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-1- 2014.6.24 No166 発行 双葉地方原発反対同盟 責任者 石丸小四郎 970.8026 いわき市平城東 3-2-3 セレーノ城東GM 1003 TELFAX 0246-25-7737 携帯 090-4477-1641 -milishimaru19430106@gmail. com 福島県町村議会議長会は6月3日の総会で、県内原発の全基廃炉を求める特別決議を全会一致で採択 した。福島第二原発の廃炉を明言しない政府と東京電力に対し、県民の負託を受けた町村議会の総意と して廃炉の早期実現を強く働きかけるとしている。 3町を除き43町村が全基廃炉を求める 福島市で開かれた県町村議会議長会は総会で、 八島博正会長(国見町議会議長)が「県内全ての原 発の廃炉を求める特別決議」を提案し採決された。 決議では「未曾有の原発事故を 経験し、今も苦難に見舞われてい る本県の実情を重く受けとめ、県 内全ての原発を廃炉にすべきだ」 と訴えた。同議長会によると、湯 川、中島、塙の3町村を除き 43 町村議会が全 基廃炉を求め る意見書、請 願を採択し た。同会長は 「政府と東京 電力が福島第 二原発の廃炉 について態度 を明確にしていない。一方で県外では再稼働の動 きが出ている。あらためて県内の全基廃炉を訴え る必要があると判断した」と特別決議を採択し背 景を説明した。 東電福島第1原発5・6号機は廃炉技術開発の ため廃炉が決まったが、同第二原発は政府も東電 も「検討を続ける」と宙に浮いたままである。 「事故は人災」だが責任は誰もとらない 5月 21 日、福井地裁は関西電力大飯原発3・4 号機の再稼働差し止めを命じた。判決の論理は明 快だ。生命を守り生活を維持する「人格権」を最 大重視し、原 発事故の危険 性や被害の大 きさは「福島 原発を通じて 十分明らかに なった」「人格 権」が奪われ る危険性があ れば「差し止 めは当然」と 明快であっ た。原発事故は3年目になっ ても全く終わりは見えず福島 県民は“痛烈な被害”を受け ている。震災関連死は 1728 2014.6.20 現在)自治体への申請者は3千人を越えている。 (医師 と自治体で協議のため)避難者は多少減ったが、依 然として 12 9505 2014.5.24 現在)、人口は 202 万を大きく割り込み 193 8512 2014.5.1 現在) である政府事故調は「原発事故は人災!」とし たが誰も責任をとっていない。 横断幕を手に福井地裁へ向かう大飯原発差し止め原告団 2014.6.2福島民報

3町を除き43町村が全基廃炉を求める 「事故は人災」だが責任は … · が「低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査―調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較―」を出した。

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Page 1: 3町を除き43町村が全基廃炉を求める 「事故は人災」だが責任は … · が「低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査―調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較―」を出した。

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■ 2014.6.24 No166

発行 双葉地方原発反対同盟 責任者 石丸小四郎

970.8026 いわき市平城東 3-2-3 セレーノ城東GM 1003

TEL・FAX 0246-25-7737 携帯 090-4477-1641

E-mil:ishimaru19430106@gmail. com

福島県町村議会議長会は6月3日の総会で、県内原発の全基廃炉を求める特別決議を全会一致で採択

した。福島第二原発の廃炉を明言しない政府と東京電力に対し、県民の負託を受けた町村議会の総意と

して廃炉の早期実現を強く働きかけるとしている。

3町を除き43町村が全基廃炉を求める

福島市で開かれた県町村議会議長会は総会で、

八島博正会長(国見町議会議長)が「県内全ての原

発の廃炉を求める特別決議」を提案し採決された。

決議では「未曾有の原発事故を

経験し、今も苦難に見舞われてい

る本県の実情を重く受けとめ、県

内全ての原発を廃炉にすべきだ」

と訴えた。同議長会によると、湯

川、中島、塙の3町村を除き 43

町村議会が全

基廃炉を求め

る意見書、請

願 を 採 択 し

た。同会長は

「政府と東京

電力が福島第

二原発の廃炉

について態度

を明確にしていない。一方で県外では再稼働の動

きが出ている。あらためて県内の全基廃炉を訴え

る必要があると判断した」と特別決議を採択し背

景を説明した。

東電福島第1原発5・6号機は廃炉技術開発の

ため廃炉が決まったが、同第二原発は政府も東電

も「検討を続ける」と宙に浮いたままである。

「事故は人災」だが責任は誰もとらない

5月 21 日、福井地裁は関西電力大飯原発3・4

号機の再稼働差し止めを命じた。判決の論理は明

快だ。生命を守り生活を維持する「人格権」を最

大重視し、原

発事故の危険

性や被害の大

きさは「福島

原発を通じて

十分明らかに

なった」「人格

権」が奪われ

る危険性があ

れば「差し止

めは当然」と

明 快 で あ っ

た。原発事故は3年目になっ

ても全く終わりは見えず福島

県民は“痛烈な被害”を受け

ている。震災関連死は 1728 人(2014.6.20 現在)で

自治体への申請者は3千人を越えている。(医師

と自治体で協議のため)避難者は多少減ったが、依

然として 12 万 9505 人(2014.5.24 現在)、人口は 202

万を大きく割り込み 193 万 8512 人(2014.5.1 現在)

