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CAESARCenter for Advanced Engineering Structural
Assessment and Research,Public Works Research Institute
国⽴研究開発法⼈⼟⽊研究所構造物メンテナンス研究センター
道路橋の安全管理の司令塔道路橋の安全管理の司令塔
構造物メンテナンス研究センター (CAESAR) は、⼟⽊研究所の5つの研究組織の1つです。⼟⽊研究所は、⼤正10年に内務省⼟⽊局に道路材料試験所が発⾜したことに始まり、国の研究機関、独⽴⾏政法⼈、そして国⽴研究開発法⼈として90年の歴史を有します。その間、今⽇に⾄るまで、構造物の建設に関わる技術基準の策定、技術開発、災害対策の司令塔として無くてはならない存在となりました。
⽇本の⼟⽊構造物は、厳しい交通需要や⾃然環境にさらされてきただけでなく、⽼朽化が始まっており、構造物の健全性を評価し、維持管理・更新する技術の確⽴を急ぐ必要があります。
そこで、⼟⽊研究所は、研究組織を改組・発展させ、新設橋梁の設計施⼯、維持管理技術の⾼度化、⻑寿命化、これらに伴うトータルコスト縮減、災害時復旧の更なる迅速化をはじめとする、道路橋の安全管理のための構造技術に関わる総合研究機関であるCAESARを2008年4⽉1⽇に設置しました。
1.現場の⽀援損傷・変状の発⽣といった技術的課題を抱える個別橋の診断・処⽅など現場の技術⽀援を⾏う。また、この過程で蓄積された知⾒をとりまとめ、現場技術者等へ還元する。
2.研究開発既設橋に対して、通⾏⽌めをさせず橋としての機能を保持させる「計画的な保全」と、落橋させず利⽤者の安全を図る「安全管理」の2つを⽬的として、橋の社会的重要度や求められる管理レベルに応じた技術の開発を⾏う。特に、撤去橋などの既設橋を活⽤して⾏う調査研究を「臨床研究」と称して重点的に実施する。
表紙の写真上段左 = PC橋下床版に⽣じたPC鋼線の腐⾷ 上段右 = 鋼橋の主桁に⽣じた疲労⻲裂下段左 = ASRによる被害を受けたRC橋 下段右 = 東北地⽅太平洋沖地震における津波による落橋
⽊曽川⼤橋のトラスの破断
1995年兵庫県南部地震における阪神⾼速3号神⼾線の倒壊
<CAESARの使命>
1
また、⼤規模な地震等に対して安全安⼼な社会を実現するため、耐震性の⾼度診断・評価技術、補強対策技術、損傷橋の機能回復技術等の開発を⾏う。これらの研究成果について、技術基準その他の技術資料に反映・公表する。
3.情報交流の場維持管理技術の集積拠点として、現場の道路管理者や⼤学、⺠間、海外の機関との連携を通じて、最新の技術情報が集まり、技術交流・情報発信が⾏える場を整える。また、広く技術者や研究者を受け⼊れ、ともに問題解決に取り組むとともに、⼈材の育成を継続的に⾏う。
CAESARの組織CAESARの組織
CAESARは、橋梁のメンテナンスに関すること、⼟⽊構造物の地震被害の防⽌、軽減に関すること、橋梁の上部構造、下部構造及びその他コンクリート構造に関する技術開発、研究を⾏います。橋梁の補修、健全性予測評価、点検・検査技術、また、設計施⼯や耐震設計、これらを統合する総合的な維持管理体系に関する専⾨技術者・研究者からなる総合⼒に富む組織です。また、道路管理者から緊急かつ集中的に⾼度な技術協⼒が求められる課題については、専従の専⾨対策ユニットを臨時で編制するなど、柔軟性を有しています。
なお、橋梁に関して必要な研究のうち、⼟を含む材料の性質に関するもの、塗装に関するもの、また、寒地特有の事象が主であるものについては、CAESARの⽅針・コーディネイトのもと、⼟⽊研究所の総合⼒を活かし、つくば中央研究所、寒地⼟⽊研究所からの併任職員と⼀体となり研究を実施したり、関連分野との連携を図りつつ課題の解決を図っています。
