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平成 30年度 新潟県中学校教育研究会 五泉市・東蒲原郡 〈 学校保健 〉
1 期 日 平成 30年 10月 29日(月) 13:50~16:40
2 会 場 五泉市立五泉北中学校
3 日 程
13:20 13:50 14:40 14:50 16:35 16:40
受
付
授 業 公 開
3F 特別活動室
移
動
授 業 協 議 会 ・ 全 体 指 導
会議室(第 1理科室、第2理科室、図書室)
閉
会
4 内 容
【授業公開】 (特別活動室)
学年・組 授 業 者 教材・学習内容
2年1組 教 諭 阿部 良美
養護教諭 松原 美紀子
レジリエンスを高め、不安や悩みを柔軟に解決
しよう
5 授 業 協 議 会
【 指 導 者 】 新潟県立教育センター 指導主事 浅沼 文子 様
五泉市教育委員会 指導主事 金 洋輔 様
【 司 会 者 】 五泉市立村松桜中学校 養護教諭 石川 のぞみ
【 研究概要 】 阿賀町立阿賀津川中学校 養護教諭 髙橋 裕香
【 記 録 者 】 阿賀町立三川中学校 養護助教諭 小柳 真帆
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授業協議会 〔14:50~〕
(1)開会のあいさつ 14:50~14:55
(2)研究概要の説明 14:55~15:00
(3)授業について 15:00~15:10
(4)グループ別協議(第1理科室・第2理科室・図書室)
15:10~15:55
(5)グループ協議発表 15:55~16:05
(6)御指導 16:05~16:35
(7)閉会のあいさつ 16:35~16:40
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平成 29 年度・30 年度 研究の概要
五泉市・東蒲原郡中学校教育研究会 学校保健部
1 研究主題
2 主題設定の理由
失敗をすることや辛い思いをすること、人間関係で自分の思いどおりにならないことは誰で
も経験する。これらの経験は、決してマイナスなことばかりではない。精神発達上必要なこと
であり、それを乗り越えることで人間としてよりよく成長できる。
しかしながら、思春期の生徒には、これらが強いストレスとなり、適切に対処ができないこ
とがある。文部科学省「子どもの徳育の充実に向けた在り方について(報告)」(平成 21 年)
の中の「子どもの発達段階ごとの特徴と重視すべき課題」では、青年前期(中学校)の傾向と
して、生徒指導に関する問題行動が表出しやすいことが示されている。また、教育課程部会中
学校会「中学校が直面する諸課題に関する資料」(平成 28 年)では、メンタルヘルス不調の
自覚症状が中学生から高校生になるにつれて上がる傾向が示されている。思春期の生徒の内面
への支援の必要性を裏付けるものである。
右の表1は、五泉市・東蒲原郡の中学
校の生を対象にしたアンケート結果であ
る。約半数の中学生がストレスを感じて
おり、その内の 12.9%の生徒(①+⑧)
がストレスを適切に解消することができ
ていないことが明らかになった。
また、グラフ1は五泉市・東蒲原郡の
各中学校において、保健室の来室生徒数
を調査した結果である。平均して4人に
一人は、「気持ちが悪い」「だるい」な
どと、原因がはっきりしない心因性の理
由によるものとなっている。このように
ストレスを抱えた結果、少しの困難での
リタイヤや反動による安易な SNS への
中傷の書き込みなども見られている。
中学校では、ストレスへの適切な対処
について、第1学年の保健体育科保健分
野「(1)心身の機能の発達と心の健康
エ 欲求やストレスへの対処と心の健
康」において学習をする。しかし、一口
に「不安や悩みに適切に対処する」
と言っても容易なことではない。生徒は頭
ではわかっているものの、実際には困難に
出合ったときにネガティブな感情に支配され、そこから抜け出せない姿が見られる。
そこで、五泉市・東蒲原郡中学校教育研究会学校保健部では、ストレスをしなやかに受け止
め、ネガティブな感情から回復して適切に対処する力「レジリエンス」に着目した。生徒は、
これからも様々な種類のストレスを経験する。そのときにレジリエンスを高めることで、生徒
ある ない
学校でストレスを感じること
はありますか 47.3% 52.7%
あなたはストレスを感じた時はどう対処しますか
(複数回答)
①八つ当たりする 9.0% ⑤寝る 46.8%
②誰かに相談する 29.3% ⑥食べる 20.8%
③体を動かす 26.7% ⑦その他 44.7%
④音楽を聴いたり本を読む 67.2% ⑧無回答 3.9%
