9
日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性多発軟骨炎 一症例報告及び抗II型コラーゲソ抗体の検索- 石河亜紀子1)2)栗原 誠一2)3)多島 新吾1)西川 武二1) 再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis)の4例 を報告した.また患者血清中の抗II型コラーゲソ抗体 (ELISA法),抗I・II型コラーゲソ抗体及び抗エラス チソ抗体(ウェスタソブロッディング,酵素抗体法) の検討を行った.抗II型コラーゲン抗体は最も症状の 強かった1例で, native, denatured共に陽性,他の1 例でnativeのみが陽性,残り2例は何れも陰性であっ た. native, denatured共陽性例ではII型コラーゲンの CB peptide でCB9, 7, CBll, CBIO, 5を認識していた. また抗I型コラーゲン抗体,抗エラスチソ抗体は全例 陰性であった.以上より本疾患は抗II型コラーゲソ抗 体により惹起される可能性が高いが,エピトープは広 い範囲に存在し,細胞性免疫や未知の物質に対する自 己免疫も本疾患の成立に関与するものと考えられた. はじめに 再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性 疾患である.病因は未だ不明であるが,RPの25~35% に自己免疫疾患の合併がみられること", RPの患者血 清中に軟骨に対する自己免疫を示唆する自己抗体が証 明されること2),動物に軟骨抽出物を免疫することで RP類似病変を作りうること3),ステロイドが有効であ ることなどから,自己免疫疾患と考えられている.特 に最近II型コラーゲンに対する抗体の関与が注目を浴 びている.我々は最近RP4例を経験し,変性及び未変 性のII型コラーゲソ,エラスチソに対する抗体,及び II型コラーゲンのエピトープの部位について検討した 1)慶応義塾大学医学部皮膚科学教室(主任 西川武二 教授) 2)元 済生会横浜市南部病院皮膚科(院長 竹村 博士) 3)湘南皮膚科(院長 栗原誠一博士) 平成3年11月15日受付,平成4年4月15日掲載決定 別刷請求先:(〒160)新宿区信濃町35 慶応義塾大学 医学部皮膚科学教室 石河亜紀子 ので報告する. 症例1 患者:59歳,女性. 初診:1984年5月28日. 主訴:両耳介の腫脹. 家族歴・既往歴:特記すべきことなし. 現病歴:1983年秋より,両耳介の腫脹出現,翌春よ り,発赤疼痛が加わったため,南部病院皮膚科を受診 した. 現症及び経過:両耳介は耳柔を除き発赤腫脹し(以 下の症例でも同様),結膜充血,四肢関節痛,耳閉感を 伴った.臨床症状よりRPと診断し, DDS内服開始す るも無効のためインドタクシンに変更し,多少の軽快 をみた.しかし眼・内耳症状が増強したため1984年7 月よりPSL20mgを開始したところ著明に軽快. 1986 年以来ほぼ無症状となり,現在は特に加療していない. 症例2 患者:41歳,女性. 初診:1985年3月25日. 主訴:左耳介の腫脹疼痛. 家族歴:特記すべきことなし. 既往歴:橋本症(約3年前より). 現病歴:1985年3月中旬より左耳介の腫脹・疼痛出 現し,南部病院皮膚科を受診した. 現症及び経過:左耳介は著明に発赤・腫脹(図1). 臨床症状よりRPと診断し,非ステロイド系抗炎症剤 で経過観察していたが, 1985年秋より発熱・結膜充血・ 鼻背部有痛性腫脹・嘸下時異和感・厦声・関節痛・肋 骨痛が出現,徐々に増強した. 1986年5月DDS 50mg を投与したところDDS症候群を起こし,同時にRP の急性増悪がみられ, PSL 20mg を開始した.諸症状 は著明に軽快し, PSLを漸減するも経過は良好で,現 在は特に加療していない. 症例3 患者:41歳,女性. 初診:1985年9月50.

日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

  • Upload
    others

  • View
    1

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4)

        再発性多発軟骨炎

   一症例報告及び抗II型コラーゲソ抗体の検索-

石河亜紀子1)2)栗原 誠一2)3)多島 新吾1)西川 武二1)

          要  旨

再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis)の4例

を報告した.また患者血清中の抗II型コラーゲソ抗体

(ELISA法),抗I・II型コラーゲソ抗体及び抗エラス

チソ抗体(ウェスタソブロッディング,酵素抗体法)

の検討を行った.抗II型コラーゲン抗体は最も症状の

強かった1例で, native, denatured共に陽性,他の1

例でnativeのみが陽性,残り2例は何れも陰性であっ

た. native, denatured共陽性例ではII型コラーゲンの

CB peptide でCB9, 7, CBll, CBIO, 5を認識していた.

