12
はじめに フローサイトメーターの応用分野の中で大きな比重を占める分野の 1 つが DNA 含量の分析です。細胞の DNA 含量を 分析することで、癌細胞への抗癌剤の評価や悪性度、予後、悪性進行度の評価が行われています。抗癌剤が細胞周期の どの期に良く効くのかを研究する上でも、DNA 含量の測定は重要です。近年、DNA の断片化したアポトーシス細胞の DNA 含量の測定解析や、細胞周期の各期に一致して生成・分解されるサイクリンと DNA 2 重染色もフローサイトメー ターを用いて行われています。 原理 【細胞周期と増殖関連抗原】 細胞は、細胞分裂により 2 つの娘細胞になります。娘細胞への複製と分裂において、最も重要な細胞内構造は、細胞核 です。生体内の細胞は、ほぼ例外なしに DNA 量と染色体の構成が同じです。このため、各々の娘細胞が親細胞と同じ DNA 量になるように、細胞は自己の持つ DNA 量を倍増させねばなりません。 細胞構成成分の増大(成長)と分裂、さらに娘細胞の成長と分裂、… と続くサイ ルを「細胞周期」(Cell Cycle)と呼びます。細胞周期の最も重要な 2 つの特徴は、細 胞分裂の前に起こる核 DNA の合成(synthesis)/複製と細胞分裂のプロ ス-有糸分裂(mitosis)です。これらの細胞周期の 2 つの特徴は通常、"S 期(合 成)""M 期(有糸分裂)"と呼ばれます。 細胞周期の S 期と M 期に関する当初の研究では、有糸分裂とそれに引き続く DNA 合成開始までの間、および DNA 合成が終了してから有糸分裂が始まるまで の間に、一時的な遅延もしくは時間差を認めています。これらは、それぞれ G1 期、 G2 期と呼ばれています。G1SG2MG1→…の周期を図 1 に図示します。 細胞分裂の準備期間に入っていない場合(我々の体内の細胞のほとんど)、細胞 は細胞周期の G1 期の部分にあります。よって G1 期は数値的には細胞周期中最 も優勢な期であり、フ ローサイトメーターで 測定した場合、最も大きなピークとして現れます。 増殖を停止し、細胞周期を回るのに必要な細胞機能があ まりない G1 期細胞のサブセットは、特に G0 期とも呼ば れます。 G1 期は、 DNA 合成および細胞成長に必要な多数の RNA およびタンパク分子を細胞分裂前に生合成する期間 です。G2 期は、細胞周期の前段階に発生した DNA 損傷 を修復する期間であり、また、有糸分裂中に DNA が娘細 胞間で等しく分配される前に必要な、DNA 構造の再構成 が起こる期間です。 この細胞周期の運行は、増殖関連抗原が関与しています。 この中でも、各期に一致して発現するサイクリンは、細胞周 期に関係なく存在するサイクリン依存性キナーゼ(Cyclin- dependent kinase: Cdk)と複合体を形成する事により、 Cdk が活性化されて細胞周期を開始します。増殖関連抗 原は、細胞周期の過程で一過性に発現し、その発現は増 殖している細胞の割合に相関します。 細胞周期解析 1: 細胞周期を図式化したもの。 フローサトメトリー手法による解析 データで各期の構成要素を示した。 2 2:サイクリン図 >> http://www.bc-cytometry.com

細胞周期解析 - Beckman Coulter K.K....Application Note 2 -2- 細胞周期関連抗原であるKi-67、p105、p120 そして増殖細胞核内抗原(PCNA)は、いずれも細胞増殖に関連しているこ

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Page 1: 細胞周期解析 - Beckman Coulter K.K....Application Note 2 -2- 細胞周期関連抗原であるKi-67、p105、p120 そして増殖細胞核内抗原(PCNA)は、いずれも細胞増殖に関連しているこ

