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- 1 - 第 1 章 教材・教具について 本校では,児童生徒の実態に応じて,様々な教材・教具を日々の学習で活用し ています。教材・教具を適切に使用することによって,興味関心を高め,内容に対 する理解が可能となります。 本章では,本校で使用している教材・教具やタブレット端末で活用しているソフト ウェア等を紹介しています。 1 教材の紹介 2 支援具の紹介 3 タブレット端末の活用 4 タブレット端末を活用した指導方法,アプリの紹介 (1)【注視・追視を促す指導・アプリの紹介】 (2)【音への注意を促す指導・アプリの紹介】 (3)【自発の動きと環境変化の因果関係の気づきを育む指導・アプリの紹介】 (4)【概念形成を促す指導・アプリの紹介】 引用・参考文献 ・関西発達臨床研究会編 「ダイソーグッズで簡単に作れる発達支援教材集」 座卓 書見台

第1 章 教材・教具について · したがって,「アセスメントチェックリスト」 等で把握した児童生徒の実態(課題や発達段階等)を「教材

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- 1 -

第 1 章 教材・教具について

本校では,児童生徒の実態に応じて,様々な教材・教具を日々の学習で活用し

ています。教材・教具を適切に使用することによって,興味関心を高め,内容に対

する理解が可能となります。

本章では,本校で使用している教材・教具やタブレット端末で活用しているソフト

ウェア等を紹介しています。

1 教材の紹介

2 支援具の紹介

3 タブレット端末の活用

4 タブレット端末を活用した指導方法,アプリの紹介

(1)【注視・追視を促す指導・アプリの紹介】

(2)【音への注意を促す指導・アプリの紹介】

(3)【自発の動きと環境変化の因果関係の気づきを育む指導・アプリの紹介】

(4)【概念形成を促す指導・アプリの紹介】

引用・参考文献

・関西発達臨床研究会編 「ダイソーグッズで簡単に作れる発達支援教材集」

座卓 書見台

- 2 -

1 教材の紹介

本校では,重度・重複障害児が多く在籍しています。それぞれの児童生徒の実態に応じた適切な指導を行

うために,本校独自の「重度・重複障害児のアセスメントチェックリスト~認知・コミュニケーションを中心に~Ver3.0」

で児童生徒の実態(課題や発達水準等)の把握を行い,それに対応させて「重度・重複障害児の認知・コミュニ

ケーションの指導の手引き Ver3.0 対応」により具体的な指導方法を導き出すことができます。

本項では,「教材の紹介」をしています。下記に一例を示

していますが,「ねらい」の欄に児童生徒の課題や発達段階

等を明記しています。したがって,「アセスメントチェックリスト」

等で把握した児童生徒の実態(課題や発達段階等)を「教材

の紹介(ねらい)」に対応させることで,児童生徒の実態に合っ

た適切な教材を見出し,活用することができます。

蛍光水てぶくろ ねらい

皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

吊るされている玩具への好み(触Ⅲ-22)[p

112]

光への反応(視Ⅰ-1~3)

使い方

・暗室でブラックライトに当てると蛍光物質

が発光し,光っている玩具に視線を向けるこ

とができる。

・水の入った手袋を触ると,ブヨブヨした弾

力のある感触や冷たさを感じることができ

る。

・水をスライム等に替えることができる。水

よりも弾力をしっかりと感じることができ,

子供の興味・関心を引き出しやすい。スライ

ムは手袋の中に入っているため,手を汚すこ

となく何度も触れることができる。

・ゴムの輪の中に棒等を入れると,吊るされ

た玩具になる。手を伸ばしたり,引っ張った

りして遊ぶことができる。

材料等 ビニール手袋、水、蓄光蛍光塗料、ゴム,紙(目

玉)

①ビニール手袋に水と蛍光塗料を混ぜてビニー

ル手袋入れる。(ビニール手袋は,水がこぼれな

いように二重にする。)

②ゴムで口をしばる。

③目玉を張り付ける。

「アセスメントチェックリスト」の

項目又は「指導の手引き」の

目標を簡略化したもの

「アセスメントチェックリスト」

又は「指導の手引き」の領

域名・発達段階・領域番号 「指導の手引き」の

ページ数

~教材の紹介の見方~

アセスメントチェックリスト

指導の手引き

手作り教材の場合は「材料等」と「作り方」の項目ですが,購入品の場合は「入手先」の項目になっています。

教材名

- 3 -

エアーベッド ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

使い方

・エアーベッドは,空気を入れて膨らませて

おり,空気の入れ具合によってクッション

の堅さを調整することができる。

・ベッドの上で仰臥位になると,空気のクッ

ションが身体全体にフィットしてしっかり

と支えられ,緊張の緩和を促すことができ

る。

・ベッドの上で飛んだり押さえたりすると,

空気のクッションの弾力や揺れ等を感じる

ことができる。

・エアーベッドは大人一人で持ち運びができ

る。立てかけておけば,収納スペースをあ

まり取らない。

ホームセンター

毛布ブランコ ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・期待反応(要Ⅲ-16,Ⅲ-18~21,Ⅲ-23,

24 等)[p14~17,p19,20 等]

使い方

・毛布の真ん中で仰臥位になり,教員が二人

一組で両端の持ち手を握って横に揺らす。

ゆっくり揺れ続けることで緊張の緩和や

呼吸改善を促すことができる。

・横に大きく揺らしたり,小さく揺らしたり,

縦に揺らしたりして変化をつけることがで

きる。

・揺れ刺激は子供にとって受容しやすく快刺

激となりやすいため,「もう1回したい」と

いう期待反応や応答性のある行動,要求等

を引き出すことができる。

・折り畳んで袋に入れることができ,持ち運

びしやすい。教室のような制限のある場所

や,屋外でも活動することができる。

材料等 毛布(ハーフサイズ),布

毛布(ハーフサイズ)に布を裏打ちし,持ち手を縫

い付ける。

(コスト:3,000 円程度)

- 4 -

組立式シーツブランコ ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・期待反応(要Ⅲ-16,Ⅲ-18~21,Ⅲ-23,

24 等)[p14~17,p19,20 等]

使い方

・シーツブランコの上で仰臥位になり,押し

て揺らす。ゆっくり揺らし続けることで緊

張の緩和や呼吸改善を促すことができる。

・揺れを一定のペースで続ける,強弱の揺れ

を一定のリズムで行う等,児童のニーズに

応じた丁寧な活用ができる。

・揺れ刺激は子供にとって受容しやすく快刺

激となりやすいため,「もう1回したい」と

いう期待反応や応答性のある行動,要求等

を引き出すことができる。

・折り畳み式で可搬(約 20 キロ)なので,

屋外に持ち出して,青空の下,外気浴も合

わせて楽しむことができる。

材料等 垂木,コンパネ,単管パイプ,カラビナ・ロープ等

折り畳み式のフレームを製作し,

シーツブランコに足場パイプと

ロープ,金具類を取り付ける。

(コスト :5,000 円程度,

ブランコ除く)

風船ベッド ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

使い方

・ベッドの上で仰臥位になり,身体全体で風

船のデコボコした感触を感じることができ

る。側臥位になれば手で風船に触れたり,

カラフルな色を見たりすることができる。

・教員がベッドを傾けたり,揺らしたりする

と身体全体で風船の弾力や揺れ等の動きを

前庭感覚で感じることができる。

・風船ベッドの中の空気を掃除機で吸い取る

ことで気圧のバランスが取れ,大人が乗っ

ても割れることはない。

・風船ベッドは子供一人でも持ち運びができ

るくらい軽量である。立てかけておけば収

納スペースもあまり取らない。

材料等 布団圧縮袋、風船

①風船を膨らませる。

②布団圧縮袋に風船を平らになるように敷き詰め

る。

③掃除機で袋の中の空気を吸い取る。

(コスト:600 円程度)

