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- 74 - 【技術情報】 浄化槽(51 人槽以上)の低炭素化について 一般社団法人浄化槽システム協会 技術推進部会編 1.はじめに 温室効果ガス排出の削減は、1997 年の京都議定書から様々な国際会議を経て 2015 年にフ ランス・パリで行われた気候変動枠組み条約第 21 回締約国会議(COP21)にて「パリ協 定」が採択された。目標として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑 えることを掲げ、全ての国が排出量の削減目標を5年ごとに提出すること、また、その達成 のための対策をとっていくことが義務付けされた。これは、国際的な気候変動対策にとって の歴史的な合意である。 現時点において日本の温室効果ガス削減目標は、2020 年度に 2005 年度比で 3.8%削減とな っている。また、2020 年度以降の草案では、2030 年度に 2013 年度比で 26%の削減、2050 年 度には 80%削減という高い目標を掲げている。これらの高い目標を達成するためには、日本 のあらゆる分野で低炭素化をさらに進めていくことが必要であり、浄化槽も例外ではない。 浄化槽分野では、これまでに以下の施策が行われ、浄化槽の低炭素化が推進されている。 これら施策に誘導され、浄化槽のコンパクト化、使用電力量の低減、処理性能の高度化、再 生材量使用といった内容について、開発が進められたといえる。 ①低炭素社会型浄化槽整備モデル事業の実施(環境省 2007~2009 年) ②低炭素社会対応型浄化槽整備推進事業の実施(環境省 2010 年~) ③浄化槽のエコマーク認定の規格化((公財)日本環境協会 2012年~) ④環境配慮・防災まちづくり浄化槽整備推進事業の実施(環境省 2016 年~) ⑤省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業の実施(環境省、(一社)全国浄化槽団体連合 会 2017 年~) 浄化槽の低炭素化の動向については、環境省の委託事業として(一社)浄化槽システム協 会が調査報告書を作成しており、「平成24年度浄化槽の低炭素化に向けた調査業務報告書」、 「平成 26 年度浄化槽の低炭素化及び海外展開に関する調査委託業務報告書」のデータを基 に、浄化槽の温室効果ガス排出量の推移について、図1.1及び図1.2に示した。ここで は、各調査年度の浄化槽出荷基数をベースに、浄化槽の使用段階の汚水量当たりの温室効果 ガス排出量を比較するよう整理している。図1.1から浄化槽全体としては、1990 年度と比 較して、2013 年度は 18%削減され低炭素化が進められたことがわかる。図1.2はこれを浄 化槽の規模別に整理しているが、5~10 人槽および 11~50 人槽の小規模浄化槽は約 20%削減 されているのに対し、51 人以上の中・大規模浄化槽は 1990 年度と比較して削減されていな いことがわかる。これは、中・大規模浄化槽はコンパクト化が進んだ性能評価型が主流とな った近年においても、浄化槽の使用段階の温室効果ガス排出量は削減されておらず、今後の 課題であるといえる。

浄化槽(51 人槽以上)の低炭素化について · - 74 - 【技術情報】 浄化槽(51人槽以上)の低炭素化について 一般社団法人浄化槽システム協会

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- 74 -

【技術情報】

浄化槽(51人槽以上)の低炭素化について

一般社団法人浄化槽システム協会 技術推進部会編

1.はじめに

温室効果ガス排出の削減は、1997 年の京都議定書から様々な国際会議を経て 2015 年にフ

ランス・パリで行われた気候変動枠組み条約第 21回締約国会議(COP21)にて「パリ協

定」が採択された。目標として、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑

えることを掲げ、全ての国が排出量の削減目標を5年ごとに提出すること、また、その達成

のための対策をとっていくことが義務付けされた。これは、国際的な気候変動対策にとって

の歴史的な合意である。

現時点において日本の温室効果ガス削減目標は、2020年度に 2005年度比で 3.8%削減とな

っている。また、2020 年度以降の草案では、2030 年度に 2013年度比で 26%の削減、2050年

度には 80%削減という高い目標を掲げている。これらの高い目標を達成するためには、日本

のあらゆる分野で低炭素化をさらに進めていくことが必要であり、浄化槽も例外ではない。

浄化槽分野では、これまでに以下の施策が行われ、浄化槽の低炭素化が推進されている。

これら施策に誘導され、浄化槽のコンパクト化、使用電力量の低減、処理性能の高度化、再

生材量使用といった内容について、開発が進められたといえる。

①低炭素社会型浄化槽整備モデル事業の実施(環境省 2007~2009年)

②低炭素社会対応型浄化槽整備推進事業の実施(環境省 2010年~)

③浄化槽のエコマーク認定の規格化((公財)日本環境協会 2012年~)

④環境配慮・防災まちづくり浄化槽整備推進事業の実施(環境省 2016年~)

⑤省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業の実施(環境省、(一社)全国浄化槽団体連合

会 2017年~)

浄化槽の低炭素化の動向については、環境省の委託事業として(一社)浄化槽システム協

会が調査報告書を作成しており、「平成 24 年度浄化槽の低炭素化に向けた調査業務報告書」、

「平成 26 年度浄化槽の低炭素化及び海外展開に関する調査委託業務報告書」のデータを基

に、浄化槽の温室効果ガス排出量の推移について、図1.1及び図1.2に示した。ここで

は、各調査年度の浄化槽出荷基数をベースに、浄化槽の使用段階の汚水量当たりの温室効果

ガス排出量を比較するよう整理している。図1.1から浄化槽全体としては、1990年度と比

較して、2013年度は 18%削減され低炭素化が進められたことがわかる。図1.2はこれを浄

化槽の規模別に整理しているが、5~10人槽および 11~50人槽の小規模浄化槽は約 20%削減

されているのに対し、51 人以上の中・大規模浄化槽は 1990 年度と比較して削減されていな

いことがわかる。これは、中・大規模浄化槽はコンパクト化が進んだ性能評価型が主流とな

った近年においても、浄化槽の使用段階の温室効果ガス排出量は削減されておらず、今後の

課題であるといえる。

- 75 -

今回、本稿では、前述の施策「省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業」が今年度から

実施されることに合わせ、参考情報となるよう、中・大規模浄化槽の省エネ化および低炭素

化についてまとめた。

図1.1 浄化槽の温室効果ガス排出量の推移(JSA調べ)

図1.2 規模別浄化槽の温室効果ガス排出量の推移(JSA調べ)

0.663

0.624

0.592

0.460

0.356

0.361

0.610

0.506

0.485

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0

1990

2011

2013

温室効果ガス排出量(kg-CO2/m3)

①消費電力 ②汚泥処理 ③直接排出 ④処理水 ⑤保守点検 ⑥清掃

100%

85%

82%年度

年度

年度

0.818

0.658

0.631

0.638

0.511

0.455

0.617

0.597

0.638

0.398

0.313

0.325

0.396

0.303

0.285

0.487

0.576

0.608

0.611

0.483

0.485

0.610

0.611

0.611

0.611

0.491

0.485

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

1990

2011

2013

1990

2011

2013

1990

2011

2013

温室効果ガス排出量(kg-CO2/m3)

①消費電力 ②汚泥処理 ③直接排出 ④処理水 ⑤保守点検 ⑥清掃

5~10人槽

11~50人槽

51人槽~

100%

79%

78%

100%

86%

81%

100%

96%

100%

年度

- 76 -

2.省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業の概要

今年度から実施される「省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業」について、その概要

を以下に示す。

事業趣旨 既設大型合併処理浄化槽の処理工程におけるエネルギー起源二酸化

炭素排出の抑制を図るために高効率な機械設備等の導入し、地球環境保

全及び生活環境の保全に資することを目的とする。

事業内容 101人槽以上の既設合併処理浄化槽にかかる、省CO2型の高度化設備

(高効率ブロワ、インバータ制御装置等)の導入・改修費について、1

/2を補助する。

予算規模 平成 29 年度予算額 10億円

対象地域 原則として、下水道法に基づき策定された予定処理区域(下水道事業

計画区域)以外の地域における 101 人槽以上の既設合併処理浄化槽を対

象とする。

対象事例 集合住宅、住宅団地、学校教育施設、病院、社会福祉施設 等

対象機器・

システム

以下の内、①のブロワ交換は必須、それに加えて、②、③、もしくは

その両方の事業を実施することが可能。(但し、施設全体の年間電気量を

5%以上削減できること。)

①組み込まれたモータについて、効率がIEC規格(国際電気標準会

議)で規定される効率クラスIE3(プレミアム効率)と同等以上

のものとなる省エネ型ブロワ(IE3)への更新。

②インバータ制御・タイマー設置による運転効率の改善。

③その他省エネ設備への更新。

補助事業

者の資格

要件

・民間企業、個人事業主

・独立法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人、公益財団法

・都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合

・地方自治法 260 条の 2 第 1 項に基づき市町村許可を受けた地縁団体

(住宅団地の住民組合等)

・学校法人、医療法人、社会福祉法人

・その他、環境大臣の承認を得て(一社)全国浄化槽団体連合会が適当

と認める者

補助事業

者の責務

・補助事業の実施

・完了後概ね 3年間のCO2削減効果の報告

・完了後概ね 15年間の補助事業財産の処分制限義務

※違反の場合は補助金の返金を求める

公募期間 平成 29(2017)年 6月 1日~平成 29(2017)年 12月 31日(消印有効)

表2.1 「省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業」の概要

- 77 -

詳細については、当該補助金交付本事業の執行団体である(一社)全国浄化槽団体連合会

のホームページ(http://www.zenjohren.or.jp/e-conservation.html)に公募要領や申請様式

等が掲載されている。

申請様式には、浄化槽の年間消費電力削減量を計算し、その根拠を記入する内容がある。

申請に際しては、浄化槽専門業者に確認が必要な場合も考えられる。例えば、機器類の更新

に際し、制御回路の保護継電器の適性や、ポンプ交換の際に着脱装置の改修を伴う場合など、

機器類の更新を行うには確認すべき内容も多い。

今回対象となる 101 人槽以上の合併処理浄化槽は、古くは 1969 年(旧構造基準)や 1980

年(新構造基準)から製造されており、表2.2に示すように、平成 28年 3月末時点で全国

に 80,660基存在する。下水道事業計画区域や農業集落排水処理事業は該当しないが、多くの

浄化槽が対象となる。図2.1に 101 人槽以上の都道府県別合併処理浄化槽の設置基数をま

とめた。

また、51人槽以上の浄化槽について、処理方式毎の構造・機能と機器等付帯設備の概要と

省エネ化及び低炭素化への対応事例や検討事例を次項以降にまとめたので参考とされたい。

表2.2 人槽区分別全浄化槽全設置基数(平成 28年 3月末現在)

単独処理浄化槽

合併処理浄化槽

集計

5~20 3,711,790 3,220,01321~100 390,239 198,789

101~200 15,519 39,836201~300 4,114 16,036301~500 2,348 12,897

501~1,000 322 6,1861,001~2,000 96 3,6792,001~3,000 11 1,2143,001~4,000 4 3524,001~5,000 3 1925,001~10,000 6 225

10,001~ 1 43

合計 4,124,453 3,499,462 3,499,462全設置基数

※ 環境省 浄化槽の指導普及に関する調査結果より集計し引用

80,660

7,623,915

人槽範囲(人)設置基数(基)

3,418,802

- 78 -

図2.1 101人槽以上の都道府県別合併処理浄化槽設置基数(平成 28年度 3月末現在)

1,641

941

1,345

809

1,173

503

2,669

2,708

1,497

1,886

3,484

5,132

312

1,350

1,696

709

1,062

877

1,565

1,514

2,056

4,117

6,679

3,114

882

672

1,465

1,596

1,481

1,385

450

888

1,410

1,745

1,104

1,731

1,235

1,469

1,188

3,207

989

1,458

1,204

1,599

1,037

2,195

1,431

0 1,000 2,000 3,000 4,000 5,000 6,000 7,000 8,000

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

設置基数(基)

合計 80,660基

- 79 -

3.51人槽以上の消費電力と温室効果ガス排出量の現状

現在設置される多くの浄化槽は、構造基準に基づき設計された告示型の浄化槽から、メー

カーの技術開発により設計された性能評価型浄化槽に移行している。性能評価型浄化槽は告

示型浄化槽と比較して、本体槽をコンパクト化した施工性に優れる浄化槽と、処理性能を向

上させた高度処理型浄化槽がある。

本章ではまず、これら告示型浄化槽と性能評価型浄化槽の構造と機能を処理方式ごとに概

略を記した。次に付帯設備であるブロワ、ポンプ等の機器の消費電力を処理方式ごとにまと

め、告示型から性能評価型へ移行する中での推移を整理した。最後に使用段階での温室効果

ガス排出量を算出し、告示型、性能評価型のコンパクト仕様、性能評価型の高度処理型浄化

槽について整理した。章末には参考資料として、各処理方式の具体例を詳細に記した。

(1)構造と機能

1)告示型浄化槽

一般に普及している告示型浄化槽は、沈殿分離接触ばっ気方式と流量調整接触ばっ気

方式の 2型式がある。

①沈殿分離接触ばっ気方式

一次処理(流入側に設ける前処理槽)を、流入水中に含まれる固形物や夾雑物を重力

沈降により分離する沈殿分離槽とし、二次処理(有機物を除去するための生物反応槽)

