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3.3 事業者アンケート、ヒアリング
3.3.1 タクシー事業者アンケート
3.3.1.1 調査の概要
タクシー事業者アンケートは、下記の地域において車両台数 50 台以上の事業者全て
と、50 台未満の事業者から等間隔に抽出した。
①3大都市圏:東京 30km 圏、名古屋 20km 圏、大阪 20km 圏
②中枢都市:札幌市、仙台市、広島市、北九州市、福岡市 ③地方都市(人口 30 万人以上):宇都宮市、金沢市、岡山市、高知市、鹿児島市 等
表 3-51 タクシー事業者アンケート調査の配布、回収数
調 査 方 法 配布数 回収数 回収率 「全国ハイヤー、タクシー名鑑」2002
から抽出して郵送配布、回収 1,470 633 43.1%
表 3-52 事業者アンケート調査の地域別回収数
3 大都市圏 中枢都市 地方都市(人口
30 万人以上)
回答者数
382 133 118 633
表 3-53 事業者アンケート調査の地域別回収数(車両台数別)
3 大都市圏 中枢都市
地方都市(人
口 30 万人以
上)
回答者数
合計 375 131 117 623 ~24 台 50 30 46 126 25~49 台 112 47 35 194 50~99 台 148 37 21 206 100 台以上 65 17 15 97 注:車両台数無回答を除く。
その他1.9%
個人タクシー0.5%
タクシー事業者97.6%
図 3-54 事業者と個人タクシーの内訳
78
運転
44.2% 43.9% 9.7%
2.3%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
経営 事務 手 その他
合計(629)
図 3-55 回答者の属性
3.3.1.2 調査結果
(1)主な利用形態
タクシーの主な利用形態は、「流し、駅待ちが多い」が 66.8%を占める。
地域別にみると、地方都市ほど「無線による呼出が多い」の比率が高くなる。
66.8% 28.1% 5.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
流し、駅待ちが多い 無線による呼出が多い その他
合計(626)
図 3-56 タクシーの主な利用形態
表 3-54 タクシーの主な利用形態(都市規模別)
流し、駅
待ちが多
い
無線によ
る呼出が
多い
その他 回答者数
合計 66.8% 28.1% 5.1% 626 3 大都市 76.5% 17.5% 6.1% 378 中枢都市 65.9% 32.6% 1.5% 132 30 万以上 36.2% 57.8% 6.0% 116
79
(2)車両保有台数
車両保有台数の分布をみると、ほぼ均等に事業者のサンプリングができたことが確
認できた。
20.2% 15.6%31.1% 33.1%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(623) ~24台 25~49台 50~99台 100台以上
図 3-57 車両保有台数
表 3-55 車両保有台数(都市規模別) ~24 台 25~49 台 50~99 台 100 台以
上
回答者数
合計 20.2% 31.1% 33.1% 15.6% 623 3 大都市 13.3% 29.9% 39.5% 17.3% 375 中枢都市 22.9% 35.9% 28.2% 13.0% 131 30 万以上 39.3% 29.9% 17.9% 12.8% 117
表 3-56 車両保有台数(車種別) ~24 台 25~49 台 50~99 台 100 台以上非保有、
不明
回答者数
セダン 19.6% 31.1% 32.1% 15.1% 2.1% 623ステーションワゴン 8.0% 0.2% 0.2% 0.0% 91.7% 623ジャンボタクシー 22.0% 0.2% 0.0% 0.0% 77.8% 623福祉タクシー 注 20.1% 0.3% 0.2% 0.0% 79.5% 623注:福祉タクシーとは、「8ナンバーの福祉目的限定のタクシー」
80
(3)身体障害者・高齢者向け対応
身体障害者・高齢者向け対応では、「ドライバーに介助の教育を実施」が 37.1%と
最も多い。「視覚障害者対応の点字等設備」「車いすごと乗れる車両を導入」につい
て対応している事業者も2割以上ある。
21.0%
37.1%
24.0%
8.2%
38.9%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
車
いす
ごと乗
れる
車両
を導入
ドライ
バー
に
介助
の教育
を実施
視覚障害者対応
の
点字等設備
,
対応
して
いる
その他
特
にな
し
回答者数:620
図 3-58 身体障害者・高齢者向け対応
表 3-57 身体障害者・高齢者向け対応(都市規模別) 車いすご
と乗れる
車両を導
入
ドライバ
ーに介助
の教育を 実施
視覚障害
者対応の
点字等設
備,対応し ている
その他 特になし 回答者数
合計 21.0% 37.1% 24.0% 8.2% 38.9% 6203 大都市 17.7% 28.7% 25.2% 8.3% 42.9% 373中枢都市 23.1% 50.0% 23.1% 5.4% 36.2% 13030 万以上 29.1% 49.6% 21.4% 11.1% 29.1% 117
81
(4)セダン型タクシーの重視度
セダン型タクシーの車両構造の重視度(5段階評価の「非常に」+「やや重視する、
又は満足している」)を評価項目別に比較した。
重視度が特に高いのは「乗務員の対応が良いこと(96.5%)」「事故時の安全性が
高いこと(93.5%)」「乗降がしやすいこと(92.2%)」である。
35.7%
71.8%
61.2%
96.5%
55.0%
26.4%
93.5%
61.1%
88.7%83.3%88.3%
76.5%
50.8%
45.9%