はじめに フローサイトメーターの応用分野の中で大きな比重を占める分野の 1 つが DNA 含量の分析です。細胞の DNA 含量を

分析することで、癌細胞への抗癌剤の評価や悪性度、予後、悪性進行度の評価が行われています。抗癌剤が細胞周期の

どの期に良く効くのかを研究する上でも、DNA 含量の測定は重要です。近年、DNA の断片化したアポトーシス細胞の

DNA 含量の測定解析や、細胞周期の各期に一致して生成・分解されるサイクリンと DNA の 2 重染色もフローサイトメー

ターを用いて行われています。

原理 【細胞周期と増殖関連抗原】 細胞は、細胞分裂により 2 つの娘細胞になります。娘細胞への複製と分裂において、最も重要な細胞内構造は、細胞核

です。生体内の細胞は、ほぼ例外なしに DNA 量と染色体の構成が同じです。このため、各々の娘細胞が親細胞と同じ

DNA 量になるように、細胞は自己の持つ DNA 量を倍増させねばなりません。

細胞構成成分の増大(成長)と分裂、さらに娘細胞の成長と分裂、… と続くサイ ク

ルを「細胞周期」(Cell Cycle)と呼びます。細胞周期の最も重要な 2 つの特徴は、細

胞分裂の前に起こる核 DNA の合成(synthesis)/複製と細胞分裂のプロ セ

ス-有糸分裂(mitosis)です。これらの細胞周期の 2 つの特徴は通常、"S 期(合

成)"と"M 期(有糸分裂)"と呼ばれます。

細胞周期の S 期と M 期に関する当初の研究では、有糸分裂とそれに引き続く

DNA 合成開始までの間、および DNA 合成が終了してから有糸分裂が始まるまで

の間に、一時的な遅延もしくは時間差を認めています。これらは、それぞれ G1 期、

G2 期と呼ばれています。G1→S→G2→M→G1→…の周期を図 1 に図示します。 細胞分裂の準備期間に入っていない場合(我々の体内の細胞のほとんど)、細胞

は細胞周期の G1 期の部分にあります。よって G1 期は数値的には細胞周期中最

も優勢な期であり、フ

ローサイトメーターで

測定した場合、最も大きなピークとして現れます。

増殖を停止し、細胞周期を回るのに必要な細胞機能があ

まりない G1 期細胞のサブセットは、特に G0 期とも呼ば

れます。 G1 期は、DNA 合成および細胞成長に必要な多数の

RNA およびタンパク分子を細胞分裂前に生合成する期間

です。G2 期は、細胞周期の前段階に発生した DNA 損傷

を修復する期間であり、また、有糸分裂中に DNA が娘細

胞間で等しく分配される前に必要な、DNA 構造の再構成

が起こる期間です。 この細胞周期の運行は、増殖関連抗原が関与しています。

この中でも、各期に一致して発現するサイクリンは、細胞周

期に関係なく存在するサイクリン依存性キナーゼ(Cyclin-dependent kinase: Cdk)と複合体を形成する事により、

Cdk が活性化されて細胞周期を開始します。増殖関連抗

原は、細胞周期の過程で一過性に発現し、その発現は増

殖している細胞の割合に相関します。

細胞周期解析

図 1: 細胞周期を図式化したもの。 フローサトメトリー手法による解析

データで各期の構成要素を示した。

2

図 2:サイクリン図

>> http://www.bc-cytometry.com

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Application Note 2 -2-

細胞周期関連抗原である Ki-67、p105、p120 そして増殖細胞核内抗原(PCNA)は、いずれも細胞増殖に関連しているこ

とが示されています。複数の研究結果から、腫瘍の増殖度と増殖関連抗原との間に相関がみられることが示唆されてい

ます。

【フローサイトメータによる DNA 量分析】 細胞周期の解析には、化学量論的に DNA に結合する蛍光色素を用います(DNA 染色量は細胞中の DNA 含量に比例

します)。高い DNA 結合親和性のある多くの色素を用いることができます。色素が DNA に結合する部位は、用いる色

素の種類によって異なります。 代表的な蛍光色素の例を下表に示します。

色素名 結合様式 コメント 励起波長 蛍光 PI (プロピジウムイオダイド゙)

DNA 二重鎖への Intercalation

DNA 含量によく相関 488nm/536nm 617nm

7AAD (7-アクチノマイシン D)

G-C 塩基対によく結合 多重染色に用いやすい 546nm 647nm

Hoechst33342 (ヘキスト 33342)

