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先導的 IT スペシャリスト教育および
組込みクラウドモデルベース開発
福田晃九州大学
大学院システム情報科学研究院エンベデッドフォーラム2009年3月30日
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先導的 IT スペシャリスト教育
背景
日本の国際競争力の危機
ソフトウェア産業は輸入超過,オフショアによる技術流出
日本の大学と社会との人材ギャップ ソフトウェア工学、組織的活動の教育の不足
数的需要を満たしていない
産学の交流の不足
諸外国は実践IT人材育成を強化
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国 従業者 売上 輸出 情報系学科 卒業者(人/年)
日本 70万人 17兆円 90億円 150以上 2万人
中国 45万人 7兆円 5300億円 390以上 40~80万人
インド 130万人 3兆円 2.5兆円 340以上 20~50万人
(2005~2006年)
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従来と将来のICT人材の育成過程
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2007/106/honbun.htmlより
経団連の「産学官連携による高度情報通信人材の育成強化に向けて」に基づき重点協力拠点に採択 (2006年)
• 2拠点(九大、筑波大)
文科省の「先導的ITスペシャリスト育成推進プログラム」に採択 (2006年から4年間)
• 6拠点(九大、筑波大、東大、慶応大、名大、阪大)2007年に2拠点追加(奈良先端大、情報セキュリティ大)
このコースをプロトタイプにして全国展開
• 2008年に「拠点間教材洗練化事業」に参加
本コースの経緯:産学官連携による新しいICT教育
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本コースの特色
1. 社会にイノベーションを起こすリーダの育成• 産学界のリーダーによるオムニバス形式講義• 学生の自主性を促す仕組み• 人間力育成を指向したカリキュラム
2. 産学連携• 協力企業からの常勤講師3名/非常勤講師年間延べ約30名• PBL/長期インターンシップ/オムニバス形式講義• 合同合宿/運営委員会/九大支援チームによる支援• 奨学金
3. 実践教育• PBL• 長期インターンシップ• 演習を強化した講義• 最新技術の導入(Cloud Computing、アジャイル開発手法、等)
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プログラムの実施体制:連携の枠組み
九州工業大学大学院情報工学研究科(20名)
連携
海外機関(CMU/SEIなど)
企業
日本経団連
官公庁(福岡県、福岡市、北九州市)
NPO 高度IT人材アカデミー
熊本大学宮崎大学福岡大学
協力
九大・九工大の「得意分野」を統合して運営、連携大学院連携の具体的内容: カリキュラムのオープン化 単位互換 混成チームによる合同PBL PBLコンテストの共同開催
熊本大学、宮崎大学、 福岡大学(2008年新規):「九州一体化」の基礎
講師の相互派遣/一部科目の履修/FD
九州大学大学院システム情報科学府(20名)
産学一体化教育•教育の連続性•スパイラル的改善
全国展開(産学共同フォーラムなど)
フィードバック
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産学の緊密な運営体制
産学共同フォーラム
カリキュラム
教務及び
FD委員会
カリキュラムの提供/フィードバック
スタッフ派遣:企業派遣教員,メンター
メンター制度
インターン就職
PBLコンテスト国内/海外大学
運営委員会
産学連携合宿
企業派遣教員はPBL指導等のために
オフィス常駐
学生自主組織(学生の会)
PDCAサイクル
プロジェクト推進オ
フィス
アドバイザリ委員会
大学(連携大学) 産業界
企業群
地域密着企業群
• 産学で議論しながらお互いにフィードバックするPDCAサイクル
• 産から学への企業派遣教員をはじめとするスタッフ派遣
• 連携大学や国内外の他大学との連携体制特徴
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カリキュラム概要
1年前期 1年後期
