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Case Study1 グンゼ株式会社 基幹システムのオープン化と ダウンサイジングをめざした 大規模マイグレーションを 2年という短期間で実現。

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Case Study1

グンゼ株式会社

基幹システムのオープン化とダウンサイジングをめざした大規模マイグレーションを2年という短期間で実現。

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グンゼ株式会社様創立

資本金

本社所在地

従業員数

業務内容

1896年8月10日261億円大阪府大阪市北区梅田1-8-17連結8,914名/単体2,229名(2010年3月31日現在)アパレル事業、機能ソリューション事業、ライフクリエイト事業

1896年の創業以来、わが国を

代表するアパレル企業として着実な

発展を遂げてきたグンゼ株式会社

様。近年は主力事業のインナーウェ

アだけでなく、機能資材(プラスチッ

ク・エンプラ・電子部品・メディカル)

などの非アパレル分野においても目

覚ましい業績をあげています。さら

にグローバル展開も積極的に進めて

おり、海外での生産比率はすでに5

割以上、販売面でも着々とグローバル

戦略を強化しています。

このように事業内容が拡大するな

か、グンゼ様は従来のメインフレーム

による基幹システムをダウンサイジ

ングし、オープン化することを決断。

グンゼ様の情報システム部門と日本

ユニシスの合弁会社「G&Uシステム

サービス株式会社」が主体となった大

規模なマイグレーション(移行)プロ

ジェクトによって、2010年4月、

無事に新システムへの移行が完了。

オープン基盤の上で、世界を見据え

たさらなる飛躍への一歩を踏み出し

ました。

1965年の大型汎用機「U

NIVAC

1004

」の導入以来、グンゼ様は情報処理

のコンピュータ化にいち早く取り組んで

きました。1980年代には「U

NIVAC

1100

」を核とする基幹システムを構築

し、事業活動におけるあらゆる業務の合

理化を推進。この間、日本ユニシスは機器

ベンダ、システムインテグレータとして、一貫

してグンゼ様のITサポートを担当して

きました。そして2005年、グンゼ様の

情報システム部門と日本ユニシスのサポー

ト部隊を統合した形で設立されたのが、

合弁会社「G&Uシステムサービス株式会

社(以下、GUSS)」です。

「GUSS設立には複合的な狙いが

ありました」と語るのは、同社執行役員

CTO&CIOの仲井新一氏です。

「狙いの1つは日本ユニシスとの連携を強化

し、セキュリティ面を含めた当社グループ

のIT力を高めること。次に、情報システ

ム部門が培ってきたIT資産を外販化す

ること。そして、これらに加えたもう1つの

目的が、近い将来、基幹システムを全面的に

„オープン化“していくための体制づくり

です」(仲井氏)

基幹システムのオープン化が求められた

理由の1つは、コストとパフォーマンスの問

題でした。システムの高度化や拡張に伴っ

てITコストが年々増大する一方で、処理

量の増大によって一部業務に遅延が発生し

てきたのです。さらに大きかったのが経営

戦略の観点からの必要性でした。

「非アパレル部門や海外事業のウエイトが

高まるにつれ、世界各地で刻々と変化す

る事業環境に合わせて、ますます柔軟かつ

迅速に対応していく必要が出てきました。

そのため、アプリケーションの追加やシステ

ム要件の変更などに手間のかかるメインフ

レームから、パッケージの組み合わせやコン

ポーネントの再利用によって変化に柔軟

に適応できるオープン環境への移行が必

須のテーマとなったのです」(仲井氏)

