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商学研究第48 巻第23 4 ・世r 冒岡 . x 謝辞 (101) 人類存亡の密教的危機管理 田秀雄 今春,愛知学院大学商学部 ・同大学院を退職された立花得雄博士 ・教授には,長い間,公私ともに お世話になりました。 ここに衷心より御礼申し上げます。 研究の面では, ドイツ語の専門書の共訳などの教授主導の共同研究を通じて,随分成果を挙げること ができました。 この学術的なご縁に改めて満腔の謝意を表する次第です。 日常生活の面でも,赴任した時の当座の住宅の手配などに親身になって動いて下さったことなどを今 でも昨日のように鮮明に憶えています。 人情味溢れるご誠実な先生には,今後共.ますますご健康に留意され,そ してご令室様ともども,長 寿を全うされますことをご祈念申 し上げます。 要旨 目次 I 問題提起 E 人類の危機的状況 マイト レーヤ/弥勅菩薩の出現 W 宇宙エネルギーと光線 V 真我/モナッドの所在 VI 人類の意識の進化 霊性の育成 奉仕と協力 医伝導眠想 X 帰結 合掌 近年地球規模の不都合な天変地異や陰湿なテロの報道に接し周囲はただならぬ気配を感じている。 また, 日本国内に限ってみても,国民不在の政争の愚と 化 した政治,止まない官公庁の汚職,腐敗そし て堕落,時と所を選ばぬ突発的な殺人や傷害事件, ATMを悪用した卑劣な詐欺の横行,食の安全を脅 かす種々の偽装の発覚などに潜む,人心の荒廃ぶりに,今や国民は怒り 心頭に達している。 2008 7 9 日北海道洞爺湖サミットで総括された不安材料も 一部重複するが,危機感をいっそう募ら

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商学研究第48巻第2・3号

吾4 ・世r冒岡 .x、

謝辞

(101)

人類存亡の密教的危機管理

戸 田秀雄

今春,愛知学院大学商学部 ・同大学院を退職された立花得雄博士 ・教授には,長い間,公私ともに

お世話になりました。ここに衷心より御礼申し上げます。

研究の面では, ドイツ語の専門書の共訳などの教授主導の共同研究を通じて,随分成果を挙げること

ができました。 この学術的なご縁に改めて満腔の謝意を表する次第です。

日常生活の面でも,赴任した時の当座の住宅の手配などに親身になって動いて下さったことなどを今

でも昨日のように鮮明に憶えています。

人情味溢れるご誠実な先生には,今後共.ますますご健康に留意され,そ してご令室様ともども,長

寿を全うされますことをご祈念申 し上げます。

要旨

目次

I 問題提起

E 人類の危機的状況

皿 マイト レーヤ/弥勅菩薩の出現

W 宇宙エネルギーと光線

V 真我/モナッドの所在

VI 人類の意識の進化

四 霊性の育成

田 奉仕と協力

医伝導眠想

X 帰結

合掌

近年地球規模の不都合な天変地異や陰湿なテロの報道に接し周囲はただならぬ気配を感じている。

また, 日本国内に限ってみても,国民不在の政争の愚と化 した政治,止まない官公庁の汚職,腐敗そし

て堕落,時と所を選ばぬ突発的な殺人や傷害事件, ATMを悪用した卑劣な詐欺の横行,食の安全を脅

かす種々の偽装の発覚などに潜む,人心の荒廃ぶりに,今や国民は怒り 心頭に達している。

2008年7月9日北海道洞爺湖サミットで総括された不安材料も 一部重複するが,危機感をいっそう募ら

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2 (102) 商学研究第48巻第2・3号

せている。

本論文の底流にある問題意識こそ,そうした森羅万象や心象風景に密教心理学 (esoteric

Psychology )から一体全体どう関わるべきかということである。

キーワード

マイトレーヤ/弥勅菩薩,仏陀,ベンジャミン・クレーム 覚者アヴァター,シェア・インターナショ

ナル (ShareInternational).宇宙エネルギー, うお座,みずがめ座,光線, ロゴス,進化の大計画,再

生誕の法則,原因と結果の法則11.カルマ,イニシエーション,イニシエート パーソナリティー,真我

/モナッド,魂,イリュージョン,グラマー,直観,霊性,和合,分かち合い,協力,正直,誠実,無

執着,伝導眠想、, ヨガ

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人類存亡の密教的危機管理 (103) 3

I 問題提起

本論文の「要旨」欄で、は特に触れなかったが,アメリカの2001年のエンロン (Enron)事件

や2002年のワールドコム (WorldCom)事件は,大学在職中に起きた,粉飾決算に関わる大事

件であった。しかも授業の担当科目に直接関連していただけに,肝を潰すような衝撃を受けた。

大企業,金融,監査法人,弁護士,さらには余命短い現ブッシュ政権や議会までもその渦中に

巻き込んだ,これらの会計スキャンダルは,アメリカ企業史上,不名誉な汚点を残した。

さて. I不朽の知恵、の教え (AgelessWisdom Teachings) Jとも呼ばれる密教 (Esotericism)

