米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査（大フィ …平成20年度地域間交流支援（rit）事業海外基礎調査米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査

平成２０年度地域間交流支援（RIT）事業

海外基礎調査

米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査

（大フィラデルフィア地域およびノースカロライナ州リ

サーチトライアングル地域）

2009年 1月 30日

ジェトロ・ニューヨークセンター

i

Copyright © 2009 JETRO. All rights reserved.

目次

I はじめに 1

II 大フィラデルフィア地域 3

1.総論 3

(1) 地域基本情報 4

(2) 地域産業政策・国際産業交流政策概況 9

(3) 国際産業連携を積極的に行っている産業の特徴 12

2.国際連携に係わる関連団体の情報 23

(1) フィラデルフィア日米協会 23

(2) セレクト・グレーター・フィラデルフィア 25

(3) フィラデルフィア市商務省 27

(4) ペンシルバニア・バイオ 28

(5) バイオ・ニュージャージー 29

(6) デラウェア・バイオサイエンス協会 31

(7) デラウェア州政府国際貿易開発部 32

(8) ニューヨーク・バイオテクノロジー協会 34

III ノースカロライナ州リサーチトライアングル地域 36

1.総論 36

(1) 地域基本情報 36

(2) 地域産業政策・国際産業交流政策概況 41

(3) 国際産業連携を積極的に行っている産業の特徴 43

2.国際産業交流に関わる関連団体の情報 53

(1) ノースカロライナ州商務省国際貿易部 53

(2) リサーチ・トライアングル・リージョナル・パートナーシップ 55

(3) ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター 57

参考資料 59

大フィラデルフィア地域製薬企業一覧 59

リサーチトライアングル地域のライフサイエンス企業一覧 64

ii


図表目次

図 1 大フィラデルフィア地域と全米の年齢別人口比較 ................................ 4

図 2 大フィラデルフィア所属州と全米の失業率変化（2005 年～2008 年） .............. 6

図 3 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州、全米の GDP 成長率変化（2005

年～2007年） ....................................................................... 7

図 4 リサーチトライアングル地域と全米の年齢別人口比較 ........................... 37

図 5 ノースカロライナ州と全米の失業率変化（2005 年～2008 年） .................... 39

図 6 ノースカロライナ州と全米の GDP成長率変化（2005年～2007 年） ............... 40

表 1 大フィラデルフィア地域に含まれる 11 郡 ....................................... 3

表 2 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州の州 GDP 額変化（2005 年～

2007 年） ........................................................................... 6

表 3 連邦政府研究開発支援金受給額上位 100 校（2007 年）に含まれる、大フィラデルフ

ィア地域の大学 ..................................................................... 8

表 4 大フィラデルフィア地域に米国本社を置く企業 .................................. 8

表 5 フィラデルフィア市の姉妹都市及び連携都市 ................................... 11

表 6 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州の化学製品輸出額 ........ 13

表 7 フィラデルフィア・日本間の製薬輸出入額 ..................................... 14

表 8 大フィラデルフィア地域の主要製薬企業例 ..................................... 14

表 9 ニュージャージー州、デラウェア州に所在する日系企業 ......................... 21

表 10 リサーチトライアングルに含まれる地域 ...................................... 36

表 11 ノースカロライナ州の GDP 額変化（2005 年～2007 年） ......................... 39

表 12 連邦政府研究開発支援金受給額上位 100校（2007 年）に含まれる、ノースカロライ

ナ州所在の大学 .................................................................... 41

表 13 リサーチトライアングル地域に所在するライフサイエンス系及び医療研究・ヘルス

ケア企業・機関例 .................................................................. 43

表 14 ノースカロライナ州からの化学製品輸出額 .................................... 44

表 15 リサーチトライアングル地域に所在するライフサイエンス系及び医療研究・ヘルス

ケア企業・機関例（再掲） .......................................................... 46

表 16 リサーチトライアングル地域に拠点を置く日系企業 ............................ 51

1


I はじめに

本調査は、ジェトロが実施する「地域間交流支援事業（RIT 事業）」の今後の新規案件発掘に

向け、米国東海岸の中で、ヘルスケア産業の集積が高く、今後、日本との国際産業連携可能

性が高い地域として、ペンシルバニア州フィラデルフィアを中心とする「大フィラデルフィ

ア地域」と、ノースカロライナ州にある「リサーチトライアングル地域」という米国の代表

的なクラスター2 例について、地域経済の基礎情報や産業といった特徴、及び、国際活動に

関する情報を収集したものである。

本調査においては、単に各クラスターの定量的データを収集するのみならず、具体的な有望

企業例を挙げたほか、各クラスターにおいて国際産業交流を推進する各団体関係者に対する

ヒアリングを行い、国際交流の実態及び、日本との産業交流の状況やニーズについても洗い

出した。

その結果、両地域については、以下のような特徴があり、他国地域との国際産業交流の素地

および可能性を有することがわかった。また、各地域ごとに国際的なビジネス支援につき、

豊富な経験、ネットワークを有する地域団体を有することがわかった。

【１】大フィラデルフィア地域

・同地域は、ニューヨーク（本社+巨大市場）とワシントン DC・メリーランド州

（政治、許認可＝米国食品医薬品局（FDA）、研究所＝米国国立衛生研究所（NIH）

との間という立地環境に恵まれ、世界の主要製薬企業が本社、米国本社あるい

は製造拠点を同地域においており、世界でも稀有な製薬クラスターとなってい

る。

・その影響もあり、在米日系製薬企業も立地しているほか、地元大学、大学発ベ

ンチャー企業、インキュベータ、TLOなどを通じ、新たなシーズの創出、さら

には活発なアライアンス、ライセンスが行われている。

・国際産業交流については、元々、製薬ビジネスは国境を越えることが常である

こともあり、非常に国際色豊かでオープンな土地柄となっている。

・地元団体では、その中核となっているセレクト・グレーター・フィラデルフィ

アに加え、日本との関係では、フィラデルフィア日米協会が中心となり、日米

ライフサイエンスのカンファレンスを 10 年行っており、すでにその素地があ

るといえる。総じて、各団体とも国際交流には積極的であり、日本の地域との

交流を希望している。

【２】リサーチトライアングル地域

・同地域は、シリコンバレーをはじめ、自然発生的に生じたクラスターとは異な

2


り、民間企業の協力の下、官主導により長年をかけ、ライフサイエンスクラス

ターを形成したケースである。特に、「リサーチトライアングル地域連携

（Research Triangle Regional Partnership：RTRP）」はその中核的役割を果

たした。

・そのため、大学、研究所、支援団体といった公的なインフラ整備に加え、多く

支援策に予算が投じられ、その結果、多くの大手製薬企業、ライフサイエンス

関連企業が立地しており、事実、人口も最近 7年間で約 20%の伸びを見せるな

ど、温暖でコストが安い生活環境もあり、北東部からの流入が増えている。特

に、ライフサイエンス分野の高学歴者の流入が多く、全米で人口に対し最もド

クター比率が高い地域となっている。さらに、2008 年の「フォーブス誌」

（Forbes）が選ぶビジネスに好ましい都市圏（Best Places For Business And

Careers）ランキングにおいて第 1位に選出されている。

・同地域には、GSK、ワイス、バイエル、ノボノルディクス、エーザイなどの国

際的な製薬企業に加え、臨床試験受託を行う CRO大手クインタイル、バイオ医

薬品のバイオジェン・アイデックなども本社、米国本社もしくは製造拠点を構

えており、前述、大フィラデルフィア地域ともひけをとらないクラスターを形

成している。

・通常、地元への外資誘致を促進し、逆方向（自地域から他国・他地域への進出）

の動きに対しては、協力的ではない州が多い中、ノースカロライナ州政府は、

ハイテクビジネス自体が国境を越え、双方向で動いていることもあり、他国・

他地域との連携、双方向の交流に非常に積極的である。

本調査が、米国主要クラスターにおける産業実態や国際的活動に対する洞察に寄与し、日米

両国における国際産業交流促進の一助となれば幸いである。

最後に市場、競合の情報等はあくまで関係機関、業界団体、各企業より入手したものも含ま

れており、これらの情報、特に数字に関するものに関しては必ずしも正しくない可能性があ

ることを予めご了承の上、本報告書をご活用願いたい。

2009 年 1月

ジェトロ・ニューヨークセンター

3


II 大フィラデルフィア地域

本章は、ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州にまたがる大フィラデルフ

ィア（Greater Philadelphia）地域について、地域基本情報、同地域の産業・クラスターに

関する情報をまとめたものである。

1. 総論

以下では、大フィラデルフィア地域の基本情報、地域産業政策、地域における国際産業連携

について紹介する。尚、ここで取り上げる大フィラデルフィア地域は、同地域の経済発展の

推進団体「セレクト・グレーター・フィラデルフィア（Select Greater Philadelphia）」の

定義に従って、以下の 3州 11郡（County）とする1（表 1参照）。

表 1 大フィラデルフィア地域に含まれる 11郡

州名郡名

ペンシルバニア州バックス（Bucks）

モンゴメリー（Montgomery）

チェスター（Chester）

フィラデルフィア

（Philadelphia）

デラウェア（Delaware）

ニュージャージー州マーサー（Mercer）

バーリントン（Burlington）

カムデン（Camden）

グロスター（Gloucester）

セーラム（Salem）

デラウェア州ニューキャッスル（New Castle）

出所：Select Greater Philadelphia.

“Welcome to Greater Philadelphia”.

1 Select Greater Philadelphia. “Welcome to Greater Philadelphia”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/

出所：

http://www.selectgreaterphilade

lphia.com/maps/SGP_Counties.pdf

4


(1) 地域基本情報

a. 人口

大フィラデルフィア地域の人口は、2007 年時点でおよそ 610 万人で、全米人口の約 20%、ま

た、ペンシルバニア州・ニュージャージー州・デラウェア州 3州の総人口の約 28%2に当たる。

2000 年の同地域の人口は約 600 万人であり、2000 年から 2007 年の 7 年間での人口増加率は

約 17%となっている3。また、同地域で最も人口の多い年齢層は、全体の 15.4%を占める 45歳

～54 歳で、次いで 35 歳～44 歳が 14.8％、25 歳～34 歳が 11.8%となっている4。全米平均と

比較すると、大フィラデルフィア地域ではわずかながらも高齢化が進んでいることがわかる5

（図 1参照）。

図 1 大フィラデルフィア地域と全米の年齢別人口比較

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0%

～5歳

5歳～9歳

10歳～14歳

15歳～19歳

20歳～24歳

25歳～34歳

35歳～44歳

45歳～54歳

55歳～59歳

60歳～64歳

65歳～74歳

75歳～84歳

85歳～

大フィラデルフィア全米

出所：大フィラデルフィアの数値は “Select Greater Philadelphia”ウェブサイトのデー

タ、全米の数値は国勢調査のデータ6を基に、ワシントンコア算出。

2 U.S. Census Bereau. “Geographic Comparison Table”.

http://factfinder.census.gov/servlet/GCTTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-_box_head_nbr=GCT-T1-

R&-ds_name=PEP_2007_EST&-format=US-9S 3 U.S. Census Bereau. “Metropolitan and Micropolitan Statistical Area Estimates”.

http://www.census.gov/popest/metro/CBSA-est2007-pop-chg.html 4 Select Greater Philadelphia. “Age Distribution”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/data/popecondata/age.cfm 5 U.S. Census Bureau. “Age and Sex”.

http://factfinder.census.gov/servlet/STTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-qr_name=ACS_2007_3YR_G

00_S0101&-ds_name=ACS_2007_3YR_G00_ 6 同上

5


b. 失業率

2008 年 9月時点の失業率は、ペンシルバニア州が 5.7%7、ニュージャージー州が 5.8%8、デラ

ウェア州が 4.8%9となっており、同時期の全米失業率 6.1%10と比べ低い数値を示している。そ

の中で、大フィラデルフィア地域の 2008年 9月の失業率は 5.5%11、12と、全米及び 3州の失業

率よりも更に低くなっている。

c. 主要産業

大フィラデルフィア地域の主要産業には、製薬（pharmacecutical）13、化学品製造（chemical

manufacturing）14、IT15などが挙げられる。特に製薬産業は同地における歴史が古く（詳細に

ついては後述）、主要産業クラスターとなっている。

d. 近年の地域経済状況

大フィラデルフィア地域に含まれる 11郡が所在する 3州（ペンシルバニア州、デラウェア州、

ニュージャージー州）の 2005年から 2007 年までの失業率は、図 2に示すように、ペンシル

バニア州及びニュージャージー州の 2006年の数値を除き、全米失業率よりも低く、雇用にお

いて他地域に比べて安定している様子が伺える。

7 Bureau of Labor Statistics. “Economiy at a Glance: Pensylvania”.

http://www.bls.gov/eag/eag.pa.htm 8 Bureau of Labor Statistics. “Economiy at a Glance: New Jersey”.

http://www.bls.gov/eag/eag.NJ.htm 9 Bureau of Labor Statistics. “Economiy at a Glance: Delaware”.

http://www.bls.gov/eag/eag.DE.htm 10 Bureau of Labor Statistics. “Labor Force Statistics from the Current Population Survey”.

http://data.bls.gov/PDQ/servlet/SurveyOutputServlet?data_tool=latest_numbers&series_id=LNS

14000000 11 Bureau of Labor Statistics. “Economy at a Glance: Philadelphia-Camden-Wilmington,

PA-NJ-DE-MD”. http://www.bls.gov/eag/eag.pa_philadelphia_msa.htm 12 失業率データを作成する米国労働統計局（Bureau of Labor Statistics：BLS）が対象としている大

フィラデルフィア地域は、本稿で対象とする大フィラデルフィア地域と全く同じではない。 13 Select Greater Philadelphia. “Life/Bioscience”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifebioscience.cfm 14 Select Greater Philadelphia. “Science and Chemicals”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/sciencechemicals.cfm 15 Select Greater Philadelphia. “IT and Communications”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/itcomm.cfm

6


図 2 大フィラデルフィア所属州と全米の失業率変化（2005 年～2008 年）

（%）

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

2005年 2006年 2007年 2008年

ペンシルバニア州

デラウェア州

ニュージャージー州

全米

出所：米国労働統計局発行の統計を基にワシントンコア作成16

注：2005年～2007 年は年間データ、2008 年は 10 月現在のデータを利用

また、前述の 3 州における州 GDP を見ると、2007 年の州 GDP 成長率は、3 州全てにおいて前

年を下回っており、2005 年に州 GDP 成長率が 6％を記録したデラウェア州においてはマイナ

ス成長となっている（表 2、図 3参照）。

表 2 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州の州 GDP 額変化

（2005 年～2007 年）

2005 年 2006 年 2007 年

ペンシルバニア州 4,219億ドル 4,303 億ドル 4,370億ドル

ニュージャージー州 3,783億ドル 3,869 億ドル 3,913億ドル

デラウェア州 494 億ドル 496 億ドル 488 億ドル

出所：米国商務省、経済分析局（Bureau of Economic Analysis：BEA）、 “State Economic Growth

Slowed in 2007”.

＜http://www.bea.gov/newsreleases/regional/gdp_state/2008/pdf/gsp0608.pdf＞

16 該当ウェブサイトは以下の通り。http://data.bls.gov/cgi-bin/dsrv?la

7


図 3 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州、全米の GDP 成長率変化

（2005年～2007年）

(2.0)

(1.0)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

2005年 2006年 2007年



デラウェア州

全米

（%）

出所：表 2 に同じ

e. 地域産業の強み・弱み、課題

大フィラデルフィア地域は、研究大学としても有名であり米国大学 2008 年トップ 10 にもラ

ンクインしているプリンストン大学（Princeton University、2008 年大学ランキング第 1位）

やペンシルバニア大学（University of Pennsylvania、同第 5 位）を有している。これらの

大学の存在は、産学連携や、優秀な人材の確保に大きく貢献しており、地域の強みとなって

いる17。

表 3 は、大フィラデルフィア地域に所在する、連邦政府研究開発支援額上位 100 校18に含ま

れる大学をまとめたものである。ペンシルバニア州では連邦研究開発支援額第 12 位にあたる

6 億 4,800 万ドルを受給したペンシルバニア大学、ニュージャージー州からはプリンストン

大学が 100 位までにランクインしている19。また、大フィラデルフィア地域外ではあるものの、

近隣には連邦研究開発支援額 20 位にランクインしているピッツバーグ大学（University of

Pittsburgh）や、ペンシルバニア州立大学（Pennsylvania State University）20など、研究

開発に積極的な大学が近接している。

17 Select Greater Philadelphia. “The Evolution of Innovation：Greate Philadelphia 2008 Regional

Report”. http://www.selectgreaterphiladelphia.com/news/media/reports.cfm 18 調査対象は 672校あり、そのうち上位 100校が連邦拠出大学研究開発支援額のおよそ 80%を占める。

（http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf08320/） 19 NSF. “Universities Report Continued Decline in Real Federal S&E R&D Funding in FY 2007”.

http://www.nsf.gov/statistics/infbrief/nsf08320/ 20 NSF. “Federally financed R&D expenditures at universities and colleges, ranked by 2007

expenditures.” Division of Science Resources Statistics の Ronda Britt 氏より入手。

8


表 3 連邦政府研究開発支援金受給額上位 100 校（2007 年）に含まれる、

大フィラデルフィア地域の大学

全米順位

（2007年）

所在地

（州）大学名

連邦研究開発

支援額

12位 PA ペンシルバニア大学

（University of Pennsylvania）

4億 4,968万ドル

80位 NJ プリンストン大学

（Princeton University）

1億 1,917万ドル

出所：米国科学財団（National Science Foundation: NSF）、 “Federally financed R&D

expenditures at univerisites and colleges, ranked by 2007 expenditures”より抜粋

注：所在地（州）欄のアルファベットは、PA：ペンシルバニア州、NJ：ニュージャージー州

を示す。

また、同地域は地理的な面における利点も有している。大フィラデルフィア地域は、米国経

済中心地であるニューヨークや政治の中心地であるワシントン DC へ数時間で移動できると

いうアクセスの良い立地にある上に、これらの地域に比べて生活・ビジネスにかかるコスト

が安い21。また、全米及び国際的な移動にも適した国際空港や幹線道路などのインフラも整備

されている。このため大フィラデルフィア地域に米国本社を置く企業も多く（表 4 参照）、

伝統的に同地域で盛んな製薬産業を中心に、エネルギー、金融、IT・通信など様々な産業の

大企業が同地域を拠点としている22。

表 4 大フィラデルフィア地域に米国本社を置く企業

企業名（産業、所在地）

Merck & Company, Inc.（製薬、NJ） DuPont（化学、DE）

GlaxoSmithKline（製薬、PA） AstraZeneca LP（製薬、DE）

Lincoln National（金融、PA） Sunoco（総合エネルギーメーカー、PA）

Siemens Medical Solutions（医療機器、PA） Cigna（金融・保険、PA）

Unisys（IT、PA） Comcast（テレコム、PA）

Campbell Soup（食品、NJ）

出所：Select Greater Philadelphia ウェブサイト掲載情報を基にワシントンコア作成

注：所在地のアルファベットは、PA：ペンシルバニア州、NJ：ニュージャージー州、DE：デ

ラウェア州を示す。

一方で、大フィラデルフィア地域という 3 州にまたがる立地は、後出のリサーチトライアン

グルのような 1 州の中の 1 地域とは異なり、ともすれば政策や支援の面での歩調をそろえる

ことが難しいという懸念が存在する。このような難しい状況にありながらも、製薬を中心と

したクラスター形成を促す要因となった優れた大学や産業集積が存在することから、同地域

21 Select Greater Philadelphia. “The Evolution of Innovation：Greate Philadelphia 2008 Regional

Report”. http://www.selectgreaterphiladelphia.com/news/media/reports.cfm 22 同上

9


の製薬クラスターとしてのリーダー的地位には安定感が見られると共に、今後も同地域にお

ける成長が期待される。

(2) 地域産業政策・国際産業交流政策概況

以下では、大フィラデルフィア地域における産業の中でも、特に重点育成産業となっている

製薬産業について、関連政策やプログラムを紹介する。

a. 重点育成産業

大フィラデルフィア地域は、製薬クラスターが存在することで有名であるが、同クラスター

は、後述のノースカロライナ州リサーチトライアングルに見られるような政策主導で生まれ

たものではなく、国際的製薬企業が元々集積していたという歴史的な基盤に基づいて形成さ

れたクラスターである。しかし、現在同地域では、製薬・バイオ・ライフサイエンス・医療

機器といった分野のベンチャー企業に対する支援が活発に行われている他、地域経済振興を

目指すセレクト・グレーター・フィラデルフィア（Select Greater Philadelphia、後述）や、

製薬・バイオ産業における国際的競争力の強化と地域産業の発展を支援する各州バイオ系産

業団体の間における横の連携と、大学などの研究機関の存在がクラスターを支えている。

b. 重点産業政策

大フィラデルフィア地域としての統一的な重点産業政策はないものの、地域を構成する各州

においてそれぞれ製薬・バイオ産業支援に向けた施策が実施されている。


ペンシルバニア州では、起業とイノベーション促進に対して支援を行う州プログラム「ベン・

フランクリン技術パートナー（Ben Franklin Technology Partner：BFTP）」を、過去 25 年間

に渡って実施しており、ベンチャー企業へのベンチャーキャピタル投資及び、起業家に対す

る企業経営に関するアドバイスを提供してきている23。2004 年から 2006 年にかけて、BFTP は

総額 11億ドルを地元企業の支援として投資しており、同州で 9,400 以上の雇用創出に成功し

ている24。

同州ではまた、1990年代の連邦タバコ訴訟で敗訴したタバコメーカーから連邦政府に支払わ

れた賠償金のうち、ペンシルベニア州に配分された資金の一部を利用して、「バイオアドバン

ス（BioAdvance）基金」を 2002年に設置しており、この基金を通じて、同州内の製薬ベンチ

ャー企業への投資を目的とした約 2,000 万ドルの資金を運用している。同基金は設立以降、

23 Ben Franklin Technology Partnership. “About Us”.

http://www.benfranklin.org/about/index.asp 24 News Blaze. “PA Governor Rendell Congratulates Ben Franklin Technology Partners on National

