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オープンイノベーション時代の 新たな産学官連携の促進 平成2310経済産業省 産業技術環境局 第34回研究開発小委員会 資料6

産業構造審議会産業技術分科会第34回研究開発小委員会 資料6 … · (資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

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Page 1: 産業構造審議会産業技術分科会第34回研究開発小委員会 資料6 … · (資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

オープンイノベーション時代の 新たな産学官連携の促進

平成23年10月

経済産業省

産業技術環境局

第34回研究開発小委員会

資料6

Page 2: 産業構造審議会産業技術分科会第34回研究開発小委員会 資料6 … · (資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

●企業の研究開発の短期化、自前主義と重複投資や、国の財政制約、研究開発の小粒化といったイノ

ベーションを巡る課題に対し、新たな国家プロジェクトの展開に加え、オープンイノベーションを活用した新たな価値の創造のための基盤整備が必要ではないか。

■我が国のイノベーションを巡る課題への対応

●「エネルギー・環境制約への挑戦」、「尐子高齢

化社会への挑戦」の二つの最重要課題への

研究開発投資の重点化。

●20~30年後の事業化を見据え、プロジェクト

の期間は原則10年以上。

●省庁の縦割りにとらわれずに連携。

●強者連合によるプロジェクトの実施。

最重要課題に研究開発投資を重点化し、 重複・分散・過小投資の回避

オープンイノベーション・システムを活用し、 組織や業種等の壁を越えた、技術・ノウハウ・人材の

組み合わせによる新たな価値の創造

○企業の研究開発の短期化、自前主義と重複投資 ○国の財政制約、研究開発の小粒化

産業界

公的研究機関

大学

新たな知見・技術シーズ提供

人材供給

技術の橋渡し

標準化

「場」の提供 事業化・産業化

「新たな国家プロジェクト」の展開 オープンイノベーションを活用した 価値創造の基盤整備

イノベーションを巡る課題

2

<パフォーマンス向上に必要な要素>

「磨く」 :プレーヤー自身の能力の向上 「つなぐ」:イノベーションシステムの中で、プレーヤーが連携

し合うこと。またその仕組み。

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産学官連携の現状と課題

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4

■産学官連携の現状と課題①(大学の「磨く」力の停滞)

●我が国大学の研究開発水準は、まだ世界レベルにあるものの、論文数シェアで中国に追いつかれる等、

このままでは相対的な水準の低下が懸念。 ●大学は、イノベーション創出のための知的発信源となり続けるべく、研究水準の維持・向上が必要。

論文発表数では中国が追いあげ

(資料)トムソン・ロイター 「National Science Indicators 1981-2009」

02468

10121416工学

物理学

材料科学

化学

薬理学・毒物学

生物学・生化学

分子生物学

・遺伝学

免疫学

神経科学

・行動学

臨床医学

微生物学

環境・

エコロジー

地球科学

宇宙科学

数学

コンピュータ

0

5

10

15

20工学

物理学

材料科学

化学

薬理学・毒物学

生物学・生化学

分子生物学

・遺伝学

免疫学

神経科学

・行動学

臨床医学

微生物学

環境・

エコロジー

地球科学

宇宙科学

数学

コンピュータ

論文被引用割合は日本は減尐、中国は増加

日本 中国

(資料)トムソン・ロイター 「National Science Indicators 1981-2009」 (参考)各分野における論文の総被引用数に対する当該国の著者による論文の被引用数の割合(単位:%)

0

10

20

30

40

50

60

70 工学

物理学

材料科学

化学

薬理学・毒物学

生物学・生化学

分子生物学

・遺伝学

免疫学

神経科学

・行動学

臨床医学

微生物学

環境・

エコロジー

地球科学

宇宙科学

数学

コンピュータ

米国

0

1

2

3

4工学

物理学

材料科学

化学

薬理学・毒物学

生物学・生化学

分子生物学

・遺伝学

免疫学

神経科学

・行動学

臨床医学

微生物学

環境・

エコロジー

地球科学

宇宙科学

数学

コンピュータ

インド

0

5

10

15

20

25

30

35

1985 1990 1995 2000 2001 2002 2004 2005 2006 2007 2008 2009

(万件)