によれば,衰退したとはいうものの,未だその影響力を無視できない勢力を温存している, う

お座 (Pisces)のエネルギーによって,この惑星は未だに混乱が収まらない。

そして次のみずがめ座 (Aquarius)のエネルギーが新たにこの惑星に注がれ始めたことから,

そのエネルギーの特質にしたがって,いずれは平和な和合 (Unity)の時代が到来する。

うお座のエネルギーが君臨する旧体制の下では,人間自身の劣化と共に,すべての制度や機

構なども崩壊する。

みずがめ座の新しいエネルギーが注入される,新体制の下では,すべての制度や機構などは

一新される。

うお座の時代にあっては,比較や競争(Competition)の原理が支配的であったことから,人

聞社会では,例えば戦争やテロや紛争によって惹き起こされた各人各様の不幸が拡散した。

これに反して,みずがめ座の時代にあっては,和合や協力(Cooperation)の原理が強力に働

くことから,平和が確保される。

現在,両者のエネルギーが括抗している部分があることから,正の局面が見え隠れする中で,

負の局面も散見される。

こういう危機的状況下に置かれている人類の救済に覚者 (Master/s) と共に霊的巨人と称え

られる世界教師・マイトレーヤ (Maitreya)が出現された。仏教的には,弥軌菩薩と呼ばれる

方である。これについてはP.9の写真と説明文を参照されたい。

大宣言の日 (Dayof Declaration)にすべての人類の前に出現されることは周知の事実である。

その時マイトレーヤは,人類が現存の世界の不安定な状況から脱出する道を示される。

われわれは神の閃光 (Sparkof God)であるといわれる。神の聖なる閃光は,その波動のあ

まりにも精妙なことから,物質界上では直接顕現することはない。

したがって,それは己自身を個々の人間の魂として反映する。魂は己自身を肉体,アストラ

ル体(感情体).メンタル体(思考体)の三重構造を持つパーソナリティー(人格)として反映

する。このパーソナリティーを通して魂の特質を完壁に反映するようになるまで,魂は己の転

生過程を辿ることになる。

神の大計画は,本質的には,この惑星に魂を吹き込まれた (ensoul).天帝すなわち惑星のロ

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4 (104) 商学研究第48巻第2・3号

ゴス (1ρgosof Planet)から出発する。彼はゴピ砂漠のシャンバラ (Shamballa) と呼ばれる高

位のエーテル界のエネルギー・センターで世界の主としてご自身を顕現される。そして仏陀ー

おひつじ座(Aries)の時代の最後のアヴァター(大聖) (Avatar)で,現在シャンバラと霊的

ハイアラキーの間 (SpiritualHierarchy)の「聖なる仲介者」としての役割を果たしておられる

ーによってシャンバラから,われわれの霊的ハイアラキーの覚者にもたらされる。覚者は人類

を通してこの大計画を実行に移そうとされている。覚者は大計画の一部を彼らのさまざまなイ

ニシエート (Initiate/s) -イニシエーション(儀礼,儀式) (Initiation/ s) を受けたーや弟子,

世界の男女(肉体人間)に与え,それを彼らが実行していくなかで世界に変容が起こり,大計

画が実現する。

さらに,人類の危機的状況が目撃されるなかで みずがめ座のエネルギーが徐々に支配的に

なるにつれて, うお座のエネルギーを注ぎ込まれた時代の制度や機構などはすべて崩壊する。

これら二つの宇宙エネルギーの聞に今なお衝突が起こり続けている。

このような視点から見れば,個人的な,社会的な,国家的な そして国際的な諸問題はより

透明性を増して解決の見透しが立ちやすい。

人類の意識の進化の過程は,個人においても,惑星においても,宇宙レベルにおいても起こ

る。

人間王国が惑星の体系の中で非常に重要であるが それにもかかわらず,動物王国と霊王国

の聞の過渡期の柑であることを認識すれば,進化の旅路は,全宇宙を支配する法の下に存続す

ることが理解される。

われわれは本質的にはモナッド(霊火) (Monad)であり,神の閃光であり,われわれ個人

の小さなレベルで神性を表現している。そしてその神性を表現するために提示された過程が再

生誕である。

再生誕は,神がわれわれ自身を通して,物質に下降しそしてその物質を,完全にご自身の

特性が浸透したものとして,再びご自身のもとに戻す過程である。

モナッドは,それ自身を魂として反映し 7種類のエネルギーまたは光線に分類される。こ

れらの光線は,すべてこの太陽系においては,愛と知恵の第 2光線によって統合されている。

進化の目標は,肉体と感情体と思考体のそれぞれの器の波動を調整しその個人を全体とし

て統合調和した存在とする。この波動の一致性がまず求められる。

魂はその乗り船である。男女を何らかの膜想に導く 。しかし遅かれ早かれ,ある一生の中

で膜想が重要な活動となる。

魂は一定の計画と目的の下に転生するのである。

魂の特性は愛し奉仕することであり,己れをロゴスの大計画のために犠牲にすることであ

る。愛と犠牲を通して奉仕すること以外に 魂には目的はない。

魂は集団で転生する。それぞれの集団は,特定のタイプのエネルギーを表現しており,特に

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人類存亡の密教的危機管理 (105) 5

そのエネルギーを扱うために転生へ導かれる。

