排泄ケアにおける感染対策排泄ケアは感染リスクが高い知っていましたか？ •便には多くの菌が存在しているので、ケア実施者が菌の橋渡し役となる可能性がある。

排泄ケアにおける感染対策

花王プロフェッショナル・サービス株式会社

大成会長汐病院様長汐病院様限定資料

排泄ケアは感染リスクが高い知っていましたか？

• 便には多くの菌が存在しているので、ケア実施者が菌の橋渡し役となる可能性がある。

• 排泄ケアでは、尿や便に触れる可能性があるため、感染対策が必要である＊1。

【排泄ケアにおいて、注意が必要な病原微生物】

• 腸管出血性大腸菌

• クロストリディオイデス・ディフィシル

• メチシリン耐性黄色ブドウ球菌（Methicillin-resistant Staphylococcus aureus; MRSA）

• バンコマイシン耐性腸球菌（Vancomycin Resistant Enterococci；VRE）

• ＥＳＢＬｓ基質（特異性）拡張型β-ラクタマ－ゼ産生菌

• ノロウイルス

• ロタウイルス

参考文献：＊1大西尚子他；もっと介護力！シリーズなぜ？がわかる高齢者ケアの感染対策〇と× その「あたりまえ」が危ない！＊２厚生労働省；高齢者介護施設における感染対策マニュアル平成25年3月

長汐病院様限定資料

感染者（保菌者）

患者・利用者

患者・利用者

患者・利用者ケアスタッフ

施設内環境

病原微生物（細菌・ウイルス）の伝播ルート

①

② ④

医療・ケア物品

③

患者・利用者

参考文献；松本哲哉,花王ハイジンソルーション№１３より抜粋


排泄物に含まれる病原微生物の伝播

糞便中に排出

ベッド柵

床頭台

キーボード / マウス

PHS

• 環境の汚染

• 手指衛生の未実施

• 適切な個人防護具を着用していない

• 不適切な個人防護具の外し方による汚染

→

• 排泄ケアに使用する物品の汚染


汗を除くすべての

血液、体液、分泌物、排泄物、創のある皮膚、粘膜

には伝播しうる感染性微生物が含まれているかもしれない

標準予防策～Standard Precautions～

感染症の有無に関わらずすべての患者に対して行う予防策

医療施設での感染予防対策

CDC: Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007.


周囲環境の汚染の広がりを防ぐ

ケア実施者の手指から汚染防止

ケア実施者が排泄物で汚染されるのを防ぐ

排泄ケアで使用する物品の処理

排泄ケア時の感染対策のポイント

日常の排泄ケア時の標準予防策と感染症発症時の接触予防策の追加が重要


1. 手指衛生 2. 個人防護具（ＰＰＥ）

手袋、ガウン、マスク、ゴーグル、フェイスシールド 3. 患者配置 4. 患者ケア器材・器具・機器の取り扱い 5. 環境の維持管理 6. リネンの取り扱い 7. 労働者の安全（鋭利器材の取扱） 8. 呼吸器衛生/咳エチケット 9. 安全な注射手技 10.特別な腰椎穿刺手技のための感染制御策

標準予防策

CDC隔離予防策のためのガイドライン：医療現場における感染性微生物の伝播の予防,2007年


１．流水と石鹸を使って手洗いが必要血液、体液が付着した場合目に見える汚れや蛋白物質で汚染されている場合ノロウイルスのアウトブレイク時感染の疑いがある患者もしくは感染患者にケアを提供した後あるいは接触した後※ ノロウイルスにはアルコールが効きにくい！２．擦式アルコール製剤の使用手指が目に見えて汚れていない場合衛生学的手洗いが必要な場合