Award”. June 09, 2008. http://newsblaze.com/story/2008060910530500002.pnw/topstory.html

10


アルツハイマーや癌などの疾病治療方法や医療機器の開発に取り組む 39 社に対し、合計

1,400 万ドルを投資している。支援を受けた企業の例には、2002 年の創業以来癌を標的とし

たワクチンの開発を実施してきたアルテリス社（Alteris）が挙げられるが、同社は 2005 年、

免疫治療技術の研究開発・実用化を進めるセルデックス・セラピューティックス社（Celldex

Therapeutics）によって現金 1,500 万ドルと同社の持ち株 120 万株25で買収されている26。

一方、大フィラデルフィア地域の中心都市のひとつであるフィラデルフィア市の商務省

（Department of Commerce）は、米国輸出入銀行（Export-Import Bank of the United States：

Ex-Im Bank）と連携し、市内中小企業による輸出支援に向けて、輸出ローンや信用保険を提

供している27。


ニュージャージー州では、州内産業の発展を支援するニュージャージー州経済開発庁（New

Jersey Economic Development Authority：NJEDA）が、州内のハイテク・ライフサイエンス

企業の育成を目的とした「エジソン・イノベーション基金（Edison Innovation Fund）」を

2006 年より運用している。同基金は、州内企業に対し、研究開発費用・技術実用化のための

費用・人材トレーニングのための費用などをローンやグラントなどの形で提供するもので、

設立以来 4億ドルを超える支援を行っている28。また、NJEDA は、州インキュベータ施設とし

て、ニュージャージー技術センター（Technology Centre of New Jersey）29とウォーターフ

ロント技術センター（Waterfront Technology Center）30の 2施設を有し、産業育成のための

インフラ整備にも力を注いでいる。

デラウェア州

デラウェア州経済開発局（Delaware Economic Development Office：DEDO）では、「技術ベー

スシード基金（Technology Base Seed Fund）」を通じて、バイオテクノロジーなどのハイテ

ク分野におけるベンチャーに対し、主に資本融資を実施している31。

25 Pennsylvania BioWatch.“Inside the Industry：Celldex Announces Acquisition of Lorantis

Limited and Assets of Alteris Therapeutics, Inc.”October 31, 2005

http://www.pennsylvaniabio.org/BIOWATCH/October2005/insidetheindustry.htm 26 BioAdvance. “Portfolio Companies”. http://www.bioadvance.com/portfolio.asp 27 Department of Commerce. “Department of Commerce: International Trade and Diplomacy”.

http://www.phila.gov/commerce/comm/lvl_2/mbat_trade_diplomacy.htm 28 New Jersey Economic Development Authority. “Edison Innovation Fund.”

http://www.njeda.com/web/Aspx_pg/Templates/Pic_Text.aspx?Doc_Id=802&menuid=1214&topid=718&

levelid=5&midid=730 29 Technology Centre of New Jersey http://www.njtechcentre.com/ 30 Waterfront Technology Center http://www.waterfronttechcenter.com/ 31 Delaware Economic Development Office http://dedo.delaware.gov/TBSF.pdf

11


c. 企業の国際産業交流をサポートする行政プログラムの概要

前出のフィラデルフィア市商務省は、国際部において、海外パートナー団体との協力の下、

地域産業による国際市場への参入や、地域の輸出入促進支援を行っている。国際部内にある

フィラデルフィア貿易事務所（Philadelphia Trade Office）は、以下のようなサービスを提

供している32。

参入に適した海外市場の選定

製品の顧客（企業）候補の特定

投資・融資・海外直接投資に関する支援

また、大フィラデルフィア地域の中核を成すフィラデルフィア市は、産業・文化・教育にお

ける同市の存在感を高めることを目標として、世界各国の都市と姉妹都市（Sister City）ま

たは連携都市（Partnership City）関係を構築するという取り組みを行っており、これらの

姉妹都市の枠組みを利用して、同市は姉妹都市や連携都市に拠点を置く企業とのビジネスパ

ートナーシップの強化や、地域経済の活性も目指している。現在、フィラデルフィア市が姉

妹都市・連携都市関係を結んでいるのは以下の世界 10 都市である（表 5参照）33。

表 5 フィラデルフィア市の姉妹都市及び連携都市34

姉妹都市（国名、都市名）

カメルーン、ドアラ（Douala）イタリア、フィレンツェ（Florence）

韓国、仁川（Incheon）ロシア、ニジニー・ノヴゴロド（Nizhny Novgorod）

イスラエル、テルアビブ（Tel Aviv）中国、天津（Tianjin）

ポーランド、トルン（Torun）

連携都市（国名、都市名）

日本、神戸フランス、エクス・アン・プロヴァンス（Aix-en

Provence）

イタリア、アブルッツォ（Abruzzo）

出所：フィラデルフィア市商務省、 “International Trade & Diplomacy”より抜粋。

http://www.phila.gov/commerce/comm/lvl_2/mbat_trade_diplomacy.htm

32 Department of Commerce. “Department of Commerce: International Trade and Diplomacy”.

http://www.phila.gov/commerce/comm/lvl_2/mbat_trade_diplomacy.htm 33 同上 34 フィラデルフィア市商務省のキャロル・ブルックス氏（Carol Brooks）によれば、姉妹都市と連携

都市では、連携のために利用される「リソース」が異なるという。この「リソース」は、2 都市間の連

携のために投入される資金や人材のことであると考えられるが、具体的な内容については明かされな

かった。

http://www.phila.gov/commerce/comm/lvl_2/mbat_trade_diplomacy.htm

12


(3) 国際産業連携を積極的に行っている産業の特徴

本節では、大フィラデルフィア地域の製薬産業における国際産業活動についてまとめる。

a. 従業者数、企業数

大フィラデルフィア地域には、2008年現在およそ 400 のライフサイエンス企業（製薬、バイ

オ、医療機器産業等を含む）が所在しており、およそ 5 万 5,900 万人が雇用されている3536。

なお、2003 年の企業数は 400 社弱、従業員数は 5 万 3,000 人37であったため、2008 年の数値

と比較するとわずかながらの増加となっている。なお、大フィラデルフィア地域の「製薬産

業38」に限ってみた従業員数及び企業数の入手は不可能であった。

b. 域内生産額

大フィラデルフィア地域の製薬産業における域内生産額は、137億ドル（2003 年現在）39であ

り、米国全体の製薬産業売上総額 2,000億ドル40のおよそ 7%を占めている。

c. 輸出額41

大フィラデルフィア地域の製薬産業、あるいはペンシルバニア州、ニュージャージー州、デ

ラウェア州 3州の製薬産業の輸出額を示す数値は算出されていないため、本セクションでは、

米国商務省（Department of Commerce：DOC）貿易産業情報部（Office of Trade and Industry

Information：OTII）が発行する輸出データの中から、製薬の輸出額を含む化学製品（Chemical）42の数値を参考とした。

このデータによると、前述の 3州を合計した対日化学製品輸出額は、2005 年以降緩やかに減

35 Select Greater Philadelphia. “Core Life Science Companies in Greater Philadelphia”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm 36 The Scientist. “Select Greater Philadelphia.”

http://www.the-scientist.com/article/display/54168/ 37 Milken Institute. “The Greater Philadelphia Life Science Cluster”. June 2005.

http://www.milkeninstitute.org/pdf/philadelphia_sciences_0605.pdf 38 米国全体の製薬企業数は、約 1,500 社。（出所：Hoovers.

http://www.hoovers.com/pharmaceutical-manufacture-and-sale-/--ID__108--/free-ind-fr-profil

e-basic.xhtml） 39 同上 40 Hoovers. “Industry Overview: Pharmaceutical Manufacture and Sale”.

http://www.hoovers.com/pharmaceutical-manufacture-and-sale-/--ID__108--/free-ind-fr-profil

e-basic.xhtml 41 本報告書で利用したデータは、米国商務省（Department of Commerce：DOC）産業通商管理局

（International Trade Administration：ITA）内の貿易産業情報部（Office of Trade and Industry

Information：OTII）が発行している。尚、州ごとの輸入額は発表されていない。 42本セクションの輸出額として算出されている最小単位が NAICS コード 325番に該当する「化学製品

（chemical）」となっている。この化学製品には化学物質製造業の他、医薬品、バイオ製品などが含ま

れる。

13


尐している。対日化学製品輸出額を州別に見ると、ペンシルバニア州、ニュージャージー州

の対日化学製品輸出額は、いずれも減尐傾向にある一方で、デラウェア州の対日化学製品輸

出額は、2005年から 2007 年まで増加している（表 6参照）。また、化学製品輸出国順位では、

日本は 2005 年には英国、カナダ、ドイツに続いて 4 位であったものの、2007 年には英国に

次ぐ 2 位に上昇しており、同州の化学製品輸出先としての日本の存在感が高まっている様子

が伺える43。

表 6 ペンシルバニア州、ニュージャージー州、デラウェア州の化学製品輸出額

（2005 年～2007 年）

（単位：ドル）

2005 年 2006 年 2007 年

3州合計

海外への化学製品輸出額 111億 4,700 万 146億 5,900 万 143 億 8,500 万

日本へ化学製品輸出額 6億4,700万（5.8%） 8億 6,400 万

（5.9%）

7億 1,800 万（5%）


海外への化学製品輸出額 42億 6,200 万 46 億 7,900 万 51億 7,100 万

日本へ化学製品輸出額 3億1,100万（7.2%） 3億 7,400 万（8%） 2億7,400万（5.3%）



日本へ化学製品輸出額 2億5,000万（4.2%） 3億 2,000 万

（3.9%）

2億9,100万（3.8%）

デラウェア州


日本へ化学製品輸出額 8,600万（9%） 1億 700万（5.7%） 1億5,300万（9.1%）

出所：OTII による統計ウェブサイト「TradeStats Express」http://tse.export.gov/

注：日本への化学製品輸出額欄の括弧内の数値は、日本への化学製品輸出額が海外への化学

製品輸出額に対して占める割合を示す。

尚、フィラデルフィア市における製薬輸出入額を示すデータ44は表 7 の通りで、対日輸出入

ともに、2005 年からの 3年間では 2006年に最大額を示している。

43 OTII. “TradeStats Express”のデータによる。

http://tse.export.gov/ITAHome.aspx?UniqueURL=tqgkyt55mgzck355wthwnr55-2009-1-2-10-1-7 44 フィラデルフィア市商務省のキャロル・ブルックス氏より入手。無料で一般公開されているデータ

ではないと考えられる。

http://tse.export.gov/

14


表 7 フィラデルフィア・日本間の製薬輸出入額

2005 年 2006 年 2007 年

日本への輸出 9,160万ドル 15億 7,230 万ドル 2億 3,429 万ドル

日本からの輸入 10億 9,520 万ドル 10億 4,347 万ドル 8億 1,820 万ドル

出所：フィラデルフィア市商務省より入手

d. 産業の発展過程

大フィラデルフィア地域の製薬業の歴史は長く、米国で最も歴史の長い大学のひとつである

ペンシルバニア大学や米国初の病院であるペンシルバニア病院（Pennsylvania Hospital）が

設立された 1700年代にまで遡る。これら 2施設の存在は同地域における医療・製薬の研究開

発と人材育成の礎を築いた。更に 1821 年に、米国初の薬科大学であるフィラデルフィア薬科

大学（Philadelphia College of Pharmacy）が設立され、同大学からは、世界的な製薬メー

カーの創立者であるイーライ・リリー博士（Eli Lilly、イーライリリー創業者）やジョン・

ワイス氏（John Wyeth、ワイス創業者）を始め、製薬業に貢献してきた多くの人材が輩出さ

れている。このように、同地におけるアカデミア分野でのインフラが充実していることが、

米国企業だけでなく、外資系製薬企業が同地域に本社や米国支社を置く理由の一つとなって

いる。

今日も同地域には米国企業及び海外企業併せておよそ 400 社のライフサイエンス系企業、約

100 社の製薬企業45が所在している。下表 8は、大フィラデルフィア地域に所在する主要製薬

企業をまとめたものである。また、下表には含まれていないが、エーザイや第一三共などの

日系企業（後出）も同地域を拠点としており、製薬クラスターの一角を成している。

表 8 大フィラデルフィア地域の主要製薬企業例

GlaxoSmithKline Holdings

Inc.

Cephalon Inc AstraZeneca Pharmaceuticals

LP

ENDO Pharmaceuticals

Holdings

Baxter Healthcare Corp Johnson & Johnson Pharm

Colorcon Inc Centocor Inc Zlb Behring LLC

Laron Pharma Inc Wyeth Pharmaceuticals Janssen Pharmaceutical Inc

ViroPharma Inc Teva Pharmaceuticals USA Inc Merck & Co Inc

Sandoz Inc Pharmaceutical Holdings Corp Johnson Matthey Inc

Auxilium Pharmaceuticals Inc Seimens Medical Solutions Siegfreid Inc

45 Select Greater Philadephia. “Core Life Science Companies in Greater Philadelphia：View Core

Life Science Companies in Greater Philadelphia”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm よりエクセルシート入手可

能。

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm

15


Delavau LLC Quigley Corp Medical Products Lboratories

Impax Laboratories Inc Derma Sciences Inc Pfizer

Vicuron Pharmaceuticals Inc Collagenex Pharmaceuticals

Inc

Genzyme Corp

Jacobus Pharmaceutical Co

Inc

Central Admixture Pharmacy Otsuka America

Pharmaceutical

OraPharma Inc Adolor Corp GE Health

Boiron Borneman Inc Bilcare Inc Locus Pharmaceuticals Inc

Aphton Corp Advent Pharmaceuticals Inc Salix Pharmaceutical

Medico Labs Inc Bio-Pharm Inc Neose Technologies Inc

出所： Select Greater Philadelphia 、 “Core Life Science Companies in Greater

Philadelphia”に掲載されている「Core Life Science Companies in Greater Philadelphia」

の資料を基に、ワシントンコア作成。

（http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm）

注：本表は、上記資料に記載されている北米工業分類（NAICS）上の製薬企業の中から、企業

売上の高い上位 45社を記載。

e. 代表的な企業とその国際展開状況

1860 年にフィラデルフィア市において創業されたワイス社（Wyeth）は、市販鎮痛薬の「ア

ドビル（Advil）」の製造販売で知られる国際的製薬企業である。同社の国際展開は、1886 年

にカナダのモントリオールでワクチン製造工場を設立したことに始まる。今日、同社は年間

224 億ドルの売上を記録し、4大陸に研究開発施設を置く他、北米 4カ国、中南米 7カ国、ヨ

ーロッパ 39カ国、アフリカ 8カ国、アジア 27カ国（日本を含む）、オセアニア 2カ国におい

て事業を展開している。また、これらの国々を含め世界 145 カ国においてワイス製品が販売

されている46。

以下では、大フィラデルフィア地域の主要製薬企業例の中から、注目企業として、セファロ

ン社（Cephalon, Inc）、バイロファーマ社（ViroPharma Incorporated）、クイグリー・ファ

ーマ社（ Quigley Pharma, Inc）、アドベント・ファーマシューティカル社（ Advent

Pharmaceuticals, Inc.）、ボイロン社（Boiron, Inc）について紹介する。

46 Wyeth. “Wyeth at a Glance”. http://www.wyeth.com/aboutwyeth/whoweare/wyethglance

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm

16


セファロン社（Cephalon, Inc）

＜企業概要＞

企業名セファロン社（Cephalon, Inc）

ウェブサイト www.cephalon.com

創業年 1987年

年間売上（年） 19億 4,300 万ドル（2008 年）

所在地住所： 41 Moores Road Frazer, PA 19355

電話： 610-344-0200

担当者・連絡先 Candace Steele, Senior Director, Product Communications

Eメール： [email protected]

電話番号： 484-325-4860

セファロン社は、睡眠障害・癌などの治療薬や疼痛管理薬の開発・製造など、中枢神経疾患

分野を取り扱うバイオ製薬企業で、50 カ国以上で約 30 製品を販売し、米国およびヨーロッ

パ合計に約 3,000 名の社員を有する国際的企業である。

同社の主力製品は、覚醒障害治療薬のプロビジル（Provigil）で

ある。プロビジルは、睡眠・覚醒中枢に選択的に作用して、大脳

皮質を活性化する睡眠覚醒促進剤である。1998年米国でナルコレプシー（睡眠障害）による

日中の過度の眠気の改善薬として認可されており、2004 年には、閉塞性睡眠時無呼吸・低呼

吸症候群、交代勤務睡眠障害による過度の眠気の治療薬として米国食品医薬品局（Food and

Drug Administration:FDA）が認可した唯一の処方薬となっている。また、2007 年には、プ

ロビジルの後継薬であるヌビジル（Nuvigil）が FDA に承認されている。

また、同社が慢性リンパ性白血病治療薬として販売するトレ

アンダ（Treanda）は、米国臨床腫瘍学会（American Society

of Clinical Oncology:ASCO）から、2008 年度において慢性

リンパ性白血病の治療に大きな影響を与えた新薬に選出さ

れている47。

バイロファーマ社（ViroPharma Incorporated）

＜企業概要＞

企業名バイロファーマ社（ViroPharma Incorporated）

ウェブサイト www.viropharma.com

創業年 1994年

年間売上（年） 2億 3,230 万ドル（2008年）

47http://www.asco.org/patient/Library/Cancer.Net+Features/Clinical+Trials+and+Research/Top+