人間は,父なる霊と母なる物質の中間点にあって,霊王国からのエネルギーの調整役を果た

している。もし人類が存在しなければ,動植鉱物界は太陽エネルギーを吸収できず,死滅する。

密教の教えによれば,個性化した人間の魂は千八百五十万年前に,より高位の様相を顕現す

るために転生したのである。

人間王国は動物王国(Animalkingdom)から,動物王国は植物王国から,そして植物王国は

鉱物王国から誕生した。われわれの肉体は動物王国から受け継いだものである。

人間王国からは霊王国が生まれつつある。霊王国は覚者とイニシエートから成り,神の王国,

魂の王国とも呼ばれている。覚者になるまでにはイニシエーションの 5つの扉を潜らなければ

ない。

マイトレーヤは人類に真我の実現(Self-realization)の術を教えに来られるのである。ここで

は真我は神と同義語に使われる。人間は真我であり,不滅の存在である。

人聞が苦難,災難,苦悩を体験するのは,真我以外のすべてのものを自分と思うからである。

「自分は誰か(Whoam I?) Jと自関すれば,普通は鏡に写る自分が自分であると思うことに

気付くはずである。われわれは,肉体が滅ぶのであって,存在そのものは永久不変である。密

教の「永久原子」を通して転生が保証されている。

この物質界において不滅の存在になれる,最も直接的な方法は次の 3つの姿勢を実現するこ

とである。(1) 心の正直さ (Honestyof Mind) (2) 生気の誠実さ (Sincerityof Sprit) (3) 無執

着 (Detachment)

心の正直さとは, I思考と,発言と,行為に矛盾がない」 ということである。つまり言行不一

致は認められない。

生気の誠実さとは, I本来のあるがままの自分,ユニークな個であること」である。つまり他

人を模倣することではない。

無執着とは「肉体,感情,思考から自分を切り離していくこと」である。これらはイースト

菌のように,お互いに補佐し合って大きくなっていくものである。

アストラル体やメンタル体で生ずる,不都合なグラマー(幻想、) (Glamour)やイリュージョ

ン(錯覚) (Illusion)は,リアリティー(実相)を見分ける妨げとなっている。直観 (Intuition)

はこれらを排除する。

E 人類の危機的状況

本誌の「要旨」欄で指摘しそして洞爺湖サミットの総括や宣言で確認した, もろもろの不

安材料にどう向き合うべきかが,今問われている。これらの悪材料については,下掲の「参考」

欄(毎日新聞 2008/7/10)を参照されたい。

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6 (106) 商学研究第48巻第2・3号

参考

(1) サミット議長総括(要旨)

<世界経済>

原油及び食糧価格の上昇, 世界的なインフレ圧力の高まり.金融市場の安定性及び保護主義との闘いに取り組む必要性で合意した。

原油価格の急激な上昇への対応で 透明性を向上させるための生産国及び消費国双方による努力及び対話を通じて需給バランスを改善することで合意。

<環境 ・気候変動>

50年までに世界全体の排出量の少なくとも50%の削減を達成する目標というビジョンを,国連気候変動枠

組み条約 (UNFCCC)のすべての締約国と共有し目標を UNFCCCの下での交渉で諸国と共に検討し採択を求める。共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力という原則に沿って,世界全体での対応,

特にすべての主要経済国の貢献によってのみこの世界的な課題に対応できることを認識する。

先進主要経済国は,可能な限り早く排出量の増加を停止するために,野心的な中期の国別総量目標を実施。13年以降の世界的な気候に関する枠組みを確保するために, 09年末までに交渉される国際合意において拘束される形で.すべての主要経済国が意味ある緩和の行動をすることが必要。セクター別アプローチは,各国の排出削減目標を達成する上で,有益な手法である。

原子力については, 気候変動とエネルギ一安全保障上の懸念に取り組む手段として,関心を示す国が増大していることを目の当たりにした。

国内及び国家聞の排出量取引,税制上のインセンティブ,税金等の市場メカニズムについては.これらが費用対効果の高い方法で排出量削減を実現することに役立つことを認識。

<開発・アフリカ>

アフリカにおける保健従事者の増加に向けて努力し現在活動を行っており,かっ保健従事者の決定的な不足を経験するアフリカ諸国との協力で合意。

HIV /エイズ,結核.マラリア及びポリオとの闘いで相当の進ちよくがあったことを歓迎。「顧みられない熱帯病J(NTD)に感染した少なくとも75%の人々に支援を届けるため. NTDの統制または制圧を支援することに合意した。感染症との闘い及び保健の強化に600億米ドルを今後5年間で供与。

食糧価格高騰の問題に関しその影響について深刻な懸念を共有し多面的かつ構造的な危機に取り組む

あらゆる対策をとる。08年1月以降100億米ドル以上を供託している。

バイオ燃料の持続可能な生産及び使用のための政策が食糧安全保障と両立するものであることを含む,世界の食糧安全保障に関する特別声明で明記された多くの行動を取ることに合意した。一部のアフリカ諸国における主要食用作物の生産量の5年から10年での倍増に向けた取り組みを含め.開発途上国への支援を大幅に増加。G8農相による会合を開催 し,次回サミ ットにおいて本問題に関する進ちょくにつきレビューを行うこ