A-T 塩基対によく結合 生細胞の DNA 染色可 343nm 483nm

DAPI

A-T 塩基対によく結合 RNA に結合しづらい 345nm 455nm

TO-PRO-3

DNA に結合 多重染色に用いられる 642nm 661nm

表 1: DNA を染色する蛍光色素

どのような DNA 結合性色素を使用した場合でも、各細胞ポピュレーションの細胞周期を反映した、特徴的なパターンが

みられます。 Hoechst 33342 は、生きた細胞の DNA を染色させることができる色素です。それ以外の色素は、染色前に細胞膜の透

過処理が必要であり、界面活性剤または低張透圧処理や、有機溶媒(エタノールなど)による固定によって行います。 DNA 染色法は、大きく 3 つに分類されます。

1. 低張処理する方法: 浸透圧を下げ、低張にすることにより、細胞膜を壊します。サンプル処理は簡単ですが、 サンプル処理後、サンプルの保存はできません。

2. 固定する方法: アルコールなどを用いて細胞膜に穴を開け、蛍光色素で染色します。長期保存が可能

となります(保存期間は、細胞の種類、固定法により異なります)。

3. 生体染色する方法: 生きている細胞に取り込まれ、その DNA を染色する蛍光色素を用います。 主に Hoechst33342 が用いられます。Hoechst33342 は UV 光(紫外線)で励起され

るので、励起光源として、UV レーザーが必要となります。

2 倍体(diploid)細胞をフローサイトメトリーで分析すると、「幅の狭い」蛍光強度の分布が得られます。これは、X 軸に

蛍光強度、Y 軸に蛍光強度毎の細胞数をとったヒストグラムで表現することができます。G1 細胞は全て同じ DNA 量を

持つので、理論上は G1 細胞それぞれから同じ蛍光強度が検出され、ヒストグラム中ではただ 1 つのチャンネルに集 ま

ることになります。すなわち、ヒストグラム中では G1 の蛍光強度のところに非常に鋭いピークが現れるはずです (図 3A)。

(A) (B) 図 3: 測定に全くエラーがなく“完全な”フローサイトメーターから得られるヒストグラム(A)と、

実際のすべての解析でみられる正規分布したヒストグラム(B)の違い。 B では、実際のデータポイントは小さな菱形で表示、実線は、Dean and Jett polynomial S phase model にフィットさせ、正規分布 G1 および G2 期成分と S 期を

示している。破線はデータにこのモデルを全体的にフィットさせたものを示している。

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- 3 - Application Note 2

これは、フローサイトメーターが完全であり、かつ DNA 特異的色素の結合が完全に一様である場合に得られる結果です。

しかし、実際は、DNA 色素の結合に生物学的要因による変動がみられる上、サイトメーターの装置に起因する様々な

アーティファクトが存在します。従って、通常、G1 細胞から測定された蛍光は正規分布(ガウス分布)したピークとなりま

す。これは釣り鐘型の分布をしており、この種の測定でみられる特徴です(図 3B)。 実測において、変動が大きいと、結果として正規分布のピークの幅も広くなります。ピークの幅は、変動係数 “Coefficient of Variation” (CV) という用語で示されます。CV は正規化された標準偏差で、次の式で定義されます。:

CV(%)= 100×(ピークの標準偏差)/(ピークの平均値)

同様に、正常な G1 細胞の 2 倍の DNA 量を含むとされる G2 および有糸分裂中の細胞は、DNA ヒストグラム上では、

平均蛍光強度が G1 ピークの約 2 倍(DNA Index が 2.0)の位置に正規分布ピークを形成します(図 3)。 実際は G2/G1 比は 2.0 より小さいことが多く、それは G1 細胞より G2 細胞の方が DNA-蛋白(クロマチン)のパッキ

ングが密または圧縮されているためです。そのため、DNA 結合色素は、DNA 結合部位への結合が若干妨害されます。

一般的には G2/G1 比は約 1.97 となります。 細胞の DNA 合成を開始したばかりの S 期細胞の DNA 量は、G1 期のそれよりほんの僅かに多いだけです。この DNA量は、S 期が完了し細胞の DNA 量が G2 期レベルになるまで増え続けます。理論的に完全なフローサイトメーターが存

在するとすれば、ヒストグラムにおいて S 期細胞は、G1 細胞のすぐ右側の位置から始まり、全 G2 期細胞の集まる位置

のすぐ左側までの各チャンネルに存在することになります。 しかし G1、G2 ピーク幅が広がるのと同じ理由で、S 期の分布も幅ができ、ヒストグラムはそれほど単純にはなりません。