また抗I型コラーゲン抗体,抗エラスチソ抗体は全例

陰性であった.以上より本疾患は抗II型コラーゲソ抗

体により惹起される可能性が高いが,エピトープは広

い範囲に存在し,細胞性免疫や未知の物質に対する自

己免疫も本疾患の成立に関与するものと考えられた.

          はじめに

 再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下

RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

疾患である.病因は未だ不明であるが,RPの25~35%

に自己免疫疾患の合併がみられること", RPの患者血

清中に軟骨に対する自己免疫を示唆する自己抗体が証

明されること2),動物に軟骨抽出物を免疫することで

RP類似病変を作りうること3),ステロイドが有効であ

ることなどから,自己免疫疾患と考えられている.特

に最近II型コラーゲンに対する抗体の関与が注目を浴

びている.我々は最近RP4例を経験し,変性及び未変

性のII型コラーゲソ,エラスチソに対する抗体,及び

II型コラーゲンのエピトープの部位について検討した

1)慶応義塾大学医学部皮膚科学教室(主任 西川武二

 教授)

2)元 済生会横浜市南部病院皮膚科(院長 竹村 浩

 博士)

3)湘南皮膚科(院長 栗原誠一博士)

平成3年11月15日受付,平成4年4月15日掲載決定

別刷請求先:(〒160)新宿区信濃町35 慶応義塾大学

 医学部皮膚科学教室 石河亜紀子

ので報告する.

          症  例

 症例1

 患者:59歳,女性.

 初診:1984年5月28日.

 主訴:両耳介の腫脹.

 家族歴・既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:1983年秋より,両耳介の腫脹出現,翌春よ

り,発赤疼痛が加わったため,南部病院皮膚科を受診

した.

 現症及び経過:両耳介は耳柔を除き発赤腫脹し(以

下の症例でも同様),結膜充血,四肢関節痛,耳閉感を

伴った.臨床症状よりRPと診断し, DDS内服開始す

るも無効のためインドタクシンに変更し,多少の軽快

をみた.しかし眼・内耳症状が増強したため1984年7

月よりPSL20mgを開始したところ著明に軽快. 1986

年以来ほぼ無症状となり,現在は特に加療していない.

 症例2

 患者:41歳,女性.

 初診:1985年3月25日.

 主訴:左耳介の腫脹疼痛.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:橋本症(約3年前より).

 現病歴:1985年3月中旬より左耳介の腫脹・疼痛出

現し,南部病院皮膚科を受診した.

 現症及び経過:左耳介は著明に発赤・腫脹(図1).

臨床症状よりRPと診断し,非ステロイド系抗炎症剤

で経過観察していたが, 1985年秋より発熱・結膜充血・

鼻背部有痛性腫脹・嘸下時異和感・厦声・関節痛・肋

骨痛が出現,徐々に増強した. 1986年5月DDS 50mg

を投与したところDDS症候群を起こし,同時にRP

の急性増悪がみられ, PSL 20mg を開始した.諸症状

は著明に軽快し, PSLを漸減するも経過は良好で,現

在は特に加療していない.

 症例3

 患者:41歳,女性.

 初診:1985年9月50.

Page 2: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

1278

図1 耳菜を除いた耳介軟骨部に著明

 な発赤腫脹を認める.

図3 数回の耳介軟骨炎により生じた耳介変形

石河亜紀子ほか

 主訴:咽頭痛,嗅声.

 家族歴・既往歴:特記すべきことなし.

 現病歴:1985年8月初めより咽頭痛・榎声出現.8

月末より右耳介疼痛・右眼疼痛充血も加わり近医眼科

図2 強膜炎による眼充血

にて強膜炎と診断された.抗生剤・抗炎症剤投与を受

けるも改善せず,南部病院皮膚科を受診した.

 現症及び経過:初診時,両耳介は発赤腫脹し,強膜

炎による眼充血,鞍鼻もみられた(図2).また咽頭発

赤腫脹・肋軟骨圧痛・全身関節痛も認めた.RPの診断

のもと非ステロイド系抗炎症剤にて経過をみたが,発

熱・気道症状・関節痛が増強したため入院の上PSL50

mgを開始した.これにて一時軽快したが,10月初めよ

り突然,難聴・耳鳴・嘔気・眩量等の内耳症状が出現

したため, KI,イムラソ,DDSも併用した.しかし何

れも著効せず,ソルyトロール1日l.OOOmg 3 日間の

パルス療法にて小康を得, PSL 25mg まで漸減した.

しかし強度の内耳症状が持続するため,更に血漿交換

療法を合わせPSLの漸減をはかったが, 20mg以下で

は内耳症状は抑えられなかった.その後,気道症状が

増悪し,気管切開の上, T-tube挿入となった.サイク

ロスポリソAも試みたが奏効せず,現在もPSL 25mg

より30mgの間で経過観察中である.