表1 五泉市・東蒲原郡中学生アンケート
グラフ1 来室理由の内訳
「自分が分かり不安や悩みを柔軟に解決する生徒の育成」
~ ケーススタディを通して、レジリエンスを高める授業を核として ~
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はストレスを抱え続けることなく、負けずに再起する力を生み出すことができるはずである。
この力の育成を目指し上記の研究主題と副題を設定した。
3 研究仮説
生徒の不安や悩みの受け止めや感情の表し方、対処の仕方(以下「捉え方」)は、それまで
の生育歴により個人毎に異なる。このことを前提としながら、各生徒の考え方や捉え方の違い
を安易に否定せず、互いに聴き合い理解する姿勢が学習の基盤となる。その中で各自の捉え方
の傾向に気づき、他者に学び自分の捉え方をより良いものにすることができれば、生徒は、不
安や悩みをしなやかに受け止め、適切に対処する力を身に付けるのではないかと考えた。
その際に、身近で起こりうる困難な場面を基に自分に適した対処の仕方を学ぶこと(ケース
スタディ)は生徒にとっては大変有効である。身の回りで起きる場面を、同じような経験をす
るであろう生徒同士が経験を伝え、関わり学び合うことで、主体的な学びを生み、多面的に考
える力や、自分にとってより良い対処法を選択する力を育成することができるからである。こ
の力の育成を目指し、上記の研究仮説を設けた。 なお、五泉市・東蒲原郡中学校教育研究会
学校保健部では、研究仮説における生徒の姿を次のように設定した。
(1) 「他との関わり」とは
ア 他の意見を受容的に聞く。
イ 自分の意見をしっかりと伝える。
ウ 他から出た意見を真剣に検討する。
エ 自分の意見と他の意見の共通点を見いだそうとする。
オ 他と協力して課題解決を成し遂げる。
(2) 「不安や悩みをしなやかに受け止め、適切に対応する」とは
ア ストレスを過剰に捉えすぎず、前向きな発想で受け止める。
イ ネガティブな思考や見方を振り返り、自分を高める好機と捉える。
ウ 冷静に判断し適切な言動により対処することができる。
エ 他と協力して問題の解決を図ろうとする。
オ 自己有用感をもち、意欲的に問題の解決を図ろうとする。
五泉市・東蒲原郡中学校教育研究会学校保健部では、授業の中でねらい達成に向けて上記
(1) の学習場面を設定し、(2) を感じとらせる経験を繰り返すことで、生徒のレジリエンスを
育む。
4 研究の概要
(1) 1年次(平成 29 年度)<実態把握、研究主題の設定、第1学年学級活動での授業実践>
① 研究・研修計画の立案 (5月~7月)
② 全中学校を対象にしたレジリエンスに関するアンケートの実施 (7月)
③ レジリエンス教育に係る研修 (8月)
④ アンケート分析・授業案検討 (9月)
⑤ 第1回プレ授業・研究授業指導案の検討 (10月)
⑥ 第2回プレ授業・研究授業指導案の検討 (11月)
⑦ 公開授業 (11月)
⑧ 今年度の振り返り (12月)
ケーススタディを通し、困難な場面に直面した時の自分の捉え方の傾向が分かり
他者との関わりの中で、捉え方を変える方法を考えることができれば、生徒は不安や
悩みをしなやかに受け止め、適切に対応する力を身に付けることができるであろう。
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(2) 2年次(平成 30 年度)<共通実践と公開授業による検証、成果と課題の明確化>
① 研究・研修計画の確認 (4月)
② 各校の取組の確認 (5月)
③ 授業で用いる事例の検討 (5月)
④ 第1回授業案検討 (6月)
⑤ 各校での授業実践とそれを受けた授業改善 (6月~7月)
⑥ 第2回授業案検討 (8月)
⑦ プレ授業、協議会 (9月)
⑧ 研究発表会 (10月)
⑨ 今年度の研究成果と課題について検討会 (12月)
⑩ 平成 31 年度の研究計画の検討 (2月)
成果
ア 生徒は授業を通して、自分の不安や困難の捉え方の傾向を知ることができた。
イ 事例から考え、学び合うという五泉市・東蒲原郡学校保健部の授業スタイルを確立す
ることができた。
ウ 郡市中学校の実態を受けて、部員全員での授業実践及びそれに基づく授業改善ができ
た。特に、2年次公開授業に向けて事前に全中学校で実践し、授業改善ができたことは
養護教諭として貴重な研修の機会となった。
課題
ア 生徒の思考や意識に沿った授業に改善する必要がある。
学習課題の設定で、教師が伝えたいことを生徒が学びたいことに変換し、「自分が分
かり不安や悩みを柔軟に解決するプロセス」を授業で経験させなければならない。
イ 生徒が考えを深める面では改善が見られたが、生徒が自らの生き方と関連づけて考え