こうしてGUSS発足2年後の

2007年秋、「基幹システムのダウンサ

イジングによるオープン化」が正式に決

定。実行部隊としてGUSS内に「DS

開発部」が設けられ、翌2008年4月

からプロジェクトは本格的に始動しまし

た。本番移行時期として設定したのは2

年後の2010年4月。これは当時稼働

中の汎用機「CS7802シリーズ

開発

事業領域の多様化・

グローバル化を背景に

基幹システムのオープン化を決断

「迅速・確実」を基本方針に

膨大なプログラムを精査・変換

鶴海 真治氏グンゼ株式会社 技術開発部

三島 正純G&Uシステムサービス株式会社 代表取締役社長

仲井 新一氏グンゼ株式会社 執行役員 技術開発部長 CTO&CIO

岡野 正幸G&Uシステムサービス株式会社 取締役 第一・第三事業部長

宮内 伸浩G&Uシステムサービス株式会社 第一事業部 システム運用部 部長

グンゼ株式会社様

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コードネーム V

oyager

」のメンテナンス終

了期限が2010年9月だったことによ

るものでした。

そのため「プロジェクト遂行にあたって

は、何よりもスピードを重視した」と、DS

プロジェクト運営委員を務めたグンゼ技術

開発部の鶴海真治氏が振り返ります。

「調達・製造・販売・物流など事業活動の

あらゆる場面に関わる基幹システムを、ま

ともに再構築していったのでは、2年とい

う限られた時間ではとても間に合いませ

ん。そこでまずオープン系のハードウェア・

ミドルウェアの基盤を構築し、その上に現

行システムのプログラムをできるだけ変更

せず、そのまま移し替えていくことを基本

方針にしました。再構築・新構築は新シス

テムの立ちあげ後にじっくり取り組もう

と考えたのです」(鶴海氏)

迅速かつ確実な移行を達成するため、

バッチ系プログラムの移し替えには「スト

レートコンバージョン」が採用されました。

これは、CO

BOL

およびM

APPER

(※)

などメインフレーム向けの言語で組まれ

たプログラムを、専用ツールを使ってサーバ

用のプログラムに変換し、オープン環境で

そのまま使うという方法です。このやり方

であれば、プログラムを1本ずつ書き換え

ていく場合に比べて大幅に時間が短縮で

きます。また、バッチ系以外のリアルタイム

処理プログラムについては、本数がそれほ

ど多くなかったこともあり、CO

BOL

から

オープン系言語へのリライト(再コーディン

グ)を行いました。

このプログラムの移し替えについて、

GUSSシステム運用部長の宮内伸浩が

説明します。

「不要なものをできる限り省くことが大

きなポイントでした。というのも、プログラ

ム変換作業自体は比較的短期間で終わ

るのですが、サーバに移したときに正しく

動作するかを確認する『全数検査』に多

大な時間を要します。ですから、使われて

いない不要なプログラムをあらかじめ除い

ておけば、それだけ時間を削減できるので

す」(宮内)

そこでGUSSでは、グンゼ様の各事

業部門に確認をとりながら、徹底的な「ソ

フトウェア資産の棚卸し」を実施。移行前

に2万本近くあったバッチ系プログラムを

半減、100本程度あったリアル系プログ

ラムも約半数にまで削減、MAPPER

系プログラムも同様に半減させました。

そして、このプログラム移行作業と並行

してオープン系の運用基盤と開発環境を

構築。2009年度の後半からは新環境

での入念なプログラムチェックを実施して

いったのです。

こうして2010年4月、グンゼ様は

新しいオープンシステムを稼働させまし

た。3月の年度末決算については従来の

システムでひとまず通常処理を行い、さ

らに移行後のシステムで再処理を実行し

て、完全に同じ結果が出たことを確認。

2010年5月には旧システムを停止し

ました。

一般的に、こうした大規模なマイグレー

ションのプロジェクトでは、問題の積み残し

や予期せぬトラブル発生で本番移行が遅

れるケースも珍しくありません。しかし、

仮にスタートが1カ月遅れれば数千万円

のコストが発生し、ビジネス面でも機会損

失が起こる可能性があります。このため、

仲井氏も「タイム・リミットの4カ月も前

に、計画どおり立ちあげられたことは大成

功といえる」と、今回のプロジェクトを高

く評価します。

GUSSでは、この„大成功“の要因と

して、2点をあげます。1つめは「事前テ

入念な事前プログラムチェックと

プロジェクト管理が成功要因

※ MAPPER

(マッパー)