このため、初期の S 期の細胞は G1 期の細胞とオーバーラップし、S 期後期は G2 期の細胞とオーバーラップします。正

確な G1、S、G2 期細胞の比率を求めるために、このオーバーラップを考慮した解析プログラム(WinCycle)を用い ま

す。 現在では、DNA 量にだけではなく、BrdU などを用いて S 期のみを染色・解析するなどの多パラメータ解析が用いられ、

より詳細な解析も行われています。 BrdU-PI 測定データ例 CD4-FITC/CD8-PE/PI 測定データ例

(サンプル:K562) (サンプル:ヒト培養リンパ球) 参考文献 1. 井上勝一、津田真寿美、飯塚雅由(1997):細胞周期と DNA インデックス:臨床検査 vol41 no10 2. 細胞周期:サイトメトリー&セルアナリシス カタログ 1998/1999 3. 二階堂 敏雄(1994):細胞周期とその異常:Medical Immunology vol28 no.2 4. 長島 正(1990):細胞内 DNA、RNA 染色および BrdU 染色:臨床検査 vol34 no.6 5. Chapter 2 Introduction to Cell Cycle Analysis:WinCycle Mannual

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Application Note 2 -4-

サンプル調製 ① -低張処理- Ⅰ. サンプル

細胞: 浮遊細胞の場合は、遠心・回収します。 付着細胞の場合は、トリプシン・EDTA で細胞を単離後、PBS で遠心洗浄し、回収します。

Ⅱ. 試薬 PI SIGMA 社 カタログ番号 P-4170 RNase SIGMA 社 カタログ番号 R-4875 クエン酸 Na 和光純薬 カタログ番号 191-01785 等 NP-40 ナカライテスク カタログ番号 25223-04 等

Ⅲ. 溶液 ・低張 PI 溶液組成:

50μg/mL PI 0.1% クエン酸 Na 0.2% NP-40 0.25mg/mL RNase(用時加える) 上記を蒸留水に溶解します。

Ⅳ. その他 ・40μm ナイロンメッシュ

Ⅴ. サンプル調製 1. 細胞を 1~5×106/mL に濃度調整します。 2. PBS で細胞を 2 回洗浄します(1,000~1,500rpm×5min) 3. 低張 PI 溶液を 1mL 加えます。 4. 4℃で 30 分、遮光しインキュベーションします。 5. 攪拌し、37℃で 15~30 分インキュベーションします(RNase 反応)。 6. 攪拌し、サンプルを 40μm ナイロンメッシュに通します(凝集塊除去)。 7. FCM にて測定します。

Ⅵ. 参考文献 Arline D. Deitchi ,et al: A Stable Propidum Iodide Staining Procedure for Flow Cytometry. The Journal of Histochemistry and Cytometry Vol.30 No.9: 967-972,1982

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- 5 - Application Note 2

サンプル調製 ② -固定- Ⅰ. サンプル

細胞: 浮遊細胞の場合は、遠心・回収します。 付着細胞の場合は、トリプシン・EDTA で細胞を単離後、PBS で遠心洗浄し、回収します。

Ⅱ. 試薬

PI SIGMA 社 カタログ番号 P-4170 RNase SIGMA 社 カタログ番号 R-4875 70%エタノール(-20℃で冷しておきます)

Ⅲ. 溶液

・PI 溶液組成: 500μg/mL PI 上記を PBS に溶解します。

・RNase 溶液組成: 0.25mg/mL RNase(用時調製) 上記を PBS に溶解します。

Ⅳ. その他

・40μm ナイロンメッシュ Ⅴ. サンプル調製

1. 細胞を 1~5×106/mL に濃度調整します。 2. PBS で細胞を 2 回洗浄します(1,000~1,500rpm×5min) 3. ペレットに冷 70%エタノール(-20℃で保存)10mL をボルテックスしながら、徐々に加えます。 4. 4℃で 2 時間放置します。 5. 細胞により固定時間は異なります。 6. PBS で細胞を 2 回洗浄します。 7. 0.25mg/mL RNase 溶液を 1×106

細胞に対して 1mL 加え、37℃で 15~60 分インキュベーションします。 8. PI 溶液を最終濃度 50μg/mL になるよう加え、4℃で 30 分暗所に放置します。 9. サンプルを 40μm ナイロンメッシュを通します。 10. FCM にて測定します。

