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外来~5日間の入院スケジュール カニューレ 交換 医師 DMチーム看護師《介入のポイント》 外来 患児が気にしていることや生活状況を情報収集 CSII 装着 CSII概略 インスリン設定原則 カーボカウント 必要インスリン計算 ポンプ操作 カーボカウント法 交換 ポンプアラーム対応 日常生活上の注意 シックデイ 緊急時対応 退院 交換 復習・理解度確認 1週間後再診 手技や疑問点などフォロー 外来 インスリン調整指導 (特にイベント時) 小児科外来看護師・小児救急認定看護師と情報共有 進学などの環境変化時のフォロー 【はじめに】 CSIIとカーボカウント療法とは? CSII(インスリンポンプ療法)・カーボカウント療法導入パスの作成 富山県立中央病院 看護部2階南・GCU病棟 稲垣 愛美 室林 みのり 池田 芽久実 井黒 昌枝 天池 紗矢華 高畑 聖子 松井 弘美 小児科 五十嵐 登 併用することで 成長期の様々な問題を抱える患児の 血糖コントロールに有効 小児の成長発達段階をふまえ これまでの日常生活に大きな 変化を与えずに導入することを目指し、パスを作成しました 【作成】 ▼ パス作成に至った背景・・・ 【考察】 【結論】 【運用】 ●今後の課題 4例の患者に使用(4歳♂ 9歳♂ 11歳♀ 12歳♀) 最近では、平成28年8月 11歳♂・11月14歳♂に導入 →パスを応用し、カーボカウント療法とCSIIを段階的に導入 平成27年8月より使用開始 小児1型糖尿病の管理の特徴 成長発達段階を考慮した介入方法が必要 管理の移行期には患児・家族間の管理の主体のバランスが 難しい問題 最終的には患児が自分で考えて管理していく必要があり、 医療者が客観的な視点からバランス調整を行う必要がある ●成長発達段階で異なる特徴と関わり 特に、管理の主体が移行することが多い学童期以降は、患児と家族の関係性に も配慮しました。 また、同じアウトカムでも成長発達段階の特徴をふまえると具体的な行動は異 なり、患児が自分でできるよう、家族には治療の中心ではなく緊急時のサポー ト役としての役割を明確化して指導したことで、患児の自主性を高めることに 繋がりました。 すぐに付けて 触りながら覚える つまずきやすい 交換を多めに練習 入院前から関わり、個別性のある指導計画に反映 導入期 アウトカム 1.CSIIのメリット・デメリットを知る 2.ポンプの基本操作ができる 3.穿刺/カニューレ交換ができる 4.カーボカウントを理解し実践できる 5.インスリンのベーサル設定やボーラス投与ができる 6.専用記録用紙に記録できる 退院期 アウトカム 1.基本的なトラブルに対応し相談・連絡先を理解できる 2.ポンプトラブル時にペン治療に復帰できる 3.ベーサル設定・インスリンカーボ比・ インスリン効果値を理解し、実践できる 4.学校との情報共有・協力体制が得られる 5.外来受診時の支援内容が調整できる 実践的な内容 が中心 自信を持って 管理できる 外来部門に情報提供 定期的に外来訪問 いつでも相談でき安心して続けられる体制を提供 基礎 応用 トラブル対応 外来治療 初回の指導から触ってもらう 遊びを取り入れ入院・指導に よる疲れ・ストレスを解消 皮膚トラブル対応 普段着や制服で普段通りの生活 動機付け支援 「だれでもできる」支援 ・指導は基礎から応用へ段階的に進め、初回の指導からポンプに触れてもらい、医療者は主に確認を行いました ・短期間でも自信を持って管理できるよう計画し、安心して続けられる体制を整えました 【CSII:インスリンポンプ療法】 インスリンを電動ポンプを用いて 持続的に皮下注入する治療法 7.5カーボ 【カーボカウント療法】 食事中の糖質のみに注目し 必要インスリン量を算出する治療法 ・生理的な分泌に近いインスリン投与が可能 ・頻回の投与でも痛みを伴わない ・インスリン量の細かい投与が可能 ・食事量や摂取時間に自由を持たせられる 小児糖尿病におけるCSIIのメリット 例えば2,3歳だと、 0.5単位の投与で 血糖値が100も 変動する! ・重症低血糖・無自覚性低血糖の頻度が低下する ・血糖値の変動が改善する ・合併症の発症・進展が阻止できる 患児・家族ともにQOLが向上する!! 運動・部活・習い事 学校イベント時などへの応用 学校や幼稚園・保育所との カンファレンス 自宅での調整方法 物品の管理方法 介入のポイントを モジュール・経過表に このように反映しました インスリン量の計算に 必要な設定値 動機付け支援 「だれでもできる」支援 イラストや図を取り入 れ、だれでもできる! 患児も 家族も スタッフも 導入期と退院期にモジュールを分けてアウトカムを設定 トラブル発生時にすぐに相談できる医療者の存在 総合病院では小児科病棟のCSIIやカーボカウントの知識を持ったスタッフが24時間対応する ことは難しく、救急外来スタッフへの情報提供・指導、小児科外来との連携が課題 外来での継続的なフォロー体制 退院後に起りやすい皮膚トラブルや進学時の調整、生活上の様々な相談対応を信頼関係を築い た特定のスタッフが対応できるような体制を整える それぞれの発達段階に合わせて変更していくこと 乳児・幼児・学童・思春期それぞれで管理の主体が異なるため、成長発達段階や個別性を考慮 したかたちに見直していく 外来での導入パスへの応用 CSII・カーボカウントだけでなく、CSIIに付属したSAP(血糖モニタリングシステム)など も、段階的に外来で指導し、入院せずに短期間でできるだけ負担なく導入できるよう計画 症例数が少ないため、パスを作成したことで医療者 の指導内容や指導技術の知識の維持に繋がった 実践的な内容を中心に指導を行ったことで、短期間 でも退院後の自己管理に自信を持つことができた 「患者用記録用シート」 には日々の振り返り欄 を設け、一緒に確認した 「入院時に振り返りシート」を 入院時に使用し、きっかけや 不安を確認したことで、動機や 不安の明確化に繋った 視覚的に捉えられるよう 色分けした記入欄のそ れぞれの色をリンクさせ、 困難感を軽減 退院後のアンケートでも手技や 計算などの実践的な内容が良 かったという結果。 患児・家族ともに8割以上の満 足度でした! 発症してすぐは 母親や家族が 管理の主体 発症 成長発達と共に 患児が自分で考えて 管理していく