日本ユニシスの開発によるエンド・ユーザー・コンピューティング

言語。グンゼ様はM

APPER

の国内最大級のユーザーであり、

各事業部門のシステムに約12300本のM

APPER

系プ

ログラムが存在していた。

移行方式の概要

運用管理データSFSファイル※排他制御有DMS/RDMS

ISAMファイル(マスタ) フラットファイル SAMファイル

(フラットファイル) ISAMファイル

バッチ処理 ホスト環境 バッチ処理 オープン環境

MAPPER1100

運用管理共通処理

運用管理共通処理

業務用シェル実行制御言語

ファイル

プログラム

JOB実行エージェント

業務AP

業務AP

運用管理参照処理 運用管理 Oracleサーバ

データベース接続

FTP

端末エミュレータ

稼働状況のトレース

移行工数削減

ジョブ共通実行方式ファイルの排他制御

実行基盤

コンバータ(移行期間)

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ストを徹底的に行った」こと。

「とくに、最終段階の統合・システムテスト

に関してかなりの工数を費やし、テスト段

階でほとんどの問題点を顕在化できたこ

とが、スムーズな立ちあげにつながりまし

た」(宮内)。

もう1つの要因は「的確なプロジェクト

管理」です。今回のダウンサイジングは、

GUSSが今まで経験したことのない社

員総動員による大プロジェクトであり、し

かも各社員は、旧システムのサポートを遂

行しつつ新システム構築にも携わるという

„二重業務“を抱えることになりました。

同社取締役の岡野正幸はプロジェク

トのスタート当初、「こんな状態で果たし

て全員がベクトルを合わせて組織的に動

けるのか」と不安を覚えたと言います。

「しかし、日本ユニシスの専門家がPMO

(プロジェクト・マネジメント・オフィス)と

して参加、進捗・品質・原価を毎月しっか

り管理し、プロジェクトを支えてくれまし

た。技術面のみならず、管理面でのこうし

たサポートがあったからこそ、これだけの大

規模プロジェクトを機能的に動かすことが

できたと考えています」(岡野)

新システムの稼働から約半年、その効

果は徐々に現れ始めています。目に見えて

向上したのは処理スピードです。

「決算などのバッチ処理に要する時間は大

幅に短縮しましたし、これまでギリギリに

なることが多かった出荷処理に余裕がで

きたなど、現場レベルでも効果が現れてい

ます」(鶴海氏)

もちろんコスト面も、メインフレーム時代

に比べると大きく改善しています。ただし、

「本当のダウンサイジングの成果が求めら

れるのはこれから」だと仲井氏は言います。

「オープンのシステム基盤が整った今後は、

業務の仕組みそのものの再構築に着手す

るつもりです。すでにこの10月からネット

販売のシステムを刷新していますが、ほか

にも変えたいものは少なからずあります。

移行段階では時間的制約のために見送っ

たそれらの課題にも順次取り組んでいき

ます」(仲井氏)

さらに、今後のさらなるグローバル展開

においても、オープン環境のメリットを最

大限に活かしていきます。

「現在構想中の企業内クラウド『GGCS

(グンゼ・グローバル・クラウド・システム)』に

よって、世界をリアルタイムで結べる環境

を構築していく計画です」(鶴海氏)

こうしたグンゼ様の動きに対応して、

GUSSもさらなる進化をめざします。

同社社長の三島正純は、今後の方向性に

ついて次のように語ります。

「今回のオープン化に伴って全社のサーバ

数が飛躍的に増えたため、これらを統合

し効率的な運用を図っていきます。また、

グンゼ様のグローバル戦略に即したシス

テムを企画・提案できるよう、この8月に

『企画部門』を新設しました。本来業務

である運用サポート力の充実に加え、優れ

た企画・提案力を備えることで、システム

会社としての価値を高めていきたいと考

えています。また、このプロジェクトで蓄積

したノウハウを活かし、外販に打って出た

いとも考えています」(三島)

今回のプロジェクトの成功を通して、40

数年にわたるグンゼ様と日本ユニシスとの

信頼関係は、一層強いものとなりました。

「日本ユニシスにはこの絆をさらに深め、今

後も当社業務に迅速・的確に対応してい

ただくことを望んでいます。GUSSにつ

いても、日本ユニシスの協力・指導を受け

ながら、IT企業としてさらに成長してい

くことを願っています」(仲井氏)