を、接触材がばっ気槽内に浸漬・固定された接触ばっ気槽とした構造の浄化槽。清掃頻

度は 1回/年。

②流量調整接触ばっ気方式

一次処理を、固形物や夾雑物を除去するスクリーンと流入水量の変動を緩和し流量の

均等化を目的とした流量調整槽を組み合わせた構造とし、二次処理を接触ばっ気槽とし

た構造の浄化槽。清掃頻度は 1回/1~2週。

一次処理が沈殿分離槽の場合、固液分離の機能だけでなく汚泥を貯留する機能も有する

ため、1回/年の清掃頻度に応じた容量が必要となる。一方で一次処理がスクリーンと流

量調整槽の場合、1回/1~2週の清掃頻度であるため、汚泥を貯留する汚泥濃縮貯留槽の

容量が比較的小さくなる。このような一次処理の構造の違いと、清掃頻度と清掃汚泥量か

ら、通常、人槽が小さい(流入水量が少ない)規模の施設は「沈殿分離接触ばっ気方式」

の浄化槽が、人槽が大きい(流入水量が多い)規模の施設は「流量調整接触ばっ気方式」

の浄化槽が設置されている。

2)性能評価型浄化槽

性能評価型浄化槽には数多くの処理方式があるが、おおまかに次の 5 つのタイプに整

理した。

①固液分離・嫌気ろ床型(コンパクト仕様)

一次処理を固液分離槽と嫌気ろ床槽を組み合わせた構造とし、二次処理を接触材と

比較して比表面積が大きい担体を充填した担体流動槽とし、さらに処理水の固液分離

を行うろ過槽を設けた構造の浄化槽。二次処理に担体を充填し、単位容積当たりの微

生物量を増すことで槽のコンパクト化を図っている。清掃頻度は 1~2回/年。

- 80 -

②流量調整型(コンパクト仕様)

一次処理をスクリーンと流量調整槽を組み合わせた構造、二次処理を担体流動槽と

し、後段にろ過槽を設けた構造の浄化槽。1回/1~2週。

③膜分離活性汚泥方式(高度処理型)

一次処理をスクリーンと流量調整槽を組み合わせた構造、二次処理は槽内に浸漬型

の膜分離装置を設けた高濃度活性汚泥法で運転する浄化槽。清掃頻度は 1回/1~2週。

④回分式活性汚泥方式(高度処理型)

一次処理をスクリーンと流量調整槽を組み合わせた構造、二次処理は単一槽でばっ

気→沈殿→上澄水排出の工程を繰り返し行う活性汚泥法の浄化槽。清掃頻度は 1 回/

1~2週。

⑤回遊式間欠ばっ気方式(高度処理型)

一次処理をスクリーンと流量調整槽を組み合わせた構造、二次処理はブロワと水中

攪拌機でばっ気と嫌気撹拌を交互に行う活性汚泥法の浄化槽。清掃頻度は 1 回/1~2

週。

(2)消費電力の推移

処理方式により使用する機器の種類、電気容量は異なる。そこで各処理方式ごとに使

用機器類の消費電力を整理し、機器類合計値として表 1 に記した((一社)浄化槽システ

ム協会 2013 年度低炭素調査データ)。この表に基づき告示型から性能評価型への移行と

いう視点で以下のことを確認した。

1)固液分離・嫌気ろ床型

固液分離・嫌気ろ床型は告示型の沈殿分離接触ばっ気方式のコンパクト仕様とみなし、

両方式の消費電力合計値を比較した。これらの方式は、消費電力のほぼ 100%がばっ気用

ブロワの運転に消費されており、消費電力合計値は同程度であった(100人槽)。

固液分離・嫌気ろ床型の生物処理槽はコンパクト化によって通常、必要風量は低減され

ているが、現状では消費電力の低減には繋がっていないことがわかった。これは、規模の

大きな浄化槽で使用されるブロワは、モータ出力に対する吐出空気量のレンジが広いた

め、必要空気量が低減されても消費電力は変わらないことが要因となっているものと考

えられる。

浄化槽分野での省エネ化については、特に小規模浄化槽の範疇でブロワの消費電力が

削減されているが、電磁式ブロワの技術開発による省電力化の効果である。一方で、規模

の大きな浄化槽で使用されるブロワは、近年になってようやく高効率モータを採用した

ブロワが製品化されるに至った状況で、省電力化への対応は遅れていたと言える。これ

が、今般の「省エネ型大規模浄化槽システム導入推進事業」の実施につながったものと推

測される。

2)流量調整型

流量調整型は告示型の流量調整接触ばっ気方式のコンパクト仕様とみなし、両方式の

消費電力合計値を比較した。これらの方式は、ばっ気用ブロワだけでなく、流量調整槽の

撹拌用ブロワ、流量調整槽用ポンプ等が機器として使用される。告示型に比較して性能

評価型は約 20%消費電力が削減されていることがわかった(300人槽)。

- 81 -

この要因として、流量調整型は生物反応槽の高機能化に伴い流量調整槽のコンパクト

化(高い流量調整比での運転)が可能となったため、流量調整槽の撹拌用ブロワ風量が低

減されたこと、流量調整比が高くなったことによる流量調整用ポンプの稼働時間の短縮

が挙げられる。

3)高度処理型

膜分離活性汚泥方式、回分式活性汚泥方式、回遊式活性汚泥方式の高度処理型浄化槽

は、告示型に比べて汚濁負荷除去率が高く、ばっ気風量が増大し機器類も増えることか

ら、消費電力は増加する。

(3)温室効果ガス排出量

使用段階での温室効果ガス排出量を算出し表3.1に記した(JSA 2013年度低炭素調

査データ)。

表3.1から、温室効果ガス排出量は性能評価型の「固液分離・嫌気ろ床型」が告示型

から約 10%削減されていること、同様に性能評価型の「流量調整型」が約 20%削減され

ていることがわかる。一方で、高度処理型浄化槽は人槽が大きい(流入水量が多い)規模

の施設では告示型に対して同等程度であるが、人槽が小さい(流入水量が少ない)規模の

施設では告示型を上回る排出量となっている。この結果を総合すると、51 人槽以上の大

規模浄化槽は 1990 年度、つまり告示型と比較して温室効果ガスの排出量は必ずしも削減

されていない、という結論が導かれる。

今後は大規模浄化槽の範疇でも、本稿3章に記しているような省エネ機器等の導入が

進み、温室効果ガス排出量の削減が進むことが期待される。「省エネ型大規模浄化槽シス

テム導入推進事業」は、まさに省エネ機器である高効率ブロワの導入を推進する事業で

あり、積極的かつ有効に活用されることが望まれる。

- 82 -

 表

3.

1 

処理

方式

ごと

の温

室効

果ガ

ス排

出量

の算

出結

果(例

告示

型告

示型

沈殿

分離

接触

ばっ

気方

式固

液分

離嫌

気ろ

床型

流量

調整

型膜

分離

活性

汚泥

方式

回分

式活

性汚

泥方

式回

遊式

間欠

ばっ

気方

式流

量調

整接

触ば

っ気

方式

固液

分離

嫌気

ろ床

型流

量調

整型

膜分

離活

性汚

泥方

式回

分式

活性

汚泥

方式

回遊

式間

欠ば

っ気

方式

(mg/

L)20

2020

1020

2020

10

(mg/

L)20

(10)

20(1

0)

(mg/

L)(1

)(1

)

(m3 )

51.6

7528

.127

21.0

3034

.790

36.9

3042

.430

90.7

1579

.965

48.6

1381

.750

107.

330

89.1

70

ブロ

ワ送

風量

(L/分

)71

558

754

81,

600

1,09

063

018

101,

750

1,55

33,

570

3,00

01,

820

(ばっ

気用

)消

費電

力(k

W)

0.75

0.75

0.75

2.20

1.5

0.75

1.85

1.5

1.76

3.70

5.5

2.2

稼動

台数

(台)

11

11

11

11

11

11

設置

台数

(台)

21

22

21

22

22

21

稼動

時間

(hr)

2424

2424

1412

2424

2424

1412

ポン

プ消

費電

力(k

W)

0.13

0.25

0.25

0.4

0.28

0.4

0.2

0.25

1.5

0.4

(流量

調整

槽用

)稼

動台

数(台

)1

11

11

11

11

1

設置

台数

(台)

22

22

22

22

22

稼動

時間

(hr)

12.3

6.7

2.8

2424

14.5

13.3

202.

824

(kW

h)18

.019

.425

.259

.035

.943

.865

.441

.951

.211

1.6

117.

274

.4

清掃

容量

(m3 /回

)27

.583

13.4

423.

389

3.52

04.

093

5.60

09.

380

37.9

688.

269

6.12

011

.687

7.00

0清

掃頻

度(回

/年)

11.

723

.826

267

262

24.4

2626

26清

掃容

量(m

3 /年)

27.5

8321

.668

75.9

5991

.520

106.

418

39.2

0024

3.88

075

.936

187.

777

159.

120

303.

862

182.

000

保守

点検

頻度

(回/年

)4

6.6

2652

5252

264

2652

5252

3646

.436

46.4

3610

.910

606.

842

54.1

1823

.289

94.3

7292

.784

90.9

1783

8.8

1559

8.3

5348

.0消

費電

力36

46.4

3926

.251

05.6

1195

0.2

7267

.788

80.9

1324

8.4

8487

.110

362.

122

599.

323

736.

015

079.

7保

守点

検8.

914

.758

.011

6.0

116.

011

6.0

58.0

8.9

58.0

116.

011

6.0

116.

0清

掃8.

514

.620

3.5

222.

022

2.0

59.8

222.

017

.120

8.1

222.

022

2.0

222.

0汚

泥処

理23

72.1

1863

.465

32.5

7870

.791

51.9

3371

.220

973.

765

30.5

1614

8.8

1368

4.3

2613

2.1

1565

2.0

直接

排出

4460

.035

40.0

3545

.935

40.0

3540

.035

40.0

1338

0.0

1062

0.0

1062

0.0

1062

0.0

1062

0.0

1062

0.0

処理

水89

9.4

899.

490

0.9

449.

727

0.8

270.

826

98.1

2698

.126

98.1

1349

.081

2.5

812.

5合

計11

395.

310

258.

216

346.

324

148.

620

568.

516

238.

750

580.

228

361.

740

095.

148

590.

661

638.

642

502.

2

1.56

1.41

2.24

3.31

2.82

2.22

2.31

1.30

1.83

2.22

2.81

1.94

 ※

機器

類は

、全

ての

機器

を列

記し

て明

示し

てい

ない

が、

消費

電力

(機器

類合

計値

)は必

要な

機器

全て

を含

む数

値と

した

T-N

10B

OD

製造

年度

100人性

能評

価型

2013

年度

300人

処理

方式

区 

 分

人槽

性能

評価

総 

容 量

機 器 類

消費

電力

(機器

類合

計値

1

性 能T-P

1

101010

温 室 効 果 ガ ス 排 出 量維 持 管 理

使用

段階

(kg-

CO

2/人

・年)

ばっ

気用

ブロ

ワ消

費電

汚水

量当

たり

のC

O2排

出量

(kg-

CO

2/m

3 )

- 83 -

図3.1 処理方式ごとの温室効果ガス排出量(例)(100人槽)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

沈殿分離接触ばっ気方式(告示型)

固液分離嫌気ろ床型

流量調整型

膜分離活性汚泥方式

回分式活性汚泥方式

回遊式間欠ばっ気方式

消費電力 汚泥処理 直接排出 処理水 保守点検 清掃

温室効果ガス排出量(kg-CO2/m3)

図3.2 処理方式ごとの温室効果ガス排出量(例)(300人槽)

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

流量調整接触ばっ気方式(告示型)

固液分離嫌気ろ床型

流量調整型

膜分離活性汚泥方式

回分式活性汚泥方式

回遊式間欠ばっ気方式

消費電力 汚泥処理 直接排出 処理水 保守点検 清掃

温室効果ガス排出量(kg-CO2/m3)

- 84 -

(4)浄化槽の構造・機能等の具体事例

51人槽以上の浄化槽の構造・機能、主な使用機器に関し法令区分および処理方式ごとにまとめ

て記す。

性能評価型に関しては代表機種を例示した。処理フローや構造、機器名称等はメーカーホーム

ページ及びカタログ等に記載された表現のままとした。

①基本事項

区 分:告示型(第6第二号)

処 理 方 式 :沈殿分離接触ばっ気方式

処理対象人員:51~500人

処 理 水 質 :BOD 20mg/L

②処理フロー(例)

③構造(例)

○藤吉工業 AWF6-2TD型

- 85 -

④機能説明

・沈殿分離槽

流入汚水中に含まれる固形物質や夾雑物を分離除去する機能を有し、除去された固形物質な

どを汚泥引抜きまでの一定期間貯留する。

・接触ばっ気槽

ばっ気槽に接触材を充填してろ床を形成し、ばっ気撹拌によって十分に酸素を供給した汚水

を循環接触させる。微生物は接触材の表面に付着し、生物膜として固着増殖して汚水と繰り返

し接触することにより浄化する。

・沈殿槽

接触ばっ気槽から移送されたばっ気水中の浮遊物質を沈殿分離し、清澄な上澄水を得る。分

離された汚泥はエアリフトポンプ等により沈殿分離槽へ移送される。

・消毒槽

塩素剤により処理水を消毒する。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

4回/年

○清掃回数

1回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 接触ばっ気槽等への空気供給

電磁弁(※1) 汚泥移送エアリフトポンプへの空気供給の制御

放流用ポンプ(※2) 処理水を槽外へ放流する

(※1)間欠移送の場合のみ。常時移送の場合は不要

(※2)放流ポンプ槽はオプション

- 86 -

①基本事項

区 分:告示型(第6第二号)

処 理 方 式 :流量調整接触ばっ気方式

処理対象人員:101人~

処 理 水 質 :BOD 20mg/L

②処理フロー(例)

○101~500人

○501人~

③構造(例)

○ハウステック JRN2型(101~500人)