PBL基礎知識、Java、SQLDB、UMLドキュメント化
PBL入門編
・先端ICT特論・先端情報システム築特論
インターンシップ
夏 春 2年前期 2年後期夏
PBL実践編
PBL応用編
修士論文研究
・ソフトウェア工学特論
・情報社会史特論
・先端情報社会学特論・将来情報インフラ設計特論・高度ICTリーダ特論・大規模システム特論
・組込みシステム特論Ⅱ・情報ネットワークと通信特論など
・情報セキュリティ特論 など
基礎力 実践力企画力
応用力 専門性の練磨
コンテスト形式の発表会報告会
試問&発表会
ミニプロジェクト
・組込みシステム特論Ⅰ・組込みシステム演習
PM特論
実際の現場に近いシステム開発演習
• 実際と同様のシステム開発プロジェクトを体験することによって、システム開発能力を育成する
最新の方法論と設備
• ノートPCなどの情報機器多数
• Java、UML、アジャイル、EVM
• 参考書2000冊以上
3回のスパイラルで定着
• 1年前期 プロセスの基礎
• 1年後期 プロセスの実施
• 2年前期 プロセスの改善
PBL(Project Based Learning)
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PBLを通した学習の狙い
•自律的・自発的な活動力•勉強の習慣
•コミュニケーション力•相手との意思疎通•提案・交渉・指導
•問題解決力•プロジェクト運営,実施
•プロジェクトの実施方法•システム開発力
プロセスとは
実施する作業内容や,手順,工程,規約などを決めたもの
プロセスの基礎(1年前期)
プロセスの実施(1年後期)
プロセスの改善(2年前期)
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新しいインターンシップへの取り組み 目的: 就業体験を通じて社会の現場を経験し、自らの能力を客観的に評価する
特徴: ・長期(1-2ヶ月)にわたる各種実務テーマ・学生の主体的行動(機密保持契約締結、期間、内容の交渉)を奨励(開始前)・筑波大、九工大との学生交流会(経団連主催、インターンシップ中)・大学教員による企業訪問(インターンシップ中)・学生発表会(インターンシップ終了後)
結果: 学生全員が参加。 様々な実務経験をし、多くの気付きがあった。・自分自身のスキルの強みと弱み、PBLプロジェクト演習の重要性(実務で役に立つ)
・業務の進め方(報告・連絡・相談の重要性、スケジュール管理、機密情報管理)・働くことの厳しさと面白さの実感、他大学学生との交流・自分の将来の進路(新しい分野の発見、残された学生生活でなすべきこと)
改善プロセス: 企業訪問、学生発表会、企業アンケートにより要望や問題点を把握し、継続的にプロセス改善を図る
・インターンシップの内容の詳細を事前に知りたい(学生)・学生のスキルの詳細が事前に分からない(企業)・知財・著作権の覚書締結に多大な労力がかかる(大学、企業)
ポータルサイトのよる事前マッチング、事前面接の実施と標準的な覚書の作成(2008年度から)
参加協力企業: 経団連傘下企業約28社、104テーマ
各界から講師を招き、様々なトピックについて講義・演習を実施
• 先端ICT特論:ICTの最新動向や技術(最後にパネルディスカッション)
• 先端情報システム特論:ICT業界の魅力(キャリアモデル/プロジェクトX型)
• 大規模システム構築特論:大規模システム開発の実際
• 先端情報社会学特論:知財・セキュリティ・オープンソース・オープンイノベーション
• 高度ICTリーダー特論:垂直型/水平型リーダーシップ(集中講義)
連携大学への遠隔配信と単位互換
講義終了後の懇親会13
オムニバス形式講義
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プログラム専用スペース:演習室(507室)
全景2000冊を超える図書の一部
• PBL演習の現場等、本コース学生が24
時間利用可能(電子錠付)
• 学生が自由にレイアウト変更可能な、机・椅子
• 2000冊を超える図書
• 最新の機器(ホワイトボード、プロジェクタ、etc.)
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成果(1/2): 学生の成長 自律性発現
学外との自発的コンタクト・・・講演会の自主開催等• 外村仁氏(米国在住、コンサルタント)と、IT関連の著書多数執筆されているIT ジャーナリストの林信行氏の2名を招聘して、議論.
• 1年後期PBLで、山本修一郎氏(NTTデータ 所長、フェロー第1号)を招聘して、議論.