新たなシステム基盤の上で

事業戦略に応じた再構築を推進

グンゼ綾部本社

グンゼ株式会社様

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Case Study2

株式会社スタートトゥデイ様

最大10Gbpsの回線速度と柔軟な拡張性を実現したネットワークを構築しECサイトの安定稼働に貢献。

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株式会社スタートトゥデイ様創立

資本金

本社所在地

従業員数

業務内容

1998年5月21日1,358,589千円  (2010年9月末時点)千葉県千葉市美浜区中瀬2-6WBGマリブウエスト16F連結273名/単体273名(2010年9月末時点)EC事業

ファッションや雑貨など、ライ

フスタイルを豊かに彩るアイテム

を取り揃えたショッピングサイト

「ZOZOTOWN

」を運営する株式

会社スタートトゥデイ様は、1998

年の設立以来、若い世代から高い支

持を受け、急成長を続けています。

同社では、会員数の増加に合わ

せてネットワークを増強してきまし

たが、ついに、2010年元旦からの

セール時にアクセスが回線の許容量

をオーバー。そこで、回線速度を従来

の1Gbpsから10Gbpsに高め、

かつ柔軟に拡張できる新しいネット

ワークの構築を検討しました。

そこで選ばれたのが、日本ユニシ

スグループのユニアデックス株式会社

が提案する「クロスビームXシリー

ズ」です。ファイアウォールやWAF、

侵入防止システムなどのネットワー

クセキュリティー機能を1つの筐

体に統合し、パッケージ化すること

で高速処理と高い拡張性を実現。

「ZOZOTOWN

」の運営を強力に

サポートし、2010年夏のセールも

問題なく稼働しています。

1300以上のブランドと210以上

のショップを扱う、国内最大規模のショッ

ピングサイト「ZO

ZOTOWN

」を運営する

株式会社スタートトゥデイ様。「世界中を

カッコよく、世界中に笑顔を。」を企業理

念に”高感度ファッション“を届けるEC事

業者としての地位を確立し、2010年

10月現在で会員数は約250万人にの

ぼっています。

こうして順調に成長を続ける同社のビ

ジネスを支えているのが、ショッピングサイ

トのシステムとネットワークです。このた

め、安定したアクセス環境の確保は経営上

の最優先テーマであり、同社は会員数やア

クセス数の増加にともなってWebサーバ

やデータベース、ネットワークの増強を繰り

返してきました。

その結果、2009年末までにネット

ワークの回線速度は1Gbps(※)を確

保し、平常時はほぼ問題なく運用してい

ました。しかし、2010年元旦にスタート

した冬のセールで一斉にアクセスが集中し

たところ、Webサイトの動作が遅くなり、

ページの表示や切り替わりに数十秒かか

るという事態が生じたのです。

同社のシステムを統括する大蔵峰樹氏

が、当時を振り返ります。

「ZOZOTOWN

をデパートに例えると、ネッ

トワークは玄関口、Webサーバとデータ

ベースが、商品をご覧いただいたり対応し

たりする販売員やフロアだといえます。ど

ちらかというと、当社はこれまで販売員や

フロアを中心に強化してきました。しかし、

今回のトラブルは、大勢のお客様が玄関前

まで来てくださったにもかかわらず、入口

が狭くて入りきれなかったという状態で

す。これではいくら広いフロアを用意して

も意味がありません。多くの会員様にご迷

惑をおかけしましたし、当社にとっても大

きな販売機会の損失となりました。そこ

で、入口をさらに広げるための改装工事が

必要だと判断したわけです」(大蔵氏)