- 87 -

④機能説明

・ばっ気型スクリーン

汚水中の粗大固形物を除去する。スクリーンの下部よりばっ気して付着した汚物などを除去

する。除去した固形物等は槽底部の貯留部に貯留する。

501 人以上ではばっ気型スクリーンの替わりに荒目スクリーンと(ばっ気)沈砂槽で構成され

る。

・流量調整槽

汚水の流量変動を緩和して、一定の変動幅以下に抑制する。

・接触ばっ気槽

ばっ気槽に接触材を充填してろ床を形成し、ばっ気撹拌によって十分に酸素を供給した汚水

を循環接触させる。微生物は接触材の表面に付着し、生物膜として固着増殖して汚水と繰り返

し接触することにより浄化する。

・沈殿槽

接触ばっ気槽から移送されたばっ気水中の浮遊物質を沈殿分離し、清澄な上澄水を得る。分

離された汚泥はエアリフトポンプ等により沈殿分離槽へ移送される。

・汚泥濃縮貯留槽

1つの槽で汚泥の濃縮と濃縮汚泥の貯留を行う。501 人以上では汚泥濃縮槽と汚泥貯留槽に

分かれる。

・消毒槽

塩素剤により処理水を消毒する。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

26回/年

○清掃回数(設計容量による)

26~52回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 接触ばっ気槽等への空気供給

撹拌用ブロワ 流量調整槽の撹拌

流量調整用ポンプ 接触ばっ気槽への移送

自動微細目スクリーン 2mm以上の夾雑物の除去

自動荒目スクリーン(※1) 30~50mm以上の固形物の除去

電磁弁(※2) 汚泥移送エアリフトポンプへの空気供給の制御

(※1)ばっ気型スクリーンの場合は不要

(※2)間欠移送の場合のみ。常時移送の場合は不要

- 88 -

①基本事項

区 分:性能評価型

処理方式:固液分離・嫌気ろ床型

②処理フロー(例)

○担体流動ろ過循環方式(BOD除去型)

○嫌気ろ床担体流動循環ろ過循環方式(窒素除去型)

③構造(例)

○クボタ KTZ型【担体流動ろ過循環方式】(BOD除去型)

○フジクリーン工業 PCN型【嫌気ろ床担体流動循環ろ過方式】(窒素除去型)

前置担体流動槽

夾雑物除去槽

嫌気ろ床槽第 1 室

嫌気ろ床槽第 2 室

担体流動槽

循環ろ過槽

消毒槽

- 89 -

④機能説明

○1次処理

1 次処理には告示型の沈殿分離槽に替わり固液分離槽、夾雑物除去槽、嫌気ろ床槽等から構

成されており、汚水中の固形物質や夾雑物を分離除去する機能を有し除去された固形物質など

を汚泥引抜きまでの一定期間貯留する。窒素除去型では担体流動槽等から循環水を嫌気ろ床槽

等へ移送し脱窒を行う。

また、これらの一部容量を流量調整部とし流量変動を緩和する機能を有するものもある。

○2次処理

告示型の接触ばっ気に替わり担体流動槽、担体反応槽、生物濾過槽等から構成されており、

担体に生物膜を付着させ槽内を流動させる、または固定させて汚水と接触させ汚水を浄化する。

窒素除去型では BODの除去と併せて硝化を行う。

処理水中の浮遊物質の除去には沈殿槽やろ材を槽の上部または下部に充填し、それによりろ

過分離を行う生物ろ過槽、担体ろ過槽等を用いる。ろ材を用いる方式は捕捉した浮遊物質をろ

材から分離するために逆洗を行う。

処理水は塩素剤にて消毒され放流される。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

4回/年

○清掃回数(設計容量による)

1~2回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 担体流動槽等への空気供給

エアリフト用ブロワ(※1) 流量調整等に使用するエアリフトポンプへの空気供給

流量調整用ポンプ(※2) 担体流動槽等へ移送

放流用ポンプ(※3) 処理水を槽外へ放流する

電磁弁(※4) 逆洗の制御

(※1)専用ブロワが必要な場合のみ

(※2)電動ポンプを用いる処理方式のみ

(※3)放流ポンプ槽はオプション

(※4)逆洗の制御が必要な処理方式のみ

- 90 -

①基本事項

区 分:性能評価型

処理方式:流量調整型

②処理フロー(例)

○担体流動方式(BOD除去型)

○担体流動生物ろ過方式(BOD除去型)

③構造(例)

○アムズ FXF型【担体流動方式】(BOD除去型)

○大栄産業 FCI型【担体流動生物ろ過方式】(BOD除去型)

ばっ気型スクリーン

流量調整槽

汚泥濃縮貯留槽

担体流動槽

担体濾過槽

消毒槽

ばっ気型スクリーン

流量調整槽

汚泥濃縮貯留槽

多孔スクリーン槽

担体流動槽 生物ろ過槽

消毒槽

微細目スクリーン

- 91 -

④機能説明

○1次処理

1次処理にはばっ気型スクリーン、流量調整槽と夾雑物除去を行う装置から構成されている。

夾雑物の除去装置は告示型と同様に微細目スクリーンを用いるものとその代替装置を用いるも

のに分かれる。代替装置には沈殿分離槽のように沈殿により除去を行うもの(夾雑物除去槽、

固液分離貯留槽等)と動力を必要としないスクリーン(多孔スクリーン、メッシュスクリーン、

ばっ気式水中スクリーン等)を用いるものがある。

いずれの装置も除去したし渣は汚泥濃縮貯留槽にて汚泥と伴に搬出されるまで一時的に貯留

される。501 人以上ではばっ気型スクリーンの替わりに荒目スクリーンと(ばっ気)沈砂槽で構

成される。

○2次処理

2 次処理は告示型の接触ばっ気に替わり担体流動槽、担体反応槽、生物濾過槽等から構成さ

れており、担体に生物膜を付着させ槽内を流動させる、または固定させて汚水と接触させ汚水

を浄化する。

処理水中の浮遊物質の除去には沈殿槽やろ材を槽の上部または下部に充填し、それによりろ

過分離を行う生物ろ過槽、担体ろ過槽等を用いる。ろ材を用いる方式は捕捉した浮遊物質をろ

材から分離するために逆洗を行う。

逆洗汚泥や沈殿汚泥は汚泥濃縮貯留槽に移送され搬出されるまでの一時的に貯留される。501

人以上では汚泥濃縮槽と汚泥貯留槽に分かれる。

処理水は塩素剤にて消毒され放流される。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

26回/年

○清掃回数(設計容量による)

26~52回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 担体流動槽等への空気供給

撹拌用ブロワ 流量調整槽の撹拌

流量調整用ポンプ 担体流動槽等への移送

放流用ポンプ(※1) 処理水を槽外へ放流する

自動荒目スクリーン(※2) 30~50mm以上の固形物の除去

自動微細目スクリーン(※3) 2mm以上の夾雑物の除去

電磁弁(※4) 汚泥移送・逆洗の制御

(※1)放流ポンプ槽はオプション

(※2)ばっ気型スクリーンの場合は不要

(※3)微細目スクリーンが必要な処理方式のみ

(※4)汚泥移送・逆洗の制御が必要な処理方式のみ

- 92 -

①基本事項

区 分:性能評価型

処理方式:膜分離活性汚泥方式

②処理フロー(例)

○膜分離活性汚泥法(BOD除去型又は窒素除去型)

○凝集剤添加型膜分離活性汚泥法(窒素、リン除去型)

(※1)オプション

③構造(例)

○クボタ KM-SG-B型【膜分離活性汚泥法】(BOD除去型又は窒素除去型)

○クボタ KM-SG-NP型【凝集剤添加型膜分離活性汚泥法】(窒素、リン除去型)

- 93 -

④機能説明

○1次処理

1 次処理はばっ気型スクリーン、流量調整槽と自動微細目スクリーン、脱窒性能を有する場

合は流量調整槽内の一部容量を脱窒部または脱窒槽から構成される。これらの槽に脱窒に必要

な栄養源を供給するためにメタノールを添加する場合がある。

501 人以上ではばっ気型スクリーンの替わりに荒目スクリーンと(ばっ気)沈砂槽で構成され

る。

○2次処理

2 次処理は活性汚泥による汚水の浄化を行う。窒素の除去が必要な場合はアンモニア性窒素

の硝化も行う。

槽内には膜分離装置が設置されており、膜を汚泥中に浸漬させ吸引し処理水を分離する。

リン除去が必要な場合は凝集剤を添加する。

余剰汚泥は汚泥貯留槽に移送され搬出されるまでの一時的に貯留される。

処理水は塩素剤にて消毒され放流される。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

26~52回/年

○清掃回数(設計容量による)

26~52回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ ばっ気槽(硝化槽)等への空気供給

撹拌用ブロワ 流量調整槽の撹拌

流量調整用ポンプ 脱窒槽又はばっ気槽(硝化槽)への移送

循環用ポンプ(※1) 脱窒槽から硝化槽への移送

処理水排出ポンプ 膜により活性汚泥から分離した処理水の吸引

余剰汚泥引抜きポンプ(※2) ばっ気槽(硝化槽)から汚泥貯留槽への汚泥移送

放流用ポンプ(※3) 処理水を槽外へ放流する

薬注ポンプ(※4) 凝集剤等の薬液の注入

自動荒目スクリーン(※5) 30~50mm以上の固形物の除去

自動微細目スクリーン 2mm以上の夾雑物の除去

電磁弁 流量調整槽と脱膣槽の撹拌制御

(※1)脱窒槽が無い場合は不要

(※2)エアリフトポンプの場合は不要

(※3)放流ポンプ槽はオプション

(※4)薬液の注入が必要ない場合は不要

(※5)ばっ気型スクリーンの場合は不要

- 94 -

①基本事項

区 分:性能評価型

処理方式:回分式活性汚泥方式

②処理フロー(例)

○凝集剤添加型回分式活性汚泥法

(※1)リン除去が必要な場合

○生物脱リン型回分式活性汚泥法

③構造(例)

○アムズ NRG型【凝集剤添加型回分式活性汚泥法】(窒素、リン除去型)

○ニッコー NPKB-Ⅱ型【生物脱リン型回分式活性汚泥法】(窒素、リン除去型)

流量調整槽

汚泥濃縮貯留槽

回分反応槽

消毒槽

微細目スクリーン

- 95 -

④機能説明

○1次処理

1次処理はばっ気型スクリーン、流量調整槽と自動微細目スクリーンで構成されている。

501 人以上ではばっ気型スクリーンの替わりに荒目スクリーンと(ばっ気)沈砂槽で構成され

る。

生物脱リン型はこれに加え嫌気槽を備える。微生物は嫌気条件から好気条件に環境が変化す

ると過剰にリンを取り込む。この過剰にリンを取り込んだ状態の汚泥を系外へ除去することに

よりリン除去を行う。

○2次処理

回分(反応)槽は BOD,窒素の除去と処理水を得るための沈殿を同一の槽で行う。処理工程は好

気撹拌で BOD の除去や硝化を行った後、嫌気撹拌により脱窒を行い再度好気撹拌を行い沈殿す

る。沈殿時の上澄水を処理水として排出する。

生物脱リン以外はリン除去が必要な場合、凝集剤の添加を行う。

余剰汚泥は汚泥濃縮貯留槽に移送され搬出されるまでの一時的に貯留される。501 人以上で

は汚泥濃縮槽と汚泥貯留槽に分かれる。

処理水は塩素剤にて消毒され放流される。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

26~52回/年

○清掃回数(設計容量による)

26~52回/年

⑥主な機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 回分(反応)槽への空気供給

撹拌用ブロワ 流量調整槽等の撹拌、エアリフトポンプへの空気供給

水中撹拌機(※1) 回分(反応)槽内の撹拌

流量調整用ポンプ 嫌気槽又は回分(反応)槽への移送

循環用ポンプ 回分(反応)槽から嫌気槽への移送

上澄水排出ポンプ 分離した上澄水の移送

余剰汚泥引抜きポンプ(※2) 回分(反応)槽から汚泥濃縮貯留槽への汚泥移送

放流用ポンプ(※3) 処理水を槽外へ放流する

薬注ポンプ(※4) 凝集剤等の薬液の注入

自動荒目スクリーン(※5) 30~50mm以上の固形物の除去

自動微細目スクリーン 2mm以上の夾雑物の除去

電磁弁・電動弁(※6) 水中撹拌機への空気供給制御

流量調整槽等の撹拌、エアリフトポンプの制御

(※1)水中撹拌機を使用しない場合は不要

(※2)エアリフトポンプの場合は不要

(※3)放流ポンプ槽はオプション

(※4)薬液の注入が必要ない場合は不要

(※5)ばっ気型スクリーンの場合は不要

(※6)水中撹拌機で好気撹拌を行わない、エアリフトポンプが必要ない場合は不要

- 96 -

①基本事項

区 分:性能評価型

処理方式:回遊式間欠ばっ気方式

②処理フロー(例)

○間欠ばっ気活性汚泥方式(窒素除去型)

○間欠ばっ気方式(凝集剤添加)に三次処理として担体付着濾過方式を組み合わせた方式(窒素、

リン除去型)

③構造(例)

○ハウステック HN2型【間欠ばっ気活性汚泥方式】(窒素除去型)

- 97 -

④機能説明

○1次処理

1次処理は流量調整槽と自動微細目スクリーンで構成されている。

501人以上ではばっ気型スクリーンの替わりに荒目スクリーンと(ばっ気)沈砂槽で構成される。

○2次処理

間欠ばっ気槽はブロワと水中撹拌機の組合せでばっ気と嫌気撹拌を交互に行い浄化を行う。

窒素、リン除去型の間欠ばっ気槽は BOD除去に加え DO制御によりばっ気と嫌気撹拌を行い窒素を除

去し、凝集剤の添加によりリン除去を行う。

また、沈殿槽後段にポリエチレン連通気泡体を充填したろ過槽を付加し安定した水質が得られるよ

うになっている。

沈殿汚泥は汚泥濃縮貯留槽に移送され搬出されるまでの一時的に貯留される。501人以上では汚泥濃

縮槽と汚泥貯留槽に分かれる。

処理水は塩素剤にて消毒され放流される。

⑤保守点検及び清掃

○保守点検回数

26回/年

○清掃回数(設計容量による)

