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30cmμPICを用いた 電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)開発 2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4 松岡佳大 A 谷森達 A ,窪秀利 A,B ,Parker Joseph A ,水本哲矢 A ,水村好貴 A , 友野大 A ,岩城智 A ,澤野達哉 A ,中村輝石 A ,古村翔太郎 A ,中村祥吾 A , 小田真 A ,園田真也 C ,身内賢太朗 D ,高田淳史 E ,岸本祐二 F , 株木重人 G ,黒澤俊介 H ,田中真伸 B,I ,池野正弘 B,I ,内田智久 B,I 京大理 A ,Open-It B ,京大工 C ,神戸大理 D ,京大生存圏研 E , KEK放射線科学センター F ,東海大医 G ,東北大金研 H ,KEK素核研 I MeVガンマ線カメラ ETCC 気球実験SMILE (30cm) 3 ETCCの性能試験 まとめ 内容

30cm μPICを用いた 電子飛跡検出型コンプトンカメ …...KEK 放射線科学センターF,東海大医G,東北大金研H,KEK素核研I MeVガンマ線カメラ ETCC

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30cm角μPICを用いた

電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)の

開発

2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

松岡佳大A 谷森達A,窪秀利A,B,Parker JosephA,水本哲矢A,水村好貴A,

友野大A,岩城智A,澤野達哉A,中村輝石A,古村翔太郎A,中村祥吾A,

小田真A,園田真也C,身内賢太朗D,高田淳史E,岸本祐二F,

株木重人G,黒澤俊介H,田中真伸B,I,池野正弘B,I,内田智久B,I

京大理A,Open-ItB,京大工C,神戸大理D,京大生存圏研E,

KEK放射線科学センターF,東海大医G,東北大金研H,KEK素核研I

MeVガンマ線カメラ ETCC

気球実験SMILE

(30cm)3ETCCの性能試験

まとめ

内容

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

MeVガンマ線天文学

約2000個 P. L. Nolan+ (ApJS, 2012)

GeVの宇宙 Fermi/LAT > 1 GeV

30個程度 V. Schönfelder+ (A&AS, 2000)

1~30 MeV MeVの宇宙

CGRO/COMPTEL

E2散乱γ線

E1 反跳電子

V. Schönfelder+ (ApJS, 1993)

G. Weidenspointner+ (A&A, 2001)

φ

COMPTELのTOF分布

・コンプトン散乱

→ イメージングの難しさ

・検出器自体の放射化

→ 大量のバックグラウンド

MeVガンマ線の課題

COMPTELの検出原理 R. van Dijk (Ph.D thesis, 1996)

検出器自体の放射化

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

電子飛跡検出型コンプトンカメラ ETCC

ガス検出器μ -TPC

⇒反跳電子のエネルギーと3次元飛跡

GSOシンチレーションカメラ(PSAs)

⇒散乱ガンマ線のエネルギーと吸収点

GSO 8×8 H8500

5cm

30

cm 30

cm

ARM:散乱角φ の決定精度 SPD:散乱平面の決定精度

e-

cosmic μ

電離損失dE/dX分布

誤信号

3イベントでのイメージング

without SPD

with SPD

Pixel Scintillator Array (PSA)

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

気球実験SMILE

1m

μ -TPC

PSAs

気球実験 SMILE-Ⅱ (30cm)3 ETCCを使用 2014年 アメリカでの放球を申請中 35~40km 1日程度 重量・電力はSMILE-Ⅰと同程度 目標:Crabの5σ 以上の観測 ⇒ 有効面積:1 cm2 @300keV with ARM = 10°@662keV

気球実験 SMILE-Ⅰ (10cm)3 ETCCを使用 2006年 三陸にて実施 ARM = 20°(@662keV) 宇宙拡散・大気ガンマ線の 測定に成功

30cm

muon electron

検出器の大型化

検出効率の改善

回路の小型・高速化

1事象当たりの

電子飛跡データ点の数

改良前

改良後

μ -TPCによる飛跡の例

古村講演 (22pSD-6) 飛跡解析

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密封線源

ETCC

ETCCによる再構成例

φ kin

φ geo

~ 2

m

Zenith Angle

φ geo:実際の線源位置から

2013/9/22

φ geo

φki

n

実測値

cos ∅𝑘𝑖𝑛 = 1 −𝑚𝑒𝑐2

1

𝐸𝛾−

1

𝐸𝛾 + 𝐸𝑒

散乱角φ

e-(Ee)

散乱γ (Eγ )

日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

ETCCの特性① dE/dXによる雑音除去

電子飛跡 → 飛跡長 → 電離損失 (dE/dX)

φ geo

φki

n

φki

n

φ geo

e-

cosmic μ

TPC Simulation →高田講演 (22pSD-5)

e-

dE/dX

sim. (電子のみ)

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

ETCCの特性② SPDによるイメージング

上 : Legacy 下 : Advanced (SPD=200° を仮定)

⇒ SPDにより高コントラスト(~4倍)のイメージが可能

γ 線バースト(GRB910505)のCOMPTELの イメージとETCCのイメージ予想

線源

Ryan, J. M., NewAR, 48, 199 (2004).

