、皆が親しみを込めてヤニさんと呼ぶ私たちの

Dr. Januarti Jaya Ekaputri

●ヤニさん(写真左、彼女が学生時代に描いた前川先生の似顔絵とともに):2010 年博士号取得

(指導教官:前川宏一先生)スラバヤ工科大学、インドネシア出身。 ●インタビュアー:Ayu Putri Nuradi (アユさん、清田研 M2、右手前)・Juliafad Eka (エカさん、

目黒研 D2、右奥):両名共にインドネシア出身。

先輩は、東京大学の社会基盤学専攻、コンクリート研究室に所属し、前川先生のご指導のもと 2010 年

に博士号を取得しました。 東大に在籍している間、ヤニさんは研究者になるためにさまざまな挑戦をしました。ただし、病に伏

す父親(最愛の母も 2006 年に亡くなったそうです。)を気にかけながらの勉強の日々でした。それでも

さまざまな障壁に心を囚われすぎぬよう意識して、粘り強く前に進み続けました。彼女の夫も彼女が落

ち込んだ時にいつも支え続けてくれたそうです。彼の言葉はヤニさんを慰め、そして最後は必ず励まし

となりました。 研究者としてのみならず教育者となるための更なる挑戦が課されました。やる気を失っている学生の

指導を任されたときです。たしかに困難でしたが、学びがありました。今になって、その時の経験が同

じような学生たちの指導に役立っています。新しいことに挑戦すれば、必ず新しい実りを得ることがで

きます。彼女は言います、「上手に教えられるようになるためには、まず学生たちをよく理解しようとす

ることね。」

インドネシアでの活躍と東大とのつながり

インドネシアに帰国後ヤニさんはスラバヤ工科大学に奉職しました。彼女の研究活動が数々の賞や助

成金を得ていることはよく知られています。ヤニさんは学生たちに国際的雑誌への論文投稿を勧めてい

ます。研究助成金は少ない額でも工夫を重ねることにより、次々と新しい研究に取り組み研究室を活性

化することにも役立っています。 ヤニさんはインドネシアでキャリアを積みつつも東京大学、特に前川先生との関わりを大切にしてい

ます。共同研究を目的として、インドネシアと東京の大学の間に強いつながりをつくろうと考えていま

す。 最後に彼女からの締めくくりの言葉を紹介します。「正直に、感謝の気持ちをもって、自分自身の幸せ

を探してください。常に前を向いて、昨日のことはもう過ぎたことだから。」

3.「先輩の声」ジェシュさん(ソニーモバイルコミュニケーション、2012修)

家田先生や漫画との出会い

なぜ東京大学を選んだのですか? Why did you chose the University of Tokyo? 中国では子ども向けに、日本の漫画やアニメはとても人

気がありました。僕もスラムダンクやドラゴンボール、

ワンピースなどのファンです。漫画やアニメから日本に

興味を持つようになり、日本で暮らしてみたいと思うよ

うになりました。そんな時に上海で家田先生に一度お会

いし、頭の良さや人柄の良さに強い印象を受けました。

そこで、東京大学を留学先に選びました。 The Japanese comic and animation is very popular in China when I was a child. I’m a fan of Slum-Dunk, Dragon ball, One piece etc. Because of the comic and animation, I became curious about Japanese culture

and it makes me want to experience the life in Japan. The University of Tokyo is the best university of Japan, and I met my professor, Dr. Ieda, in Shanghai once. He is very impressive to me since he is very smart and nice. So I decide to apply The University of Tokyo.

震災後の東北を訪れた記憶

学生時代、一番印象に残ったのは? What was the most impressed thing when you were a student? 東日本大震災です。(来日して半年後に経験)日本は大きな被害と損失を被りましたが、その時の日本人

のたくましさは強く印象に残りました。町は災害の後も秩序が保たれ、人々は困難に打つ勝つためにお

互い助け合っていました。交通研では東日本大震災をテーマにしたセミナーを行い、大きな成功を収め

ました。震災から一年後に東北地方を訪れ、そこに暮らす人々と語ったり、復旧の過程を見たりしたの

も記憶に残っています。 The most impressive memory is the Great East Japan Earthquake. Japan suffered a big loss after that, but the toughness of Japanese people impressed me a lot. The city is organized well after the disaster and people helped each other to overcome the difficulty. Our Lab hold a seminar about the Great East Japan Earthquake and it was very successful. I also visited the Tohoku area 1 year after the earthquake and talked to the people there, watching the progress of recovery.