26~52回/年

⑥機器等付帯設備

機器名称 機 能

ばっ気用ブロワ 間欠ばっ気槽への空気供給

撹拌用ブロワ 流量調整槽等の撹拌

洗浄用ブロワ(※1) 担体付着濾過槽の洗浄

水中撹拌機 間欠ばっ気槽内の撹拌

流量調整用ポンプ 間欠ばっ気槽への移送

消泡ポンプ 間欠ばっ気槽の消泡

薬注ポンプ(※1) 凝集剤等の薬液の注入

自動荒目スクリーン(※2) 30~50mm以上の固形物の除去

自動微細目スクリーン 2mm以上の夾雑物の除去

(※1)窒素、リン除去型のみ

(※2) ばっ気型スクリーンの場合は不要

- 98 -

4.51人槽以上の省エネ化対策について

浄化槽システムの省エネ化対策については、「平成 28年度次世代浄化槽システムに関する

調査検討業務報告書 (一般社団法人浄化槽システム協会)1)」において詳細に報告されてい

る。本項では、前記報告書の内容を引用し、51人槽以上の中・大規模浄化槽の省エネ化対応

の現状と検討事例について、「浄化槽のコンパクト化」、「付帯機器類の効率化、高性能化に

よる省エネ対策」、「機器類運転方法の改善による省エネ対策」の順で再度とりまとめる。

(1)浄化槽のコンパクト化

「浄化槽システムにおいて、省エネ化に向けた検討、開発はこれまで出荷基数の多くを

占める小規模浄化槽(5~50人槽)を中心に進められてきており、中・大規模浄化槽(51

人槽以上)の省エネ化については検討の余地が残されている。」2) とされている。しかし

ながら、担体流動方式をはじめとする性能評価型への移行は小規模浄化槽同様進んできて

おり、装置のコンパクト化による省エネ化への貢献が期待されている。

1)性能評価型浄化槽の開発

近年、小型浄化槽同様、中・大型浄化槽でも新設浄化槽のほとんどは性能評価型浄化槽

であり、従来の構造例示仕様型と比較して、装置のコンパクト化が進んできている。また、

中・大規模浄化槽では、生物処理槽のばっ気に用いるブロワ等が占める消費電力の割合が

大きく、生物処理槽のコンパクト化は、システムの省エネ化に寄与する。

生物反応槽については、構造例示仕様で主流であった接触ばっ気方式に替わり、現在は

担体流動方式が主流となっている。担体流動方式は、担体の比表面積が大きく、生物反応

槽単位容量あたりの生物量を接触ばっ気方式と比較して多く保持することができるため、

生物反応槽のコンパクト化が可能となる。

図4.1 接触ばっ気槽ろ材(例)3)

(※比表面積:45m2/m3)

図4.2 担体流動槽担体(例)3)

(※比表面積:325m2/m3)

- 99 -

2)付属機器類の効率化、高性能化による省エネ対策

51 人槽以上の中・大規模浄化槽には、生物処理に必要な酸素供給に欠かせないブロワの

他に、水中ポンプ、スクリーン、攪拌機、汚泥脱水機などの付属機器類が付帯設備として設

置されることが多く、ブロワも含めたこれらの付属機器類の省エネ化は、浄化槽システム

全体の省エネ化に直結する。以下、付属機器類の省エネ化対策についてまとめる。

①高効率モ-タ機器の導入

付帯機器類の中でも中・大型浄化槽で一般に使用される機器には、そのほとんどに三

相誘導電動気(以下三相モ-タ)が用いられている。

平成 21年度に実施した資源エネルギー庁の調査結果によれば、この三相モ-タは、産

業部門においてポンプ、送風機、圧縮機などの多様な用途で使用されており、普及台数は

約 1億台、消費電力量は、日本における産業部門の消費電力量の 75%、消費電力量全体

の約 55%を占め、相当量のエネルギーを消費する機器となっている。

一方で、我が国で適用されている三相モ-タの効率レベルは、ほとんどが、世界的な規

格である IEC(International Electrotechnical Commission:国際電気標準化会議)

規格で規定されている効率クラスのうち最も低い IE1(標準効率)であると言われていて、

もし仮にそれら全てが効率の良い IE3(プレミアム効率)に置き換えられたとすれば、極

めて大きな省エネ効果が期待できる 4) 。

このような背景から、モ-タの定格出力が 0.75kW から 375kW の三相モ-タについて

は、2013年 11月に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)で規定され

る「トップランナー制度」の対象機種に追加された。「トップランナー制度」とは、日本

国内に出荷される製品の省エネルギー基準を現在商品化されている最高のエネルギー消

費効率以上に定める方式のことで、三相モ-タに関しては 2015年 4 月 1日より適用開始

されている。

この規制により、現在新規に製造される 0.75kWから 375kWの三相モ-タは、プレミア

ム効率の IE3 クラスになっており、新設される浄化槽に設置されるブロワに関しては、

ほとんどが IE3モ-タ搭載のものとなっている。

図4.3 モータ効率値の比較例(IE1、IE2、IE3)5)

- 100 -

②高効率モ-タ機器の導入時の注意点

高効率、低損失で優れた省エネ性能を発揮するトップランナーモ-タではあるが、特

に既設モ-タのリプレース時には、以下の点に注意が必要である 5)。

ⅰ)モ-タサイズが現行機より大きくなる場合がある。

→取り合い寸法、据付時の周囲機器との干渉を確認する必要がある。

ⅱ)モ-タの定格回転速度が高くなる傾向がある。

→現行機器をそのままの負荷でリプレースする場合、速度増加に伴い動力が増

加し電力消費量が増加する傾向になる。

ⅲ)始動電流が大きくなる傾向にある。

→配線用遮断機、電磁開閉器などの適正化を検討する必要がある。

ⅳ)モ-タ発生トルクが大きくなる傾向にある。

→減速機と直結しているような場合、機械強度の適正化を検討する必要がある。

ⅴ)低始動電流仕様のモ-タ製作ができなくなる。

→スターデルタ始動、減電圧始動への変更を検討する必要がある。

③ブロワの高効率化-省エネ Vベルト(バンド-化学株式会社)

Vベルトは、主にブロワのモ-タとローター駆動部をつなぐ伝動装置として用いられ

るが、どの様な伝動装置にもエネルギー損失があり、ベルト伝動装置には「ベルト曲げ

応力による損失」、「軸受け抵抗による損失」、「ベルトがプーリーに食い込む際の損

失」、「ベルト弾性スリップによる損失」、「ベルト振動による損失」が生じている。

省エネVベルトは、構造上小さな力で曲げることができるので、エネルギー損失比率

の高い“曲げ応力による損失”を低く抑えた分、省エネ(節電)効果が得られることに

なるとしている6)。

図4.4 省エネレッドとスタンダード品の消費電力比較 7)

- 101 -

④水中ポンプの高効率化

・新型ノンクロスクリュ水中ポンプ(新明和工業(株))

一般に、ポンプの異物通過性能と揚水性能(ポンプ効率)は相反する関係になって

おり、異物の多い場所に使われるポンプの効率は比較的低い。

本商品は、流路を螺旋形状とした新開発の羽根車の採用により「高異物透過性能」

と「高効率」の両立を実現している。このため、既設製品よりも 1~2ランク小さな

出力のポンプに置き換えることが可能となり、消費電力量を大幅に低減することが

可能となっている。

また高効率を達成しながら、異物通過経についてもポンプ口径比 100%と改善され

ており、メンテナンス性の向上、異物による閉塞リスクの低減を果たしており、こ

れらの効果による「省エネ化」も期待できる 8)。

表4.1 既存製品との省エネ効果比較 9)

項 目 CVM 型

(渦流)

CNWX 型

(ノンクロスクリュ)

出力 (kW) 5.5 2.2

吐出し量 (m3/min) 0.289 0.294

運転時間 (h/月) 52 51

軸動力 (kW) 2.28 1.49

電気料金 (円/年) 177,060 85,032

CO2 排出量 (kg-CO2/年) 986 633

※<算定条件> 施設:マンホールポンプ場(2 台設置)、仕様点:0.283m3/min×12m、流入量:30m3/日、

CO2 換算:0.555kg-CO2/kWh、電気料金:電力会社約款を参考に計算

⑤高効率散気装置

中・大規模浄化槽において、酸素溶解効率の高い微細気泡散気装置を用いることで、

必要な送気風量が削減でき、ブロワのランクダウン、消費電力削減が図られる場合が

ある。以下、省エネ効果が見込まれる微細気泡散気装置に関する製品例を示す。

・ニューフレックス ((株)西原環境)

多数のスリットを有する EPDM製のゴムメンブレンを円筒形フレームに固定したチ

ューブ型散気装置で、直径 1mm 前後の微細気泡を発生させることにより高い酸素溶

解効率が得られる。送気時、送気停止時にゴムメンブレンのスリットの開閉を行う事

により、散気装置内への汚泥の逆流を防止することにより目詰まりを生じない仕組

みとなっている。

表4.2に従来型ばっ気撹拌装置との消費電力比較検討結果(試算結果)の例を記

す。設置条件等によるばらつきはあるものの、約 33~60%消費電力が削減できると

の試算結果が示されている 10)。

- 102 -

図4.5 実運転による導入効果 11)

表4.2 従来型ばっ気撹拌装置との消費電力比較検討結果の例

試算例 1 試算例 2

ばっ気

撹拌装置 ニューフレックス

ばっ気

撹拌装置 ニューフレックス

酸素溶解効率 13% 19% 8% 19%

必要空気量 2.86m3/min/槽 2.0m3/min/槽 3.37m3/min/槽 1.5m3/min/槽

設備

仕様

ばっ気撹拌装置 3.7kW×2 台

(12h 稼働) -

3.7kW×2 台

(12h 稼働) -

送風機 3.7kW×2 台

(24h 稼働)

3.7kW×2 台

(24h 稼働)

3.7kW×2 台

(24h 稼働)

2.2kW×2 台

(24h 稼働)

合計電力量

(稼働率=0.7)

68,065kWh/年 45,377kWh/年 68,065kWh/年 26,981kWh/年

(100%) (66.7%) (100%) (39.6%)

・パールコン・メンブレン・ディフューザ(ダイセンメンブレンシステムズ㈱) 11)

散気膜に開けられた多数の細孔から超微細気泡が液中に供給されるため、高い酸

素移動効率が得られる。また、柔軟性のある材質を使用しているため、圧力損失(通

気抵抗)の低い製品を実現している。

従来型の散気装置に代えて設置できるので、既設設備をそのまま利用することが

可能であり、超微細な気泡を発生させることで高い酸素移動効率と低圧損を実現し、

送風量を従来のものから 30%低減できる事が示されている。

⑥水中撹拌装置(ミキサ、エジェクター)

・高効率水中ミキサ SMEシリーズ (新明和工業㈱)

高効率モ-タと高効率プロペラの採用により、同社従来品比で消費電力最大 40%

の削減を実現したことが示されている。主な特徴として、以下の点が挙げられてい

る。12)

◇プロペラ形状の流体・強度解析による最適化

◇モ-タの巻線仕様見直し等による効率の大幅な向上

◇シンプルな構造によるメンテナンス性の向上

- 103 -

表4.3 消費電力および電気料金比較例 14)

・ばっ気式水中エジェクター UR型、BER型(㈱鶴見製作所)13)

水中ポンプとエジェクター機構の組み合わせにより、「槽内の撹拌とばっ気を同

時に行う」、「微細気泡がゆるやかに気液接触しながら浮上するため、高い酸素溶

解効率が得られる」、などの特徴をもつことが示されている。

⑦ブロワ

・陸上ブロワ(ルーツタイプ)ARS-Eシリーズ (新明和工業(株))14)

クーリングサイレンサ(特許第 4671763 号)やスパロータの採用などで構造を変

更し、「省エネルギー」「省メンテナンス」を実現している。なお、今回データ例はな

いが、中・大規模浄化槽に適用できる 1.5kwから製品ラインナップがされている。

・ターボブロワ Turbo MAX (新明和工業(株))15)

空気軸受(エアファイルベアリング)、PMSM(永久磁石同期モ-タ)およびインバ

ータコントローラーによる力率改善・高速回転のための最適なアルゴリズムでの運

転などの技術により、今までのブロワに比べて大幅な省エネになることを特徴とし

ている。

図4.6 高効率水中ミキサ 12) 図4.7 ばっ気水中エジェクター13)

- 104 -

【計算条件】 電気料金:¥17/kWh 運転条件:24h365 日運転 CO2 量換算:0.555kg-co2/kWh

3)機器類の運転方法改善による省エネ対策

前項2)で紹介したように、中・大規模浄化槽に付帯する機器類そのものが「省エネ

型」に改良されているため、これらの機器類を単独で使用するだけで省エネ化対策とな

るが、これらの機器類の制御方法を工夫することで、更に省エネ効果が発揮される。以

下、代表例として、「インバータ制御」と「タイマ制御」について記載する。

①インバータ制御

インバータとは半導体を使った電力変換装置の1つで、一般に供給する電力の周波数

を制御することにより、モ-タの回転速度を制御する機器のことを指す。

図4.9にブロワ風量をダンパ制御した場合とインバータ制御した場合の比較を示す。

ダンパ制御により風量を減少させる場合、ブロワモ-タの回転速度はほとんど変わらな

いことから、モ-タの所用動力の減少は少ないが、インバータ制御の場合は、ブロワモ-

タの回転速度を下げて風量を減少させるため、所用動力が大きく減少する。

図4.9 インバータ制御によるブロワの省エネ効果例 17)