80.9%92.2%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
①
乗
降
が
し
やす
い
こと
②
車内
が広
い
こと
③
荷
物
を
多く
積
める
こと
④
手
す
り
の数
や位
置
が
適切
な
こと
⑤
手
す
り
の色
が
分
かり
やす
い
こと
⑥
乗
降
口
が広
く
,高
いこと
⑦
室
内
高
(天
井
)が
高
い
こと
⑧
座
り
やす
い
こと
⑨
車内
が明る
いこと
⑩
料
金
表
示
が分
かり
やす
いこ
と
⑪
利
用
した
いと
き
に
す
ぐ
利
用
できる
こと
⑫
乗
務
員
の対
応
が良
いこと
⑬
介
助等
の付
帯
サー
ビ
スがあ
る
こと
⑭
低料
金
の距
離
,時
間
帯
があ
る
こと
⑮
事故
時
の安
全
性
が
高
い
こと
⑯
車
いす
から
移
乗
し
て
乗
車す
る
こと
図 3-59 セダン型タクシーの重視度
82
(5)リフト付大型1BOX型車両の重視度
リフト付大型1BOX型の車両構造の重視度(5段階評価の「非常に」+「やや重
視する、又は満足している」)を評価項目別に比較した。
重視度が特に高いのは「乗務員の対応が良いこと(95.3%)」「事故時の安全性が
高いこと(93.1%)」「車いすの走行中の安定性が高いこと(92.5%)」「車いすの
固定が簡単なこと(92.3%)」「乗降がしやすいこと(91.9%)」である。
セダン型に比べて重視度の高い項目が多い。
86.3%
67.7%
85.8%95.3%
76.7%
31.3%
93.1%
73.5%
91.9%
79.3%
59.4%
86.0% 86.3%
67.0%73.2%
80.9%90.8% 92.5%
92.3%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
①乗
降
が
し
やす
い
こ
と
②車
内
が広
いこ
と
③荷
物
を多
く積
める
こ
と
④手
す
り
の数
や位
置
が
適
切
な
こ
と
⑤手
す
り
の色
が分
かり
やす
いこ
と
⑥乗
降
口
が広
く
,高
い
こ
と
⑦室
内
高
(天
井
)が高
いこ
と
⑧座
り
やす
いこ
と
⑨車
内
が明
る
いこ
と
⑩料
金
表
示
が分
かり
や
す
いこ
と
⑪利
用
した
いとき
にす
ぐ利
用
でき
る
こ
と
⑫乗
務
員
の対
応
が良
い
こ
と
⑬介
助
等
の付
帯
サー
ビ
ス
があ
る
こ
と
⑭低
料
金
の距
離
,時
間
帯
が
あ
る
こ
と
⑮事
故
時
の安
全
性
が
高
いこ
と
⑯車
いす
から移
乗
し
て
乗
車
す
る
こ
と
⑰車
いす
のま
ま
乗
降
でき
る
こ
と
⑱車
いす
の固
定
が
簡
単
な
こ
と
⑲車
いす
の走
行
中
の
安
定
性
が高
いこ
と
図 3-60 リフト付大型1BOX型車両の重視度
83
(6) 試作車の特長についての評価
回答者にアンケート用紙上で試作車のコンセプトと写真を呈示し、試作車の特長に
ついて5段階評価で回答を得た。特に評価の高い特長は、「車いす使用者と介助者が
一緒に利用できる」、「車いすのまま側方から乗車できること」である。
40.5%
29.0%
38.2%
21.1%
19.8%
30.8%
31.0%
61.5%
61.6%
41.2%
39.4%
44.2%
45.7%
42.9%
44.4%
26.5%
32.2%
33.7%
20.5%
19.4%
9.3%
42.7%
33.1%
20.7%
27.2%
15.6%
5.4%
0.6%
5.1%
4.1%
2.1%
1.0%
2.0%
1.4%
1.2%
0.6%
0.2%
0.6%
1.0%
0.8%
0.2%
0.4%
0.4%
0.6%
0.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
⑨車いす使用者の
3点式シートベルト (499)
⑧「セレナ」の車いす使用者用
ヘッドレスト(青色のタクシー) (503)
⑦「ノア」の車いす回転盤と
固定装置(黄色のタクシー) (498)
⑥床面、壁面と明度差のある
手すりの色 (498)
⑤手すりの位置 (501)
④乗降口の大きさ (513)
③乗降口の床の高さ(約35cm) (509)
②車いすのまま側方から乗車
できること (517)
①車いす使用者と介助者が
一緒に利用できる (515)
非常に評価できる(+2) やや評価できる(+1) どちらともいえない(±0)
あまり評価できない(-1) 全く評価できない(-2)
図 3-61 試作車の特長についての評価
84
(7) 試作車の導入意向
・ノア
試作車(ノア)を導入したい(ぜひ導入したい+やや導入したい)と答えた者は、
13.5%であり、「どちらともいえない」が 57.5%を占める。
11.3%
8.4%
15.7%
15.9%
57.5%
59.1%
59.3%
50.0%
18.1%
19.5%
11.1%
21.6%
10.9%
11.7%
11.1%
8.0%
1.3%
4.5%
2.8%
2.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(504)
3大都市(308)
中枢都市(108)
30万以上(88)
ぜひ導入したい やや導入したい どちらともいえない
あまり導入したくない 全く導入したくない
図 3-62 試作車(ノア)の導入意向
17.0%
57.3%
2.5%
0.0%
2.5%
5.3%
2.2%
11.4%
8.0%
13.7%
7.4%
42.6%
65.6%
54.7%
63.0%
18.2%
19.8%
19.9%
14.1%
21.3%
10.8%
13.8%
9.8%
11.8%
7.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
100台以上(81)
50~99台 (161)
25~49台 (163)
~24台 (94)
合計 (499)
