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東北電力 まちづくり元気塾 活動事例集 vol.9 9 青森県 岩手県 秋田県 宮城県 山形県 新潟県 福島県 能代市 テーマ/地域資源を活用した滞在型観光の推進による 能代市への誘客推進 まちを歩いて「お宝」地図をつくり 豊かな地 域 資源を見直そう。 「通過型観光」に留まる現状から 「 滞 在 型 観 光 」へ のシフトを目 指 す 能代観光協会。いまなお歴史が息づ く中心市街地を活かし、交流人口の 拡大を図りながら、観光振興につな がるまちづくりに取り組んでいます。 能代には木の文化、食の文化があ ります。興味深い活動を推進するグ ループなど、人的資源も豊富です。 しかし、それらはつながっておらず、 もったいない。皆で知恵を出しなが らたくさんある地域資源を整理し、 ポイントを絞り、「尖ったもの」を生 みだしましょう。 ●チーフパートナー/菊池 新一氏 木の文 化・食の文 化・人 材。 ポイントを絞り「尖ったもの」を。 どのまちでも、どんなプランでも「人」が 介 在しなけ れば 動きだしません。その 点 、能 代 の「 人 」には 歴 史 と文化に培われたパワーを感じます。お互いを知り、 同じベクトルに向かえば、足し算ではなく掛け算の ペースで力を発 揮することでしょう。 初日前半では、3名のパートナーが先 進事例やエピソードを紹介。能代を改め て見直すための留意点が伝えられまし た。後半はワークショップを実施。2日目 は、参加者全員で中心市街地をまち歩 き。能代の現状を自らの目で見つめ直し た上で「お宝地図」をつくるワークショッ プに取り組みました。 ●話題提供 菊池 新一氏、寺川 重俊氏、望月 孝氏 菊池氏は自らが関わった岩手県遠野 市での事例を紹介しながら、お客さまの 視点で考えることの大切さを強調しまし た。寺川氏はこれからの中心市街地の在 り方や、観光振興における役割について 指摘。望月氏は観光プランを構成する際 の具体的な手法などについて事例を紹 介しました。 「強み」と「弱み」に着目して、まずは中心市街地を見直すことから。 第 1 回/話題提供とワークショップ  現地調査と「お宝地図」の作成 方向性の模索 ●ワークショップ 現地調査と「お宝地図」の作成 次いで、参加者を3つのグループに分 け、能 代 市の「強 み」と「弱 み」を抽 出す るワークショップへ。抽出された項目を、 食・人・技・イベント・名所旧跡の5つに分 類、整理して初日を終了しました。 2日目は能代駅周辺商店街の現地調 査からスタート。3班がそれぞれ異なる コースを巡り、地域資源を確認しました。 撮った写真とコメントを白地図に貼り込 み、「お宝地図」を作成。締め括りに「観光 客を50万人呼び込む」ためのアイデアを 出し合いました。 観光客を50万人呼び込むアイデア (発表内容から抜粋) 能代弁当プロジェクト/宵の横丁巡り/ 朝市復活 人と技 レトロお店めぐり/学校づくりプロジェク ト(木の学校、歴史と文化の学校) 名所旧跡 風の松原でセグウェイ/まちなかにバス ケの拠点づくり イベント 広い歩道でストリートイベント/市内の 坂で夕日体験 にこやかに参加者をリードする菊池氏 参加者と熱論をかわす望月氏 ポイント まちづくりパートナーから 第 1 回/話題提供とワークショップ① 「現地調査と『お宝地図』の作成」 (平成 29 年 5月24日(水)~ 5月25日(木)) 第 2 回/ワークショップ② 「夢語りワークショップ・具体的な取り組みの検討」 (平成 29 年 9月13日(水)~ 9月14日(木)) 第 3 回/ワークショップ③ 「夢語りワークショップ・3 つのテーマについて、 さらに具体化する」 (平成 29 年 11月29日(水)~ 11月30日(木)) 開催場所/秋田県能代市 能代市旧料亭金勇(第1回)、 能代商工会議所 【参加者】 支援団体 特定非営利活動法人 能代観光協会の皆さん、能代市民の皆さん 他 まちづくりパートナー 菊池 新一氏(認定 NPO 法人遠野山・里・暮らしネットワーク会長/チーフパートナー) 寺川 重俊氏((有)寺川ムラまち研究所 代表取締役) 望月 孝氏 ((株)プロジェクト地域活性 代表取締役社長) 東北電力株式会社 能代営業所(現:秋田県北営業所)  所長  田中 康之(〜平成 29 年 6 月) 所長 大信田 隆一(平成29年7月〜平成30年6月) 秋田県能代市 特定非営利活動法人 能代観光協会 実施概要 会場は旧料亭「金勇」の110畳敷き大広間 現地調査の成果がぎっしり詰まった「お宝地図」 能代の「人」には、歴史と文化のパワーが備わっている ●望月 孝氏 能代の「人」には、歴史と文化のパワーが備わっている ●望月 孝氏