CSII(インスリンポンプ療法)・カーボカウント療法導入パ …CSII・カーボカウントだけでなく CSIIに付属したSAP(血糖モニタリングシステム)など

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  • 外来~5日間の入院スケジュール カニューレ

    交換 医師 DMチーム看護師《介入のポイント》

    外来 患児が気にしていることや生活状況を情報収集

    CSII 装着

    CSII概略 インスリン設定原則

    カーボカウント 必要インスリン計算

    ポンプ操作

    カーボカウント法

    交換

    ポンプアラーム対応 日常生活上の注意

    シックデイ

    緊急時対応

    退院 交換 復習・理解度確認

    1週間後再診 手技や疑問点などフォロー

    外来 インスリン調整指導 (特にイベント時)

    小児科外来看護師・小児救急認定看護師と情報共有 進学などの環境変化時のフォロー

    【はじめに】 CSIIとカーボカウント療法とは?

    CSII(インスリンポンプ療法)・カーボカウント療法導入パスの作成

    富山県立中央病院 看護部2階南・GCU病棟 稲垣 愛美 室林 みのり 池田 芽久実

    井黒 昌枝 天池 紗矢華 高畑 聖子 松井 弘美 小児科 五十嵐 登

    併用することで 成長期の様々な問題を抱える患児の 血糖コントロールに有効

    小児の成長発達段階をふまえ これまでの日常生活に大きな 変化を与えずに導入することを目指し、パスを作成しました

    【作成】

    ▼ パス作成に至った背景・・・

    【考察】

    【結論】

    【運用】

    ●今後の課題

    4例の患者に使用(4歳♂ 9歳♂ 11歳♀ 12歳♀)

    最近では、平成28年8月 11歳♂・11月14歳♂に導入

    →パスを応用し、カーボカウント療法とCSIIを段階的に導入

    平成27年8月より使用開始

    小児1型糖尿病の管理の特徴

    成長発達段階を考慮した介入方法が必要 管理の移行期には患児・家族間の管理の主体のバランスが難しい問題

    最終的には患児が自分で考えて管理していく必要があり、医療者が客観的な視点からバランス調整を行う必要がある

    ●成長発達段階で異なる特徴と関わり

    特に、管理の主体が移行することが多い学童期以降は、患児と家族の関係性にも配慮しました。 また、同じアウトカムでも成長発達段階の特徴をふまえると具体的な行動は異なり、患児が自分でできるよう、家族には治療の中心ではなく緊急時のサポート役としての役割を明確化して指導したことで、患児の自主性を高めることに繋がりました。