とに合意した。

<政治問題>

北朝鮮に対し, 05年9月19日の共同声明並びに国連安保理決議に従い,すべての核兵器及び既存の核計画並びに弾道ミサイル計画を放棄するよう 核拡散防止条約 (NIT)上の義務の完全な履行に復帰するよう要請する。 6ヵ国協議への継続的な支持を表明し,北朝鮮が期限を大幅に過ぎながらも申告を提出したことを,これらの目標の達成に向けた重要なステップとして歓迎する。また投致問題の早期解決を含むその他の安全保障並びに人権及び人道に関する懸念に対処するために速やかに行動するよう強く要請する。

累次の国連安保理決議の下で, すべての濃縮関連活動の停止の義務をイランが順守していないことに深刻

な懸念を表明。中国.フランス, ドイツ,ロシア 英国及び米国の努力並びに議長国によるイラン側とのハイレベルでの対話を支持する。改定された包括的提案に建設的に対応するよう呼びかける。また,中東和平プロセス並ぶにイラク及びアフガニスタンの安定の文脈で, より 責任ある,建設的な形で行動することを求める。

アフガニスタンへの支援を新たにするとともに,アフガニスタン政府に治安,復興などでより大きな責任を担うよう強く 奨励。

スーダンで悪化する治安並びに人道 ・人権面の状況への深刻な懸念を改めて表明。引き続きダルブール国連 ・アフリカ連合合同ミッション (UNAMID)を支持し,スーダン政府が UNAMIDの全面的な展開の迅速化を支援するよう 要請。

ミャンマー当局に対し国際援助に対して残存する制限を解除するとともに サイクロンの被害地域に搬入される援助の透明性を高めるよう呼びかける。 ミャンマーが正統性を有し民主的な文民政府への平和的な移行を促進するよう求める。アウンサンスーチ一氏を含むすべての政治的抑留者の解放を呼びかける。

ナイジエリアのデルタ地域における暴力に対する同国政府の懸念を共有した。治安状況及び発展に向けた

見通しを改善するためのナイジエリア政府の努力を支持。

世界的な核不拡散体制を向上及び強化する形でインドが国際原子力機関 原子力供給国グループ及びその

他のパー トナーと取り組むことを期待する。

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人類存亡の密教的危機管理 (107) 7

(2) 主要経済国会合の首脳会合宣言(要旨)

