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細胞の増殖とDNA複製
M期
S期
G1 期
G2 期G0 期
増殖
細胞周期とその調節
S期
間期
分裂準備
2h
細胞分裂
2h
G1期
G0期静止期
WT1
RBp53
ガン抑制遺伝子産物によるブレーキング
Ras
Myc
Fos
Jun
ガン遺伝子による加速
G2期 M期
5'
5'
3'
3'
5'
5'
3'
3'
DNAポリメラーゼは5' 3'方向に複製していく.
複製のとっかかり( プライマー )が必要=RNA
リーディング鎖のコピーは一気に.ラギング鎖のコ
ピーは小さい 岡崎フラグメント をつなぎ合わせるや
りかたで.このRNAプライマーは消失後すぐにDN
Aリガーゼで修復される
5'
5'
5'5'
5'
複製のリーディング鎖
複製のリーディング鎖 複製のラギング鎖
複製のラギング鎖
5'
5'
3'
3'
3'
5'
5'
3'
末端RNAは分解され消失する
11
複製基点の認識
ヘリカーゼ 二本鎖DNAの水素結合切断(ATPの消費)
DNAジャイレース(トポイソメラーゼ):DNA二本鎖切断、鎖を回転、切れ目を閉じる
1本鎖DNA結合タンパク質(SSB) 再会合(アニーリング)の防止
RNAポリメラーゼ(プライマーゼ)複製基点にRNAプライマー(4-15bp)を作る
DNAポリメラーゼ RNAプライマーの後ろ(3’末端から)に5’→3’方向に合成(リーディング鎖)
DNAポリメラーゼ RNAプライマーの後ろ(3’末端から)に5’→3’方向に合成(リーディング鎖)
DNAポリメラーゼ:二量体(リーディング鎖用とラギング鎖用)
ラギング鎖の合成 DNAポリメーラーゼが鋳型配列を読み取る方向と合成方向が逆向き
ラギング鎖の鋳型鎖をねじってポリメラーゼの中を通す
細胞分裂と寿命の問題を考える寿命はなぜ決まっているのか老化、加齢の問題とは何か
DNA複製における末端の問題
加齢による機能の衰え=老化老化:多細胞生物に固有の現象
単細胞生物 細胞分裂をしながら現在まで何億年も生存してきた.
多細胞生物 種に固有の平均寿命を持っている.
老化の現象40㎠の傷の治癒日数
14 28 42 56 700
40
30
20
10
0
40才
30才
20才
この遅延化は,
①細胞自身の持つ増殖能力にあるのか
②細胞が増殖するために必要な細胞外環境にあるのか細胞自身に原因を求める
コラーゲンの劣化,ホルモンや免疫系の衰え血管系の障害の進行
細胞の分裂寿命
(Proliferative lifespan)
組織
トリプシンでほぐす
シャーレにまく
2代培養細胞1 PDL
集団倍加レベル
(Population doubling level=PDL)
仮に,継代のたびに4倍希釈でまき直
せば1継代毎に2PDLずつ増加
8倍希釈してまき直せば3PDLずつ増加
*初代培養でシャーレ一杯になるま
での分裂回数がわからないのでこれ
は無視する
ヒト胎児器官から分離した細胞の分裂寿命
起源組織
心臓
肝臓
肺臓
平均PDL
9.85
19.75
46.24
いくらでも増殖を続ける細胞はない.100回を越える
分裂寿命を持つものはない
分裂寿命は,由来臓器によって異なる
分裂寿命は細胞固有の性質である
50回の分裂の最期に近づくと増殖が次第に遅くなって
細胞はG0期にはいって戻らなくなる
75
50
25
0
PDL
0-
10
10-
20
20-
30
30-
40
40-
50
50-
60
60-
70
70-
80
80-
90
繊維芽細胞供与者の年齢と分裂寿命の関係
Martinら 1970
(才)
遺伝的早老症(Progeria)
ワーナー症候群(Warner Syndrome)
老化を支配する遺伝子?
早く老化してしまう病気(遺伝病)
75
50
25
0
PDL
0 10 20 30 40 50 60 70 80
繊維芽細胞分裂寿命と早老症
(Goldstein,1978)
対照群平均
細胞の分裂寿命は遺伝子に
支配されている
セントロメア
テロメア
(telomere)
1.ヒト遺伝子の構造
ヒト染色体
細胞分裂中期の様相
細胞分裂に先立って複製された染
色体がセントロメア(動原体)に
よって束ねられている
原核生物(細菌)の遺伝子構造
真核生物(菌類・高等植物・動物)
の遺伝子構造
テロメア領域
直鎖の2本鎖構造・端がある
テロメア領域
5'- TTAGGG TTAGGG TTAGGG -----3'
6塩基を単位とする反復配列(repeated
sequence)(TTAGGG)n.
ヒトでは2,000以上反復(12Kb)
5’ 3’遺伝子 遺伝子 遺伝子
染色体のDNA分子
テロメア テロメア
サブテロメアサブテロメア
DNA複製のたびにテロメアは短くなる
9
線状2本鎖DNAの複製問題
5'
5'
3'
3'
5'
5'
3'
3'
DNAポリメラーゼは5' 3'方向に複製していく.