• 日本IBMの浦本氏: 「IT基盤環境におけるセキュリティ最前線」~Web2.0とトラスティッド・コンピューティング~
PBLの振り返りプロジェクトを自主的に企画• 問題点や改善点などを話し合い、それらの情報を共有
学生自らの企画による企業・他大学訪問• 新日鉄ソリューションズ(2008年11月)
• 筑波大学(2008年9月)
学生合宿(学生主催):2008年10月4日~5日• 目指すべき人材像やコースのありかた等を熱く議論• 学生組織の発足
ビジネス英会話自主ゼミ:2008年10月17日~12月まで
Sun MicrosystemsのCampus Ambassador応募・就任
海外(ヨーロッパ)インターンシップ自主応募
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成果(2/2): PBLの成果、教員教育、対外発表など
PBLの成果• 経団連におけるPBL合同発表会で九大グループチームが優勝(2008年3月)
教員の教育:• 産学合同合宿による企業側講師・大学側教員に対するFD(Faculty Development)
対外発表• 論文誌: 2件
• 産学官連携ジャーナル/経済Trend: 各1件
• 国際ワークショップ、シンポジウム、研究会など: 24件
• PBL関連教材: 2件
報道(新聞、雑誌、WEB等): 11件
国際交流 Egypt-Japan University of Science and Technologyより本コース訪問(2008年12月)
独Hasso Plattner Institute(HPI)より本コース訪問(2007年12月)
韓国嶺南大学より本コース訪問(2007年7月)
仏リヨン大学より本コース訪問(2007年7月)
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改善点: これまでの活動からのフィードバック
オムニバス形式講義の改善• 学生タスクフォースを設置
チームを組んで、講義の改善
講師の経歴事前調査、講義ノートの作成、講師へのフィードバック
• 学生に考えさせる時間と議論の場を充実
• 非常勤当たり(2コマ)の講義形式: 1コマ: 講義、1コマ: 課題を与えて議論
組込みシステム系科目の充実• 2007年度: 組込みシステム特論、PBL
• 2008年度: 組込みシステム特論Ⅰ、組込みシステム特論Ⅱ、組込みシステム演習、PBL
エンタープライズ系科目の充実• 「先端情報システム特論」の追加(目的:大規模システムの魅力を学生に伝える)
PBL• 時間のコントロール
• 深堀させるフェーズの導入
• チームの大規模化(1チーム人数増)
• 1チームに対して、複数教員を割り当て(教員FDが主目的)
インターンシップの事前マッチングの充実• 2008年度: ポータルサイトを立ち上げて複数回(2007度:1回)
大学間連携の展開• 福岡大学の新規参画→ 2008年度: 九州工業大学、熊本大学、宮崎大学、福岡大学
改組:新「社会情報システム工学コース」(2009年度~)
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社会情報システム工学コース(20名程度)
九州大学大学院システム情報科学府
情報知能工学専攻
知的情報システム工学コース
(25名程度)
改組に伴い、正規の修士課程教育コースの位置づけ
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今後の課題
プログラム実施状況の評価• カリキュラム、シラバスの評価
• 学生の評価
プログラム継続可能な実施体制の確立• 企業派遣教員から大学へのPBLノウハウ移転
• 企業側常勤・非常勤講師の確保
• 予算の確保
カリキュラム/教材の全国展開• PBL教材
• 教科書の出版
• 文科省の教材洗練
• 他拠点との連携
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組込みクラウドモデルベース開発
組込みクラウドコンピューティング
Windows Azure
将来的に組込み機器は,クラウド環境との接続サービスを要求されるであろう.その際,機器側は複雑な事象と状態を制御しながら,クラウドへの接続を行うことになり,生産性・品質が課題となろう.
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組込みクラウドコンピューティング モデルベース開発
ナビ中 メール中 電話中
ボタンA ルート検索 Exchangeサービス 留守録
タッチペン Visual Earthサービス 画像処理 ブラウザ
着信 渋滞情報 メーラ Office Live Meeting
サービス
Windows Azure
Windows Embedded CE
モデル駆動開発(Oslo) → エンタープライズ寄りイベント駆動型+状態モデルである組込みアーキテクチャに
クラウド接続サービスを組入れた組込みクラウドモデルベース開発が必要
例えば,状態遷移表を用いて組込み機器の事象と状態をモデリングし,アクションにクラウドサービスを記述することで,その要求を実現するコードを自働生成するといった研究テーマが考えられる.
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組込みクラウドモデリング検証
現在のクラウドの問題である
「障害時の復旧」をきちんと整備
形式手法による高信頼性モデル設計・検査技法とツール
Windows Azure
ナビ中 メール中 電話中
ボタンA ルート検索 Exchangeサービス 留守録
タッチペン Visual Earthサービス 画像処理 ブラウザ
着信 渋滞情報 メーラ Office Live Meeting
サービス
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組込み機器T-Engine行先表示板の画面
九州大学大学院システム情報科学研究院
福岡県産業・科学技術振興財団 福岡知的クラスター研究所
3人が6時間の状態遷移表レビュー後,状態遷移表検査ツールを用いて,10秒でバグ14件を発見
状態遷移表モデルの並行性検査事例
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ご静聴ありがとうございました.