(年)

日本 米国

英国 中国

インド

中国

日本

米国

2000~2004年

2005~2009年

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80%

85%

90%

95%

100%

1.10

1.15

1.20

1.25

H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23

5

■産学官連携の現状と課題①(大学の「磨く」力の停滞)

●大学の運営費交付金は減尐し、人件費率が上昇。大学機能の低下が懸念。

●大学は、イノベーション創出のための知的発信源となり続けるべく、研究水準の維持・向上が必要。

運営費交付金

(交付金+授業料等収入)

に対する人件費割合

運営費交付金は減尐、交付金と授業料収入 に対する人件費割合は100%近くに上昇

(資料)文部科学省予算・決算関係資料より経済産業省作成

国立大学評価は運営費交付金再配分への影響小 インセンティブが働きにくい仕組みに

3,261人/校

4,275人/校

7,467人/校

5,918人/校

15,324人/校

10,810人/校

日本

米国

英国

ドイツ

中国

韓国

大学1校当たりの規模(学生数)は主要国よりも小さい

(資料)文部科学省「教育指標の国際比較 22年度版」から経済産業省作成

(参考)米国は大学院生を含む学生数。いずれも文系・理系の区別なし。

大学教員一人当たりの職員数は主要国よりも尐ない

小規模大学では大規模施設・設備等の維持・運営が難しくなるのではないか。

研究支援人材等、教員(研究者)を支える職員が尐ないことで、研究者の事務的な負担が増加しているのではないか。

9.9 7.6

6.7 6.2

4.3 2.7

2.5 1.5

1.3 1.1

1.1

0.9 0.7

0.6

デューク大MIT

カルテックシカゴ大コーネル大コロンビア大

カーネギーメロン大豪州国立大エディンバラ大

オックスフォード大ケンブリッジ大

京大東大阪大

(資料)日本物理学会キャリア支援センター

「大学における大学生・教員数比率の国際比較(最終報告書)」(2010年1月)

から経済産業省作成

(参考)教員数は専従換算、職員数は実数。

いずれも文系・理系の区別なし。

(人)

(資料)総合評価及び評価反映額:朝日新聞(H22年3月25日(朝刊))記事

平成21年度交付金:中央教育審議会大学分科会大学行財政部会

(H22年3月25日)資料 より、経済産業省作成

大学名総合評価(91点満点)

H22FY評価反映額

(参考)H21FY交付金

東京大 56.9 2500万円 878.8億円

京都大 51.3 1300万円 596.4億円

運営費交付金(左軸)は

7年で900億円(7%)減尐

(交付金+授業料収入) に対する人件費割合(右軸)は増加

(兆円)

(年度)

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●産学共同研究は、研究者個人と個別企業との一対一かつ尐額の研究が中心。社会課題に応える大

きなイノベーションは生まれにくい。世界のイノベーション活動に遅れをとることが懸念。 ●大きなイノベーションにつながる「知の融合」となる、産学連携を生み出すための環境整備が必要。

共同研究の研究費の大半は100万円以下

50%

33%

8%

5% 4%

1件当たり平均約200万円※海外大学に対しては1000万円以上が一般的

~100万円未満

~300万円未満

~500万円未満

~1,000万円未満

~5,000万円未満

(資料)文部科学省「大学等における産学連携等実施状況について」(2009年度)

■産学官連携の現状と課題②(大学の「つなぐ」環境の不足)

14% 13%

30%

0%

10%

20%

30%

40%

東北大学

(2007)

京都大学

(2009)

九州工業大学

(2009)

(資料)経済産業省から各大学への聞き取りに基づき作成。

(研究者総数に占める共同研究実施研究者割合)

学内で産学連携に参画する教員の割合は低い

209

万円

221

万円

225

万円

229

万円 225

万円

226

万円 199

万円

0

0.4

0.8

1.2

1.6

0

100

200

300

400

2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009

平均額

受入総額(左軸)

実施件数(右軸)

共同研究件数は伸びたが、研究費単価は横ばい (億円)

(年度)

(万件)