先進国及び途上国から成る主要経済国の首脳は,共通に有しているが差異のある責任及びそれぞれの能力

に従い,気候変動問題と闘うことを約束する。

<長期目標>

排出量削減の世界全体の長期目標を含む,長期協力行動のためのビジョンの共有を支持する。科学的知見

を踏まえ,世界全体の排出量の大幅削減が国連気候変動枠組み条約の究極的目的の達成に必要。同条約の下

での交渉において,締約国が衡平原良Ijを考慮して,世界全体の長期目標を採択することが望ましいと信ずる。

気候変動に関する政府間パネル (IPCC) の野心的な複数シナリオへの真剣な考慮を求める。

<中期目標>

世界全体の長期目標達成には,中期目標の約束,行動が必要。先進主要経済国は,先進国間で比較可能な

努力を反映しつつ,中期の国別総量目標を実施する。途上主要経済国は,技術,融資などに支援された国ご

との適切な緩和行動を遂行。

<森林>

森林減少・劣化等による排出量の削減及び土地利用・土地利用変化.森林セクターにおける吸収量の増加

のための行動が温室効果ガスの安定化に貢献し得ると認識する。

<適応>

適応は,不可避的な気候変動の影響に取り組む上で不可欠であることを認識する。途上国.とりわけ最も

脆弱な国が,気候変動への適応能力を強化するため協力していく 。

<技術>

既存技術の幅広い展開が緩和及び適応の両方に不可欠。省エネ,エネルギー効率.災害抑制,水-天然資

源管理に関する技術は重要。再生可能エネルギー,よりクリーンで低炭素の技術及び,関心を有する国につ

いては原子力を含む技術の利用を促進する。長期的には,革新的技術の研究,開発,実証,展開,移転が決

定的に重要。特に,炭素回収・貯留 (CCS) に関する研究,開発及び大規模実証や協力等の必要性を認識。

<資金>

気候変動に取り組むにはより多くの資金の動員が必要。特に途上国への資金支援を拡大させること等が緊要。

<早期に実施すべきこと>

(産業別・分野別で温室効果ガス削減を目指す)セクター別アプローチ及びセクター別行動の役割を検討

する。世界貿易機関(羽TTO) に,気候変動に関する協力促進に関連する問題の協議を,進めるよう指示。

<今後>

主要経済国は, 09年のコベンハーゲンでの同条約締約国会議成功のため,引き続き建設的に協力する。

密教は, I世界のあらゆる宗教およびあらゆる科学的,社会的,文化的業績の根底にある,い

にしえからの体系」と定義されている。

これは,人間および低位の自然界の進化の過程についての哲学でもある。

ちなみに,密教の普及には, 19世紀後半には HelenaPetrorna Blavatskyの, 20世紀に入って

はAliceA. Bailey, Helena Roerichの,そして20世紀から21世紀に入っては BenjaminCremeの

諸氏の著述や講演等を通しての精力的な啓蒙活動に拠るところが多い。

ちなみに BenjaminCreme氏は,スコットランド生まれの画家で,密教学徒でもある。覚者

の訓練・監督の下で,覚者からの情報を伝えるため,マスコミをフルに活用して世界中で八面

六皆の大活躍をされている。

筆者自身も縁があって,色々な形でこの密教の勉強をさせて頂いている。氏の著書は多くの

言語に翻訳されている。また世界70余か国に購読者を持つ国際月刊誌[シェア・インターナショ

ナルj(Share International)の編集長でもある。

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8 (108) 商学研究第48巻第2・3号

E マイトレーヤ/弥勅菩薩の出現

既に二千六百年前,仏陀は,この世界教師 (WorldTeacher)の出現と使命について,予言さ

れていた。

マイトレーヤは,すべての人類のための教師として,宗教の有無に関係なく,この惑星に戻っ

てこられた。

ちなみに仏陀は,おひつじ座(Aries)の時代の最後のアヴァター (Avatar)すなわち大聖で

ある。紀元前五百年頃ゴータマ王子を通して顕現された前の世界教師である。現在はシャンバ

ラと霊的ハイアラキーの聞の「聖なる仲介者」としての役割を果たしておられる。ここに,シャ

ンパラとはこの惑星のエネルギー・センターである。それはゴビ砂漠上方の上位2つのエーテ

ル界 (EthericPlane) に存在し,そこから意志または目的のエネルギーが流れている。霊的ハ

イアラキーとは,神の王国,霊の王国,魂の王国として 既に千七百万年前から存在している。

何千年もの間,マイトレーヤは, ヒマラヤの高所に隠遁されていた。われわれの日常の世界

に戻ってこられたのは, 1977年7月19日であった。使命を果たすため特に御自身でお創りにな

られた身体で山を降りられた。そして,以後,現代社会における活動拠点として選ばれた,ロ

ンドンのアジア系移民社会に住んでおられる。

刻一刻と近付きつつある,前例のない大宣言の日は間もなく訪れるであろう 。人聞が一体性

を体験するまたとないチャンスである。大宣言の日 世界中のテレビ・ラジオを通してマイト

レーヤは御自身を顕現される。そして各人の自国語で思念伝達 (Telepathy)の方法で,マイト

レーヤのお言葉を聞き,同時に何万何干の自然治癒が世界中で起こるだろうと予言されている。

その時, I彼らは,すべての人類が同じ体験をしているということを感じるだろう 。その心

(ハート)は全く新しい愛のうちに共に鼓動している巨大な家族の兄弟姉妹の一人であることに

慎ましい誇りを感じるだろう 。共に属しているというこの感覚が彼らを取り巻き,各人一人一

人に長い間忘れられていた歓びの涙をもたらすだろう 。」

マイトレーヤは,進化している自然界の天使の教師でもある。ちなみに,人類と平行して進

化しているこれらのデーヴァ(天使)(Devas)には人間以下のエレメンタル (精霊)(Elemental)

から惑星のロゴスのレベルの超人的存在まで含まれる。そして天使は人類のメンタル体,アス

トラル体,肉体を含むわれわれが見るあらゆる形態を創る資質を知的に扱う「活動的な建設者」

である。

マイトレーヤは,キリストの原理と呼ばれる,愛のエネルギーの体現者である。

マイトレーヤは非常に高度に進化され,この愛のエネルギーすなわち神の第 2の様相を御自

身の存在そのものの裡に体現することができる方である。

今や,すべての宗教は,ここに新しい世界教師の到来を待望している。クリスチャンはキリ

ストの再臨を待望し,イスラム教徒はイマム・マーデイまたはメシアを待望し, ヒンズー教徒

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人類存亡の密教的危機管理 (109) 9

1988年6月11日,ケニアのナ

イロピでメアリー・アカサの主

催していた祈りと治療の集会

で,およそ 6千人の前にマイト

レーヤは奇跡的に忽然と姿を

現わされた。人々はただちに彼

をイエス・キリストと認知して

ひれ伏した。(つまり,ケニア

の人々が想い描くイエス ・キリ

ストの姿 ・形をとって出現な

さったのである)。彼らに向

かつてスワヒリ語で15分程話

され,また忽然と去っていかれ

た。その後には何十人もの人々

が様々な病の治癒を経験して

いた。その時の写真が読売新聞

を含めて世界中のメディアに

よって報道された。

(Benjamin Creme, Maitreya's

Teachings The laws of Life,

Share International Foundation,

Iρndon 2005, PP'248-249)

