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キーワード 新型耐性菌対策, カルバペネム耐性腸内細菌科細菌, カルバペネマーゼ,セラチア属菌,大腸菌, 多剤耐性アシネトバクター, 多剤耐性菌対策 名古屋大学大学院医学系研究科 分子病原細菌学 / 耐性菌制御学分野 教授 あら かわ 川宜 よし ちか 1980年代よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン耐性 腸球菌(VRE),基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌などのさまざま な薬剤耐性菌が医療現場で広がり始め,現在も深刻な問題となっています.特に 2000年以降,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)が途上国のみならず欧米 各国の医療現場でも広がり,国際的な大問題となっています. 本稿では,新型の多剤耐性菌の実態や現状についてだけでなく,これらの問題 を克服するために必要な対策について紹介します. 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策の重要性 薬剤耐性菌の現状 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は世界規 模で急速に拡大し,CREによる血流感染症では死亡率 も高く深刻な問題となっています.日本の最近の事例と しては,2015年2月に九州地方の大学病院で新生児室, NICUなどで広がり,同年5月には病院内で10人の入院患 者さんから検出されたと報道されています. 厚生労働省は新型耐性菌対策として,2014年9月9日 に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関 講演 3 する法律施行規則」(感染症法)の一部を改正する省令 (平成26年厚生労働省令第103号)を公布し,CRE感染 症および薬剤耐性アシネトバクター(カルバペネム系,ア ミノ配糖体系,フルオロキノロン系の3系統の薬剤に対し て耐性を示すアシネトバクター属菌;MDRA)感染症の 2つを5類全数報告疾患としました.この省令は周知期間 が短く,公布日から起算して10日後,つまり同年9月19日 から施行されています. 5類感染症のうち,報告が必要とされている多剤耐性菌 には,定点把握としてペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP), メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),薬剤耐性緑 膿菌(MDRP)があり,全数把握としてバンコマイシン耐 性黄色ブドウ球菌(VRSA),バンコマイシン耐性腸球菌 (VRE)がありましたが,この後者の全数把握感染症とし てCREとMDRAが追加されたことになります. 社会的に問題となった主な多剤耐性病原細菌の歴史 を見ると,1980年代にはMRSAやPRSPが広がり始め, またVREや基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL) 産生菌が出現しました(図1 ).1990年代には多剤耐性 結 核菌(イソニアジドとリファンピシンに対する耐性獲 得;MDR-TB),MDRP,MDRAが,2000年代には広範 囲多剤耐性結核菌(MDRでキノロン系耐性,かつアミカ シン,カナマイシン,カプレオマイシンの3種類の薬剤のう ち1種以上に耐性を有するもの;XDR-TB)やCREが世界 的に広がり始めました. なお,2015年5月21日から感染症法の一部改正により XDR-TBが多剤耐性結核菌となり,それまで多剤耐性結 核菌とされていた2剤耐性の結核菌は通常の結核菌(4 種病原体等)と同じ扱いになりました. 多剤耐性病原細菌(MDRO)は,病院内や市中でヒト からヒトへ感染すること,および世界規模で広がっていく ことが問題として挙げられます.MDROは医療環境だけ ではなく,畜水産環境でも非常に大きな問題となってお り,鶏肉等からESBL産生菌などが高頻度に分離されて いて,医療環境の管理だけでは制御できず,包括的な管 理が必要な状況となっています. カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) 構造式を図2に示す通り,カルバペネム系抗菌薬はペ ニシリンやセファロスポリンと同じβ-ラクタム系抗菌薬で すが,S(硫黄)の部分がC(炭素)になっており,構造が 少し異なるため通常のペニシリナーゼやセファロスポリ ナーゼにより不活化されにくくなっています.カルバペネ ム系抗菌薬を分解する酵素であるカルバペネマーゼはカ ルバペネム系抗菌薬の炭素-窒素(C-N)結合を加水分解 し,抗菌作用を無効とします. CREは世界中の国々から分離されており,急速に拡 散しています.CREは腸内細菌科の細菌なので種類も 肺炎桿菌 クレブシエラ・オキシトカ 大腸菌 エンテロバクター属菌 セラチア属菌 シトロバクター属菌 プロテウス属菌 プロビデンシア属菌 (Klebsiella pneumoniae) (Klebsiella oxytoca) (Escherichia coli) (Enterobacter spp.) (Serratia spp.) (Citrobacter spp.) (Proteus spp.) (Providencia spp.) サルモネラ属菌 赤痢菌 エルシニア属菌 (Salmonella spp.) (Shigella spp.) (Yersinia spp.) S (硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた メロペネム (1995) ドリペネム (2005) イミペネム (1987) H2O カルバペネマーゼ (加水分解酵素) ertapenem (国内未承認) ペニシリナーゼ セファロスポリナーゼ により分解不活化される. ペニシリン カルバペネム Carbapenem セファロスポリン O N H N O S O OH S H N O O N N N S COOH NH2 OMe OAc NH O O O OH HO H H N N S HN NH O O O OH N S HN NH O O O O OH HN S NH O O O O OH HO H H N N H S S NH2 O O OH HO H H N N S NH2 NH O O O O OH OH HO H H N N H S 1980~ MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) PRSP (ペニシリン耐性肺炎球菌) VRE (バンコマイシン耐性腸球菌) ESBL (基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌 1990~ MDR-TB (多剤耐性結核菌) MDRP (多剤耐性緑膿菌) MDRA (多剤耐性アシネトバクター) 2000~ XDR-TB (広範囲多剤耐性結核菌) CRE (カルバペネム耐性腸内細菌科細菌) INHとRif耐性 感染症5類全数報告疾患 感染症法 H27/5/21より定義 が変更 感染症5類全数報告疾患 多剤耐性結核菌 図 3 主要な腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae) 図 2 カルバペネム系抗菌薬 図 1 社会的に問題となった主な多剤耐性病原細菌 多く(図3),カルバペネマーゼも種類が多いため理解が 難しいという微生物学的な特徴があります.従来の多剤 耐性菌は,手術後や感染防御能力の低下した入院患者 さんで問題になることが多かったのですが,CREは健 康成人にも影響を及ぼすことがあり,また有効な抗菌薬 が限定されています.CREはヒトの腸内に定着しやすい ため,発症した患者さんだけでなく保菌者にも対策が必 要になりますし,また無症状の保菌者は発見が遅れるた め,気付いたときには大きなアウトブレイクが起きること が海外では報告されています.このようにCREは臨床的 に大きな問題を抱えており,国際的にも非常に警戒され ています. 17 18 2015 No.85 2015 No.85 NEW WAVE NEW WAVE Series Series