 症例4

 患者:59歳,男性.

 初診:1988年9月16日.

 主訴:両耳介の発赤腫脹.

 家族歴:特記すべきことなし.

 既往歴:糖尿病・高血圧.

 現病歴:1988年7月より左耳介に発赤腫脹出現,9

月より右耳介にも同症出現したため,南部病院皮膚科

Page 3: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

 再発性多発軟骨炎

表1 臨床検査成績

症例1 症例2 症例3 症例4尿

血沈(1時間値)末梢血RBC   WBC   分両

肝機能腎機能血清学的検査

異常なしア㎜

4.87×tovμ110.7×lOVμISeg56.0%Band8.0Lyn28.0Mon 8.0

異常なし異常なし

CRP-

RA -ANAく10×

IgG1440i≪6/� A 20S11 M

10l11C3 117/1

異常なし25rn≪5.15×lOVμ1 4.6×103Sag60.0%Band10.0%Lym23.0%Mon 6.0%Eos 1.0%異常なし異常なし

CRP4+RA

-ANA<10×

抗DNA抗体<80×IgG1630/� A 217" M 460/7C3 97/|

抗サイロイド抗体  1280'×抗マイクロソーム抗体6402×

異常なし65≪ni

3.96×lovμ1 7.5×103/μ|Seg74.0%Band8.5%Lym16.5%Mon l.0%

異常なし異常なしASO60×CRP3十RA

-ANA<10×

抗DNA抗体く80×IgG1770mg/� A

219"

 M 106IIC3 130//C4 58.211

異常なしJOrnn

4.74×lOVμ1 9.0×103/μISee65.0%Band4.0%Lym26.0%Mon 5.0%

異常なし異常なしASO80×CRP2十RA

-

ANAく10×LEテストー

IgG1770nE/� A 200" M 198''C3 133/;C4 36.4タノ

を受診した.数ヵ月前には鼻根部の疼痛もあったとい

う.

 現症及び経過:両耳介は有痛性に発赤腫脹(図3).

RPと診断し,コルヒチソ, DDS,非ステロイド系抗炎

症剤にて若干軽快するも,12月中旬より眩量,嘔気,

両側性感音性難聴等の内耳症状が出現したため, PSL

20mgより投与開始した.耳介の炎症症状は消失し,現

在PSL 5~lOmgで経過観察中であるが,内耳症状は

残っている.

 検査成績:症例1~4をまとめて記した.(表1).

 経過:症例1~4の経過を図示した(図4).

 組織学的所見:軟骨周囲に好中球,リンパ球の浸潤,

軟骨内にリンパ球の浸潤および軟骨の染色性の低下を

示した.

 患者血中抗体の検索:

 I.材料と方法

 (1)ELISA法による抗II型コラーゲソ抗体の測定

 抗原として,①ヒトI型コラーゲソ酢酸溶液,②ペ

プシン消化,塩析精製した未変性ヒトII型コラーゲソ

酢酸溶液,③変性ヒトII型コラーゲソ(②を10分100℃

加熱変性させたもの)を用い,それぞれ使用時の0.05

M Tris・HCL緩衝液, pH 7.6含0.15M NaClを加え,

10μg/mlの濃度に希釈した.被検血清は各々病勢の強

1279

い時に採取したものを用い56℃30分加熱により非働化

したものをPBS-0.05% Tween20-3mM EDTAで希

釈した. HRP標識抗ヒトlgGウサギlgGはPBS・

Tweenで1,000倍希釈した.基質溶液はO-フェニレ

ソジアミソlOmgをメタノール1mlに溶解後, 0.03%

過酸化水素水100mlを加え調整(使用時)した. PBS・

Tween・BSA-EDTA液はPBS・0.05%Tween 20・3

mM EDTA に更に0.1%ウシ血清アルブミンを加えて

調整した.抗原液をポリスチレソミクロタイタープ

レートに一夜4℃コーティングし,蒸留水にて洗浄後,

PBS-Tween・BSAを加え,一夜4℃静置した.蒸留水に

て洗浄後, PBS・Tween-BSA-EDTA希釈血清0.2ml

を加え,一夜4℃反応させ,蒸留水, PBS-Tween-BSA-

EDTAにて洗浄し, HRP一標識抗ヒトlgGウサギ

IgG0.2mlを加え37℃60分反応させ,蒸留水, PBS-

Tween・BSA-EDTAにて洗浄後,基質溶液0.15mlを

加え室温で30分間反応させ2M硫酸溶液0.1mlで反応

停止, 490nmで吸光度を測定し,酵素活性測定を行っ

た.