ぜひ導入したい やや導入したい どちらともいえない
あまり導入したくない 全く導入したくない
図 3-63 試作車(ノア)の導入意向(車両保有台数別)
85
・セレナ 試作車(セレナ)を導入したい(ぜひ導入したい+やや導入したい)と答えた者は、
12.1%であり、「どちらともいえない」が 59.1%を占める。
試作車(セレナ)の導入意向 (都市規模別)
17.3%1.2%
1.9%
1.0%
1.2%10.9%
9.7%
9.4%
59.1%
58.7%
66.0%
51.9% 21.0%
11.3%
18.3%
17.2% 11.5%
12.3%
11.3%
8.6%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計 (487)
3大都市 (30)
中枢都市(106)
30万以上(81)
ぜひ導入したい やや導入したい どちらともいえない
あまり導入したくない 全く導入したくない
図 3-64 試作車(セレナ)の導入意向
15.9%
58.9%
2.5%
0.0%
1.9%
1.1%
1.2%11.0%
9.7%
10.6%
8.8%
48.9%
66.2%
55.6%
62.5%
17.4%
17.5%
21.3%
13.0%
18.2%
11.4%
15.9%
9.1%
12.5%
8.8%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
100台以上(80)
50~99台 (160)
25~49台 (154)
~24台 (88)
合計 (482)
ぜひ導入したい やや導入したい どちらともいえない
あまり導入したくない 全く導入したくない
図 3-65 試作車(セレナ)の導入意向(車両保有台数別)
86
身体障害者・高齢者対応を行っている事業者の方が、試作車の導入にやや前向きな
姿勢が見られた。
表 3-58 試作車(ノア)の導入意向(身体障害者、高齢者対応別) ぜひ導入
したい
やや導入
したい
どちらと
もいえな
い
あまり導
入したく
ない
全く導入
したくな
い
回答者
数
合計 2.2% 11.2% 57.6% 18.3% 10.6% 498 車いすごと乗れ
る車両を導入 3.6% 18.2% 58.2% 13.6% 6.4%110
ドライバーに介
助の教育を実施 3.7% 15.4% 55.9% 17.0% 8.0%188
視覚障害者対応
の点字等設備,対応している 4.1% 11.6% 62.8% 11.6% 9.9%
121
その他 2.5% 22.5% 42.5% 20.0% 12.5% 40 特になし 0.5% 7.3% 56.8% 22.4% 13.0% 192
表 3-59 試作車(セレナ)の導入意向(身体障害者、高齢者対応別)
ぜひ導入
したい
やや導入
したい
どちらと
もいえな
い
あまり導
入したく
ない
全く導入
したくな
い
回答者
数
合計 1.2% 11.0% 59.1% 17.4% 11.2% 482車いすごと乗れ
る車両を導入 1.0% 16.3% 64.4% 11.5% 6.7%104
ドライバーに介
助の教育を実施 2.2% 13.3% 59.4% 15.6% 9.4%180
視覚障害者対応
の点字等設備,対応している 1.7% 11.9% 64.4% 11.0% 11.0%
118
その他 2.7% 24.3% 40.5% 18.9% 13.5% 37特になし 0.5% 8.0% 56.1% 22.5% 12.8% 187
87
(8) 試作車の購入価格
試作車を購入しても良い価格の回答者のうち、セダン型タクシーに比べて「10~30万円程度高くても良い」とする者が最も多く、次いで「約 50 万円高くても良い」とす
る者が多い。「100 万円以上高くても良い」と回答した者もいる。
・セダン型タクシーに対して
4.9%
14.1%
17.8%
10.8%
3.8%
29.2%
1.1%
3.2%
1.1%
13.0%
1.1%
0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0%
~10万円
10~19万円
20~29万円
30~39万円
40~49万円
50~59万円
60~69万円
70~79万円
80~89万円
90~99万円
100~149万円
150~199万円
200万円以上 0.0%
0.0%
回答者数:185
図 3-66 試作車の購入価格
表 3-60 試作車の購入価格(都市規模別) ~ 10 万
円
10 ~ 19
万円
20 ~ 29
万円
30 ~ 39
万円
40 ~ 49
万円
50 ~ 59
万円
60 ~ 69
万円
70 ~ 79
万円
合計 4.9% 14.1% 17.8% 10.8% 3.8% 29.2% 1.1% 3.2%3 大都市 6.5% 13.1% 15.0% 12.1% 2.8% 29.9% 0.0% 3.7%中枢都市 0.0% 11.1% 22.2% 5.6% 5.6% 41.7% 0.0% 0.0%30 万人以上 4.8% 19.0% 21.4% 11.9% 4.8% 16.7% 4.8% 4.8%
80 ~ 89
万円
90 ~ 99
万円
100 ~
149万円
150 ~
199万円
200万円
以上
回答者数
合計 1.1% 0.0% 13.0% 1.1% 0.0% 185 3大都市 0.0% 0.0% 15.9% 0.9% 0.0% 107 中枢都市 0.0% 0.0% 11.1% 2.8% 0.0% 36 30万人以上 4.8% 0.0% 7.1% 0.0% 0.0% 42
88
・購入価格の上限値
試作車の購入価格の上限値回答者で最も多いのが「200~249 万円」であった。 都市規模別では、都市規模の大きい都市の事業者の方が、購入価格の上限値はやや
高い傾向にある。
1.5%
1.5%
2.6%
21.4%
37.2%
19.9%
12.8%
1.5%
0.5%
1.0%
0.0% 5.0% 10.0% 15.0% 20.0% 25.0% 30.0% 35.0% 40.0%