Ⅵ. 参考文献

Aderine L. Block et al: Experimental Parmeter and Biological Standard for Acridine Orange Ditection of Drug-Induced Alterations in Chromatin Cindensation. Cytometry 8:163-169, 1987

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Application Note 2 -6-

サンプル測定 1. EPICS XL/XL-MCL、Cytomics FC500 の場合、PI の蛍光は FL3 を使用します(EPICS ELITE、EPICS

ALTRA の場合、それぞれの機器のフィルタ設定に応じた蛍光検出器を使用します。下図のようにプロトコルを

設定します)。

2. File/Worksspace Preference をクリックします。Acquision Options タブの中の Output Options/Save Histograms にチェックを入れ、OK をクリックします。

3. セーブする必要のあるヒストグラムを選択し、右クリックをして Format を選びます。 Stop and Save のタブの中の Save Histogram Data in FCS Format にチェックを入れ、OK をクリックします。

4. PI(FL3)Lin と PI(FL3) PEAK(AUX)の感度を調整し、ダブレットが分れるようにします。ゲートを設定し、ダブ

レットを除きます。この時、G0/G1 期の集団が FL3(PI)Lin において適切な位置(通常 200 チャンネル前後)

になるように調整してください。ディスクリミネータは、細胞周期のみの解析の場合、XL/XL-MCL では PI(FL3) PEAK(AUX)で 50 チャンネル位に、FC500 では FS で 50 チャンネル位にします。

注:アポトーシスを測定する場合、ディスクリミネータは FS で 50~100 チャンネルに設定します。

5. 細胞が 2 種類以上ある場合は、FS vs SS のヒストグラムで各細胞集団にゲートをかけます。

6. Time vs PI(FL3) PEAK(AUX)のヒストグラムで、測定の安定性を監視します。目的のヒストグラム(ダブレッ

トを除去した PI(FL3)Lin のヒストグラム)で 10,000 個以上カウントします。

ダブレット ダブレット

(Diploid,Anuploid)

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- 7 - Application Note 2

感度、ディスクリミネータ設定例 パラメータ選択例

FC500

XL/XL-MCL

FC500 XL/XL-MCL

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Application Note 2 -8-

データ解析 G1、S、G2 期の各分布の比率を得るには、数学的解析が必要となります。この解析に用いられる手法は過去 20 年の間に

開発、改良されています。DNA 量ヒストグラムから細胞周期の各パラメータを取り出す方法としては、グラフィックを用いた

簡単なアプローチから曲線フィッテイングを用いた deconvolution 法のような非常に複雑なものまで存在します。 簡易な方法はすべて、「ヒストグラム上で G1 と G2 が S 期にほとんど重ならない部

分から、G1 および G2 期の分画を近似できる」、という仮定に基づいています。この

ようなアプローチとして、次の 2 つの手法があります。ひとつは、G1 ピークの左半

分と G2 ピークの右半分にあたる部分の面積を計算し、それぞれ 2 倍します(ピー

クの平均値もこれらを反映しています)。残りの部分は S 期と考えます。

もう 1 つのアプローチとしては、S 期分布の中央部分のみを使用し、これを左側 G1平均に至るまでと右側 G2 平均に至るまでを外挿します。残りの部分は、左側が

G1、右側が G2 と考えます。上記 2 つのアプローチは、1 つの細胞周期が存在し、

ヒストグラムが最良の形状である場合、ほぼ正確であるといえます。これらの手法

では、G1 期と G2 期のピーク形状は対称である(組織の DNA 染色性にばらつき

があるため、常にそうなるとは限らない)、各ピークの中心(平均値)は正確に割り出

されている、と仮定しています。G1 および G2 ピークは S 期とオーバーラップしてい

るので、特に G2 に関しては、これらのピークの平均が常に高さの最大の点(最頻

値)とは限りません。オーバーラップする細胞周期がもうひとつ存在する場合、この

方法は使用できなくなります。

さらに、デブリスや凝集のモデル化はこのようなグラフィックを利用した簡単なアプ

ローチでは取り扱えません。

基本的に、細胞周期解析でもっとも柔軟で正確な手法は、DNA 量分布の数学的モ

デルにより構築されており、このモデルが曲線フィッティング法に適合していることで

す。Dean と Jet(1974)により提唱され、最も定評のあるモデルは、“細胞周期ヒス

トグラムとは理論的に完全な分布(図 3)が正規分布的に広がった結果である”とい

う仮定が基本になっています。

G1 および G2 ピークは正規曲線として、S 期分布は正規分布的に広がった分布として、もとの分布にフィットさせること

により、算出します。元々の提唱では、この広がった S 期分布の形状はなめらかな 2 次多項式曲線としてモデル化され

ています(放物線 y = a + bx + cx2 の一部)。

このモデルは、1 次多項式曲線(広がった台形、つまり斜線 y = a + bx によって S期をモデル化)または 0 次曲線(広がった長方形、水平線 y = a で S 期をモデル