Cancer+Advances+in+2008

17


所在地住所： 730 Stockton Drive Exton, PA 19341

電話： 610-458-7380

担当者・連絡先 Kristina Broadbelt, Assistant Director, Public Relations

and Advocacy

電話番号： 610-321-2358

バイロファーマ社は、臨床医薬品の開発と製品化を手がけるバイオ製薬企業であり、移植医

学や胃腸病学分野の製品を製造している。同社は、主にサイトメガロウィルス（CMV）や遺伝

性血管浮腫による重病治療用薬剤開発を中心としており、グラクソ・スミスクライン社

（GlaxoSmithKline）、ワイス社（Wyeth）、シェリング・プラウ社（Schering-Ploughs）、サノ

フィ・アベンティス社（Sanofi-Aventis）といった医薬品メーカーと戦略的提携を結んでい

る。

同社では、メチシリン耐性菌を含むクロストリジウム・デフィ

シレによる抗菌薬関連偽膜性大腸炎および黄色ブドウ球菌に

よる抗菌薬関連腸炎用経口投与薬と

して唯一承認された抗生物質バンコ

シン（Vancocin）を製品化している。

その他にも、FDA が承認した遺伝性

血管浮腫を有する思春期の若者や成

人の血管浮腫発作の予防薬であるシンライズ（Cinryze）を開発製

造しており、近年中に同製品だけで年間 2億 5,000 万ドルから 3億

ドルの売り上げを達成すると予測されている。バンコシンの特許保護期限が近々終了を迎え

るため、今後ジェネリック医薬品との競争が激しくなることが予測され、シンライズがバン

コシンに続く主要製品として位置づけられている48。

クイグリー・ファーマ社（Quigley Pharma, Inc）

＜企業概要＞

企業名クイグリー・ファーマ社（Quigley Pharma, Inc）

ウェブサイト www.quigleypharma.com

創業年 1989年

年間売上（年） 3,950万ドル（2007 年）49

所在地住所： 621 N Shady Retreat Rd Doylestown, PA 18901

電話： 215-345-0919

担当者・連絡先 Quigley Pharma Contact


電話番号： 267-880-1100

48 http://joshmatlow.org/FinanceMessage.aspx?sp_id=1188 49 Quigley Corporation 全体のデータ。

18


クイグリー・ファーマ社は、風邪治療薬コールド・イーズ（COLD-EEZE）を販売する健康医療

品企業のクイグリー社（Quigley Corporation）の完全子会社である。クイグリー・ファーマ

社は、植物性・自然由来の処方薬の開発を通じて、現代社会の健康問題解決に貢献すること

を企業活動目標に掲げている。クイグリー・ファーマ社の研究領域は以下の通りである。

糖尿病性抹消神経障害：同社の QR-333 は、酸化的ストレスを軽減し、糖尿病性末梢

神経障害による痛みやその他の兆候を和らげる作用がある。

全身投与療法：同社の QR-336 は、天然由来の化合物で、放射線による影響から、全

身を保護する働きをもつ。

悪液質治療：同社の QR-443は腫瘍増殖による体重減尐を抑える働きがある。

その他関節炎、ヘルペス、傷跡治療、鳥インフルエンザなどに効用がある化合物の開発にも

取り組んでいる。

アドベント・ファーマシューティカル社（Advent Pharmaceuticals, Inc）

＜企業概要＞

企業名アドベント・ファーマシューティカル社（Advent

Pharmaceuticals, Inc）

ウェブサイト www.adventpharma.com

創業年 1992年

年間売上（年） 860万ドル（2007 年）

所在地住所： 55 Lake Drive East Windsor, NJ 08520

電話： 609-448-5500

担当者・連絡先 Chuck Goldberg, Vice President Sales/Marketing


アドベント・ファーマシューティカル社は、ニュージャージー州に拠点を置く医薬品製造企

業である。市販薬から処方薬まで幅広く生産し、年間に錠剤 30 億個、液体用容器 350 から

500 万個、ソフトカプセル 2 億 5,000 万個、ハードカプセル 1 億個の生産が可能な設備を有

する。以下のような製品を取り扱っている。

即効型錠

徐放性錠

即溶解性錠

チュアブル錠

ツーピースハードカプセル

ソフトカプセル

腸溶コーティング剤

塗膜剤

粉末、顆粒剤（予定）

19


また同社は、アレルギー緩和剤（塩酸ジフェンヒドラミン）、鎮痛剤（アスピリン、イブプロ

フェン、アセトアミノフェン）、下剤（ビサコジル、ドユセート、センナ）も販売している。

ボイロン社（Boiron Borneman, Inc）

＜企業概要＞

企業名ボイロン社（Boiron Borneman, Inc）

ウェブサイト www.boironusa.com

創業年 1983年（米国）

年間売上（年） 1,040万ドル（2008 年）

所在地住所： 6 Campus Boulevard Newtown Square, PA, 19073

電話： 610-325-7464

担当者・連絡先 Alissa Gould, Boiron Public Relations Manager

E メール：[email protected]

電話番号：610-325-2534

ボイロン社は、世界各国に拠点を持ち、市販薬 80 種、処方薬 700 種以上といった幅広いホメ

オパシー関連製品を扱う世界最大規模のホメオパシー関連企業で、70年以上に渡りホメオパ

シー医療に関する学術研究や研究者の教育に対する支援を積極的に行っている。

ボイロン社の主な市販薬品の中でも、オシロコシナム

（Oscillococcinum）は、FDAから承認を受けている自然由来のイン

フルエンザ治療薬で、症状の出始めに服用すると、持続期間や症状

を和らげることができる。他の薬と違い、オシロコシナムは眠気な

どの副作用を起こさず、またこれまで他の薬物との薬物相互作用も

報告されていない。またアーニケア（Arnicare）は、傷・腫れ物・

痛みに対処する治療薬であり、局所製剤と舌下製剤の2種類がある。

尚、オシロコシナムは、2008 年米国

の雑誌「ビタミン・リテイラー誌（Vitamin Retailer Magazine）」

が、最も売れている自然由来の風邪・インフルエンザ用治療薬

として紹介しており、またアーニケアも、ホメオパシー療法部

門において 2年連続売上高 1位を獲得している。

f. 地域に所在する代表的な外資系企業と設立の経緯

大フィラデルフィア地域を拠点とする外資系製薬会社には、アストラゼネカ社（AstraZeneca）、

メルク社（Merck & Co., Inc.）、グラクソ・スミスクライン社（GlaxoSmithKline）などがあ

20


る50。

世界でも有数の製薬会社であるアストラゼネカ社は、1999 年にスウェーデンのアストラ社

（Astra AB）と英国のゼネカ社（Zeneca Group PLC）の合併により設立された。同社の米国

本社は、大フィラデルフィア地域内のデラウェア州ウィルミントン（Wilminton）に置かれて

おり51、大フィラデルフィア地域では約 4,300 名を雇用している52。アストラゼネカ社が大フ

ィラデルフィア地域に米国拠点を置いた背景には、1972 年にゼネカ社の前身であるインペリ

アル・ケミカル・インダストリーズ社（Imperial Chemical Industries Ltd.：ICI）が、同

地域に所在したアトラス・ケミカル社（Atlas Chemical Company）の新薬開発研究施設を買

収したことがきっかけとなっている53。アトラスゼネカ社は、今日も大フィラデルフィア地域

に同社の中心的研究開発施設を置いており、研究開発に強い地域に拠点を置くという同社の

戦略に、大フィラデルフィア地域の強みがマッチしたと考えられる。

現在アストラゼネカ社は、アフリカ 16カ国、ヨーロッパ 34カ国、北米 3カ国、中米 14カ国、

南米 12カ国、アジア・中東 28カ国（日本を含む）、オセアニア 2カ国と、世界中に拠点を設

けており、全世界でおよそ 6万 7,000 人を雇用し、約 296 億ドル（2007年）の売上を上げて

いる54。

g. 交流国・数

大フィラデルフィア地域における産業交流は、製薬・バイオ産業に強いヨーロッパやアジア

諸国を中心に多く見られる（2「国際連携に係わる関連団体の情報」の項参照）。中でも、大

フィラデルフィア地域に含まれる 3 州には、表 9 のような日系製薬企業が所在しており、大

フィラデルフィア地域製薬クラスターの一部となっている。

50 Select Greater Philadephia. “Core Life Science Companies in Greater Philadelphia：View Core

Life Science Companies in Greater Philadelphia” 51 Milken Institute. “The Greater Philadelphia Life Science Cluster”. June 2005.

http://www.milkeninstitute.org/pdf/philadelphia_sciences_0605.pdf 52 Select Greater Philadelphia. “Leading Employers in the Greater Philadelphia Region”.

http://www.selectgreaterphiladelphia.com/look/leading.cfm 53 AstraZeneca. “Our History – Corporate Evolution”.

http://www.astrazeneca-us.com/about-astrazeneca-us/our-company/our-history/corporate-evolu

tion/ 54 AstraZeneca. “Key Facts”.

http://www.astrazeneca.com/about-us/key-facts?itemId=3888474&nav=yes

21


表 9 ニュージャージー州、デラウェア州に所在する日系企業

社名所在地

と種類

地域との関連

第一三共

（Daiichi Sankyo, Inc.）

NJ

米国本社

1987 年、第一三共の前身である第一製薬が、米国の

製薬産業に本格的に参入するために、米国本社をそ

れまでのニューヨークから、より製薬産業の基盤に

恵まれたニュージャージー州に移転

雇用数、売上額は不明

エーザイ（Eisai Inc.） NJ

米国本社

1995 年設立

年間売上約 30 億ドル（2007 年度）55、雇用者数 1,800

名

PA

支社

2007 年、ペンシルベニア州にあるバイオ企業、モル

フォテック社（Morphotek）を 325万ドルで買収。雇

用者数 47名。

富士レビオ（ Fujirebio

America Inc.）

DE

米国本社

年間売上 3,510 万ドル（2007 年）、雇用者数約 150

名56

小野製薬工業（Ono Pharma

USA, Inc.）

NJ

米国本社

1998 年設立

年間売上 260万ドル（2007 年）、雇用者数 33名57

出所：各社ウェブサイト、資料を基にワシントンコア作成。

注：所在地欄の、PA はペンシルバニア州を、DE はデラウェア州を、NJ はニュージャージー

州を示す。

また、フィラデルフィア市にある、ベンチャー企業に対し技術実用化のためのリソースやス

ペースを提供するユニバーシティ・シティ・サイエンスセンター（University City Science

Center、以下サイエンスセンター）58では、ジェトロが日本のハイテク分野のベンチャー企業

に対し、その北米でのビジネス展開を支援するため、長期にわたり、事務所スペースとビジ

ネスコンサルテーションを提供する「ベンチャー・インキュベーション IN USA 事業」59を行

っていることに加え、日本企業や大学から地域企業に対する技術移転の促進を支援するジャ

パン・テクノロジー・グループ社（Japan Technology Group, Inc.）60が入居しており、同社

がライセンシングを通じて日本の技術を同地域に広める役割の一端を担っている。

55 Eisai. “About Eisai Inc.”http://www.eisai.com/section.asp?ID=194 56 Hoovers. “Fujirebio Diagnostics, Inc”.

http://www.hoovers.com/Fujirebio-Diagnostics,-Inc./--HD__fcxhtctjy,src__dbi--/free-co-dnb_

factsheet.xhtml 57 Hoovers. “Ono Pharma USA Inc.”.

http://www.hoovers.com/Ono-Pharma-Usa-Inc/--HD__ftsyfthyr,src__dbi--/free-co-dnb_factsheet

.xhtml 58 University City Science Center http://www.sciencecenter.org/ 59 ベンチャー・インキュベーション IN USA事業 http://www.jetro.go.jp/services/incubator/ 60 ジャパン・テクノロジー・グループ社 http://www.japantechnologygroup.com/

22


h. 国際産業交流のプログラムの活用方法

大フィラデルフィア地域の各団体では国際産業交流を目的として、姉妹自治体などの大きな

枠組みの一環としての産業交流支援や、企業間の共同研究開発推進などの様々な取り組みを

実施している。各団体が行うプログラムについては、2「国際連携に係わる関連団体の情報」

において詳述している

i. 当該産業が抱える課題

大フィラデルフィア地域の製薬・バイオ産業が抱える国際連携における課題として、ベンチ

ャー系の製薬・バイオ企業は、海外からの支援を受けるに当たって、長期関係構築が難しい

ことが指摘されている。これは、同産業の性質上、技術の実用化までに時間がかかったり、

実用化が成功しなかったり、共同研究などを開始しても実らずに終わってしまう可能性が高

く、その結果、国内外の他の企業が、製薬・バイオ企業（特にまだ研究開発段階にあるベン

チャー）に対する支援や提携を敬遠しがちとなっているためである。一方で、医療機器など

のように、既に輸出入できる製品が明確となっている産業の方が、海外との連携も進めやす

い傾向にある61。

61 セレクト・グレーター・フィラデルフィア、ジーン・オコーナー氏へのインタビューより

23


2. 国際連携に係わる関連団体の情報

以下では、大フィラデルフィア地域製薬クラスターとの国際連携を進めるに当たり、プレー

ヤーとなる 8団体について、各団体へのインタビュー結果をもとに情報をまとめている。

(1) フィラデルフィア日米協会

1994 年設立当初は、大フィラデルフィア地域と我が国の文化交流、ビジネス交流などを目的

に設立されたが、同地域に立地するグラクソ・スミスクライン社幹部（元日本法人駐在員）

が理事を務めていたこともあり、2000 年、「フィラデルフィア－ジャパン健康科学ダイアロ

ーグ」が発足、日米両地域間の新たな国際ビジネス創出のためのカンファレンスを毎年開催

しており、10 周年を迎える 2009年には日本での開催を計画している。

＜団体概要＞

団体名フィラデルフィア日米協会（the Japan America Society of Greater

Philadelphia：JASGP)

キーパーソンエグゼクティブ・ディレクター（Executive Director）

チューニー一美氏（Kazumi Teune）

担当者連絡先 Eメール： [email protected]