~49万円
50~99 万円
100~149万円
150~199万円
200~249万円
250~299万円
300~349万円
350~399万円
400~449万円
450~499万円
500万円以上
0.0%
回答者数:196
図 3-67 購入価格の上限値
表 3-61 購入価格の上限値(都市規模別) ~ 49 万
円
50 ~ 99
万円
100 ~
149万円
150 ~
199万円
200 ~
249万円
250 ~
299万円
300 ~
349万円
350 ~
399万円
合計 1.5% 1.5% 2.6% 21.4% 37.2% 19.9% 12.8% 1.5%3 大都市 1.7% 0.0% 3.5% 19.1% 30.4% 27.8% 14.8% 1.7%中枢都市 2.8% 5.6% 2.8% 25.0% 38.9% 8.3% 11.1% 2.8%30 万人以上 0.0% 2.2% 0.0% 24.4% 53.3% 8.9% 8.9% 0.0%
400 ~
449万円
450 ~
499万円
500 万 円
以上
回答者数
合計 0.5% 0.0% 1.0% 1963大都市 0.0% 0.0% 0.9% 115中枢都市 0.0% 0.0% 2.8% 3630万人以上 2.2% 0.0% 0.0% 45
89
3.3.2 タクシー事業者ヒアリング
タクシー事業者の身体障害者、高齢者対応のタクシー車両使用実態(使用頻度、料金
等)の事例をヒアリング調査等により整理した。 地方、郊外の事例が多い。運賃は、メーター運賃だけで車いすのまま利用できる車両、
時間制の車両、介護保健利用者をターゲットにした車両等がある。福祉目的に限って軽
自動車をタクシーに利用することは、平成 13 年6月に国土交通省によって認められて
いる。
表 3-62 8人乗りミニバンを5人乗りに改造した事例(熊本市の肥後タクシー)
導入車両 セレナ・リアスロープ(手動) トヨタ・ハイエース・リアリフト
定 員 8人乗りRV車を5人乗り(乗客定
員4人)に改造。
車いす乗車時は、車いす使用者1人
を含む3人(運転手を除く)。
10 人乗り(乗客定員 9 人)
車いす乗車時は、車いす使用者1人
を含む7人(運転手を除く)。
導入台数 2台 1台
運賃、料金 小型初乗り:560 円
時間制運賃:1,780 円(30 分)
特定大型初乗り:670 円
時間制運賃:2,650 円(30 分)
稼働状況 約5回/1日1台あたり
約9割が車いす使用者の利用。通院
利用が多い。
約3回/1日1台あたり(一部、車
いす使用のない観光利用を含む)
・ 研修を受けた専任のドライバー
が、車いすが乗り込むためのスロ
ープを約 30 秒以内で準備。
運用上の工夫
・ "早CARシステム"と呼ばれるIT配車システムを、昨年開発。ナンバ
ーディスプレイと電子地図を組み合わせることにより、電話をかけるだ
けで、所在地・最適車両の検索が同時になされ、すぐに配車ができる。
顧客サービス ・ ドライバーは、車いすの取り扱いや、安全で安楽な介護をする為の技術
を、社内介護研修等で身につけている。
・ ドライバーは、車いす対応の飲食店やトイレ施設も把握している。
セレナの後部スロープ付タクシー 後部スロープ 8人乗りを、5人乗りに改造。 対面にもなる革張りシート。
注)小型料金で運行するための要件は、大きさは小型自動車(5ナンバー)以下、自家用車として登録した場
合の定員が 6~8名の車両でも、小型タクシーの最大乗車可能な定員は 5名以下(運転手含む)となる。
図 3-68 スロープ付きタクシーの例
90
表 3-63 リアスロープ付車両をLPG対応に改造した事例
(東京都のユニネット(リッチネット東京)
北海道の平岸ハイヤー、静岡県の千代田タクシー)
導入車両 セレナ・リアスロープ(手動)
改造内容 LPGとガソリン併用車
(40 ㍑の燃料タンクで、LPGなら 150~180 ㎞走行できる)
製造コスト:改造費:45 万円+ベース車両:215 万円
床高が 60 ㎝以上あり、スロープ勾配が約 17 度と急。
定 員 東京:5人 地方:4人
(いずれも車いす使用者1人を含み、運転手を除く)
導入台数 東京:1台
運賃、料金 小型タクシーと同じ運賃
稼働状況 予約のない時は、当面、東京駅丸の内北側で待機させている。
運用上の工夫 車いす使用者と健常者の混乗(車いすでの利用率は1~2割で健常者、高
齢者等が当該車両を指定して乗車する場合の方が多い)
導入時に
苦労した点
・ 各地域の運輸局で認可基準が異なるため、同一車両で地域別対応が必要
になり、改造費が高くなる。
補 助 ・ 東京都の「リフト付きタクシー整備事業」で 80 万円の補助を受ける。
320 万円(車両本体価格)-160 万円(控除額:リフト付でない車両の購
入に要する経費)×1/2=80 万円(交付申請額:上限 100 万円)
注:車両本体価格にリフト等の装備費用が既に加算されている場合。
表 3-64 地方都市における介護保険利用者をターゲットにした車いす対応タクシー
(岐阜県高山市の宮川タクシー)
導入車両 デミオ・リアスロープ(手動) トヨタ・タウンエースノア・リアリフト
定 員 2人、うち車いす使用者1人(運転
手を除く)
3人、うち車いす使用者1人(運転
手を除く)
導入台数 2台 2台
運賃、料金 通常タクシーメーター料金(乗車から目的地まで)
介護料金:15 分毎 600 円(ベッドからベッドへ、病院・買い物などの付
き添い等)
稼働状況 7~8回(1日1台あたり、月~金曜)土曜日は平日の 1/3~1/4 程度稼働
利用者のほとんどが、介護保険利用者(98~99%程度)
顧客サービス ・ ホームヘルパー2級資格を取得したケアドライバーが対応。
導入時に
苦労した点
・ 介護保険の事務手続き作業の増加。
・ 後発介護保険事業者に経験を説明する場を設けた。
既存車両への
意見、感想
・ 車両価格を抑えるため、電動式等不要な装備のないグレードで購入した
い。
・ リアスロープ、リフト車は玄関先での乗降が不便。