る態度の育成については継続して研究する必要がある。
ウ 郡市での取組を、更に各校へ広げたい。2年間の成果を、郡市内のどの学級でも共有
していく必要がある。
(3) 組織
役 割 所 属 ・ 職 名 氏 名
(1)指 導 者 県立教育センター 指導主事 浅沼 文子
(2)研究推進責任者 阿賀町立阿賀津川中学校 養護教諭 髙橋 裕香(郡市中教研学校保健部部長)
(3)会場校責任者 五泉市立五泉北中学校 教 頭 石崎 晃一
(4)県・郡市指導主事 五 泉 市 教 育 委 員 会 指導主事 金 洋輔
(5)研究 推進委 員 五泉市立五泉北中学校 校 長 川 英夫
(授業者) 五泉市立五泉北中学校 養護教諭 松原 美紀子
五泉市立五泉北中学校 研究主任 本間 由美子
五泉市立五泉中学校 養護教諭 長谷川 礼(郡市中教研学校保健部副部長)
五泉市立村松桜中学校 養護教諭 石川 のぞみ
五泉市立川東中学校 養護教諭 畠山 朋子
(会計) 阿賀町立三川中学校 養護助教諭 小柳 真帆
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2年1組 学級活動学習指導案
授業者 教 諭 阿部 良美
養護教諭 松原美紀子
1 題材名 レジリエンスを高め、不安や悩みを柔軟に解決しよう
2 題材の目標
(1)失敗や困難にあうことで、ネガティブな感情の悪循環に陥っても、そこから回復する思
考を身に付けることができる。
(2)ネガティブな感情を持った時でも、困難を解決するための適切な行動を考え、実践しよ
うとすることができる。
3 指導の構想
(1)題材について
本題材は、学習指導要領の学級活動の内容(2)適応と成長及び健康安全〔ア〕思春期
の不安や悩みとその解決、〔キ〕心身ともに健康で安全な生活態度や習慣の形成に関連して
いる。また、1学年で学習する保健分野(1)心身の機能の発達と心の健康〔エ〕欲求や
ストレスへの対処と心の健康にも関連している。
レジリエンスとは、失敗、困難によるネガティブな感情の悪循環に耐える力、そこから
回復する力のことである。「ネガティブな捉え方によってネガティブな感情になる」「行動
や態度は自分で選べる」という点に焦点を当てて、誰もが経験する逆境や困難に負けずに
立ち直ろうとする力を育成したい。
(2)生徒の実態について
2学年に進級しクラス替えがあり、人間関係づくりがうまくいかず悩んでいる生徒が多
く見られた。また、やってみると大きく負荷がかからないことでも「できないかもしれな
い」という不安の強い生徒や困難が目の前にあると頭痛や腹痛などの身体症状が繰り返し
出てしまう生徒もいる。
2年生は昨年、捉え方を「心の声」、捉え方を変えられる言葉を「魔法の言葉」として考
える学習をしている。しかし、1年生の時点では事例から自分のこととして考えることが
難しい生徒もいた。また、1つの事例ではネガティブな感情を共感できず、捉え方を変え
る必要性を感じないため、自分の魔法の言葉を考えられない生徒が見られた。
(3)題材における指導の構想について
物事の捉え方を変えることでネガティブな感情を回復させる方法を身に付けさせるため
に、次の5点を手立てとして指導を行う。
①1年前よりも生活経験が増えた2年生で再度学習し、発達段階に合わせた課題設定に
する。
②共感を引き出すために、2つの事例から自分で選んで考える。
③「友達への励ましの言葉」として考えることで、多様な言葉を出しやすくする。
④ロールプレイで伝え合うことで、感情の変化を体験させ、やり取りの中から新たな言
葉を見つけられるようにする。
⑤学び合いを通して出てきた多くの言葉と自分で考えた言葉を比べることで、よりよい
自分なりの魔法の言葉を考えることで、実生活に活かしていけるようにする。
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4 指導計画
次 学習内容 主な評価の観点
1/2 ○レジリエンスについて復習する。 ○2つの事例から共感できるものを選び、その事例について自分の「心の声」「気持ち」「魔法の言葉」を考える。
【関心・意欲・態度】 ○ネガティブな気持ちを立ち直らせることに関心を持ち、意欲的に授業に参加している。
【思考・判断・実践】 ○自分の「心の声」「気持ち」「魔法の言葉」を考えることができている。
○今後どう活かしていけるか考えることができている。
【知識・理解】 ○ネガティブから立ち直るひとつの方法として、捉え方を変えることで、気持ちが変わってくることを理解している。
2/2
(本時)
○班活動を通して、魔法の言葉を集める。 ・友達に向けた励ましとして魔法の言葉を考える。
・ロールプレイで他の班に伝える。 ・班で共有し、違いを考える。 ○自分の魔法の言葉を再考する。
5 本時の計画