2015年8⽉1⽇現在在籍研究者数 職員 24名、専⾨研究員 2名、交流研究員 18名研究課題数 26件、産官学との連携・共同研究数 21件主な実⼤実験施設 臨床研究⽤撤去部材保管施設、輪荷重⾛⾏試験機、1000kN疲労試験機、
部材耐震載荷試験機、30MN載荷試験機
英語略称について常に斬新な政策のもと、確かなグランドデザインにより1000年にも及ぶ⼤ローマ帝国の礎を築いた英雄 Gaius Julius Caesar (ラテン語ではカエサル、英語ではシーザーと読みます) にちなんでいます。
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⼟⽊研究所
つくば中央研究所
⽔災害・リスクマネジメント国際センター (ICHARM)
寒地⼟⽊研究所
橋梁構造研究グループグループ⻑上席研究員 (管理システム・下部構造担当)上席研究員 (補修技術・耐震技術担当)上席研究員 (予測評価技術・上部構造担当)上席研究員 (検査技術・コンクリート構造物担当)必要に応じた臨時専⾨対策ユニット
構造物メンテナンス研究センター (CAESAR)
耐震研究監
先端材料資源研究センター (iMaRRC)
供⽤中の橋に関する相談依頼
亀裂
地域拠点
ブロック拠点
CAESAR
⾏政等への技術⽀援実績 ― 供⽤中の橋の安全性に関わる相談が⼤半を占める
アメリカやカナダでは、ある⽇突然橋が崩落し、犠牲者を出すという事態がすでに発⽣しています。橋を守るためには、⼈の病気と同じように、症例と検査技術、治療の試みとその結果をできるだけ蓄積し、分析することが重要であり、今、まさに取り組みが始まったところです。
しかし、⾼度な技術案件については、個々の⾏政機関がそれぞれに知⾒を蓄積することに限界があります。また、それぞれの⾏政機関が技術開発や基準の整備を⾏うことは、効率的でなく、新たな事態への対処が遅くなります。そこで、各⾏政機関の情報を集約し、そして問題への対処を⽀援するための組織としてCAESARが中央に整備されています。
⽀援・情報研修
情報・相談
⽀援・情報研修
情報・相談
行政機関等への技術支援行政機関等への技術支援
パイルベントの腐⾷・断⾯⽋損
鋼床版で発⾒された⻲裂
⻲裂
全国の道路種別別の橋梁数(2m以上)道路統計年報2014より
コンクリート橋におけるPC鋼線の破断
地震による落橋
ASRによる損傷3
全橋梁約680,000橋
⾼速⾃動⾞国道約7,500橋
約1%
市町村道約568,000橋
約84%
都道府県道約52,900橋
約8%
補助国道約30,300橋
約4%
直轄国道約21,000橋
約3%
技術相談の割合
設計時 施工時 供用後
0% 20% 40% 60% 80% 100%
平成25,26年度 合計
(CAESAR発⾜後)
平成18,19年度 合計
(CAESAR発⾜前)
「荒廃する日本」にしないための研究「荒廃する日本」にしないための研究
アメリカで1930年代のニューディール政策により⼤量に建設された道路構造物では、50年後の1980年代になると、⽼朽化による崩落、損傷、通⾏⽌めが相次ぎ、「荒廃するアメリカ」と呼ばれる状況に陥りました。
わが国の⼟⽊構造物は、昭和30〜40年代 (1955〜1974年) の⾼度成⻑期に⼤量に建設されました。そのため、建設後50年以上を経過した構造物が、今後⾶躍的に増加します。既に、道路橋では、鋼部材の疲労、コンクリート部材の塩害、アルカリ⾻材反応といった耐荷性能に重⼤な影響を与える損傷事例も増加しています。今、⾏動を起こさなければ「荒廃する⽇本」になりかねません。
CAESARは、臨床研究的なアプローチで問題の解決に挑みます。
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5000
10000
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25000
30000
1901~05
1911~15
1921~25
1931~35
1941~45
1951~55
1961~65
1971~75
