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17 回日本看護管理学会学術集会 インフォメーション・エクスチェンジ 2013.8.24 11 4012 40 現在、教育委員会が作成中の コンピテンシーにもとづいた新任看護管理者のためのトレーニング・プログラムのお披露目 井部俊子(委員長),澤邉綾子,佐々木菜名代,笠松由佳 武村雪絵,吉田千文,手島恵,倉岡有美子 1. 日本看護管理学会教育委員会の活動 目的(第 2 条):本委員会は卒前・卒後の看護管理に関する教育・研修の充実をはかり、看護サー ビス提供システムの発展を目指すことを目的とする。 事業(第 3 条):1)現任の看護管理者を対象とした看護管理に関する教育内容と教育方法の検討 2)看護基礎教育における看護管理学教育の標準化の検討 2.コンピテンシー・ベースのトレーニング・プログラムの作成過程 文献検討(主なもの) ・ライル・ M ・スペンサー,シグネ・ M ・スペンサー,梅津祐良他訳,コンピテンシー・マネジメントの展開(完訳版) , 生産性出版,2011 ・加藤恭子,日米におけるコンピテンシー概念の生成と混乱,産業経営プロジェクト報告書,342123 ,2011 ・宗村美江子,チーフナースのコンピテンシー -虎の門病院におけるコンピテンシーモデルの開発 と活用-,看護管理 1710843850,2007 3.「コンピテンシー」について ある職種または状況に対し、基準に照らして効果的、あるいは卓越した業績を生む原因として 関わっている個人の根源的特性。 氷山モデル(SpencerSpencer,1993水面下に隠れているため、開発がしにくい特性や自己概念などの部分と、水面上に出ているため 目に見えて開発がしやすい知識やスキルの部分で構成される。 コンピテンシーの範囲 コンピテンシーの範囲 Boyatzis(1982) SpencerSpencer(1993) 4.今後の計画 1) 交流集会における意見交換 2)プログラムの評価研究(来年度) 3)プログラムの実施→日本看護管理学会による看護管理者研修コース

第17 回日本看護管理学会学術集会 インフォメー …janap.umin.ac.jp/pdf/17JANAP130824.pdf第17 回日本看護管理学会学術集会 インフォメーション・エクスチェンジ

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第 17 回日本看護管理学会学術集会

インフォメーション・エクスチェンジ 2013.8.24

11:40-12:40

現在、教育委員会が作成中の

コンピテンシーにもとづいた新任看護管理者のためのトレーニング・プログラムのお披露目

井部俊子(委員長),澤邉綾子,佐々木菜名代,笠松由佳

武村雪絵,吉田千文,手島恵,倉岡有美子

1. 日本看護管理学会教育委員会の活動

目的(第 2条):本委員会は卒前・卒後の看護管理に関する教育・研修の充実をはかり、看護サー

ビス提供システムの発展を目指すことを目的とする。

事業(第 3条):1)現任の看護管理者を対象とした看護管理に関する教育内容と教育方法の検討

2)看護基礎教育における看護管理学教育の標準化の検討

2.コンピテンシー・ベースのトレーニング・プログラムの作成過程

文献検討(主なもの)

・ライル・M・スペンサー,シグネ・M・スペンサー,梅津祐良他訳,コンピテンシー・マネジメントの展開(完訳版),

生産性出版,2011年

・加藤恭子,日米におけるコンピテンシー概念の生成と混乱,産業経営プロジェクト報告書,34(2)

1-23頁,2011年

・宗村美江子,チーフナースのコンピテンシー -虎の門病院におけるコンピテンシーモデルの開発

と活用-,看護管理 17(10)843-850,2007年

3.「コンピテンシー」について

ある職種または状況に対し、基準に照らして効果的、あるいは卓越した業績を生む原因として

関わっている個人の根源的特性。

氷山モデル(Spencer&Spencer,1993)

水面下に隠れているため、開発がしにくい特性や自己概念などの部分と、水面上に出ているため

目に見えて開発がしやすい知識やスキルの部分で構成される。

コンピテンシーの範囲 コンピテンシーの範囲

Boyatzis(1982) Spencer&Spencer(1993)

4.今後の計画

1) 交流集会における意見交換

2)プログラムの評価研究(来年度)

3)プログラムの実施→日本看護管理学会による看護管理者研修コース

表1『コンビテンシー・ディクショナリー』のクラスター(6項目)とコンビテンシー(20項目)

§ 鍵鍵議譲議譲 蕊蕊蕊義灘鍵達成とアクiシ ョ ン鄭

達成とアク達成重視すぐれた仕事を達成し,あるいは卓越した基準に挑む姿勢。ション

秩序・クオリテイ・正確取り巻く環境における不確実性を減らす基本的動因。職場を整然とした状態に保性への関心つレベルから,データの秩序とクオリテイを向上させるための新しい複雑なシス

