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148. 染色体の特定領域に対するレトロウイルスゲノムの組み込み指向性の 分子機構の解明 鈴木 陽一 Key words:レトロウイルス,ゲノム組み込み,ラミナ関連蛋 白質,BAF,LAP2α 京都大学 ウイルス研究所 附属新興 ウイルス感染症研究センター 宿主要因 解析チーム 国際合同エイズ計画 (UNAIDS) の発表によると,2007 年の時点で世界のヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiency virus : HIV) 感染者は推定 3,120 万人にのぼる.近年は,複数の抗 HIV 剤を併用するカクテル療法の効果もあり,エイズに よる死亡者数は減少傾向にあるが,それでも HIV 感染症は人類が克服しなければならない重要な疾患のひとつである.HIV が属するレトロウイルスの特徴として,逆転写酵素反応によって合成されたウイルス DNA を感染細胞の染色体に組み込むことが あげられる 1) .この現象はインテグレーションとよばれ,外来遺伝子の安定な導入を可能にすることから,レトロウイルスを遺伝子 治療のためのベクターとして用いる試みが世界中で行われている.しかし,最近の研究で,感染細胞内でウイルスゲノムはラン ダムにインテグレーションされるのではなく,活発に発現している遺伝子や遺伝子発現調節領域に多く組み込まれることがわかっ てきた 2) .実際に,レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療の結果,ベクター遺伝子がオンコジーンのプロモーター領域に組 み込まれたことに起因する白血病が報告されている 3) .また,インテグレーションを触媒するウイルス性酵素・インテグレースは標 的 DNA への配列特異性をもたないことから,レトロウイルスゲノムの組み込み領域指向性はインテグレース以外の因子によって 引き起こされる可能性が高い.我々はこれまでに,細胞核のラミナ構造を構成する barrier-to-autointegration factor (BAF) および lamina-associated polypeptide 2α (LAP2α) という二種類の蛋白質がマウス白血病ウイルス (murine leukemia virus : MLV) のウイルス DNA と感染細胞内で高分子複合体を形成し,MLV のインテグレーション活性を制御することを明 らかにしてきた 4) .HIV の感染では BAF や LAP2α だけでなく,別のラミナ関連蛋白質である emerin が関与することも報告さ れている 5) .ラミナ関連蛋白質はクロマチンに結合するだけでなく,遺伝子の発現にも影響を及ぼすことが知られていることか ら,BAF や LAP2α といった因子がウイルスゲノムとインテグレースをクロマチンの特異的な領域 (例えばプロモーター領域な ど) に会合させ,その結果,レトロウイルスのインテグレーション領域選択性を生み出していることが推測される.本研究では, この可能性をゲノムワイドに調べるための解析システムの確立を行った. 方法および結果 ヒストンや転写因子のクロマチン上の結合状態の解析にはクロマチン免疫沈降法 (chromatin immunoprecipitation : ChIP) が一般的に使われている.最近では,クロマチン結合性因子の染色体における分布をゲノムワイドに把握するために,ChIP で 特異的に回収された DNA (ChIP DNA) を高密度 DNA タイリングアレイにハイブリダイズする ChIP-on-chip 法 6) ,さらに は ChIP DNA の配列を次世代シークエンシングシステムによって直接解読する ChIP-Seq 法 7) などが開発されている.本研究 の目的は,BAF や LAP2α のクロマチンにおける分布状態がレトロウイルスインテグレーションの指向性に及ぼす影響を明らかに することであるから,ChIP-on-chip や ChIP-Seq などをラミナ関連蛋白質にも応用することは極めて有益なことである.しか し,BAF や LAP2α に関しては,このようなゲノムワイド解析システムへの応用を目的とした ChIP はまだ確立されていない. ChIP を行う上で最も重要なのは標的蛋白質に対する抗体の特異性である. そこで,BAF に対する抗体の検討を行った.クロ マチンを含む NIH3T3 細胞の溶解液は Doner らの報告 8) に従って調製したが,細かな条件は改変を要した.ChIP は抗 BAF マウスモノクローナル抗体 (clone M2,Abnobva 社),ならびに BAF の部分ペプチドで免疫したウサギの抗血清から精製した ポリクローナル抗体を用い,抗体が結合したクロマチン DNA 複合体は Dynabeads Protein G (インビトロジェン社) によって 上原記念生命科学財団研究報告集, 23(2009) 1

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148. 染色体の特定領域に対するレトロウイルスゲノムの組み込み指向性の分子機構の解明