図4.8 従来型ルーツブロワとのコストメリット比較例 16)

区分 単位 既設 変更後 注記

ブロワタイプ

ルーツ(75kW)×3 台 ターボ(75kW)×2 台

仕様空気量 m3/min 120(@40) 120(@60)

仕様圧力 kPa 60 60

消費動力(入力値) kW 187.8(@62.6) 149.0(@74.5)

合計消費動力 kW 187.8 149.0 -38.8kW

年間電気料金 千円 27,983 22,189 -20.7%

削減年間電気料金 千円 5,794

削減年間 CO2 量 t 189

- 105 -

インバータ制御の特徴は、モ-タの動力を必要な能力に対して最適に調整できるとこ

ろにある。中・大型浄化槽で使用される汎用ブロワのモ-タの容量は 1.5kW、2.2kW、3.7kW、

5.5kW と段階的にラインナップされているため、必要能力に対して過剰になる場合があ

る。このような場合ブロワ風量をインバータによって設定値に調整することで省エネ化

が可能となる。

また、図4.10に示されるように、インバータの効率はモ-タ容量が大きい方が良

いため、規模の大きい中・大型浄化槽でより効果の高い省エネ運転方法と言える 18)。

②タイマによる制御

タイマは、昨今の一般家電製品にもほとんどその機能が装備されており、我々の日常

生活にとって最も身近な省エネ機器であり、浄化槽においても、ポンプやブロワの動作

制御機器として、最も一般的に用いられている。

③ばっ気時間自動制御装置による制御((株)西原ネオ ATCシステム)

ばっ気時間自動制御装置(Aeration Time Controller、以下 ATCとする)は、間欠ば

っ気運転において、ばっ気ブロワの稼働時間を流入負荷量に応じて必要最小限となるよ

うに制御する装置である(制御例を図4.11に示す)。ATC 制御は、タイマ制御と比べ

て制御盤の改造(ATCの設置・ブロワ回路の変更)、DO計の設置、汚泥返送ブロワの独立

等、既設浄化槽の必要改造箇所が多いが、以下に示す効果がある。

ⅰ)流入パターンが一定でない施設でも間欠ばっ気が適用できる。

ⅱ)「過ばっ気」や「ばっ気不足」のない最適な嫌気・好気状態を作り、安定した処

理機能を確保することができる。

ⅲ)ばっ気時間は負荷量に応じて自動制御するため維持管理の省力化が図れる。

ⅳ)必要最小限のブロワ運転となるため、省エネ効果がタイマ制御より大きい。

ⅴ)必要最小限のブロワ運転となってばっ気停止時間が確保できる場合、嫌気状態と

なり、安定した BOD除去と脱窒が期待できる。

ⅵ)過去の DO、水温、ブロワ稼働時間の記録・確認が可能であり、処理状況と省エネ

効果をリンクして検証することができる。

ⅶ)告示型(長時間ばっ気方式)へ省エネ装置として導入することができる。

図4.10 モータ容量に対するインバータ効率

- 106 -

図4.11 1か月間のばっ気ブロワ稼働状況

※5月の連休は流入が無いため、最低ばっ気時間で制御。土日も流入量が少ないため、

平日と比べて 1日のばっ気時間が短くなっている。

4)今後の動向

①省エネシステム導入の促進および普及啓発について

省エネシステムの導入促進については、平成 27年度次世代浄化槽システムに関する調

査検討業務報告書において報告がなされており、以下の内容で取りまとめられている。

・設置者への省エネ化に向けた助言は「低炭素化への寄与」だけでなく「電気使用量(電

気料金)の削減」、「水質改善」にもつながることを説明し、取り組みへの意欲を喚起する

ことが必要となる。

・特に省エネ効果計算書は、主に電気消費量について省エネ運転導入前後でのコスト差

を提示することが一般的だが、導入にかかる費用に対し電気代の差の累積が何年で上回

るかを算出し、コストメリットを伝えなければならない。その際、実証試験にかかる費用

だけでなく、導入後の関連機器の取替頻度とコストも考慮することを忘れてはならない。

電気代の累計差額が導入コストを上回るまでに年数は長くても 5 年以内が望ましい。し

たがって、機器及び実証試験等までの導入コストを軽減するため、何らかの補助制度を

考慮するか、導入フローの簡略化の検討を行っていく必要がある。

・既設浄化槽への省エネ運転導入に関して、間欠ばっ気方式の採用により過剰な空気供

給を削減することが考えられるが、この方法は、空気量の削減が槽内の撹拌不足を引き

起こしたり、散気装置の目詰まりの原因になる場合があり、また、間欠時間を装置の処理

方式、現場状況(設計水量に対する実流入水量の割合)などから決定する必要があるため

調整の難易度が高いなど課題は多い。

・しかしながら、本システムの導入は、省エネ効果だけではなく、コスト面でも効果があ

ることを広く PRすることができる有効な方法であるため、課題の解決、導入方法を積極

的に検討していく必要がある。

・また、行政や業界団体は、既設浄化槽への省エネ機器や間欠ばっ気等処理システムの

導入にあたって、実際に浄化槽の診断、設置者への提案、実証試験を行う保守点検業者

が、積極的にこれらの施策を実施できるよう支援する体制を作ることが必要である。

・例えば省エネ計算書のフォーマットを作成、配布することはもとより、省エネ機器や

システムの導入を積極的に行う、もしくは専門コンサル事業を展開する保守点検業者の

情報をインターネット等で開示し、導入実績を上げた保守点検業者に対して専門事業者

- 107 -

●間欠ばっ気の活用

浄化槽システムからの温室効果ガスは、浄化槽の製造、設置工事、使用、保守点検・清掃等の維持管理、廃棄の各段階から排出されています。この内、ブロワは24時間稼働させていることから、その電力消費による温室効果ガスの排出量は最も多く、42.2%を占めています。ブロワは、好気処理には欠かせない機器

ですが、処理に必要な空気量を上回る能力のものが設置されている場合があります。また、浄化槽の大きさはJIS人員算定により選定されますが、1世帯当たりの人員の減少等で人槽より実使用人員が少なくなっている場合があります。このような施設では、流入がない時など

好気槽内が過ばっ気状態となり、状態が悪化する事例も見受けられます。対策として間欠ばっ気を取り入れることで、性能の安定化と省エネ化が図れる可能性があります。さらに、間欠ばっ気の導入により、ブロ

ワの電気料金が20%~30%安価にできる可能性があり、浄化槽設置者の負担が軽減されるとともに、低炭素化にも寄与することになります。ただし、関連機器の設置や状態を確認するため保守点検回数が一時的に増えますので、この部分の費用は発生します。また、使用状態や浄化槽の種類によって間欠ばっ気が適さない場合もありますので、保守点検業者(浄化槽管理士を含む)に間欠ばっ気の可否を診断してもらい、「省エネ効果計算書」で費用対効果を十分確認する必要があります。

●間欠ばっ気導入の留意点<小規模浄化槽>小規模浄化槽では、人員比0.4以下の低負荷で主に告示型浄化槽の施設への導入が考えら

れます。ブロワ停止時間は、流入のない深夜6時間が基本となります。なお、性能評価型浄化槽へ導入する場合は、浄化槽の構造・機能を設計図書類及び維持管理要領書等から間欠ばっ気運転を実施しても機能に影響がないことを確認し、間欠ばっ気導入後に十分な検証を行う必要があります。他の留意点として、散気装置の目詰まり防止、接触材の閉塞防止、DO管理によるブロワ停

止時間の設定、タイマ機器の設置等に注意する必要があります。

浄化槽管理者の皆様へ (案)省エネ化への取り組み<既設浄化槽への間欠ばっ気の導入>

(一社)浄化槽システム協会 平成25年度 浄化槽の低炭素化に向けた調査業務報告書

としての認定やランク付けを行ったり、業界団体等から表彰を行ったりする制度を構築

することも促進策のひとつと考えられる。さらには、浄化槽の水質を管理統括する各地

域の法定検査機関と連携した導入提案や設備導入後のフォローアップ体制の構築も必要

と考えられる。

なお、平成 27年度の同報告書では、既存浄化槽の省エネシステム導入のモデルとして

間欠ばっ気運転化に関する普及啓発用のパンフレット(案)が示されており、こういった

配布資料による PRも有効と考えられる。

図4.12 間欠ばっ気普及啓発用パンフレット(案:第1面)

- 108 -

<大規模浄化槽>大規模浄化槽についても、主に告示型浄化槽への導入が考えられます。また、導入に際

しては使用状態(建築用途、実流入濃度・水量、施設の使用状態、日間・週間の流入パ

ターン)の把握、浄化槽の構造・機能を十分に理解することが重要となります。特に散気

装置の目詰まり、好気濾材の閉塞及びDO管理等、タイマの設置やブロワ停止時間の設定に

は十分、注意する必要があります。なお、実施においては、清掃業者やメーカー等の協力

を得ることや法定検査機関や関連行政への報告も視野に入れておく必要があります。更に

設備変更を伴う場合は、浄化槽の認定事項を含め建築基準法の関連規定に抵触しないか確

認が必要となります。

実地に保守点検を行う立場をモデルとして、間欠ばっ気導入をどのように浄化槽管理者

へ提案していくか、手順(例)を紹介します。

図4.13 間欠ばっ気普及啓発用パンフレット(案:第2面)

『小規模浄化槽で間欠ばっ気運転を行う場合の診断・提案・実施の流れ(例)』

項 目 施設の状況(例)

事前調査(診断)

実使用人員 浄化槽の人槽に対し、0.4以下。

水道使用量 日平均使用量と浄化槽の処理計画汚水量の比が概ね1/2

以下。

放流水質

・透視度

・BOD

・アンモニア性窒素等

・pH

透視度なら 50以上、BODは 10mg/L以下、アンモニア性窒

素はほとんど検出されず、硝化が十分に進んでいる。また

は、低負荷による過ばっ気で pHが 5.8以下となっており、

水質改善の必要性がある。

汚泥厚 1年経過した段階で、清掃条件の 1/2以下の厚さ。

浄化槽設計資料、

維持管理要領書

浄化槽の構造・機能を設計図書類及び維持管理要領書等か

ら間欠ばっ気運転を実施しても機能に影響がないと予測

される。

停止時間の設定は、ばっ気停止後の生物処理槽内の DO の

経時変化を実測する等、実地に確認した上で策定する。基

本は、非流入時間帯(深夜)の 6時間とし、最大でも停止

時間合計で 10 時間以内が望ましい。逆洗時間帯でのばっ

気停止は必ず避ける。

結果報告・実施 試験終了後に結果をとりまとめ、提案書の内容と比較・分析し、

報告する。結果をもとに間欠ばっ気運転を実施する。

提 案 実証試験計画、省エネ効果計算書を添えて、省エネ運転の提案書を提出。

実証運転

実証運転期間は 3ヶ月から 1年の間とし、期間と点検回数は設置者(使用者)

と打合せて決定する。

試験期間中は毎月1回程度の頻度で放流水質の測定をすることが望ましい

が、最低でも試験開始前と試験終了時に1回ずつ行うものとする。

処理性能が低下した場合は直ちに試験を中止する。

『大規模浄化槽で間欠ばっ気運転等を行う場合の診断・提案・実施の流れ(例)』

項 目 施設の状況(例)

事前調査(診断)

流入負荷量

流入負荷量(流入水量×流入水濃度)が設計値の1/2以

下。

「参考」流入水量の測定方法

・流量計が設置されている場合はその値。各ポンプにアワーメータ

ーが付いている場合には稼働時間×ポンプ性能値から算出した揚

水量。また、最低1回は 24時間連続調査を行い、流入ピークの日

間変動パターンを把握する。

・上記の計測ができない場合は水道使用量から推測する。汚水とし

て流出しない場合もあるため、水道水の用途についても調査する

必要がある。

放流水質

・透視度

・BOD

・アンモニア性窒素

・pH

透視度なら 50以上、BODは 10mg/L以下、アンモニア性窒

素はほとんど検出されず、硝化が十分に進んでいる。また

は、低負荷による過ばっ気で pHが 5.8以下となっており、

水質改善の必要性がある。

汚泥発生量

沈殿分離槽、嫌気ろ床槽の場合は汚泥厚。汚泥濃縮貯留槽、

汚泥貯留槽の場合は実引き抜き頻度が設計値の 1/2 以

下。

浄化槽設計資料、

維持管理要領書

浄化槽の構造・機能を設計図書類及び維持管理要領書等か

ら間欠ばっ気運転を実施しても機能に影響がないと予測

される。

ばっ気時間は、流入負荷量から必要空気量を計算する。そ

れをもとにばっ気時間を設定して間欠運転を行う。逆洗時

間帯でのばっ気停止は必ず避ける。

長時間のばっ気停止は避け、たとえば 1 時間のうち 30 分

稼働、30 分停止というような運転とする。ばっ気停止後

の生物処理槽内溶存酸素低下の経時変化を実測する等、実

地に確認した上で設定することが望ましい。

提 案 実証試験計画、省エネ効果計算書を添えて、省エネ運転の提案書を提出。

実証運転

実証運転期間は 3ヶ月から 1年の間とし、期間と点検回数は設置者(使用者)