その時点で、同社の会員数は1年前に

比べて2倍に増えていました。この伸長率

を考慮すると、その後のセールでも同様

の問題が起きることは明らかでした。そこ

で同社は、セールが終了すると同時に、1

Gbpsの回線を10Gbpsにするという

ネットワークの大幅増強プロジェクトに着

手。2010年2月には、ネットワークイン

フラに強みをもつ複数のシステム会社か

ら提案を募りました。

セール時のアクセス集中に

耐えられるネットワーク構築を検討

※Gbps

Gigabit per second

の略。通信速度の単位で、1Gbpsは

1秒間に10億(1ギガ)ビットのデータを伝送できることを

表す。

大蔵 峰樹氏創造開発本部 システム部 ディレクター

荻原 直也氏創造開発本部 システム部

株式会社スタートトゥデイ様

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こうして始まったプロジェクトは、10G

bpsのネットワーク構築が最大の目的で

はあったものの、回線速度さえ実現できれ

ば良いというものではありませんでした。

ネットワークに求めた要件について、プロ

ジェクトリーダーを務めた荻原直也氏が語

ります。

「1つは拡張性です。当社はまだまだ発展

途上ですから、これからも成長スピードに

合わせて柔軟にネットワークを変更・拡張

していかなければなりません。また、変更

や拡張にあたって、システムを一時的に停

止する『ダウンタイム』をいかに短くできる

かも大きなポイントです。ダウンタイムは

売上のロスに直結しますから」(荻原氏)

この観点から、同社はこれまでもネット

ワーク増強時のダウンタイムを短くする

ために工夫してきました。それが「ネット

ワーク機器を丸ごと買い換える」という

方法です。通常、ネットワークは、ファイア

ウォールやWAF(※)が搭載された単機能

のネットワーク機器を複数台つなぎ合わ

せて構成されており、拡張にあたっては一

部の機器を変更・追加する方法が一般的

です。この場合、既存の機器との接続検

証やテストが必要となるため、ダウンタイ

ムが生じます。

しかし、機器をすべて買い換えれば、既

存のネットワークを動かしながら同時並

行で新しいネットワークを組み、一気に切

り替えることが可能です。同社はこの方

法によってダウンタイムを数時間から1日

程度に抑えていました。

「つまり、拡張というよりは、何度もネット

ワークを再構築してきたという方が近いか

もしれません。ただし、この方法もそろそ

ろ限界だと感じていました。一番の課題は

コストです。当然ながら、毎回ネットワー

クを丸ごと買うとそれなりのコストがかか

りますし、10Gbps以上のスペックをもつ

ネットワークはミドルクラスとは比較に

ならないほど高額ですから、1Gbpから

10Gbpsに拡張すればなおさらです。従っ

て、今回は、拡張の方法自体を見直せるよ

うな提案を期待していました」(荻原氏)

しかし、各社から上がってきた提案は、

抜本的な解決策とはなり得ませんでし

た。そもそも、10Gbpsという回線速度

を実現できるハイスペックな製品は市場に

出ている種類が限られているため、各社の

提案は、それらをどう組み合わせるかとい

う違いにとどまったのです。

「もちろん、提案が似通ってくることは予

想していましたし、私たちもそれ以外の選

択肢はないと思っていましたから、あとはコ

スト面の比較だと考えていました。そんな

ときに、ユニアデックスから『クロスビームX

シリーズ』の提案があったのです」(荻原氏)