鈴木 陽一

Key words:レトロウイルス,ゲノム組み込み,ラミナ関連蛋白質,BAF,LAP2α

京都大学 ウイルス研究所 附属新興ウイルス感染症研究センター 宿主要因解析チーム

緒 言

国際合同エイズ計画 (UNAIDS) の発表によると,2007 年の時点で世界のヒト免疫不全ウイルス (human immunodeficiencyvirus : HIV) 感染者は推定 3,120 万人にのぼる.近年は,複数の抗HIV剤を併用するカクテル療法の効果もあり,エイズによる死亡者数は減少傾向にあるが,それでも HIV 感染症は人類が克服しなければならない重要な疾患のひとつである.HIVが属するレトロウイルスの特徴として,逆転写酵素反応によって合成されたウイルス DNA を感染細胞の染色体に組み込むことがあげられる 1).この現象はインテグレーションとよばれ,外来遺伝子の安定な導入を可能にすることから,レトロウイルスを遺伝子治療のためのベクターとして用いる試みが世界中で行われている.しかし,最近の研究で,感染細胞内でウイルスゲノムはランダムにインテグレーションされるのではなく,活発に発現している遺伝子や遺伝子発現調節領域に多く組み込まれることがわかってきた 2).実際に,レトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療の結果,ベクター遺伝子がオンコジーンのプロモーター領域に組み込まれたことに起因する白血病が報告されている 3).また,インテグレーションを触媒するウイルス性酵素・インテグレースは標的 DNA への配列特異性をもたないことから,レトロウイルスゲノムの組み込み領域指向性はインテグレース以外の因子によって引き起こされる可能性が高い.我々はこれまでに,細胞核のラミナ構造を構成する barrier-to-autointegration factor (BAF)および lamina-associated polypeptide 2α (LAP2α) という二種類の蛋白質がマウス白血病ウイルス (murine leukemiavirus : MLV) のウイルス DNA と感染細胞内で高分子複合体を形成し,MLVのインテグレーション活性を制御することを明らかにしてきた 4).HIV の感染ではBAF や LAP2α だけでなく,別のラミナ関連蛋白質である emerin が関与することも報告されている 5).ラミナ関連蛋白質はクロマチンに結合するだけでなく,遺伝子の発現にも影響を及ぼすことが知られていることから,BAF や LAP2α といった因子がウイルスゲノムとインテグレースをクロマチンの特異的な領域 (例えばプロモーター領域など) に会合させ,その結果,レトロウイルスのインテグレーション領域選択性を生み出していることが推測される.本研究では,この可能性をゲノムワイドに調べるための解析システムの確立を行った.

方法および結果

ヒストンや転写因子のクロマチン上の結合状態の解析にはクロマチン免疫沈降法 (chromatin immunoprecipitation : ChIP)が一般的に使われている.最近では,クロマチン結合性因子の染色体における分布をゲノムワイドに把握するために,ChIP で特異的に回収された DNA (ChIP DNA) を高密度 DNA タイリングアレイにハイブリダイズする ChIP-on-chip 法 6),さらには ChIP DNAの配列を次世代シークエンシングシステムによって直接解読する ChIP-Seq 法 7)などが開発されている.本研究の目的は,BAFや LAP2α のクロマチンにおける分布状態がレトロウイルスインテグレーションの指向性に及ぼす影響を明らかにすることであるから,ChIP-on-chip や ChIP-Seq などをラミナ関連蛋白質にも応用することは極めて有益なことである.しかし,BAF や LAP2α に関しては,このようなゲノムワイド解析システムへの応用を目的とした ChIP はまだ確立されていない.ChIP を行う上で最も重要なのは標的蛋白質に対する抗体の特異性である. そこで,BAF に対する抗体の検討を行った.クロマチンを含むNIH3T3 細胞の溶解液はDoner らの報告 8)に従って調製したが,細かな条件は改変を要した.ChIP は抗 BAFマウスモノクローナル抗体 (clone M2,Abnobva 社),ならびにBAF の部分ペプチドで免疫したウサギの抗血清から精製したポリクローナル抗体を用い,抗体が結合したクロマチン DNA 複合体は Dynabeads Protein G (インビトロジェン社) によって

 上原記念生命科学財団研究報告集, 23(2009)