と打合せて決定する。

試験期間中は毎月1回程度の頻度で放流水質の測定をすることが望ましい

が、最低でも試験開始前と試験終了時に1回ずつ行うものとする。

処理性能が低下した場合は直ちに試験を中止する。

結果報告・実施 試験終了後に結果をとりまとめ、提案書の内容と比較・分析し、

報告する。結果をもとに間欠ばっ気運転を実施する。

- 109 -

〇○〇〇〇 様(浄化槽管理者)

    間欠ばっ気導入における省エネ効果計算書

(保守点検業者)

〇○〇〇年〇〇月〇○日

〇○〇〇株式会社

(例)

図4.14 省エネ効果計算書の例(表紙)

- 110 -

図4.15 省エネ効果計算書の例

〇○〇〇様 〇○〇〇年〇〇月〇〇日(浄化槽管理者) 〇○〇〇株式会社

(保守点検業者)

弊社において、〇〇〇〇様宅の浄化槽について間欠ばっ気導入の可否について分析させて頂きました。分析の結果、下記の間欠ばっ気導入により、省エネ効果が期待できるものと予想されます。ここに、間欠ばっ気のご導入をご提案申し上げます。なお、ご導入後、1年間、実証調査をさせて頂き、浄化槽の性能を確認させて頂きます。状況によっては、間欠ばっ気が、〇○様の浄化槽に適さない可能性もありますので、調査終了後に結果をごご報告させて頂きます。

[浄化槽の概要]浄化槽メーカー型式処理方式製造年月日ブロワ消費電力  (W)ブロワ台数 (台)

[間欠ばっ気機器]

24時間タイマータイマ設置費用その他付帯工事

[実証調査費用]

調査費用分析費用

[間欠ばっ気削減効果]

ブロワ停止時間 〇○ 時間 省エネ率

省エネ金額(月)

[投資回収期間]

(小計1+小計2)/省エネ金額 /12か月 = 年

[備考}現在の浄化槽の状況 (〇〇〇〇年〇〇月〇〇日) 好気槽内DO   好気槽内NH4-N  放流pH      放流透視度    その他 特記事項 

〇○%(例 6時間) 例(6/24=25%)

〇○円

小計1

小計2

回数 金額

    間欠ばっ気導入による省エネのご提案

ご提案日:

型式 数量 金額

- 111 -

5.省エネ以外における低炭素化

(1)自然エネルギー利用

太陽光発電や風力発電などに代表される自然エネルギー発電は、発電する際に二酸化炭素

を発生させない事から、これを電力源とするだけで低炭素化に貢献する事となる。本項では

太陽光発電や風力発電、更に近年研究されている小水力発電や微生物発電の概要と今後の浄

化槽への利用の可能性について調査検討を行った。

また、当協会で過年度に調査を行った浄化槽の高度処理化と浄化槽に使用する原材料の調

査から見た低炭素化について改めて整理を行った。

1)太陽光発電

太陽光発電は「太陽電池」により、太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変換する発

電方式である。太陽光発電システムの中心となっている太陽電池は、シリコンなどの半導体

で作られている。この半導体に光が当たると、日射強度に比例して発電する仕組みである。

一般家庭用として設置する場合は、太陽電池が発電した直流電力を交流電力に変換するパワ

ーコンディショナを経由して、更に分電盤を経た後に住宅内で使用する電気製品に電気を供

給する。

一般的な系統連系方式と言われる太陽光発電システムの場合、電力会社の配電線とつなが

っているため、発電電力が消費電力を上回った場合、電力会社へ逆に送電(逆潮流)し電気

を買い取ってもらうことができる。反対に、曇りや雨の日など発電した電力だけでは足りな

くなる時や夜間などは、従来通り電力会社の電気を使えるよな仕組みとなっている。

図5.1 住宅用太陽光発電システムイメージ図

- 112 -

太陽光発電の設置場所は日が当たる場所であれば、建築上の制限がない限りどこにでも設

置でき、日が当たれば良いので地域格差も少ない。また、システム自体に可動部が少ないた

め、故障が少なく保守管理も比較的容易なことから、近年、住宅 20件に 1件程度の割合で普

及が進んでいる。

また導入時の設置規模は、概ね下記により求める事ができる。

・発電容量(kW)の目安は設置面積(㎡)の 1/10

・設置面積(㎡)の目安は発電容量(kW)の 10 倍

2)風力発電

風力発電は風の力で風車を回転させ、その回転エネルギーを発電機に直接伝えることによ

り発電する仕組みである。一般的なシステムとしては風力発電機、風の強さにより風車の運

転状態を制御するための制御盤、及び発電された直流電力を交流電力に変換するパワーコン

ディショナで構成される。

太陽光発電と異なり、風さえあれば夜間でも発電できるが、風が止むと発電できなくなる

ため、需要に応じた発電量の調整が難しいといわれている。設置場所についても当然1年を

通じて安定的に風が吹いている環境が望ましいが、日本では適した場所が少ない。また、風

力発電機が発電を開始すると、風車の回転音やモータ音などの騒音が発生する事や、ブレー

ドの回転によるシャドーフリッカー(影のちらつき)も起こるため周辺地域からの苦情とな

らないように事前に設置条件をメーカーなどに十分確認しておく必要がある。

図5.2 住宅用風力発電システムイメージ図

- 113 -

日本における導入状況としては電気事業者を中心とした 20kW 以上の容量の大きなシステ

ムが主体であったが、近年では 20kW未満の容量の小さいシステムが商業目的や地域シンボル

などで導入されている。一般的な住宅向けの導入は、稼働時の周囲への音や振動という課題

もあり、普及はこれからというところである。

風車は風況によって発電量が異なるため、当然、風況の良い地域の方が高い発電量を得る

ことができる。発電量を算定する場合、設置予定場所の風況は気象庁アメダスデータ、NEDO・

環境省の風況マップ等からおおよその風速を推定し、風車メーカーの仕様と併せて検討する。

図5.3 NEDO局所風況マップ 19) 図5.4 環境省風況マップ 19)

3)小水力発電

水が高い所から低い所へ流れるエネルギーを利用して発電を行うのが水力発電である。水

力発電自体は以前より電気事業者等で導入されている発電方法であるが、出力 1,000kW以下

の比較的小規模の発電設備を、総称して「小水力発電」と呼んでいる。発電には水の流れる

落差を確保する事が必要なため以下のような方式が取られている。

水流が確保されていれば発電できるため、太陽光や風力に比べると安定的に発電できる。

しかしながら、生活に必要な水を使用するため水に関する利害関係の問題が有ることや、

河川法などに対する法的手続きが若干複雑であるため、それら課題を一つ一つ解決しながら

計画していく必要がある。

表5.1 小水力発電 発電構造例 20)

水路式 直接設置式 減圧設備代替式 現有施設利用

落差を確保するため

の水路・水圧管路を

川などをバイパスし

て設置する方法。

用水路の落差工や既

存の堰などに水車と

発電機を直接設置す

る方法。

水道の給水設備などで利

用されている減圧バルブ

による水圧を利用する方

法。

ため池やプールなど

の施設の水を利用す

る方法。

- 114 -

図5.5 小水力発電出力イメージ 20)

表5.2 小水力発電導入事例 20)

蓼科発電所(260kW) 元気くん2号(20kW) 金山沢川発電所(100kW)

産業育成を目的に昭和 30 年に長野

県茅野市に建設されたが老朽化のた

め休止。それを三峰川電力㈱が引き

継いで再建中。今年度に運転開始予

定。

山梨県都留市は家中川に3種

類の開放型水車の建設を進め

ており、これは上掛け型の「元

気くん 2 号」。発生電力は市役

所で使用される。

南アルプス市が平成 22 年に建

設。既存の砂防ダムに穴を開け

て取水し、ダムの高さの落差を

利用する。

4)微生物発電

電気生成微生物といわれる微生物は、酸素がない条件下で有機物を分解する際に、酸素の

替わりに電極を用いて呼吸をし電子を放出する特性をもっている。この性質を利用したもの

が微生物発電である。

その仕組は電気生成微生物から出てきた電子を負極で受けとり、外部回路を通じて正極に

電流を流す事で発電を行う。

また、活性汚泥法のようにばっ気で酸素を送る必要がなく、発電した電気エネルギーを回

収することで微生物の増殖及び余剰汚泥の発生量も抑えられることが期待できることから、

実用化できれば汚水処理と発電がばっ気電力無しで同時に可能となるため、現在、大学や企

業などの研究機関で実用化に向けた研究開発が進められている。

- 115 -

図5.6 微生物発電の原理

現状の汚水処理能力としては汚水滞留時間 9時間、有機物処理速度 1.3 kg-COD/(m3・ 日)

という効率を達成しており、従来の活性汚泥法と同等の能力を有しているとの報告もある。

また、発電効率は良好な条件が整えば、1リットル容器を使った電池で数Wほどの出力が期待

できるとされている。

現状は電極部分のイニシャルコストが割高になっているため、今後、素材の検討や更なる

発電効率化などの実用化に向けた研究が進められているところである。

5)浄化槽への自然エネルギー導入可能性

自然エネルギーの発電に要するコストは「コスト等検証委員会報告書 平成 23年 12月 19

日 エネルギー・環境会議 コスト等検証委員会」に表記されている数値を整理すると以下

の通りとなる。太陽光以外の数値は一般住宅規模での普及実績が少ないことから、参考とし

て規模の大きな施設におけるデータを表5.3に示した。

表5.3 各電源の発電費用 21)

太陽光

(住宅用)

風力

(陸上) 小水力 参考 LNG火力

2010年モデル

発電費用(円/kWh) 33.4~38.3 9.9~17.3 19.1~22.0 10.7

2030年モデル

発電費用(円/kWh) 9.9~20 8.8~17.3 19.1~22.0 10.9

※太陽光(住宅):出力規模 4kW、設備利用率 12%、耐用年数 20 年で試算

※風力(陸上) :出力規模 2万 kW、設備利用率 20%、耐用年数 20年で試算

※小水力 :設備利用率 60%、耐用年数 40 年で試算

※LNG火力 :出力規模 135万 kW、設備利用率 80%、耐用年数 40年で試算

- 116 -

上記数値を用いて仮に浄化槽の 5人槽、ブロワ消費電力 39W・24時間運転=0.936kWh/日)

として試算すると下表のようにまとめることが出来る。

表5.4 5人槽 1基稼働に要する各自然エネルギーによる発電コスト

太陽光

(住宅用)

風力

(陸上) 小水力 参考 LNG火力

2010年モデル

発電費用(円/kWh) 31~36 9~16 18~21 10.0

2030年モデル

発電費用(円/kWh) 9.3~33.7 8.2~16 18~21 10.2

表5.4から、2030 年モデルのように将来的に自然エネルギーは技術革新や量産効果など

によるコストダウンも期待されるが、2010年モデルの試算においては LNG火力発電と比べる

と自然エネルギーによる発電費用は割高となっている。しかしながら自然エネルギーは二酸

化炭素を発生しないエネルギーであるほか、余剰電力を売電できること、蓄電池と組み合わ

せることで災害時でも電力を供給できる等のメリットがある事から、震災に強いと言われて

いる浄化槽と組み合わせることで、災害に強い個別排水処理システムとして、国が推進する

国土強靭化への対応も可能となると考えられる。また、地域にかかわらず、震災等大規模災

害時に避難所と想定される公共施設に対して「被災者救援用生活排水処理システム」として

設置することも考えられる。この設置に関する建築基準法上の取扱については国土交通省よ

り建築指導課長名で通知(国住指第 4338 号/平成 29 年 3 月 23 日)が出ており参照された

い。

図5.7 被災者救援用生活排水処理システム

風力発電

- 117 -

(国土交通省建築指導課長通知 1/2)

- 118 -

(国土交通省建築指導課長通知 2/2)

- 119 -

(2)システム設置事例

災害時に電力ライフライン確保を目的に、浄化槽と風力発電の組み合わせで設置された㈱

ダイキアクシスの設置事例を紹介する。

㈱ダイキアクシスの連結子会社である㈱シルフィードは、阪和興業㈱の協力の下、新設集

合住宅(施主:松山鋼材㈱)向けに、災害時のライフラインを確保することを目的とした独

立電源の小形風力発電機(VAS-3.0)を設置した。

1)導入の目的

先の東日本大震災で甚大な被害を被った千葉県旭市エリアに本社を有する松山鋼材㈱が、

災害時のインフラの重要さを再認識したことから、新設する外国人研修生向け社員寮に独立

電源の導入を決定した。

㈱シルフィードは、災害時にライフラインを確保しエネルギーマネジメントを可能にした

独立電源を用いた最適なソリューションとして小型風力発電機(VAS-3.0)を提案・採用に至っ

た。

2)主な特徴

平常時はガス給湯器用電源、浄化槽ブロワ用電源、一般家電用コンセントとして使用し、

万一災害などで商用電源が使用不可能になった場合でも VAS-3.0 からの電力供給によりこれ

らの負荷を継続して使用し続けることが出来る。また、断水が発生した場合には電動地下水

汲み上げポンプを作動させて生活用水の確保が可能となる。

これらのライフラインを確保することで、災害時においても下記のような設備の利用が可

能となり、被災者の受けるストレス低減に大きく寄与することとなる。

①衛生面

・シャワーの利用

・水洗トイレの利用

・汚水処理の適正化

②食事面

・炊飯器等の一般家電の利用

③通信面

・携帯電話の充電

また、災害時は寮生だけでなく、近隣の被災者にも避難所として開放することが予定され

ている。

- 120 -

・社員寮に設置した小型風力発電機「VAS-3.0」

・浄化槽用ブロアー電源として利用

写真5.1 風力発電設置事例

・非常用電源コンセント

- 121 -

図5.8 非常電源用コンセント小形風力発電機システム構成イメージ(集合住宅向け)