1981~85
1991~95
2001~04
建設年度
橋梁数
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建設年度
橋梁数
1980年代に多く高齢化
約30年遅れて高齢化
※橋長15m以上の全橋梁を対象
※全橋梁を対象
出典:道路施設現況調査(国土交通省)より作成
出典:(社)国際建設技術協会
検査技術・維持管理システム構造物内部の状態を把握する⾮破壊検査技術、損傷の発⽣と進展を適時に効率的に検知する計測・モニタリング技術など、橋梁の状態を効率的かつ合理的に把握するための検査技術や、情報の蓄積・活⽤技術をはじめとする維持管理システムの研究に取り組んでいます。
健全性の予測・評価・診断技術鋼部材の疲労等、⾼度な診断を必要とする損傷のメカニズム・挙動を解明し、部材の損傷が橋全体系の健全性に及ぼす影響を的確に評価し、最適な対策判断につなげるための研究に取り組んでいます。
補修・補強等対策技術耐久性を向上させ⻑寿命化を図るために提案された補修補強技術が要求性能を満たすかどうかを検証する⽅法、個々の橋梁の状態・条件に即した適⽤性の判断、適⽤⽅法など、対策技術の標準化の研究に取り組んでいます。
臨床研究のフィードバック維持管理しやすい橋への誘導臨床研究を通して得られた経験、知⾒に基づいて、⻑寿命化を図るとともに維持管理しやすい橋の実現に向けて、橋梁構造の改善を図るための研究に取り組んでいます。鋼繊維補強コンクリート (SFRC) による疲労対策
橋の点検⽬指すは⾼度化と簡易化
見えないところを見える化
超⾳波探傷の適⽤性を検証
4
アスファルト舗装局部変形・応力 = 大
SFRC 舗装局部変形・応力 = 小
剛性増
<施⼯例>
〜 橋梁に関する臨床研究に挑戦します 〜
診断
橋の点検の法制化2013年年9⽉に改正道路法が施⾏され、道路の維持・修繕に関する取り組みの強化が図られました。また、道路法施⾏規則の⼀部を改正する省令が2014年3⽉31⽇に公布(7⽉1⽇施⾏)され、5年に1回の頻度における近接⽬視等が道路の点検基準として規定されました。2014年4⽉には社会資本整備審議会道路分科会建議、「道路の⽼朽化対策の本格実施に関する提⾔」がとりまとめられました。また、地⽅公共団体における円滑な点検の実施のための技術的助⾔として、2014年6⽉には「定期点検要領」が策定され、2014年9⽉には地⽅公共団体管理の⽼朽橋梁に「道路メンテナンス技術集団」が派遣され、全国3橋梁で直轄診断が施⾏されました。CAESARでは各地⽅整備局からの要請により技術指導の⽀援を実施しています。
地⽅整備局⾃治体
中央研究機関へ集約情報・撤去橋の部材等
集積・蓄積した情報をフィードバック
5
臨床研究臨床研究
メンテナンスサイクルの構築このような流れを受け、道路橋の安全管理は、
点検 診断 措置 記録 (次の点検)
というメンテナンスサイクルの構築が不可⽋です。点検とは、橋の状態を把握すること、劣化や損傷を発⾒すること、診断とはその程度を把握し、それに続く措置について判断することです。措置とは、交通規制を実施したり、補修などの対策をすることです。既設橋の劣化損傷・変状の要因は多岐にわたるので、実験室で再現するには限界があります。そこで、医学にならい、症例の蓄積、撤去橋解体例の蓄積、標本を⽤いた残存強度実験や補修・補強効果実験の蓄積、さらには、年代別の損傷形態を分析するなどの疫学的分析が必要です。このような、実際の橋を⽤いた⼀連の研究を、『臨床研究』と呼んでいます。
臨床研究そこで、CAESARでは、国⼟交通省国⼟技術政策総合研究所とも連携しながら、道路管理者である国⼟交通省地⽅整備局や⾃治体と協⼒して、橋梁にセンサーを設置して、劣化や損傷の進展を観測したり、劣化や損傷が原因で撤去された橋の部材の収集を⾏っています。
そして、このような臨床研究で得られた最新の知⾒を、国や⾃治体への技術⽀援に惜しみなく投⼊して⾏きます。
道路法
政令
省令・告⽰
橋梁点検要領
