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1
タコの吸着原理を模倣した
汎用真空吸着グリッパ
関西大学 システム理工学部 機械工学科
助教 高橋 智一
2
グリッパを用いて実現したいこと
対象物 対象物
凹凸があっても
吸着できる
球面に沿って
吸着できる
傾いていても
吸着できる
ハンド
ロボットアーム
工場等における部品の搬送
食品の箱詰め
外壁診断用ロボット
水中での物体搬送
応用
柔軟な汎用グリッパ
3
従来技術
○ 細かい動作が可能
× 構造、機構が複雑
× コストが高い
S.C. Jacobsen et al., Proc. of IEEE International Conference on Robotics and Automation (1986) p. 1520.
http://www.schmalz.co.jp/products/vacuum-components/suctionpads/suctionpad-metal.html#c13851
多指ハンド
○ 原理が単純(低コスト)
× ごみに弱い
× ハンドに柔軟性がない
× バルブ制御が複雑
吸着パッド + 真空発生器
相変化を利用したグリッパ
○ 構造、機構が単純
○ 多様な形状を把持できる
× 単独ではハンドよりも
大きな物体を把持できない J. R. Amend et al., IEEE
TRANSACTIONS ON ROBOTICS, vol. 28
ジャミング転移効果の利用
http://www.teijin-eng.co.jp/telpyohand/
帝人エンジニアリング Cornell University, and
The University of Chicago
4
新技術の提案:タコの吸盤の模倣 タコの腕は柔軟であり
吸盤の吸着力が高い
1 mm
外部筋肉
臼蓋窩
(吸盤部)
漏斗部 断面図
W. M. Kier and A. M. Smith, Intl. Comp. Biol., 42 (2002) 1146.
対象物
Frank Grasso, “Sensational sucker,” Scientific American, pp. 60-61 (Oct. 2010)
押付 吸着 真空破壊
漏斗部を広げて
対象物に密着させる
吸盤部の筋肉を動かし
内部空間を広げる
→内圧が下がる(吸着)
吸盤部の筋肉を緩め
内部空間を元の体積に戻す
→内圧が上がる(脱着)
タコの吸盤を模倣した
吸着汎用ハンドの提案
5
提案する新技術の構造
三方向弁 脱着の制御用
真空ポンプ
真空計 P
吸盤
粒子
フィルタ
冶具
エラストマ
対象物形状に沿う柔軟性、
排気後のハンド形状維持の実現のため
真空吸着による把持ができるので
グリッパよりも大きな物体も把持可能
グリッパ (断面図)
6
吸着動作(提案する新技術)
真空排気
膜が変形する
押付
→ 吸着する ゴムが対象に沿って
変形する
ゴム容器
吸盤 (膜)
粒子
フィルタ
治具
対象物
搬送
真空排気
真空排気をした状態で
対象を搬送する ハンドが固くなる
(ジャミング転移)
真空排気
密閉空間
ハンド内を排気する(Pi が小さくなる)
圧力差で膜が変形する(Ps > Pi) ↓
密閉空間の体積が増える(Ps が小さくなる) ↓
圧力差で物体に吸着する(Ps < Po) ↓
7
脱着動作(提案する新技術) 搬送
真空排気
真空排気をした状態で
対象を搬送する
空気供給
脱着
ハンドが柔らかくなる
真空排気
密閉空間
8
グリッパの作製法
グリッパの直径 50 mm
吸盤の直径と個数 6 mm, 21個
ゲージ圧 −80 kPa
金型A
金型A
金型B
シリコーン
ゴム
フィルタ
ガラスビーズ
冶具
金型AにPDMSを流し込む。
このPDMSが膜となる。
金型Bをはめ込み、
PDMSを隙間に流し込む。
PDMSを硬化し
型から取り出す。
PDMSの内部に
フィルタを取り付ける
内部にガラスビーズを入れる。
フィルタおよび冶具を取り付ける。
10 mm
9
グリッパの吸着性能
最大吸着力
押付力(対象物への負荷)
35 N
6 N
最小曲率半径 15 mm
質量120 g
半径15 mm
質量120 g
30×30×50 mm
質量3.5 kg
200×280×100 mm
発表当日は動画にて紹介します
吸着にかかる時間 約1秒
10
傾いた瓶の把持
曲率半径 38 mm,質量 0.8 kg,傾き 30°(ゲージ圧:−80 kPa)
発表当日は動画にて紹介します
11
平面物体の把持
質量 3.5 kg(ゲージ圧:−80 kPa) 発表当日は動画にて紹介します
12
押付力の低減
0
10
20
30
40
肉厚 5 mm 肉厚 3 mm
32 N
6 N
押付力
[N
]
肉厚
肉厚を半分にすると
押付力を20%にする
ことに成功
押付力を下げるにはグリッパの
肉厚を薄くし、柔軟にすることが重要
⇔ 耐久性の問題
13
実用化に向けた課題
押付力を下げつつ、グリッパの耐久力を向上させる。
グリッパの肉厚を薄くすることにより押付力は小さくなるが破れやすくなる。現在、使用しているシリコーンゴムよりも柔軟で破断しにくいエラストマを使用し、高い耐久性と柔軟性、および小さな押付力を実現する。
吸盤の漏斗構造を加えるなどして、吸盤と対象物の密着性を上げ、吸着の信頼性を向上させる。
圧力センサを加え、吸脱着を判断できるようにする。
14
企業への期待
低ヤング率のエラストマ材料を開発している企業
加えて、その材料を薄くする、任意の凹凸形状を付与できる加工技術をもつ企業(厚さは1 mm程度が望ましい)。
搬送技術を開発している企業
金型作製や3次元加工技術をもつ企業
(グリッパは金型を用いた注型法により作製している)
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本技術に関する知的財産権
発明の名称 吸着機構
出願番号 特願2014-90944
出願人 関西大学
発明者 高橋智一
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お問い合わせ先
関西大学 社会連携部 産学官連携センター
TEL 06-6368 - 1245
FAX 06-6368 - 1247
e-mail [email protected]
[担当]
先端科学技術振興機構
コーディネーター 木村 浩