・ 雪道に強い4WD車があると良い。
91
表 3-65 都市部での軽福祉タクシー(名古屋市の中川タクシー、朝日タクシー)
導入車両 ミニキャブタウンボックス
・リアスロープ
アトレー・リアスロープ
定 員 3人、うち車いす使用者1人(運転
手を除く)
2人、うち車いす使用者1人(運転
手を除く)
導入台数 3台 5台
運賃、料金 小型ゾーンF:初乗り 1.8 ㎞ 540 円、加算 386m90 円、迎車回送料金 200 円
稼働状況 平成 14 年3月 15 日より、ミニキャブ1台、アトレー3台で運行開始。
導入時に
苦労した点
・ 通院等利用頻度の高い利用者が利用しやすい運賃とするため、軽自動車
を採用。
・ 乗務員の給与が下がらないよう、中型タクシーと兼任とした。
・ 導入は従業員組合と協同で推進した。
既存車両への
意見、感想
・ ミニキャブ:ニールダウンによりスロープの勾配が緩くなり、電動車い
すでも入りやすい。手動固定装置は多様なタイプの車いすに対応できる。
・ アトレー:乗務員がウインチを引き上げ、ワンタッチで固定できる。車
いす固定位置の両側に手すりが設置されている。
表 3-66 ホームヘルパーの資格を取得した運転手が乗務できる軽福祉タクシー
(神奈川県秦野市の愛鶴タクシー)
導入車両 ムーブ・リアスロープ キャラバン・リアリフト
定 員 2人(運転手を除く) 7人(車いす使用者2人を含む)
導入台数 3台 2台
運賃、料金 小型タクシーと同じ初乗り 640 円。
ホームヘルパーの資格を取得した運
転手を頼む場合は別に指定料 500 円
がかかる。
中型タクシーと同じ初乗り 660 円。
ホームヘルパーの資格を取得した
運転手を頼む場合は別に指定料 500
円がかかる。
稼働状況 1台あたり、1カ月に 23 回。 1台あたり、1カ月に 34~52 回。
顧客サービス ・ ホームヘルパー2級の資格を取得した運転手が乗務できる(70 人中 25
人がヘルパーの資格を持っている)。
導入時に
苦労した点
・ 福祉タクシーとしての運行は、昼間の病院への送迎等が中心で、採算が
取りにくい。
既存車両への
意見、感想
・ ムーブ:後部がニールダウンし、運転しやすい車両であるが、天井が低
く圧迫感がある。乗降口の高さが低く、車いす使用者の頭が当たらない
よう気をつけている。
92
表 3-67 地方自治体主導で介護タクシーを導入した事例
(東金市ケアタクシー(南総タクシー、東金タクシー、関口タクシー))
導入車両 セレナ・リアリフト
定 員 4人(運転手を除き、3列目の車いす使用者1人を含む)
導入台数 3台(各社1台)
運賃、料金 中型タクシー料金。
身体介護料(9割国が負担し、1割自己負担)が必要。
稼働状況 ・3回/平成 14 年3月1~14 日の半月
・ 8ナンバー車両で病院への送迎等に利用が限定される。
・ 利用者の実績は、要介護4又は5の人に限られている。
運用上の工夫 ・自治体(介護保健室)はコミュニティバス運行計画と並行して事業を計
画。
顧客サービス ・ 自治体が要介護者の状態によって作業を区分したマニュアルを作成。
導入時に
苦労した点
・ 自治体は介護タクシー導入に対して早い段階から理解を示した。
・ 自治体はタクシー事業者とケアマネージャーの合同会議、報酬請求の説
明等会議を重ねた。
補 助 ・ 自治体から、一部車いす対応車両の購入補助を受ける。
・ 自治体の講座でホームヘルパー二級資格取得者を養成。
・自治体から介護者への利用補助券発行(500 円券と 100 円券を組み合わせ
た月額 6,000 円(人工透析等は月額 16,000 円)のチケット)。
注)平成 13~14 年度現在の情報。
93
3.4 第3章のまとめ
○総括
肢体不自由者(車いす使用者) 1週間に2~3回以上外出する者が7割近くに達している。なるべく車いすを使
用したままでの交通機関の利用を7割近くが望んでおり、タクシー(福祉タクシー
を含む)の利用目的は「通院(52%)」が最も多く、高齢者では 76%に達してい
る一方、「レジャー、遊び」での利用も若年層を中心に多い。 セダンタクシー利用時の問題点としては、車いすからの移乗がしにくい、乗降が
しにくいことで、大型1BOX車両の問題点は、車いすのまま乗車できる車両が少
ないこと、車いすを使用したまま乗車して事故が起きた時の安全性が心配、床が高
く揺れやすい、車いすが動く等がある。安全確保のために「座席に移乗する」と答
えた者が 53%を占めたが、移乗が困難な人がタクシーを安全に利用するためには、
車いす自体の安全性を高める必要がある。
高齢者(65 歳以上) 外出時の交通機関は、路線バス、タクシーが多い。タクシーの利用目的は「通院」
が 44%と多い。 セダンタクシー利用時の問題点としては、乗降がしにくい、手すりの数や位置が
適切でないことである。
視覚障害者 外出時の交通機関は、路線バス、タクシーが多い。介助者なしでは「道端でタク
シーをつかまえることが難しい(52%)」で、タクシーを利用する時は、「駅等の
タクシー乗り場」からの利用が最も多い。 セダン型タクシー利用時の問題点としては、乗務員の接遇の向上、料金がわかり
にくい、乗降がしにくい、事故時の安全性が心配等である。
タクシー事業者 身体障害者・高齢者向け対応では、「ドライバーに介助の教育を実施」が 37%
と最も多い。「視覚障害者対応の点字等設備」「車いすごと乗れる車両を導入」に
ついて対応している事業者も2割以上ある。 タクシーの重視度が特に高いのは「乗務員の対応が良いこと」「事故時の安全性
が高いこと」「乗降がしやすいこと」であり、リフト付大型1BOX型車両では、
「車いすの走行中の安定性が高いこと」「車いすの固定が簡単なこと」で9割以上
の重視度となっている。
94
○身体障害者・高齢者の外出頻度、外出時の交通機関
身体障害者・高齢者の外出頻度は健常者に比べて低い。肢体不自由者の交通手段で
最も多いのは家族の送迎などによる「自家用車」である。
表 3-68 外出時のタクシー利用率
外出頻度
(1週間