住所： Japan America Society of Greater Philadelphia

200 S. Broad Street, Suite 700

Philadelphia, PA 19102

電話番号： 215-790-3812

創立年 1994年

職員数/国際交流関連事

業担当職員数

3名（+外部役員 30 名）

管轄地域大フィラデルフィア地域

設立母体フィラデルフィア地域の米国企業および在米日系企業が中心とな

り発足。

支部、海外事務所所在地なし。ただし、全米には 38の日米協会がある。

国際産業交流の参加

者・構成（行政・企業・

大学）

ペンシルバニア州政府、フィラデルフィア市、周辺に立地する大

学、米国企業、在米日系企業など

24


＜国際産業交流の現況と目的＞

実施している交流プロ

グラムの概要

「フィラデルフィア－ジャパン健康科学ダイアローグ」において

は、日米双方のライフサイエンス企業が毎年 50社程度集まり、特

定テーマを決めたカンファレンス、ネットワーキング、展示会な

どを開催している。

当該機関のサポート内

容

同イベントを通じた新たなビジネス機会の提供、最新の両国アラ

イアンス情報の共有などを行っている。

交流国・数協会の趣旨から日本とのみの交流を実施。姉妹都市の神戸のほか、

玉川大学とフィラデルフィア地域の大学との交流を仲介した。

交流目的新たなライフサイエンスビジネスの創出

地域産業（企業）と海外

産業（企業）の補完関係

の内容

日米地域間の双方交流

国際産業交流の効果効果を計る定量的な評価指標は設けていないため、当該機関では

効果を把握していない。

＜インタビューを通じて得られた補足情報＞

すでに 10 年の歴史を持つ「フィラデルフィア－ジャパン健康科学ダイアローグ」に

よって、大フィラデルフィア地域に立地するライフサイエンス関連企業は、米国企業、

在米日系企業および地元大学・スピンアウトベンチャー企業などは網羅的にネットワ

ーク化されており、すでに国際産業交流の素地はできている。

本地域は、NYとワシントン DCの真中という立地環境に加え、大学、研究所の集積も

大きいことから、全米最大級の製薬クラスター「ファーマ・カントリー」を形成して

いるが、一方、生活費は NYの約 50％と非常に暮らしやすい町としても高い評価を受

けている。

具体的には、J&J、GSK、ワイス、アストラゼネカ、ブリストルマイヤーズ、メルク、

ファイザーと、世界の主要製薬企業のほとんどが本社、米国本社あるいは製造拠点を

有しており、世界でも稀有が製薬のクラスターとなっているのは間違いない。

その環境を利用し、ペンシルバニア大学、テンプル大学などの大学との連携、ベンチ

ャー企業の創出などが長年にかけて広がってきた。

ぜひ日本のライフサイエンスクラスターと提携し、さらなる国際産業交流を行ってい

きたい。

25


(2) セレクト・グレーター・フィラデルフィア62

大フィラデルフィア地域商工会議所（Greater Philadelphia Chamber of Commerce）傘下の、

大フィラデルフィア地域の産業および地域経済の発展推進において中心的な存在となってい

る非営利団体、セレクト・グレーター・フィラデルフィア（Select Greater Philadelphia）

は、製薬産業だけでなくライフサイエンスクラスターとしての大フィラデルフィア地域の支

援を進めている。

＜団体概要＞

団体名セレクト・グレーター・フィラデルフィア（Select Greater

Philadelphia）

キーパーソン副代表（Vice President）兼、主任営業開発役員（Chief Business

Development Officer）

ジーン・オコーナー氏（Jeanne R. O’Conner）


住所： Select Greater Philadelphia

200 South Broad Street, Suite 700


電話番号： 215-790-3726（オコーナー氏直通）

215-869-8588（携帯）

創立年 2003年


業担当職員数

15名

管轄地域大フィラデルフィア地域（3州 11郡）

設立母体地域の活性化と更なる産業招致を目指す、地域産業界のリーダー

の要望・出資により設立。

支部、海外事務所所在地なし



大学）

企業との連携が多いものの、大学で開発された技術の実用化を行

うパートナー機関を探している大学技術移転局とも連携してい

る。



グラムの概要

海外企業の誘致と、地域参入の可能性がある企業の発掘

62 同団体は、大フィラデルフィア地域商工会議所（Greater Philadelphia Chamber of Commerce）の

一部として、地域の経済活性化を目指すものであり、海外の企業を大フィラデルフィア地域に招致す

る国際活動は行っているが、地域企業の国際展開の支援は行っていない。

26



容

地域参入を計画する企業に対し大フィラデルフィア地域につい

ての様々な統計データの提供

参入計画中の企業と地域企業・企業関係者のネットワーキング

支援

参入計画中の企業の立地候補の洗い出し支援

海外に設置されている州の海外事務所を通じて、各国の企業を

調査・特定し、地域から代表が訪問

ライフサイエンスクラスターを有する海外諸国で行われる国際

展示会に参加し、地域の強みを紹介*

各国のライフサイエンス貿易団体を訪問して、地域の強みを紹

介したり、国際ディナーを開催してキープレーヤーを招待

交流国・数欧米諸国（カナダ、フランス、英国、イタリア、スペインなど）、

韓国。（国際展示会参加は、英国 3都市で実施。）

交流目的海外企業の誘致



の内容

海外企業を地域に受け入れる、一方向の関係。

国際産業交流の効果効果を計る定量的な評価指標は設けていないため、当該機関では

効果を把握していない。

また、2009 年 1 月 20 日に米国ではオバマ新政権が誕生したが、セレクト・グレーター・フ

ィラデルフィアでは、新政権がどのように団体の活動に影響を与えるかはまだ分からないと

しながらも、新政権に対して期待を寄せている。


これまで、ヨーロッパ諸国の連携に力を入れていたが、日本を含むアジア諸国との連

携にも取り掛かろうとしている。

セレクト・グレーター・フィラデルフィア（以下、セレクト）は、海外の企業・資本

を地域に誘致することを目的としており、地域企業による海外進出の支援は行ってい

ない。

アジアについては、韓国の企業 1 社（オーストン（Osstem）、人工歯根を扱う企業）

が最近大フィラデルフィア地域に参入したが、韓国に限らずいろいろな国との連携を

目指している。

大フィラデルフィア地域には、製薬に限らず医療機器など様々な産業が所在するため、

セレクトでは一般的に「ライフサイエンスクラスター」として捉えている。

地域のバイオ組織とも様々な形で連携している。

27


(3) フィラデルフィア市商務省

大フィラデルフィア地域の中心に位置するフィラデルフィア市は、国際活動を担当する部署

として、フィラデルフィア市商務省（City of Philadelphia Department of Commerce）内に

国際貿易・外交部門（International Trade and Diplomatic Liaison）を設けている。同部

門は、国際活動に関する問い合わせや要請に対し、最適な地域団体や人物を紹介する役割を

担っているが、同部門として積極的に国際連携を進めるようなプログラムは行っていない。

このため、フィラデルフィア市商務省では、フィラデルフィア地域企業や団体と国際連携を

計画する団体や企業に対しては、関連する業界団体やセレクト・グレーター・フィラデルフ

ィアのような国際活動を積極的に実施する団体に直接アプローチすることを薦めている。

＜団体概要＞

団体名フィラデルフィア市商務省（City of Philadelphia Department of

Commerce）

キーパーソン国際貿易・外交担当マネージャー（Manager of International

Trade and Diplomatic Liaison）

キャロル・ブルックス氏（Carol Brooks）


住所： City of Philadelphia Department of Commerce

One Parkway

1515 Arch Street, 12th Floor


電話番号： 215-683-2127（ブルックス氏直通）

創立年不明


業担当職員数

55名

管轄地域フィラデルフィア市及びその周辺

設立母体フィラデルフィア市



キャロル氏の職務は、国際連携などに関する問い合わせがあった場合に、適切な団

体・担当者を紹介することである。従って、国際連携プログラムを主導することは無

い。製薬・バイオ産業に関する連携であればペンシルベニアバイオを紹介するし、日

米企業間の連携であれば日米協会に問い合わせるようにとのこと。

ペンシルベニア市商務省と地域の企業が中心となって、2003 年に国際連携促進団体

「グレーター・フィラデルフィア・グローバル・パートナーズ（Greater Philadelphia

28


Global Partners：GP263）」を設置したが、現在は機能していない。

(4) ペンシルバニア・バイオ

ペンシルバニア・バイオ（Pennsylvania Bio）は、ペンシルバニア州が持つバイオ、製薬、

研究開発の強みを生かし、州内ライフサイエンス産業が世界レベルに成長するのに必要な支

援を行っている64。

同団体では、大フィラデルフィア地域内の国際連携推進団体であるセレクト・グレーター・

フィラデルフィアなどが行う国際産業連携に対する支援を行っており、ペンシルバニア・バ

イオが中心となって国際産業連携を進めることはない。

＜団体概要＞

団体名ペンシルバニア・バイオ（Pennsylvania Bio）

キーパーソン渉外担当副代表（Vice President of External Affairs）

カーラ・ベックナー・ホワイト氏（Karla Beckner White）


住所： Pennsylvania Bio

7 Great Valley Parkway, Suite 290

Malvern, PA 19355

電話番号： 610-578-9220 内線 205（ホワイト氏直通）

創立年 1989年、ペンシルバニア・バイオテクノロジー協会（Pennsylvania

Biotechnology Association）として創立。


業担当職員数

10名。国際交流関連事業のみを担当する職員はなし65

管轄地域ペンシルバニア州

設立母体ペンシルバニア州立大学バイオプロセス・リソースセンター（Penn

State Bioprocessing Resource Center）



63 テンプル大学ビジネス学部の中に設置された機関。GP2 のある関係者は、数年前に同市商務省の中で

も国際連携に積極的であり、GP2 設置の中心人物でもあったムジェンディ・トレイラー氏（Mjendi

Traylor）が引退したことで、GP2への支援や同市商務省内の国際連携に対する積極度が大きく変わっ

たと感じる、との見解を示した（この情報は、GP2ウェブサイトに関する問い合わせを行った際に得ら

れたもの）。 64 Pennsylvania Bio. “Mission and Goals”.

http://www.pennsylvaniabio.org/index.php?option=com_content&task=view&id=3&Itemid=5 65 同協会ウェブサイトより

29


ペンシルバニア・バイオは、セレクト・グレーター・フィラデルフィアや州政府が中

心となって行う国際連携をサポートするという立場を取っており、ペンシルバニア・

バイオ主導による国際連携は行っていない。このサポートとは、例えばセレクト・グ

レーター・フィラデルフィアが進める国際連携がペンシルバニア州の特定のバイオ企

業や団体を対象とする場合に、その企業・団体に対する情報を提供したり、バイオ企

業が関連するイベントに対する支援を行ったりという活動を指す。

デラウェア州、ニュージャージー州のバイオ団体とは、シンポジウムなど各種イベン

トを共催するなどの連携を行っている。

国際連携全般については、セレクト・グレーター・フィラデルフィアや、州政府へ連

絡を取り、ペンシルバニア州のバイオ企業・団体と連携を進めることが具体化した時

点でペンシルバニア・バイオが関わるという形が望ましい。

(5) バイオ・ニュージャージー

州内バイオ産業発展のために企業に対する情報提供や政策策定者に対する提言発信を行う業

界団体のバイオ・ニュージャージー（Bio New Jewsey、以下バイオ NJ）では国際産業連携と

して、海外からの代表団の地域への招聘を中心に行っており、同地域企業の海外進出につい

ては特に支援を行っていない。また、バイオ NJは、地域企業と海外企業を結びつけるという

国際産業交流の中でも最初の部分を担当しており、それより後に行われる地域企業と海外企

業の間の連携までには介入しておらず、またフォローアップも行っていないため、バイオ NJ

による支援活動の成果やインパクトを知りうることは難しい。

＜団体概要＞

団体名バイオ・ニュージャージー（Bio New Jewsey：Bio NJ）

キーパーソン代表（President）デビー・ハート氏（Debbie Hart）


住所： Bio NJ

1 AAA Drive, Suite 102

Trenton, NJ 08691

電話番号： 609-890-3185（代表）

創立年 1994 年、バイオ NJ の前身である「ニュージャージー・バイオテ

クノロジー協議会（Biotechnology Council of New Jersey）」設

立。2007年 9月に現在の名称に変更。


業担当職員数

8名。国際交流のみを行う担当者はいない。

管轄地域ニュージャージー州全域

設立母体産学官共同組織であったニュージャージーバイオサイエンス協会

（New Jersey Bioscience Association）から派生

30





大学）

企業中心。

＜国際産業交流の現況と目的①＞


グラムの概要

ニュージャージー州政府を通じて同地域バイオ・製薬企業への訪

問を希望する海外代表団に対し、訪問先組織の調整


容

海外代表団の希望に沿った訪問先の選定や調整

海外代表団に対し同地域の産業に関する講演を実施

交流国・数最近では中国、韓国、過去には日本など。

交流目的訪問先となる地域企業と海外組織との各種連携機会の模索

海外直接投資の奨励

情報交換



の内容

海外産業・団体の地域への訪問を受け入れる、一方向型

国際産業交流の効果代表団による訪問において、いかに代表団の希望どおりの訪問内

容を提供するかが効果のバロメーター。例えば、2009 年 1月 5日

に同地域を訪問した中国の代表団に対しては、同地域に拠点を持

つバイオ企業のセルジーン社（Celgene）への訪問を調整しており、

セルジーン社の中国営業担当者との面談を通じて、双方にとって

興味の対象となる事業発展の可能性を見出す結果となっている。

＜国際産業交流の現況と目的②＞


グラムの概要

海外メディア関係者を地域に招聘する「国際メディアツアー」の

開催


容

ニュージャージー、ペンシルバニア、デラウェア各州にそれぞれ

1 日ずつ滞在し、バイオ・製薬企業、医療機関、大学などの訪問

調整。

交流国・数昨年のメディアツアーにはヨーロッパバイオ関係誌の編集者やラ

イター計 8グループ66が参加。2009年の参加者は未定。

交流目的海外メディアを通じた地域知名度の向上、国際交流機会の促進



の内容

海外産業・団体の地域への訪問を受け入れる、一方向型

国際産業交流の効果ツアーは成功したものの、現時点ではツアーを受けて成立した連

携などはない。

66 8 グループの詳細は、明らかにされなかった。

31


なお、新政権の成立に関して、バイオ NJ 代表のデビー・ハート氏（Debbie Hart）は、オバ

マ大統領が研究予算の増加や、幹細胞研究の推進を謳っていることから、前向きな変化が起

こることを期待しているとの考えを示した。


バイオ NJ で行う国際連携活動は、海外からの代表団がニュージャージー州へ来る際

のコーディネートが主流である。例えば、先週は中国からの代表団が 1日、同地域の

ライフサイエンス系施設を訪問したが、バイオ NJ ではそのコーディネートを行なっ

た。6～7年前には、ジェトロを通じて日本からも代表団を受けたことがある。

バイオ NJ の管轄は同州全体であり、大フィラデルフィア地域に含まれる同州南部の

みではない。

NY バイオや DE バイオといった近隣州のバイオ団体とは、3 団体間でのミーティング

を毎年定期的に行うなど、緊密な連携関係を保っている。

(6) デラウェア・バイオサイエンス協会

デラウェア州バイオ産業の発展を推進する「デラウェア・バイオサイエンス協会（Delaware

BioScience Association）」は、海外バイオセクターと地域のバイオセクター間の連携強化に

対し協力的な姿勢をとっている67、68。尚、本報告書作成において、同協会へのインタビュー

を実施することが出来なかったため、同団体による国際産業連携活動の詳細情報が得られな

かったことから、以下には「国際産業交流の現況と目的」の項目を含んでいない。

＜団体概要＞

団体名デラウェア・バイオサイエンス協会（ Delaware BioScience

Association）

キーパーソン会長（President）ボブ・デイトン氏（Bob Dayton）


住所： Delaware BioScience Association

1 Innovation Way, Suite 300

Newark, Delaware 19711

電話番号： 302-452-1104

創立年 2006年

67 デラウェア・バイオサイエンス協会、会長ボブ・デイトン氏の Eメールより。 68 現在行われている国際連携の詳細については、明らかにされていない。

mailto:[email protected]

32



業担当職員数

常設役員 5名の他、ディレクター12 名。国際交流関連事業のみを

担当する職員はいない69。

管轄地域デラウェア州

設立母体地域バイオ企業及び州（州知事提案の下、州内バイオ企業が地域

バイオ産業発展のため、業界団体設置の重要性を提言したことが

設立の発端）


(7) デラウェア州政府国際貿易開発部

デラウェア州は、ウィルミントン港（Port Wilminton）を有し、更にフィラデルフィア国際

空港（Philadelphia International Airport）にも程近いという有利な立地条件から歴史的

に貿易に強く、産業間の国際交流にも積極的である。同州産業全体の国際活動を統括するの

はデラウェア州政府国際貿易開発部（International Trade and Development）であり、前述

のデラウェア・バイオサイエンス協会や、大フィラデルフィア地域の他州バイオ団体（バイ

オペンシルバニア・バイオや Bio NJ）とも連携している。

＜団体概要＞

団体名デラウェア州国際貿易開発部（ International Trade and

Development）

キーパーソン部長（Director）ジョン・パストール氏（John Pastor)


住所： International Trade and Development

820 N. French Street

Wilmington, DE 19801

電話番号： 302-577-8466（パストール氏直通）

創立年不明。2 年前の州政府再編により、行政管理予算局（Office of

Management and Budget:OMB）の監督下に移動。


業担当職員数

3名。うち 2名が国際交流に携わる。

管轄地域デラウェア州

設立母体デラウェア州政府




大学）

企業中心。

69 デラウェア・バイオサイエンス協会ウェブサイトより http://www.delawarebio.org/

33




グラムの概要

海外都市と同州間の産業連携


容

産業連携を進める該当産業に適した州内組織を紹介、対話を支援

交流国・数

（括弧内は、連携産業）

日本：宮城県（バイオ）、台湾：台北（バイオ）、スウェーデン（製

薬・バイオ）など。尚、宮城県は同州と姉妹自治体関係にある。

交流目的海外及び同州の産業・企業を、国際連携を通じて発展させる。



の内容

地域産業と海外産業が相互に協力。

国際産業交流の効果宮城県のマイクロバイオ社と同州バイオ企業のミディ社（Midi,

Inc.）の間で合弁事業が設立されるなど、他の交流国に比べて日

本との交流が最も活発。

オバマ新政権で大統領を支えるジョー・バイデン副大統領（Joe Biden、民主党）はデラウェ

ア州が地元であるため、新政権が同州に与える影響はおおよそポジティブであるとデラウェ

ア州では期待が高まっている。

＜インタビューで得られた補足情報＞

近年デラウェア州製薬・バイオ産業とアジア諸国間のビジネスは増加傾向にある。特

に対日本・中国・台湾ビジネスが中心で、その他マレーシアとの交流も見られる。

同州は、宮城県と姉妹都市（県州）の関係にある。同州と宮城の間ではビジネス交流

が盛んに行われており、最新例として、バイオセクターのマイクロバイオ社（宮城県）

と同州ミディ社（Midi, Inc.70）の間で合弁事業が設立されている。

近隣州との連携も密に行っており、例えばバイオ産業であれば、DE バイオ、バイオ

PA、バイオ NJ と協力している。

国際連携などを進める際に、大型の事業で近隣州と連携することが重要になる場合

（例：同地域内での工場建設を計画する海外企業が、各州に対してそれぞれ州政府に

よる企業誘致支援に関する話を進めることで、州が提供する補助金に関する交渉を有

利に持っていく可能性があるような大型の産業交流では、近隣州と協調）と、デラウ

ェア州のみで進めた方が良い場合（例：小規模のビジネスを対象とする場合、産業に

よって他州と競争関係にあって情報を共有しない方が望ましい場合は、同州単独で対

応）というように異なった戦略を取っている。

70 Midi, Inc.http://www.midi-inc.com/

http://www.midi-inc.com/

34


(8) ニューヨーク・バイオテクノロジー協会

ニューヨーク・バイオテクノロジー協会（New York Biotechnology Association：NYBA）は、

ニューヨーク州内のバイオ企業と海外機関の関係構築を支援し、企業間の共同研究開発など

の連携活動を支援している。

＜団体概要＞

団体名ニューヨーク・バイオテクノロジー協会（New York Biotechnology

Association：NYBA）

キーパーソン代表（President）ネーサン・ティンカー氏（Nathan Tinker）


住所： New York Biotechnology Association

25 Health Sciences Drive, Suite 203

Stony Brook, NY 11790

電話番号： 631-444-8895（代表）203-216-6841（携帯）

創立年 1990年


業担当職員数

5名。国際交流のみを行う担当者はいない。

管轄地域ニューヨーク州全域

設立母体地域バイオ企業や銀行などの産業界のプレーヤーによって設立




大学）

企業中心



グラムの概要

海外の各バイオ協会を通じた連携


容

貿易情報の共有

国際連携を希望する研究機関に関する情報の共有

相互訪問の実施

関連団体ディレクトリの作成

交流国・数現在 4カ国（ドイツ（フランクフルトのバイオ協会）、中国（北京）、

フランス、オーストラリア）。ドイツのみ、MOU締結済み。

交流目的地域・海外パートナー国にとって有益な連携機会の創出



の内容

地域・海外双方向の連携。

35


国際産業交流の効果プログラムに参加した企業間で長期的関係が構築されることが効

果と考えており、定量的な効果の測定は行っておらず、効果につ

いては把握していない。

NYBA 代表のネーサン・ティンカー氏（Nathan Tinker）は、オバマ新政権を含むワシントン

DC の今後の動向には常に注目しており、またニューヨーク州上院議員のチャック・シューマ

ー（Chuck Schumer、民主党）の事務所とも連絡をこまめに取っているという。なお、ディン

カー氏からは、新政権樹立に当たって NYBA にどのような影響を与えるかについての具体的な

考えは聞くことが出来なかった。


つい最近、フランクフルト（ドイツ）と MOU を締結し、両地域貿易情報の共有、海外

団体との共同研究を希望する研究機関についての情報の共有、代表団による相互訪問

などを行っている。MOUの締結は無いものの、同様の取り組みは、中国（主に北京）、

フランス、オーストラリアとの間でも行われている。

NYBA では、今年 4 月に、NYBAのメンバー企業や NYBA メンバー外の企業・団体約 700

社が参加する年次総会（annual meeting）71を開催する。

71 本イベントに関するウェブサイト：http://www.nyba.org/annual-meeting.php

36


III ノースカロライナ州リサーチトライアングル地域

以下では、ノースカロライナ州に位置するリサーチトライアングル地域の基本情報及びクラ

スターについての情報を紹介する。

1. 総論

本報告書における「リサーチトライアングル（Research Triangle）地域」は、ノースカロラ

イナ州中央部に位置するリサーチトライアングルパーク（Research Triangle Park）を含む

以下の 13郡を指すものとする72。（表 10参照）

表 10 リサーチトライアングルに含まれる地域

郡名

チャタム（Chatham）ダーハム（Durham）

フランクリン

（Franklin）

グランビル（Granville）

ハーネット（Harnett）ジョンストン

（Johnston）

リー（Lee）ムーア（Moore）

オレンジ（Orange）パーソン（Person）

バンス（Vance）ウェーク（Wake）

ウォレン（Warren）

出所：Research Triangle Regional Partnership.

“Region/Counties Map”.

(1) 地域基本情報

a. 人口

2007 年現在、リサーチトライアングル地域の人口はおよそ 153万人73で、全米人口の約 5.1%、

ノースカロライナ州全体の人口の約 17%を占める74。同地域の人口は、2000年には約 122 万人

であり、この 7 年間で約 20%の伸びを見せている。リサーチトライアングル地域では、25～

72 Research Triangle Regional Partnership （RTRP）. “Business Patterns”.

http://www.researchtriangle.org/pages.php?page1=52&page2=71&page3=73&page_id=73 73 U.S. Census Bereau. “Metropolitan and Micropolitan Statistical Area Estimates”.

http://www.census.gov/popest/metro/CBSA-est2007-pop-chg.html 74 U.S. Census Bereau. “Geographic Comparison Table”.

http://factfinder.census.gov/servlet/GCTTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-_box_head_nbr=GCT-T1-

R&-ds_name=PEP_2007_EST&-format=US-9S

出所：

http://www.researchtriangle.org/da

ta%20center/location/regionalmap.p

hp

37


34 歳と 35～44歳の人口がそれぞれ同地域人口全体の 14.7%、16.1%を占めており75を占めてお

り、全米平均のそれぞれ 13.4%、14.6%76よりも高い数値を示している（図 4参照）。特に、ラ

イフサイエンスを中心とする高学歴者が北東部から多数流入しており、人口に対しドクター

の割合が全米で最も高い地域といわれている。

図 4 リサーチトライアングル地域と全米の年齢別人口比較

0.0% 2.0% 4.0% 6.0% 8.0% 10.0% 12.0% 14.0% 16.0% 18.0%

～5歳

5歳～9歳

10歳～14歳

15歳～19歳

20歳～24歳

25歳～34歳

35歳～44歳

45歳～54歳

55歳～59歳

60歳～64歳

65歳～74歳

75歳～84歳

85歳～

リサーチトライアングル全米

出所：国勢調査のデータ77を基に、ワシントンコア算出。

b. 失業率

2008 年 9月現在の同地域の失業率は 5.4%78、79で、同時期のノースカロライナ州全体の失業率

6.9%に比べて 2.6%低く、また米国全体の失業率 6.1%よりも 0.7%低い80。

75 U.S. Census Bureau. “Fast Access to Information.” のデータを基にワシントンコア算出。

http://factfinder.census.gov/home/saff/main.html?_lang=en&_ts= 76 U.S. Census Bureau. “Age and Sex”.

http://factfinder.census.gov/servlet/STTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-qr_name=ACS_2007_3YR_G

00_S0101&-ds_name=ACS_2007_3YR_G00_ 77 同上 78 Bureau of Labor Statistics.