(1)本時のねらい
①ネガティブな気持ちを立ち直らせることに関心を持ち、学び合う中で出てきた多くの言葉と自分の言葉を比べ、自分なりの魔法の言葉をより良いものにすることができる。
②学んだことを、今後どう活かしていけるか考えることができる。
(2)手立て
①友達に向けた励ましの言葉として考えさせることで、多様な言葉を出しやすくする。
②ロールプレイで伝え合い、感情の変化を体験させ、やり取りの中から新たな言葉を見つ
けられるようにする。
③学び合う中で出てきた多くの言葉と自分言葉を比べ、自分なりの魔法の言葉をより良いものにするように考えることで、実生活に活かしていけるようにする。
(3)本時の展開
学習活動 T教師の支援 ○指導上の留意点 資料 評価 導入 5 分
前時を振り 返 る 。(3分) この時間の目標と課題・流れを確認する。 (2分)
○前時で選んだ事例をもとに班編制をしておく。
○前時からのワークシートを配付しておく。 T:前回、ワークシートに記入した「心の声」「気持ち」
「魔法の言葉」はどうだったでしょうか。 S:「どうせうまくならない」「まだあきらめるのは早い」 T:前回考えた魔法の言葉を自分で自分に言えたら、
ネガティブから立ち直れそうですか? S:そんなに気持ちは変わらないかもしれない。 T: を引き続き目標に を考えていきましょう。
流れは、 ①魔法の言葉を集める。 ②集めた魔法の言葉を参考に、もう一度自分の魔法の言葉を考える。 です
<掲示> 目標 課題 流れ
ネガティブな気持ちになっても、そこから立ち直るきっかけを見つけよう。
<事例1> 毎日まじめに部活の練習に取り組んでいるつもりなのに、いつまでも上達しない。 <事例2> 「スマホやゲームばかりしているから、テストでこんな点数しか取れないんだ。」と親に叱られた。
課題:気持ちを変えられる魔法の言葉を考えよう
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学習活動 T教師の支援 ○指導上の留意点 資料 評価 展開 38 分
友達に向けた励ましとして魔法の言葉を班で考 え る 。(8分) ロールプレイで伝えあう。 (10分) 班に持ち帰り共有する。 (8分) 違いを話し 合 う 。(7分) 自分の魔法の言葉を再考する。 (5分)
T:次の手順で魔法の言葉を集めます。 ①他の班の「心の声」「気持ち」に励ましとして魔法
の言葉を班で考える。 ②考えた魔法の言葉をロールプレイで伝える。 ③伝えてもらった言葉を班で共有する。 T:班で資料1をもとに、ネガティブな気持ちになってい
る友達に何と言ってあげるか考えてください。それが魔法の言葉になります。ホワイトボードに書き出してください。
S:「自分が思うよりも上達しているよ」 「親は心配してくれているんだよ」
T:班で「相談する人」「励ます人」に分かれ、相談する
人は他の班に移動します。相談する人は資料2をもとに、励ます人はホワイトボードをもとに、ロールプレイをします。ロールプレイをする中で、新しい励ましの言葉をかけてあげてもいいです。
○資料を読んだだけのやり取りにならないような見本を教師がやって見せる。
S:この言葉は言ってもらえてうれしい。 T:相談する人はホワイトボードを受け取って自分の班に
戻り、どんな励ましをもらったか報告してください。 ○ホワイトボードに書かれていることだけでなく、実際
のやり取りも報告し、ホワイトボードに付け足す。報告している中で新たに出てきた言葉も付け足す。
T:集めた魔法の言葉と、前回自分で考えた魔法の言葉を
比べください。違うものはありましたか。何が違っていたか、班で話し合ってください。
S:同じ意味でも言葉が違っている。具体的にどうすればいいかの言葉がある。
T:もう一度自分の魔法の言葉を考えてワークシートに記入し
ましょう。どうしてその言葉にしたのかも記入してください。 自分で自分にその魔法の言葉が言えたら、ネガティブ
な気持ちから抜け出すきっかけになりそうですか? S:実際に言われてうれしかったこの言葉ならきっかけに
なりそう
<掲示> 手順
<資料 1>励ましを受ける班の心の声と気持ち <掲示><PP>動き説明 <資料 2>自班の心の声と気持ち <PP>報告の仕方 <PP> <ワークシート><PP>
【関心・意欲・態度】 班での話し合いに、自分の考えを持って参加し、多くの魔法の言葉を出そうとしている。 〔観察〕 【思考・判断・実践】 自分の魔法の言葉をよりよくしようと考え、ワークシートに記入している。 〔ワークシート〕 〔観察〕
まとめ 7分
まとめを記入する。(7分)
T:今回は事例をもとに、ネガティブな気持ちになった時、そこから抜け出すきっかけとなる自分の魔法の言葉を考えました。事例とは違う状況でネガティブになることもあります。今回学習したことをどんなふうに活かしていけそうか、ワークシートに記入してください。