複製のとっかかり( プライマー )が必要=RNA
リーディング鎖のコピーは一気に.ラギング鎖のコ
ピーは小さい 岡崎フラグメント をつなぎ合わせるや
りかたで.このRNAプライマーは消失後すぐにDN
Aリガーゼで修復される
5'
5'
5'5'
5'
複製のリーディング鎖
複製のリーディング鎖 複製のラギング鎖
複製のラギング鎖
5'
5'
3'
3'
3'
5'
5'
3'
末端RNAは分解され消失する
11
1930年代 B. McClintock
H.J. M u ller
末端を欠いた染色体が融合しやすいことを発見
Muller : テロメア(telomere)という用語の提唱
1972年 E.H. Blackburn
ゾウリムシ( Tetrahymena)でテロメアDNAの
繰り返し配列を発見
1972年 J.D. Watson
5’末端の末端複製問題の提起
1984年 C.W. Greider
テトラヒメナにおいてテロメラーゼ活性の検出
1973年 A.M. Olovnikov
5’末端の末端複製問題と分裂時計、細胞老化機構の関連
について提案
早老症患者の細胞のテロメアも短い
10
5
0
早老症患者 対照群
kbp
(Allsoppら1992)
5 7 9 11
20
40
60
PDL
平均テロメアサイズ(kb)
0-25歳26-51歳
51-76歳
種々の年齢のヒトから採取された繊維芽細胞の分裂可能
回数とテロメアサイズの相関
1988 年 C.W. Greider
ヒト細胞の継代培養に伴うテロメア長の短縮の発見
1990年 N.D. Hastie
ヒト組織で年齢とともにテロメア長が短縮
癌組織でテロメアが短い
1992年 C.M. Counter
テロメア短縮によって細胞の寿命がつきる
ことを証明
TAGGGTTAGGGTTAGGGTTA GGGTTAGGGTTAGGGTT
短縮したテロメアの修復酵素=テロメラーゼ
(telomerase)
不完全な新生鎖
TAGGGTTAGGGTTAGGGTTAGG-3'
ATCC-5'
AATCCCAAT
TAGGGTTAGGGTTAGGGTTA GGGTTAAATCCCAAT
TAGGGTTAGGGTTAGGGTTA
ATCC-5'
CCCAATCCCAATCCCAATCCCAAT-5'
ATCC-5'
ATCC
DNAポリメラーゼによる伸長
テロメラーゼによる伸長
(Blackburn 1991)
多細胞生物におけるテロメラーゼの発見
テロメラーゼ触媒ユニット遺伝子のクローニング
Nakamuraら(1997)Meyersonら(1997)Kilianら(1997)
触媒サブユニットの遺伝子導入と発現
Weinrichら(1997)中山ら(1998)
、
Bordnarら(1998)の実験
テロメラーゼ触媒サブユニット遺伝子をヒト網膜上皮細胞および線維芽細胞に導入し発現させた
培養細胞のテロメア長が長くなった培養細胞の分裂回数が20回以上増加した
網膜上皮細胞 54回から74回へ線維芽細胞 64回から100回
テロメアとテロメラーゼの機能についての最終証明
クローン羊ドリーのテロメア長は?
大人の羊の体細胞からクローニングしたので普通の子羊よりテロメアが短いはず?
Shielsら(1999) Nature May 27日号399巻:(316-317)Analysis of telomere lengths in cloned sheep
ドリーのテロメア長が短いことを報告
有限寿命細胞: テロメ ラ ーゼの発現がない
細胞の不死化: テロメ ラ ーゼの発現が必申_
発生初期の細胞や生殖細胞: テロメ ラ ーゼ
の発現の可能ォあり
生殖細胞のテロメ アは体細胞に比べ非常に
長い
体細胞へ分化: テロメ ラ ーゼ発現予制
ガン細胞と テロメ ア・ テロメ ラ ーゼ
PCR法PCR法(Polymerase Chain Reaction) Kary Mullis(1986)
DNAのクローニングを必要とせず、ごく微量のDNAがあれば、標的遺伝子を簡便に解析できる。分子生物学、基礎医学、遺伝学、育種、薬学、臨床診断、犯罪捜査、考古学などなどの幅広い分野で利用され、これらの分野の研究手法に一大革命をもたらした。1993年、その功績を讃え、Mullisにノーベル医学生理学賞が与えられた。
5’- atttactcca gccatgctaa gaaagctacc-3’
3’- taaatgaggt cggtacgatt ctttcgatgg-5’
5’- atttactcca gccatgctaa gaaagctacc-3’
3’- taaatgaggt cggtacgatt ctttcgatgg-5’
加熱して、一本鎖に解離させる。
確実に解離させるため94℃や95℃にする
A-TとG-Cでは、水素結合の数が違うので結合力が異なり、A-Tの方が低い温度で解離する。
水素結合
2
3
A T
G C
5’- atttactcca gccatgctaa gaaagctacc-3’
3’- taaatgaggt cggtacgatt ctttcgatgg-5’
配列がぴったりするように人工的に合成した短いDNA分子(プライマー)をくっつける。
ctttcgatgg 5’5’atttactcca
このとき、温度を下げる。プライマー配列のAT-GCの割合でくっつく温度が異なる。たいていは、55℃前後。
温度を下げすぎると、でたらめにくっつく。
TaqポリメラーゼによるDNA鎖合成
APPP PPP PPP PPP
G C T
合成する材料としてdNTPを加えてやる。
この反応は72℃でおこなう。
72℃でだいたい10分くらい反応させると、反応が完成する。DNAのコピーは2倍になっている
ふたたび加熱して、一本鎖に解離させる。
TaqポリメラーゼによるDNA鎖合成
2コピーが4コピー
この調子で25サイクルくりかえすと
225倍=33,554,432倍つまり3000万倍に増幅される。
プライマーの設計さえ間違えなければ、目的の遺伝子を大量に手に入れることができる。