ロープ

パイプ

シーツ

折り畳み式フレーム

- 5 -

チューブ ねらい

① 人の声への反応(聴Ⅱ-7)[p65]

① 呼名への反応(聴Ⅲ-25)[p79]

②,③ 物の把持(触Ⅱ-12,触Ⅲ-20)

[p104,p111]

②,③ 手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)

[p105]

③ 光への反応(視Ⅰ-1~3)

③ 追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

①直接教員の声が届くように,パイプを耳元

に当てて名前を呼んだり,簡単な声掛けを

したりする。パイプを通して雑音が入りに

くく,自分に声を掛けられていることを意

識しやすい。

②パイプの中にパチンコ玉を入れてパイプを

繋げて輪にする。把持して動かすと,中に

入っているパチンコ玉が動く振動を,手で

感じることができる。

③パイプの中にLEDライトを入れてパイプ

を繋げて輪にする。暗室でLEDライトを

光らせると,光の注視や追視をすることが

できる。

①チューブ:人工呼吸器付属の不要になったもの

②パチンコ玉

③LEDライト:100 円ショップ

水ベッド ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・期待反応(要Ⅲ-16,Ⅲ-18~21,Ⅲ-23,

24 等)[p14~17,p19,20

等]

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・ベッドの上で仰臥位になり,身体全体で水

に浮かぶような感覚や冷たさを感じること

ができる。側臥位になれば水の中のおもち

ゃが動くのを追視することができる。

・ベッドを押さえると水が揺れ,身体全体で

水の波動を感じることができる。揺れ刺激

は子供にとってわかりやすく快刺激となり

やすいため,心地良さや笑顔等の表出を引

き出しやすい。

・水ベッドは破れる可能性があるため,布団

圧縮袋を二重にしたり,下にシートを敷い

たりして防ぐ。

材料等 布団圧縮袋,食紅,玩具

①布団圧縮袋に水を入れる。

②青色の食紅で染める。

③玩具を入れる。

④封をする。水がこぼれないように二重にする。

(コスト:600 円程度)

- 6 -

きりんさん ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・口腔内の遊び(触Ⅱ-8)[p101]

・物を噛む遊び(触Ⅱ-9)[p102]

・振動する玩具への好み(触Ⅲ-17)[p108]

・物の把持(触Ⅱ-12,Ⅲ-20)[p104,p

111]

使い方

・「きりんさん」を唇や口腔周辺等の感覚を受

容しやすい部位に当て,振動刺激に対する

気付きや興味・関心を引き出すことができ

る。

・乳児用玩具で直接口腔内に入っても安全な

素材であり,洗浄等で常に清潔を保つこと

ができる。歯固めが取れないように,しっ

かり差し込み固定する。

・電動歯ブラシを口腔内に入れると,振動刺

激により,舌の動きや噛む動きを誘発する

ことができる。

・歯固めの感触や適度な振動刺激が心地良い。

口腔内の自己刺激(指しゃぶり等)の代替

として利用することができる。

材料等 電動歯ブラシ,歯固め

きりんの歯固めをカットし,電動歯ブラシの把柄部

に差し込む。

(コスト:2,300 円程度)

マッサージ機 ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・振動する玩具の好み(触Ⅲ-17)[p108]

使い方

・「てるてる坊主」の頭に力を加えて押すと振

動する。アタッチメントはシリコン素材で

柔らかく振動刺激が心地良い。

・身体の色々な所に当てると直接感じる刺激

が受け入れやすく,振動する所に意識を向

けることで,ボディ・イメージの形成につ

ながる。

・頭,肩,足等に当てるだけで身体のツボを

刺激し,血流の流れや神経の働きを良くす

る効果がある。

・「てるてる坊主」は片手で操作することがで

きる。また,乾電池式のためいつでもどこ

でも手軽に使える。

ホームセンター

カミカミ

ブルブル

- 7 -

ぶるぶる玩具 ねらい

・快になる刺激・働き掛け(要Ⅰ-4)[p8]

・振動する玩具の好み(触Ⅲ-17)[p108]

使い方

・なでるように触れると,毛がフワフワして

柔らかい感触を感じることができる。

・しっぽの輪を引っ張ると小刻みに振動する。

柔らかい感触と適度な振動が心地良く,過

敏がある子供でも,比較的抵抗なく振動刺

激を感じることができる。

・ぶるぶる玩具を口腔周辺や手の平等の感覚

を受容しやすい部位に当て,振動刺激に対

する気付きや興味・関心を引き出すことが

できる。

玩具店

ひんやりアイス ねらい

・皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

使い方

・保冷剤をアルミホイルで包んだ物を冷凍庫

に入れて冷やす。カバーはフワフワした布

の感触が心地良い。また,カバーを通して

冷たさが和らぎ,霜で手が濡れることもな

い。過敏がある子供でも,比較的抵抗なく

触れることができる。

・カバーから取り出し,保冷剤をアルミホイ

ルで包んだアイスクリームを触ると,熱伝

導率が高いアルミホイルを通して冷たさが

直接伝わり,しっかりと冷たさを感じるこ

とができる。

材料等 保冷剤,アイスの棒,アルミホイル,ビニールテープ,布,マジックテープ

①保冷剤をアルミホイルで包み,アイスの棒を接着

してビニールテープで巻く。

②保冷材の大きさに合わせて布でカバーを作り,一

部にマジックテープを付ける。

(コスト:100 円程度)

- 8 -

温アイス ねらい

・皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

使い方

・ジェル袋をカバーにセットし,電子レンジ

で温める。加熱時間はジェル袋等に記載し

てあり,1分程度で温めることができる。

カバーの上から触ると,フワフワした布の

感触と温もり,ジェルの柔らかさが心地良

い。

・ジェル袋をカバーに入れ,冷凍庫で6時間

以上冷やす。ジェルは凍結することなく,

柔らかいままの状態である。カバーの上か

ら触ると冷たさが和らぎ,霜で手が濡れる

こともない。過敏がある子供でも,比較的

抵抗なく触れることができる。

ドラッグストア

ダンシングサンド ねらい

・皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

使い方

・湿り気のある粒子の細かい砂で,触ると砂

のザラつきを感じつつも,全体的にフワフ

ワした独特の感触を感じることができる。

・砂を握ったり,型にはめたりして,簡単に

色々な形に変えることができる。粘土のよ

うにまとまりのある状態で自由に造形を楽

しむことができ,その変化を見たり,触っ

たりして感じることができる。

・砂はまとまりがあって散在することがあま

りないため,床にシート等を敷くと,室内

を汚さずに遊ぶことができる。

インターネット

- 9 -

梱包材 ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

使い方

・発泡スチロールでできた梱包材。フワフワ

した感触が心地良く,触れるとかすかに乾

いた音がする。過敏がある子供でも,比較

的抵抗なく触れることができる。

・子供の上肢の可動域に応じたサイズの箱の

中に梱包材を入れている。梱包材はわずか

な手の動きで滑りやすく,自発的な手の動

きを促すことができる。

・梱包材の中に手を埋めると,手の平全体が

梱包材に包まれて心地良い感触を感じるこ

とができる。また,わずかな手の動きで沢

山の梱包材を動かすことができ,子供の興

味・関心を引き出しやすい。

100円ショップ

(コスト:200 円程度)

ブツブツシート ねらい

・皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

・感触の変化への気付き(触Ⅱ-11)[p103]