手洗いと手指消毒の区別

手指衛生剤の使い分け

※ 医療現場におけるノロウイルス胃腸炎のアウトブレイク予防と制御のためのCDCガイドライン2011


洗浄剤と流水による手洗い長汐病院様限定資料

• 最初に水で手をぬらす

• 少なくても１５秒位こする

• 流水で十分にすすぐ

• ペーパータオルを使って両手を完全に乾かす

• 使用したペーパータオルで蛇口を閉める

＊濡れた手からさまざまな表面に移動する微生物数は、完全に乾いた手から移動するよりも１０４以上多い

2002CDC医療現場における手指衛生のためのガイドライン

手洗いのポイント長汐病院様限定資料

擦式アルコール製剤の正しい使用方法長汐病院様限定資料

• 乾いた手に使用する

• 手指全体をぬらし、15秒以内に乾かない十分な量のアルコール擦式消毒剤をとる

• 手指表面をくまなく、両手で手が乾くまで擦り込む

2002CDC医療現場における手指衛生のためのガイドライン

擦式アルコール製剤使用のポイント長汐病院様限定資料

WHO 手指衛生ガイドライン 2009

患者・利用者に触れる前

清潔な操作の前

血液・尿・便・傷のある皮膚に触れた可能性がある場合

患者・利用者に触れた後

患者・利用者周辺の物品に触れた後

WHOが示す手指衛生５つの瞬間

手袋の着用を手指衛生のかわりにしていませんか？

１）ピンホールの存在２）不適切な手袋の外し方による手の汚染３）手袋着用中にかいた汗の影響による常在菌の増加

手袋を外した手は非常に不潔です。

手袋を外した後は、必ず手指衛生を行ってから次の処置にうつるようにしてください。

満田年宏訳 . 医療現場における手指衛生のためのCDCガイドライン

手袋を外した後の手は清潔か？長汐病院様限定資料









血液、他の感染性物質、粘膜、創のある皮膚、汚染している可能性のある皮膚へ接触すると考えられるとき

血液、体液、分泌物、排泄物の飛沫を発生させる可能性のある処置や利用者ケアをしているとき

衣服 / 露出皮膚が血液、体液、分泌液、排泄物と接触すると考えられるとき

個人防護具の選択

CDC: Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007


ケア前に汚染させないよう、手袋は最後に着用する。

着る１．ガウン/エプロン

２．マスク

３．ゴーグル / フェイスシールド

４．手袋

脱ぐ１．

２．

３．

４．

手袋

ゴーグル / フェイスシールド

マスク

ガウン/エプロン汚れている順に脱いでいく。汚染した部分には触れないよう、汚染部分を内側に

個人防護具の着脱順序



職業感染制御研究会より一部抜粋

排泄ケア時における個人防護具の着用例

処置の場面手袋マスクガウンエプロンゴーグル

清潔ケア

陰部洗浄 ○ △ ○ △

排泄ケア

排泄介助 ○ ○

オムツ交換 ○ △※ ○ △※

下痢患者のオムツ交換 ○ ○ ○ △※

使用後の尿便器の処理 ○ ○ ○ ○

○：必ず使用する △：状況により感染リスクが高くなる際に使用する

※：陰部洗浄を追加する場合


①手首近くの縁の外側をつまむ

②手袋が裏表反対になるように、手から脱がしてゆく

手袋した反対の手で持つ

③残っている手袋の手首の下に手袋をしていない手の指を滑り込ませる

両方の手袋のバッグを作るようにして、内側から脱がす

④廃棄する

手袋の外し方

CDC: Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007 20


●ヒモをほどく

●首と肩から脱ぎ下ろす

●汚染した外側を内側へと

くるくる巻いてゆく

●たたみ、まるめて一束にする

●廃棄する

エプロン・ガウンの外し方

CDC: Guideline for Isolation Precautions: Preventing Transmission of Infectious Agents in Healthcare Settings 2007 21