はクリシュナの再臨を待望し,ユダヤ教徒はメシアの到来を待望し仏教徒は弥勅仏を待望し

ている。

これらはすべて同一人物である。過去2500年の間,マイトレーヤは霊的ハイアラキーの中で,

世界大師の職務につかれていたのである。

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〆,,‘、、nu --ム 商学研究第48巻第2・3号

U 宇宙エネルギーと光線

天文学的事実として,地球の属する太陽系は,黄道帯を一周するのに約25000年から26000年

を要する。したがって,約2150年毎に黄道帯上にある12星座(イラスト A参照)の中の特定の

星座とエネルギー的関係において整列状態に入ることになる。

今,この特定の星座こそみずがめ座であって,その前の星座のうお座の時代は終わったので

ある。

太陽は,うお座の影響圏から脱出して,みずがめ座のエネルギーの影響圏内に入って来た。

ちなみに,具体的には, うお座のエネルギーは, 1625年に後退し始め,みずがめ座のエネル

ギーは1675年に流入し始めた。

現在のわれわれの政治経済宗教社会,科学,教育,文化などのあらゆる制度や仕組み

はすべて硬直化(結晶化)し, もはや機能できない状態に陥っている。これは世界がうお座の

イラスト A (左半分) (出所)よくわかる天の川銀河系, Newton別冊,ニュートンプレス2008,72-73頁

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エネルギーによって細かい断片に切り裂かれた結果である。

他方,みずがめ座のエネルギーは日増しに強力になり,人類にそれとは全く異なる影響を及

ぼしているのである。

密教によれば,教義は一元的にエネルギーの概念で説明される。すべてのエネルギーはそれ

ぞれ特定の周波数で振動する。

そして物質との関連性については, E = mc2すなわちエネルギー=質量× 光速2で表現され

る。アインシュタイン博士のこの法則から エネルギーは物質と互換性があることが知られる

ようになった。これによって,マントラ(言霊)(Mantrams)を唱えることによって,物体は

自在に動かすことができる Oエジプトの巨大なピラミ ッドはそのようにして造られたのである。

ちなみに,マントラの最も効果的な使用方法は,眉間に意識を集中して唱えるか,思念する

ことである。

著者が1980年4月から,西ドイツのルール大学 (Ruhr-Universitat,Bochm)での研究生活を

イラスト A (右半分) (出所)左半分に同じ

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12 (112) 商学研究第48巻第2・3号

送るかたわら, ドイツ人の市民の皆さんと本格的に一緒に始めたヨガ (Yoga)で,居間などの

チャクラにhakras)のこうした使用体験は,今でも継続している。

この論文の後段で触れる,新しい時代のいわゆる伝導1冥想 (TransmissionMeditation) は,

奉仕のヨガとしてのカルマヨガ (KarmaYoga)とチャクラのヨガとしてのラヤヨガ(LayaYoga)

を組み合せた膜想である。

人類の世界教師・マイトレーヤによって授けられた,偉大なマントラは,下記の通りである。

新しい時代の祈り

わたしは宇宙の創造主である。

わたしは宇宙の父にして母である口

すべてがわたしから来る。

すべてがわたしに戻る。

心と生気と肉体はわたしの宮殿である。

真我はそのなかにわたしの至高の存在と生成を実現する。

参考までに英文で示せば,次の通りである。

イラスト B(左半分) (出所)よくわかる天の川銀河系, Newton別冊,ニュートンプレス2008,19-20頁

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人類存亡の密教的危機管理

THE PRAYER FOR THE NEW AGE

I am the Creator of the Universe.

I am the Father and Mother of the Universe.

Everything came from Me.

Everything shall return to Me.

Mind, Spirit and Body are My temples,

For the Self to realize in them

My Supreme Being and Becoming.