“Databases, Tables & Calculators by Subject”. http://data.bls.gov/cgi-bin/dsrv 79 この失業率は、本報告書で取り上げるリサーチトライアングル地域に含まれるラリー・ダーハム・

カリー大都市圏（Raleigh-Durham-Cary）の数値である。 80 Bureau of Labor Statistics. “Local Area Unemployment Statistics”.

http://data.bls.gov/PDQ/servlet/SurveyOutputServlet?data_tool=latest_numbers&series_id=LAS

ST37000003

38


c. 主要産業

リサーチトライアングル地域では、歴史的に衣料品・家具などの製造業クラスターが経済の

中心を担ってきた。しかし、1990年代に入って、海外への製造拠点移動により製造業の空洞

化が始まったことから、同地域では新たな主要産業となりうるクラスターを戦略的に形成し、

米国内の他地域との差別化を図ることが目指されるようになっている81。

例えば、リサーチトライアングル地域の競争力と経済力向上支援を行う、民間主導の官民連

携団体「リサーチトライアングル地域連携（Research Triangle Regional Partnership：RTRP）」

が、2004 年に発表した「トップを維持する（Staying on Top）」と呼ばれる地域経済活性と

雇用の創出促進のためのアクションプランの中では、ハイテク・新経済産業を通じた経済発

展と共に、同地域の伝統的な製造業の強みを生かして、以下の 10産業を今後クラスター創出

に向けて促進すべき中心産業として指定している82。

先端医療（Advanced Medical Care）

公共衛生・医療（Biological Agents/Infectious Diseases）

アグリバイオ（Agricultural Biotechnology）

製薬（Pharmaceuticals）

ユビキタスコンピューティング（Pervasive Computing）

分析機器（Analytical Instrumentation）

ナノテクノロジー（Nanoscale Technologies）

情報科学（Informatics）

自動車部品製造（Vehicle Parts Manufacturing）

物流（Logistics and Distribution）

本アクションプランは 5年計画として策定され、2009年に完了することが予定されている83。

2008 年 5 月に発行された中間報告書では、同地域が計画開始より 10 万 2,000 人の雇用創出

に成功している他、同地域への企業誘致の成果として、2007 年、4,150 万ドルの投資（1,130

人の雇用）が行われたことが紹介されている84。

d. 近年の地域経済状況

ノースカロライナ州の失業率は、2005年から 2008年の間に図 5のような変化を見せている。

同州の失業率は米国全体よりもやや高い数値ながら、全米失業率とほぼ同様のパターンとな

っている。

81 RTRP. “Staying on Top：Winning the Job Wars of the Future”. March 2004.

http://www.researchtriangle.org/stayingontop.pdf 82 RTRP. “Clusters”. http://www.researchtriangle.org/pages.php?page1=31&page_id=31 83 RTRP. “Staying on Top：Winning the Job Wars of the Future”. March 2004.

http://www.researchtriangle.org/stayingontop.pdf 84 RTRP. “An in-depth look at the region’s economic health and competitive position”. May

22, 2008. http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/RTRP_SOR08_Report.pdf

http://www.researchtriangle.org/stayingontop.pdf

http://www.researchtriangle.org/pages.php?page1=31&page_id=31

http://www.researchtriangle.org/stayingontop.pdf

39


図 5 ノースカロライナ州と全米の失業率変化（2005 年～2008 年）

（%）

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

2005年 2006年 2007年 2008年

ノースカロライナ州

全米

出所：米国労働統計局発行の統計を基にワシントンコア作成85

注：2005年～2007 年は年間データ、2008 年は 10 月時点のデータを利用

また、2005 年～2007年のノースカロライナ州 GDP 額は毎年増加している（表 11参照）。2006

年に 6％であった州 GDP 成長率は、2007 年に 2％程度と急落したが、米国 GDP 成長率と比較

すると 3 年間一貫して高い成長率を示しており、米国の中でも経済状況は恵まれていること

が伺える（図 6参照）。

表 11 ノースカロライナ州の GDP 額変化（2005 年～2007 年）

2005 年 2006 年 2007 年

ノースカロライナ州 309,696ドル 328,401ドル 335,737ドル

出所：米国商務省、BEA、 “State Economic Growth Slowed in 2007”.

＜http://www.bea.gov/newsreleases/regional/gdp_state/2008/pdf/gsp0608.pdf＞

85 該当ウェブサイトは以下の通り。http://data.bls.gov/cgi-bin/dsrv?la

40


図 6 ノースカロライナ州と全米の GDP 成長率変化（2005 年～2007 年）

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

2005年 2006年 2007年

ノースカロライナ州

全米

（%）

出所：表 11 に同じ

e. 地域産業の強み・弱み、課題

リサーチトライアングル地域では、1950年代にノースカロライナ州政府を含む地方政府主導

で設立された「リサーチトライアングルパーク（Research Triangle Park：RTP）」が、同地

域における研究開発や企業誘致の中心的役割を担っている。米国最初のリサーチパークであ

り、米国最大規模を誇る RTP には、フォーチュン 100 レベルの大企業を含むおよそ 170 社が

拠点を構え、5 万人以上が雇用されており、同地におけるイノベーションの中心地となって

いる86。

また、同地域の研究大学もリサーチトライアングルの強みである。レベルの高い医学部を擁

するデューク大学（Duke University）やノースカロライナ大学チャペルヒル校（The

University of North Carolina at Chapel Hill：UNC-CH）、及びノースカロライナ州最大の

規模を誇るノースカロライナ州立大学（North Carolina State University：NC State）があ

ることが、優秀な人材や、研究開発で大学との協力を求める企業が同地に拠点を置くことに

魅力を感じる要因の一つとなっている87。表 12で示すように、連邦政府研究開発支援受給額

上位 100校のうち 3校はリサーチトライアングル地域に所在する前出の大学となっている。

86 The Research Triangle Park. “The Future of the Great Ideas”.

http://www.rtp.org/main/index.php?pid=178&sec=1 87 RTRP. “Colleges and Universities”.

http://www.researchtriangle.org/pages.php?page1=52&page2=79&page3=80&page_id=80

41


表 12 連邦政府研究開発支援金受給額上位 100 校（2007 年）に含まれる、

ノースカロライナ州所在の大学

全米順位

（2007 年）

大学名連邦研究開発

支援額

11 位デューク大学（Duke University） 4 億 5,912 万ドル

21 位ノースカロライナ大学チャペルヒル校

（University of North Carolina, Chapel Hill）

3 億 4,667 万ドル

73 位ノースカロライナ州立大学

（North Carolina State University）

1 億 3,105 万ドル

出所：米国科学財団（National Science Foundation: NSF）、 “Federally financed R&D

expenditures at univerisites and colleges, ranked by 2007 expenditures”より抜粋

このような利点を反映して、リサーチトライアングル地域は、2008 年の「フォーブス誌」

（Forbes）が選ぶビジネスに好ましい都市圏（Best Places For Business And Careers）ラ

ンキングにおいて第 1 位に選出されている。このランキングにおいて特に高く評価されたの

は、ビジネスを行う上でのコストが比較的低いこと、雇用が安定していること、高学歴人材

の確保がしやすいことという点となっている88。

一方で、同地域では、近年、郡によって雇用成長率に大きな差が見られることも指摘される

ようになっており、地域格差が懸念されるようになっている。この問題を改善するために、

同地域では RTRPが中心となり、地域全体が経済成長に成功するようなイニシアティブが、前

述のクラスター策定などを含め積極的に行われている。

(2) 地域産業政策・国際産業交流政策概況

RTRP は、2006 年 3月、地域の国際競争力を高めることを目標とした 3年間 225 万ドルの戦略

を策定し、海外直接投資の増加やグローバルネットワークの構築、地域における各種国際連

携の促進に取り組んでいる。元々、RTRP 支援の下で、「ノースカロライナ世界貿易センター

（World Trade Center of NC：WTCNC）」が中心となって国際連携活動を行うことが計画され

ていたが89、現在は RTRP、州商務省及び地域産業団体という複数の団体が協力する形で各種

国際産業連携が進められている。

88 Forbes. “Special Report: Best Places For Business And Careers”. March 19, 2008.

http://www.forbes.com/lists/2008/1/bestplaces08_Best-Places-For-Business-And-Careers_Rank.

html 89 RTRP. “Focusing All Eyes on the Horizon”.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/RTRP%20Global%20Strategy.pdf

42


a. 重点育成産業

ノースカロライナ州では、ライフサイエンス・バイオ分野、特に医療研究・ヘルスケアが、

重点育成産業となっている。

b. 重点産業政策

ノースカロライナ州商務省（North Carolina State Department of Commerce）は、地域重点

産業である医療研究・ヘルスケア産業育成に向けて、以下のような支援プログラムを実施し

ている90。

マーケティングプランの作成支援

輸出支援

市場調査

参入市場の選定支援

保険、ローン利用情報の提供

また、州商務省は、ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター（2(3)にて後述）やノ

ースカロライナ州立大学、ノースカロライナ大学などの協力の元、医療研究・ヘルスケア産

業が必要とする産業人材の輩出のための教育・トレーニングプログラムを実施している91。

c. 企業の国際産業交流をサポートする行政プログラムの概要

ノースカロライナ州商務省の国際貿易部（Internationl Trade Division：ITD、2(1)にて後

述）では、海外クラスターとノースカロライナ州内のクラスターの交流を支援している。こ

の取り組みでは、ノースカロライナ州内の企業から依頼を受けて、ITD が同省の海外事務所

などを通じて海外パートナーとなりうる企業を選定し、マッチングを進めるという形が取ら

れる。

90 North Carolina. “International Trade Services”.

http://www.nccommerce.com/en/BusinessServices/SupportYourBusiness/InternationalTradeServic

es/ 91 North Carolina. “NC Bio Impact”.

http://www.nccommerce.com/en/BusinessServices/SupportYourBusiness/TrainingAndEducatingEmpl

oyees/NCBIOIMPACT/

43


(3) 国際産業連携を積極的に行っている産業の特徴

a. 従業者数、企業数

リサーチトライアングル地域には、およそ 400社92のライフサイエンス系企業が所在し、約 4

万 7,000 人を雇用している93。また、同地域に多数存在する製薬アウトソーシング企業

（Contracted Research Organization:CRO）の集積状況は全米の他の地域と比べても突出し

ており、リサーチトライアングル地域の医療研究・ヘルスケアクラスターを支える特徴のひ

とつとなっている94。表 13 は、同地域に所在する代表的なライフサイエンス系企業・機関の

例である。

表 13 リサーチトライアングル地域に所在する

ライフサイエンス系及び医療研究・ヘルスケア企業・機関例

GlaxoSmithKline Talecris Biotherapeutic

Wyeth Vaccines Diosyntbh Biotechnology

bioMérieux BASF Agricultural Products

Bayer CropsScience Biogen Idec

Novo Nordisk Pharmaceuticals BD

Novozymes North America Teleflex Medical

Syngenta Biotechnology Eisai

Hospira RTI International

PPD Quintiles Transnational

Duke Clinical Research Institute LabCorp Occupational Testing

出所：RTRP. “Innovation @ Emerging Intersections”.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/LifeSci2006.pdf

注：ライフサイエンス系企業は、 “Innovation @ Emerging Intersections”に掲載されて

いる、リサーチトライアングル地域ライフサイエンス系企業雇用数上位 15 社のデータ及び、

同地域 CRO 雇用数上位 5社のデータを利用。

92 RTRP. “Research Triangle Regional Life Sciences Directory”.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/Research_Triangle_Life_Sciences_Directory_

2008.pdf 93 RTRP. “Innovations @ Emerging Intersections”. April 2006.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/LifeSci2006.pdf 94 同上

44


b. 域内生産額

域内生産額のうち、ライフサイエンス分野あるいは医療研究・ヘルスケアに限定したデータ

は算出されていないため、ここではバイオテクノロジー産業の数値を利用することとする。

リサーチトライアングル地域を含むノースカロライナ州のバイオテクノロジー産業の売上を

見ると、2004年には年間 30億ドルを記録しており95、同州全体の GDPの約 1%96を占めている97。

同州のバイオ産業に詳しい専門家は、同州のバイオテクノロジー産業が 2030 年までには 240

億ドル規模の産業に成長するとの予測を示しており98、今後の拡大が期待される。

c. 輸出額

ノースカロライナ州における医療研究・ヘルスケア分野に限定した貿易データが存在しない

ため、OTIIが発行する輸出データの中から、医療研究・バイオ・製薬などを含む「化学製品

（chemical）」99輸出額をここでは参考とする。これによると、ノースカロライナ州からの化

学製品の海外輸出額は 44 億ドル（2007 年）であり、2005 年以降増加している。また、化学

製品の日本への輸出も増加傾向にあり、2005 年から 2007 年にかけておよそ 86.9%の輸出額増

加を示している（表 14参照）。

表 14 ノースカロライナ州からの化学製品輸出額

2005 年 2006 年 2007 年

海外への化学製品輸出額 34億ドル 35 億ドル 44億ドル

日本へ化学製品輸出額 3億 4,500 万ドル 4億 500万ドル 6 億 4,600 万ド

ル

出所：OTII による統計ウェブサイト「TradeStats Express」http://tse.export.gov/

d. 産業の発展過程

リサーチトライアングル地域における医療研究・ヘルスケア産業の歴史は 1960 年代にまで遡

95 North Carolina Biotechnology Center. “Biotechnology in NC: Executive Summary.”

http://www.ncbiotech.org/biotechnology_in_nc/strategic_plan/executive_summary.html 96 North Carolina Department of Commerce. “Quick Fact about North Carolina.”

http://www.nccommerce.com/en/AboutNorthCarolina/NCQuickFacts/ 97 同州の 2007年 GDPは 3,710 億ドル 98 Dennis Meredith. “The State of Life Science.” January 2007.

http://www.the-scientist.com/2007/03/01/s6/1/ 99本セクションの輸出額として算出されている最小単位が NAICS コード 325番に該当する「化学製品

（chemical）」となっている。この化学製品には化学物質製造業の他、医薬品、バイオ製品などが含ま

れる。

45


る。1950 年代前半ノースカロライナ州は、州民一人当たりの収入（1,049 ドル）が米国南西

部 11 州の平均（1,121 ドル）や、米国全体の平均（1,639 ドル）に比べて低く、同州の産業

が家具、森林、小規模農業といった低賃金職を中心に成り立っている、という 2 つの経済的

な問題を抱えていた100。1950 年半ばに入り、州経済の悪化を食い止め、新経済に基づく産業

構築と経済成長を進めるために、州知事（当時）ルーサー・ホッジズ氏（Luther Hodges）、

ノースカロライナ大学長（当時）のキャリー・ボスティアン氏（Carey Bostian）、同州ノー

スカロライナ州に本社を置く大手金融企業のワコビア社（Wachovia Bank and Trust Company）

社長（当時）のロバート・ヘインズ氏（Robert Hanes）らを中心とする産官学のリーダーが

主導者となり、1959 年に「リサーチトライアングルパーク（Research Triangle Park：RTP）」

が設立された101。RTPの名前の由来ともなった、同地域に三角を描くように所在する研究大学

3 校（デューク大学、ノースカロライナ大学チャペルヒル校、ノースカロライナ州立大学）

も、優秀な人材を地元企業に送りだしたことから、同地域は急速に発展していった。

RTP を中心とする地域にハイテク産業を引き付ける「マグネット」の役割を期待された RTP

であったが、設立からおよそ 5 年間は、人種差別の強い米国南部の地域に企業拠点を移すこ

とに抵抗を示す企業や組織が多く、RTP への企業・組織移転はほとんど見られなかった。し

かし、1965 年、IBM と、国立衛生研究所（National Institutes of Health：NIH）の国立環

境衛生科学研究所（National Institute of Environemental Health Sciences：NIEHS）102が

RTP に拠点を据えたことで、RTPが研究開発に適した場所であるという知名度と信用度が増し、

ライフサイエンスやその他のハイテク企業・団体の多くが後に続くこととなった。

その後 40年に渡り、RTPは入居企業・組織を増加し続け、また同地域の研究大学 3校（前出）

の存在や周辺の道路・空港などのインフラ整備が進んだことで、リサーチトライアングル地

域のクラスターは RTPを越えて拡大するようになっている103。2008 年現在、RTPには約 50 社

のライフサイエンス系企業が入居しており104、クラスター全体としては、400 社のライフサイ

エンス系企業が存在している。表 15（表 13再掲）は、同地域に所在する代表的なライフサ

イエンス系企業・機関の例である。

100 The Research Triangle Foundation of North Carolina. “Research Triangle Park: Evolution and

Renaissance”. June 2006. http://rtp.org/files/Fact%20Sheets/rtp_history.pdf 101 RTP. “Research Triangle Park: Evolution and Renaissance”. June 2006.

“http://www.rtp.org/files/Fact%20Sheets/rtp_history.pdf” 102 今日の国立衛生研究所（National Institute of Health: NIH）の前身である保健教育厚生省

（Department of Health, Education, and Welfare）が、RTP内に新規設立を決定。設立当時の名称は、

国立環境保健科学センター（National Environmental Health Science Center）。 103 RTP. “Research Triangle Park: Evolution and Renaissance”. June 2006.

“http://www.rtp.org/files/Fact%20Sheets/rtp_history.pdf” 104 RTP. “RTP at a Glance”.

http://www.rtp.org/files/info@rtp/2008_rtp_at_a_glance_8_page_071608.pdf

46


表 15 リサーチトライアングル地域に所在する

ライフサイエンス系及び医療研究・ヘルスケア企業・機関例（再掲）

GlaxoSmithKline Talecris Biotherapeutic

Wyeth Vaccines Diosyntbh Biotechnology

bioMérieux BASF Agricultural Products

Bayer CropsScience Biogen Idec

Novo Nordisk Pharmaceuticals BD

Novozymes North America Teleflex Medical

Syngenta Biotechnology Eisai

Hospira RTI International

PPD Quintiles Transnational

Duke Clinical Research Institute LabCorp Occupational Testing

出所：RTRP. “Innovation @ Emerging Intersections”.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/LifeSci2006.pdf

注：ライフサイエンス系企業は、 “Innovation @ Emerging Intersections”に掲載されて

いる、リサーチトライアングル地域ライフサイエンス系企業雇用数上位 15 社のデータ及び、

同地域 CRO 雇用数上位 5社のデータを利用。

e. 代表的な企業とその国際展開状況

日本にも進出している CRO、クインタイルズ社（Quintiles Transnational）は、リサーチト

ライアングル地域に本社を置く、世界最大規模の CRO である。1982 年創業の同社は、2007 年

には 2万 1,000人を雇用し、27億ドルの売上を記録する企業に成長しており、日本を含む 40

カ国以上で、医療研究サービスを提供している。また、2003 年には中国・北京の医療大学と、

同大学内の研究施設において臨床試験を実施するという医療研究契約を結んでいる105。

また、以下では、国際展開の現状および将来的な国際展開の可能性において注目を集める企

業として、RTI インターナショナル社（RTI International）、ラボラトリー・コーポレーシ

ョン・オブ・アメリカ社（Laboratory Corporation of America）、ゼンバイオ社（ZenBio, Inc）、

ハイブリザイム社（Hybrizyme Corporation）、インテグレーティッド・ラボラトリー・シス

テムズ社（Integrated Laboratory Systems, Inc）を紹介する。

RTI インターナショナル社（RTI International）

105 Carolina Newswire. “Quintiles Signs Agreement for Central Lab Services in China”. October

22, 2003.

http://carolinanewswire.com/news/News.cgi?database=topstories.db&command=viewone&id=590&op