S:ネガティブになった時、自分の心の声と気持ちが回復できそうな魔法の言葉を考えて、自分で自分に言うようにする。
T:ネガティブな気持ちになった時の、自分の心の声をし
っかり聞いて、どんな魔法の言葉を自分に言ってあげられるか考えることが大事です。今日たくさん出てきた魔法の言葉も参考にして、自分に自分で言ってあげてください。
そして、他の人に相談する、リラックスするなどの方法も組み合わせて使って、ネガティブな気持ちから立ち直り、よりよい行動につなげていきましょう。
<ワークシート> <PP>
【思考・判断・実践】 学習したことを今後どう活かしていくか考え、ワークシートに記入している。 〔ワークシート〕 〔観察〕
(4)本時の評価 ①自分の魔法の言葉をより良くしようし、今後どう活かしていけるか考えることができ
たか 【思考・判断・実践】 ②ネガティブな気持ちを立ち直らせることに関心をもつことができたか。
【関心・意欲・態度】
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月 日( )
2年 組 名前
【出来事】選んだ方に○をつけてください。
<事例1>
・ 毎日まじめに部活の練習に取り組んでいるつもりなのに、いつまでも上達しない。
<事例2>
・ 「ゲームやスマホばかりしているから、テストでこんな点数しか取れないんだ。」
と親に叱られた。
【気持ち】
【心の声】
【学習したことを、どのように活かせそうですか?】
【わたしの魔法の言葉】
もう一度考えた
【わたしの魔法の言葉】
【どうして、その言葉を「わたしの魔法の言葉」
にしたのですか?】
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補足 <前時の展開>
学習活動 T教師の支援 ○指導上の留意点 ・資料【評価】
導入 5 分
この時間の目標と流れを確認する (5 分)
T:今年も2時間授業をします。どんな内容かというと
を目標に授業をします。 昨年も同じような授業をしましたが、とても大切で身に付けてほしい力なので、昨年授業をしてから 1 年経って、いろいろな経験をして成長してきた 2 年生に、もう一度復習も含めて授業をします。2 時間通してこの目標にたどり着くように、しっかり考えましょう。 今日の流れは ①事例を選んで心の声と気持ちを考える ②魔法の言葉を考える です。 復習をしながら進めていきます。
・目標・流れを 掲示
展開 40 分
事例を選ぶ (5分) 昨年の復習をする(5分) 心の声と気持ちを考える (8分) 心の声と気持ちを発表する (6分) 復習をする。 (8分) 自分の魔法の言葉を考える (8分)
T:今年は事例を2つ用意しました。 「そういうことあるな」と思う事例どちらか選んで、
ワークシートの事例に○をつけてください。 T:出来事があったとき、心の声があって、気持ちが出て
くるのでしたね。 <復習>・心の声と気持ち T:この事例が自分だったら、どんな心の声がしてどんな
気持ちになるのかワークシートに記入してください。 ○今日は自分で自分の心のことを考える時間なので、相談せずに考えるようにさせる。
T:どんな心の声と気持ちだったか発表してください。 ○数人発表させて、ネガティブな気持ちを共有させる。 T:この気持ちのままでいいでしょうか。 ○ネガティブな気持ちから立ち直るために、どうにかし
たいという気持ちを持たせる。 <復習>・ネガティブ感情 ・レジリエンスとは T:ネガティブな気持ちから立ち直るには、どうしたらい
いでしょうか。 心の声が変わることで、気持ちも変わってくるのでしたね。
<復習>・魔法の言葉 T:この事例で自分の心の声に付け加える「魔法の言葉」
を考えてワークシートに記入してください。 ○今日は自分で自分の心のことを考える時間なので、相談せずに考えるようにさせる。
・ワークシート ・PP ・ワークシート 【思考・判断・実践】 自分の選んだ事例について、自分の心の声と気持ちをワークシートに記入している。 〔ワークシート〕〔観察〕 ・PP ・PP ・ワークシート 【知識・理解】 気持ちが変わるように心の声を変えることを理解し、魔法の言葉を考えている。 〔ワークシート〕〔観察〕 【思考・判断・実践】 魔法の言葉を考え、ワークシートに記入している。 〔ワークシート〕〔観察〕
まとめ 5分
今日の授業のまとめと次回の予告 (5分)
T:魔法の言葉を自分で自分に言うことで、ネガティブから立ち直るきっかけになります。
今日は自分で考えましたが、次回の授業ではグループ活動を通してたくさんの言葉を集めて、より気持ちを変えられそうな魔法の言葉を見つけられるようにします。