 (2)ウェスタソプロッティング法によるI・II型コ

ラーゲン及びエラスチソに対する自己抗体の検索

 トロポエラスチソ(ウシ平滑筋細胞由来),ヒトI・

II型コラーゲンをそれぞれサソプルバッファーに溶解

Page 4: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

1280

PSL (叫)

DDS (、)

耳介の 発赤・腫脹

関節痛

眼症状内耳症状

気道症状

全身倦怠

盗  汗

鼻根部圧痛

   PSL(.g)

   DOS(ms)

   胸鎖関節痛

耳介の発赤・腫脹

   眼症状

   関節痛

肋骨痛

微熱倦怠感

紫  斑

気道症状

内耳症状

治療及び経過(症例1)

治療及び経過(症例2)

石河亜紀子ほか

PSL (.g)

 耳介の  発赤・腫脹

 鼻部の炎症

 関筋痛 肋骨痛

 内耳症状

 気道症状

発取全身僊怠 眼症状

PSL (mg)

コルヒチン(mg)

DDS (me)

耳介の発赤・腫脹

   鼻根部炎症

   関節痛

   肋骨痛

   内耳症状

図4 治療及び経過

し,熱変性後, 5%SDS PAGE(SDS polyacrylamide

gel electrophoresis)にて電気泳動を行い, gel中のタ

ンパクをニトロセルp一ス膜にプロットし,3%ウシ

血清アルブミン/TBS(50mM Tris Buffer, 0.9%

NaCl)と1時間反応させた.希釈血清/0.1%ウシ血清

アルブミン/TBSと2時間反応後,二次抗体(500倍希

釈ペルオキシダーゼ抗ヒトlgGウサギIgG)と反応さ

せ,クロロナフトールにて染色した.

 (3) II型コラーゲンのCBペプチドフラグメソトに

よるエピトソープの検索

 ウシII型コラーゲソ1mgをCNBr lgを加えた70%

ギ酸1mlに溶かし,窒素ガスを3分間吹き込み酸素を

除去した後,室温で一夜反応させ,凍結乾燥した.乾

燥物を12.5%SDS PAGE にて電気泳動を行い,ブロッ

ティング後,上述と同様の方法で被験血清と反応させ

た.

           結  果

 (1)ELISA法では抗ヒ.トII型コラーゲソ抗体は最

も症状の強かった症例3で,10倍希釈・20倍希釈とも

J0.2

0.1

治療及び経過(症例3)

治療及び経過(症例4)

(a)nativetypell collagen

10×

(b)

×1 ×

denaturedcollagen

typeII

 50×

血清希釈倍率

  図5 ELISA法によるコラーゲソ抗体の検討

×症例1,こ症例2,0症例3,△症例4,斜線

 域 正常人(n=7)

Page 5: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

一価・●・

A ・●

2 3 1 2 3 1 2 3

図6 ウェスタソブロッティング法によ

 る抗II型コラーゲン抗体の倹素(20倍

 希釈血清)

A:症例3

B:症例1

C:正常人

1。

2.

3.

I型コラーゲン

II型コラーゲソ

’ラスチソ

再発性多発軟骨炎

yy

00Kg

7676

42KD>・-

30KD>・-

1.2K【】y

←CB10,5

←CB11

←CB9,7

図7 II型コラーゲンのペ

 プチドフラグメソトの蛋

 白染色

未変性・変性II型コラーゲソ共に陽性,症例4で未変

性II型コラーゲソのみが陽性,残り2例は何れも陰性

であった(図5).抗I型コラーゲソ抗体は全例でほぼ

バックグラウンドレベルの値しか得られなかった.

 (2)ウェスタソブロッティング法ではエラスチソ,

I型コラーゲンに対しては全例,自己抗体は認められ

なかった(図6).症例3ではII型コラーゲンに対して

のみ陽性所見を得, (1)の結果と合致した.

 (3)得られた全ペプチフラグメソトは図7の如くで

症例3の血中抗体はII型コラーゲンのペプチドフラグ

メソト中のCB 9,7, CB 10,5, CB 11を認識している

ことがわかった(図8).なお, CB 8はCB 11とCB

9,7の間に存在しているが他のフラグメソトに比べて

微量であり, CB 9,7より低分子のフラグメソトは我々

の条件では認められなかったので,これらのフラグメ

ソトの抗原性については不明である.

          考  按

 (1)RPの診断,予後,治療について

 RPは1923年, Jaksch Wartenhorstが初めて報告

し4),その後1960年Pearsonら5)がまとめた疾患で,最

近では本症の疾患認識が高まり,報告数も増加してい

る.診断基準としてはMCAdam1),Damiani6)のものが

あるが,自験4例では共にその臨床症状からは診断が

容易であった.既にMcAda�),鈴木ら7)によるRPに

みられる諸症状及びその発現率については詳述されて

おり,海外例と本邦例では大きな差はみられない.