137Cs×3 3.2MBq 0.85MBq 0.74MBq

サークルによる誤信号

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ガンマ線+雑音

2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

ガンマ線の再構成 137Cs(~0.85MBq) Zenith 15°~2m dE/dx分布

エネルギースペクトル BG引き

dE/dX Energy

137Cs

BG

ガンマ線

⇒ 簡単なイベントセレクションで鮮明なイメージに成功

Back Projection Image

662keVガンマ線

6m

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

再構成 Back Projection Image

15°

30deg.

60deg.

30° 60°(~3str) 137Cs(~0.85MBq)

6m

エネルギーによる線源判別

位置変化 (Zenith Angle)

⇒ 3str までの視野を確保

⇒ 100keV~1MeVのγ 線イメージに成功

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

30cm角ETCCの分解能

角度分解能(FWHM)@662keV

5.3 deg. 93 deg.

GSO(simulation)

LaBr3(simulation)

ARMの限界値

エネルギー分解能(FWHM)

18 %@ 166 keV 11 %@ 662 keV

ARM:原理限界に近い値を達成 SPD = 93°は 他検出器と比べて非常に良い値 (California大のCCDグループでは 100keV以下電子ではSPD 200度以上と報告) (D.H.Chivers et al.,2010 IEEE)

cos∅ = 1 −𝑚𝑒𝑐2

1

𝐸𝛾−

1

𝐸𝛾 + 𝐸𝑒

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検出効率・有効面積

今後に向け、

最適なガスの種類、ガス圧を検討

⇒CF4 ガス、3気圧で

有効面積~10cm2 (COMPTEL : 12cm2@1MeV)

Simulated Effective Area

改良によりSMILE-Ⅰから SMILE-Ⅱで5倍以上 大型化によってさらに~10倍 側面PSAsを組めば、 有効面積~1cm2 物理シミュレーションとよく一致 ⇒ 検出器内のコンプトン散乱を 100%検出できている ⇒ 検出器の 正確な性能の予測が可能に

2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

SMILE-I(10cm)

SMILE-II(10cm proto.)

SMILE-II(30cm FM) without side PSAs

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弱線源(疑似Crab)のイメージング

線源:22Na

Zenith = 26 deg.

z = 2095[mm]

31 kBq

511 keV±10%での

Event数= 1.2x103 (26h)

S/N = 0.019

気球で予想されるCrabの

S/N比の数倍程度

511 keV±10% での Advanced Compton Image

10.8σ @ 5.4h

Livetime vs . Significance

Livetime [h]

Sig

nific

ance [

σ]

22Na

BG

2013/9/22

dE/dx後のスペクトル

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

偏光観測の可能性

Event

Max Min MF

無偏光 5.33e5

0度, 100% 4.69e5 1.4 0.35 0.60

45度, 100% 4.83e5 1.45 0.35 0.61

無偏光, Cos θ < 0.7 0度, 100%, Cos θ < 0.7

シミュレーションによる偏光度の観測予測

45度, 100%, Cos θ < 0.7

MF = (max-min)/(max+min)

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2013/9/22 日本物理学会 2013年秋季大会 22pSD-4

まとめ (30cm)3ETCCの性能評価

ARM ~5.3°(662keV) 当初予定の倍

SPD ~93°(世界初) 目標達成

有効面積 ~1cm2を達成

目標精度の達成 気球実験申請中

低雑音化 (ETCC独自)

dE/dXによる連続ガンマ線に対する雑音除去を開発

SPDによる視野外からの漏れ込みの制限

軽量化 (ガンマ線vetoが不要)

イメージングの改良 (ETCC独自)

良いSPDによりコントラストが4倍程度改善

微弱線源でのイメージングに成功

シミュレーションによる高精度予想が可能

コンプトン散乱事象を100%検出

ガス種、ガス圧の改良で~10cm2以上を実現したい

偏光観測が期待