講演 3 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策 …(Shigella spp.) (Yersinia spp.) S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

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Page 1: 講演 3 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策 …(Shigella spp.) (Yersinia spp.) S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

キーワード

新型耐性菌対策,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌,カルバペネマーゼ,セラチア属菌,大腸菌,多剤耐性アシネトバクター,多剤耐性菌対策

名古屋大学大学院医学系研究科分子病原細菌学/耐性菌制御学分野教授

荒あらかわ

川宜よしちか

1980年代よりメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE),基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌などのさまざまな薬剤耐性菌が医療現場で広がり始め,現在も深刻な問題となっています.特に2000年以降,カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)が途上国のみならず欧米各国の医療現場でも広がり,国際的な大問題となっています.本稿では,新型の多剤耐性菌の実態や現状についてだけでなく,これらの問題を克服するために必要な対策について紹介します.

忍び寄る多剤耐性菌の恐怖!早期検出と感染防止対策の重要性

薬剤耐性菌の現状 カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)は世界規模で急速に拡大し,CREによる血流感染症では死亡率も高く深刻な問題となっています.日本の最近の事例としては,2015年2月に九州地方の大学病院で新生児室,NICUなどで広がり,同年5月には病院内で10人の入院患者さんから検出されたと報道されています. 厚生労働省は新型耐性菌対策として,2014年9月9日に「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関