点検
措置
記録
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塩害による損傷を受けたトラス橋
⽼朽化した撤去橋梁(ASRによりひび割れた橋脚)
実際に落橋した橋のサンプル
塩害による損傷を受けたコンクリート橋
撤去橋梁の保管・展⽰臨床研究のために収集した撤去橋の部材を、⼟⽊研究所の屋外・屋内施設にて保管・展⽰しています。これらは、⾮破壊検査技術の性能検証フィールドとして提供しているほか、技術者の研修にも活⽤しています。また、研究所の公開にあわせて⼀般の⽅々にも⾒学いただいています。
・損傷状況調査・⽬視調査等による損傷状況
撤去橋の載荷試験
撤去前の載荷試験による全体挙動計測(桁と床版の合成効果、荷重分配等構造解析との⽐較)
撤去橋の⼀部を⽤いての載荷試験
荷重⾞による試験
損傷状況に応じた耐⼒評価技術の確⽴
撤去桁の解剖調査
鋼材の腐⾷状況(外部損傷状況と残存鋼材等)
鋼材の配置(古い時代の配筋法)
コンクリートの状況(塩分量、⻲裂進展状況)
抽出鉄筋の引張り試験(古い時代の材料の強度試験)
解体後、撤去桁の⼀部を⽤いての調査、部材の⼀部を室内へ持ち込んで徹底的に解剖することで損傷状況を把握する。
⾮破壊検査による調査項⽬例・コンクリート部材中の鋼材の配置、腐⾷状況・鋼部材の残存鋼材量
撤去桁での⾮破壊調査
⺠間開発のメンテナンス技術の適⽤性を検証することにより、実⽤的な技術開発が促進する。
撤去橋
実橋に適⽤可能な⾮破壊検査技術の
開発
撤去橋梁を⽤いた臨床研究
・各種⾮破壊検査技術による調査・⺠間へ実橋での調査機会提供
「災害脆弱国家・日本」としないための研究「災害脆弱国家・日本」としないための研究
1995年の兵庫県南部地震において社会基盤施設が受けた甚⼤な被害経験を踏まえ,⼤地震に対する橋の耐震設計や耐震補強に関する研究がさらに進められ、我が国の橋の耐震性も向上してきました。しかし、その後、2004年新潟県中越地震、2008年岩⼿・宮城内陸地震をはじめとする内陸直下を震源とする⼤規模な地震や、2011年の東北地⽅太平洋沖におけるマグニチュード9の巨⼤地震により、まだ多くの検討課題が残されていることも明らかになってきています。また、⾸都直下地震、東南海地震等の⼤地震発⽣の切迫性が指摘されているなか、このような⼤規模な地震に対しても安全安⼼な社会を実現するためには、限られた財政の中で効率的に耐震対策を⾏っていくための技術が必要となります。そこで、構造物の地震時挙動及び地震時における構造物の抵抗特性・脆弱性をより精緻に評価する技術、これを適切に補強あるいは損傷が⽣じた場合に迅速に機能を回復するための技術の開発を⼤きな柱として研究を⾏っています。
2011年東北地⽅太平洋沖地震における古い時代に建設され、未補強だった橋の被害
〜 ⼤地震に対する総合対策技術を開発・結集します 〜
補強済み(被害なし)
未補強
被害→
耐震性の⾼度診断・評価技術現況の橋の状態や橋の位置における地盤条件を適切に評価するとともに、動的挙動、地盤の液状化や流動化が橋としての耐震性能に与える影響など、橋全体系の耐震性能の⾼度診断・評価技術のための研究に取り組んでいます。
補強対策技術限られた資源と時間の制約の下で、⽬標とする橋の耐震性能を確保するために必要となる、構造部材の補強を⾏う技術に関する研究に取り組んでいます。
震災経験のフィードバック耐震性の⾼い橋への誘導震災経験の蓄積に基づくとともに、⾼度性能評価技術、耐震性を向上させる技術に関する研究成果については、基準化・標準化を図り、新設構造物の合理的な設計にも反映します。
開発技術の実験検証7
橋脚の傾斜
基礎の変状により傾斜が⽣じた橋脚の耐震安全性評価及び復旧対策について技術指導を⾏いました(2011年東北地⽅太平洋沖地震)
損傷
⼟⽊研究所が構築してきた耐震補強技術が実証されました(2004年新潟県中越地震)