CB10,5→

 CB 11→

CB 9,7→

  1281

A B

図8 II型コラーゲンの

 CBペプチドフラグメソ

 トによるエピトープの検

 索

    A:症例3

    B:正常人

McAda�)によれば,発症年齢は平均44.3歳,性差はな

く,遺伝傾向もない.初発症状としては発熱,倦怠感

の他に耳介軟骨炎,鼻軟骨炎,気道症状が多い.症状

出現から診断までの期間は2週間から14年7ヵ月(平

均12.6ヵ月である).臨床症状の内,最も高率に出現す

るのは耳介(88.6%)・鼻軟骨炎(72.4%),関節炎

(81.1%)で,軟骨では炎症寛解後,鞍鼻等の変形を残

すことが特徴的である.それについで眼症状(結膜炎,

虹彩炎,強膜炎) (65.4%),気管輪状軟骨炎によると

思われる気道狭窄症状(55.9%),内耳症状(聴・平衡

覚障害) (45.9%)が多く,心血管障害,神経症状等も

みられる.皮膚症状の出現率は16.5%で1)結節性紅斑・

多型紅斑などがみられる5).検査所見としては血沈充

進,白血球増多, CRP高値の他,抗核抗体,リウマチ

因子が陽性であった例も報告されているが,特異的な

所見はない.病理組織学的には初期には主に軟骨周囲

に好中球・リンパ球の浸潤をみ,更に進めばリンパ球

は軟骨内へも浸潤し,軟骨基質の崩壊,線雄性結合組

織への置換にいたる.直接蛍光抗体法にてchondro-

fibrillar junctionにIgG, C3の沈着をみたという報告

もある8)9).HLAでは何ら関係は見出されていない10)

合併症としてこれまでにSjogren症候群II)関節リウ

マチ12),SLE13),PSS14),ライター病15),莉麻疹様血管

炎16),leucocytoclaStic vasculitis15),悪性腫瘍1),橋本

病16)低カンマグロブリン血症17)大動脈炎症候群1),

結節性動脈周囲炎16)ベーチェット病18)ラソゲルハソ

Page 6: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

1282 石河亜紀子ほか

ス島抗体陽性糖尿病">, Schonlein Hennoch 紫斑病20)

糸球体腎炎"> Weber Christian病22),Sderoedema

adultorum23),持久性隆起性紅斑24)尋常性乾癖25)

Dermatitis herpetiformiS26),神経症状27)等が報告され

ているが,中でも自己免疫疾患の合併が多く

(25~35%1)),RPに自己免疫が関与していることを強

く示唆している.

 5年生存率は75%で鞍鼻,関節炎,咽頭気管支変形,

全身血管炎,微小血尿,51歳以前の症例では貧血が予

後不良因子とも述べられている28)死因の1/2は呼吸不

全,気管閉塞による肺炎,心血管系合併症,免疫抑制

剤使用下の感染症である.

 治療にはコルヒチン, DDS,非ステロイド抗炎症剤,

副腎皮質ステロイドホルモソ,免疫抑制剤(サイクロ

スポリソ他)が用いられている.ステロイドによる炎

症改善は速やかであり完全寛解する例もあるが,ステ

ロイド減量による再燃も高率で,プレドニソロソで20

mg以上の維持量を要することが多いようである.

我々は症状の重篤であった症例3でパルス療法,血漿

交換も試み,ある程度有効と思われた.しかし気道・

内耳症状は改善せず,軟骨の破壊が非可逆性に進んだ

例では無効と思われた.

 (2)病因について

 前述のごとく,RPは臨床症状等から自己免疫疾患

と考えられており,中でも抗II型コラーゲソ抗体の病

因的意義が注目されている.一方CRP, IgE,血沈が臨

床症状と相関し,病変局所に好酸球・形質細胞浸潤が

みられることからI型アレルギーの関与も推定されて

いる29)またプgテオグリカソはII型コラーゲンと共

に軟骨の間質を成す物質でRPの病因に関与する3o)と

もいわれたが,慢性関節リウマチ(以下RA)でもこれ

に対する細胞免疫が成立していることから,現在は本

疾患の原因ではなく,軟骨破壊の結果であろうといわ

れている15)

 II型コラーゲンは別名“軟骨型コラーゲン"とも呼

ばれるフィブりレコラーゲソで,①関節軟骨,肋軟骨,

鼻軟骨,喉頭・気管・気管支軟骨等の硝子軟骨,②耳

介,外耳道の壁,喉頭蓋等の弾性軟骨,③角膜,硝子

体等に分布している.RP患者血中にこのII型コラー

ゲンに対する抗体が見出され,しかもその値が病勢と

一致したという報告2)もみられ,直接の病因と考えら

れてきた.RAでは, 1,11,111型コラーゲンのdenatur-

ed from (nativeな立体構造を失った)に対する抗体が

検出されるが,これは結合識の破壊の結果,生成され

ていると考えられている31)一方RPでは末変性II型

コラーゲソ抗体のみが見出される場合と, native と

denatured form が共に検出される場合があり, native

のものはdenaturedに対するものより高値であるこ

とから,これらの抗体は軟骨破壊とコラーゲンの分解

の後に産生されたのではないことがいえ,RPの病因

に抗II型コラーゲソ抗体が直接関与しているのではな

いかといわれている32)

 我々は抗II型コラーゲソ抗体をELISA法にて検索

し,自験4例中2例でnative formに対する抗体を.