に2回~
ほぼ毎日)
外出時の交通機関
(複数回答)
肢体不自由者
(車いす使用者)
67.4% ①自家用車
②タクシー
③福祉タクシー
70.2%
41.2%
26.6%
健常者、高齢者 87.7% ①路線バス、路面電車
②鉄道、新交通
③自家用車
④タクシー
51.5%
38.6%
47.7%
47.0%
うち高齢者(65 歳~) 84.9%
視覚障害者 89.8% ①路線バス、路面電車
②タクシー
③鉄道、新交通
86.0%
76.7%
73.3%
タクシーの利用率
76.7%
48.7%
41.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
視覚障害者 (86)
高齢者 (493)
肢体不自由者(403)
図 3-69 外出時のタクシー利用率
95
○タクシーの利用方法
普段のタクシー利用者の利用方法(複数回答)は、肢体不自由者が「自宅から電話
予約」が特に多い、ドア・ツー・ドアの利用が多いものと思われる。高齢者は「駅等
のタクシー乗り場から」「路上で手を上げて」が多い。
27.4%
23.8%
76.2%
22.0%
4.3%
47.9%
40.1%
50.2%
9.2%
2.3%
67.8%
55.9%
52.5%
32.2%
1.7%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
駅等のタクシー乗り場から
路上で手を上げて
自宅で電話予約
外出先から電話予約
その他
肢体不自由者 高齢者 視覚障害者
回答者数 肢体不自由者:164 高 齢 者 :217 視覚障害者 :59
図 3-70 タクシーの利用方法
○タクシーへの普段の乗車方法(肢体不自由者のみ)
回答者全体に占めるタクシーに「車いすのままでしか乗車困難」な者は 29.0%で、
「車いすから座席への移乗はできるが、なるべく車いすのまま乗車したい」者と合わせる
と 68.4%に達する。
26.5% 5.1%29.0% 39.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
合計(396)
車いすのままでしか乗車困難
車いすから座席の移乗はできるが、なるべく車いすのまま乗車したい
車いすから座席へ移乗したほうが良い
その他
図 3-71 タクシーへの普段の乗車方法(肢体不自由者のみ)
96
○セダン型タクシー重視度
セダン型タクシーの車両構造の重視度と満足度(5段階評価の「非常に」+「やや
重視する、又は満足している」)を評価項目別に比較した。
肢体不自由者の重視度が特に高いのは「乗降がしやすいこと(88.3%)」「乗務員
の対応が良いこと(86.6%)」「利用したい時にすぐ利用できること(83.8%)」で
ある。満足度は全ての評価項目で総じて低く、2割前後にとどまっている。 健常者の重視度が特に高いのは「事故時の安全性が高いこと(84.0%)」「乗務員
の対応が良いこと(83.5%)」が特に高い。
88.3%
57.2%
77.8%
37.1% 36.7%
31.6%34.5%
25.0%
17.3%
61.6%
84.0%
48.2%
74.2%
67.9%
53.6%
83.5%
61.1%
53.7%
37.2%
77.0%
79.2%
36.3%
69.4%
52.1%57.8%
30.8%
73.2% 73.0%
53.0%
71.6%
77.7%
52.7%
86.6%83.8%
42.2%
66.6%
46.4%
49.2%
26.2%25.9%
63.6%55.7%70.0%
65.5%
69.4%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
乗降
がしやす
いこと
車内
が広
いこと
荷物
を多
く積
める
こと
手
すり
の数
や位置
が
適切
な
こと
乗降口
が広
く
,
高
いこと
室内高
(天井
)が
高
いこと
座
り
やす
いこと
車内
が明
る
いこと
料金表示
が
分
かり
やす
いこと
利用
した
いとき
に
すぐ利用
できる
こと
乗務員
の対応
が
良
いこと
介助等
の
付帯
サービ
スがある
こと
低料金
の距離
,
時間帯
がある
こと
事故時
の安全性
が高
いこと
車
いす
から移乗
して
乗車
する
こと
手
すり
の色
が
分
かり
やす
いこと
健常者
肢体不自由者
視覚障害者
図 3-72 セダン型タクシー重視度(健常者・肢体不自由者・視覚障害者)
タクシー事業者の重視度が特に高いのは「乗務員の対応が良いこと(96.4%)」「事故
時の安全性が高いこと(93.5%)」「乗降がしやすいこと(92.1%)」である。健常者に
比べてほとんどの項目で重視度が高い(次頁)。
97
61
48
74.2%
.2%
84.0%
.2%
83.3%
26.4%
52.1%
69.4%
36.3%
79.2%77.0%
37.2%
53.7%
61.1%
83.5%
53.6%
67.9%61.6%
80.9%
45.9%
88.7%96.5%
71.8%
76.5% 88.3%
50.8%
93.5%
55.0%
92.2%
35.7%
61.1%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
乗
降
が
し
やす
い
こと
車
内
が広
い
こと
荷
物
を多
く積
める
こと
手
すり
の数
や位
置
が適
切
な
こと
乗
降
口
が広
く
、高
い
こと
室
内
高
(天
井
)が高
い
こと
座り
やす
い
こと
車
内
が明
る
い
こと
料
金
表
示
が分
かり
やす
い
こと
利
用
した
いと
き
に
す
ぐ
利
用
でき
る
こと
乗
務員
の対
応
が良
い
こと
介助
等
の付
帯
サービ
スがあ
る
こと
低
料
金
の距
離
,時
間
帯
があ
る
こと
事
故
時
の安
全
性
が高
い
こと
車
いす
から
移
乗
し
て乗
車
す
る
こと
手
すり
の色
が分
かり
やす
い
こと
健常者