秋田県能代市 まちを歩いて「お宝」地図をつくり 特定非営利 …有望なアイデア/「sns映え」するま ちに、「駅前白神化」(jr能代駅前広

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Page 1: 秋田県能代市 まちを歩いて「お宝」地図をつくり 特定非営利 …有望なアイデア/「sns映え」するま ちに、「駅前白神化」(jr能代駅前広

東北電力 まちづくり元気塾 活動事例集 vol.9 9

青森県

岩手県秋田県

宮城県山形県

新潟県福島県

能代市

テーマ/地域資源を活用した滞在型観光の推進による    能代市への誘客推進

まちを歩いて「お宝」地図をつくり豊かな地域資源を見直そう。

 「通過型観光」に留まる現状から「滞在型観光」へのシフトを目指す能代観光協会。いまなお歴史が息づく中心市街地を活かし、交流人口の拡大を図りながら、観光振興につながるまちづくりに取り組んでいます。

 能代には木の文化、食の文化があります。興味深い活動を推進するグループなど、人的資源も豊富です。しかし、それらはつながっておらず、もったいない。皆で知恵を出しながらたくさんある地域資源を整理し、ポイントを絞り、「尖ったもの」を生みだしましょう。

●チーフパートナー/菊池 新一氏

木の文化・食の文化・人材。ポイントを絞り「尖ったもの」を。

 どのまちでも、どんなプランでも「人」が介在しなければ動きだしません。その点、能 代の「人」には歴 史と文化に培われたパワーを感じます。お互いを知り、同じベクトルに向 かえば、足し算ではなく掛 け算 のペースで力を発揮することでしょう。

 初日前半では、3名のパートナーが先進事例やエピソードを紹介。能代を改めて見直すための留意点が伝えられました。後半はワークショップを実施。2日目は、参加者全員で中心市街地をまち歩き。能代の現状を自らの目で見つめ直した上で「お宝地図」をつくるワークショップに取り組みました。

●話題提供菊池 新一氏 、寺川 重俊氏、望月 孝氏 菊池氏は自らが関わった岩手県遠野市での事例を紹介しながら、お客さまの視点で考えることの大切さを強調しました。寺川氏はこれからの中心市街地の在り方や、観光振興における役割について指摘。望月氏は観光プランを構成する際の具体的な手法などについて事例を紹介しました。

「強み」と「弱み」に着目して、まずは中心市街地を見直すことから。第 1 回/話題提供とワークショップ  現地調査と「お宝地図」の作成

方向性の模索

●ワークショップ現地調査と「お宝地図」の作成 次いで、参加者を3つのグループに分け、能代市の「強み」と「弱み」を抽出するワークショップへ。抽出された項目を、食・人・技・イベント・名所旧跡の5つに分類、整理して初日を終了しました。 2日目は能代駅周辺商店街の現地調査からスタート。3班がそれぞれ異なるコースを巡り、地域資源を確認しました。撮った写真とコメントを白地図に貼り込み、「お宝地図」を作成。締め括りに「観光客を50万人呼び込む」ためのアイデアを出し合いました。