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触運動探索(触Ⅱ-15))[p107]

使い方

・ブツブツの感触を感じ,手に物が触れると

いうことが意識できる。

・手をスライドし,野菜洗い(ブツブツ)と

ビニールチューブ(ツルツルの2つの異な

る素材を触ることで,刺激の変化に気付く

ことができる。

・「ブツブツシート」を噛んだり舐めたりして

感覚や外界を捉えることができる。口腔内

に入っても,洗浄等で常に清潔を保つこと

ができる。

・把持する力が弱くても,ビニールチューブ

を指に絡めて遊ぶことができる。

材料等 野菜洗い,ビニールチューブ

野菜洗いに穴を空け,全面的にビニールチューブを

通す。

(コスト:100円程度)

- 10 -

ざらざら★ツルツル ねらい

・感触の変化への気付き(触Ⅱ-11)[p103]

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

使い方

・子供の可動域に応じたサイズの箱の中に2

つの異なる素材を並べ,適切な位置に固定

する。好きな感触の物とそうでない物を並

べる等し,手指の自発的な動きを引き出す

ことができる。

・手をスライドし,人工芝(ザラザラ)と買

い物袋(ツルツル)を交互に触ることで,

刺激の変化に気付いたり,期待したりする

ことができる。

・レジ袋は「ツルツル」した感触で触ると乾

いた音が鳴る。人工芝は「ザラザラ」した

感触で音は出ない。触覚刺激,聴覚刺激が

大きく異なる素材を使用しているため,違

いがわかりやすい。

材料等 人工芝,買い物袋

箱の中に人工芝とレジ袋を並べて接着する。

(コスト:100 円程度)

ガチャガチャ袋 ねらい

・感触の変化への気付き(触Ⅱ-11)[p103]

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

・触って音が出る楽器への好み(触Ⅲ-18)

[p109]

使い方

・メッシュ袋の中に暖衝材やビニール等の

様々な感触のわかりやすい物や,鈴等の音

が鳴るものが入っている。メッシュ素材の

中身を他の物に替えることもできる。

・子供の膝やテーブル等の上に置き,手で押

さえる,握る等して様々な感触や音を感じ,

外界へ意識を向けることができる。

・赤い紐の中に腕を入れて動かすと,鈴やビ

ニール等の様々な音が鳴る。手を動かして

音を鳴らすことに楽しみが広がってくれ

ば,因果関係理解へとつなげることができ

る。

材料等 上記参照

メッシュ素材の袋の中に暖衝材やビニール等を入

れる。

(コスト:400円程度)

ビニール

プチプチ

シート

暖衝材

クッション ピンポン玉

人工芝 買い物袋

- 11 -

蛍光水手袋 ねらい

・皮膚感覚(触Ⅰ-4)[p98]

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・吊るされている玩具(触Ⅲ-22)[p112]

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

使い方

・暗室でブラックライトに当てると蛍光物質

が発光し,光っている玩具に視線を向ける

ことができる。

・水の入った手袋を触ると,ブヨブヨした弾

力のある感触や冷たさを感じることができ

る。

・水をスライム等に替えることができる。水

よりも弾力をしっかりと感じることがで

き,子供の興味・関心を引き出しやすい。

スライムは手袋の中に入っているため,手

を汚すことなく何度も触れることができ

る。

・ゴムの輪の中に棒等を入れると,吊るされ

た玩具になる。手を伸ばしたり,引っ張っ

たりして遊ぶことができる。

材料等 ビニール手袋、水、蓄光蛍光塗料、ゴム,紙(目玉)

①ビニール手袋に水と蛍光塗料を混ぜてビニール

手袋入れる。(ビニール手袋は,水がこぼれない

ように二重にする。)

②ゴムで口をしばる。

③目玉を張り付ける。

フラッシュポンポンボールヨーヨー ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p105]

・吊るされている玩具(触Ⅲ-22)[p112]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

使い方

・テーブルの上等で転がしたり押さえたりし

て感触を感じることができる。素材はゴム

でできており,突起部に触れるとボソボソ

した感触が心地良い。力を加えると伸縮し,

ブヨブヨした感触を感じることができる。

・暗室でゴムの輪の中に指を通して上下に動

かすと赤や青に光が点滅し,光を追視する

ことができる。

・ゴムの輪の中に棒等を入れると,吊るされ

た玩具になる。手を伸ばしたり,引っ張っ

たりして遊ぶことができる。

・色指定することで色弁別の課題として使用

することができる。同じ色の物を選択した

り,指示された色の物を選択したりできる。

駄菓子屋

(コスト:100 円程度/個)

- 12 -

紐付きアヒル ねらい

・口腔内の遊び(触Ⅱ-8)[p101]

・物を噛む遊び(触Ⅱ-9)[p102]

・物の把持(触Ⅱ-12,触Ⅲ-20[p104,

p111]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

使い方

・縄跳びの紐やビニールチューブに手を伸ば

したり,掴んで振り回したりして手の運動

機能を向上することができる。縄跳びの紐

は引っ張ってもちぎれることなく丈夫な素

材である。

・アヒルをしゃぶったり,噛んだりし,口腔

周辺等の感覚を受容しやすい部位を活用す

ることができる。噛んでも口腔内を怪我し

ない安全な素材であり,洗浄等で清潔を保

つことができる。

・アヒルをゴルフ練習玉,高弾性ゴムボール,

プラスチック歯車,選択ボール等に替える

ことができる。

材料等 アヒルの玩具,縄跳び

①アヒルの玩具にきりで穴を空ける。

②縄にアヒルを通す。

(コスト:300 円程度/本)

紐付き鈴 ねらい

・物の把持(触Ⅱ-12,Ⅲ-20)[p104,p

111]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

使い方

・縄跳びの紐やビニールチューブに手を伸ば

したり,掴んで振り回したりして手の運動

機能を向上することができる。縄跳びの紐

は引っ張ってもちぎれることなく丈夫な素

材である。

・縄跳びの紐や鈴を握って動かすと,大きな

鈴の音が鳴る。手を動かすことに楽しみが

広がってくれば,因果関係理解へとつなげ

ることができる。

・鈴をゴルフ練習玉,高弾性ゴムボール,プ

ラスチック歯車,選択ボール等に替え,触

覚にアプローチした教材として使用するこ

とができる。

材料等 鈴,縄跳びの紐

鈴に縄跳びの紐を通す。

(コスト:300 円程度)

- 13 -

赤ちゃん新聞 ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p105]

・触って音が出る楽器への好み(触Ⅲ-18)[p

109]

使い方

・表面は布で,中にグシャグシャした感触と

音が鳴るシート(PET樹脂)が入ってい

る。

・「赤ちゃん新聞」を触って布の感触や音を感

じ,自発的な手の動きを促すことができる。

わずかな手の動きで感触や音を感じること

ができる。

・「赤ちゃん新聞」を掴んだり,握ったりする

と「グシャグシャ」と大きな音が鳴る。レ

ジ袋音を聞かせると,ぐずっている赤ちゃ

んが泣きやむという事例があり,子供の興

味・関心を引き出しやすい。

・舐めても安全な素材で丸洗いできるため,

常に清潔を保つことができる。

ベビー・赤ちゃん用品の専門店

ゴム付ボール ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

・触って音が出る楽器への好み(触Ⅲ-18)[p

109]

・簡単な玩具を繰り返し使用(触Ⅲ-21)