○ワークシートは回収する。
<評価>
・捉え方を変えることで、ネガティブな感情が回復することを理解しているか。【知識・理解】
・自分の選んだ事例について、自分の「心の声」「気持ち」を書けたか。【思考・判断・実践】
・自分の心の声に付け加える「魔法の言葉」を考えることができたか。【思考・判断・実践】
ネガティブな気持ちになっても、そこから立ち直るきっかけを見つけよう
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県中教研学校保健研究発表会
司会:石川 のぞみ(五泉市立村松桜中学校)
<研究授業> (13:50~14:40 50分)
2年1組 学級活動 阿部教諭・松原養護教諭
~ 休憩 ~ (14:40~14:50 10分)
<協議会>
1 開会の挨拶 ( 来賓紹介・指導者紹介含む )
会場校校長 川 英夫(五泉市立五泉北中学校長)
※ 御来賓
新潟県中学校教育研究会 地区会長 本間 道夫(新発田市立猿橋中学校長) 様
新潟県中学校教育研究会 地区幹事 梅田 茂明(新発田市立猿橋中学校) 様
学校保健全県部長 相馬 明子(村上市立朝日中学校) 様
2 研究概要の説明 (14:55~15:00 5分)
郡市中教研学校保健部長 髙橋 裕香 (阿賀津川中学校)
3 授業者から (15:00~15:10 10分)
教 諭 阿部 良美 (五泉北中学校)
養護教諭 松原美紀子 (五泉北中学校)
4 協議
(1)グループ協議 (15:10~15:55 45分)
①生徒同士の学び合う活動が、本時のねらいにせまる活動になっていたか
②より良い自分なりの魔法の言葉を考えさせることは、実生活に活かしていくこと
に有効だったか
(2)グループ協議発表 (15:55~16:05 10分)
5 御指導
県立教育センター指導主事 浅沼 文子 様 (16:05~16:25 20分)
五泉市教育委員会指導主事 金 洋輔 様 (16:25~16:35 10分)
6 閉会の挨拶 (16:35~16:40 5分)
郡市中教研学校保健副部長 長谷川 礼 (五泉市立五泉中学校)
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資料1(五泉市東蒲原郡中教研学校保健部の研究の概要 補足)
研究の柱 実践の場面(括弧は授業時数) 検証の方法
A 発達段階に応じた子ど
もの姿を設定する。
① 学級活動(ケーススタディ)
・レジリエンスの理解(1)
・自分の捉え方の傾向の理解
(1)
② 保健体育(ケーススタディ)
・ストレスへの対処と健康に
ついての学習(1)
① 学級活動(ケーススタディ)
・自分の捉え方を変えること
によるネガティブな感情の
解消(1)
① 学校行事の取組を通しての
支援
①1 a~eのいずれかを読み
取れるワークシート
①2 ケーススタディの有効性
②1 ケーススタディの有効性
①1 a~eのいずれかを読み
取れるワークシート
①2 ケーススタディの有効性
B 健康相談の充実
レジリエンスの視点か
ら保健室運営と保健教育
の充実を図る。
生徒向け・保護者周知
① 健康相談におけるレジリエ
ンスの視点を生かした支援
・ 来室カードの工夫
・ 掲示物の工夫
・ 具体的な声かけ
・ 面談時の配慮
・ レジリエンス教育の発信
特定の子どもの変容から検証す
る
①1 自分の思いを表出できる
形式で作成する。
①2 掲示物を活用しながら自
分自身で解決するように導
く。
以下のC,Dについては、五泉市立五泉北中学校が先行で取り組み成果を検証しながら学校保健部とし
て順次導入していく。
C 特別活動等を通して、
自分を理解し他者と関わ
る経験からレジリエンス
を育成する。
1年
・体育祭と合唱コンクール、
いじめ見逃しゼロスクール
での事前事後の話し合い
具体的事例から検証する
振り返りシートにより、取組
についても様々な受け取り方が
あることに気付く。
1年
・自分の捉え方の傾向
を知る。
・捉え方は、人によっ
て様々であること
を知る。
2年
・自分の捉え方を変え
ることでネガティ
ブな感情から抜け
出し適切な対処が
できる。
↓ 学級活動
3年
・実生活の中でレジリ
エンスを活用し課題
解決をする。
↓ 健康相談活動の充実
↓ 特別活動・学校行事での全校体制での取組
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2年
・体育祭と合唱コンクール、
いじめ見逃しゼロスクール
での振り返り
3年
・体育祭と合唱コンクール、
いじめ見逃しゼロスクール
での振り返り
活動の過程で生まれる様々なス
トレスをしなやかに受け止め、
適切に対処することができる。
他者との関わりの中で自分を