地震後の早期点検・機能回復技術災害直後の被災地では、地域住⺠の避難、救援物資の輸送などのために交通機能の確保は不可⽋です。地震後に短時間で被災構造物の機能回復を図るための点検、診断、復旧技術の研究に取り組んでいます。夜間や⽬視不可能な状況でも被害の有無を発⾒するための⽀援システムの研究に取り組んでいます。
<⼤規模地震発⽣後の技術⽀援>⼤規模な地震等により被災した橋梁の調査と復旧を⽀援することは、CAESARの重要な役割のひとつです。たとえば、2008年6⽉に起きた岩⼿・宮城内陸地震の際には、余震の中、橋梁の被災調査を実施しています。また、2011年3⽉の東北地⽅太平洋沖地震では、同年8⽉までに180橋を超える橋をのべ150⼈以上により調査を⾏い、津波で被災した橋の復旧⽅法、津波の影響を受けたが流出しなかった橋の供⽤可能性の評価、地震動により損傷した橋の耐震安全性の評価及び復旧対策等について技術⽀援を⾏いました。
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東北地⽅太平洋沖地震で下部構造に損傷が⽣じ、震災後に応急復旧した橋の監視対策への適⽤
4主桁の桁橋が段波状の津波により受ける影響に関する⽔路実験
津波の影響を受ける橋の挙動に関する研究東北地⽅太平洋沖地震における津波による橋の被害を受け、流出した橋及び流出しなかった橋それぞれの挙動メカニズムを⽔路実験や数値解析等を通じて解明するとともに、⽀承部の抵抗特性の評価法や津波による影響を軽減させる対策技術の研究に取り組んでいます。
橋桁
橋脚
照明柱
⼦機被災度判定センサ
親機⾞載端末
無線接続
無線通信中継器 地震被災度判定センサ
津波を模擬した波
橋の模型橋桁の断⾯形状を変化させて実験
橋座部のせん断破壊に対する応急復旧技術(調達が容易なH形鋼を⽤いた応急復旧⼯法)
要求性能の提示、評価の基準化要求性能の提示、評価の基準化
CAESARは、これまでの仕様規定から脱却し、設計・施⼯の精度向上に向けた技術的な努⼒が報われるような、新しい基準体系の実現を⽬指します。個々の要素技術に対して求める性能やそれを満⾜することを検証するための⽅法を基準や指針、 CAESARが出版する技術資料を通じて提⽰します。
輪荷重⾛⾏試験機
1. 信頼性に基づき安全係数や制限値を設定する設計体系を実現するための研究
2. 要求性能を評価するための評価技術の確⽴のための研究。たとえば、
- 床版の疲労耐久性を検証するための輪荷重⾛⾏試験機による標準試験法
- 橋脚柱の地震時変形性能を評価するための標準試験法
などは⼟⽊研究所が開発したものです。
供⽤中の構造物の維持管理 (点検、診断、補修・補強などの措置) や耐震補強の技術についても、将来の標準化や基準化に向けて、様々な技術資料を提供しており、CAESARのホームページから⼊⼿することができます。
個別の既設橋に対してCAESARが技術⽀援を⾏い、問題解決が⾏われた事例についても、広く役⽴てていただけるように、雑誌「⽉刊 ⼟⽊技術資料(発⾏:⼟⽊研究センター)」において「現場に学ぶメンテナンス」というタイトルで連載されていますのであわせて御覧下さい。また、道路管理者のインハウスエンジニアへの技術研修、⺠間研修機関の技術研修、及び広く⼀般の技術者を対象とした各種の技術講習会に、講師を派遣して、道路橋の設計・施⼯・維持管理について講義を⾏っています。
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ナレッジの共有・技術支援ナレッジの共有・技術支援
撤去部材展⽰施設における部材調査実習
実務者向け講習会(⾹川⾼等専⾨学校)
⼟⽊技術資料
国際的な情報収集と連携国際的な情報収集と連携