(資料)文部科学省「大学等における産学連携等実施状況について」(2009年度) (参考)5000万円以上の共同研究件数は、民間企業の他、公的研究機関等との共同

研究を含む数値であり、文部科学省資料を基に経済産業省推計。

2006 2007 2008 2009

5000万円以上の件数 44件 49件 53件 47件

各国で「つなぐ」環境整備(産学共同での実践的教育)の取組み

<EU> Industrial Ph.D 2012年から、第7次研究枠組計画(FP7)の人材プログラムの一環として、企業との共同研究現場での博士課程「European Industrial Doctorates (industrial Ph.D)」を導入予定(予算総額2000万ユーロ)。

<英国>Collaborative Awards in Science and Engineeringプログラム

大学と企業の共同スーパーバイザーによる博士課程。プログラム運営・内容に関する企業のイニシアティブが強く、企業に対して政府支援。

(資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

(2005年4月)(RIETI Policy Discussion Paper Series 05-P-002) から引用。 6

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■産学官連携の現状と課題③(公的研究機関の「磨く・つなぐ」力の停滞)

(基礎研究と製品化研究をつなぐ橋渡し研究の一体的推進) ●研究開発活動によって、多くの技術シーズが生み出され、論文や特許の形で発表されるが、そのほと

んどは、実用化の段階まで到達できず、「死の谷」と言われる段階で行き詰まり、その成果が社会に

還元されるまでには大きな困難が伴う。

●この中でも、公的研究機関は、「死の谷」を超える橋渡し研究の重点化が求められているものの、近

年、実用化研究予算は減尐傾向であるのが現状。

※死の谷を乗り越えるためには、一つの技術が実用化するまでの研究開発プロセスを構成する、技術シーズを作り上げる「基礎研究」と、

「死の谷」を越える「橋渡し研究」、そして、「製品化研究」を順番に技術移転でつなげるのではなく、これらの3つの研究領域を総合的か

つ一体的に取り組むことが必要。

人々の関心、

研究費獲得の可能性

公的研究費

(公的研究費が必要)

民間研究費

15年夢 悪夢 現実

(基礎研究) (橋渡し研究) (製品化研究)

大学 企業

公的研究機関

研究期間

橋渡し研究の概要 科学技術振興費の推移

○橋渡し研究に繋がる実用化研究予算が、近年、減尐傾向。 ○「死の谷」を繋ぐ橋渡し研究が重要。

7

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(標準化研究への取り組み)

●研究開発活動によって生み出された成果を産業活動の中で生かすためには、安全性評価や性能評価等の標準的な評価方法を標準化する研究活動を、研究開発に着手する段階から戦略的に取り組む

ことが必要である。

●標準化研究は、研究開発の成果を社会につなげる重要な活動であり公的研究機関の担うべき重点領域である。しかしながら、標準化研究は最先端研究の領域とは異なり外部資金を得られにくい等の事

情もあり、必ずしも十分な活動が行われていないのが実状。

■産学官連携の現状と課題④(公的研究機関の「つなぐ」環境の不足)

8

国際幹事引受数の国別内訳(2009年末現在)

独 米 英 日

ISO

IEC

仏 中

129 127 73 70 59

独 米 英 日 仏 中

32 24 24 19 15

27

5

近年3年間における公的研究機関のプレゼンス

-国際標準化機関における幹事や議長を担当する者には大学や公的研究機関の研究者が多く含まれている。

-しかしながら、一部を除き、大学や公的研究機関の任務として国際標準化活動はまだ明確に位置付けられているとは言えず、同活動が研究者の評価に正当に反映されていない面がある。 -これは国際標準化活動に携わる若手研究者の減尐の一因にもなっている。

(出典)知的財産戦略本部「政策レビュー及び第3期知的財産戦略の基本方針の在り方について」(平成21年2月)より抜粋

○我が国の国際幹事引受数は、他国に比べ低調 ○国際標準化活動における公的研究機関の貢献度は、 依然として低調に推移

※上記の数値は、各年の5月時点等の数値を集計したものであり、左記の資料と数値 が異なる。

2009年 2010年 2011年国際幹事引受数 15 15 15公的研究機関 0 0 1公的研究機関の割合 0% 0% 7%

IEC

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解決の方向性

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■「磨く」力の向上:国際競争力ある大学への回帰①

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1.研究者の流動性を高め、国際化を進め、人・カネ・技術の集まる開かれた大学を目指すべき。 -研究者の移動が自由になるよう、年俸制の更なる導入を図るべき。 -大学の競争力を高めるため、大学評価と運営費交付金との連動を強化すべき。