化)を使用すると単純化できます。ヒストグラムがあまり理想的でない場合、特に

G1 または G2 ピークが正規分布でない(基底が広がっている、歪んでいる、または

肩がある)場合、単純化したモデルでは、G1、S、G2 ピークの重なりの増大による

アーティファクトの影響が少ない結果が得られま

す。これは臨床検体の分析でよくみられます。

この場合、ヒストグラムに高い信頼性がない限り、

0 またはおそらく 1 次の S 期フィッティングを用

いることが提案されています。

経験的に導出された S 期分布(通常培養細胞

から得られる)はもっと複雑で、このような分布を モデル化するためにいくつか異なる方法が提唱されています。最も適応性の高いモ

デルは、いくつかの正規分布の和を用いて S 期にフィットさせるモデルで(Fried, 1976)、このモデルでは、S 期を一連のオーバーラップした正規曲線にフィットさせま

す。このモデルでは、各正規曲線はどのような高さにもすることができます。よって、

S 期の形状は極端に柔軟性が高く、複雑な形状の S 期分布にもフィットさせることが

できます。

G1およびG2/M期のそれぞれ

のピーク位置の外側を2倍し、

それぞれG1とG2/M期とする。S期 は そ れ 以 外 。 ( Borlogi B, 1976)

G1およびG2/M期の平均値か

らの垂線を底辺とする台形でS期を算出。(Baisch H, 1975)

G1およびG2/M期は正規分

布曲線。S期は2次多項式を

広げた形として算出。(Dean P and Jett J, 1974)

G1およびG2/M期は正規分布

曲線。S期は複数個の正規分布

または四角または台形の複合

として算出。(Bagwell C, 1979、

Fried J, 1976)

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- 9 - Application Note 2

∑= −2

2)(2i

iydataiyfit

σχ χν

χ2 2

= degrees of freedeom

またこのことは、このモデルまたは同様のモデルを実際に使用する場合の 1 番の欠点でもあります。非常に柔軟性の高

い S 期形状であるため、データのいかなるアーティファクトをも正確にフィットする事ができる上、G1 および G2 付近の S領域(すなわち、G1 と S、S と G2 のオーバーラップが最も大きい領域)にフィットさせる際、曖昧さが増大します。Deanと Jett の多項式 S 期モデルにさらなる正規曲線を追加した Fox(1980)が示した方法は、妥協策として成功しています。

Fox のモデルは、Dean と Jet のモデルに特徴的な S 期の滑らかさを保ちつつ、より柔軟な S 期の形状を持っています。

特に、薬物療法により同調や不安定な要素のあるポピュレーションの細胞周期解析に適合しています。WinCycle ソフト

ウエアでは、 “Synchronous S”の名称で、Fox のモデルを利用できます。

曲線フィッテイングモデルは、最小二乗法の使用により、ほとんどのヒストグラムデータにフィットします。このフィッティン

グモデルは、予測されたヒストグラム分布について、数学的表現や関数を用います。この関数は、いくつか(通常 7 から

22)のパラメータを持ち、フィッティングモデルと観測値が最も一致するようにそれらが調整されます。モデルに使用する

フィッティング関数は単純な線形式ではないため、非線形の最小二乗解析が利用されます。 Bevington(1969)は、非線形最小二乗解析の方法をうまく説明し、コンピュータのサブルーチン見本を示しています。こ

れらのアプリケーションで最も一般的に使用されている非線形最小二乗解析のテクニックについては Marquardt(1963)