=t

47


＜企業概要＞

企業名 RTI インターナショナル社（RTI International）

ウェブサイト www.rti.org

創業年 1959年

年間売上（年） 6億 1,250 万ドル（2007年）

所在地住所： 3040 East Cornwallis Road Post Office Box 12194

Research Triangle Park, NC 27709-2194

電話： 919-541-6000

担当者・連絡先 Patrick Gibbons, Communications Director


電話番号： 919-541-6136

RTI インターナショナル社は世界トップレベルの独立非営利研究機関であり、2008 年に創立

50 周年を迎えた。同社には 2,800 人以上の科学者・技術者が所属し、主に材料試験、認証サ

ービス、実験用ソフトウェアなどを、40 カ国以上の政府機関、民間企業、財団法人などに提

供している。医薬品と健康、教育とトレーニング、調査と統計、高度技術、国際開発、経済・

社会政策、エネルギーと環境、化学実験サービスの 8分野をカバーしている。

同社は、地元のデューク大学、ノースカロライナ大学、ノースカロライナ州立大学研究者と

の共同研究にも積極的に取り組んでおり、その他にも、同社が共同研究を実施する大学は 70

校に上る。

ラボラトリー・コーポレーション・オブ・アメリカ社（Laboratory Corporation of America）

＜企業概要＞

企業名ラボラトリー・コーポレーション・オブ・アメリカ社

（Laboratory Corporation of America）

ウェブサイト www.labcorpsolutions.com

創業年 1978年

年間売上（年） 4億 680万ドル（2007年）

所在地住所： 358 S, Main St. Burlington, NC 27215

電話： 336-229-1127

担当者・連絡先 Bill Bonello, Senior Vice President, Investor Relations106


電話番号： 336-436-7732

ラボラトリー・コーポレーション・オブ・アメリカ社（以下、ラボコープ社）は、企業が従

業員や採用対象者に対して行う薬物検査を主要事業としている。同社では、薬物検査プログ

ラムの効率化を目指してウェブベースでのサービスを提供しており、ユーザーは、検査プロ

106 Laboratory Corporation of America Holdings の広報担当。

48


セスの確認、検査結果の閲覧、検査結果の再送依頼など様々な手続きをオンライン上で行う

ことができる。

同社の事業内容は以下のように分類することができる。

雇用主向けサービス：薬物検査、健康検査、指紋採取サービスなど幅広い従業員検査

オプションを提供

第三者管理者向けサービス：従業員薬物検査、健康プログラムなど多様な検査を提供

し顧客検査プログラムを円滑に進める

職場の生産性向上のためのサービス：電子ツールや毒物学専門家派遣などの各種サー

ビスを提供し、職場における従業員生産性向上を目指す

ゼン・バイオ社（ZenBio, Inc）

＜企業概要＞

企業名ゼン・バイオ社（ZenBio, Inc）

ウェブサイト www.zen-bio.com

創業年 1995年

年間売上（年） 1億 7,500 万ドル（2008年）

所在地住所： 3200 Chapel Hill-Nelson Boulevard Suite 104

Research Triangle Park, NC 27709

電話： 919-547-0692

担当者・連絡先 Will Plentl, Director of Business Development


電話番号: 919-547-0692

ゼン・バイオ社は、ヒト脂肪細胞培養分野における先駆的企業であり、糖尿病・肥満研究に

最適なヒト脂肪組織由来の脂肪細胞専門の研究開発を行う。同社の分析試薬は、欧米の製薬

会社・研究施設から高い評価を受け、大量の化合物のスクリーニング等に利用されている。

また、日本では、ビーブリッジ社（B-Bridge）が、ゼン・バイオ社製品の独占販売を行って

いる。2008年 9月には、同社は国立衛生研究所（NIH）より乳癌細胞研究開発のために 20 万

ドルの支援を受けた他、翌年 1月には中皮細胞研究費として 188万ドルを付与されている。

同社の研究・製品開発対象分野は、以下の通り。

ヒト細胞

皮下前脂肪細胞、皮下脂肪細胞

内臓前脂肪細胞、内臓脂肪細胞

肝細胞

成体幹細胞

線維芽細胞

ケラチン生成細胞

49


中皮細胞

媒体

細胞培養

試薬

血清

ウシ胎仔血清

子牛血清

研究器具

代謝障害研究用機器

薬用化粧品研究用機器

ハイブリザイム社（Hybrizyme Corporation）

＜企業概要＞

企業名ハイブリザイム社（Hybrizyme Corporation）

ウェブサイト www.hybrizyme.com

創業年 1995年

年間売上（年） 220万ドル（推定）

所在地住所： Suite G-70 2801 Blue Ridge Road

Raleigh, NC 27607

電話： 919-783-9595

担当者・連絡先電話番号： 919-783-9595107

ハイブリザイム社は、1995 年より環境・食品試験を行っており、血清・組織抽出物中や、土

壌・水中のダイオキシンやポリ塩化ビフェニル、その他汚染物質の測定・検出を始め、環境・

食品試料の分析実験を行っている。同社は、臨床検査薬技術の世界的リーダーであるパーキ

ンエルマー・ライフサイエンス社（PerkinElmer Life Science）と提携し、高速分析器 VICTOR2

を実用化するなど、分析実験の質を向上し、食品・環境への抗体・受容体検査の新たなシス

テムの開発を行っている。

VICTOR2は、3秒後ごとに 96の検査結果を読み取ることが可能であり、

基質や検体の種類に関わらず、1 日に何百種類の試料の検査を行うこ

とができる。これは、パーキンエルマー社の登録商標である時間分解

蛍光測定法試薬デルフィア（Delfia）を利用することで、1 つの試料

に対して複数の化学薬品検査を行うことができ、検査プロセスの効率

化が可能であるためである。ハイブリザイム社は、この時間分解蛍光

測定法を用いることで、迅速かつ信頼性のある定量的結果を導きださ

れるとしている。

107 代表連絡先のみ

50


インテグレーティッド・ラボラトリー・システム社（Integrated Laboratory Systems, Inc）

＜企業概要＞

企業名インテグレーティッド・ラボラトリー・システム社

（Integrated Laboratory Systems, Inc）

ウェブサイト www.ils-inc.com

創業年 1985年

年間売上（年） 1,250万ドル（2008 年）

所在地住所： 800 Capitola Drive 12 Durham, NC 27713

電話： 919-544-5857

担当者・連絡先 Business Development

電話番号： 919-281-1110 ext 827

インテグレーティッド・ラボラトリー・システム社は CRO であり、主に環境衛生科学分野の

研究を通じて、政府や企業といった顧客に対して包括的支援を行っている。同社の事業分野

は以下の通り。

毒性遺伝学：検毒性遺伝学総合的検査の提供、染色体異常解析等

研究的遺伝子学：生体内検査の計画、実施、評価、報告、トランスジェニック研究等

組織学：解剖、電子顕微鏡法による組織学研究等

分子生物学：分子生物学、細胞生物学、分子遺伝学、分子病理学技術を使った研究調

査等

オミックス：ゲノミクス、プロテオミクス、薬理ゲノミクス、メタボロミクス、エピ

ゲノミクスの技術能力を使った研究等

病理学：学界・産業界における病理学の研究デザイン、実施、分析、結果報告等

臨床研究支援：ヒト由来の試料や疫学情報を使い、病因学や病気の進行調査等

情報科学：毒物学を中心としたデータ収集、管理、分析の援助等

環境科学：生態学的リスクアセスメント、危険物廃棄場の特性解析、毒物学研究、大

気質監視、順守監査、その他環境関連研究

品質保証：医薬品安全性試験実地基準の順守

f. 地域に所在する代表的な外資系企業と設立の経緯

リサーチトライアングル地域に所在する代表的な外資系企業には、バイオジェン・アイデッ

ク社（Biogen Idec）や、グラクソ・スミスクライン社などがある。

2003 年、バイオジェン社（Biogen）とアイデック社（Idec）の合併により誕生した世界的バ

イオ企業であるバイオジェン・アイデック社は、リサーチトライアングル地域に米国拠点の

ひとつを置き、当地において 500人（2006年現在）を雇用している。リサーチトライアング

ル地域への進出は、合併前のバイオジェン社（1978 年スイス・ジュネーブで創業）が 1995

年に、バイオ・製薬研究に強い立地を求めてリサーチトライアングルを米国進出の足がかり

51


としたことに遡る108。2003 年にバイオジェン・アイデック社となってからも、リサーチトラ

イアングル地域は、同社の製造拠点として重要な位置を占めている。

また、これまで大フィラデルフィア地域とリサーチトライアングル地域の両地域に米国本社

をおいていたグラクソ・スミスクライン社は、2008 年 11 月、企業再編の一環として、リサ

ーチトライアングル地域に同社米国本社を統括することを発表した。この背景について同社

の関係者は、同社はリサーチトライアングル地域において既に 35施設を所有し 5,000 人を雇

用しており、大フィラデルフィア地域よりも本社機能を一括するのに適していたため109とし

ており、同社の活動の中核はリサーチトライアングル地域へと移動することになる。

g. 交流国・数

リサーチトライアングル地域では、ヨーロッパやアジアの様々な国々との産業連携が盛んに

行われており、医療研究やヘルスケアの分野のみならず、バイオ産業全般における共同技術

開発や、産業間の交流が進んでいる（Ⅲ-2 参照）。また、同地域には、以下の日系企業が拠

点を置いている（表 16参照）。

表 16 リサーチトライアングル地域に拠点を置く日系企業

社名種類地域との関連

エーザイ（Eisai Inc.）米国支社 2001 年設立、2006 年規模拡張

雇用者数 255人110

アステラス（Astellas）米国子会社 2006 年現地製薬企業を買収

雇用数は不明

コーワ（Kowa Research Institute）米国事業部 2003 年カリフォルニア州より移転

雇用数は不明

味の素（Ajinomoto AminoScience）米国支社 1982 年設立

雇用数は不明

出所：各種資料を基にワシントンコア作成

その他の日本との交流としては、名古屋大学が 2008 年 2月にリサーチトライアングルパーク

技術移転事務所を設置したことが挙げられる。同事務所ではリサーチトライアングル地域の

企業との交流を進めている他、リサーチトライアングル地域の産学関係者による名古屋大学

訪問を調整したりするなど、将来的な共同研究や共同技術開発の足がかりとなるような交流

活動を実施している。

108 Biogen Idec. “Company： History”. http://www.biogenidec.com/site/history.html 109 Local Tech Wire. “GlaxoSmithKline designates RTP as its sole U.S. headquarters”. November

5、2008. http://localtechwire.com/business/local_tech_wire/biotech/story/3899613/ 110 LocalTechWire.com. “Japanese Pharmaceutical Firm To Expand RTP Presence, Add 89 New Jobs”.

February 28, 2006. http://localtechwire.com/business/local_tech_wire/news/story/1166540/

52


また、過去には、ヘルスケアや ITを中心的投資分野とする三井ベンチャーが、リサーチトラ

イアングルに所在するバイオベンチャーのバイオレックス社（Biolex、2007 年に IPO 実施済）

への投資を行っており111、日本のベンチャーキャピタルからも同地域には熱い視線が注がれ

ている。

h. 国際産業交流のプログラムの活用方法

国際産業連携を通じた州内産業の活性化を支援するノースカロライナ州商務省の国際貿易部

（ITD）は、2002 年から毎年日本で開催されているアジア最大のバイオ展示会「国際バイオ

EXPO」の後援やブース出展を過去数年に渡り行っている。同州政府団体によるこれらのイベ

ントへの関与は、日本組織との関係強化に対する積極的な姿勢を反映している。

また、これらのイベントを通じた国際産業交流の成果も出ている。例えば、2008 年には、バ

イオ EXPOに参加したノースカロライナ企業 3社のうち 1社が、日本企業 3社112との契約を取

り付けることに成功し、これら契約額総額は 900万ドルを超えている113。

i. 当該産業が抱える課題

医療研究・ヘルスケアセクターの国際連携は、研究開発などの初期連携が多く、実用化とい

った収入につながるような結果が得にくいことや、リサーチトライアングル地域で強みを見

せるセラミックやプラスティック産業に比べ輸出入に結びつきにくい、ということが本産業

における国際連携の難点として指摘されている114。

111 ITD、ジーン・デイビス氏へのインタビューより。2009年 1月 5日。投資が行われていた時期は明

らかにされなかった。 112 企業名や詳細については非公開となっている。 113 同上。 114 ITD、ジーン・デイビス氏へのインタビューより。2009年 1月 5日。

53


2. 国際産業交流に関わる関連団体の情報

本節では、リサーチトライアングル地域との医療研究・ヘルスケア産業における地域国際連

携を進めるにあたり、キープレーヤーとなる 3団体の概要をまとめている。

(1) ノースカロライナ州商務省国際貿易部

ノースカロライナ州商務省国際貿易部（ITD）は、同州経済の発展のため、国際活動を通じて

支援する役割を担っており、地域企業に対する輸出支援や、海外企業やクラスターとの交流・

連携を望む地域企業・産業に対するマッチングサービスの提供、企業や大学における国際共

同研究開発の支援などを行っている。

ITD は、ヘルスケア・医療研究だけでなく様々な分野における国際交流を支援するものの、

輸出によって外貨を得ることのみが国際産業交流の目的ではないと捉えており、特に医療研

究・ヘルスケアを含むバイオ産業では、研究開発関係の構築を通じた共同研究や技術革新な

どを進めることも重視している。

＜団体概要＞

団体名ノースカロライナ州商務省（North Carolina Department of

Commerce）

キーパーソン国際貿易部長（Director, International Trade Division：ITD）

ジーン・デイビス氏（Jean C. Davis）


住所： NC Department of Commerce

301 N. Wilmington Street

4320 Mail Service Center

Raleigh, NC 27699-4320

電話番号： 919-715-5746（デイビス氏直通）

919-606-0151（携帯）

創立年 1971年115


業担当職員数

12名。海外事務所には合計で 15名。

管轄地域ノースカロライナ州全体

設立母体「1971年州政府組織法（Executive Organization Act of 1971）」

を根拠法とする

115 North Carolina Department of Commerce. “Agency History: 1971-1993”.

http://commerce.state.nc.us/categories/history.htm

54


支部、海外事務所所在地 7 カ国・地域（日本、香港、韓国、中国、カナダ、ドイツ、メキ

シコ）



大学）

企業・大学が中心。

＜国際産業交流の現況と目的①＞


グラムの概要

ノースカロライナ州にとって連携することで多くのメリットが得

られるような海外のクラスターを分析し、クラスター間の連携を

推進。


容

ノースカロライナ州の大学・企業に対し、海外団体との共同研究、

技術移転、現地研究施設への入居、実用化などの支援を提供。

交流国・数中国

交流目的海外企業・大学と、州企業・大学間の共同研究開発機会の増加



の内容

地域企業から海外に機器・サービスを輸出

研究開発につながる技術移転（地域→海外、海外→地域）

海外からの地域企業に対するベンチャー投資受け入れ

国際産業交流の効果中国最大のリサーチパークである「中国医療都市（China Medical

City：CMC）」との連携に成功。また、三井・三菱グループ企業が、

ノースカロライナ州の地元バイオ企業に投資を実施している。な

お ITD では、各種プログラムに参加する企業数と売上を用いて国

際産業交流の効果を評価している。

＜国際産業交流の現況と目的②＞


グラムの概要

展示会におけるノースカロライナ州ブースの設置


容

ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター（III2(3)にて

後述）と共同で、全米バイオ産業協会（Biotechnology Industry

Organization：BIO）主催の展示会に毎年参加し、ノースカロラ

イナ州ブース出展。

日本で行われるバイオ EXPO でのノースカロライナ州ブース出

展。

交流国・数 N/A

交流目的海外からの参加者に対して州内の企業を紹介し、海外における臨

床試験などの機会増加や、ビジネス契約の締結支援



の内容

展示会に参加した地域企業は、海外企業とのネットワーク構築を

行い、海外企業にとっては新しいパートナーの確保につながる。

55


国際産業交流の効果トレードショーへは毎年 300 社以上が参加し、そのうちの 10%程

度の企業からショーへの参加が有意義であったことを表す推薦文

や手紙が送られて来ている。

なお、ノースカロライナ州は、2009 年 1 月 10 日に同州初の女性知事となるベブ・パーデュ

ー（Bev Perdue、民主党）新知事を迎え、前知事に続く民主党知事の誕生となった。パーデ

ュー知事は副知事時代より同州の国際産業連携推進を支援しており、また本商務省の中国事

務所は同知事の強い後押しを受けて設置されていることからも、商務省では同知事の就任が

国際産業連携に今後も良い影響を及ぼすとの見方を示している。


ノースカロライナ州商務省日本事務所を置いており、日本企業や団体との連携には積

極的。

医療研究・ヘルスケアなどを含むバイオ・ライフサイエンス分野では、共同研究など

実際の連携活動に至るまでに複数年かかることもあり、他の産業分野に比べて時間が

かかる傾向にあることには理解を示す。

プラスティック、セラミック産業における国際産業交流も盛ん。

(2) リサーチ・トライアングル・リージョナル・パートナーシップ

地域経済の活性化に産業面から取り組むリサーチ・トライアングル・リージョナル・パート

ナーシップ（Research Triangle Regional Partnership：RTRP）は、ノースカロライナ・バ

イオテクノロジーセンター（North Carolina Biotechnology Center: NCBiotech、後述）と

の連携を通じて地域企業の国際化や、地域への投資増加を目指している。また、RTRPは、海

外のバイオ展示会にも参加し、各種団体とのネットワーキングを行いながら、共同研究など

の機会も模索している。

＜団体概要＞

団体名リサーチ・トライアングル・リージョナル・パートナーシップ

（Research Triangle Regional Partnerhip:RTRP）

キーパーソン国際貿易部長（Director, International Trade Division：ITD）

チャールズ・ヘイズ氏（Charles A. Hayes）

56



住所： RTRP

（所在地） 1000 Trade Drive, Suite 124

RDU International Airport, NC 27623 USA

（郵便用住所）PO Box 80756

RDU International Airport, NC 27623-0756 USA

電話番号： 919-840-7372 内線 12（ハイズ氏直通）

創立年 1994年


業担当職員数

RTRP職員は 7名。国際交流関連事業専任職員はなし。

RTRPでは、リサーチトライアングルに属する各郡の経済開発プロ

グラムを担当する州商務省の職員と連携して各種業務に当たって

おり、同地域を担当する州商務省の職員を含むと、合計 70～80名

が RTRPの業務に関わっている。

管轄地域リサーチトライアングル地域

設立母体地域のリーダーが 1990 年に RTRP の前身である「ラリー・ダーハ

ム地域協会（Raleigh-Durham Regional Association：RDRA）」を

設立。RDRA の資金は、ラリー、ダーハム、チャペルヒル各地域の

商工会議所とリサーチトライアングル協会（Research Triangle

Foundation116）が拠出。




大学）

行政・企業・大学とも国際産業交流に関与している。



グラムの概要

産業協力 MOUの取り交わし


容

研究開発連携

リサーチトライアングル地域への海外直接投資呼び込み

交流国・数フランス・アルザス地方

交流目的研究開発の連携、海外直接投資の促進



の内容

主にノースカロライナ州内の大学において、共同研究が進められ

ている。

国際産業交流の効果海外直接投資に関しては主だった成果は上がっていないが、大学

間での連携は進んでいる。


116 リサーチトライアングルパーク（RTP）の運営団体

57


RTRP でも、ジェトロ同様に、リサーチトライアングル地域と海外の産業地域の戦略

的な連携を進めるための海外地域の特定作業を行ってきている。

1 年ほど前に、フランスのアルザス地方と MOU を交わし、ライフサイエンスと織物

（textile）産業において連携を進める事が定められた。その結果、大学間の共同研

究が行われるなど、成果が見られている。

2008 年度、南東部会 SEUS-JAPAN（Southeast U.S. - Japan）会議をノースカロライ

ナで開催。同地域にも日本企業が所在するなど、日本への関心は高い。

(3) ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター

民間非営利団体であるノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター（North Carolina