医師の給与・退職金(2004年3月時点)

○医師に年俸制を導入している民間病院:81.6%

○退職金なしの民間病院:53.6%

(資料)「医師の給与について-「賃金構造基本統計調査結果」等を受けて-」 2007年4月、日本医師会/日医総研

国立大学(4大学)における年俸制職員比率

年俸制職員比率 年俸制職員数 全職員数

12.3% 1,225人 9,927人

(資料)北海道大学、名古屋大学、大阪大学、京都大学の4大学の公表資料より、経済産業省作成。

(参考)北海道大学、名古屋大学、大阪大学、京都大学の4大学の合計値。

各大学公表資料中の事務系、医療系等を除く「教育職種」が総数。

(参考)米国、カリフォルニア、ニュージャージーについては1ドル76円で円換算、 9ヶ月支給額を、12/9倍した金額。 (資料)米国:”Digest of Education Statistics 2007, 2008, 2009, 2010”、日本平均:

厚生労働省調査、東大:東大財務情報、より経済産業省推計。

1166 1114

1909 18851738

1271

大学教授年収は日米差あり

(万円)

○流動性を高めるためには、国立大学から企業への一時出向時に、退職金算定期間が切れないよう、国立大学法人の内規の改正により対応することは一案。

○ただし、退職金の財源の問題が残る。退職金積立のための複雑な算定の問題が残るため、年俸制の導入を進めてはどうか。

○「磨く」力の向上には、研究者の流動性を高め、優秀な人材を集められる仕組みが必要。

○他方、海外との年収差も大きく、一方的な人材流出の懸念あり。

○海外の研究者招聘を容易にするよう、外部獲得資金の積立を原則可能としてはどうか。

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■「磨く」力の向上:国際競争力ある大学への回帰②

11

2.日本の国際競争力を念頭に置いた研究レベルを維持するために、環境整備を図るべき。 -プログラムマネージャーやリサーチアドミニストレーター等の研究支援人材を育成・確保すべき。

-共同研究の間接経費の透明化や間接経費率の明確化を図り、大学の維持運営に必要な経費を外部資金で賄えるようにすべき。

<競争的資金> ○間接経費率:30% ○積算不要、学長の広範な裁量下で使用可 <競争的資金以外の研究開発プロジェクト> 例)NEDO研究開発プロジェクト ○間接経費率:原則1 5%

○ただし、委託業務に直接従事する研究員や研究員が所属する研究室等に間接経費を配分する場合は、10%加算可 (25%が上限)

<産学共同研究> ○間接経費率:5%~30%(10%が多い) (※米国は50~60%、スイスは40~45%)

「最先端研究開発支援プログラム(FIRST)」での先進的取組み

○平成21年度補正予算により創設された最先端研究開発支援プログラム(1,000億円、30研究者・課題)。

○研究者個人に着目し、世界トップを目指す研究開発に、3~5年の複数年度の助成を行う。

○助成金を3つに分類し、従来の間接経費のうち、研究支援者等の人件費を明確化。

経費A 経費B 経費C

いわゆる間接経費

B+C ≦ A×20%

研究費、研究者人件費

研究機器購入費 研究開発支援システム改革経費(研究支援者・知財専門家等の人件費)

研究環境整備の経費

研究開発における間接経費の取扱い

(資料) 「競争的資金の間接経費の執行に係る共通指針」(競争的資金に関する関係府省連絡会申し合わせ)、NEDO「委託業務事務処理マニュアル(大学用)」、東京大学産学連携本部「民間企業との共同研究の在り方 調査研究報告書」(平成23年3月、平成22年度文部科学省イノベーションシステム整備事業大学等産学連携自立化プログラム(機能強化支援))より、経済産業省作成。 (資料) 総合科学技術会議資料から経済産業省作成