使い方

・車椅子用のテーブルにゴムの輪を通して,

「ゴム付ボール」を設置する。穴あきボー

ルを触ったり,転がしたりすると心地良い

感触を感じることができる。

・引っ張るとゴムの反動も加わり,引っ張ら

れる動きを感じることができる。わずかな

手の動きで鈴の音を鳴らすことができる。

・触れて音を出すことに楽しみが広がってく

れば,因果関係理解へとつなげることがで

きる。

・テーブルに付けておくと,休憩時間等を利

用して繰り返し遊ぶことができ,ボールへ

の意識を促すことができる。

材料等 ゴルフ練習用穴あきボール,鈴,カラーゴム

①ゴルフ練習用穴あきボールの穴を切り,中に鈴を

入れる。

②ゴムを通して輪にする。

(コスト:500円程度)

- 14 -

ゴム鈴 ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触って音が出る楽器への好み(触Ⅱ-18)[p

109]

・叩いたり押したりして音を出し続ける行為

(触Ⅱ-19)[p110]

使い方

・背景を黒色にすることで余分な視覚情報を

減らし,ゴムの色合いや鈴に意識を向ける

ことができる。

・手の動かし方が大雑把でもゴムの反動が加

わって音が出やすい。ゴムの引っ張られる

動きや鈴の音を楽しむことができる。

・手を動かして音を鳴らすことに楽しみが広

がってくれば,因果関係理解へとつなげる

ことができる。

・指先でゴムをはじいたり,鈴をつまんだり

して指先に注意を向けて動かすことができ

る。

材料等 菓子缶,黒い布,鈴,カラーゴム

①菓子缶の中に黒い布を貼る。

②カラーゴムに鈴を通し,缶の両端に貼りつける。

(コスト:100 円程度)

シリコンベル ねらい

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

使い方

・ハートの部分はシリコン製で柔らかく,摘

まむと心地良さを感じることができる。摘

まむことが困難な場合は,紐を長い物に付

け替えて,腕を中に通して動かすと鈴が鳴

る。

・ハートの部分を摘まんで振ると,鈴の音が

鳴る。振って音を鳴らすことに楽しみが広

がってくれば,因果関係理解へとつなげる

ことができる。

・コップに力を加えて握ったり放したりする

と,溝のボコボコした感触が面白く,シリ

コンが伸縮して鈴の音が鳴る。

材料等 シリコンの畳めるコップ,鈴,シリコン製の紐

コップの底に穴を空けて紐を通し,鈴を付ける。

(コスト:100 円程度)

- 15 -

漏斗付き鈴 ねらい

・物の把持(触Ⅱ-12,触Ⅲ-20)[p104,

p111]

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

使い方

・「漏斗付き鈴」を振ると,漏斗の中に入って

いる鈴が鳴る。軽量であるため,わずかな

手の動きで鈴を鳴らすことができる。

・振って音を鳴らすことに楽しみが広がって

くれば,因果関係理解へとつなげることが

できる。

・鈴が漏斗のプラスチックに当たって比較的

音が響くため,音楽を流しながらでも鈴の

音を聞くことができる。

・握りやすいように,持ち手に滑り止めをつ

けたり布等を巻いて太さを工夫したりす

る。

・ホースの両端に付けている漏斗を,デコレ

ーションボール等に替えることもできる。

材料等 ホース,漏斗,鈴,ビニール

①ホースを適当な長さ(15cm程度)に切る。

②ホースの両端に漏斗を差し込む。

③漏斗の中に鈴を入れ,ビニールで覆う。

(コスト:200 円程度)

にがうり ねらい

・口腔内の遊び(触Ⅱ-8)[p101]

・物の把持(触Ⅱ-12,触Ⅲ-20)[p104,

p111]

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

使い方

・歯固めの部分はゴム製で滑りにくく,握る

ことで心地良さを感じることができる。

・「にがうりん」の先端部を口腔周辺等の感覚

を受容しやすい部位に当てて,ボコボコし

た感触を感じることができる。

・歯固めの部分を握って振ると,にがうりの

中に入っている鈴の音が鳴る。軽量である

ため,わずかな手の動きでも鳴らすことが

できる。にがうりは取り外すことができ,

中身の鈴を他の物に替えることができる。

・振って音を鳴らすことに楽しみが広がって

くれば,因果関係理解へとつなげることが

できる。

材料等 野菜の玩具,鈴,歯固め

野菜(にがうり)の玩具をカットし,中に鈴を入れ

て歯固めに差し込む。

(コスト:700 円程度)

- 16 -

キラキラ鈴 ねらい

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・ホースの先端に付いているLEDライトの

スイッチをつけると7色に光り,色鮮やか

に点滅する光の注視や追視をすることがで

きる。

・ホースを握って振ると,ペットボトルの中

に入っている鈴の音が鳴る。キャップを外

し,鈴以外の物に替えることもできる。

・振って音を鳴らすことに楽しみが広がって

くれば,因果関係理解へとつなげることが

できる。

材料等 ペットボトル,ホース,LEDライト,鈴

①ペットボトル(300ml)のキャップに穴を空け

てホースを通す。

②ホースの先端にLEDライトを付ける。

③ペットボトルに鈴を入れ,キャップを付ける。

(コスト:200 円程度)

ビーズボール ねらい

・手の動きへの興味・関心(触Ⅱ-13)[p

105]

・触運動探索(触Ⅱ-15)[p107]

・振って音を出す遊び(触Ⅳ-29)[p116]

使い方

・掴むと発泡スチロールビーズの柔らかく,

手にフィットする感触が心地良い。

・握って振ったり投げたりすると,中に入っ

ている鈴の音が鳴る。投げても柔らかいボ

ールであるため安全である。

・振る等して音を鳴らすことに楽しみが広が

ってくれば,因果関係理解へとつなげるこ

とができる。

・臥位姿勢等で腕や膝の下等にはさみ,サポ

ートや姿勢保持等に活用できる。

材料等 布,発泡スチロールビーズ,鈴

布をつなぎ合わせ,中に発泡スチロールビーズと鈴

を入れて閉じる。

(500 円程度)

LEDライトのスイ

ッチは,キャップ

を外して付ける。

- 17 -

電動太鼓叩きユニット ねらい

・スイッチ操作(触Ⅲ-25,Ⅳ-28,Ⅳ-31,

32)[p115]

・因果関係のある遊び(触Ⅳ-30)

使い方

・様々なスイッチを接続し押すことでアクリ

ルのアームが上下に動き,太鼓を鳴らすこ

とができる。ソレノイドのため,応答性は

高く,タタタ・・・と連続して鳴らすこともで

き,リズムに合わせて打つことも可能であ

る。

材料等 アクリルアーム,ソレノイド,電池ケース,配線材料等

ソレノイドは電子部品小売店,ネット

で購入可能,駆動電圧が高い方がパワー

があるが,電池で使用するためには

9V~12V 直流駆動が使いやすい,

テコの原理を活用したソレノイド上部の

加工がポイント,配線は右図を参考。

(コスト:2000 円程度)

電動バチ ねらい

・スイッチ操作(触Ⅲ-25,Ⅳ-28,Ⅳ-31,

32)[p115]

・玩具のハンマー,楽器のバチ,棒等の操作

(触Ⅳ-33)[p117]

・因果関係のある遊び(触Ⅳ-30)

使い方

・スイッチを押すと電動字消しに付いたグル

―スティックが振動する。電動バチを太鼓

の面に当てると,通常のバチで叩くのとほ

ぼ同様に「トントン」という軽快な音が鳴

る。

・グル―スティックは曲げることができる程

度の柔軟性があり,当たっても傷が付くこ

とはない。手やバチの代替えとして太鼓だ

けでなく,タンバリンやシンバル等,様々

な物を叩くことができる。

・スイッチを押すと振動することや音が鳴る

ことに楽しみが広がってくれば,因果関係

理解へとつなげることができる。

材料等 電動字消し,グル―スティック,太鼓

①電動字消から消しゴムを抜き,グル―スティック

を差し込む。

②スイッチをつなげる。

(コスト:500 円程度)