Biotechnology Center）は、MOU を取り交わして人材交流や情報共有を進めるというレベル

の国際連携ではなく、参加する団体や企業にとってよりメリットのあるものにするために、

共同研究だけでなく、ノースカロライナ州への直接投資につながるような取り組みを行うこ

とを目指して試行錯誤を繰り返している。

＜団体概要＞

団体名ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター（North Carolina

Biotechnology Center）

キーパーソンバイオサイエンス産業開発副代表（Vice President, Bioscience

Industrial Development）

ビル・ブルック氏（Bill O. Bullock）


住所： North Carolina Biotechnology Center

（所在地） 15 T.W. Alexander Drive


（郵便用住所）PO Box 13547


電話番号： 919-541-9366（代表）

創立年 1984年に、世界初のバイオテクノロジーセンターとして、公的資

金を受けて創立。


業担当職員数

80名。国際交流関連事業担当者は、15名。

管轄地域リサーチトライアングル地域を中心に、ノースカロライナ州全域

設立母体ノースカロライナ州政府

支部、海外事務所所在地州内に 5つの支部を有する。海外事務所はなし。



大学）

大学に対する支援体制もあるものの、大学は独自で連携を進める

ことが多いため、企業による参加が中心。

58




グラムの概要

産業交流


容

海外機関との交流を通じた、国際産業連携ニーズの洗い出し

交流国・数フランス・アルザス地方（実施中）

スカンジナビア・メディカルバレー（検討中）

交流目的雇用の創出と、海外直接投資の増加

学術面での交流（教員や学生の相互訪問）

企業間の連携を奨励し国際共同研究開発を促進



の内容

地域・海外組織との間で双方向の支援が行われている。

国際産業交流の効果国際産業交流の効果を測定し、数字に表すことは大変難しく、行

っていない。アルザス地方との交流に関しては、共同研究が行わ

れるなど、将来的に海外直接投資につながる可能性も高い。

なお、ノースカロライナ州では、これまで州政府が医療研究・バイオ・製薬産業に対する強

い理解を示してきたが、1 月に誕生した新知事もバイオ産業の支持者であり、新政権による

バイオ・製薬への支援が強化される可能性はあっても低下する事はないと、同バイオテクノ

ロジーセンターのキーパーソンであるビル・ブルック氏（Bill Bullock）氏は見ている。

＜インタビューで得られた補足情報＞

ノースカロライナ・バイオテクノロジーセンター（以下、NC バイオテク）では過去

5,6年に渡り、国際産業連携をいかに参加企業（地域）にとって実のあるものにする

かの再検討を行っている。7年ほど前に、ドイツのある地域と MOU を取り交わし、人

材派遣や情報交換を行っていたが、それ以上の交流は行われなかったため、このプロ

グラムは中止。一方で、1年ほど前より、フランス・アルザス地方にあるバイオバレ

ーと連携を開始117しており、共同研究機会の策定や産業交流など、過去の産業交流に

比べて、両地域にとってメリットの多い交流が進んでいる。

NC バイオテクが求める国際連携は、情報共有や相互訪問といったシンプルな形での

国際産業交流というよりも、雇用の創出や地域経済活性、更に地域間の研究機関（大

学や企業）同士の共同研究につながり、両地域にメリットをもたらすようなもの。

長期的にノースカロライナ州とパートナー地域が成長できるような関係の構築を望

む。

117 RTRP のハイズ氏が言及したプログラムと同じ。

59


参考資料

大フィラデルフィア地域製薬企業一覧

企業所在地州ウェブサイト概要

Acureon Pharmaceuticals Berwyn PA www.acureonpharma.c

om

抗感染薬、医療製品に特化した製薬企業

Adesis, Inc. New Castle DE www.adesisinc.com 製薬、生物医薬品産業を支援する契約研究機関

Advanced Pharmaceutical

Nanotech, LLC

New Castle DE www.nanobiopharma.c

om

ナノ技術及び cGMP 製薬設備を利用し、高度に生物学的利用

が可能で毒素の低い、サプリメント製品、スキンケア製品、

抗菌衛星製品の生産を実施

Aptagen, LLC Jacobus PA www.aptagen.com 早期バイオ技術企業。核酸塩基バイオ製薬「aptabodies（特

許申請中）」の開発に特化

Aquitic Technology, Inc. Media PA N/A 注射用蒸留水を精製することのできる、水の浄化、暖房シス

テムの開発を実施

B.McLaughlin Associates,

Inc.

West Chester PA www.bmclaughlin.com

/

臨床研究サービスのニッチサービス提供企業で、研究管理、

規制・財政書類の検索、臨床合意及び、患者の予算交渉、イ

ンフォームド・コンセントの審査と許可、データ矛盾の検索、

規制書類の監査等を実施

Beijing Med-Pharm Corp. Plymouth

Meeting

PA www.beijingmedpharm

.com

米国の公開企業で、中国における製薬マーケティング、販売。

提供サービスには、市場参入前の事前分析、臨床試験管理、

製品登録、マーケットリサーチ、病院への製薬の販売、医師、

病院、ヘルスケア提供者への製薬マーケティングサービスな

ど

60



Bristol-Myers Squibb

Company

Princeton NJ www.bms.com グローバル製薬・ヘルスケア製品関連企業。扱う分野は、主

に製薬、栄養、ヘルスケア製品など

BTG West

Conshohocke

n

PA www.btgplc.com 製薬及び医療技術のライセンス取得、開発、実用化を実施。

特に、腫瘍学、老化、神経科学、薬剤評価、医療技術分野が

活発

Cartesian Software Lafayette

Hill

PA www.cartesiansoftwa

re.com

薬品の安全性を改善するためのソフトウェア開発

Ception Therapeutics, Inc. Malvern PA www.ceptiontx.com 医療ニーズが満たされていない分野に向けた新規製品開発

と発見に特化するバイオ製薬企業

Chiral Technologies, Inc. West Chester PA www.chiraltech.com キラル・クロマトグラフィー製品開発

CSL Behring King of

Prussia

PA www.cslbehring.com 血漿タンパク生物学的医薬製品産業におけるグローバル企

業

Cytokine PharmaSciences,

Inc.

King of

Prussia

PA www.cytokinepharmas

ciences.com

女性の健康に特化した製薬開発企業

DermAvance

Pharmaceuticals

Berwyn PA www.dermavance.com 形成外科医、皮膚科医向けのユニークな院内調剤薬品を提供

Diasome Pharmaceuticals,

LLC

Conshohocke

n

PA www.diasome.com 糖尿病患者の生活改善に向けた薬品の開発を実施

DJA Global Pharma LLC Chadds Ford PA www.djaglobalpharma

.com

製薬・バイオ技術産業向けのグローバル製薬開発・規制コン

サルティング企業。複雑な製薬開発分野と、グローバル市場

における製薬製品商業化の橋渡しを行う

Duska Therapeutics, Inc. Bala Cynwyd PA www.duskatherapeuti

c.com

P2 受容体封鎖・活性化に基づく診断・治療製品の開発を行

う。慢性閉塞性肺疾患、慢性咳嗽、不整脈、緑内障などへ

の薬剤候補を開発中

Endo Pharmaceuticals Chadds Ford PA www.endo.com 痛みの軽減に特化した多くのブランド、ジェネリック医療用

薬品をもつ製薬企業

61



Exaeris, Inc. Exton PA www.exaeris.com 治療結果の改善に特化した製薬、マーケティング企業。薬品

提供技術、プラットフォームの開発、医学の進歩に向けた戦

略的な関係構築を行う

FemmePharma Global

Healthcare, Inc.

Wayne PA www.femmepharma.com 副作用を最小限にし、排除する安全で効果的な薬品の開発を

行う。医療の需要が満たされておらず、市場浸透率が低い分

野を特定し、革新的で、女性に優しい薬品の開発を目指す

Frontage Laboratories,

Inc.

Malvern PA www.frontagelab.com 大企業・新規製薬会社に対する薬品の発見、開発、実用化へ

の研究サポートを行う製薬開発企業。薬品分析、バイオ分析

試験、方法開発などを提供

GlaxoSmithKline Consumer

Healthcare

Philadelphi

a

PA us.gsk.com/medicine

s/consumerhealthcar

e.jsp

消費者用オーラル・ヘルスケア、店頭取引薬品、栄養ヘルス

ケア薬品を提供

Immunotope, Inc. Doylestown PA www.immunotope.com がんや、ウイルス感染への免疫療法製品を開発する、臨床段

階バイオ技術企業。後期の卵巣がん・乳がんへの免疫療法ワ

クチンの開発、慢性肝炎、HIVへの免疫療法薬品の開発、初

期の卵巣がん、前立腺がんへの自己抗体試験を行う

Jenrin Discovery Philadelphi

a

PA www.jenrindiscovery

.com

メタボリック、慢性炎症性疾患への処方薬を開発

JM Pharmaceutical

Consulting

Norristown PA N/A 製薬・バイオ技術企業向けのコンサルティング企業

Labrepco, Inc. Horsham PA www.labrepco.com 生命科学研究向けの実験装置、実験器具の販売企業

Lazarus Therapeutics, Inc. Philadelphi

a

PA www.lazarustherapeu

tics.com/index.html

パーキンソン病など中枢性神経の衰弱に関わる薬品の開

発・商業化を行う神経科学製薬企業

Melior Discovery Exton PA meliordiscovery.com 既存薬品の新しい治療の応用方法の可能性を発見を行う

62



Molecular Devices Downingtown PA www.MolecularDevice

s.com

新たな薬品の発見を加速化させるための高性能バイオ分析

測定システムの供給を行う

Neuromed Pharmaceuticals,

Inc.

Conshohocke

n

PA www.neuromed.com 高血圧、てんかん向けの次世代慢性鎮痛薬開発を行うバイオ

薬品企業

Neuronyx, Inc. Malvern PA www.neuronyx.com 心筋梗塞、脳梗塞、皮膚の損傷にむけた同種異種系人間骨髄

体細胞製品の開発を行う

NexusPharma Inc. Langhorne PA www.nexuspharm.com 非細胞毒性メカニズムのアプローチに基づくがん治療薬品

を開発する

Novartis Florham Park NJ www.novartis.com 医薬品、消費者用薬品の開発、研究、販売を行う国際製薬企

業

Novavax, Inc. Malvern PA www.Novavax.com 伝染病に対する高性能ワクチンを開発するグローバル製薬

企業

Patients' & Consumers'

Pharma

Lansdale PA www.pandcpharma.com

/

カスタマイズ薬物治療への研究、技術開発を行う

Pharmabridge, Inc. Doylestown PA www.pharmabridgegro

up.com

薬品、バイオ技術企業への化学サポートサービスを提供する

Prism Pharmaceuticals,

Inc.

King of

Prussia

PA www.prismpharma.com ブランド医療薬品の商業化を行う製薬企業

Progenra, Inc. Malvern PA www.progenra.com 癌、筋肉萎縮、パーキンソン病などの症状への薬品の開発

Promedior, Inc. Malvern PA www.promedior.com 線維性疾患への新薬開発に特化するバイオ薬品企業

Protez Pharmaceuticals Malvern PA www.protez.com 取り扱いの難しい感染症への病院の抗菌方法の開発を行う

Schering-Plough

Corporation

Kenilworth NJ www.schering-plough

.com

医薬品、消費者・動物ヘルス製品の開発を行うグローバル科

学ヘルスケア企業

Scott Medical Products Plumsteadvi

lle

PA www.scottgas.com 治療用や製薬材料向けの純度ガスや混合ガスを提供する

63



Secant Pharma Langhorne PA www.secantpharma.co

m

医療ニーズが満たされていない地域向けの薬品の開発、商業

化に取り組む国際民間製薬会社

Shire Pharmaceuticals Wayne PA www.shire.com ADHD、遺伝療法、消化器疾患、腎臓病など専門医師のニーズ

を満たすことを目的とした専門製薬企業

Skanska USA Building, Inc. Blue Bell PA www.skanskausa.com 製薬企業・バイオ技術企業を対象とした建築サービス

SSPCC, Inc. Phoenixvill

e

PA sspcc.com 製薬企業の研究開発戦略サービスを提供

TetraLogic

Pharmaceuticals

Corporation

Malvern PA www.tetralogicpharm

a.com

腫瘍学の治療を専門とする製薬企業

The Business/Technology

Interface, LLC

Voorhees NJ N/A 製薬、バイオ技術、科学分野の起業家にビジネス戦略、ビジ

ネス開発、技術運営サポートを行うコンサルティング企業。

The ORION Group Philadelphi

a

PA N/A 品質・規制分野のコンサルティング企業。ラボ運営、製品開

発、方法の実証サービスなどを提供

Topaz Pharmaceuticals LLC Jenkintown PA www.topazpharma.com 小児科分野に専門性をもつ製薬企業

Wyeth Pharmaceuticals Collegevill

e

PA www.wyeth.com 医薬品、消費者ヘルス製品、動物ヘルス製品のグローバル製

薬企業

YM BioSciences, Inc. Wayne PA www.ymbiosciences.c

om

腫瘍薬品の開発、商業化を行う製薬企業

出所：Select Greater Philadelphia. “Core Life Science Companies in Greater Philadelphia：View Core Life Science Companies

in Greater Philadelphia.” http://selectgreaterphiladelphia.com/look/lifesciencecomp.cfm を基にワシントンコア作成

64


リサーチトライアングル地域のライフサイエンス企業一覧

企業名所在地ウェブサイト

3TEX Inc. Cary www.3tex.com

AAIPharma Inc. Morrisville and Chapel Hill www.aaipharma.com

AbD Serotec Raleigh www.ab-direct.com

Abraxis Bioscience Inc. Durham www.abraxisbio.com

Accentia BioPharmaceuticals Inc. Morrisville www.accentia.net

Addrenex Pharmaceuticals Inc. Durham www.addrenex.com

Adherex Technologies Inc. Durham www.adherex.com

ADMET Technologies Inc. Durham www.admettechnologies.com

Adroit Pharmaceutical Development LLC Durham www.adroitpharmdev.com

3TEX Inc. Cary www.3tex.com

Advanced Animal Diagnostics Inc. Durham www.advancedanimaldiagnostics.com

Advanced Liquid Logic Inc. Morrisville www.liquid-logic.com

Aerie Pharmaceuticals Inc. The Research Triangle Park www.aeriepharma.com

Affinergy Inc. Durham www.affinergy.com

Agarigen Inc. The Research Triangle Park www.agarigen.com

Agilent Technologies Inc. Raleigh www.agilent.com

Ajinomoto AminoScience LLC Raleigh www.ajiaminoscience.com

Alba Bioscience Inc. Durham www.albabioscience.co.uk/usa_home.aspx

Aldagen Inc. Durham www.aldagen.com

65



Alditri Technologies Inc. Raleigh N/A

Algynomics Inc. Chapel Hill www.algynomics.com

Alion Science and Technology Corp. Durham www.alionscience.com

Almac Diagnostics Durham www.almacgroup.com/diagnostics

Alnis BioSciences Inc. The Research Triangle Park www.alnis.com

Alpha-Gamma Technologies Inc. Raleigh www.alpha-gamma.com

AlphaVax Inc. The Research Triangle Park www.alphavax.com

Alte Biosciences Inc. Cary www.altebio.com

American Agricultural Services Inc. Cary www.amagsrv.com

Amphora Discovery Corp. Durham www.amphoracorp.com

Analytical Solutions Inc. Durham www.asi-rtp.com

Angiotech Pharmaceuticals Inc. The Research Triangle Park www.angiotech.com

Apex Bioscience Inc. Chapel Hill www.curacyte.eu

Apogee Medical Inc. Youngsville www.apogeemed.com

Appealing Products Inc. Raleigh www.appealingproducts.com

Applied Micro Products Inc. Chapel Hil www.appliedmicroproducts.com

Applied Technologies Inc. Cary www.ati-engineers.com

Arbor Pharmaceuticals Inc. Raleigh www.arborpharma.com

Arbovax Inc. Raleigh www.arbovax.com

Argolyn Bioscience Inc. Durham www.argolyn.com

Argos Therapeutics Inc. Durham www.argostherapeutics.com

66



ArrayXpress Inc. Raleigh www.arrayxpress.com

Arysta LifeScience North America LLC Cary www.arysta-na.com

Asklêpios Biopharmaceutical Inc. Chapel Hill www.askbio.com

Astellas Pharma US Inc. Durham www.astellas.com

Asylum Research Raleigh www.asylumresearch.com

Asymchem Laboratories Inc. Morrisville www.asymchem.com

Athenix Corporation The Research Triangle Park www.athenixcorp.com

Attagene Inc. Morrisville www.attagene.com

AVI BioPharma Inc. The Research Triangle Park www.avibio.com

AviFluVax LLC Holly Springs N/A

Axitare Inc. Raleigh N/A

Axum Pharmaceuticals Inc. Durham N/A

b3bio Inc. The Research Triangle Park N/A

Bartlett-Williams Scientific Resources

Co. Chapel Hill www.bartlett-williams.com

BASF Crop Protection The Research Triangle Park www.agproducts.basf.com

BASF Plant Sciences LLC The Research Triangle Park www.basf.com/plantscience

BASF Professional Turf and Ornamentals The Research

Triangle Park www.betterturf.com

Bayer CropScience The Research Triangle Park www.bayercropscienceus.com

BD Biosciences Durham www.bdbiosciences.com

BD Diagnostics-TriPath Durham www.bd.com/tripath

67



BD Technologies BD Technologies www.bd.com/technologies

BD BioVenture Center The Research Triangle Park www.bd.com/technologies/bvc/index.asp

Better Medicines LLC Durham www.bettermedicines.net

BioAnalytika Laboratories Inc. Durham N/A

BIoCI Systems Inc. Raleigh www.bioci.com

BioDelivery Sciences International Inc. Raleigh www.bdsinternational.com

BioFuels Center of North Carolina Oxford www.biofuelscenter.org

BioGaia Biologics Inc. Raleigh www.biogaia.com

Biogen Idec Inc. The Research Triangle Park www.biogenidec.com

Biolex Therapeutics Inc. Pittsboro and Durham www.biolex.com

BioLink Life Sciences Inc. Cary www.biolinkonline.com

BioLume Inc. Morrisville www.biolume.net

Biomanufacturing Research Institute &

Technology

Enterprise (BRITE) Center for Excellence

Durham brite.nccu.edu

Biomanufacturing Training and Education

Center (BTEC) Raleigh www.engr.ncsu.edu/btec

BioMarck Pharmaceuticals Ltd. Durham and Raleigh www.biomarck.com

BioMedical Devices Inc. Apex www.biomedicaldevicesinc.com

BioMedomics Inc. The Research Triangle Park www.biomedomics.com

bioMérieux Inc. Durham www.biomerieux-usa.com

BioPheresis Technologies LLC Apex www.biopheresis.com

68



Bioplastics Inc. Durham www.bpcti.com

Bioptigen Inc. The Research Triangle Park www.bioptigen.com

BioResource International Inc. Morrisville www.briworldwide.com

BioSignia Inc. Durham www.biosignia.com

Biotechnics Inc. Hillsborough www.biotechnics-inc.com

BioTechnology Transfer LLC Raleigh www.biotechtrans.com

Boron Molecular Inc. The Research Triangle Park www.boronmolecular.com

Botanics Integrated LLC The Research Triangle Park www.botanicsintegrated.com

Brainerd LLC of North Carolina Dunn www.brainerdchemical.com

Bruce Technologies Inc. Chapel Hil N/A

Burleson Research Technologies Morrisville www.brt-labs.com

BD Technologies BD Technologies www.bd.com/technologies

BD BioVenture Center The Research Triangle Park www.bd.com/technologies/bvc/index.asp