観光客を50万人呼び込むアイデア(発表内容から抜粋)

食能代弁当プロジェクト/宵の横丁巡り/朝市復活人と技レトロお店めぐり/学校づくりプロジェクト(木の学校、歴史と文化の学校)名所旧跡風の松原でセグウェイ/まちなかにバスケの拠点づくりイベント広い歩道でストリートイベント/市内の坂で夕日体験

にこやかに参加者をリードする菊池氏

参加者と熱論をかわす望月氏

ポイントまちづくりパートナーから

第 1 回/話題提供とワークショップ① 「現地調査と『お宝地図』の作成」 (平成 29 年 5 月24日(水)~ 5 月25日(木))第 2 回/ワークショップ② 「夢語りワークショップ・具体的な取り組みの検討」 (平成 29 年 9 月13日(水)~ 9 月14日(木))第 3 回/ワークショップ③ 「夢語りワークショップ・3 つのテーマについて、  さらに具体化する」 (平成 29 年 11 月29日(水)~ 11 月30日(木))●開催場所/秋田県能代市  能代市旧料亭金勇(第 1 回)、      能代商工会議所

【参加者】●支援団体  特定非営利活動法人  能代観光協会の皆さん、能代市民の皆さん  他

●まちづくりパートナー  菊池 新一氏(認定 NPO 法人遠野山・里・暮らしネットワーク会長/チーフパートナー)  寺川 重俊氏((有)寺川ムラまち研究所 代表取締役)  望月 孝氏 ((株)プロジェクト地域活性 代表取締役社長)

●東北電力株式会社  能代営業所(現:秋田県北営業所)  所長  田中 康之(〜平成 29 年 6月)                  所長 大信田 隆一(平成29年7月〜平成30年6月)

秋田県能代市特定非営利活動法人 能代観光協会

実施概要

会場は旧料亭「金勇」の110畳敷き大広間

現地調査の成果がぎっしり詰まった「お宝地図」

能代の「人」には、歴史と文化のパワーが備わっている●望月 孝氏能代の「人」には、歴史と文化のパワーが備わっている●望月 孝氏

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東北電力 まちづくり元気塾 活動事例集 vol.9 1110

  第 2 回 は 、2 日 間 にわたってワークショップを実施。第1回でまとめられたアイデアをもとに、テーマを「イベント」「既存の地域資源の活用」「食」の3つに絞り込み、方向性を具現化することに。参加者は4班に分かれ、テーマごとに「能代ならでは」の取り組みを目指し、実施に向けて討論しました。

●それぞれのテーマで「1等賞」の 取り組みを決定 まずは4班に分かれ、3つのテーマごとに「能代ならでは、能代でなければできないもの」のアイデアを検討。各班から発表した上で、全員で議論し、各テーマの「1等賞」のアイデアを投票により決定しました。

 第3回は、第2回で提示された3つのテーマを具体化・実行するためのワークショップを2日間にわたって行いました。

●今後は事業を進める体制づくりへ 参加者は4班に分かれて作業を開始。まず第2回で「1等賞」になった3つの取り組みを具体化するためのアイデアを、ひとりずつ考え、用紙に記入しました。それらの中から、班ごとに有望なアイデアを選んで発表し、最後に参加者全員で自分が支持するアイデアに投票。この際、自分の名前を記入した付箋を貼り投票することにより、どのアイデアを誰が実行するのか「見える化」を図りました。 以上を2日目前半まで、テーマごとに繰り返しました。2日目後半は、事業を進めるための具体的な体制について、班ごとに検討と発表を。菊池氏から「今後は誰が主役になって取り組みを進めるか、