ソレノイドとは? 電磁石を応用し鉄芯を磁力によって動かす機構の略称。 中央部のシャフト(鉄芯)が電気を通すことで上下に動く。

単 3 電池 8 本,12V で駆動

スイッチはミニジャック仕様

で,多様なスイッチが接続可

能。

ソレノイド上部の加工

アクリルのアームが中心の鉄芯

の動きに連動して上下に動きま

す。

- 18 -

吊るされた風船 ねらい

・触って音が出る楽器への好み(触Ⅱ-18)[p

109]

・叩いたり押したりして音を出し続ける行為

(触Ⅱ-19)[p110]

・吊るされている玩具(触Ⅲ-22)[p112]

・探索的操作(触Ⅳ-26)

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・黄色等視覚的に捉えやすい色の風船を,細

いゴム紐等で吊り下げて自然に手が触れる

高さにセットする。仰臥位や座位等の姿勢

を取り,風船を見て手を伸ばしたり,指先

で触ったりして「目と手の協応」を図るこ

とができる。

・風船の中に鈴やビーズが入っており,触れ

たり叩いたりすると音が鳴る。音を鳴らす

ことに楽しみが広がってくれば,因果関係

理解へとつなげることができる。

・風船の揺れは,振り子のように安定して元

の位置に戻ろうとするため,触れたり追視

したりすることが容易である。

材料等 S字フック,ゴム,風船,鈴,ビーズ

①風船の中に鈴やビーズ等を入れて膨らませる。

②風船にゴム紐を付けて吊るす。

(コスト:50円程度)

吊るされた玩具 ねらい

・感触の変化への気付き(触Ⅱ-11)[p103]

・吊るされている玩具(触Ⅲ-22)[p112]

・探索的操作(触Ⅳ-26)

使い方

・シャンプーブラシや鈴等,子供が興味のあ

る物,好んで触る物を選び,自然に手が触

れる高さにセットする。様々な素材に触る

ことで,感触の違いに気付くことができる。

児童の実態に合わせて,紐の長さや持ち手

の種類(輪っか等)を変えることができる。

・仰臥位や座位等の姿勢を取り,吊るされた

玩具を見て手を伸ばして触ったり,動かし

たりして「目と手の協応」を図ることがで

きる。吊るされた玩具は固定されているた

め,休憩時間等を利用して繰り返し遊ぶこ

とができる。

・手が触れるようになってきたら,意図的に

位置や高さを変えることで,自発的な手の

動きを促すことができる。

材料等 ビニールチューブ,ホース,シャンプーブラシ,

ガチャポンの空ケース,鈴

ビニールチューブにホース,シャンプーブラシ,ガ

チャポンの空ケース(鈴を入れた物)等を結び付け

る。

(コスト:100 円程度/個)

ガチャポンの

空ケース

シャンプー

ブラシ

ビニールチューブ

ホース

- 19 -

リレースイッチ(電化製品スイッチ操作用) ねらい

・スイッチ操作(触Ⅲ-25,Ⅳ-28,Ⅳ-31,

32)[p115]

・因果関係のある遊び(触Ⅳ-30)

使い方

・このリレースイッチに電化製品と障害の状況に

応じたスイッチを接続することで,電化製品の

オン・オフのスイッチ操作が可能となる。

・玩具で遊ぶことの難しい子供にとって,身近な

電化製品から得られる様々な刺激(振動,風,

音)などは興味・関心が高く,繰り返し体験す

る中で体感的な遊びとして楽しみやすい。

・左の写真は,温風や冷風の出る卓上ドライヤー

や,振動マッサージ器等を接続した。スイッチ

操作の初期段階の学習では,感覚実態に応じて,

提供する刺激を選択することが大切である。一

般的には視覚や聴覚刺激よりも体性感覚(皮膚

感覚等)を楽しむ子供が多く,風や振動のオン

オフが分かりやすく,因果関係の理解には有効

である。

材料等 コンセントタップ,リレー本体,ACアダプター,配線類

・電化製品操作用の代表的なものとしては「パワーリン

ク」があるが高価である。この製作した「リレースイ

ッチ」は材料は安価で入手しやすい。

・従来のリレースイッチは乾電池で駆動するものが多か

ったが,これは台上にコンセントを設置し,乾電池部

分を AC アダプターに代替させることで,製作と実際

の利用の簡素化を図っている。(コスト:2000 円程度)

スイッチ付おもちゃ ねらい

・スイッチ操作(触Ⅲ-25,Ⅳ-28,Ⅳ-31,

32)[p115]

・因果関係のある遊び(触Ⅳ-30)

使い方

・スイッチを押すと犬がしっぽを振りながら

「ワンワン」と吠え,歩き回る。もう1回

スイッチを押すと,犬の動きが止まる。

・スイッチは注視しやすい色で,表面積が広

く,子供が手で探索した時に偶然あたりや

すい。障害の重い子供でも実態に合ったス

イッチを選んでつなげることで,様々な玩

具が扱える。スイッチの種類は多種多様で,

表面積が大きい①,柔らかい感触の②,ボ

コボコした感触の③等がある。

・スイッチを押すと犬が動いたり,吠えたり

することに楽しみが広がってくれば,因果

関係理解へとつなげることができる。

玩具店

- 20 -

カッチン ねらい

・玩具に視線を向けた遊び(視Ⅲ-23)

・両手を使った遊び(触Ⅳ-34)[p118]

使い方

・カッチンについているゴムに4本の指を通

して装着する。2つのカッチンを両手に付

けて手を合わせるように叩くと,ペットボ

トルの底面の突起部同士がぶつかって「カ

チッ」というカスタネットに似た音が鳴る。

あまり強く叩かなくても「カチッ」という

心地良い音が鳴る。

・手を動かして音を鳴らすことに楽しみが広

がってくれば,因果関係理解へとつなげる

ことができる。

材料等 ペットボトル2本,ゴム,マスキングテープ

①ペットボトルの底面から1cm程度の幅の位置

で切る。

②ペットボトルの底面2か所に穴を空ける。

③穴にゴムを通す。

④淵にマスキングテープを貼る。

(コスト:50円程度)

アイスクリーム ねらい

・手元の注視(視Ⅲ-22)

・玩具に視線を向けた遊び(視Ⅲ-23)

・両手を使った遊び(触Ⅳ-34)[p118]

使い方

・2つのボールを両手に持って合わせるとマ

ジックテープがくっついて,アイスクリー

ムをのせることができる。ボールは全面に

マジックテープが付いており,どの部分で

合わせても簡単にくっつけることができ

る。くっつく感じが面白い。

・アイスクリームの色は赤で視覚的に捉えや

すく,握ったボールを見たまま違うボール

にくっつけて遊ぶことができる。

材料等 給水キャップ,脚カバー,マジックテープ

①赤いボールの全面にマジックテープを付ける。

②給水キャップに1つのボールを接着する。

③ボールを合わせてマジックテープでくっつける。

(コスト:700 円程度)

- 21 -

イルミネーション ねらい

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

使い方

・イルミネーションを壁や天井に広げ,仰臥

位等の姿勢を取ると,リラックスした状態

で色鮮やかに散りばめられた光を見ること

ができる。

・光はスイッチで点滅したり,流れるように

動いたりと切り替えることができ,様々な

種類の光を楽しむことができる。

・音楽を聞きながらイルミネーションを見る

ことで,視覚,聴覚を総合的に活用できる。

例えば「星に願いを」を聞きながら,星空

をイメージすることができる。

玩具店,ホームセンター

チューブライト ねらい

・物の把持(触Ⅱ-12,触Ⅲ-20)[p104,

p111]