Better Medicines LLC Durham www.bettermedicines.net

BioAnalytika Laboratories Inc. Durham N/A

BIoCI Systems Inc. Raleigh www.bioci.com

BioDelivery Sciences International Inc. Raleigh www.bdsinternational.com

Carbon-to-Liquids (C2L) Development

Center Durham www.carbontoliquids.com

Carolina Biodiesel LLC Durham www.carolinabiodiesel.org

Cary Medical Research Cary www.piedmontmedical.com/Cary.htm

69



Catalent Pharma Solutions Inc. Morrisville www.catalent.com

Cato Research Ltd. Durham www.cato.com

CD Neural Technologies Durham www.cdneural.com

CeeTox Inc. Apex www.ceetox.com

CellzDirect Inc. Durham and Pittsboro www.cellzdirect.com

Cempra Pharmaceuticals Inc. Chapel Hill www.cempra.com

Cenduit LLC Durham www.cenduit.com

CeNeRx Biopharma Inc. Cary www.cenerx.com

Centice Corp. Morrisville www.centice.com

Cetero Research Cary www.cetero.com

Charis Diagnostics Corp. Raleigh www.charisdiagnostics.com

Charles River Laboratories Inc. Raleigh and Cary www.criver.com

Charles River Laboratories Inc.– PAI Durham www.criver.com/preclinical_services

Chemiceuticals LLC The Research Triangle Park www.chemiceuticals.com

Chesson Laboratory Associates Inc. Durham www.chessonlabs.com

Chimerix Inc. Durham www.chimerix-inc.com

Cirrus Pharmaceuticals Inc. Durham www.cirruspharm.com

CivaTech Corp. Raleigh www.civatech.com

CivaTech Oncology Inc. The Research Triangle Park and www.civatechoncology.com

CiVentiChem Cary www.cvchem.com

Clean Burn Fuels LLC Raleigh www.cleanburnfuels.com

70



Clinical Data Inc. The Research Triangle Park www.clda.com

Code Refinery LLC Apex www.code-refinery.com

Cogenics Morrisville www.cogenics.com

Cognosci Inc. The Research Triangle Park www.cognosci.com

Constella Group LLC The Research Triangle Park and Durham www.constellagroup.com

COResearch Durham www.coresearch.biz

Corneal Science Corp. Raleigh and Southern Pines www.cornealscience.com

Cornerstone BioPharma Inc. Cary www.cornerstonebiopharma.com

Covidien Mallinckrodt Raleigh www covidien.com

CPS Biofuels Inc. Cary www.cpsbiofuels.com

Cromoz Inc. The Research Triangle Park www.cromoz.com

Cropsolution Inc. Morrisville www.cropsolution.com

CryoFacets Inc. Durham www.cryofacets.com

Curasan Inc. Durham www.curasan.com/usa

Cytex Therapeutics Inc. Durham N/A

DARA BioSciences Inc. Raleigh www.darabiosciences.com

DaVINCI Biomedical Research Products

Inc. Garner www.davincibiomed.com

Deston Therapeutics Chapel Hill www.deston.com

DevCo Pharmaceuticals Durham N/A

Diosynth Biotechnology Inc. Morrisville, Cary and The www.diosynthbiotechnology.com

71



Drug Safety Alliance Durham www.drugsafetyalliance.com

Doe & Ingalls of NC LLC Durham www.doeingalls.com

Duke Clinical Research Institute Durham www.dcri.duke.edu

Duke Mass Spectrometry Facility The Research Triangle medgenetics.pediatrics.duke.edu

Eisai Inc. The Research Triangle Park www.eisai.com

Elion Diagnostics Inc. Cary www.eliondiagnostics.com

ENCO Analytic Inc. Cary analytix.encolabs.com

Endacea Inc. The Research Triangle Park www.endacea.com

ENDLS Optics Durham N/A

Eno Research and Development Inc. The Research Triangle Park www.enoresearch.com

EnSolve Biosystems Inc. Raleigh www.ensolve.com

Entegrion Inc. The Research Triangle Park www.entegrion.com

Enthalpy Analytical Inc. Durham www.enthalpy.com

Environostics Inc. Durham www.environostics.com

EpaFeX Chapel Hill N/A

EPL Inc. Durham www.epl-inc.com

Erimos Pharmaceuticals LLC Raleigh www.erimos.com

Esoterix Inc. The Research Triangle Park www.esoterix.com

ETHICON Inc. Raleigh www.ethicon.com

eTrials Worldwide Inc. Morrisville www.etrials.com

Exigent Pharmaceuticals Inc. Durham www.exigentpharmaceuticals.com

72



Experimental Pathology Laboratories

Inc. Durham www.epl-inc.com

Expression Analysis Inc. Durham www.expressionanalysis.com

Family Health International Durham www.fhi.org

Filtara Inc. Cary N/A

First Flight Venture Center The Research Triangle Park www.ffvcnc.org

FirstString Research Inc. The Research Triangle Park www.firststringresearch.com

Flexcell International Corp. Hillsborough www.flexcellint.com

For Patients Inc. Durham www.forpatientsinc.com

Fulcrum Pharma PLC Morrisville www.fulcrumpharma.com

GE Healthcare Durham www.gehealthcare.com

GeneCare Medical Genetics Center Chapel Hill www.genecare.com

Gentel Biosciences Inc. The Research Triangle Park www.gentelbio.com

Gentris Clinical Genetics Inc. Morrisville www.gentris.com

Gilead Science Inc. Durham www.gilead.com

GILERO LLC Raleigh www.gilero.com

GlaxoSmithKline PLC, The Research Triangle Park www.gsk.com

Glenveigh Medical LLC Durham www.glenveigh.com

Global Vaccines Inc. The Research Triangle Park www.globalvaccines.org

Glyconix Corp. The Research Triangle Park www.glyconix.com

Gorbec Pharmaceutical Services Inc. Durham www.gorbec.com

73



GrassRoots Biotechnology Inc. Chapel Hill www.grassrootsbio.com

The Hamner Institute for Health Sciences The Research Triangle Park www.thehamner.org

Hatteras Instruments Inc. Cary www.hatterasinstruments.com

Health Decisions Inc. Chapel Hill www.healthdec.com

HOMS LLC Clayton www.homs.com

Hospira Inc. Clayton www.hospira.com

Howard Associates LLC The Research Triangle Park www.howardassociates.net

HTG Inland Technologies Creedmoor www.hi-tech-group.com

Humacyte Inc. The Research Triangle Park www.humacyte.com

Hybrizyme Corp. Raleigh www.hybrizyme.com

HyperBranch Medical Technology Inc. Durham www.hyperbranch.com

i3Research Inc. Cary www.i3research.com

Icagen Inc. Durham www.icagen.com

IDEXX Pharmaceuticals Inc. Durham www.idexx.com

ImmunoBiosciences Inc. Raleigh www.immunobiosciences.com

ImmunoReagents Inc. Raleigh www.immunoreagents.com

Inanovate Inc. The Research Triangle Park www.inanovate.com

INC Research Inc. Raleigh www.incresearch.com

Incumed Inc. Raleigh www.incu-med.com

InnerPulse Inc. The Research Triangle Park www.inner-pulse.com

InnovaSyn LLC Chapel Hill www.innovasyn.com

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Insect Diet & Rearing Research LLC Raleigh www.insectdiets.com

Inspire Pharmaceuticals Inc. Durham www.inspirepharm.com

Institute of Forest Biotechnology Raleigh www.forestbiotech.org

Integrated Clinical Trial Services LLC Cary www.integratedtrials.com

Integrated Development LLC Willow Springs www.integradev.com

Integrated Laboratory Systems Inc. The Research Triangle Park and Durham www.ils-inc.com

Integrated Oncology Solutions Inc. Raleigh www.ioshealth.com

Invisar Inc. Durham www.invisar.com

Invitrox Inc. The Research Park Triangle www.invitrox.com

JABB of the Carolinas Inc. Pine Level www.jabb.bz

Jenken Biosciences Inc. The Research Triangle Park www.jenkenbio.com

KBI Biopharma Inc. Durham www.kbibiopharma.com

Kendle International Inc. Durham www.kendle.com

KHH BioSci Inc. Raleigh N/A

King Pharmaceuticals Inc. Cary www.kingpharm.com

Kolis Scientific Inc. Morrisville N/A

Kowa Research Institute Inc. Morrisville www.kowa.us

Krenitsky Pharmaceuticals Inc. Durham www.kpi-pharma.com

Kryosphere Inc. Durham www.kryosphere.com

KSE Scientific Durham www.ksescientific.com

Kucera Pharmaceutical Co. Durham www.kucerapharma.com

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Kurve Technology Inc. Cary www.kurvetech.com

L&M BioTech Inc. Raleigh www.lmbiotech.com

LaamScience Inc. Raleigh www.laamscience.com

Laboratory Corp. of America® Holdings The Research Triangle Park www.labcorp.com

Lantibio Inc. Chapel Hill www.lantibio.com

LEAP Technologies Inc. Carrboro www.leaptec.com

LeukoMed Inc. Raleigh www.leukomed.com

LipoScience Inc. Raleigh www.liposcience.com

Liquidia Technologies Inc. Durham www.liquidia.com

Makhteshim Agan of North America Inc.

(MANA) Raleigh www.manainc.com

Mardil Inc. Morrisville www.mardil.com

MastCell Pharmaceuticals Inc. Raleigh N/A

MDS Inc. Raleigh www.mdsinc.com

MedFaxx Inc. Wake Fores www.medfaxxinc.com

MedTec Inc. Hillsborough www.medtecbiolab.com

Memscept Inc. Raleigh N/A

Merck & Company Inc. Durham www.merck.com

Metabolon Inc. Durham www.metabolon.com

Metropolitan Research Associates LLC Durham www.metropolitanresearch.com

Micell Technologies Inc. Raleigh www.micell.com

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Mimotopes Pty Ltd Raleigh www.mimotopes.com

Minu LLC Pittsboro www.minullc.com

Monsanto Co. The Research Triangle Park www.monsanto.com

Morphormics Inc. Durham www.morphormics.com

MRPath Inc. Durham www.mrpath.com

MYCOSOL Inc. Cary www.veridien.com/mycosol.htm

Mycosynthetix Inc. Durham www.mycosynthetix.com

NanoCor Therapeutics Inc. Chapel Hill www.nanocorthx.com

NanoVector Inc. Raleigh N/A

Nascent Pharmaceuticals Inc. The Research Triangle Park N/A

National Development and Research

Institutes Raleigh www.ndri.org

National Institute of Environmental

Health Sciences The Research Triangle Park www.niehs.nih.gov

National Toxicology Program The Research Triangle Park ntp.niehs.nih.gov

Natland International Corp. Morrisville www.natland.com

nContact Surgical Inc. Morrisville www.ncontactsurgical.com

NCSRT Inc. Apex www.ncsrt.com

NDimo Inc. Durham N/A

Neeman Medical International Inc. Cary www.neeman-medical.com

Nekton Research LLC Durham www.nektonresearch.com

NephroGenex Inc. Cary N/A

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New Direction Biofuels LLC Raleigh www.newdirectionbiofuels.com

Nitrox LLC Durham www.nitrox.com

Norcarex Bio Corp. The Research Triangle Park N/A

N.C. Association for Biomedical Research Raleigh www.ncabr.org

N.C. Biosciences Organization Durham www.ncbioscience.org

N.C. Biotechnology Center Research Triangle Park www.ncbiotech.org

N.C. Medical Device Organization Durham www.ncmedicaldevice.org

N.C. State University Technology

Incubator Raleigh techincubator.ncsu.edu

Novan Inc. Chapel Hill N/A

Novartis Vaccines and Diagnostics Holly Springs www.novartisvaccines.com

Novelios Pharmaceuticals Inc. Chapel Hill www.noveliospharma.com

Novo Nordisk Pharmaceutical Industries

Inc. Clayton www.novonordisk-clayton.com

Novozymes North America Inc. Franklinton www.novozymes.com

Nufarm Americas Inc. The Research Triangle Park www.nufarm.com

Ockham Development Group Inc. Cary www.ockham.com

Oncogenomics Inc. Durham N/A

OncoMethylome Science Inc. Durham www.oncomethylome.com

Oncoscope Inc. Chapel Hil www.oncoscope.com

Optotrack Inc. Cary www.optotrack.com

Oriel Therapeutics Inc. Durham www.orieltherapeutics.com

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Paradigm Organics LLC Cary www.paradigmorganics.com

ParagonDx LLC Morrisville www.paragondx.com

Parexel International Corp. Durham www.parexel.com

Parion Sciences Inc. Durham www.parion.com

Pfizer Poultry Health Division Durham www.embrexpoultryhealth.com

Pharmaceutical Calibrations and

Instrumentation LLC Raleigh www.pci-llc.com

PharmaDirections Inc. Cary www.pharmadirections.com

PharmaLinkFHI Inc. Durham www.pharmalinkfhi.com

PharmaNet Development Group Inc. Cary www.pharmanet.com

PharmaSys Inc. Cary www.pharma-sys.com

PharmEng Technology Inc. Durham www.pharmeng.com

Phase Bioscience Inc. Morrisville www.phasebio.com

Piedmont Research Center Morrisville www.ppdi.com/services/preclinical/precli

nical_eval/home.htm

Pique Therapeutics Durham www.piquetherapeutics.com

Plexigen Inc. Cary www.plexigen.com

Polyzen Inc. Apex www.polyzen.com

Pozen Inc. Chapel Hill www.pozen.com

PPD Inc. Durham and Morrisville www.ppdi.com

PRA International Raleigh www.praintl.com

Precision Biosciences Inc. Durham www.precisionbiosciences.com

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Precision Human Biolaboratory Durham www.phblabs.com

Premitec Inc. Raleigh www.premitec.com

Primity Inc. Carrboro www.primity.net

Progen Pharmaceuticals Inc. Cary www.progen-pharma.com

Protochips Inc. Raleigh www.protochips.com

ProTrials Research Inc. Chapel Hill www.protrials.com

Proventys of Durham Durham www.proventys.com

Purity Systems Inc./Purity Systems

Caribe Inc. Raleigh www.puritysystems.com

Qualyst Inc. Raleigh www.qualyst.com

Quintiles Transnational Corp. Durham and Morrisville www.qtrn.com

RadarFind Corporation Morrisville www.radarfind.com

REALTROMINS Inc. Chapel Hill www.realtromins.com

Regado Biosciences Inc. Durham www.regadobiosciences.com

Research Triangle Park Laboratories Inc. Raleigh www.rtp-labs.com

Respirics Inc. Raleigh www.respirics.com

Rho Inc. Chapel Hill www.rhoworld.com

Ribonomics Inc. Durham www.ribonomics.com

Rockwell Automation Life Sciences Cary www.rockwellautomation.com/industries/li

fesciences

RTI Health Solutions The Research Triangle Park www.rtihealthsolutions.org

RTI International The Research Triangle Park www.rti.org

80



Ryscor Science Inc. Wake Forest www.ryscor.com

Saha Pharmaceuticals The Research Triangle Park N/A

Salix Pharmaceuticals Inc. Morrisville www.salix.com

SaviPu Pharmaceuticals LLC Durham www.savipupharma.com

Schwarz Biosciences Inc. Raleigh www.schwarzpharma.com

Scientific Calibration Inc. Apex www.scical.com

Scintellix LLC Raleigh www.scintellix.com

SciQuest Inc. Cary www.sciquest.com

SCYNEXIS Inc. Durham www.scynexis.com

Serenex Inc. Durham www.serenex.com

Sicel Technologies Inc. Morrisville www.siceltech.com

Sigma Xi, The Scientific Research

Society The Research Triangle Park www.sigmaxi.org

SIRGA Advanced Biopharma Inc. Raleigh www.sirgaab.com

SmartGene Inc. Raleigh www.smartgene.com

Source Food Technology Inc. Durham N/A

Southcot Corp. The Research Triangle Park www.hypoxyprobe.com

Southeast TechInventures Inc. Morrisville www.southeasttechinventures.com

Sparton Medical Solutions Durham www.sparton.com

Spectrofuge Corp. of North Carolina Inc. Durham www.spectrofuge.com

Stat-Tech Services LLC Chapel Hill www.stattechservices.com

81



StatWorks Inc. The Research Triangle Park www.statworks.net

Stiefel Laboratories Inc The Research Triangle Park www.stiefel.com

Straightfoward Solutions LLC Raleigh N/A

Sun Dance Genetics Durham N/A

SunTech Medical Inc. Morrisville www.suntechmed.com

Symyx Technologies Inc. Durham www.symyx.com

Synecor LLC Durham www.synecor.com

Synergy Vaccines Inc. Raleigh www.synergyvaccines.com

Syngenta Biotechnology Inc. The Research Triangle Park www.syngentabiotech.com

Synpac (North Carolina) Inc. The Research Triangle Park N/A

Synteract Inc. Morrisville www.synteract.com

Syntherica Corp. Durham www.syntherica.com

Synthon Pharmaceuticals Inc. The Research Triangle Park www.synthon-usa.com

Synthonix Corp. Wake Forest www.synthonix.com

TAB Clinical Trials Cary www.tabclinical.com

Tackle Design Inc. Durham www.tackledesign.com

Teleflex Medical Durham www.teleflexmedical.com

Tempest Environmental Systems Inc. Chapel Hill www.aquapura.com

Teotten Diagnostics Inc. The Research Triangle Park www.teotten.com

Theralogics Inc. Chapel Hill www.theralogics.com

Thrombotargets Corp. Durham www.thrombotargets.com

82



TIRF Technologies Inc. Morrisville www.tirftechnologies.com

Touch Scientific Inc. Raleigh www.touchscientific.com

Toxicology Services Inc. Chapel Hill www.toxicologyservices.net

TOX-TK Associates Inc. Apex www.toxtk.com

Trana Discovery Inc. Cary www.tranadiscovery.com

TransEnterix Inc. Durham www.synecor.com/portfolio.html

Tranzyme Pharma Inc. Durham www.tranzyme.com

Triangle Biomedical Sciences Inc. Durham www.trianglebiomedical.com

Triangle BioSystems Inc. Durham www.tbsi.biz

Triangle Biotechnology Center Durham www.trianglebiotechnologycenter.com

Triangle Medical Research Raleigh www.piedmontmedical.com/triangle.htm

Triangle Molecular LLC Chapel Hill N/A

TriboFilm Research Inc. Raleigh www.tribofilmresearch.com

TriE Medical Inc. Morrisville www.triemedical.com

Trimeris Inc. Morrisville www.trimeris.com

Trio Clinical Research LLC Durham www.trioclinicalresearch.com

TRx Pharma Chapel Hill www.trxpharma.com

Tryton Medical Inc. The Research Triangle Park www.trytonmedical.com

Turrett Labs (Medibeam Health Monitors) The Research Triangle Park www.turretweb.net

U.S. Environmental Protection Agency The Research Triangle Park www.epa.gov/rtp

UNC Business Accelerator for Sustainable Chapel Hill www.kenan-flagler.unc.edu/KI/cse/BASE/

83



Entrepreneurship

Unit Dose Solutions Inc. Morrisville www.unitdoseinc.com

TÜVRheinland of North America Inc. Youngsville www.us.tuv.com

United Therapeutics Corp. The Research Triangle Park www.unither.com

Valencell Inc. Raleigh www.valencell.com

Varian Inc. Cary www.varianinc.com

Vasus Scientific Raleigh www.vasus.com

Venganza Inc. Raleigh www.venganzainc.com

Vesta Therapeutics Inc. Durham www.vestatherapeutics.com

Viamet Pharmaceuticals Inc. Durham www.viamet.com

Victory Pharma Inc. Cary www.victorypharma.com

Virco Lab Inc. Durham www.vircolab.com

Virus Detection Systems Corp. Cary www.vdsc.us

Vision Share Apex www.visionshare.org

Voyager Pharmaceutical Corp. Raleigh www.voyagerpharma.com

Wemco Inc. Raleigh N/A

Weststar Inc. Holly Springs www.westmedco.com

Wyeth Pharmaceuticals Wyeth www.wyeth.com

Wyeth Vaccines R&D Wyeth www.wyeth.com/research_hcp/vaccines_hcp

Xenobiotic Detection Systems Durham www.dioxins.com

Zen-Bio Inc. The Research Triangle Park www.zen-bio.com

84



Zylera Pharmaceuticals Chapel Hill www.zylera.com

出所：Research Triangle Regional Partnership. “Research Triangle Region Life Sciences Directory”.

http://www.researchtriangle.org/uploads/Reports/Research_Triangle_Life_Sciences_Directory_2008.pdf を基にワシントンコア

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米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査 （大フィ …平成20年度 地域間交流支援（rit）事業 海外基礎調査 米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査

米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査（大フィ …平成20年度地域間交流支援（rit）事業海外基礎調査米国東海岸ヘルスケア関連ハイテククラスター調査