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精製した.得られた DNA の量を Quant-iT dsDNA HS Assay Kit (インビトロジェン社) によって測定したところ,モノクローナル抗体を用いた場合にのみ,コントロール抗体よりも有意に多い量のクロマチンDNAが回収できることが明らかとなった (図1a).また,この抗 BAF モノクローナル抗体はヒト由来細胞である HeLa S3 細胞の溶解液を用いた場合でも,コントロール抗体に較べて非常に多くの DNA を回収することが可能であった (図1 b).ウエスタンブロッティングの結果では,この抗体は細胞内のBAF を特異的に検出することができた.よって,この抗体はゲノムワイド解析を目的とした ChIP に適した抗体であることが示された.最終的に,至適化された ChIP を用いてHeLa 細胞より 100 ng のクロマチン DNA を回収し,Solexa 1G GenomicAnalyzer (イルミナ社) による ChIP DNA の大規模シークエンスを行った (株式会社ポストゲノム研究所による受託解析).現在,得られたDNA配列情報のヒトクロマチン上でのマッピング解析を行っている. 一方,LAP2α に対してはモノクローナル抗体が市販されていないため,ウサギポリクローナル抗体 (Abcam社) によるHeLaS3 細胞の ChIP を行った.その結果,コントロール抗体に較べて有意に多くのクロマチン DNA を回収することができたが (図1c),BAF モノクローナル抗体と比較して効率は低く,また高価であることからも,ゲノムワイド解析に必要な大量のDNAを調製するには不向きであった.そこで,N末端側にFLAGエピトープタグ配列を融合した LAP2α (FLAG-LAP2α) を恒常的に発現する NIH3T3 細胞を樹立し,抗 FLAG 抗体による ChIP を試みた.しかし,抗 FLAG 抗体ではコントロール抗体よりも多くのクロマチン DNA を回収することができず,さらには FLAG-LAP2α を発現していない細胞でも非特異的な DNA の回収がみられた (図 1d).したがって,LAP2α に対しては,DNA/蛋白質複合体を特異的に,かつ効率よく回収できるモノクローナル抗体の樹立が必要であろう.

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 図 1. BAF および LAP2α に対する抗体を用いた ChIP の検討.

NIH3T3 細胞 (a,d) および HeLa S3 細胞 (b,c) の溶解液を用いて,抗 BAF抗体 (a,b) もしくは抗 LAP2α 抗体による ChIP をおこなった.回収されたChIP DNAのトータル量 (ng) は Quant-iT dsDNA HS Assay Kit を用いて測定した.各 ChIP は数回おこない,図ではそれぞれの実験の傾向を表す代表的な結果を示した.BAF に対する ChIPではモノクローナル抗体を用いた場合にコントロール抗体に較べて有意に多いChIP DNAが回収された (a,b) が,抗LAP2α ポリクローナル抗体は BAF抗体ほど回収率が高くなかった (c).さらに,FLAG タグを融合した LAP2α を恒常的に発現する細胞を用いて抗 FLAG 抗体による ChIP を試みたが,特異的な ChIP DNA の回収はみられなかった(d).

  次に,RNA 干渉法 (siRNA 法) による BAF もしくは LAP2α のノックダウン細胞を作製し,ウイルス感染後のインテグレーション領域の解析を試みた.siRNA は Stealth RNAi (インビトロジェン社) を用い,NIH3T3 細胞におけるノックダウンを行った.その結果,内在性BAFならびに LAP2α の発現は Stealth RNAによって強く抑制された (図 2).これらのノックダウン細胞に,GFP 遺伝子およびネオマイシン耐性遺伝子をもつMLV を感染させ,感染後,ネオマイシンの存在下で培養した.2週間後,感染細胞の GFP 陽性率をフローサイトメーターで確認したところ,95%以上の細胞が GFP 陽性細胞であった.そして,これらの感染細胞からゲノミック DNA を抽出し,制限酵素で切断後,リンカーアダプターをライゲーションした.その後,ウイルス DNA 特異的なプライマーとアダプター特異的なプライマーを用いて PCR を行い,PCR 産物は pCR2.1-TOPO ベクターにクローニングした 9).現在,各プラスミド DNA に挿入されたウイルス DNA とその近傍のクロマチン DNA の塩基配列をDNAシークエンサーによって解析している.

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 図 2. 感染細胞におけるインテグレーション領域解析のための BAF と LAP2α のノックダウン.

BAF (a) ならびに LAP2α (b) を標的とした Stealth RNA を NIH3T3 細胞にトランスフェクションし,各蛋白質の発現を抗 BAF抗体 (a) もしくは抗 LAP2α 抗体 (b) を用いたウエスタンブロッティング法によって確認した.それぞれの蛋白質は効率よくノックダウンされていることが示されている.これらのノックダウン細胞にMLV を感染させ,現在,インテグレーション領域の変化を解析している.

