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核磁気共鳴分光法 (NMR)
NMR 分光法の原理化学シフト積分強度
スピンカップリング
1
核磁気共鳴分光法 (NMR)
電子 水素の原子核
炭素の原子核
2
核種 天然存在比 スピン 磁気モーメント(µN)
磁気回転比(107 rad T‒1 s‒1)
1H 99.99% 1/2 2.792 26.751312C 98.94% 0 0 013C 1.07% 1/2 0.7022 6.726214N 99.64% 1 0.4035 1.933115N 0.36% 1/2 ‒0.2830 ‒2.711616O 99.76% 0 0 017O 0.038% 5/2 ‒1.894 ‒3.6264電子 ‒ 1/2 ‒1836 ‒17608.6
磁気モーメントの単位は核磁子 = µN = eħ/2mp = 5.051×10–27 J/T
(e: 電荷素量 = 1.602×10–19 A s, mp: プロトンの質量 = 1.677×10–27 kg)
T (テスラ)= kg A–1 s–2 は磁束密度の単位
各種原子核の磁気的性質
3
磁場中での磁石の挙動
N
S
磁場の中へ
方位磁石
磁場と平行
N
S
水素-1の原子核
磁場の中へ
磁場と平行
4
磁場中の磁石にエネルギーを加えると?
N
S エネルギー加える
磁場と平行
N
S
角度が変化方位磁石=古典力学
N
S
磁場と反平行
N
S
磁場と平行
エネルギー加える
原子核の磁気モーメント=量子力学
5
核磁気共鳴 (NMR) 現象
N
S
磁場と反平行
N
S
磁場と平行
電磁波のエネルギー
(より安定)
電磁波の波長:0.75 m~3.0 m 前後(ラジオ波)
6
化学シフト
スペクトルとシグナル
外部磁場と局所磁場
化学シフトの値
7
磁場
信号強度
CH3CH2OH の 1H NMR スペクトル
なぜ3本のシグナルが現れたのか?
スペクトル:ある物理量(上の例では磁場)の変化に対して信号強度の変化を表示したもの
シグナル:スペクトルの中で分離して観測される個別の信号
8
CH3‒CH2‒OH
原子核は電子に囲まれている
磁場
局所磁場
電子
B = Bo – σBo = (1 – σ)Bo
外部磁場 局所磁場(外から加える)(電子が作り出す)
= 化学シフト
外部磁場と局所磁場
9
磁場
信号強度
1.6 µT 2.1 µT
外部磁場 = 0.76 T = 760000 µT
HO–CH2–CH3
CH3CH2OH の 1H NMR スペクトル
シフト幅/外部磁場=2.1×10‒6, 2.8×10‒6=2.1 ppm, 2.8 ppm
10
12 11 10 9 8 7 6 5 4 3 2 1 0
ホルミル基カルボキシル基フェノール性OH
アルケン芳香族
O, Nが結合したsp³ C‒H
OH
R–CO2HR–CHO
H HOCO
R H
COR
H
CNH
C HC C H
ppm
C が結合したsp³ C‒H
CO
C H
CO H
O
化学シフトの代表的な値
※ 実際のスペクトル解析の際にはこの図では不十分。必ず専門書を参照すること
11
CH2CH3
【練習問題】下の 1H NMR の各シグナルの帰属を決定しなさい。
12
積分強度・スピンカップリング
13
2 : 3 : 3
CO
O CH2CH3CH3
1H NMR の積分強度は水素原子の数に比例する
��������
������
14
5 : 2 : 3CH2OCH3
【練習問題】下の 1H NMR の各シグナルの帰属を決定しなさい。
15
核A
核B 磁場
外部磁場と逆向きの局所磁場
局所磁場磁場
局所磁場
外部磁場と同じ向きの局所磁場
核 B のシグナルはほぼ同じ強度の2本に分裂する
核 A のスピンが磁場と同じ向きか逆向きかで、核 B の共鳴磁場が変化する
スピンカップリング
(同じ理由で、核 A のシグナルも分裂する)
16
隣の炭素に水素原子が2個結合
隣の炭素に水素原子が3個結合
HBで2本に分裂
HB'でそれぞれが2本に分裂
真ん中が高くなる(1:2:1)
C C HB'HA HB
C CHB"HB'HA HB
HBで2本に分裂
HB'でそれぞれが2本に分裂
(1:3:3:1)
HB"でそれぞれが2本に分裂
合計3本
合計4本
スピンカップリングによるシグナルの分裂
17
CO
CH2CH3CH31 32 4
0 個
一重線積分強度=32.1 ppm
CO
CH2CH3CH31 32 4
0 個 3 個合計 3 個四重線
積分強度=22.5 ppm
CO
CH2CH3CH31 32 4
2 個三重線
積分強度=31.1 ppm
CO
CH2CH3CH31 32 4
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1H NMR データの表記
1H NMR (CCl4) δ 2.5 (2H, q), 2.1 (3H, s), 1.1 (3H, t).
測定核 溶媒
化学シフトを表す記号=デルタ(σ[シグマ]やρ[ロー]と
間違えないように)
化学シフトの値 積分強度から求めたHの数
シグナルの分裂パターン
・帰属を書く場合:・スピンカップリング定数を書く場合:
2.5 (2H, 3-H, q)
2.5 (2H, 3-H, q, J = 7.2 Hz)
19
90 MHz
400 MHz
異なる共鳴周波数でのスペクトルの違い
20
ab
cCO
O CHCH3CH3
CH3
【練習問題】下の 1H NMR の各シグナルの帰属を決定しなさい。
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