テムを築き上げるレベルまでが含まれる。

イニシアチブ行動を起こすことに対する強い指向。職務で要求され期待されている以上のことを実行し,誰からも求められていないことを遂行し,その結果,職務上の成果を向上させ,補強し,問題を回避し,さらに新しい機会を見つけたり生み出すことに貢献する。

情報探求状況を「額面どおり」に受け取らずに,さらに多くの情報を得ようとする意欲。生来の好奇心や,物事,人間,課題についてもっと知りたいと願う欲求が情報探求を後押しする。

支援と人的対人関係理解他の人たちを理解したいという願望にもとづく。他の人たちの言葉に表われなサービスい,ないしは部分的にしか表わされていない考え方,感性,懸念を正確に間き取

り,理解する能力を指す。

、顧客サービス重視他の人たちのニーズに応え,支援し,サービスを提供したいという願望を指す。イ顧客やクライアントのニーズを発見し,満足させる努力に専念すること。

対人影響力インパクトと影響力他の人たちが語り手の考え方を支持してくれるように,他の人たちを説得し,信服させ,印象付ける意思,あるいは他の人たちに特定のインパクトや効果を与える願望を指す。

組織の理解自分自身の組織,あるいは他の組織内のパワー関係を理解する能力を指す。

関係の構築職務に関連する目標の達成に貢献している人たち,将来貢献してくれるであろう人たちと接触して,友好的であたたかい関係やネットワークを築き,維持すること。

マネジメン他の人たちの開発インパクトと影響力の特別な形態であり,意図は,1人または何人かの人を教育卜能 力し,開発を促す点に求められる。

指揮命令:自己表現力とある個人がその願望に他の人たちが従うことを促す意思の表明。個人に備わるパ地位に伴うパワーの活用ワーや個人の地位に備わるパワーを,組織の長期的な成功を念頭に置いて効果的

かつ適切に活かすことが求められる。

チームワークと協調他の人たちと協力して働き,チームの一員となって他のメンバーと助け合うという純粋な意思が要求される。

チーム・リーダーシップチーム,あるいは他のグループのリーダーとしての役割を担うことに対する意思を指し,他の人たちをリードしたいという願望を伴う。

認識力分析的思考 ある状況をさらに細かい部分に分解して理解する。あるいは状況に含まれる意味を段階的に原因を追求する形で追跡することを指す。

概念化思考各部分をまとめて状況や問題を理解し,大きな絵を描き出す能力を指す。

技術的・専門的・経営的職務に関連する知識の体系(技術職専門職,マネジメントの分野が含まれる)を能力マスターすると同時に,職務に関連する知識をさらに発展させ,他の人たちに伝

えていくモチベーションを備えていることが求められる。

個人の効果セルフ・コントロール他の人たちからの反対や敵意に出会ったとき,あるいは強いストレスのもとで働特性くときに,自分の感情をコントロールし,破壊的な行動に走る誘惑に打ち勝つ能

力を指す。

自己確信タスクを達成する自分自身の能力に対するその個人の信念,確信を指す。次第に挑戦を高める状況に対応し,意思決定や意見の形成を行ない,失敗に対して建設的に対応する確信を示す行動が含まれる。

柔軟性さまざまな状況,個人,グループに適応し,効果的に仕事を進める能力を指す。また,ある課題に対するさまざまな,相反するものの見方を理解し,評価する能力,さらに自分の組織や職務要件の変化に応じて自らを適応させ,変えていく能力を含む。

組織へのコミットメント組織目標を追求し,組織のニーズを満足させる形で,個人の行動を組織のニーズ,プライオリティ,ゴールに整合させる能力と意欲を指す。

宗村美江子(2007).チーフナースのコンピテンシー-虎の門病院におけるコンピテンシーモデルの開発とその活用一.

看護管理,17(10),843-850

§

技術者/専門職

(第13章)

セーノレス

(第14章)

人的サービス

(第15章)

スタッフ マネジャー

皇で

圃幽達成とアクション三三認識力

ロ支援・サービス重視=マネジメソト能力

函対・人影響力 ロ個人的効果特性

図16-13つの専門職とその管理職におけるコンピテンシー群の頻度の相対的比較

ウエ イ ト

YYYYXX

XxxXXX

ヌヌヌヌ

YYYX

xxXX

ヌヌY

XX

XX

XX

XX

XX

最低必要要件

表16-1管理者の一般的コンピテンシー・モデル

コンピテンシー

インパクトと影響力

達成重視

チームワークと協調

分析的思考

イニシアティブ

人の育成(ほかの人たちの開発)

自己確信

指揮命令/自信

情報探求

チーム・リーダーシッ.プ

概念化思考

(組織の理解と関係の構築)

専門能力/専門知識

ライル.M・スペンサー、シグネ。M・スペンサー.(2011).