タクシー事業者
図 3-73 セダン型タクシー重視度(健常者・タクシー事業者)
○セダン型タクシー重視度と満足度のギャップ(標準仕様策定のポイント)
セダン型タクシーの車両構造の重視度と満足度(5段階評価の「非常に」+「やや重
視する、又は満足している」)のパーセントの差を算出し、標準仕様策定時に特に対応
が望まれる点を示した。
表 3-69 セダン型タクシー重視度と満足度のギャップ(肢体不自由者)
乗降がし
やすいこ
と
乗降口が
広 く 、 高
いこと
車いすか
ら 移 乗 し
て乗車す
ること
利 用 し た
い と き に
すぐ利用
できること
乗務員の
対応が良
いこと
事故時の
安全性が
高いこと
重視度 88.3% 77.7% 77.8% 83.8% 86.6% 73.0%
満足度 13.3% 13.2% 16.6% 24.0% 27.8% 14.6%
重視度-満足度 75.0% 64.5% 61.2% 59.8% 58.8% 58.4%
⇒車いすからの移乗、乗降がしやすくする
⇒事故時の安全性確保
⇒いつでも利用しやすくする
⇒乗務員の接遇向上
98
表 3-70 セダン型タクシー重視度と満足度のギャップ(高齢者)
事故時の
安全性が
高いこと
乗務員の
対 応 が
良いこと
車いすか
ら 移 乗 し
て乗車す
ること
低料金の
距 離 ・
時間帯が
あること
利 用 し た
い と き に
す ぐ 利 用
できること
料金表示
が 分 か り
や す い こ
と
重視度 86.7% 82.0% 63.5% 66.4% 78.1% 77.4%
満足度 30.5% 39.3% 21.5% 26.0% 39.1% 41.0%
重視度-満足度 56.2% 42.7% 42.0% 40.4% 39.0% 36.4%
⇒事故時の安全性確保
⇒乗務員の接遇向上(車いす使用者への対応を含む)
⇒低料金の距離、時間帯の設定
⇒いつでも利用しやすくする
表 3-71 セダン型タクシー重視度と満足度のギャップ(視覚障害者)
低料金の
距離、時
間帯があ
ること
利用した
い と き に
すぐ利用
で き る こ
と
事故時の
安全性が
高いこと
料金表示
が 分 か り
や す い こ
と
乗務員の
対応が良
いこと
介助等の
付帯サー
ビ ス が あ
ること
重視度 63.6% 65.5% 70.0% 46.4% 69.4% 55.7%
満足度 15.4% 17.3% 27.3% 9.8% 39.0% 26.8%
重視度-満足度 48.2% 48.2% 42.7% 36.6% 30.4% 29.0%
⇒事故時の安全性確保
⇒料金表示の分かりやすさ
⇒低料金の距離、時間帯の設定
⇒いつでも利用しやすくする
⇒乗務員の接遇向上
図 3-74 アンケート調査で呈示したセダン型タクシーの写真
99
○リフト付大型1BOX型車両の重視度
車いす使用者(肢体不自由者)には、車いすを使用したまま乗車できる点は高く評
価されている。自由回答でも、車いすを使用したまま乗車可能で車内が広いこと、ド
ライバーの接遇が良い点等が多数挙がった。
他方、車いす使用者の満足度の低い項目としては、リフト付大型1BOX型車両台
数が限られているため、「利用したい時にすぐに利用できない(18.1%)」が最も低
い。設備項目で満足度の低いのは、次の項目である。
・「事故時の安全性が高いこと」26.0%
・「座りやすいこと」30.3%
・「料金表示がわかりやすいこと」30.1%
・「手すりの位置や数が適切なこと」31.7%
・「車いすの走行中の安全性が高いこと」34.0%
タクシー事業者も車いす使用者と同様の回答傾向を示しており、「室内高が高いこ
と」「乗降口が広く高いこと」「座りやすいこと」等車両構造自体の改善については
事業者の方が高い。
85.8%
67.0%
59.4%
73.5%
49.0%
69.0%
76.7%
91.9%
67.7%
80.9%73.2%
79.3%
86.3%86.0%
95.3% 90.8%
31.3%
86.3%
92.3%93.1%
92.5%
78.9%
49.8%
88.9%87.3%
77.2%79.9%
70.1%66.1%
84.1%
75.9%
94.5%
89.2%90.1%
64.9%
90.8%
0.0%
20.0%
40.0%
60.0%
80.0%
100.0%
乗
降
が
し
やす
い
こと
車
内
が広
い
こと
荷
物
を
多
く
積
める
こと
手
すり
の数
や位
置
が適
切
な
こと
乗
降
口
が広
く
、高
い
こと
室
内
高
(天
井
)が高
い
こと
座り
やす
い
こと
車
内
が明
る
い
こと
料
金
表
示
が分
かり
やす
い
こと
利
用
した
いと
き
に
す
ぐ
利
用
でき
る
こと
乗
務員
の対
応
が良
い
こと
介助
等
の付
帯
サービ
スがあ
る
こと
低
料
金
の距
離
,時
間
帯
があ
る
こと
事
故
時
の安
全
性
が高
い
こと
車
いす
のま
ま
乗
降
でき
る
こと
車
いす
の固
定
が簡
単
な
こと
車
いす
の走
行
中
の安
全
性
が高
い
こと
手
すり
の色
が分
かり
やす
い
こと
車
いす
から
移
乗
し
て乗
車
す
る
こと
タクシー事業者
肢体不自由者
図 3-75 リフト付大型1BOX型車両の重視度
100
自由回答での良くない点、設備に関する改善で多かったのは次の意見。 ・ 床が高く外の景色が見えにくい(33 件)
・ 床が高く揺れやすい、車いすが動く(28 件)
・ 車両の乗り心地が良くない(15 件)
・ 車いすの乗降、固定に時間がかかる(13 件)
○リフト付大型1BOX型車両重視度と満足度のギャップ(標準仕様策定のポイント)
リフト付大型1BOX型車両の車両構造の重視度と満足度(5段階評価の「非常に」
+「やや重視する、又は満足している」)のパーセントの差を算出し、標準仕様策定時
に特に対応が望まれる点を示した。
表 3-72 リフト付大型1BOX型車両重視度と満足度のギャップ(肢体不自由者)