クロスビームXシリーズは、「箱の中に

ネットワークをつくる」という画期的な発

想で設計されたネットワークシステムで、

ファイアウォールやWAF、侵入防止シス

テム、ロードバランサーなどが1つの筐体

に統合されています。筐体の中にファイア

ウォールやWAFのブレードを差し込む

だけで機能を追加することができ、拡張

時にネットワークを止める必要がありま

せん。また、ネットワーク機器が1台にパッ

ケージ化されているため、電力消費量も約

半分に削減することができます。海外で

は、通信や金融、製造などの大企業を中心

に、900社を超える導入実績があり、国

内でも通信事業者に採用されています。

しかし、提案された当初は「戸惑いを感

じた」と荻原氏は話します。

「クロスビームという名前も知らなかった

し、大手の通信キャリアや金融機関が採用

していると聞いて『そこまでのハイスペック

高い処理能力と拡張性を備えた

クロスビームXシリーズを採用

クロスビームXシリーズと一般的なネットワークとの比較

1つの筐体に包合

インターネット

一般的なネットワーク

ユーザー

ロードバランサー

ロードバランサー

スイッチ ロードバランサー

ファイアウォール WAF

スイッチ ロードバランサー

インターネット

クロスビームXシリーズを使ったネットワーク構成

ユーザー

ロードバランサー

ロードバランサー

クロスビームXシリーズ

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が必要か』という意見もありました。正直、

最初はまったく眼中になかったといえるで

しょう。しかし、ユニアデックスの説明を聞

くうちにその能力の高さに興味をもちま

した。とくに拡張性とダウンタイムのこと

を考えると、ブレードを差すだけで機能を

追加できるという点は何物にも代えがたい

魅力でした。また、差し込むアプリケーショ

ンを選択することができ、既存のネット

ワークで使っていた信頼性の高いWAFを

使えるところも安心でした」(荻原氏)

また、同社がユニアデックスをパートナー

に選んだ理由は、クロスビームXシリーズの

スペックの高さ以外にもあったといいます。

「まず、提案力が優れていたことです。実

は、最初の段階では他社と同じようなネッ

トワーク構成を提案してきたのですが、い

ろいろと話をするなかで『こんなものもあ

りますよ』と、クロスビームXシリーズが出

てきたのです。先ほどお話ししたように、

我々も最初は検討の範囲外に置いていたほ

どですから、ユニアデックスがこの案を提示

してきたということは、それだけニーズの本

質を捉えていたということでしょう。また、

当社が迷ったときにはいくつか選択肢を用

意してくれるなど、プランの立て方にも提

案力の高さを感じました」(荻原氏)

また、大蔵氏はサポート力も重視したと

いいます。

「当社は、取引先とは長いお付き合いがし

たいと考えています。ですから、導入時だ

け一所懸命に取り組むのではなく、稼動

後にトラブルが発生したときにも責任を

もってサポートしてくれる会社を求めてい

るのです。ユニアデックスに関していえば、

豊富なサポート実績も安心材料の1つで

はありましたが、それ以上に当社への対応

を見ていて『ここなら大丈夫だろう』と思

わせるものがありました」(大蔵氏)

こうしてクロスビームXの採用が決定

し、ユニアデックスによる新ネットワークの

構築がスタート。6月25日にスタートする

2010年夏のセールに間に合わせるた

め、6月中旬に移行が完了しました。通信

事業者以外では、国内初のクロスビームX

シリーズ導入事例です。

「当社がアドレス体系などの要件を決めた

後は、基本的にユニアデックスにすべてお任

せしたのですが、プロジェクト進行はスムー

ズで何の問題もありませんでした。ネット

ワークが稼働した今も、信頼できるパート

ナーだという印象は変わっていません」と

荻原氏は評価しています。

クロスビームXシリーズを用いた新ネッ

トワークシステムは、2010年夏のセー

ルも問題なく稼働し、現在までトラブル

もありません。しかし、「本番は冬のセー

ル」だと大蔵氏は話します。

「冬のセールは、通常、夏に比べて2倍以上

のアクセスがあるのです。これに備えて、

12月にはWAFのブレードを追加する予

定です。ブレードを差し込むだけで機能を

拡張できるというクロスビームXシリーズ

の強みが、さっそく試されますね。ダウン

タイムも短くて済むのではないかと期待

しています」(大蔵氏)

同社では、今後、Webアプリケーショ

ンなど”デパート内部“の充実を図る予定

です。

「その結果、当社が想定している以上のス

ピードで会員が増えていくかもしれませ

ん。そうなれば、またネットワーク上の課

題が出てくる可能性もありますから、ユニ

アデックスには、さらに効率的でコストメ

リットが高いネットワークのあり方を提案

してほしいですね」(大蔵氏)

ユニアデックスに対する

信頼感も選定のポイント

さらなるアクセスが見込まれる

冬のセールに備えて機能追加

※WAF

Webアプリケーションファイヤーウォールの略。一般的なファ

イアウォールでは防ぐことができないWebアプリケーション

層への攻撃を専門に防御するソフトウェア。

株式会社スタートトゥデイ様

日本最大級のファッション通 販 サイト