取り巻く問題にどのように関わ
り解決したかを振り返りシートで
整理することができる。
D 市学校保健部を中心と
したレジリエンス教育の
理解と充実を図る。
① レジリエンス教育に係る研修
会の実施
② 中学校区の小中学校での連携
①1 市学校保健部で研修会行う
。
①2 本研究会への参加・協力
②1 養護教諭部会でのレジリエ
ンス教育の視点からの情報交
換を行う。
↓ 市・中学校区小中学校での取組
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資料2(保健室掲示物例)
保健室内や廊下の掲示
板を活用して、各校で共通
して壁面を作成しました。
これらの掲示物を利用し
て、保健室来室生徒の対応
で活用したり、「レジリエ
ンス」という言葉が自然に
目に入ることで身近に感
じたり、考えるきっかけに
なるよう工夫しました。
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資料4 五泉市立五泉北中学校 校内研修計画抜粋
平成30年度 五泉北中学校 レジリエンス教育に係る校内研究計画の概要
研究推進委員会
1 研究主題
主体的に学ぶ生徒の育成
~学び合いを通して~
2 主題設定の理由
生徒の学習態度はおおむね良好であり、基礎的な知識が身につきつつあるものの発展的な課題に対して
対応する力まではついていない。また、授業改善の取組として講義型学習スタイルではなく、FT(ファシ
リテーション)・ワークショップ型を取り入れた学び合いの授業に重点を置いてきた。対話を通して深い学
びができることで、より主体的に学ぼうと意欲をもつ生徒の育成につながると考える。さらに、生徒の中に
は少しの負荷がかかると簡単にあきらめ生徒が散見される。昨年度は学習活動の家庭でも、課題を見た段階
で解決しようとしない生徒が見られた。前年度より新潟県中学校教育研究会指定学校保健の研究に取り組ん
でいる。学校保健部、特別活動部と連携して、失敗や落ち込みから立ち直るためにあきらめない柔軟な心を
育てるレジリエンスを育成してきた。学び合いの充実に取り組む中で学び合いの質を高め、主体的に学習す
る生徒の育成を組織的、多角的に取り組ために上記の主題を設定した。
3 研究方法
グランドデザインにある「知」「徳」「体」それぞれの教育活動において、研究主題を意識した取り
組みを行い研修する。
「徳」の分野
(1)月に2回は学年共通の資料を使っての授業を行う。また、その成果や課題を振り返り、資料として蓄
積する。(月1回は各学年の道徳担当が提案する)
(2)各学年で、年間1回は学年内での授業研究を行う。また、教科化に伴う取組の研修を行う。
(3)道徳の時間での見取りの積み重ねと同時に、さまざまな体験活動を中心とした教育活動における生徒
の記録や自己評価なども取り入れながら、年間を通して道徳性の変容を見取る。
(4)QUに基づく、学級経営の見直しを行う。
(5)いじめ根絶に向けた全校体制の取組ための研修を行う。
(6)レジリエンス教育の取組ついて共通理解を図る。またその視点を取り入れた支援を通して、生徒の変
容を見取る。
4 日程・内容
(1)月例教科部会 5月より毎月実施
(2)1人1実践
10月11日(木)特別支援学級・・・「ネガティブな気持ちから立ち直るきっかけを見つけよう」
(3)全体研究授業
6月25日(月)市教委訪問・・・・・・・・「社会」鶴巻先生
≪10月26日(金)・・・・・・・・・・・・・「理科」(重点教科訪問)≫
≪10月29日(月)・・・・・・・・・・・・・「学活」(県中教研指定・学校保健)≫
(4)道徳 長期休業中
(5)Q-U 研修 長期休業中
(6)いじめ 長期休業中
(7)ICT教育・視聴覚機器活用について 長期休業中
(8)特別支援関係 長期休業中
(9)レジリエンス教育 全職員による研修①・・・・8月下旬
研究推進部会・・・・・・・10月上旬
全職員による研修②・・・・10月中旬
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レジリエンス教育に係る教育計画(抜粋)
教科 単元配列表 レジリエンスに係る部分…(※)
道徳 年間指導計画 レジリエンスに係る部分…(※)
1年
2年
3年
1年
2年
3年
10 11 12 1 2 3
保
健体
育
体育
柔道 ダンス 器械運動 バスケットボール バドミントン
柔道 器械運動 バスケットボール・バドミントン
選択【柔道・ダンス】 器械運動 選択【バスケットボール・バドミントン】
保健
心身の発達と心の健康(※)
健康と環境 傷害の防止
4月 5月 6月 7月 8・9月 10月1-(1) 中学生活のスタート
4-(4) ちょっと待て!
