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外科治療の対象となる認知症
2015年11月28日 東邦大学医療センター佐倉病院 市民講座 認知症
正常圧水頭症を中心に 脳神経外科
特発性 正常圧 水頭症 とくはつせい せいじょうあつ すいとうしょう 慢性 硬膜下 血腫 まんせい こうまくか けっしゅ
水頭症とは・・・ • 何らかの原因により髄液が頭蓋内腔に過剰に貯留した状態
• 髄液が過剰に貯留することにより頭蓋内圧が高くなり様々な症状が出る。
• 頭蓋内圧が正常範囲(150~180mmH₂O)で
ありながら、脳室拡大と神経症状が出現したものが正常圧水頭症
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髄液とは・・・ • 脳や脊髄などは脳脊髄液で 満たされた空間に浮かん だ状態で存在する。
• 脳室内で作られた髄液は、 脳と脊髄の周りを循環して 静脈に吸収される。
• 髄液は1日に450ml生産 される。
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水頭症のしくみ
正常 特発性正常圧水頭症
脳室が大きくなっている!!
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正常圧水頭症 (せいじょうあつすいとうしょう)
●特発性正常圧水頭症
●続発性正常圧水頭症
原因不明で、先行疾患が明らかでない (高齢者に多い)
くも膜下出血後に多く、先行疾患が明らか
特発性正常圧水頭症が 注目されてきたのは • 高齢者の増加
• 歩行障害、認知症、尿失禁といった症状の改善によって介護度が軽減可能
• シャント有効例の選択が高い確率で可能となり装置も改良された。
• 特発性正常圧水頭症診療ガイドラインの発行(平成16年初版,平成23年改訂)
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アルツハイマ 50%血管性痴ほ 15%前頭葉型痴 10%パーキンソン 5%特発性INP 5%その他 15%
前頭・側頭型認知症 :10%
パーキンソン病 :5%
iNPH:5%
その他:15%
アルツハイマー病 :50%
脳血管性認知症 :15%
iNPH患者 現時点で9万人
特発性正常圧水頭症:iNPH 認知症状を伴う脳の疾患
歩行障害(94~100%)、認知症(69~98%)、尿失禁(54~83%)
特発性正常圧水頭症:iNPH 三徴候の頻度は?
特発性正常圧水頭症:iNPH 歩行障害の症状
•小刻み歩行 (小股でよちよち歩く) •外股歩行 (足が開き気味で歩く) •すり足歩行 (足が上がらない状態) •不安定な歩行(特に転回時) •第一歩が出ない (歩きだせない) •突進現象(うまく止まれない) •号令や目印で歩行障害改善が乏しい
特発性正常圧水頭症:iNPH 認知症/尿失禁の症状
•記銘力低下 •知的作業速度低下 •反応性・自発性の低下
•切迫性尿失禁
認知症
尿失禁
・30mlほどの髄液を排出
症状 + 脳室拡大+
特発性正常圧水頭症:iNPH 髄液排除試験≪タップテスト≫
CSF タップテスト
歩行障害などの症状の改善が得られたら髄液シャントが有効とわかります。
水頭症の治療 ◇髄液シャント術(短絡術)
水頭症の治療 ◇髄液シャント術(短絡術)
脳室・くも膜下腔の術前・後の変化
術前 術後 シャント術後
手術後シルビウス裂、脳室ともに縮小
ささいな頭部打撲の1~2ヶ月後に発症。 大脳半球の表面に100cc以上の大量の血腫が貯溜。 高齢者に多く見られ、頭痛のほかに、認知機能障害が目立つのが特徴。 軽い麻痺・歩行障害を伴うこともあり、そのために認知症・脳梗塞などの診断を受けていることがある。 治療は頭に小さな孔を開け、血液を洗い出す、局所麻酔で施行可能な1時間くらいの手術。 高齢者の頭痛に、認知機能障害の要素が加わったら、いつもこの病気を念頭に置くこと。
慢性 硬膜下 血腫 まんせい こうまくか けっしゅ
1~2ヶ月前に頭を 打撲したことがあり、 最近、慢性的な頭痛 と認知機能障害が 出現してきた。 足元もおぼつかなく なってきた
頭に小さな孔を開け血液を洗い出す、局所麻酔で施行可能な1時間くらいの手術
慢性硬膜下血腫の手術 (穿頭血腫洗浄術)
≪まとめ-1≫
•歩行障害、認知症、尿失禁が出現する原
因不明の水頭症
•髄液シャント術によって症状の改善が期待
でき、認知症の鑑別診断として重要な疾患
である
特発性 正常圧 水頭症 とくはつせい せいじょうあつ すいとうしょう
・ささいな頭部打撲の1~2ヶ月後、認知症状が 出現悪化し、軽い麻痺・歩行障害を伴うような こともある ・局所麻酔下で施行可能な血腫を洗浄する手 術を行えば治療できる。 ・高齢者の頭痛に、認知症の要素が加わったら この病気を念頭に置くこと。
慢性 硬膜下 血腫 まんせい こうまくか けっしゅ
≪まとめ-2≫