講演3

する法律施行規則」(感染症法)の一部を改正する省令(平成26年厚生労働省令第103号)を公布し,CRE感染症および薬剤耐性アシネトバクター(カルバペネム系,アミノ配糖体系,フルオロキノロン系の3系統の薬剤に対して耐性を示すアシネトバクター属菌;MDRA)感染症の2つを5類全数報告疾患としました.この省令は周知期間が短く,公布日から起算して10日後,つまり同年9月19日から施行されています. 5類感染症のうち,報告が必要とされている多剤耐性菌には,定点把握としてペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP),メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA),薬剤耐性緑膿菌(MDRP)があり,全数把握としてバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌(VRSA),バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)がありましたが,この後者の全数把握感染症としてCREとMDRAが追加されたことになります. 社会的に問題となった主な多剤耐性病原細菌の歴史を見ると,1980年代にはMRSAやPRSPが広がり始め,またVREや基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ(ESBL)産生菌が出現しました(図1).1990年代には多剤耐性結核菌(イソニアジドとリファンピシンに対する耐性獲得;MDR-TB),MDRP,MDRAが,2000年代には広範囲多剤耐性結核菌(MDRでキノロン系耐性,かつアミカシン,カナマイシン,カプレオマイシンの3種類の薬剤のうち1種以上に耐性を有するもの;XDR-TB)やCREが世界的に広がり始めました.

 なお,2015年5月21日から感染症法の一部改正によりXDR-TBが多剤耐性結核菌となり,それまで多剤耐性結核菌とされていた2剤耐性の結核菌は通常の結核菌(4種病原体等)と同じ扱いになりました. 多剤耐性病原細菌(MDRO)は,病院内や市中でヒトからヒトへ感染すること,および世界規模で広がっていくことが問題として挙げられます.MDROは医療環境だけではなく,畜水産環境でも非常に大きな問題となっており,鶏肉等からESBL産生菌などが高頻度に分離されていて,医療環境の管理だけでは制御できず,包括的な管理が必要な状況となっています.

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE) 構造式を図2に示す通り,カルバペネム系抗菌薬はペニシリンやセファロスポリンと同じβ-ラクタム系抗菌薬ですが,S(硫黄)の部分がC(炭素)になっており,構造が少し異なるため通常のペニシリナーゼやセファロスポリナーゼにより不活化されにくくなっています.カルバペネム系抗菌薬を分解する酵素であるカルバペネマーゼはカルバペネム系抗菌薬の炭素-窒素(C-N)結合を加水分解し,抗菌作用を無効とします. CREは世界中の国々から分離されており,急速に拡散しています.CREは腸内細菌科の細菌なので種類も

肺炎桿菌クレブシエラ・オキシトカ大腸菌エンテロバクター属菌セラチア属菌シトロバクター属菌プロテウス属菌プロビデンシア属菌

(Klebsiella pneumoniae)(Klebsiella oxytoca)(Escherichia coli)(Enterobacter spp.)(Serratia spp.)(Citrobacter spp.)(Proteus spp.)(Providencia spp.)

サルモネラ属菌赤痢菌エルシニア属菌

(Salmonella spp.)(Shigella spp.)(Yersinia spp.)

S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

メロペネム(1995)

ドリペネム(2005)

イミペネム(1987)

H2Oカルバペネマーゼ(加水分解酵素)

ertapenem(国内未承認)

ペニシリナーゼセファロスポリナーゼにより分解不活化される.

ペニシリン

カルバペネムCarbapenem

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1980~ MRSA (メチシリン耐性黄色ブドウ球菌) PRSP (ペニシリン耐性肺炎球菌) VRE (バンコマイシン耐性腸球菌) ESBL (基質特異性拡張型β-ラクタマーゼ)産生菌

1990~ MDR-TB (多剤耐性結核菌) MDRP (多剤耐性緑膿菌) MDRA (多剤耐性アシネトバクター)

2000~ XDR-TB (広範囲多剤耐性結核菌) CRE (カルバペネム耐性腸内細菌科細菌)

INHとRif耐性

★感染症5類全数報告疾患

感染症法

H27/5/21より定義 が変更

★感染症5類全数報告疾患

多剤耐性結核菌

図 3 主要な腸内細菌科細菌(Enterobacteriaceae)