うち1例ではdenatured formに対する抗体を検出し

た.この結果は従来言われるII型コラーゲンに対する

自己免疫説を支持するものであるが,同時に2/4例のみ

が陽性,それともactiveな時期での成績であることか

ら,抗II型コラーゲソ抗体以外の要因により,本症が

生ずる可能性,或いはELISA法の限界,つまり病変の

限局した軽症例では低titerで感度が不十分である可

能性が考えられた.

 次に血中抗体が11型コラーゲンのどの部位に存在す

るエピトープを認識しているかであるが,寺戸ら23)は

II型コラーゲンをcyanogen bromide でいくつかのペ

プチドに切断し分離精製した後,もとの立体構造をと

るようrenatureさせ, RA, RP患者血清との反応性を

調べた.その結果,RAではCB 11とCB8と反応する

ものが20例中14例, CBIOが8例, CB 9,7が5例, CB

12が2例であったのに対し,RPでは3例中3例が

CB9, 7を認識したという.彼らはこのエピトープの認

識の差がRAとRPの病態の違いに関与する可能性を

述べている.我々が行なった方法では,CBペプチドは

denaturedの状態のままで用いたが,症例3(ヒトII型

コラーゲンのnative, denatured共に対し,抗体を有

する例)ではCB 9,7, CB 11, CB 10,5との反応がみ

られ,患者血中抗体はII型コラーゲソ分子の広い範囲

の一次構造を認識していると考えられた.また使用し

たII型コラーゲンはペプシソ消化したものであるた

め, non・helical領域についての抗原性に関しては今回

の実験では不明である.

 RPの抗原としてII型コラーゲソ以外を考えてみる

と,主に軟骨に分布し抗原となりうるタンパクとして

IX型,XI型, XII型コラーゲソ,エラスチソがある.

IX型コラーゲンは通常のコラーゲン蛋白より短く,ト

リプルヘリカル部分か非コラーゲソ部分で3つに分断

され,合計4つの非コラーゲン部分各々にS-S結合が

存在するという構造を保ち,II型コラーゲンとの間に

Page 7: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

再発性多発軟骨炎

リジソ残基由来の架橋が存在する.軟骨以外には,最

近トリ発生初期の角膜にも存在することが明らかに

なっている34).XI型コラーゲンはII型と同じフィブ

リルコラーゲソで,N末とC末のプロベプチドの構造

にはI, II, IV型と共通性がある.またII型と同じく,

硝子軟骨,硝子体,トリ発生初期の角膜に限局して存

在している燃XII型コラーゲンはα1鎖のホモトリ

マーでトリプルヘリカル構造が非コラーゲソ部分に

よって分断され,IX型コラーゲンのアミノ配列と似た

部分があり,腱・皮膚・腱膜・骨膜・軟骨膜等に存在

する36).RPの病態は軟骨周囲に始まることを考える

と, XII型コラーゲソの関与も考えられる.

 また軟骨以外の罹臓器である大動脈には中膜にはm

型コラーゲソ,外膜にはI型コラーゲンの他にエラス

                          文

 1) McAdam LP, O'Hanlan MA, Bluestone R, Pear-

   son CM : Relapsing polychondritis : Prospec-

   tive study of 23 patients and a review of the

   literature, Meぷcine, 55 : 193-215, 1976.

 2) Foidart JM, Abe S,Martin GR : Antibodies to

   type II collagen in relapsing polychondritis,

   New Engl] Med,299 : 1203-1207, 1978.

 3) Cremer MA, Pitcock JA, Stuart JM, Kang AH,

   Townes AS : Auricular chondritis in rats. An

   experimental model of relapsing polychondritis

   induced with type II collagen, / Exp Med, 154 :

   535-540, 1981.

 4) Jacksch-Wartenhorst R : Polychondropathia,

   W沿Z Arch Inn Med, 6 : 93-100, 1923.

 5) Pearson CM, Kline HM, Newcomer vD:

   Relapsing polychondritis, N Enが/ Med, 263 :

   51-58, 1960.