利用した
い と き に
すぐ利用
で き る こ
と
事故時の
安全性が
高いこと
車いすの
走行中の
安全性が
高いこと
低料金の
距離 、
時間帯が
あること
車いすの
固定が簡
単なこと
重視度 88.9% 84.1% 90.8% 69.0% 89.2%
満足度 18.1% 26.0% 34.0% 17.4% 42.9%
重視度-満足度 70.8% 58.1% 56.8% 51.6% 46.3%
⇒車いすを使用したまま乗車できる車両が少ない(いつでも利用しやすくする)
⇒車いすを使用したまま乗車中に事故が起きた時の安全性向上
⇒簡単に車いすを固定できる装置の開発
⇒低料金の距離、時間帯の設定
注:車内の広さ、室内高は、写真で呈示した車両の車内が広いため、満足度は高かった。
図 3-76 アンケート調査で呈示したリフト付大型1BOX型車両の写真
101
○試作車(モーターショー出展のノア、セレナ)の利用意向(ぜひ+やや乗ってみたい)
回答者にアンケート用紙上で試作車のコンセプトと写真を呈示し、試作車の乗車意
向を質問した。試作車に乗ってみたい(ぜひ乗ってみたい+乗ってみたい)と答えた
者は、肢体不自由者では 81.1%、健常者では 52.2%に達している。
表 3-73 試作車の利用意向
肢体不自由者
(車いす使用者)
81.1%
健常者、高齢者 52.2%
うち高齢者(65 歳~) 55.2%
参考:タクシー事業者の
導入意向
13.5%
○試作車の特長についての評価(タクシー事業者のみ)
タクシー事業者にアンケート用紙上で試作車のコンセプトと写真を呈示し、試作車
の特長について5段階評価で回答を得た。特に評価の高い特長は、「車いす使用者と
介助者が一緒に利用できる」、「車いすのまま側方から乗車できること」である。
40.5%
29.0%
38.2%
21.1%
19.8%
30.8%
31.0%
61.5%
61.6%
41.2%
39.4%
44.2%
45.7%
42.9%
44.4%
26.5%
32.2%
33.7%
20.5%
19.4%
9.3%
42.7%
33.1%
20.7%
27.2%
15.6%
5.4%
0.6%
5.1%
4.1%
2.1%
1.0%
2.0%
1.4%
1.2%
0.6%
0.2%
0.6%
1.0%
0.8%
0.2%
0.4%
0.4%
0.6%
0.2%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
⑨車いす使用者の
3点式シートベルト (499)
⑧「セレナ」の車いす使用者用
ヘッドレスト(青色のタクシー) (503)
⑦「ノア」の車いす回転盤と
固定装置(黄色のタクシー) (498)
⑥床面、壁面と明度差のある
手すりの色 (498)
⑤手すりの位置 (501)
④乗降口の大きさ (513)
③乗降口の床の高さ(約35cm) (509)
②車いすのまま側方から乗車
できること (517)
①車いす使用者と介助者が
一緒に利用できる (515)
非常に評価できる(+2) やや評価できる(+1) どちらともいえない(±0)
あまり評価できない(-1) 全く評価できない(-2)
図 3-77 試作車の特長についての評価(タクシー事業者のみ)
102
○車いす使用者の安全確保のための乗車方法(肢体不自由者のみ)
「座席に移乗する」が約半数以上を占めた。
タクシーへの乗車方法別では、車いすのままでしか乗車困難な者は「現在使用して
いる車いすのまま進行方向後ろ向きに乗車」が 51.6%と最も多く、なるべく車いすの
まま乗車、座席へ移乗した方が良い者は「座席に移乗する」が最も多かった。
表 3-74 安全確保のためのタクシーへの乗車方法
(肢体不自由者のタクシーへの普段の乗車方法別)
座席に移乗
する
現在使用して
いる車いすの
まま,進行方向
後向きに乗車
する
安全性の高い
車いすを新た
に購入し,進行
方向前向きに
乗車する
その他 回答者数
合 計 53.3% 33.4% 23.0% 9.5% 317
車いすのままで
しか乗車困難 20.9% 51.6% 25.3% 16.5% 91
なるべく車いす
のまま乗車 56.3% 36.7% 25.0% 7.0% 128
座席へ移乗した
ほうが良い 87.7% 11.1% 18.5% 7.4% 81
普
段
の乗
車
方
法
その他 41.2% 17.6% 17.6% 0.0% 17
*車いす前向き固定(4点式ベルト+3点式シートベルト)で 20 倍の重力(196kg)に匹敵する
追突衝撃を加えたところ。
体が前方に移動し、車いす前部シート、フレームとキャスターに大きな負荷がかかる。
前方への衝撃が収まると反動により、後方、上部へ体が倒れる。頭部、首部に大きな負荷がかかる。
図 3-78 安全性検証のための衝突実験(再掲)
103
○安全性の高い車いすの使用に対する意見(肢体不自由者のみ)
次の条件を呈示し、安全性の高い車いすの導入への意見を聴取した。
質問文:タクシーに車いすのまま前向きに乗車する場合、従来よりも安全性の高い車い
すを使用する必要があります。安全性の高い車いすの価格は高くなりますが、あなたは
安全性の高い車いすの使用に賛成ですか、反対ですか。(○印は一つ)
「賛成」と「どちらかといえば賛成」を合わせると 47.7%、「反対」と「どちらか
といえば反対」の 17.4%を大きく上回った。判断に迷っている「どちらともいえない」
と回答した者は 35.0%であった。
26.7%
16.3%
26.8%
25.4%
17.1%
25.6%
24.2%
22.3% 35.0%
35.9%
37.2%
32.4%12.4%
11.6%
6.6%
9.0%8.4%
6.6%
9.3%
11.4%
0% 20% 40% 60% 80% 100%
30万以上 (105)
中枢都市 (43)
3大都市 (198)
合計(346)
賛成
どちらかといえば賛成
どちらともいえない
どちらかといえば反対
反対
図 3-79 安全性の高い車いすの使用に対する意見(肢体不自由者のみ)
104