脱ぐタイミングとしては患者の部屋を離れる前に脱ぐ


●マスクは、鼻、口、顎を覆う。可変式の鼻部分を鼻梁（びりょう）にフィットさせる

マスク装着

厚生労働省,インフルエンザ一問一答

マスクの装着


22


//s01iz03dfs1/root_017/142_Ｃ＆Ｓシステム開発部（学術）/25_学術情報/2012 下期/在宅　手技DVD/09マスクをつける.wmv

• 必ず使い捨て手袋を着用する

• １ケアごとに手袋を交換し、手袋をはずした後、手指衛

生を行う

• 患者・利用者一人ごとに手指衛生を行う

• 汚染した体部分から清潔な体部分に手が移動する際

は、患者・利用者ケアの途中でも手袋を交換する

• 個人防護具は正しく着脱することが必要である

高齢者介護施設における感染対策マニュアル：厚生労働省；平成25年

CDC隔離予防策のためのガイドライン：医療現場における感染性微生物の伝播の予防,2007年

連続して排泄ケアを行う場合の注意点長汐病院様限定資料








• 汚染物を速やかに封じ込める

• 環境からの二次汚染を防ぐ

排泄ケア時における周囲環境の汚染を防ぐ

排泄物で汚染したおむつを床におかない

おむつ交換した手袋のままベット柵に触れない

おむつの適切な装着による失禁(漏れ）予防


環境整備の必要性

ＭＲＳＡやＶＲＥなど長期間環境表面に生存し環境を経由した間接的な接触によっても伝播する微生物が存在する

Boyce JM, Opal SM, Chow JW, et al.: Outbreak of Multidrug-Resistant Enterococcus faecium with Transferable van B Class Vancomycin Resistance. J Clin Microbiol1994; 32: 1148-1153.

手指衛生を徹底していれば

環境清掃はしなくても良いのでしょうか？

交差感染の防止

広範囲の環境の無菌性を追及するのではなく、

伝播経路を有効に遮断して

感染防止を行うことが有効で且つ確実な方法である


環境整備の基本

環境整備の基本は清掃による汚染の除去であり、洗面所、便所、汚物処理室を含め、その他患者の出入りする院内全般に対して毎日の清掃が必要である。１）

いかなる環境の表面の消毒にも、高レベルの消毒薬 / 液体の化学的滅菌薬を使用しないこと。２）

環境整備の基本は清掃

1) 平成15年度厚生労働科学研究費補助金分担研究報告書「医療施設における院内感染の防止について」 2）CDC ： Guidelines for Enviromental Infection Control in Health-Care Facilities,2003


・手の接触頻度の少ない環境表面低頻度接触部位

– 床など水平面；定期的な清掃と汚染時の清掃（カテゴリーⅡ）

– 壁やブラインドなど垂直面；汚染時の清掃（カテゴリーⅡ）

・手の接触頻度の多い環境表面（高頻度接触部位・コンタクトポイント）

– ドアノブ、ベッド柵、電灯スイッチ、利用者病室内のトレイの中および周りの表面な

どは、頻回な清掃、消毒（カテゴリーⅡ）

ＣＤＣ： Guidelines for Enviromental Infection Control in Health-Care Facilities,2003

標準予防策環境表面清掃時のポイント

日常清掃









陰部洗浄時の飛散を防ぐ陰部洗浄のポイント

日本看護協会教育委員会看護場面における感染防止インターメディカ 2007

陰部洗浄ボトルは

患者・利用者毎の個人使用！

陰部洗浄ボトルは使用の度に洗浄し、十分に乾燥させる。

周囲の環境を汚染しないように陰部洗浄を行う。

外陰部は排泄物や分泌物のため、汚染されやすい。入浴できない場合は、１日１回陰部洗浄を行う。



• 個人使用

• 使用毎に洗浄→乾燥

• 消毒する場合は洗浄で汚れを落としてから行う

セミクリティカル（次亜塩素酸ナトリウムによる消毒）

陰部洗浄ボトルの管理


おむつカート使用時の注意点

おむつカートの使用はできるだけ避ける

交差汚染の原因になりやすい！

個別ケアが望ましい

【注意点】

• 清潔、不潔の区別をする

• 高い頻度で清掃を行う

• 不要な物品を置かない

（一回分の物品のみ）

高齢者介護施設における感染対策マニュアル：厚生労働省；平成１７年６月２８日清潔

不潔


まとめ

排泄ケアは、

病原微生物を伝播させるリスクの高いケアと認識し、日常から伝播の遮断ができる

手順を実施することが重要である。


ご清聴ありがとうございました

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排泄ケアにおける感染対策排泄ケアは感染リスクが高い 知っていましたか？ •便には多くの菌が存在しているので、ケア実 施者が菌の橋渡し役となる可能性がある。

排泄ケアにおける感染対策排泄ケアは感染リスクが高い知っていましたか？ •便には多くの菌が存在しているので、ケア実施者が菌の橋渡し役となる可能性がある。