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兼業期間 兼業時間数 勤務時間・給与との整理

九州大学

360時間/年、45時間/月まで(審査により超過可)

勤務時間内兼業は原則不可(法令根拠があるか、総長が認める場合のみ可)

大阪大学

原則2年(更新可、法令根拠がある場合は5年)

産学連携目的で実費範囲内の対価受領は勤務時間内兼業も減給なし

東京大学

原則1年(更新可、法令根拠がある場合は4年)

1回の報酬額が社会通念上合理的な範囲であること

東京工業大学

原則2年(更新可、法令根拠がある場合は4年)

8時間/週(理事等は4時間/週)※月2回以上の宿泊を伴う兼業不可

※大学施設・設備の使用は原則不可

東北大学

原則2年(更新可、法令根拠がある場合は5年)

15時間/週・45時間/月超は要審査

勤務時間内兼業は減給全兼業報酬額が年収を超過する場合は要審査

■「つなぐ」を促す仕組み① 1.社会課題や解決策を産学官一体となって考えるなど、産学間のコミュニケーションを拡大すべき。 -産学官連携の領域を従来の共同研究の前後に広げ、入口から出口まで密接に協働すべき。

-従来の研究者個人と個別企業の「一対一」型共同研究のみならず、研究早期段階からの「多対多」での意見交換を重視すべき。

2.産業界は、共同研究のマネジメントや人材育成に積極的に関与すべき。 -産業界は、共同研究のマネジメントに積極的に関与し、共同研究のテーマ設定等へニーズを反映すべき。 -産学が一体となり、人材育成に取組むべき。

3.産学官連携活動・共同研究への参画インセンティブを高めるべき。 -産学官連携活動にやる気のある教職員・公的研究機関職員が評価・処遇される仕組みとすべき。 -兼業のより柔軟な活用など、産学官連携活動の業務量に応じた収入が得られる仕組みとすべき。

現行の兼業ルールは各大学で異なり、比較的柔軟なものもあり

(資料)各大学の兼業規定より、経済産業省作成。

考えられるルール緩和策 研究者は兼業収入を一旦大学に納め、大学は、そこから施設使用料等の研究環境整備の経費を徴収することを条件に、 -兼業収入の上限制限を外す。 -大学の施設・設備の使用を許可。 12

既存のシーズ (作られつつある) 技術・特許

シーズとして 確立(存在)

しない技術・概念

顕在化している企業ニーズ (既存ビジネス)

確信を持てない将来ニーズ (将来ビジネス)

(資料)太田与洋他「新しい産学連携「参加方式協働事業」の事後評価」(2011

年)より経済産業省編集

従来型 共同研究

企業・ 開発、事業部

大学

こうした領域における

産学共同での掘り起こしが必要

産学官連携の領域の拡大

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■「つなぐ」を促す仕組み②

4.人の集まる拠点としての機能を高めるべき。 -(公的研究機関の)基礎研究と製品化研究及びこれらをつなぐ橋渡し研究の機能を高めるべき。 -戦略的な知財マネジメント(知財の蓄積と共有)を行うべき。 -研究施設・設備の柔軟な共有・共用を可能にすべき。 -(公的研究機関の)成果を社会につなぐ研究と標準化を一体的に推進すべき。

(事例)BEANS組合における知財の管理・運営

IPは、希望する者に広く活用させる。 ・研究成果の利用・普及に際しては、プロジェクト参加者以外

にも、一般に広く実施許諾する。

IPはBEANS研究所が一括ライセンス ・IPは原則、研究従事者の所属機関に帰属

・IPの権利者はBEANS研究所にサブライセンス権付実施許諾

サブライセンス権付

非独占的通常実施権 ライセンス

権利者 BEANS 研究所

IPを利用 したい者 (無償) (有償)

・権利者は、一般的な実施許諾条件についてBEANS研究所

と事前に協議を行うことを条件に、第三者に非独占的通常

実施権を許諾することも可。(大学TLOの活動を妨げない。)