「能代ならでは」を追求し、取り組むべきアイデアを選ぶ。 「自分が主役」となるような新しい組織づくりを。

第 2 回/ワークショップ② 「夢語りワークショップ・具体的な取り組みの検討」 第 3 回/ワークショップ③ 「夢語りワークショップ・3 つのテーマについて、さらに具体化する」

「1等賞」の取り組み◦テーマ/イベント 「バスケットボールのトップチームを

能代に」◦テーマ/既存の地域資源の活用 「まちなみリニューアル」◦テーマ/食 「能代の『食』株式会社」 2日目後半には「1等賞」のアイデアをさらにブラッシュアップ。各 「々誰が」「どのように」実施していくのか各班ごとに話し合い、できるだけ具体的に示すことを目指しました。

「誰が」「どのように」実施していくかについてのアイデア(発表内容から抜粋)◦「バスケットボールのトップチームを

能代に」 誰が/バスケット協会、秋田県立能代

工業高等学校バスケットボール部OB  どのように/聖地巡礼ツアー、市民バ

スケの日制定、既存イベントと連携◦「まちなみリニューアル」 誰が/DMO、まちづくり合同会社設

立、木の関連企業

一人ひとりが「自分事」として認識し、追求してほしい」とのコメントが寄せられ、全3回を終了しました。

3つのテーマを具体化する有望なアイデア

(発表内容から抜粋)①テーマ/イベント 「バスケットボールのトップチームを

能代に」 有望なアイデア/中心商店街の「バス

ケストリート」化、チアガールコンテスト②テーマ/既存の地域資源の活用 「まちなみリニューアル」 有望なアイデア/「SNS映え」するま

ちに、「駅前白神化」(JR能代駅前広場をぶなの森に)

③テーマ/食 「能代の『食』株式会社」  有望なアイデア/「能代の旬を食ら

う」をテーマにツアー開発

「事業を進めるための具体的な体制」に

ついて(発表内容から抜粋)◦協議会的な組織づくりからスタート◦能代市周辺の農家グループと連携◦情報発信、PRイベントのための組織

は不可欠◦まちづくり元気塾が契機となり、動きだ

す個人やグループが現れ始めている

 どのように/駅前再開発、マルシェ、空き店舗活用

◦「能代の『食』株式会社」 誰が/能代逸品会、地域のおかあさ

んが「ママシェフ」に、JA どのように/能代らしい駅弁や新メ

ニュー開発、一流シェフ招へい

女性参加者からも積極的にさまざまなアイデアが 各班の成果を貼りだし、さらに全体で議論

魅力あふれるアイデアを提案する参加者

自分の名前を記入した付箋により投票を

アイデアと参加者の名前で埋め尽くされた模造紙

 まちづくりパートナーからのメッセージ 住む人の胸の中にある「能代の

誇り」。それこそが能代の宝です。能代のまちを隅々まで語り尽くせる人や場所を育て、まちと人のつながりを再構築し、「能代の誇り」を訪れる人たちと共有していきましょう。

(寺川 重俊氏)

まとめ

  当 初は参 加 者 数を心 配していましたが、蓋を開ければたくさんの仲間と中身の濃い議論ができました。思いの

強い方を中心に、仲 間 を さらに 結集し 成 果 に つ なげれば、このまちに 活 力 が 戻 ると確信しています。

気づき参加者から

まちと人のつながりを再構築し「能代の誇り」を共有しよう。

仲間を結集し、成果を出していこう。●特定非営利活動法人 能代観光協会    広幡 信悦会長

まちと人のつながりを再構築し「能代の誇り」を共有しよう。

JR能代駅前広場

能代に主役とストーリーが揃いはじめた まちづくりの主役は地域の皆さんに他なりません。取り組みを通して、主役級の方々が現れ、未来への「ストーリー」も見えてきたように思います。これからの具体的な取り組みを、私たちも応援します。

能代営業所(現:秋田県北営業所)所長 大信田 隆一(当時)

東北電力からひ とこと

秋田県能代市