 

考 察

レトロウイルスゲノムの染色体におけるインテグレーションがランダムでないことは二つの危険性を孕んでいる.ひとつは,発現の活発な遺伝子や遺伝子発現調節領域に多く組み込まれることによって,ウイルスの発現がより活性化されること,そしてもうひとつは,それらの領域にインテグレーションされることで重要な遺伝子の不活化やオンコジーンの活性化が引き起こされることである.HIV のインテグレーションは特に発現遺伝子領域に多いことはよく知られているが,この指向性を生み出す因子として HIV インテグレース結合性因子である LEDGF (lends-epithelium-derived growth factor) が同定されている 10).しかし,LEDGFをノックアウトした細胞でもHIV のインテグレーションはランダムにならず,依然としてプロモーター領域への組み込みが多いことも報告されている 10).このことは,インテグレーション領域指向性を決定する別の因子の存在を示唆するものであるが,その因子はまだ同定されていない.本研究ではBAF もしくは LAP2α がその決定要因ではないかと推測し,これらの因子のクロマチンにおける分布状態とノックダウン細胞でのインテグレーション部位の解析から,包括的にラミナ関連タンパク質の関与を探る.現在結果の解析を行っているが,この研究から得られる知見はレトロウイルスゲノム組み込みの分子メカニズムを解明するだけでなく,より安全なレトロウイルスベクターの開発にも寄与するであろう. 本研究の共同研究者は同研究室の小川加那子である.また,研究の遂行にあたり御助成をいただきました上原記念生命科学研究財団に心よりお礼申し上げます.

文 献

1) Suzuki, Y. & Craigie, R. : The road to chromatin - nuclear entry of retroviruses. Nat. Rev.Microbiol., 5 : 187-196, 2007.

2) Lewinski, M. K. & Bushman, F. D. : Retroviral DNA integration - mechanism and consequences.Adv. Genet., 55 : 147-181, 2005.

3) Hacein-Bey-Abina, S., Von Kalle, C., Schmidt, M., McCormack, M. P., Wulffraat, N., Leboulch, P., Lim,A., Osborne, C. S., Pawliuk, R., Morillon, E., Sorensen, R., Forster, A., Fraser, P., Cohen, J. I., de Saint

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Basile, G., Alexander, I., Wintergerst, U., Frebourg, T., Aurias, A., Stoppa-Lyonnet, D., Romana, S.,Radford-Weiss, I., Gross, F., Valensi, F., Delabesse, E., Macintyre, E., Sigaux, F., Soulier, J., Leiva, L.E., Wissler, M., Prinz, C., Rabbitts, T. H., Le Deist, F., Fischer, A. & Cavazzana-Calvo, M. : LMO2-associated clonal T cell proliferation in two patients after gene therapy for SCID-X1. Science, 302 :415-419, 2003.

4) Suzuki, Y., Yang, H. & Craigie, R. : LAP2α and BAF collaborate to organize the Moloney murineleukemia virus preintegration complex. EMBO J., 23 : 4670-4678, 2004.

5) Jacque, J. M. & Stevenson, M. : The inner-nuclear-envelope protein emerin regulates HIV-1infectivity. Nature, 441 : 641-645, 2006.

6) Nègre, N., Lavrov, S., Hennetin, J., Bellis, M. & Cavalli, G. : Mapping the distribution of chromatinproteins by ChIP on chip. Methods Enzymol., 410 : 316-341, 2006.

7) Barski, A. & Zhao, K. : Genomic location analysis by ChIP-Seq. J. Cell Biochem., 107 : 11-18, 2009.8) Dorner, D., Vlcek, S., Foeger, N., Gajewski, A., Makolm, C., Gotzmann, J., Hutchison, C. J. & Foisner,

R. : Lamina-associated polypeptide 2α regulates cell cycle progression and differentiation via theretinoblastoma-E2F pathway. J. Cell Biol., 173 : 83-93, 2006.

9) Ciuffi, A., Ronen, K., Brady, T., Malani, N., Wang, G., Berry, C. C. & Bushman, F. D. : Methods forintegration site distribution analyses in animal cell genomes. Methods, 47 : 261-268, 2009.

10) Shun, M. C., Raghavendra, N. K., Vandegraaff, N., Daigle, J. E., Hughes, S., Kellam, P., Cherepanov,P. & Engelman, A. : LEDGF/p75 functions downstream from preintegration complex formation toeffect gene-specific HIV-1 integration. Genes Dev., 21 : 1767-1778, 2007.

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