(113) 13

われわれが存在しているこの宇宙は, 宇宙エネルギー,太陽エネルギー,惑星外エネルギー,

地球エネルギー,国体,液体,気体の物質エネルギーとそれらを包含するエーテルエネルギー

で充満している。

非常に早い速度で振動する,強力な宇宙エネルギーは,人も殺せるほどの威力があるが,そ

の管理に当たる方々が覚者方である。前述したように,現在この惑星に注がれているエネルギー

は, うお座のエネルギーの特質を反映した,あらゆる古い制度や機構などをすべて破壊してい

る。これに対応する,いかなる弥縫策もない。

すべての宇宙の相互作用の背景には,銀河系(イラスト B参照),太陽系そしてこの惑星を

イラスト B(右半分) (出所)左半分に同じ

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14 (114) 商学研究第48巻第2・3号

通して自らを表現される 偉大な宇宙の諸存在の聞の関係がみられる。この宇宙の存在こそロ

ゴス (1ρgos) と呼ばれる神である。

すなわち,銀河系のロゴス (Galactic1ρgos)は銀河系に,太陽系のロゴス (Solar1ρgos)は

太陽系に,そしてこの惑星のロゴス (Planetar Logos)はこの惑星に,それぞれ霊魂を吹き込

まれるのである。これらのロゴスは神聖な存在 (divineBeing)である。

密教の中核的コンセプトであるエネルギーの特殊なタイプが光線 (Ray/s)である。通常,光

線は次のように分類される。

様相の光線

第 1光線-力,意志、または目的

第2光線-愛と知恵

第3光線-活動的,創造的知性

属性の光線

第4光線-葛藤を通しての和合,美または芸術

第5光線-具体的科学または知識

第6光線-抽象的理想主義または献身

第7光線一儀式的秩序または魔法または典礼または組織

これら 7種の光線上に われわれ人間は存在し 基本的には 次の 5種の光線によ って支配

されている。

(1) 魂の光線

(2) パーソナリティー(人格)の光線

(3) 頭脳を含むフィジイカル体(肉体)の光線

(4) アストラル体(感情体)の光線

(5) メンタル体(思考体)の光線

うお座のエネルギーの衰退に呼応して 1625年以来第6光線は徐々に後退し始めた。そして

みずがめ座のエネルギーが増幅するにつれて1675年以降第7光線が顕現してきている。

これらの二つの非常に強力なエネルギーの衝突が,政治的に,経済的に,宗教的に,社会的

に,保守反動勢力と進歩的勢力とに二分した。

ちなみに,第6光線の代表的特質は,理想、に対する献身である。それはしばしば他のすべて

を犠牲にした狂信的信奉として表現される。

第7光線は,霊を物質に関連づけ, したがってこれらの正反対のものを総合し合成する。

これは融合と多様性の中の統ーを生じさせる。第6光線が個人性の成長を刺激したように,第

7光線は集団精神と集団意識を促進する。

人類を通して,そしてすべての王国を通して働きかけているのがこれらの二つのエネルギー

である。

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人類存亡の密教的危機管理 (115) 15

第2光線,第 3光線,第 5光線,第7光線はいわば 「転生して」おり 公に顕現している。

意志または力の第 1光線は転生に入っていないが,にも拘らず,その破壊的側面の力は,そ

の大多数が第 1光線の代表であったナチス・ドイツの指導者を通して それにイタリアと日本

の軍部も加わって,最も強力に表現された。それは,やがて大計画のためになることが認識さ

れるだろう 。

1975年以来,第 1光線の強力な創造的側面が人類に直接放出された。これがシャンバラの

フォースであり, 善をなす意志であり,生命そのものの力である。

個人と同様に,国家は 2つの光線によ って支配されている。すなわち,その国家の後述する

イニシエーションを受けたイニシエートや弟子達が感知し 表現する魂の光線と支配的な大衆

の影響を表現するパーソナリティーの光線である。

V 真我/モナッドの所在

より高位の様相を顕現するため,千八百五十万年前この惑星上に出現した人間は本質的に魂

であり,神の完全な反映であると言われている。この密教の公理によれば,われわれは転生し

ている魂であり,神と呼ぶところの,われわれを創造された天帝 (ロゴス)と全 く同じ完全な

魂である。ロゴス進化の大計画を心に描き, 霊と物質を一緒に合せた人間を創造された。魂の

目的は,ロゴスの計画のために己を犠牲にして,物質の次元において働く機会を得ることであ

る。

人間は, i私」という第 1人称を意識した瞬間から,一対の対立したものの間で葛藤が生ず

る。

そこでこの 「私Jという思考を源流まで辿り, i私は誰か?Jと問いかけ,そしてそれを越え

て前進すれば, 真我が発見される。思考を乗り越えれば,心が静まる。それがリアリティー相

である。

前段で引用したマイトレーヤの新しい時代の祈りは, 真我の発見のためのマントラである。

欲望のすべての動きの中心に静止している点がある。その点が真我である。つまり欲望の動

きを止めれば,それ自体で静寂が訪れる。

「宇宙の創造主が恐れることはあり得ないのです。全宇宙を創造できるのですよ。あなたは,

恐怖も含めてあらゆるものの父にして母であるのです。ですからあなたは自分自身の創造した

ものを恐れることはあり得ないでしょう?あなたはこの世界のすべてを創造したのです。私と

いう別個のものは存在しないのです。あなたは私の姿・形を見て,存在すると思っていますが,

私は存在しません。あなたは存在しません。この部屋にいる誰も存在しません。この部屋も存

在しませんO これはすべて私たちの思考が想念を形成する過程の産物であります。」

要するに, 真我の観点からすれば,すべて影絵の芝居のようなものであり,演技しているに

すぎない。神にと っては,実在ではない。

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16 (116) 商学研究第48巻第2・3号

真我にとって,この肉体やアストラル体やメンタル体の創造は,実体のないものである。肉

体は相対的なリアリティー(実相)を持つにすぎない。アストラル体もメンタル体も真我のた

めの器としてまたは乗り舟としての相対的リアリティーを持つにすぎない。

それらは死ぬと消滅することから 死を恐れる。しかし死そのものも幻想である。相対的な

存在である乗り舟のみが死ぬことから リアリティーにと っては,それはただの夢にしかすぎ

ない。

リアリティーと同一視するか 乗り舟と同一視するかのいずれかである。

羽人類の意識の進化