 6) Damiani JM, Levine HL : Relapsing polychon-

   dritis―Report of ten cases, Laryngoscope (St

   Louis), 89 : 929-944, 1979.

 7)鈴木光子,内田和仁,長野正裕,千治松洋一:頑固

   な肋軟骨部痛で発症し,高度気管狭窄症状を示し

   た反復性多発性軟骨炎の1例一本邦53例の文献

   的考察,日胸疾会誌,21 : 665-671, 1983.

 8) Bergfeld WF : Relapsing polychondritis with

   positive direct immunofluorescence, ArchDcr-

   現認ol, 114 : 127, 1978.

 9)田村晋也,木村俊次,多島新吾,長島正治:Relaps-

   ing Polychondritis, とくにその免疫病理学的所見

   について,臨皮,33 : 73-77, 1979.

 10) Luthra HS, McKenna CH, Terasaki PI : Lack

   of association of HLA-A and B locus antigens

   with relapsing polychondritis. Tissue Aがigens.

   17 : 442-444, 1981.

1283

 チソ,コソドロイチソ4,6硫酸,ヘパラソ硫酸が含

`有され,角膜にはII型コラーゲンの他にケラタソ硫酸

が含有されている.我々はこのうちI型コラーゲソ,エ

ラスチソについて抗体検出を行ったが全例陰性であっ

た.また抗II型コラーゲソ抗体陰性例で細胞免疫の関

与を唱えるものもある37)

 以上,RPの一般症状及び抗II型コラーゲソ抗体の

関与の可能性について述べたが,抗II型コラーゲンに

ついての詳しい検索がなされた症例は数少なく,我々

の検索も目下のところ4例にとどまっており,今後の

症例の集積,病因の解明が望まれる.

  4例は第654回日本皮膚科学会合同臨床東京地方会

で発表した.

 11) Meyer 0,Cyna J,Dryll A, Cywiner-Glenzer C,

   Wassef M, Ryckewaert A : Relapsing poly-

   chondritis―Pathogenic role of anti・native col・

   lagen type II antibodies. A case report with

   immunological and pathological studies, /

   Rhewmatoi,8 : 820-824, 1981.

 12) Franssen MJAM, Boerbooms AMT, Van De

   Putte LBA : Polychondritis and rheumatoid

   arthritis : Case report and review of the litera・

   ture, Clinical Rheumatology, 6:453-457, 1987.

 13)石川 浩,石川英一:全身性エリテマトーデスに

   再発性多発軟骨炎を合併した1例,臨皮,38 :

   1025-1030, 1984.

 14) Middleton ws : Diffuse systemic sclerosis,

   y1刀片かなm Med, 57 : 183-203, 1962.

 15) Hedfors E,Hammar H,Theorell H : Relaps-

   ing polychondritis―Presentation of 4 cases,

   Dermatoloがca, 164 : 47-53, 1982.

 16) Takamatsu K, Nishiyama T, Nakauchi Y,

   Yamano T,Ohno F : A case of insulin depen-

   dent diabetes mellitus associated with relapsing

   polychondritis, Hashimoto Thyroiditis and

   pituitary adrenocortical insufficiency in succes-

   sion,]pn ] Med, 18: 232-236, 1989.

 17) Somers G, Potvliege P : Relapsing polychon-

   dritis―Relation to periarteritis nodosa, Br Med

   7,26 : 603-604, 1978.

 18) Firestein GS, Gruber HE, Weisman MH, Zvaib・

   ler NJ, Barber J, O'Dubby JL: Mouth and

   genital ulcers with inflamed cartilage-MAGIC

   syndrome, Am J Med. 79 : 65-72, 1985.

 19)若松延昭,高沢哲也,涌井一郎,他:ラ島抗体陽性

   の糖尿病を合併した再発性多発軟骨炎の1例,特

   に新しい薬物療法,コルヒチンの使用について,日

Page 8: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

1284 石河亜紀子ほか

  内会誌,75 : 1457-1462, 1986.

20)大本晃裕,種市章二,芝木秀俊:SchSnlein・

  Henoch紫斑病を併発した再発性多発性軟骨炎の

  1例,日内会誌,76 : 1274-1278, 1987.

21) Chang・Miller A, Okamura M, Torres VE:

  Renal involvement in relapsing polychondritis,

  Medicine (Baltim。re). 66 : 202-217, 1987.

22) Smith CR, Saveicke EH, Sheffield E : Relaps・

  ing polychondritis and Weber・Christian disease,

  &

23)田中 明,富田達也,前沢秀憲:Relapsing Poly-

  chondritisとScleredema Adultorum 合併例,総

  合臨床,32 : 2987-2988, 1983.

24)内田 耕,足高 毅,野海守寿,他:多彩な胸部異

  常影および皮膚病変を呈したRelapsing Poly-

  chondritisの1症例,日胸疾会誌,21 : 168-172,

  1983.