である。政府事故調は「原発事故は人災!」とし

たが誰も責任をとっていない。

横断幕を手に福井地裁へ向かう大飯原発差し止め原告団

2014.6.2福島民報

Page 2: 3町を除き43町村が全基廃炉を求める 「事故は人災」だが責任は … · が「低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査―調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較―」を出した。

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圧力とも取れる「過剰診断」批判をしたのは、

「県民健康調査」の場で渋谷健司東京大学教授(公

衆衛生)だった。批判の内容は「状況をみると、福

島も過剰診断の可能性がある。治療の可能性や、

今の枠組みでは被曝の影響かどうか判断できな

い。世界的に必要以上にがんを見つけて治療する

過剰診断・治療が問題になっている。県民に過剰

診断の可能性を周知したり、治療方針を考え直し

た方がいいのではないか」というものだった。

鈴木真一県立医大教授(甲状腺外科)は「学会

の指針の基準に基づいて治療をしており、必要な

い手術はしていない」と反論したという。

一県民として言いたいのは①東京電力福島第一

原発が炉心溶融事故を起こしヨウ素 131 が放出さ

れ県内に大量に降り注ぎ土壌にも沈着した(資料

2)②ヨウ素 131 は核分裂生成物のう

ち放射能汚染の原因となる主要な存

在でチェルノブイリでの甲状線がん

の発生に多大な影響を与えてきた③

甲状腺がん及び疑いを含め95人の分

布図は浜通り、中通りに集中してい

る〔資料3〕④検討委員会は「甲状腺

がんは4~5年後に百万人あたり1~

2人として「甲状腺がんは放射能の

影響とは考えにくい」と今もって「原

発事故由来を…」否定している。事

故から4年目に入り明確に答えを出

すときに来ている。

県民健康調査の甲状腺検査に

圧力とも取れる「過剰診断」批判!〔資料1〕 〔2014.6.17 朝日〕

〔資料2〕 福島県内のヨウ素131の沈着量

〔資料3〕「甲状腺がんと疑い・2次検査対象者」と発生地域分布図

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既報No 164 で、東電福島第1原

発の地盤が“泥田”のような所に建

設されたことを佐伯正治元東電福島

原子力建設事務所土木課長の「福島

原子力発電所土木工事の概要」(土木

技術 22 巻9号)の論文をもとに述べて

きた。

〔資料1〕は 1969 年建設当時の第一

原発で、格納容器が立てられ海岸線を

埋め立てて工事が着々と進んでいるこ

とが分かる。

〔資料2〕の図面ではタービン建屋の海側が旧 汀 線きゆうていせん

(かつて海面があった位置を示す場所)で、ここに4㍍

盤とタービン建屋前の 10 ㍍盤を造った。

地下に入っているのは砕石と埋め戻し土で、そ

の上をアスファルトやコンクリートスラブ(床を

支える鉄筋コンクリート造りの床)で覆っている。

図面の太線は原子炉建屋とタービン建屋が入る部分

で湧水線があり 33 万立方㍍強を掘削している(東京ド

ームの約 40 %)。佐伯課長は「湧水が激しく難渋した」

と工事概要の中で述べている。まさに泥田のような地

盤だったのだ。

〔資料3〕では、タービン建屋の地下にディー

ゼル発電機やポンプが置かれ、堤防の高さは5㍍、敷

地の高さは4㍍で津波の襲来を多く労働者が危惧して

いた。第一原発は原発など造れる場所でもなければ備

えもゼロに等しかった。福島県民は東京電力と国の原

子力政策の犠牲者そのものである。

第一原発は130㍍の海を埋め立てた

原発を造れる場所ではなかった!〔資料1〕 1969年当時の東電福島第一原発建設現場

〔資料2〕 東電福島第一原発施行基面図

〔資料3〕 東電島第一原発のタービン建屋平面図

(出典)・〔資料2〕原子力発電所土木工事の概要・〔資

料3〕国会事故調資料編

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昨年の9月6日、「低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査プロジェクト班」(津田敏秀岡山大学大学院環境生命科学研究科・他5名)

が「低レベル放射線曝露と自覚症状・疾病罹患の関連に関する疫学調査―調査対象地域3町での比較と双葉町住民内での比較―」を出した。

紙面の関係上、調査目的や方法を

簡単に述べることとする。

①背景・目的~原発事故から近隣住

民の健康影響への不安が募ってい

る。比較対照地域をしっかり行い、

健康状態が被ばくや避難生活による

ものか比較検証することを目的とし

た②方法~調査地域は福島県双葉町

7056 名、宮城県丸森町筆甫地区 733

名、滋賀県長浜市木之本町 6730 名

で事故から1年半が経過した平成

24 年 11 月に質問票調査を行った③

結果~平成 24 年 11 月時点で木之本

町に比べて双葉町が有意に悪かっ

た。調査当時の体の悪い所に関して

は、様々な症状で双葉町の症状の割

合が高くなっていた④結論~平成

24 年 11 月時点でも様々な症状が双

葉町住民では多く、双葉町・丸森町

ともに特に多かったのが鼻血であっ

た…とある。鼻血は「急性鼻咽頭炎

(かぜ)」を選択した結果と推測さ

れる。「報告書」の「発症者数」は

数字の比較対照が際だっため棒グラ

フにしてみた。(右資料)

平成23年3月11日以降に発症した病気 調査時点 平成24年11月

双葉町民の原発事故後の疾病罹患・自覚症状の調査報告書が出る!