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

使い方

・チューブが太いため,少々であれば曲げた

り,巻き付けたりしても絡まない。

・イルミネーション等の遠くに感じる光とは

対照的に,目の近くに光を感じられてわか

りやすい。ホースを通して柔らかい黄色の

光が伝わってくる。

・ホースを握るとゴムの柔らかい感触が心地

良く,光を掴んでいるような感覚,手から

光が漏れるような感覚が,子供の興味・関

心を引き出しやすい。

ホームセンター

- 22 -

LEDキャンドルライト ねらい

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

使い方

・キャンドルライトを付けると,本物の蝋燭

のような柔らかい黄色の灯りや炎のゆらめ

き(動き)が鮮明になり,光に視線を向け

ることができる。

・誕生日やクリスマス等の音楽を聞きながら

キャンドルライトを見ると,リラクゼーシ

ョンや楽しい気持ちを促すことができる。

・キャンドルライトをキャンドルホルダーに

入れると,キャンドルライトのカッティン

グ模様から光が漏れ,陰影が美しい。

・火を使わないため,目に近づけたり倒れた

りしても安全に使用することができる。

100円ショップ

ミラーボール ねらい

・光への反応(視Ⅰ-1~3)

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・ミラーボールの下に赤や青,緑等のカラフ

ルなLEDライトが搭載されており,LE

Dライトが自動で回転するミラーボールに

反射する。一定の速度で回転して放たれる

光を追視することができる。

・音楽を聞きながらミラーボールを見ること

で,視覚・聴覚を総合的に活用できる。例

えば,リズミカルな音楽に合わせてミラー

ボールを回転させると,パーティーのよう

な楽しい雰囲気を感じることができる。

玩具店

- 23 -

ポリパラバルーン ねらい

・音がしたことへの反応(聴Ⅱ-4)[p62]

・周囲で人や物が動いたことへの気付き(触

Ⅰ-7)

・物で遮られた状態,離れた状態の変化への

気付き(視Ⅰ-5)

・目の前にある物への気付き(視Ⅱ-13)[p

125]

使い方

・子供が仰臥位になり,支援者が「ポリパラ

バルーン」を大きく広げ,ゆっくりと上下

させる。風を感じたり(触覚),ビニール

の音(ガサガサ)という音を聞いたり(聴

覚),目の前に来るビニールで目の前が覆

われた状態に気づいたりする(視覚)こと

ができる。

・ビニールを動かすと「ガサガサ」という乾

いた音が鳴る。レジ袋音を聞かせると,ぐ

ずっている赤ちゃんが泣きやむという事例

もあり,子供の興味・関心を引き出しやす

い。

材料等 ゴミ袋,カラーセロハン,マジック

①ゴミ袋2枚を貼り付ける。

②カラーセロハンやマジック等で装飾する。

団扇 ねらい

・色への反応(視Ⅱ-6~10)[p123]

・コントラストのはっきりした物への気付き

(視Ⅱ-12)[p124]

使い方

・蛍光色の団扇や縞模様を子供の目に近づけ

て見せる。蛍光色や縞模様は視覚的に捉え

やすく,子供の注意を引くことができる。

・団扇を動かしたり近づけたりする等,子供

にとって見ることに注意が向く提示方法を

探るようにする。

・一つの紙に沢山の縞模様があるのは捉えに

くいため,初めは縞模様の幅が広い物にし,

徐々に細い物を提示しながら視覚の活用を

促す。

・黒色の布や紙で団扇の背景を覆ったり,支

援者が黒い服を着て指導を行ったりする

と,黒の背景の前で原色や蛍光色等がはっ

きりと見える。

材料等 団扇,ラミネートフィルム,デコステッカー

・団扇は購入(100円ショップ)

・デコステッカーや色画用紙を貼りつけ,色の種類

を増やすことができる。

・縞模様は黒と白の幅を同じにし,パソコンで作成

してラミネートする。

(コスト:100円程度/柄)

- 24 -

団扇ミラー ねらい

・注視(視Ⅱ-15,16)[p126]

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・子供の顔に団扇を近づけ,鏡に映った自分

の姿を見たり,笑いかけたり,手で触った

りすることができる。鏡映像と自己を同一

視できるようになるのは定型発達で1歳半

頃になるが,最初は鏡に映っている物に気

付くところから,自己認識の芽生えにつな

げることができる。

・鏡の部分はシールを貼っており,叩いたり

落としたりしても,割れないため安全であ

る。軽量であるため,団扇として仰ぐこと

もできる。

・暗室で団扇の持ち手に付けてあるサイクル

ライトを光らせたり点滅させたりすると,

鏡が反射して光が広がり,光に視線を向け

ることができる。

材料等 団扇,シールステッカー,サイクルライト

①団扇に合わせてミラーシールを切って貼る。

②周りにバイアステープを貼って縁取りする。

③サイクルライトを付ける。

(コスト:800 円程度)

ボール転がし ねらい

・反応の良い音(聴Ⅱ-6)[p64]

・物の把持(触Ⅱ-12,Ⅲ-20)[p104,p

111]

・追視(視Ⅱ-17~19)[p127,128]

使い方

・背景を黒色にすることで余分な視覚情報を

減らし,ボールの色合いや豆に意識を向け

ることができる。

・車いすテーブルの上に置いてティルト機能

で傾けたり,持ち手を握って持ち上げたり

するとボールや豆が転がり,追視を促すこ

とができる。

・ボールや豆が転がると「ザー」と波に似た

音が鳴る。波の音はリラックス効果がある

と言われており,ボールや豆の転がる音に

心地良さを感じることができる。

・段ボールはアクリル板で覆われており,ボ

ールや豆を転がしたりひっくり返したりし

てもこぼれ落ちることはない。

材料等 段ボール,豆,ボール,アクリル板,ホース

①段ボールでテーブルに置けるサイズの箱を作る。

②箱の中を絵具で黒く塗る。

③ホースで持ち手を付ける。

④箱の中にボールや豆を入れ,アクリル板で覆う。

(コスト:2300円程度)

- 25 -

2 支援具の紹介

座卓 ねらい

・姿勢保持

・学習机や作業台として使用

使い方

・床上での姿勢保持装置や学習机,作業台と

して広く活用されている。

・テーブルと脚台は,それぞれが面ファスナ

ーで着脱可能となっており,適切なパーツ

を組み合わせて,子供の実態に応じた座卓

を簡単に作ることができる。

・脚を交換,脚を取り外す,または延長する

ことで,ある程度の角度調整が可能となる。

材料等 車椅子付属品のテーブル,木製ブロック,面ファスナー

金具やベルト等の不要な部品を取り去り,脚を差し

込むための穴の開いた木製ブロックを取り付け,そ

こへ脚を面ファスナーで固定する。

タブレット端末埋め込みテーブル ねらい

・タブレット端末を利用した車いす移動

使い方

・タブレット端末を埋め込むことにより,ず

れたり落ちたりすることなく横向きに固定

される。車いすテーブルの上は物がなくす

っきりとした状態で,広い範囲を見渡すこ

とができる。また,手を広く動かして操作

することができる。

・タブレット端末で行きたい方向を人に伝え

たり,地図を見たりすることができ,移動

に必要な補助をいつでもどこでも受けるこ

とができる。

・タブレット端末は,埋め込んだり取り出し

たりすることが簡単にできる。取り出して

板をはめれば学習机や作業台として使用す

ることができる。

材料等 車いす付属品テーブル,タブレット端末

タブレット端末のサイズに合わせて車いす付属品

テーブルを電動糸鋸等でくり抜き, タブレット端

末を埋め込めるようにする。

- 26 -

書見台 ねらい

・視覚的に捉えやすい角度で書見可能

・書見台と一定の距離を維持

使い方

この書見台は教材を提示する台として,また,

作業台としても活用することができる。特徴

としては,角度の変更がピンの差し替えによ

り簡単で確実なこと,前方に倒れこむまでの

角度をつけることもでき,側臥位や仰臥位で

も活用しやすいこと等である。

材料等 シナベニヤ,コンパネ,蝶番他

各パーツを接着剤&釘,ネジで接合する。

(コスト:2000 円程度)