図 2 カルバペネム系抗菌薬

図 1 社会的に問題となった主な多剤耐性病原細菌

多く(図3),カルバペネマーゼも種類が多いため理解が難しいという微生物学的な特徴があります.従来の多剤耐性菌は,手術後や感染防御能力の低下した入院患者さんで問題になることが多かったのですが,CREは健康成人にも影響を及ぼすことがあり,また有効な抗菌薬が限定されています.CREはヒトの腸内に定着しやすいため,発症した患者さんだけでなく保菌者にも対策が必要になりますし,また無症状の保菌者は発見が遅れるため,気付いたときには大きなアウトブレイクが起きることが海外では報告されています.このようにCREは臨床的に大きな問題を抱えており,国際的にも非常に警戒されています.

17 18 2015 No.85 2015 No.85

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Page 2: 講演 3 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策 …(Shigella spp.) (Yersinia spp.) S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

 CREは1990年代くらいから出現しており,1991年には私の研究グループが愛知県内の病院から分離されたイミペネム耐性のセラチア・マルセッセンスからIMP-1型メタロ-β-ラクタマーゼ(MBL)を世界で最初に発見し,腸内細

菌科細菌におけるカルバペネマーゼを発表しました1). 当時,腸内細菌科の細菌がカルバペネム系を分解する酵素を産生することは,あまり知られていませんでした.その後,ヨーロッパや南米,最近ではインド,イギリスなどで次 と々発見され,アメリカでは2013年にアメリカ疾病管理予防センター(CDC)の長官がCREを「悪夢の耐性菌(nightmaresuperbugs)」と警告を発し,メディアでも大きく取り上げられました.一般的に血液から分離される腸内細菌科の細菌で最も多いのは大腸菌,次いで肺炎桿菌となっており,これらの菌がカルバペネム耐性を獲得すると健康な人にも影響するため,欧米では危機的な問題と捉えられています.

CREの拡散状況 Klebsiella pneumoniaeCarbapenemase(KPC)型カルバペネマーゼを産生するCREは1990年代の終わり頃にアメリカで最初に分離され,2012年時点で42州から,2014年にはアイダホなど一部の州を除いた全域から分離されています.現在ではヨーロッパにも広がっており,国際的にも注意および警戒がなされています. CDCの警告文書にはKPC型の問題点として,血液培養で陽性になった場合,最大で半数の患者さんが

亡くなっている点,肺炎関係のCREは分離率がこの10年で2%から10%に増加している点,ほぼ全ての州で分離されている点,アメリカのlong-termacute carehospitalの18%,short-stay hospitalの4%でCRE感染症が発生している点などを挙げています. カルバペネマーゼは大きく2つに分けられます(図4).酵素の活性中心に亜鉛を持つMBLというタイプと,酵素の中心にセリンというアミノ酸を持つタイプです. どちらも加水分解酵素ですが,分子構造や遺伝子の発生と分子進化の過程も全く異なります.MBLにはNewDelhimetallo-β-lactamase(NDM)型,Verona Integron-MediatedMetallo-β-lactamase(VIM)型,IMP型が,セリン型カルバペネマーゼとしてはKPC型,OXA-48型,GES-4や5型が報告されています. 2010年8月には,NDM-1を産生する新しい多剤耐性菌がインドやパキスタン地域からヨーロッパ,特にイギリスに広がっていることが報告され2),国際的な話題になりました. NDM-1はその後,アメリカ,日本,アジア,オセアニア,アフリカなどに急速に広がり,2014年には図5で紫色のインドとその近隣のバングラデシュやパキスタン,さらに中国の南方で高頻度に分離されるようになりました. イギリスではカルバペネマーゼ産生菌が2008〜2009年まで50件前後でしたが,2010年から急増しており,中でもアメリカで広がっているKPC型がイギリスでも広がり始めました.また,ベルギーでもKPC型は2010年までに若干検出されていますが,2011年の上四半期の3カ月間で大幅に件数が増えており,中でもOXA-48型が増加しました.KPC型,VIM型,NDM型,OXA-48型の4種類は,ヨーロッパの中でも特にイタリア,ギリシャで広がっており,4種類のカルバペネマーゼを産生する菌がセットでイタリア,フランス,ポーランド,ドイツ,イギリスで報告されています(図6). ヨーロッパのCDC(eCDC)が2014年に発表した,2012年1月時点のデータによると,血液,髄液から分離