コンピテンシー・マネジメントの展開[完訳版],梅津祐良他訳.生産性出版 254-255

2013/8/24日本看護管理学会教育委員会垂』’、13/8/24上

表2.看護管理者を対象としたコンピテンシー・ベースのトレーニング・プログラム(案)

コンピテンシー・クラスター 内容方法

(原則としてチームでの

学習)

<モジュール1>

導入(1日間)

<各コンピテンシーの定義の理解と自己診断>コース全体の説明、参加者同士での挨拶、チームの形成、各コンピテンシーの定義の理解と自己診断

講義・自己診断

<モジュール2>達成とアクション(2日間)

個人が実際に職務を達成することに焦点化し行動する力

<課題設定と解決のための戦略立案>1日目:チームでの演習(主催者が作成した事例について、

課題設定し戦略立案(情報探索を含む)をする)2日目:プレゼンテーションと討議 事例検討

<モジュール3>支援と人的サービス(2日間)

対人関係理解と顧客サービスの重視

<カウンセリングとコーチングの理解>1日目:コーチングとカウンセリングの講義2日目:事例をもとにした演習

場面①:クレームをつける患者の家族への対応場面②:理不尽なことを言うスタッフへの対応

講義・ロールプレイ

<モジュール4>

対人影響力(1日間)人々を説得し印象づけ、特定のインパ

クトや効果をもたらそうとする力

<自部署の組織図をもとにパワーバランスの分析>自部署の組織図をもとにパワーバランスを分析する

討議

<モジュール5>マネジメント能力(2日間)

人々を促し、チームワークを促して、

具体的な結果を生む出す能力

<日常的な場面でのマネジメント・プレゼンテーション>主催者が行うロールプレイ(管理者として非効果的なふるまい)を見て、受講生が課題抽出する。受講生が効果的なふるまいを考え、シナリオの作成とロールプレイを行う1日目:病棟ミーティング(病棟再編についてスタッフに伝える)2日目:スタッフとの面接(病棟再編に伴う異動について伝える)

事例検討・ロールプレイ

<モジュール6>認識力(2日間)

概念化能力と分析的思考力

<複雑な状況の分析と概念化>1日目:問題が複数発生する無秩序な事例を分析する2日目:概念化し統合する

事例検討

<モジュールフ>

統合(2日間)

<複雑なケースの分析と統合>1日目:受講生自身が抱える困難事例について各自で分析する2日目:困難事例について自分がどのように取り組むか、

ミッションと目標を発表する 事例検討

<モジュールS>

実践評価(2日間)

<自部署での実践をふまえた評価(半年後)>困難事例に、どのように取り組み、解決したかについてパワーポイントを用いてプレゼンテーションする

討議

☆プログラムの特徴

①看護管理者のコンピテンシーにフォーカス

②学習者中心のアクティブラーニング

③オリジナル教育ツール

④短期集中学習

⑤6か月後フオローアップ

毎L

日本看護管理学会教育委員

会では、新任看護管理者を対

象とした看護管理研修プログラムの開発の研究をして

います。

開催予告!″一

*日程と研修内容

2014年

。6/7(土)

導入

。6/13(金)。14(土)

達成とアクション

・6/20(金)。21(土)

支援と人的サービス

.6/28(土)

対人影響力

。7/4(金)。5(土)

マネジメント能力

。7/11(金)。12(土)

認識力

。7/18(金)“19(土)

統合

2015年

。1/16(金)。17(土)

実際の応用

ライル。M・スペンサーとシグネ。M・スペンサー著コンピテンシーマネジメントの

展開完訳版に基づくコンピテンシーベースのプログラムです。

コンピテンシー ベースのトレー ニング (試行事業)

鯵研修日程2014年6月。7月,2015年1月全14日間(60時間)全日10時~16時

鐘場所聖路加看護大学2号館東京都中央区築地3丁目8-5地下鉄日比谷線「築地」下車徒歩1分

霧募集人数30人

鯵参加費無料

鯵応募資格学会員十看護師長経験3年以内(2014年6月時点)

鯵参加条件全日程参加可能なこと

鐘研究試行事業に協力いただけること所属組織の承認を得ていること

日本看護管理学会教育委員会主催

看護管理者研修プ画グラム

日本看護管理学会教育委員会

連絡先菊本

一画画一

要領は2013年12月に本学会ホームページに掲載します。

e刊ail:janap@redcrossoaCjp

東京都渋谷区広尾4‐1‐3

日本赤十字看護大学内