ASEANのタイクーン · ASEAN のタイクーン～彼らとのWin-Winの設計法～ 2016. 年8月25日

ASEANのタイクーン～彼らとのWin-Winの設計法～

2016年8月25日

2 © 2016 KPMG FAS Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.

Document Classification: KPMG Confidential

Introduction

アジアのイメージ？



Introduction

アジアのイメージ？



Introduction

自己紹介氏名木村昌吾 Shogo Kimura

現役職株式会社 KPMG FAS ディレクター

学歴慶應義塾大学卒 University Of California, Haas School of Business MBA

職務経験 1990年4月三菱銀行（現・三菱東京UFJ銀行）に入行

ニューヨーク支店、シンガポール支店における11年の海外勤務を含め、16年間在籍。

2006年10月モルガンスタンレー証券入社ｽﾍﾟｼｬﾙｼﾁｭｴｰｼｮﾝｸﾞﾙｰﾌﾟｳﾞｧｲｽﾌﾟﾚｼﾞﾃﾞﾝﾄ 2008年2月新生銀行入社ｺｰﾎﾟﾚｰﾄｱﾄﾞﾊﾞｲｻﾞﾘｰ部次長

2011年2月野村證券入社 IBﾋﾞｼﾞﾈｽ開発部ｴｸﾞｾﾞｸﾃｨﾌﾞﾃﾞｨﾚｸﾀｰ 2014年2月野村證券シンガポールｱｼﾞｱｳｴﾙｽﾏﾈｼﾞﾒﾝﾄ部ｴｸﾞｾﾞｸﾃｨﾌﾞﾃﾞｨﾚｸﾀｰ 2015年9月より現職

これまでに手掛けた主要なM&A案件は、東京スター銀行の中国信託への売却、ブリヂストンのインドネシアゴム農園買収、東海カーボンのタイカーボンプロダクツ買収、北野建設の豪リゾートホテル売却、成城石井の丸の内キャピタルへの売却、昭和オートリースに売却、東和銀行の金融機能強化法に基づく優先株発行、関東つくば銀行と茨城銀行の経営統合、武富士の会社更生法に基づくスポンサー選定等。

著書等 ASEAN企業地図

（翔泳社：2015年12月）

｢選択肢｣を持って「人生を経営」する

（Wedge出版：2014年12月）

The Big Deal 激白！投資銀行

（月刊誌Wedgeのオンラインにコラム連載）



アセアン企業地図

世界初のアセアン財閥マップ



Introduction

タイクーンとは何か？

ASEAN市場外観： 6億人市場の魅力と留意点

Win-Winの設計について

本日のトピック

ASEANのタイクーン：彼らとのWin-Winの構築法




【出所】ASEAN企業地図


キーワード１：大富豪である（2015年フォーブスランキングTop3）

氏名個人資産額（億円）

R.Budi & Michael Hartono 20,204

Susilo Wonowidjojo 9,796

Anthoni Salim 7,225


Li Ka-shing 41,021

Lee Shau Kee 30,613

Cheng Yu-tung 18,368


Robert Kuok 13,837

Ananda Krishnan 11,878

Quek Leng Chan 6,857


Dhanin Chearavanont 17,633

Charoen Sirivadhanabhakdi 15,919

Chirathivat family 15,061

インドネシア

香港マレーシア

タイ



華僑タイクーンの多くは中国福建省や広東省出身の華僑で、本人もしくはその父・祖父が中国本土から移住。移住の時期は１８８０年ころから１９３０年にかけて

概して裕福ではない生活環境に育った者が多い。中には小学校すら行くことができなかった者も華僑はマイノリティながら、同郷者で形成されるコミュニティーで固い結束を誇る。家族と友人を大切にする

天賦の商才

決して裕福ではない生活環境の中で、彼らは生きるために若い頃から働かざるを得なかったが、天賦の商才を発揮して、祖業で資産を形成したものが多い

また株式や不動産に再投資して莫大な財産を形成

人脈タイクーンがビジネスの礎を築いたのは、人脈の恩恵によるものが多い。第二次世界大戦中から戦後20年にか

けての政情不安定期に、彼らは時の政権の中枢と積極的に関わりを持ちビジネスに活用したインドネシア最大のコングロマリットであるサリムグループをつくり上げたスドノ・サリムの成功の原点は、後に30年の政権を担ったスハルト大統領の知遇を得たこと

マレーシアの賭博王リム・ゴートンのカジノライセンスの独占的運営権は、カジノで生まれた潤沢なキャッシュを、マレーシア政府が国を成長させたい分野に再投資することで担保されてきた