された第三世代セファロスポリン耐性の大腸菌,つまりESBL産生菌が5%以上の頻度で分離されており,フランス,スペインなどで10〜25%,イタリアで25〜50%であったと報告しています. 肺炎桿菌は第三世代セファロスポリン,キノロン系抗菌薬,アミノ配糖体系の3つに対する耐性菌の分離率もヨーロッパで高くなっており,特にイタリアやポルトガルなどの南方で高くなっています.また,カルバペネム耐性肺炎桿菌についても2005年の約8%から2010年には約15%に増加していることを警告しています.血液や髄液から分離された肺炎桿菌のカルバペネム耐性率は,2012年にはギリシャで50%以上,イタリアで25〜50%と高くなっています. カナダは2010〜2011年あたりからNDM型の報告数が上昇しており3),これはインド周辺から伝来したと言われています. 南アフリカでも,2012年の論文でNDM型,KPC型,OXA型,VIM型がヨハネスブルクおよびその他の諸都市からも分離されていることが報告されています4). 日本も2012年にアジア地域からの帰国者からOXA-48型の肺炎桿菌が報告されました5).また,2013年にはOXA-48型とNDM-1型を同時に産生する広範囲抗菌薬耐性肺炎桿菌がアジア地域からの来日患者から分離されています6).

忍び寄る多剤耐性菌の恐怖!早期検出と感染防止対策の重要性

講演3

High prevalence of NDM producers(endemicity)

Outbreaks and interregional spread of NDM producers

Sporadic description of NDM producers

国中へ広がっている複数の地域に広がっている一部の地域に広がっている複数の病院でアウトブレイク一つの病院でアウトブレイク散発的な検出報告無し/データ無し

KPCVIMNDMOXA-48

Other countries:IsraelLuxembourg

図 5 NDM 産生菌の地理的分布状況(L.�Dortet,�L.�Poirel,�&�P.�Nordmann�Geographical�distribution�of�NDM�producers)

図 6 ヨーロッパにおける CRE の分布

NDM型VIM型IMP型

KPC型OXA-48型GES-4, 5

メタロ-β-ラクタマーゼ(略してMBL)

酵素の中心に亜鉛

酵素の中心にセリン

Zn

図 4 主要なカルバペネマーゼ

Hindawi Publishing Corporation. BioMed Research International. Volume 2014, Article ID 249856.

Cantón R, et al. Clin Microbiol Infect. 2012; 18(5): 413-31.

European situation regarding carbapenemase-producing Enterobacteriaceae, using an epidemiological scale of nationwide expansion (data have been updated from reference 17) and carbapenemase types in different countries or geographical areas known until January 2012.

19 20 2015 No.85 2015 No.85

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Page 3: 講演 3 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策 …(Shigella spp.) (Yersinia spp.) S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

 日本での肺炎桿菌および大腸菌のカルバペネム耐性率は,厚生労働省の院内感染対策サーベイランス(JANIS)[P30参照]の2013年1〜12月の年報によると,肺炎桿菌のイミペネムが0.1%,メロペネムが0.2%で,大腸菌ではイミペネム,メロペネム共に0.1%となっており(図7),ヨーロッパやアメリカのような事態にはまだ至っていないので,国内の医療現場は現在のこのような状況を今後も長く維持することが重要になっています.

セラチア属菌による感染 腸内細菌科のセラチア属菌は点滴時のカテーテル汚染などが原因となり,死亡事例が発生しています.セラチア属菌による院内感染は6〜8月に多いのですが,これはセラチア菌が室温程度でも増殖可能なので,前日から点滴を準備した際に汚染すると気温が高い6月から夏場に

かけて一晩で増殖するためです.菌が1cc当たり103〜105

程度に増殖しても,目視で汚染は分かりませんが,それを100cc,500cc点滴されると血液中に大量の菌が侵入します.セラチア属菌はグラム陰性菌で細胞壁の外側にリポ多糖(LPS)が存在しており(図8),LPSは内毒素(エンドトキシン)であることから,血圧低下などのエンドトキシンショックや多臓器不全の原因となり死亡することがあります.