利用しやすいIPパッケージの形成 ・BEANS成果(フォアグランドIP)だけでなく、バックグランドIP

も含めてBEANS技術群(IPパッケージ)を形成

・実施許諾対象技術はIPパッケージ

参加大学には不実施補償を考慮 ・大学との共同出願時に、大学が負担すべき費用を共同出願

企業が負担。(実施料配分時に精算)

IPは、参加企業が自由に実施できる ・自身の参加テーマに限らず、他のテーマの成果についても

一定の実施条件(先行者利益を考慮)のもとに実施できる。

○IMEC単独で行った基盤研究開発の成果・権利はIMEC に帰属。

○プログラム参加者は、プログラム成果の利用に必要な部分の通常実施権(非独占、移転不可)を無償で受けられる。

○プログラム参加者が貢献した研究開発成果部分は、IMEC と共有。

○参加企業は共同研究によって得た特許を独立して共有し、独自にライセンス可。

(事例)IMECにおける知財の管理・運営

○DSSCでの研究開発成果・権利は大学に帰属。

○年会費25万ドルの企業は無償の通常実施権、 5万ドルの企業は合理的な価格の通常実施権を有する。

(事例)米カーネギーメロン大DSSC(Data Storage Systems Center)における知財の管理・運営

(資料)技術研究組合BEANS研究所作成資料から抜粋

(資料)(社)日本機械工業連合会「平成21年度海外の国家プロジェクト、産学官連携の実態に関する調査研究報告書」(平成22年)及び石谷明彦「 Introduction of

IMEC 」(国際特許流通セミナー2010「研究開発コンソーシアムにおける知財マネジメントの現状とあり方について」から経済産業省作成。

(資料)DSSCのHP及び産業技術研究所「米国の研究大学の産学共同研究センターの運営、企業との連携、パフォーマンス等に関する調査報告書」(平成20年)から経済産業省作成。

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オープンイノベーション時代の産学官連携の在り方

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■オープンイノベーション下での新たな産学官連携・共同研究活動(基本的要件と進め方)

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1.産業界の積極的関与 ○個別企業と研究者個人との一対一の従来型共同研究ではなく、早い段階から、大学・公的研究機関の一定レベルの研究成果・研究進捗状況を定期的に意見交換(多対多)

○企業は、大学・公的研究機関の研究成果へのアクセス確保のための経費を参加料として支払う ○主要参加企業は、共同研究等のテーマ選定や人材育成等の運営に関与

2.大学・公的研究機関改革を伴う効果的な共同研究の仕組み ○多対多の意見交換後、大学・公的研究機関・企業間での一対一の共同研究実施の際の効果的な仕組みの導入 -大学の共同研究の間接経費(研究支援人材や大学院生の人件費等を含む)の透明化と間接経費率の明確化 -プログラムマネージャーやリサーチアドミニストレーター等の研究支援人材の確保 -大学・公的研究機関研究者の共同研究等の業務量に応じた収入確保 -拠点としての知財戦略(知財の蓄積、共有及び無償・安価での実施確保等)の構築 -技術流出防止対策の徹底

3.産学官一体での研究現場での人材育成 ○共同研究等へのポスドクや大学院生の参加(大学院生への人件費支払い) ○産業界が関与する技術経営論等の講座の実施(単位付与) ○公的研究機関による、最前線の研究インフラや橋渡し研究の実績をもつ人的資源等の提供

4.ネットワーク化 ○同分野の他大学・公的研究機関とのネットワーク化による、共同研究の施設・設備・人材の共有・共用

1.これまでに整備した拠点を活用。

2.大学・公的研究機関改革を参加要件として要求し、それを実現する産学官連携・共同研究に対して、文科省の産学連携補助金等も含め政府の産学官連携支援策を集中。国家プロジェクト等の研究開発予算も集中投入。

基本的要件

進め方

これにより、①大学・公的研究機関改革を実現し、競争力のある大学への回帰を図るとともに、 ②産学双方のコミットによる産学連携活動を通じて「つなぐ」力を促進する。

Page 16: 産業構造審議会産業技術分科会第34回研究開発小委員会 資料6 … · (資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

