Upload
others
View
3
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
平成31年2月28日
審査員経験者からのアドバイス
カーボンニュートラル・エネルギー国際研究所
特任教授 中嶋 直敏
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
1
自己紹介
略 歴・1986年 九州大学工学部・助教授・1987-1992年 長崎大学工学部・助教授・1993-2004年 長崎大学工学部・教授・2004-2016年 九州大学工学研究院・教授・2017年- 九州大学カーボンニュートラルエネルギー国際研究所・特任教授
専門分野: エネルギー材料化学、超分子科学、高分子化学、ナノカーボン科学
2015.08~2017.07:特別研究員等審査会専門委員及び国際事業委員会書面審査員・書面評価員平成28年度特別研究員等審査会専門委員(書面担当)表彰
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
2
平成31年度採用分 七大学申請・採用状況
SPD
北海道大学 149 36 24.2% 233 46 19.7% 37 7 1 18.9% 419 89 21.2%
東北大学 171 37 21.6% 281 73 26.0% 57 17 1 29.8% 509 127 25.0%
東京大学 711 192 27.0% 925 228 24.6% 230 56 2 24.3% 1866 476 25.5%
名古屋大学 130 31 23.8% 245 52 21.2% 78 20 2 25.6% 453 103 22.7%
京都大学 378 99 26.2% 504 143 28.4% 157 38 1 24.2% 1039 280 26.9%
大阪大学 221 36 16.3% 409 77 18.8% 79 17 2 21.5% 709 130 18.3%
九州大学 166 34 20.5% 209 44 21.1% 41 11 0 26.8% 416 89 21.4%
合計 1926 465 24.1% 2806 663 23.6% 679 166 9 24.4% 5,411 1,294 23.9%
採用内定申請 採用内定 内定率内定率
合計大学名
DC1 DC2 PD
申請 採用内定 内定率 申請 採用内定 内定率 申請
• 東京大学(京都大学)の申請者数に注目!• 九大との院生数の差を差し引いても、突出して多い申請数• まずは申請率アップから!
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
今日の話は2つ:
1. 学振特別研究員に採用されるメリット
2. 学振の採択者がどのようにして決まるのか?
その仕組みを知ること。
3. 今から何をすべきか(どうしたら通るのか)?
今できること、やるべきことは何か? を考えましょう。
3
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
学振特別研究員に採用されるメリット
• 大学時代だけでなく、就職(大学、国の研究所)、民間の会社)を含め、「研究者」として大きなキャリアアップになる。
• 80~100万円の「自分で使える研究費(科研費)」が獲得できる(採択率:大きい)。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 4
採用されなくても、申請することに多大のメリットがある!
•申請書の作成法を学べる(申請書作成能力は、将来にわかり、極めて重要な研究者スキルである)
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
学振の特別研究員の採択まで
仮に採択率を20%とした時のイメージ
・採択(面接なし) 上位10%
・面接候補 上位11%〜30%
・不採択 その他70%
5
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
順位はどのようにして決まるのか?
1人の審査員が短期間におよそ50-70件程度を審査する
ことを十分考慮すること!
審査員になる人はレベルの高い人ー>多忙である!
じっくり(熟読)より、斜め読みかも?
評価は、下記の基準による相対評価である。
最終的にあなたの申請書は、下記のどれかになる!
・S(是非採択すべき:3点) 上位10%
・A(採択すべき:2点) 上位11%〜20%
・B(採択してもいい:1点) 上位21%〜30%
・C (採択に値しない:0点) その他の70%
6
採択には、B評価以上すなわち上位30%以内を目指そう!
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 7
①研究者としての資質 ②研究計画 ③研究計画遂行能力
①~③の項目を
絶対評価により5段階の評点
5:非常に優れている4:優れている3:良好である2:普通である1:見劣りする)
各項目の点数をふまえ総合的に判断、書面審査セット内での相対評価により5段階の評点。
5:採用を強く推奨する(10%)4:採用を推奨する(20%)3:採用してもよい(40%)2:採用に躊躇する(20%)1:採用を推奨しない(10%)
※DCについては研究経験が少ないことから①「研究者としての資質」を重視し、PDについては③「研究計画遂行能力」も重視して評価。
書面審査について
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
審査方針(DC1/DC2)
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 8
①「研究者としての資質」
学術の将来を担う優れた研究者となることが十分期待できること
②「研究計画」
研究計画が具体的であり、優れていること(研究の「ストーリー」が明確に記載されていること。
③「研究計画遂行能力」(H30採用まで:研究業績)
研究計画を遂行できる能力及び当該研究の準備状況が示されていること。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
評価は、何できまるのか?あくまで一審査員の立場から(私の場合)
もちろん申請書に沿って評価されるが、
1. これまでの研究成果
2. これからの研究計画
3. 研究業績(定量的)
(ここも重要だが、これだけでは決まらない!)
9
実はもう一つ重要なことが、
近年(2年前に改訂された)非常に重要なポイントが
4. 指導教授の評価書:2000文字から4000文字に増加!
(draftを書いて、指導教授と相談)
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
研究成果等(研究業績)について
• 業績=客観的指標
• 業績があるに越したことはない。
• 業績を最も重要な審査ポイントとする審査員もいる。
• 一方で、業績がなくても採用されるケースもよくある「研究のストーリが明確」)。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 10
業績がある!