3-(2) そよそよ山 4-(3) なくなった雨傘
2-(2) ある日の教室から
3-(3) 二度と通らない旅人
1-(5) お前のカ ワウソが淋
しがっているゾ
2-(5) 勝手に しろ(※)
4ー(5) 芝浜
4-(3) いじめ防止講演会
2-(5) 一本の手ぬぐ い
1-(1) 夢を支える
4-(4) クラ スのまとまり
4-(7) 後藤さんありがとう 2-(4) 雪の日のオルゴール
4-(3) いじめについて考える
4-(3) エイ ズと生きる
3-(1) 臆病者
1-(1) 食生活の知恵
4-(5) 職場体験レポート
4-(3) いじめ防止講演会
2-(5) ひとりひとりはみな違
う
1-(1) 欠席した期末テスト
4-(1)二通の手紙
1-(5) 虎
4-(2) 助け合い
4-(2) 救われた気持ち
4-(4) 明かりの下の燭台
4-(3) 豊かなれ阿賀の流れよ
~新潟水俣病の苦悩を乗り越
えて~
3-(1) いのちをつなぐ
1-(2) 果てなき夢(※)
4-(5) 母から学んだボラ ン
ティアの心
4-(3) いじめ防止講演会
2-(6) 苦い涙
2-(3) そのとき、友は-
11月 12月 1月 2月 3月人権教育同和教育
4-(6) 母の背中
3-(1) お母さんへの手紙
1-(5) ちびた鉛筆の教え
1-(2) 走れノ ン コ(※)
3-(1) スクープ写真
4-(1) オーストリアの鱒川
2- (6) 祖父の贈り物
4-(10) アンニョ ハセヨ
4-(2) サポーター
4-(8) 郷土芸能クラ ブ
人権同和教育
2-(3) 吾一と京造
4-(3) バス停でのでき事
1-(3) 佐藤さんの顔を思い浮
かべながら
3-(3) 足袋の季節(※)
1-(4) 人類の恩人~アン
リー・デュナン~
3-(1) エルマおばあさんから
の「最後の贈りもの」
2-(6) いくさが置いていった
贈り物
4-(6) 家族の一員として
3-(3) 償い
1-(5) バッチ コー イ (※)
4-(10)みんなで生きるために
人権教育同和教育
4-(6) お母さん、ぼくが生ま
れてごめんなさい
2-(2) 天ぷらそば
1-(4) 命のビザ
3-(3) 揚げ餅(※)
3-(1) 語りかける目
2-(5) 短い鉛筆
4-(10) 大人たちの都合で
無数の子どもの命が・・・
4-(7) 泉のおきて
1-(4) 風に立つラ イ オン
3学年
1学年
2学年
3学年
1学年
2学年
研究協議会の進め方
【個人作業】
授業を参観しながら、上記1・2の視点で気付いたこと、思ったことを付箋に記入
してください。(良かったこと・有効だったこと・疑問点・改善点など)
【グループ協議の進め方】
※ファシリテーション:KPT法
「K:keep=良い点・今後も続ける」「P:problem=課題・問題」「T:try=今後試すこと・改善策」
①(授業参観中に書ききれなかったことを付箋に書く。)
②ファシリテーターから右回りに自己紹介し、各グループの用紙の一番左側のフレー
ム(下記)に、付箋を貼りながら読み上げる。似ている内容は近くに貼っていく。
③ファシリテーターが進行役となって話し合い、K・Pのフレームにマジックで記入
する。 K=良いところは何か? P=課題は何か?
④今後の改善策・修正方法などを話し合い、Tに記入する。
⑤全体発表:1分半程度×代表3グループ
グループでの話し合いの結果をK→P→Tの順で発表する。
(フレームワークイメージ)
授業はどうだったか? K:良いところは?
・○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○
T:改善・解決策は?
・○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○
P:課題は?
・○○○○○○○○○○
・○○○○○○○○○○
研究主題
自分が分かり、不安や悩みを柔軟に解決する生徒の育成
~ケーススタディを通して、レジリエンスを高める授業を核として~
本時のねらい
・ネガティブな気持ちを立ち直らせることに関心を持ち、学び合う中で出てきた多
くの言葉と自分の言葉を比べ、自分なりの魔法の言葉をより良いものにすること
ができる。
・学んだことを、今後どう活かしていけるか考えることができる。
協議会の視点
1 生徒同士の学び合う活動が、本時のねらいにせまる活動になっていたか。
2 よりよい自分なりの魔法の言葉を考えさせることは、実生活に活かしていく
ことに有効だったか。