CAESARは、⽇本の技術を発信するとともに共有する技術課題に関しては海外の機関と情報交換をする、わが国のポータルサイトとして活動しています。先進国の主要な道路網は2度の世界⼤戦以降、急速に整備され、今では建設後50年を超える橋梁が殆どになってきています。その間に、建設時には想定もしなかったような⼤きな⾞両の通⾏や、交通量の増⼤などにより、橋の傷みが激しくなっています。そこで、平成21年には、先進 14カ国による 国際橋梁管理者会議の設⽴に協⼒し、第1回会議に参画しております。また、⽇⽶政府間の「天然資源の開発利⽤に関する⽇⽶会議 (U.S.-Japan Cooperative Program in Natural Resources = UJNR) 」の耐⾵・耐震構造専⾨部会の枠組みの下で、毎年⽇⽶橋梁ワークショップを主催し、橋梁に関する幅広い課題について、⽶国連邦道路管理局 (FHWA)、各州交通局など政府系機関、道路管理者間との情報共有を図っています。その他、ドイツ連邦道路交通研究所 (BASt) 等、海外の政府系研究機関や⼤学と定期的、または不定期に情報交換、技術交流を⾏っています。その他、海外からの要請に応じて、(独) 国際協⼒機構 (JICA) を通じて専⾨家を海外へ派遣するなど、技術協⼒を⾏っています。
第30回⽇⽶橋梁ワークショップ (2014年10⽉、ワシントンDC)
情報発信・交流-技術開発のマネジメント情報発信・交流-技術開発のマネジメント
道路橋の維持管理の技術開発は、補修⼯事を⾏うための⼟⽊技術、補修に⽤いる材料の劣化や損傷を把握するための検査機材やセンサ技術、総合的なアセットマネジメントを⾏うためのソフト技術など、多くの分野にまたがります。また、対象とする材料も、鋼、コンクリート、接着剤や防⾷材料まで多岐にわたります。⼟⽊以外の分野で開発が先⾏する技術もありますが、実際の道路橋の構造安全管理という観点から必要とされる技術の内容、要求される精度や操作性は先⾏する分野が要求するものと必ずしも⼀致しません。そこで、CAESARは、道路橋の構造安全管理に求められる技術開発のニーズについて情報を発信しています。2011年8⽉、構造物メンテナンスに関する各種技術開発を促進させるために、「CAESARメンテナンス技術交流会」を設⽴しました。国、地⽅⾃治体、⾼速道路会社といった施設管理者と、産業界、学界の技術者・研究者が⼀堂に会し、ニーズとシーズが出会う場、最新の技術情報が⾶び交う場となっています。
また、モニタリング技術研究組合(RAIMS)への参加を通じ、モニタリングシステムの現場適⽤のためのマニュアル化を⽬指しています。
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第7回 CAESAR講演会 (2014年9⽉) の様⼦⼟⽊分野以外の機関も含め約500名の⽅にご来場いただきました。
ネパール・ゴルカ地震に対する現地での復興技術⽀援(2015年5⽉)
メンテナンスに関する動向やCAESARの研究成果を知っていただくため、講演会の開催やニュースレターの発⾏を⾏っています。
2015.8.1
お問い合わせお問い合わせ
CAESARでは、道路構造物の設計、耐震補強、損傷等(塩害・アルカリ⾻材反応、疲労等)への対応について、従来蓄積してきた豊富な知⾒をもとに、道路管理者に対する技術指導・⽀援を⾏っています。また、道路構造物の設計、耐震補強、損傷等への対応に関する研究拠点として、必要に応じて産学とともに共同研究を⾏います。これらに関するお問い合わせ先は以下の通りです。
国⽴研究開発法⼈⼟⽊研究所構造物メンテナンス研究センター〒305-8516 茨城県つくば市南原1番地6TEL: 029-879-6773Email: [email protected]: http://www.pwri.go.jp/caesar/index-j.html
施設の貸し出しについては⼟⽊研究所企画部業務課まで、施設⾒学のご希望やその他に関しては⼟⽊研究所総務部総務課までお問い合わせください。
TEL: 業務課 029-879-6754、総務課 029-879-6700
道路管理者
CAESAR
⺠間技術者 学識経験者
技術指導 ⾼度技術案件等
連携、共同研究
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