Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
C&Cプロジェクト 2012 成果報告書 「触発し合う古民家オフィス」
―学生活動拠点の創出による地域活性化に向けたビジネスモデル構築に関する研究― 九州大学大学院人間環境学府修士課程 2年 山口浩介 田中伸穂 岩田和也 藤本慧吾
1.プロジェクトの概要
本研究は昨年度の C&Cにおける活動を通して、「地域と学生が交流できる場所の必要性」と「学生活動のコラボレーションの可能性」を感じ、それらを実現する“場所”を大学周
辺に創り出すことを目的としたプロジェクトである。その上、経済的持続性を担保するた
めの事業計画の作成や地元ネットワークを活かしたサービス提供を含めた、糸島における
学生ならではのビジネスモデルの構築を目指している。 2.達成状況
ⅰ)プロジェクト立ち上げの経緯と提携団体について
元岡商工連合会(以下“商工会”)の予てからの要望であった「新しい事務所が欲しい」、
「九大生と繋がる場所が欲しい」という要望と、上記に挙げた糸島空き家プロジェクトの
目的が一致したために本プロジェクトが実質的なスタートを切った(5 月ごろ)。設計案の作成と商工会役員の方との打ち合わせや運営面での計画等、度々の調整を重ね、10 月に行われた商工会の総会が行われ、プレゼンテーションの末に可決して頂き着工に至った。 工事には建築学科や農学部の 1年生が関わり、運営には KEEPEC、Q.E.Dという学生団
体との連携の中で計画が進められた。 なお、今回のプロジェクトにおける建物は「元岡商工連合会事務所・Co-working café が
やがや門」である。「がやがや門」とは本物件が長屋門という形式の建物であることと、地
域の方々や学生がこの場所でワイワイがやがやする場所になって欲しいという願いからつ
けられた愛称である。 ⅱ)「がやがや門」の設計とデザイン
がやがや門の平面プランは「集まり方」に合わせたスペースとなることを心がけた。商工
会の会議の場や学生活動の拠点、地域の方々の憩いの場として様々な形で活用されるため、
本来の空間を活かしながらも多様な空間づくりを行った。 a. メインスペース
商工会の会議やイベント可能なスペースとして広々と使える空間。日常的には九大生が運
営するカフェとなっており、キッチンスペースも充実させ飲食店許可申請にもクリアして
いる。家具も重ねることで片づけられるものを選び、広い空間を活かし大勢が集まれる空
間となっている。 b.サブスペース A
天井高が低いこのスペースは座ってくつろげる空間となっている。ちょっとした休憩や空
いた時間での勉強なども可能 c.サブスペース B
テーブルとイスとソファーがあり、読書や勉強、小会議等が出来る。隠れ家的で落ち着い
た空間である d.休憩スペース
メインスペースに上階に休憩スペースを設けた。最も天井高の低いこの場所には畳を敷き、
屋根裏的な場所で寝転んでくつろげる空間となっている。 e.納屋
商工会や学生団体が物品や道具や資料等を保管できる場所も作っている。商工会の当初の
要望である「新しい事務所」として求められた内容であり、また学生団体にとっても拠点
として利用する際に道具を置く場所があると良いという要望を満たすものである。 【1階平面図】
【2階平面図】
ⅲ)「がやがや門」の施工(ワークショップ含む)
本プロジェクトでは、糸島地域の工務店である藤原建設の指導の下、可能な限り学生の
手での工事を行った。施工は 10月 13日から 12月 23日の土曜日と日曜日の週 2回行った。 工事においては壁の新設や窓の開口など難易度の高い工程に関しては藤原建設が行い、
家具や床、造作などは学生の手で行った。また土壁や漆喰壁は左官職人の阿部氏の指導に
より行った。漆喰塗や土壁はワークショップを通して、プロジェクトメンバー以外の学生
や社会人にも参加してもらい工事を行った。
ⅳ)「がやがや門」の運営
がやがや門は商工会と学生によるがやがや門運営サークルによって、運営される。がや
がや門運営サークルとは KEEPEC と Q.E.D という学生団体のメンバーを中心に構成されている。KEEPECは九州大学の学生団体が集まる合同新歓イベントを行うなど学生団体とのネットワークを持っており、Q.E.D は起業有志団体であり、カフェ運営や経営に関して興味のある学生が所属する為、彼らの能力や興味を実践する場となっている。 なお、がやがや門の利用方法は大きく分けて以下の 2つである。
① コ・ワーキングカフェ 平日は学生が運営するカフェとして営業を行う。なお、学生の利用率を高める為Wi-Fi
設備を完備しており、いつでもだれでも利用できるようになっている。また、コ・ワーキ
ングカフェとしての利用は一日 500円で飲み物も飲み放題の予定としている(2月末日現在)。 (料金体系は以下のようになっている)
品目 一般 学生
珈琲 300 円 250 円
紅茶 250 円 200 円
緑茶 200 円 150 円
自家製ジュース 250 円 200 円
100%アップルジュース 200 円 150 円
100%オレンジジュース 200 円 150 円
お菓子 +100 円
Wi-‐fi 等の利用 +200 円
② イベントスペース イベント開催のために利用も行っている。地域の方々を呼んだイベントや勉強会、講演
会等小規模なイベントを開催していく。
サービス 料金設定
イベント開催 500 円/参加者一人
荷物預かり 100 円/週
コ・ワーキングスペース利用 料金設定
珈琲 単品 200 円
飲料飲み放題 500 円/日
ⅳ)プレオープン
1 月 14 日~2 月 8 日までがやがや門のプレオープンを開催した。飲み物のみの提供となり、また、広報面での課題はあったものの大勢の方のご来店を頂いた。その後 2月 11日に反省ミーティングを行い修正を図り、今後も商工会との調整を行っていく予定。 3.今後の展開
今後はカフェ運営に向けて地域の企業回りを行い、様々な提携先や融資先等を探してい
く段階である。糸島で販売されている農作物や加工品等を活かした商品の提供を考えてお
り、地域の方々と主にメニューやサービス内容の開発を行っていく。また、新学期(4/6)のオープンに向け入学生への広報や各学生団体への広報なども力を入れて行っていきたい。 さらに、商工会との繋がりを活かしながら、地域行事や地域産業の活性化を目指す場に
もなれればと考えている。具体的には、商工会関係の企業や商店におけるアルバイトの斡
旋やその他地域行事への企画や運営の協働を考えている。