    すぐに付けて 触りながら覚える

    つまずきやすい 交換を多めに練習

    入院前から関わり、個別性のある指導計画に反映

    導入期 アウトカム 1.CSIIのメリット・デメリットを知る 2.ポンプの基本操作ができる 3.穿刺/カニューレ交換ができる 4.カーボカウントを理解し実践できる 5.インスリンのベーサル設定やボーラス投与ができる 6.専用記録用紙に記録できる

    退院期 アウトカム 1.基本的なトラブルに対応し相談・連絡先を理解できる 2.ポンプトラブル時にペン治療に復帰できる 3.ベーサル設定・インスリンカーボ比・ インスリン効果値を理解し、実践できる 4.学校との情報共有・協力体制が得られる 5.外来受診時の支援内容が調整できる

    実践的な内容が中心

    自信を持って 管理できる

    外来部門に情報提供 定期的に外来訪問 いつでも相談でき安心して続けられる体制を提供

    基礎

    応用 トラブル対応

    外来治療

    初回の指導から触ってもらう

    遊びを取り入れ入院・指導による疲れ・ストレスを解消

    皮膚トラブル対応

    普段着や制服で普段通りの生活

    動機付け支援

    「だれでもできる」支援

    ・指導は基礎から応用へ段階的に進め、初回の指導からポンプに触れてもらい、医療者は主に確認を行いました ・短期間でも自信を持って管理できるよう計画し、安心して続けられる体制を整えました

    【CSII:インスリンポンプ療法】 インスリンを電動ポンプを用いて 持続的に皮下注入する治療法

    7.5カーボ

    【カーボカウント療法】 食事中の糖質のみに注目し 必要インスリン量を算出する治療法

    ・生理的な分泌に近いインスリン投与が可能 ・頻回の投与でも痛みを伴わない ・インスリン量の細かい投与が可能 ・食事量や摂取時間に自由を持たせられる

    小児糖尿病におけるCSIIのメリット

    例えば2,3歳だと、 0.5単位の投与で 血糖値が100も 変動する!

    ・重症低血糖・無自覚性低血糖の頻度が低下する ・血糖値の変動が改善する ・合併症の発症・進展が阻止できる

    患児・家族ともにQOLが向上する!!

    運動・部活・習い事 学校イベント時などへの応用

    学校や幼稚園・保育所との カンファレンス

    自宅での調整方法 物品の管理方法

    介入のポイントを モジュール・経過表に このように反映しました

    インスリン量の計算に 必要な設定値

    動機付け支援 介入の2つの柱!

    「だれでもできる」支援

    イラストや図を取り入れ、だれでもできる!

    患児も 家族も スタッフも

    導入期と退院期にモジュールを分けてアウトカムを設定

    トラブル発生時にすぐに相談できる医療者の存在 総合病院では小児科病棟のCSIIやカーボカウントの知識を持ったスタッフが24時間対応することは難しく、救急外来スタッフへの情報提供・指導、小児科外来との連携が課題

    外来での継続的なフォロー体制 退院後に起りやすい皮膚トラブルや進学時の調整、生活上の様々な相談対応を信頼関係を築いた特定のスタッフが対応できるような体制を整える

    それぞれの発達段階に合わせて変更していくこと 乳児・幼児・学童・思春期それぞれで管理の主体が異なるため、成長発達段階や個別性を考慮したかたちに見直していく

    外来での導入パスへの応用 CSII・カーボカウントだけでなく、CSIIに付属したSAP(血糖モニタリングシステム)なども、段階的に外来で指導し、入院せずに短期間でできるだけ負担なく導入できるよう計画

    症例数が少ないため、パスを作成したことで医療者の指導内容や指導技術の知識の維持に繋がった

    実践的な内容を中心に指導を行ったことで、短期間でも退院後の自己管理に自信を持つことができた

    「患者用記録用シート」には日々の振り返り欄を設け、一緒に確認した

    「入院時に振り返りシート」を入院時に使用し、きっかけや不安を確認したことで、動機や不安の明確化に繋った

    視覚的に捉えられるよう色分けした記入欄のそれぞれの色をリンクさせ、困難感を軽減

    退院後のアンケートでも手技や計算などの実践的な内容が良かったという結果。 患児・家族ともに8割以上の満足度でした!

    発症してすぐは 母親や家族が 管理の主体

    発症

    成長発達と共に 患児が自分で考えて

    管理していく

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