キーワード２：天賦の商才、そして人脈



タイクーンとは何か？巨大なコングロマリットを形成、川上から川下までサプライチェーンの支配

キーワード３：幅広い事業領域（タイ・CPグループ）




キーワード３：幅広い事業領域（マレーシア・ベルジャヤグループ）




キーワード３：幅広い事業領域（フィリピン・アヤラグループ）




キーワード３：幅広い事業領域（インドネシア・サリムグループ）




キーワード３：幅広い事業領域（インドネシア・サリムグループ２）




キーワード３：幅広い事業領域（香港・長江グループ）

アセアン市場外観 6億人市場の魅力と留意点



人口6億1,000万人、域内貿易額2.1兆ドルの巨大市場インドネシア、フィリピン、ベトナムではさらな

る人口増加が

アセアン経済共同体： ASEAN Economic Community（AEC) 2015年13月31日発足アセアン経済共同体発足（AEC）により、

ヒト、モノ、サービス、カネの自由な流通が期待

アセアン市場外観：6億人市場の魅力

アセアンは日本にとって身近なフロンティア

124 117 107 97

272 295 312 322

108 124 137 148 98

105 110 113 69 68

66 62 56 60

63 64 32

36 39 41

2020 2030 2040 2050

アセアンの人口成長予測

日本インドネシアフィリピンベトナムタイミャンマーマレーシア

出所：高齢化白書2015（内閣府）、 WorldmetersウェブページよりKPMGが作成




変化著しい最近のアジア（イメージ）




【ご参考】決して安くない日本食



アセアンの構成要素（各国の事情）は決して均一ではない EUのような共通ガバナンス機能や強制執行能力が存在しないし、ましてユーロのような共通通貨もない各国のインフラの整備状況には歴然とした差があり、整備に向けた政府の能力や姿勢にもバラツキ外資の投資に対して国毎に規制の濃淡あり

人口と所得のトレードオフ宗教による生活やビジネスの習慣の違い（人口の約半数がイスラム教徒）

豚肉・アルコールはNG 利子を取ることは教義に反する

アセアン市場外観：参入の留意点

アセアン市場参入の留意点

国名人口（百万人） GDP/人

インドネシア 249 $3,510

フィリピン 100 $2,790

ベトナム 90 $1,902

タイ 67 $5,674

ミャンマー 51 $869

小計 557

（ご参考）日本 126 $38,644

国名人口（百万人） GDP/人

マレーシア 30 $10,548

カンボジア 15 $1,016

ラオス 7 $1,697

シンガポール 5 $54,776

ブルネイ 0.4 $44,586

小計 57

（ご参考）中国 1,368 $6,959

【出所】ASEAN企業地図




「富裕層」というミスリーディングなキーワード



中間層にアクセスを持っている人は誰か？


成長しているのは「富裕層」ではなく「中間層」

28.3

64.5

47.9

65.4

50.5

44.4

68.2

41.6

49.3

23.2

16.5

6.6

[値]

2.5

2 0 2 0

2 0 1 2

百万人

インドネシア家計支出額（百万ルピア/月）の変化予想 1.0未満(Poor) 1.0-1.5(Aspirant) 1.5-2.0(Emerging Middle) 2.0-3.0(Middle)

3.0-5.0(Upper Middle) 5.0-7.5(Affluent) 7.5超(Super Affluent)

出所：ボストンコンサルティンググループの資料を元にKPMGが作成




ファミリービジネスであり、次世代への事業承継に関心常に何か新しいビジネスシードを求めるアントレプレナー

日本好き

日本製品のアイディア、クオリティ、安心安全、サービス等は高く評価

基本満ち足りており、ビジネスの選別はシビア・徹底したリター

ン・ドリブン What can you do for me today? How much can I make money by this?

フェアで判断早い

Win-Winの設計ができるかどうかが鍵


タイクーンの特徴



事前準備自らの付加価値（差別化）の定義訴求すべき市場の定義参入する市場におけるパートナー候補の理解

Win-Winの設計パートナーの何を活用するかの定義パートナー候補の経営課題の理解と分析

• 事業拡大意欲・サプライチェーンの強化意欲・事業承継意欲パートナーにとってのメリットの設計と提案

• 事業モデルとリターンの計測 • 役割分担と提携方法の議論

事後評価パフォーマンスの評価と利益配分


Win-Winの設計とは



• JVのパフォーマンス測定のルールを設け、それに従いJV契約の内容の変更にも踏み込みたい

• JVにおけるリスク管理が不十分で、パート

ナー側に起因する不祥事に発展しないか心配だ

• JV設立時に目的・ビジョンの共有が不十分であったため、時間の経過とともにJV運営にギャップが生じてきた

• JV運営会社が、その運営を巡って日本本社とパートナーの板挟みになる


【ご参考】海外展開における「悩み」の例

• パートナーが力不足で期待通りの役割を果たしてくれない

• パートナーが強力過ぎてコントロールできない

• JV設立後のPMIが不十分で、KPIの設定が曖昧であったり業務に非効率性が残る

• 技術移転や知的財産の扱いに関わる議論が不十分かつ契約書にも規定がないため、重大な利益相反が生じてしまった

• そもそもJVにおける役割・責任が不公平である



縮小する日本新しいフロンティアが必要：変化著しいアジアは身近なフロンティア

アセアン市場の多様性と留意点

所得と人口のトレードオフ、イスラムの特性、成長している中間層

タイクーン幅広い事業領域と中間層へのアクセス事業承継が常に懸案新規事業の開拓にアンテナを張るアントレプレナー、日本への評価が高いリターンドリブンの冷徹なビジネスマン、ただし判断は早い

Win-Winの設計

自らの付加価値の定義パートナーの経営課題の理解と分析パートナーにとってのメリットの設計と提案

まとめ


ここに記載されている情報はあくまで一般的なものであり、特定の個人や組織が置かれている状況に対応するものではありません。私たちは、的確な情報をタイムリーに提供するよう努めておりますが、情報を受け取られた時点及びそれ以降においての正確さは保証の限りではありません。何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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株式会社 KPMG FAS ディレクター木村昌吾 T: 03-3548-5561 E: [email protected]

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