Xu Jie

●掲序(ジェさん):中国出身、2012年 9 月修士課程卒業、交通研(家田先

生)、ソニーモバイルコミュニケーショ

ン勤務。

これからも日本で続けたい仕事

卒業後、現在の仕事にはどのようにして就きましたか? How did you find job opportunities after graduation and get the current job? 私は卒業してからインターネットで就職先を探しました。どの会社も秋から募集を受付けていたので、

ウェブサイトで見て興味をもった会社にいくつか申し込みました。1 社につき 3-4 回の面接を受けて、

そのうちの一つに入社しましたが、4 年後に転職を決意し、リクルートエージェンシーに申込みました。

エージェントは私の経験やリクエストからたくさんのアドバイスや就職先を紹介してくれ、今の会社で

働くことを決めたのです。

I find the Job after graduation by apply on-line. Every company has the recruit activity since autumn. So I picked up some companies which I have interest and applied from their website. Then I attended the interview 3 or 4 times for each company and get the offer. After 4 years, I decided to change my job and applied Recruit agency. They give me a lot of advices and job opportunities based on my experience and request. I applied some of the company and get my current job. 現在の仕事はどのような仕事ですか? What kind of jobs are you working for?

会社の内部監査部門で働いています。私の仕事は、会社の資金の運用効率、効果を確実にして会計報

告への信頼度を上げること、および関連する法律や条例などのコンプライアンスを確実にすることです。 Internal Audit. My responsibilities is to ensure the operational efficiency and effectiveness of my

company, ensure the reliability of financial report and compliance to relative law and regulation. 将来の夢、計画は? Your future plan.

今の仕事である内部監査や金融分析についての資格をとり、この分野の専門家になりたいです。日本

で結婚し、妻も日本で働いています。家も建てましたので、もうしばらく日本に住むことになりそうで

す。 I’d like to take some professional certificate of Internal audit and financial analysis and become a

professional in this area. I may stay in Japan for a while since I got married and have a house here. Japan is a good place to live.

4.モスクワセミナーの報告(交通研より)

社会基盤の教員・学生がモスクワ大学・サンクトペテルブルグ大学を訪問

2016 年 8 月 7 日~14 日の日程で佐藤先生、竹内先生をはじめとする教員 6 名と学生 11 名がモスク

ワ大学とサンクトペテルブルグ大学を訪問しました。モスクワ大学では 8 日~10 日で地理学部との共

同セミナーが行われました。実に 3 回目の開催となります。モスクワ大学の参加者は約 40 名でした。

セミナーでは教員の研究報告や学生のポスター発表が行われ、今後はバイカル湖地域を対象とした総合

的地域研究や、氷雪圏研究などの分野で研究交流の可能性が確認されました。 11 日にはサンクトペテルブルクへ新幹線「サプサン(はやぶさ)」で移動し、サンクトペテルブルグ

大学の地球科学研究所(地理学部に相当)を訪問しました。同大学では代表研究者とのラウンドテーブ

ル・ミーティングが行われ、海洋学や水文学、都市計画、地理情報、気象学などの研究分野で交流でき

る可能性が明らかになりました。今後は学生・研究者の交流を深めながら、学術交流の機会を作ってい

くことになりそうです。

講演する佐藤先生 ポスター発表する学生 荘厳なモスクワ大学

サンクトペテルブルグ大学での円卓会議 サンクト大学といえば長い廊下

日露の学術交流

5.「私の同期会」(昭和 61年)

S61 卒 S63 修の同期生は、半年に一度、春と秋に同期会を開催しています。開催場所は幹事の采配に

よりその都度かわります。添付の写真は今年の 5 月 21 日にホテルエドモントで恩師の先生方にもご出

席いただき開催した卒業 30 周年記念同窓会の時のものです。先生 6 名、同期生 30 名の楽しい会になり

ました。(桑野玲子、東京大学生産技術研究所、教授)

私の同期会(桑野玲子さん)

東大土木メールニュース編集部

編 集 長:赤池あゆこ(H7) 副編集長:鳩山紀一郎(H13 修) 編 集 員:鈴木明子(H21)高橋佑弥(H20) 長谷川悠(H27)梅澤祥太(H27) 顧 問:伊藤學(S28) 英文校正:アレクサンダー・ギルモア先生