3)「緊急時災害時の再生可能エネルギーを利用した独立電源システム」導入に当たっての留

意点

緊急時災害時に活用でき得る独立電源システムの構築には、以下の条件を把握することが

必要となる。

①緊急時、災害時に最低限動かさなければならない負荷の選定とその消費電力特性

の把握

千葉県旭市の例をとると、社員寮という性質、下水処理に浄化槽を使用している点、上

水に井戸水を使用している等を考慮し、トイレ及び建屋内共有箇所の電灯、浄化槽ブロワ

の電源、井戸水汲み上げ用ポンプの電源を最低限必須の電源として設定し配線を行ってい

る。消費電力については、災害時と非災害時とでは異なるため、上記の災害時に必須の電

源は災害時の避難者を含め、通常の使用量以上に消費されると考える。

②地域特有の自然エネルギーの把握

千葉県旭市は、太陽エネルギー及び風エネルギー共に他の日本の地域に比べ恵まれてい

るものの、季節及び日により太陽エネルギー、風エネルギーに偏重が見られる。夏は太陽

エネルギーによる発電が多く、冬は風エネルギーによる発電が多くなる。災害からの復旧

が長期化している昨今、自然エネルギーを把握し、システム全体の冗長化をどのように設

計するのかがポイントとなる。風力発電も、太陽光発電も制御盤そのものが電力を消費す

る点、負荷となる機器類の消費電力特性、人による電源の ON、OFFにより消費が変わる点、

災害時の負荷機器類の使用特性の把握により、蓄電池の容量、再生可能エネルギーの選定

が必要となる。

③非災害時において再生可能エネルギーを使用できる電力の把握

シルフィードが導入したシステムは、リレースイッチングにより商用電源とも接続して

おり、シルフィードのシステムに接続している負荷となる機器類は、通常の生活時でも系

統による停電以外は使用できるように設計されている。優先的に、蓄電池の電力を使用す

- 122 -

るものの、蓄電池の性能の劣化、連続して自然エネルギーが活用できない状況(夏の風が

ない中で雨や曇りが数日続き、風力発電も太陽光発電からも蓄電出来ない状況)が生じた

としても日常の生活で不便が生じないよう設計されている。従って、蓄電池から電力の供

給を受けている負荷となる機器類の消費電力は非災害時も再生可能エネルギーを使用して

賄っているため、システム導入のポイントとなる費用対効果の計算においても、蓄電池か

らの消費電力の把握が必要となる。

(3)浄化槽処理性能の高度化と浄化槽原材料による低炭素化への寄与

過年度調査において、近年の浄化槽開発における処理性能の高度化や浄化槽に使用する原

材料を再生可能なプラスチックに変更することが低炭素化に寄与していることが示された。

1)単独処理浄化槽の廃止

し尿及び生活雑排水の 1 人 1 日当たりの汚濁負荷の原単位は、表5.5が標準とされてい

る。また、し尿のみを処理するみなし浄化槽(以下、単独処理浄化槽)と、し尿と雑排水を併

せて処理する浄化槽(以下、合併処理浄化槽)の出荷基数の推移を図5.9に示す。

表5.5 し尿及び生活雑排水の汚濁負荷の原単位

水量

(L/人・日)

BOD 量

(g/人・日)

T-N量

(g/人・日)

T-P量

(g/人・日)

し尿 50 13 8 0.8

生活雑排水 150 27 2 0.2

し尿+雑排水 200 40 10 1.0

図5.9 浄化槽出荷統計((一社)浄化槽システム協会調べ)

- 123 -

単独処理浄化槽は、2000 年(平成 12 年)の浄化槽法の改正により、2001 年度以降、初め

て出荷数がゼロとなっている。

単独処理浄化槽及び合併処理浄化槽設置による、浄化槽排水からの BOD 排出量は、図5.

10に示すように、浄化槽出荷基数の減少を考慮しても、合併処理浄化槽の設置推進に伴い、

著しく減少している。合併処理浄化槽の設置推進による、1 人 1 日当たりの BOD 汚濁負荷量

の軽減量は、

31.5g/(人・日)-4g/(人・日)=27.5g/(人・日)

となり、5人槽 1基当たりでは 137.5g/(基・日)で、年間約 50kg/(基・年)が削減された計算

となる。年間出荷 10万基ベースでは、約 5,000トンの BODが削減される結果となる。

したがって、当協会の「平成 26年度浄化槽の低炭素化及び海外展開に関する調査委託業務

報告書」で用いた環境負荷単位 1.26kg-CO2/kg-BODから、処理水中に含まれる BODの放流先

での分解に伴って排出される温室効果ガス削減量を試算すると、

50kg-BOD/(基・年)×1.26kg-CO2/kg-BOD=63kg-CO2/(基・年)

となる。

注)1.単独浄化槽(放流水 BOD90㎎/L以下)設置の場合は、未処理雑排水も加算されるとした。

BOD排出量:13g-BOD/(人・日)×(1-0.65)+27g-BOD/(人・日)≒31.5g-BOD/(人・日)

2.合併処理浄化槽(放流水 BOD20㎎/L以下)の設置時の BOD排出量:

40g-BOD/(人・日)×(1-0.9)=4g-BOD/(人・日)

3.5~7人槽の出荷比率を 92.5%として、6人で計算、10人槽以上は含まれていない。

2)窒素除去型浄化槽の普及

2014 年度(平成 26 年度)における浄化槽の出荷基数のうち、窒素除去型浄化槽が 98.8%

(調査メーカーシェア 99.8%)を占めており、現状、処理水 BOD、総窒素共に 20㎎/L以下の

製品、いわゆる高度処理型浄化槽が標準品となっている(図5.11)。

前項1)と同様の手法で年度ごとの窒素排出量を算出し、その推移を図5.12に示す。

ここで、単独処理浄化槽の設置では未処理雑排水の窒素負荷量を加算した。また、単独処理

浄化槽と BOD除去型合併処理浄化槽では、計算上、窒素除去率を 0%と仮定した。

図5.10 BOD排出量の推移(出荷ベース)

- 124 -

図5.11 合併処理浄化槽の出荷統計

図5.12 窒素排出量の推移(出荷ベース)

生活排水の窒素原単位は 10g/(人・日)と想定され、窒素除去型浄化槽(放流水 T-N:20mg/L

以下)では、その 60%以上を除去するので、1人あたりの窒素削減量は、

10g/(人・日)×0.6=6g/(人・日)となる。

5人槽 1基あたりでは 30g/(基・日)となり、年間では約 11kg/(基・年)の窒素が削減され

る。窒素除去型浄化槽の年間出荷ベースを 10万基とすれば、年間約 1,100 トンの窒素が削減

されている結果となる。

したがって、当協会の「平成 26年度浄化槽の低炭素化及び海外展開に関する調査委託業務

報告書」で用いた環境負荷単位 2.45kg-CO2/kg-Nから、処理水中に含まれる窒素の放流先で

の分解に伴って排出される温室効果ガス削減量を計算すると、

11kg-N/(基・年)×2.45(kg-CO2/kg-N)=27kg-CO2/(基・年)

となる。

- 125 -

標準処理ケース

(構造例示型浄化槽+全ての生活系ごみ焼却)

生活系ごみ

生ごみ:

含水率 80.9 %250 g 人-1 日-1

生ごみを除く

生活系ごみ:

含水率 21.9 % 493 g 人-1 日-1

【廃棄物処理工程】

輸送 焼却 焼却灰輸送 埋立

構造例示型

浄化槽

汚泥処理場

生活排水

200 L 人-1 日-1

汚泥

公共用水域

台所排水30 L 人-1 日-1

台所排水を除く

生活排水

170 L 人-1 日-1

処理水

排水処理

汚泥処理・焼却・埋立

【排水処理工程】

320 L 人-1 年-1

BOD 20 mg L-1

標準処理ケース

(構造例示型浄化槽+全ての生活系ごみ焼却)

生活系ごみ

生ごみ:

含水率 80.9 %250 g 人-1 日-1

生ごみを除く

生活系ごみ:

含水率 21.9 % 493 g 人-1 日-1

【廃棄物処理工程】

輸送 焼却 焼却灰輸送 埋立

構造例示型

浄化槽

汚泥処理場

生活排水

200 L 人-1 日-1

汚泥

公共用水域

台所排水30 L 人-1 日-1

台所排水を除く

生活排水

170 L 人-1 日-1

処理水

排水処理

汚泥処理・焼却・埋立

【排水処理工程】

320 L 人-1 年-1

BOD 20 mg L-1

ディスポーザ対応浄化槽導入ケース

(ディスポーザ対応浄化槽+生ごみを除く生活系ごみ焼却)

ディスポーザ

対応浄化槽生活排水

205 L 人-1 日-1

汚泥

台所排水30 L 人-1 日-1

台所排水を除く

生活排水

170 L 人-1 日-1

ディスポーザ

生活系ごみ

5 L 人-1 日-1

250 g 人-1 日-1

493 g 人-1 日-1

【廃棄物処理工程】

輸送 焼却 焼却灰輸送 埋立

排水処理

【排水処理工程】

汚泥処理場

汚泥処理・焼却・埋立

生ごみ:

含水率 80.9 %

生ごみを除く

生活系ごみ:

含水率 21.9 %

公共用水域

処理水

400 L 人-1 年-1

BOD 15 mg L-1

T-N 20 mg L-1

ディスポーザ対応浄化槽導入ケース

(ディスポーザ対応浄化槽+生ごみを除く生活系ごみ焼却)

ディスポーザ

対応浄化槽生活排水

205 L 人-1 日-1

汚泥

台所排水30 L 人-1 日-1

台所排水を除く

生活排水

170 L 人-1 日-1

ディスポーザ

生活系ごみ

5 L 人-1 日-1

250 g 人-1 日-1

493 g 人-1 日-1

【廃棄物処理工程】

輸送 焼却 焼却灰輸送 埋立

排水処理

【排水処理工程】

汚泥処理場

汚泥処理・焼却・埋立

生ごみ:

含水率 80.9 %

生ごみを除く

生活系ごみ:

含水率 21.9 %

公共用水域

処理水

400 L 人-1 年-1

BOD 15 mg L-1

T-N 20 mg L-1

3)ディスポーザ対応浄化槽

ディスポーザは、台所の排水口に設置され、生ごみを流水とともに破砕し、排水処理に供

することを可能とする設備である。このディスポーザにより破砕された生ゴミと生活排水を

合わせて処理する浄化槽がディスポーザ対応浄化槽である。

このディスポーザ対応浄化槽を導入することで、排水処理工程と生ごみの廃棄を含めた廃

棄物処理工程までをトータルで評価すると CO2 排出量の削減が可能であることが山崎らの研

究報告 22)(以下「本報告」)において示唆されている。その概要について以下に示す。

①試算モデルの設定

「標準処理ケース」と「ディスポーザ対応浄化槽導入ケース」における LCA 試算モデルを図

5.13のとおり定義し、これらの各工程における CO2排出量を明らかにし、比較評価し、

試算対象とした排水処理と廃棄物処理における各工程は表5.6に示すとおりである。排

水処理工程における構造例示型浄化槽とディスポーザ対応浄化槽は、どちらも製品化がな

されている浄化槽とし、両浄化槽とも浄化槽の最小規模である 5人槽を対象とした。

図5.13 本報告で設定した LCCO2試算モデル 22)

- 126 -

ごみ輸送車製作、ごみ焼却場建設、ごみ焼却灰輸送車製作、

ごみ焼却灰埋立場建設

製造/施工

段階廃棄物処理工程

ごみ輸送、ごみ焼却に伴う助燃料、ごみ焼却に伴うN2O

ごみ焼却灰輸送、ごみ焼却灰埋立運用段階

浄化槽電力(ブロワ)、排水処理に伴うCH4/N2O、ディスポーザ電力、

汚泥輸送、汚泥中間処理、汚泥焼却に伴う助燃料、汚泥焼却に伴うCH4/N2O、

汚泥焼却灰輸送、汚泥焼却灰埋立

運用段階

浄化槽製造、浄化槽輸送、浄化槽施工、ディスポーザ製造/輸送/施工

バキュームカー製作、汚泥処分場建設、焼却灰埋立場建設

製造/施工

段階

排水処理工程

ごみ輸送車製作、ごみ焼却場建設、ごみ焼却灰輸送車製作、

ごみ焼却灰埋立場建設

製造/施工

段階廃棄物処理工程

ごみ輸送、ごみ焼却に伴う助燃料、ごみ焼却に伴うN2O

ごみ焼却灰輸送、ごみ焼却灰埋立運用段階

浄化槽電力(ブロワ)、排水処理に伴うCH4/N2O、ディスポーザ電力、

汚泥輸送、汚泥中間処理、汚泥焼却に伴う助燃料、汚泥焼却に伴うCH4/N2O、

汚泥焼却灰輸送、汚泥焼却灰埋立

運用段階

浄化槽製造、浄化槽輸送、浄化槽施工、ディスポーザ製造/輸送/施工

バキュームカー製作、汚泥処分場建設、焼却灰埋立場建設

製造/施工

段階

排水処理工程

②評価結果

(ア)排水処理工程における LCCO2評価

排水処理工程において、比較評価対象とした構造例示型浄化槽とディスポーザ対応浄

化槽の製造/施工段階から運用段階までの LCCO2試算結果は図5.14に示すとおり、ほ

ぼ全ての工程において、ディスポーザ対応浄化槽の CO2 排出量がディスポーザ導入によ

る負荷増加により、構造例示型浄化槽の CO2排出量を上回り、排水処理工程合計を比較す

ると、4.4 % CO2排出量が増加する結果となった。

ディスポーザ対応浄化槽は生活排水にプラスして生ごみ排水も処理するため、必要と

する容量や空気量が大きくなること、また排水処理の高度化に伴う発生汚泥量の増加や

CH4・NO2の発生量増加も影響していると考えられる。

(イ)排水処理工程と廃棄物処理工程における LCCO2評価

比較評価対象とした「標準処理ケース」と「ディスポーザ対応浄化槽導入ケース」におけ

る排水処理工程と廃棄物処理工程における各工程別の LCCO2 評価の結果は、それぞれ図

5.15および図5.16に示すとおりである。

「標準処理ケース」では、全工程から排出される CO2排出量(626.3 kg-CO2 戸-1 年-1)に対

して、排水処理工程は 62 %(387.2 kg-CO2 戸-1 年-1)、廃棄物処理工程は 38 %(239.1

kg-CO2 戸-1 年-1)となった一方、「ディスポーザ対応浄化槽導入ケース」では、全工程か

ら排出される CO2排出量(583.3 kg-CO2 戸-1 年-1)に対して、排水処理工程は 69 %(404.3

表5.6 本報告で試算対象とした工程 22)