書見台スタンド ねらい

・仰臥位のまま書見可能

・吊るされた玩具

・物干し

使い方

・スタンドの幅は布団がちょうど入るサイズ

であるため,仰臥位等の姿勢で書見台を使

用することができる。

・書見台は簡単に取り付け,角度調整を自在

にできる。子供が見えやすいように書見台

の角度を調整すると,仰臥位等で絵本等を

読むことができる。

・書見台を取り外して玩具を吊るし,手を伸

ばしたり引っ張ったりして遊ぶことができ

る。吊るされた玩具を固定していれば,休

憩時間等を利用して繰り返し遊ぶことがで

きる。

・書見台は,大人一人で持ち運びができる。

子供が使用しない時はタオルを干す等,物

干しスタンドとして使用できる。

材料等 イレクターパイプ,ジョイント,シナベニヤ

①パイプを切って,ジョイントで繋ぎ合わせる。

②書見台にアタッチメントを付けて設置する。

活用例・・・描く 目と手の協応への

支援。

活用例・・・絵本の鑑賞 本を支える必要が無く,

指導しやすくなる。

大小並んだ書見台 その裏面

角度調整機能 ピンを差し替える。

前方に倒れこむまでの角度をつけることで,様々な場面で活用しやすい。

- 27 -

3 タブレット端末の活用

本校は肢体不自由児(者)を対象とした特別支援学校であり,「準ずる課程」,「自立活動を主とした教育」

等の複数の教育課程を編成し,実施の形態についても,児童生徒宅に教員が出向いて授業を行う「訪問教育」

にも取り組む等,障害の状態に応じたきめ細かな指導に取り組んでいます。

ここ数年の情報機器類の発達には著しいものがありますが,本校においても校内や訪問教育で,これらの

タブレット端末を活用した指導が盛んになってきました。

ここでは発達の初期段階の重度・重複障害児(者)の指導において,タブレット端末を活用する上での意

義や指導方法,アプリの紹介をします。

4,タブレット端末を活用した指導方法,アプリの紹介 ここでは,タブレット端末での指導例や,外界への気付き,刺激への注意を促す指導,物との因果関

係の形成等を目標とする重度重複障害児(者)の指導において効果的なアプリを紹介します。

(1)【注視・追視を促す指導・アプリの紹介】

指導名 視覚・色覚について,指導方法

注視

(白黒コントラス

ト)

○視覚の発達について

視覚の最初期段階で子供の注意を引くことが可能であるものとして白と黒のコントラストのはっき

りした縞模様があります。(「自立活動ガイドブック~実践編~第4章 (5)視覚」に記述がある視力

検査でも同様の模様を示しています。)視覚が活用できているかどうかわからないような初期段階

において,視覚の活用を促すための指導で以下のような指導を行います。

○指導方法 端末は子供が視認しやすい位置へ提示します。

(1)縞模様の幅は一つの画像ごとに黒と白の幅を一定にします。

①-1 ①-2 ② ③ ④

(2)始めは一つの画面に①-1,2をゆっくり横方法にスライドさせながら提示します。一つの画面

にたくさんの縞模様があるのは捉えにくいため,初めは縞模様の幅が広い①,②で行い,徐々に

③→④と提示していきます。一つ一つの画像をフォルダに入れ,①と②,②と③という様につな

げ,流れるように提示することが可能です。

重度・重複障害児(者)の指導においてタブレット端末を活用する意義

①操作がしやすく,携帯性が高い。…車いす上での座位姿勢をはじめ,様々な姿勢で活用できる。提示する際に

位置や距離を調節することも簡単に行うことができる。また,その携帯性から訪問教育でも教材として多用されて

いる。

②応答性が高い。…応答性が高いため,肢体不自由により身体を動かすことが困難な子供であっても,その子なり

の微細な動きで使用することができる。成功体験を得やすく,自発の動きを引き出す指導に有効である。

③視認性が良い。…画面自体が発光しているため,視覚が光覚程度であっても注意を促しやすい。また,写真や

印刷物と比較して,色や質感をより正確に再現でき,興味関心を高めやすい。あわせて,注意を引きやすい動画

やアニメーションを手軽に提示できる等,教材提示装置としての活用はとても有効である。

④再現性が高い。…端末からの音や光の情報は,極めて再現性が高く,繰り返しの指導に効果的である。

⑤認知発達・コミュニケーション能力の向上が期待できる。…子供の働き掛けに対して,すぐに決まった反応が

返ってくるため,自身の動きによって何かが起こったということが分かりやすく,働き掛けと結果の因果関係の理

解を深めやすい。そのためタブレット端末の操作に対して興味・関心が高まりやすく,操作するタブレット端末と自

分との関係を意識する等,外界に対しての自発的な動きと外界へ向かう気持ちを促すことができる。また,何度繰

り返しても,同じ変化(視覚・聴覚・触覚等)が再現されるため,因果関係を記憶に留めやすく,コミュニケーション

発達初期の期待反応の表出や期待の分化などを狙うことができる。

- 28 -

注視

(色の変化)

○色覚について

提示する色として,緑,ピンク等の蛍光色が捉えやすいとされています。タブレット端末で提示

する画面は発光しているため,蛍光色の紙を提示するよりも子どもの反応を引き出しやすくなりま

す。多くの子どもは色を感じたとった時に何らかの快反応を示す傾向にあります。

○指導方法

(1) あらかじめ次のような単色の色の画像をパソコンまたは,端末のアプリで作ります。

(2)上記の画像をゆっくりスライドさせながら提示します。はじめは,提示する際には,色と色の間

に黒色の画面を挿入して提示します。またそれ以外にも次の2点に注意して提示します。

1,同系色で彩度の低い色を順番に提示しない。

2,同系色を用いる場合には,明度差をつけるよう心掛ける。

最初は反応が弱くても,色が変わった瞬間に気付くことが多いようです。反応の良い色を見つけ

て,その色を活用した指導に発展させていきます。

注視

(動くもの,顔

等)