●産学双方がコミットし、産学が共同で考える仕組みを備えた新たな産学連携システムで、研究者へのインセンティブ付与や産業界が主体となる人材育成等の大学改革を要件とする産学連携・共同研究拠点を創設。拠点間をネットワーク化することで、イノベーションシステム全体での人材流動化を促進。

■産学連携・共同研究拠点(オープンイノベーション・ハブ)の提案

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産学連携・共同研究拠点

○産業界の会費納付 ○産業界が運営へ関与 ●大学の最先端研究情報を共有

●知財の無償・安価での実施

知財の蓄積・共有

大学

共同研究の実施

研究施設・設備の共用

共同研究を通じた人材育成

産学共同運営ボード

会員企業との 定期的意見交換

海外大学

共同研究契約

大学の

技術シーズの洗練

産業化・実用化

海外企業

企業

企業

企業

大学

○大学改革 ・参加する教職員へのインセンティブ付与(評価、人件費支払い、研究支援人材の確保) ・間接経費率の透明化・明確化

公的研究機関

Page 17: 産業構造審議会産業技術分科会第34回研究開発小委員会 資料6 … · (資料)EU:欧州委員会HPから、経済産業省作成。 英国:後藤晃、リー・ウールガー「理工系人材形成における産学官協力-イギリスのケース」

(参考)類似組織・事例

●我が国では、大学による類似の取組みはあるが、 1対1対応が基本であり、成功事例は尐ない。 ●海外では、様々な形態の共同研究支援組織・制度あり。

(事例)大阪大学 「Industry on Campus」

<共同研究講座>

○外部企業からの資金提供により、大阪大学内に独立組織である研究組織(共同研究講座)を設置。

○出資企業から研究者を受け入れ、大学教員と企業研究員とが対等な立場で共同研究を実施。

○平成18年度に創設以来、28講座を設置(2011年7月時点)。

○共同研究費には、ポスドクの人件費も含む。

(資料)大阪大学HPより経済産業省作成

(事例)東京大学 「Proprius21」 <共同研究立案> ①共同研究前のオープンな意見交換 ②共同研究課題に最適な企業のパートナー(研究

者)を学内で探索しながらテーマの絞り込み ③事前に共同研究の実施計画を立案 <共同研究の実施> ○ポスドクを企業の費用負担により共同研究員として配置。

○複数年で数億円規模の研究開発も実施。 2008年度時点で、1件平均1100万年超)

(資料)東京大学HPより経済産業省作成

○「Linking Discovery to Innovation」の概念の下、大学に産学共

同の学際的な工学研究・教育を実施するセンターを設置。 1985年以降、全米で展開。

○米国国立科学財団(NSF)は、工学系教育の変更をもたらすとして支援。(支援中13拠点、支援終了29拠点。1拠点当たり、年間約325万ドル~420万ドルを、10年間支援。)

○企業は会費を支払い参加し、運営ボードを通じて運営に関与。 ○研究成果は大学に帰属、参加企業は無償通常実施権を得る。 ○ERCsの経済効果は数百億ドルとされる。

○産学で大学にセンターを設置し、汎用的な競争前段階の産業技術の研究開発を実施。米国国立科学財団(NSF)が支援。

(約50拠点、750人以上の教員、750人以上の大学院生が参加) ○産業界は会員制で、アドバイザリーボードを通じて運営に関与。

○1984年に、ルーヴェン・カトリック大学の附設マイクロエレクトロ

ニクス先端研究所として設立。ルーヴェン大学教授陣がIMECの幹部職員を兼任。

○産業界は、会費を支払い参加。

○最先端設備を備え、企業からも研究者を派遣。大学院生も共同研究に雇用。

○知財管理についてはp.13参照。

(事例)ベルギー IMEC

(事例)米国 ERCs(Engineering Research Centers)

(事例)米国 IUCRC(Industry-University Cooperative Research Centers)

(資料)ERC Association のHPより経済産業省作成

(資料)ERC Association のHPより経済産業省作成

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(資料)(社)日本機械工業連合会「平成21年度海外の国家プロジェクト、産学官連携の実態に関する調査研究報告書」(平成22年)より経済産業省作成。