図5.14 排水処理工程における LCCO2試算結果

排水

処理

工程

から

排出

され

るC

O2

kg-C

O2

戸-1

年-1

浄化

槽製

浄化

槽施

電力

使用

水使

薬剤

使用

汚泥

輸送

/処

製造

/施

工段

階小

運用

段階

小計

排水

処理

プロ

セス

全工

程合

浄化

槽輸

排水

処理

に伴

うC

H4/N

2O

汚泥

処理

に伴

うC

H4/N

2O

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450【製造/施工】 【運用】

34.540.3

352.7364.0

387.2

構造例示型浄化槽

ディスポーザ対応浄化槽

404.3

排水

処理

工程

から

排出

され

るC

O2

kg-C

O2

戸-1

年-1

浄化

槽製

浄化

槽施

電力

使用

水使

薬剤

使用

汚泥

輸送

/処

製造

/施

工段

階小

運用

段階

小計

排水

処理

プロ

セス

全工

程合

浄化

槽輸

排水

処理

に伴

うC

H4/N

2O

汚泥

処理

に伴

うC

H4/N

2O

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450【製造/施工】 【運用】

34.540.3

352.7364.0

387.2

構造例示型浄化槽

ディスポーザ対応浄化槽

404.3

- 127 -

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2

kg-C

O2

戸-1

年-1

0

100

200

300

-100

400

500

239.1

626.3【排水処理】 【廃棄物処理】

387.2

600

700

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2

kg-C

O2

戸-1

年-1

0

100

200

300

-100

400

500

239.1

626.3【排水処理】 【廃棄物処理】

387.2

600

700

404.3

179.0

583.3

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

【排水処理】 【廃棄物処理】

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2

kg-C

O2

戸-1

年-1

0

100

200

300

-100

400

500

600

700

404.3

179.0

583.3

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

【排水処理】 【廃棄物処理】

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2

kg-C

O2

戸-1

年-1

0

100

200

300

-100

400

500

600

700

kg-CO2 戸-1 年-1)、廃棄物処理工程は 31 %(179.0 kg-CO2 戸

-1 年-1)となった。このこと

から、ディスポーザ対応浄化槽の導入により、CO2排出割合が廃棄物処理工程から排水処

理工程へ移行することが明らかとなった。

図5.17では、「標準処理ケース」を基準に、「ディスポーザ対応浄化槽導入ケース」の

各工程別 CO2排出量の差分を示した。この結果から、「ディスポーザ対応浄化槽導入ケー

ス」における排水処理工程では、生ごみを排水処理するに供することにより、CO2 排出量

が 17.1 kg-CO2 戸-1 年-1増加し、一方、ごみ輸送、ごみ焼却、埋立に代表される廃棄物処

理工程から生ごみを処理することにより発生していた分の CO2排出量が 60.1 kg-CO2 戸-1

年-1減少した。この CO2排出量の増減から、ディスポーザ対応浄化槽の導入により、生ご

みを排水処理工程で処理する分の CO2排出量は増加するが、この増加量は、廃棄物処理工

程における減少量の 28 %に留まる結果となった。そのため、これらの差分から、「ディス

ポーザ対応浄化槽導入ケース」では、「標準処理ケース」に対して、CO2排出量が 6.8 %削減

(-43.0 kg-CO2 戸-1 年-1)される結果となった。これらの結果は、ディスポーザ対応浄

化槽の導入により、生ごみを発生原位置で処理し、かつ、生ごみを処理した結果生ずる汚

泥を浄化槽で 1 年間貯留できることから、全工程の LCCO2が小さくなったと考えられた。

図5.15 標準処理ケースの工程別 LCCO2

図5.16 ディスポーザ対応浄化槽導入ケースの工程別 LCCO2

電気・水道・薬剤・燃料製造/施工 段階

CH4/N2O

輸送燃料(軽油)

小計/合計汚泥処理

電気・水道・薬剤・燃料製造/施工 段階

CH4/N2O

輸送燃料(軽油)

小計/合計汚泥処理

- 128 -

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

-60

30

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2の増

減値

kg-C

O2

戸-1

年-1

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

17.1

- 60.1

- 43.0

【排水処理】 【廃棄物処理】

-70

-50

-40

-30

-20

-10

0

10

20

-60

30

各工

程か

ら排

出さ

れる

CO

2の増

減値

kg-C

O2

戸-1

年-1

ディ

スポ

ーザ

排水

処理

汚泥

処理

ごみ

輸送

ごみ

焼却

焼却

灰輸

埋立

全工

程合

排水

処理

小計

廃棄

物処

理小

17.1

- 60.1

- 43.0

【排水処理】 【廃棄物処理】

-70

図5.17 ディスポーザ対応浄化槽導入時の工程別 LCCO2増減値

4)浄化槽における再生可能プラスチックの使用

(一社)強化プラスチック協会では、平成 26年度の FRP出荷量は、国内向け総量で 245,326

トン、うち浄化槽用途で 27,868 トン(13.1%)が出荷されたと発表(表5.7)している。

FRPは、不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維、炭酸カルシウム等から成形され、浄化

槽の躯体及び仕切板等の部品に多く使用されているが、熱可塑性プラスチックでないため、

原料としての再生が不可能で、廃棄段階ではほとんどが産業廃棄物となり、埋め立てられる

か、焼却されているのが現状である。

表5.7 FRP用途別出荷量

出典)(一社)強化プラスチック協会 Webサイト

2012年に環境負荷軽減の目的から、熱可塑性で再生可能なプラスチックの一種である、ポ

リプロピレン(PP)樹脂で成形した浄化槽(図5.18)が登場した。このことにより、再生

可能なプラスチックの使用が、浄化槽のエコマーク基準の一項目(表5.8)に加えられた。

- 129 -

表5.9 再生プラスチック使用時の CO2排出量の例

図5.18 ポリプロピレン製浄化槽部品

項目 単位 FRP製  PP製 削減分 FRP製 PP製 削減分

ブロワ(年) kg-CO2 /年 189.6 136.1 53.5 189.6 170.2 19.4

清掃(年) Kg-CO2 /年 133.6 100.6 33.0 183.0 137.0 46.0

製造段階 Kg-CO2 449.9 168.4 281.5 541.7 206.6 335.1

輸送段階 Kg-CO2 36.1 29.2 6.9 72.3 39.4 32.9

施工段階 Kg-CO2 61.7 53.3 8.4 75.9 64.5 11.4

廃棄段階 Kg-CO2 236.5 3.3 233.2 247.2 3.9 243.3

5人槽 7人槽

注)「プレ コンシューマ材料」は工場などで出る端材を再生した原料、「ポストコンシュ

ーマ材料」は何らかの形で一度使用したものを回収し、再生した原料である。

表5.8 「浄化槽 Version 1.0」エコマーク認定基準書(抜粋)

参考に、㈱ダイキアクシスの FRP製浄化槽と PP製浄化槽(後継機種)の CO2排出量を比較、

試算した例を表5.9に示す。

- 130 -

図5.19 廃棄部品 図5.20 再生可能部品

表5.9から、再生可能なプラスチックを本体に用いた浄化槽は、廃棄段階における CO2排

出量を試算した結果、5 人槽で 233.2(㎏-CO2)、7 人槽で 243.3(㎏-CO2)と削減効果が大き

いことが確認された。

なお、浄化槽のエコマーク認定基準ではエコマークの主旨から、浄化槽本体及び主要構成

部品は、鉛・水銀・カドミウム等の有害物質を殆ど含有してはならない(表5.10)とされ

ており、浄化槽は PP製に限らず、安全性の高い製品であることを付記する。

表5.10 「浄化槽 Version 1.0」エコマーク認定基準書(抜粋)

- 131 -

6.おわりに

今回、今年度の「省エネ型大型浄化槽システム導入推進事業」が適切かつ積極的に実施で

きるよう、参考資料として、51人槽以上の浄化槽の省エネ化および低炭素化についてまとめ

た。省エネ化については、高効率機器への更新に関する内容や、インバータ制御、間欠ばっ

気などの事例や、その効果と留意点についてまとめた。

持続可能な汚水処理システム構築に向けた都道府県構想策定マニュアルにおいて、浄化槽

躯体の耐用年数は 30~50年の実績値とされているが、浄化槽に付帯するブロワやポンプなど

の機器類の耐用年数は実績値 7~15 年で個別に異なるが、老朽化の進んだ機器類は、能力低

下や振動、異音、漏電など不具合が生じていることが考えられる。タイミング良く、今年度

に機器類の更新計画がある設備は、是非、今回の補助事業に申請することを提案していただ

きたい。また、更新計画のない設備についても省エネ化の検討を進める良い機会であるとい

える。

間欠ばっ気については、浄化槽のシステムとして組み込まれている製品の事例を紹介した。

そして、既設浄化槽に新たに間欠ばっ気を組み込む場合には、事前調査(診断)により浄化

槽の構造・機能・運転状況(使用状況)を把握した上で、間欠ばっ気による省エネ運転が可能

で効果があると判断された後に実施する必要があると考える。参考として、間欠ばっ気導入

における省エネ効果計算書、診断書(例)を示した。

また、省エネ以外の低炭素化に繋がる内容として、太陽光発電、風力発電、水力発電など

の自然エネルギーを浄化槽に導入する効果についての検討事例や、災害時や電力のない地点

での適切な汚水処理が可能となる実施事例を示した。

温室効果ガス排出削減は、国策として積極的に進められており、パリ協定の長期的な目標

に向け、今後もさらに低炭素化を進める必要がある。浄化槽においては、さらに低炭素化を

進めるシステムの研究開発が求められるところであるが、既設浄化槽の使用段階の温室効果

ガス排出削減のため、浄化槽システムの更新需要を視野に入れた研究開発や検討についても

進めるべきと考える。

(参考文献)

1)(一社)浄化槽システム協会、平成 27 年度次世代浄化槽システムに関する調査検討業務報告書

2)万尾ら、省エネに配慮した排水処理施設の運転管理技術に関する研究(第3報)、富山県環境

科学センター年報 第 41号、88-106(2013)

3)株式会社宮田工業所ホームページより

http://www.mcl-miyata.co.jp/product/products05.html

4)三相誘導電送機の現状について、経済産業省 総合資源エネルギー調査会省エネルギー基準部

会三相誘導電動機判断基準小委員会(第1回)資料 4

5)トップランナーモ-タ JEMA (一社)日本電子工業会

6)バンドー伝動ベルト総合設計マニュアル《摩擦伝導(摩擦ベルト)編》

http://www.bandogrp.com/catalog/pdf/all_masatsu.pdf

7)バンドー省エネ Vベルト 省エネレッドホームページ

http://www.mitoyo-net.co.jp/ecored.htm#省エネレッ ド

- 132 -

8)2010年度 下水道新技術研究所年報[要約板]

「螺旋状吸い込み流路を有するノンクロッグ型羽根車水中ポンプ 高効率・高通過性水中ポン

プ」(新明和工業株式会社)

9)新明和工業株式会社ホームページ http://www.shinmaywa.co.jp/pump/cnwx/index.htm

10)安中祐子、超微細気泡散気装置による省エネルギー化検討事例 月刊浄化槽 No.469(2015)

11)パールコン 散気装置カタログ ダイセンメンブレンシステムズ㈱

12)高効率水中ミキサ SMEシリーズカタログ (新明和工業㈱)

13)㈱鶴見製作所ホームページ(BER型 商品情報)

http://www.tsurumipump.co.jp/products/industrial/Water_Treatment_Equipment/

Aeration_and_Mixing/BER.php

14)陸上ブロワ(ルーツタイプ) ARS-Eシリーズ カタログ(新明和工業㈱)

15)空気軸受式可変速単段 ターボブロワカタログ(新明和工業(株))

16)新明和工業ホームページ 新商品紹介ホームページ

http://www.shinmaywa.co.jp/pump/turbomax/merit.htm

17)INVERTER 2016~2017 伸びゆくインバータ JEMA (一社)日本電子工業会

18)ヘイシンモーノポンプホームページ

http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/b3c.html

19)国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構風況マップ

http://www.nedo.go.jp/library/shiryou_database.html

20)環境省小水力発電情報サイトホームページ

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/shg/page01.html

21)環境省「コスト等検証委員会報告書 平成 23 年 12 月 19日 エネルギー・環境会議/コスト等検証

委員会資料」http://www.env.go.jp/council/06earth/y060-100/mat02_3.pdf

22)「ディスポーザ対応浄化槽の活用による温暖化対策の可能性」/(財)茨城県薬剤師会公衆衛生検

査センター 山崎宏史/(独)国立環境研究所 蛯江美孝

『浄化槽(51人槽以上)の低炭素化について』

執筆・編集委員

足 立 清 和 アムズ(株) 家 田 勇 人 大栄産業(株)

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