○視覚の発達について

白と黒のコントラストや色への注視が可能になると,注視できるものを拡げていきます。注意が向

きやすい視覚刺激として,人の顔やコントラストのある図などがあります。また,動くものに対して注

意が向きやすいといわれています。それらのことに配慮して次のような指導を行います。

○指導方法

(1)あらかじめ以下のような図を作ります。作る際,基本の背景色は黒とし,コントラストをつけ,視

認しやすいようにします。渦巻き模様等は子供の注意

を引きやすい色を使用し,回転するアニメーションにし

て注意を引きやすくします。

(2)注視していることが確認できたら,徐々に子供から距

離を取ったり,動かしたりし,注意を向けることのできる

距離を伸ばしたり,追視ができるようになるように促していくようにします。興味が途切れないように

常に子どもの見えやすい位置に提示するようにします。

アプリの名称 内容

BabyCharmaer

白黒の様々な図形や形の図(円,ハート,縞模様等)を提示することで注視を促すことができま

す。また,図形をゆっくり動かし,追視を促すことができます。動くスピードも4つの速さがあり,追

視のしやすいスピードに調整することができます。注意を促すことができるように触れると音を出す

ことも出来ます。

(2)【音への注意を促す指導・アプリの紹介】

アプリの名称 内容

Sound FX

煙のアラーム,泣き声,いびき,耳をつんざくような音等の様々の面白い効果音が入っており,

ボタンを押して音を出すことができます。そのため普段聞きなれないような音を使用して,音に対

する注意を向ける等の指導を行うことができます。

Funny Tones

上記の Sound FX と類似しており,面白い着信音や音の効果音が複数入っており,ボタンを押し

て音を鳴らします。一つ一つの音が短いため,音への注意できる時間が短い初期段階の指導に

活用することができます。

- 29 -

Sound Sleeper

雨音,胎内温,掃除機等の自然や都会,日常の音を質の高い音で再生することができます。子

供が聞いて,落ち着きリラックスできるような音が多くあります。子供が興奮状態の時等に落ち着く

ことを促したり,日常の音へ注意を向けたりする等の指導を行うことができます。

動物の鳴き声

犬,猫,牛,馬,オオカミ,ライオン,カエル,雄鶏,カモ,ゾウの写真が順番に画面をスライドさ

せると出てきて,鳴き声を出します。鳴き声以外の音声はなく,鳴き声だけが写真とともにすぐに

出てくるため,人の声が介入せず,音への注意を促す指導に使用できます。また,動物の概念形

成の指導にも活用できます。

ハロウィン‐サウンド集

魔女の笑い声やゾンビのうめき声,雷の音等,様々な不気味な音が入っており,ボタンを押して

音を出すことができます。衝撃音,抑揚のある音,一定のリズムの音等を使用し,聞こえに困難さ

がある子供に対して音への注意,反応を促す等の指導を行うことができます。

(3)【自発の動きと環境変化の因果関係の気づきを育む指導・アプリの紹介】

アプリの名称 内容

Arpie

画面をタッチすることで,ボールが出てきます。そのボールは鍵盤の上を一定のリズムではね,

素敵な音を鳴らします。画面のどの部分に触れても,ボールを出すことができ,自発の動きと周囲

の環境の変化(音・画面の変化)の因果関係を育むことができます。一定のリズムで音が出るため,

発達初期の子供でも注意が持続しやすくなっています。

Pocket Pond

鯉が泳ぐ池の画面にタッチすることで,水面に波を起こすことができます。またそれと同時に水

の音が鳴ります。画面全体が池であるため,どの部分に触れても音が出るようになり,自発の動き

と音との因果関係を育むために活用することができます。

ボールあそび

画面をタッチするとカラフルなボールが出てきて転がります。画面のどの部分を触れても,ボー

ルが効果音とともに出てきます。白の画面にはっきりとした色のボールが出てくるため,画面の変

化が分かりやすく示されます。また,タブレット端末を傾けると上下左右に重力の影響を受けて転

がります。

i♡Fireworks Lite

画面をタッチすると,その場に花火が打ち上げられます。同時に花火の打ちあがる音もなりま

す。画面を押している時間を長くすることで,大きな花火と大きな音が現れます。そのため,押す

時間を変化させながら,画面に注意を向けさせ指導を行っていきます。

たっちっち

画面をタッチすると,顔のイラストが音とアニメーションを伴い,提示されます。マルチタッチにも

対応し,たくさんの指で同時に押してもすべてに反応します。カラフルな色の人の顔が提示される

ため,注意を引きやすいイラストとなっています。

あそベビー

リモコンを押す,ぬいぐるみに食べ物を食べさせる等,生活の様々な場面の画面をタッチするこ

とで音を伴いながら画面が変化します。様々な場面があるため,子供の興味関心のある好きな場

面を選択し,指導していきます。

Real Guitar

実際のギターの音が録音されており,画面の弦に触れるだけで簡単に音が鳴ります。

音が出る場所が限られているため,初めに画面に触れると音が出ることに気付くことができるよう

に一緒に数度行ってから,自発の動きや触探索運動を促すように指導していきます。

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太鼓魂

画面全体が太鼓となり,太鼓を軽く叩くと弱い音,強く叩くと強い音が鳴ります。画面のどの部分

に触れても音が出るようになっており,太鼓を叩くと同時に強弱に応じて花火も出ます。また,本

格的な和太鼓の音が複数入っています。

子供どうぶつ

3つゲームが入っています。発達の初期段階でも活用できるのは,「あなからどうぶつ」というゲ

ームで,画面を押した場所から穴が開いて動物が出てきます。動物が出てくると同時に,様々な

アニメーションや音が出ます

いないいないばあ!

画面をタッチすると,男の子や動物がイラストと音声を伴いながら「ばあ」と変化します。「いない

いない」が「ばあ」に至る前触れの刺激となり,画面に注目させ,「ばあ」が楽しむことができるように

指導していきます。画面のどの部分に触れても反応します。

お絵かき

画面にタッチしたり,なぞったりすることで様々な絵を描くことができます。描くときにはいろいろ

な音が出るので,視覚と聴覚に対して同時に刺激が入ってきます。背景色は黒と白が選択でき,

対象の子供に合わせ,より視覚的に注意を促すことができる色を選択します。はっきりと画面の変

化が起こるため,視覚的な注意を促す指導にも活用できます。

○指導上の留意事項

「自発の動きと環境変化の因果関係の気付きを育む」ためには,画面に触れることで音・画面の変化が起こるという

ことを意識させ,自発的な動きを促すように指導していく必要があります。そのためにできるだけ刺激の少ない環境で

指導を行い,自分の体を動かすことで周囲の環境が変化するということの意識付けを行っていきます。また自発で身

体を動かすことのできる姿勢やポジショニングで指導を行うことも重要です。

(4)【概念形成を促す指導・アプリの紹介】

アプリの名称 内容

Sound Tiuch Lite

動物,乗り物,楽器,身近なもの等の絵をタッチすると実際の写真が出てきて,音が聞こえま

す。写真のどこかをタッチすると消えます。一つ一つの絵に対して5つのリアルな写真と音が用意

されています。絵をタッチしてそのリアルな写真を見ることで,子供たちは遊びながら,実物と絵を

一致させていき,カテゴリー概念を育むことができます。

○指導上の留意事項

子供がタッチした絵の名称を一緒に繰り返し言いながら,遊ぶようにします。また,子供の興味

関心のあるものの名称から始めるようにします。

Soundly

上記の Sound Touch と同様に画面上のイラストにタッチして,音や画想を楽

しみながらカテゴリー概念形成を促すアプリです。Sound Touch とは異なる動

物や乗り物,楽器,身近なもの等が示されるため,一緒に併用すると効果的で

す。

※紹介しているアプリは順不同となっています。

【全体に関わる指導上の留意事項】

子供と端末の距離と角度が最も大切な環境になります。

提示する画像は,写真(人物)→写真(身近な動物や乗り物等)→イラストの順

に注意が引きやすいとされていますそれを踏まえて指導します。

静止画よりも動画の方がとらえやすいため,動画での反応がよくなったら徐々

に動画にしていくようにします。

指導する際,聴覚刺激に集中できるようにする場合は,イヤホンやヘッドホン

を使用し,ほかの聴覚刺激に影響されないようにしましょう。(シャント手術等

を受け,バルブを入れている児童生徒への指導は,静かな環境で集中できるようにします。)