25) Borbujo J, Balsa A, Aguado P,Casado M:

  Relapsing polychondritis associated with psor-

  iasis vulgaris, y Am Acad Dermatol, 20 :

  130-132, 1989.

26) Laurent R,Humbert P,Fellman D : Dermati-

  tis herpetiformis associated with relapsing

  polychondritis,£)ぴw漬ゐがca, 177 : 309-312,

  1988.

27)森田哲也,橋本朋子,魚住武則,他:歯状核・赤核・

  淡蒼球リレイ体萎縮症様神経症状を合併した再発

  性多発性軟骨炎の1例,日内会誌,77 : 516-519,

  1988.

28) Michet CJ, McKenna CH, Luthra HS, O'fallon

  WM : Relapsing polychondritis : Survival and

  predictive role of early disease manifestations,

  j心

29)橋本和季,園生雅弘,作田 学:神経症状,脳脊髄

  液異常をともなったrelapsng polychondritis.Ko

  床神経,28 : 1004-1007, 1988.

30) Gange RW : Relapsng polychondritis report of

  two cases with an immunopathological review,

  Clin Eゆj)gタwα�,1 : 261-268, 1976.

31) Michaeli D, Fudenberg HH : The incidence

  and antigenic specificity of antibodies against

  denatured human collagen in rheumatoid

  arthritis, Clin I・附μnol I。1.z。z砂法叱2:

  153-159, 1974.

32)加藤明彦,深山牧子,稲松孝思,江崎行芳,織田弘

  美,大山俊郎:抗type II コラーゲソ抗体及び多彩

  な免疫異常を伴った再発性多発性軟骨炎の1例,

  結合組織,20 : 83-89, 1988,

33)寺戸国昭:II型コラーゲンの病原性,臨床免疫,

  22 : 858-870, 1990.

34) Svoboda KK, Nishimura I, Sugrue SP,

  Ninomiya Y, Olsen BR : Embryonic chiken

  cornea and cartilage synthesize type IX col-

  lagen molecules with different amino-terminal

  domains,Proc Nat; AcadSet USA,85 :

  7496-7500, 1988.

35) Kimura T,Cheah KSE, Chan SDH, Lui VCH,

  Mattel MM, Van der Rest M, Ono K, Solomon

  E, Ninomiaya Y, Olsen BR : The human

  α2(XI) collagen (C0L11A2) chain, / Biol C加田,

  264 : 13910-13916, 1989.

36) Sugrue SP, Gordon MK, Seyer J, Dublet B, Van

  der Rest M,Olsen BR : Immunoidentification

  of type XII collagen in embryonic tissues, /

  Cell Biol,109 : 939-945, 1989.

37) Svenson KLG, Holmdahl R, Klareskog L,

  Wibell L, SjOberg 0, Klintmalm GBG, BostrOm

  H : Cyclosporin A treatment in a case of

  relapsing polychondritis, ScandJ Rheumatol,

  13 : 329-333, 1984.

Page 9: 日皮会誌:102 (10), 1277-1285, 1992 (平4) 再発性 …drmtl.org/data/102101277.pdf再発性多発軟骨炎(Relapsing Polychondritis以下 RP)は全身の軟骨組織を侵す比較的稀な全身性炎症性

再発性多発軟骨炎

             Relapsing Polychondritis

Case Reports and Detection of Anti-Type II Collagen Antibodies

Akiko Ishikoh"2>, Seiichi Kurihara2・3・,Shingo Tajima1)and Takeii Nishikawa"

       "Department of Dermatology, Keio University School of Medicine

                (Director: Prof. T. Nishikawa)

       ^Section of Dermatology, Saiseikai・Yokohamashi-Nannbu Hospital

                (Director: H,Takemura, M.D.)

       3'Shounan Dermatology Clinic

                (Director: S. Kurihara, M.D.)

   (Received November 15, 1991; accepted for publication April l5, 1992)

1285

  Four patients with relapsing polychondritis (RP) were described. Antibodies to human native and denatured

type H collagen were measured by an enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA). Antibodies to human type l

collagen, human type II collagen, bovine elastin, CB peptides of bovine type II collagen were tested by Western・

blotting method. Antibodies to both native and denatured type n collagen were found in one of the four patients.

The sera from this patient reacted with CB9, 7, CBIO, 5, CBll of type II collagen. Another patient had antibodies to

only native type II collagen. Antibody to type I collagen and elastin were not detected in all four patients. The

results indicate that antibodies to type II collagen may play an important role in the pathogenesis of RP, but the

possibility of the existence of antibodies to unknown matrix proteins stillremains。

  Gpn J Dermatol 102: 1277~1285,1992)

Key words: relapsing polychondritis, anti-type n collagen antibody