によって説明されています。

非線形最小二乗フィッティング手法はすべて“反復計算”で、逐次近似を行い、その中でフィッティングモデル式のパラ

メータを修正して、データへのフィットを逐次的に高めていきます。その際フィッティングモデル式中のパラメータが修正

され、データへのフィットが逐次改良されていきます。それ以上改良できないというところでフィットが収束し、理論的には

そのフィットが最適ということになります。通常、適合度は、フィッティング関数とデータの偏差を測る、カイ二乗統計

によって、または換算カイ二乗統計 によって数値化されます。

最小二乗フィッティングの速さはフィッティングパラメータ値の最適な組み合わせを探し見つける際の効率が良いかどうか

によって決まります。Marquardt のアルゴリズムでは、カイ二乗値と n 個のフィッティング変数の空間中で定義される n

次元曲面に沿って最小のカイ二乗値を探索する最適化方法を用いています。

最小二乗フィッティング法の利点は、2 つまたは 3 つの細胞周期がオーバーラップしたものの解析にも、このモデルが直

接に適用できる点です。オーバーラップしているモデルの構成要素は、個々の細胞周期の比率を得るために数学的に解

かれます。曲線フィッティングモデルのもう 1 つの利点としては、フィッティングプロセスを始める際に用いた初期値あるい

は“開始パラメータ”にあまり依存しない傾向があることです。このようなパラメータには、最初に計算したピーク平均値と

CV、フィッティングしたヒストグラム領域の限界値などがあります。細胞周期とデブリスのモデルがフィッティングしたデー

タに近いほど、結果は開始時の値に依存せず、オペレータ間差は減少します。(Kallioniemi, et al., 1991)。 腫瘍組織の DNA ヒストグラムでは、しばしば最適でない(CV が大きい、デブリスや凝集が大きい)または複雑(オー

バーラップしたピークや細胞周期が多数現れる)といったことが起こり、さらに、期待されるヒストグラム形状からのアー

ティファクトによる解離(歪みや非正規型のピーク形状など)をしばしば含んでいることを認識することが重要とされてきま

した。このことは、ホルマリン固定した検体の分析においては、まさに事実として起こります。歪んだ G1 ピークや、右側に

裾(tail)のあるピークが明らかに S 期にまで広がっている場合、S 期の評価は十分な注意が必要です(Shankey, et al., 1993a).

不完全なヒストグラムを解析する上で重要なことは、フィットさせるモデルのパラメータを減らすように仮定を単純化するこ

とです。これは、モデルがヒストグラムの細部まで十分にフィットできる能力弱めてしまう恐れがありますが、データに対し

て過度にフィッティングさせてしまう可能性も減らすことができます。 上記のように、G0 または G1 ピーク中の歪んだ、または広がった基底を S 期の一部とみなす仮定をしているモデルは、

真の S 期を過大評価する可能性があります。CV が大きい、またはピークが明確に分解できない場合や、多数のピーク

が相当オーバーラップしている場合、バックグラウンドの凝集やデブリスが高い場合は“conservative”なモデルほどより

正確です。Dean と Jett のアルゴリズムでは、柔軟性は高いがエラーが起こりやすい二次多項式ではなく、0 次(広がっ

た長方形)または 1 次(台形)の S 期多項式を用います。さらに、G2 と G1 のピーク CV を等しくする(通常非常に近い

値)、DNA dipoid と aneuploid のピーク CV を同程度にする、といった要求を制約条件に付け加える、あるいは G2/G1比を過去の研究に基づいたユーザ既定値に合わせることもできます。

複雑なヒストグラムの細胞周期解析において、できる限り信頼性を高めるためには、バックグラウンドの凝集およびデブ

リスのフィッティングでも特に十分な注意が必要です。

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【アポトーシスの解析】 現在、アポトーシスによる“自己破壊(self-destruction)” を起こしている細胞の測定が注目されています。アポトーシス

をおこした細胞は、核 DNA がフラグメント(断片)化します。アポトーシス細胞を、G1 の DNA 量より小さいピークとして染

色できるような染色プロトコルを用いると、このフラグメントを測定することができます。通常このピークの形状はほぼ正規

分布であり、WinCycle のフィッティングオプション“overlapped peak” を用いて定量できます。

(A) (B)

図 4: “Overlapped Peak”フィッティングオプションを用いた、細胞のアポトーシスポピュレー

ションの解析 。 パネル A のアポトーシスのピークは細胞の 43.6%であり、diploid 細胞の DNA 染色強

度の 41.7%。パネル B では、さらに低浸透圧のバッファで細胞をインキュベーションし

たもので、アポトーシスのピークは diploid 細胞の DNA 染色強度の 24.2%しかない。 データ提供:Z. Darzynkiewicz and F. Traganos