自信を持って。でも油断しない。自分の研究のオリジナリティをしっかりアピール!
業績がまだない…
業績がないぶん、自分の研究を丁寧、わかりやすく、かつ、積極的にアピール。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
業績では:
・ファーストオーサーの論文がある
・国際会議の口頭発表歴がある
・表彰歴がある
11
(指導教授も含め)上記(学振申請)を意識した研究活動を送る
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
今からできること・やるべきこと
3(研究業績)は、直ぐには無理、
1、2、4の最高の申請書を作りましょう。
どうやって(いくつかのポイント)?
審査は、中区分で行われる!
・中区分とは、自分の専門外の人が読むことを念頭に!
多くの分野の審査員(有機化学、無機化学、材料化学、バイオ)にもわかりやすく
・ぎっしり詰まった文字は不可
・概念図(模式図)などが有効!
特にきれいな図は、印象を大きく変える可能性!
12
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
最も重要なのは:
申請研究(博士課程)のオリジナリティ!
なぜ、その着想に至ったのか?
なぜ「基礎研究として」重要か?
どういうは波及効果が考えられるか?
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 13
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
今からできること・やるべきこと
それでは
分野外の人(素人)にもわかりやすくなったか?
ということをどうやって確認するのか?
・できるだけ多くの人に読んでもらう!
ただし読んでもらう人が重要:
1.審査経験のある先生
2.採択経験のある先生(准教授、助教、ポスドク)
3.採択された先輩
しかし、
意見を全部取り入れる必要はなし!
最終的には、自分の判断で取捨選択すること
14
早めに作成して、時間が許す限りバージョンアップを目指す!
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
申請書の分野選びは非常に重要!
勝手にキーワードから選択せずに、必ず指導教授に相談のこと
題目の重要性:
以外と題目一つで印象が大きく変わる!
単純にxxxの研究ではなく、魅力的なテーマにする
例えば
xxを目指した、xxxの新規概念の創出、xxへの挑戦
15
今からできること・やるべきこと
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
この2年
指導教授の評価書が特に重要に!
3年前に文字数が2倍に増加し4000文字に
4000文字は、原稿枚数10枚!
かなり大変
教員まかせにせずに、積極的に書ける題材を申請者の方から提供することが大切!
16
今からできること・やるべきこと
申請者と教員が協力して作り上げることが大事!
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
ちょっとしたテクニック
・白黒でも、カラーでも図は、事前に印刷して確認を
・言葉できるだけ定量的に
・略号の使い方に注意(化学であればHPLCやNMRはok,
しかし、CNTは不可)
また、「投稿中」ではあいまい(どこに投稿?題目は?)
何人中何位とかGPA=3.xxとか具体的に
・TOEICは800以上は強調可
・太文字と下線をうまく使う
・書類上の空白を作らないように微調整
17
今からできること・やるべきこと
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
18
○採用期間中に海外の研究機関等において研究活動(フィールドワーク、資料・文献収集、学会発表等を含む)を積極的に行うことを奨励
○通算渡航期間の上限:採用期間の2/3まで(これまでDCは1/2が上限)(DCの研究指導委託、国際連携専攻履修によるものは通算渡航期間から除外)
3.採用期間中の海外渡航
平成30年度からの変更点(自由度が増します)
4.インターンシップ参加の取扱い
○研究課題の遂行に資する研究トレーニングで、研究遂行に支障のない場合
○所属する大学の長及び受入研究者が承諾した場合
○参加期間:採用期間中の通算6ヶ月以内(これまで3ヶ月以内)
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
19
指導教員・受入教員へのお願い
○該当陰性の応募は「MUST」と捉えて頂きたい。
申請すれば採択率はそれなりに高い。特別研究員の採択数が大学評価の重要な指標の1つとなっています。
○積極的に申請書作成の相談にのり、アドバイスを行ってほしい(「5回以上の往復によりベストの申請書を院生に完成」のサポート)
申請内容、課題の設定研究課題名の設定、分野・分科・細目の選び方申請書作成のアドバイス、申請書の添削
○早めの申請書作成準備を促す。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
20
申請書作成のコツ(まとめ)○分かりやすく近い分野の研究者6名が審査員だが、専門家は1名いるかいないか。研究課題の重要性や専門用語は必ず説明する。
○読みやすく、図を効果的に使うことひとりの審査員が30〜80通もの申請書を審査する。適度な段落分けや箇条書きを使い構造的に書く。適度な余白が好印象。見出し、太字、アンダーラインなどを用い強調点を明確にする。図や表を活用する(但し白黒)。
○フォーマットの指示通りに書く審査員が期待している流れで書く(読みやすさにも通じる)
○学術的な特色を明確に社会的な必要性や夢だけではダメ。あくまでも学術的な特色や独創的な点が評価の中心である。構造的に、論理的に、具体的に書く。
○自己評価は具体的に証拠となる受賞、エピソード、体験などをできるだけ具体的に記述する。
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007
最後に:
とにかく、該当者は「必ず申請すること」
九州大学UIプロジェクト Kyudai Taro,2007 21