意識の進化 (Evolutionof Consciousness) は,再生誕 (Reincarnation)の過程に関わってい

る。

魂は,この再生誕の法則(Lawof Rebirth) と原因と結果の法則(Lawof Cause and Effect)を

通して,転生に導かれる。この転生こそ意識の進化の方法である。この原因と結果の法則は,

科学的には作用と反作用の法則として宗教的にはキリスト教の福音書では, I蒔いたものを刈

り取る」という意味で理解されている。カルマ (Karma)の法則は,この原因と結果の法則で

ある。

魂は究極的には自らを本当に示現できる一連の肉体を創る。その時点でわれわれは進化の過

程の終盤に差しかかっている。それまで何万回もの転生が必要であった。しかし 一旦そこに

到達すると魂はその反映である男女を見て,それが魂の特質に反応し始める。「より神聖に,つ

まりより非利己的で,他愛的で,他者を思いやる」ことが分かれば,魂はその乗り舟を刺激し

て,進化の旅を終わる過程を始める。これがイニシエーションの過程である。

この過程は,キリスト教の福音書の物語の中で語られているような,イエスの生涯で象徴的

に表わされている。

第1段階のイニシエーションは「誕生」と呼ばれ「ベツレヘムの誕生Jつまりハートの洞窟

の中のキリストの誕生によって象徴される。

このイニシエーションを受けた男女は初めて霊王国すなわち霊的ハイアラキーに入り,肉体

のコントロールを行う 。

第2段階のイニシエーションは「洗礼」と呼ばれ,洗礼者ヨハネによるヨルダン川でのイエ

スの洗礼によって象徴される。ここではアストラル体のコントロールが行われる。

第3段階のイニシエーションは「変容」と呼ばれ,オリーブ山でのイエスの変容によって象

徴される。そしてイニシエーションを受けたイニシエートにとって,肉体,アストラル体,メ

ンタル体の 3つの低級諸体を統合する低位の過程のイニシエーションの頂点である。覚者から

見れば,これが最初の魂のイニシエーションであり,真の意味での第 1段階のイニシエーショ

ンである。

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人類存亡の密教的危機管理 (117) 17

それから第4段階のイニシエーションへ進むが,十字架でのイエスの死によって象徴されて

いる。これは「礁(はりつけ)J と呼ばれ,東洋では「偉大なる放棄」と呼ばれているが,必要

であれば生命(いのち)そのものまでが放棄され,イニシエートが物質を超えて霊の光の輝き

の中に上昇する。

第5段階のイニシエーションは「復活」と呼ばれ,人聞が今や覚者となり,物質の肉体,ア

ストラル体,メンタル体から永遠に解放される。覚者は完全に復活した肉体,すなわち光体を

身にまとう 。

それぞれのイニシエーションはそのイニシエートにさらに多くの亜原子つまり原子よりさら

に微力のエネルギーを与える。

第4段階のイニシエーションを受けるまでには,その人の肉体の 4分の 3は文字通り光に

なっている。

覚者はこの物質的惑星から完全に解放され, もはや転生する必要はなくなっている。多くの

覚者はこの惑星に留まって,残りの人類の進化を見守っているが,より高位の界に行ったり,

この太陽系から完全に離れている覚者も多いと言われている。

覚者には,パーソナリティとしての分離意識がなく「私」的第 1人称は使われない。つまり

はグループ意識しかないのである。

四霊性の育成

魂は完全であり,神の閃光を反映する完全な霊である。「霊的」という言葉は,すべての人々

のための,積極的な改善を意味するものである。したがって,人類を向上させるものは何でも

基本的には霊的であると言える。

霊性を育むためには,マイトレーヤは, I心の正直さ」と「生気の誠実さ」と 「無執着」の三

つを挙げられている。

「心の正直さ」は,条件づけられていない心それ自体に正直な心である。あのイデオロギーこ

のイデオロギーとか あの主義この主義とかなどによって制約されない自由でオープンな心の

あり方である。

「生気の誠実さ」は リアリティーを歪曲せずに見ることである。

そして「無執着」は,一瞬一瞬死ぬこと,つまり時間なしに存在することである。

無執着が正直さと誠実さを生み出し,それらがよりいっそう無執着にするのである。

VIII 奉仕と協力

和合は霊の顕現である。

和合は無敵である。批判ほど和合の網を突き破るものはない。

本質的に,すべての人聞が内的には和合を求め,その反映を思考やアイデイアの一致に見い

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18 (118) 商学研究第48巻第2・3号

だす。イデオロギー的な統一見解は磁石のように全体の力を強化する。

前述したように,みずがめ座のエネルギーが支配するこれからの時代は,グループにおいて

のみこのエネルギーが生かされることから,統合 (Synthesis)への目的に向って,和合の力が

ますます望まれる。競争から協力への変換は強調しても強調し過ぎることはない。

世界教師・マイトレーヤの提示されている協力すべき優先順位は,次の通りである。

(1) 適切な食糧の供給 (2) すべての者のための適切な住居 (3) 普遍的権利としての

健康管理と教育 (4) 世界の生態系の均衡の維持

医伝導E冥想

霊的エネルギーの管理を託されている,この惑星の霊的ハイアラキーの覚者は,そのエネル

ギーをより良く分配するために 確立された方式がこの伝導膜想である。

われわれは,意識することなく,絶えずエネルギーの伝導体としての役割を果たしている。

エネルギーは,われわれを通過することによって,強度が一段と低められ(変換され)る。エ

ネルギーの伝導の仕事は,この惑星全体の霊化を進めるための,奉仕活動なのである。

われわれの魂は,奉仕への手段を必要とするが,諸般の事情で,その呼び掛けに応じきれな

いことから, ともすると平衡を欠き,われわれ自身の内に葛藤が起きる。

ベンジャミン・クレーム氏の伝導膜想のワークショップでは,世界教師・マイトレーヤによっ

てオーバーシャドウ(Overshadowing)され,人々は大いなる霊的育みを授けられている。

X 帰結

エネルギー的一元論の密教では 神の壮大な計画の下に 人聞が転生を通じて遂には光体を

ベンジャミン・クレーム氏

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人類存亡の密教的危機管理 (119) 19

纏う覚者になるまでの進化の過程が説かれている。それを背景に現代の人間の,特に倫理的側

面を強く意識しながら 改めて次元を拡大して若干の考察を試みた。

参考文献

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