図 4 より、細胞内部にあるアポトーシス DNA フラグメントがどの程度保持されるかは、染色に用いるバッファーの影響を

受けることがわかります。また、ヒストグラム解析によって定量できることも示されています。アポトーシスピークをデブリ

スと間違えたり、あるいはデブリスと混同しないための注意点として、アポトーシスピークの解析においては、ピーク検索

用のレンジ下限をアポトーシスピークより下に設定し、デブリス領域の左限界をアポトーシスピークの左側に設定する必

要があります。

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【2 パラメータ解析について:DNA vs. 免疫蛍光】 1 パラメータの DNA 量解析は、サンプル処理が簡単で、十分注意すれば、正確な細胞周期測定が行えます。しかし、将

来的には、DNA 量と免疫蛍光プローブをパラメータとする 2 パラメータ解析によって多くの可能性が得られると考えられ

ます。 固体組織の解析では、腫瘍遺伝子の産物と考えられる細胞周期関連抗原の抗体による測定が有用であると考えられま

す。最近注目を集めているこの分野でも、データ解析および細胞周期の解析を注意深く行うための手法が重要であるこ

とを示す一例として、DNA 量と Ki-67 抗体染色の 2 カラー解析例を示します。

図 5: Figure 5 (A-C). ヒト Barrett’s esophagus の Ki-67 分析。

ネガティブコントロールとして、検体には反応しない 1 次抗体と PE 標識 2 次抗体(A)または Ki-67抗体と PE 標識 2 次抗体(B)で染色し、DAPI で DNA 染色した。(B)のデータから(A)のデータを

差し引いた結果を(C)に示した。Y 軸は Ki-67 蛍光、X 軸は DNA 量。 Ki-67 抗体による、ヒト食道上皮細胞(Barrett 円柱上皮の異形成に由来)の解析例を図 5 に示します。この抗体の認識

分子の発現は、細胞周期と関連があります。休止期 G0 細胞および初期 G1 細胞では低く、後期の G1 期、S 期、G2 期

では高くなります。 ネガティブコントロール(A)と Ki-67 染色した細胞(B)を比較すると、Ki-67 陽性細胞は G1 の一部にもみられること、

S 期の大半が陽性であること、G2 期では陽性の細胞と陰性の細胞がそれぞれ存在することがわかります。陰性“S” 期

細胞にはデブリスと G1 細胞の凝集が含まれ、陰性の “G2” 細胞には凝集した G1 ダブレットが含まれます。Ki-67 陽

性 G1 期細胞(活性化 G1)または Ki-67 陽性 S 期細胞(真の S?)を定量するには、Ki-67 染色で陰性のものから陽性

のものを区別する必要があります。単に目で見て適切と考えられるポイントに線を引いても、数値的に問題があり、特に

再現性が欠如します。 ヒストグラムの(C)には別のソフトウエアアプローチを示しています。DNA 量(X 軸)のチャンネルごとに、Ki-67 陽性細胞

の分布から、ネガティブコントロールの PE 蛍光ヒストグラムを差し引いています(この減算は、Overton〔1988〕の累積減

法アルゴリズムを用いて行われています)。この減算はソフトウエアプログラム Multi2D または MultiPlus を用いて行い

ます(MultiPlus の中に MultiCycle プログラムが含まれています)。

図 6: DNA 量ヒストグラムを得るため、図 5 の 2 変量(2 パラメータ)データを X 軸(DNA 量)側に

投影。 A は図 5B のすべての細胞、B は Ki-67 陽性細胞のみ(図 5C)の投影像である。

WinCycle によるフィッティングの結果、各細胞周期分画の細胞の割合(と数)が得られる。

図 6A および B に示すように、データを X 軸に投影して通常の細胞周期解析を行うだけで、Ki-67 陽性の各細胞周期

分画の割合を定量化することができます。Ki-67 染色サンプルの全細胞における各細胞周期分画の割合は、B の分母

に Ki-67 陰性の G1 細胞数を加算することにより計算できます(陰性の“S 期”および“G2 期”細胞はアーティファクトで

あると仮定します)。

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