大腸菌 日本では2000年以降,セフォタキシム(CTX)耐性およびレボフロキサシン(LVFX)非感受性を獲得した大腸菌が急速に増加しています.JANISのレポートによると,2013年に臨床分離された大腸菌の17.8%がCTX耐性,36.8%がLVFX耐性となっています.特にO25b:H4-

忍び寄る多剤耐性菌の恐怖!早期検出と感染防止対策の重要性

講演3

ST131の遺伝子型の大腸菌が世界的に流行しており,日本にも影響が出始めています.尿路感染症の8〜9割は大腸菌が原因なので以前はニューキノロン系抗菌薬の投与により治まりました.菌の培養もほとんど不要でしたが,今は大腸菌の感染症の場合,3割くらいはニューキノロン系抗菌薬では効果が期待できないことを想定して治療する必要があります.

多剤耐性アシネトバクター 2000年以降,アシネトバクターに関する論文は急激に増加しており(図9)7),アメリカでは2013年の報告によると33州の217の病院で協力を得て調査をした結果,Acinetobacter baumanniiのイミペネム耐性が40%弱にまで増加していることが分かりました8). ヨーロッパにて血液培養,髄液から確認されたアシネトバクター属のカルバペネム耐性率は,ギリシャやイタリア,ポルトガルでは50%以上となっています. 台湾でも2007〜2008年頃からblaOXA-23-陽性のカルバペネム耐性A. baumannii(CRAB)が増加しており,2008年には50%前後の分離率となっています9).

外膜

Lipopolysaccharide(LPS)=リポ多糖=エンドトキシン(内毒素)

内膜ペプチドグリカン

リポ多糖n

O側鎖(長鎖の糖)

グラム陰性菌の膜構造

グラム陰性菌

血清型により多様性があり,菌株により構造が異なる.

菌種毎に,ほぼ共通の構造を示す.

R-core

Lipid A

グラム陰性菌は,外膜にリポ多糖(LPS)を含むため毒性が強い.

450

400

350

300

250

200

150

100

50

0

Number of publications

1998 1999

28

2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011Year

耐性株

耐性株

74

32 3459 51

77

112130

184209

231247

67 62

88 91115

165

207

256

313

361

427Acinetobacter baumannii

Acinetobacter baumannii and antibiotic resistance

図 8 グラム陰性菌の膜構造

図 9 A. baumannii に関する論文数の動向

図 7 院内感染対策サーベイランス(JANIS)�検査部門(2013 年 1 〜 12 月�年報)

    Kempf M, Rolain JM. Int J Antimicrob Agents. 2012; 39(2): 105-14.

■感性(S) ■中間(I) ■耐性(R) ■感性(S) ■中間(I) ■耐性(R)

ABPC(N=80,030)

PIPC(N=82,608)

TAZ/PIPC(N=27,279)

CEZ(N=85,230)

CTX(N=66,654)

CAZ(N=84,761)

CFPM(N=41,143)

AZT(N=67,253)

IPM(N=77,193)

MEPM(N=48,190)

AMK(N=84,916)

LVFX(N=83,063)

Klebsiella pneumoniae

0% 20% 40% 60% 80% 100%

ABPC(N=150,867)

PIPC(N=155,626)

TAZ/PIPC(N=51,286)

CEZ(N=161,397)

CTX(N=124,473)

CAZ(N=161,163)

CFPM(N=81,456)

AZT(N=126,777)

IPM(N=146,007)

MEPM(N=95,180)

AMK(N=161,406)

LVFX(N=155,998)

Escherichia coli

0% 20% 40% 60% 80% 100%

62,261(77.8%)S:3,763(4.7%) I:14,006(17.5%)

46,235(56.0%) 20,067(24.3%)I:16,306(19.7%)

26,325(96.5%) 609(2.2%)I:345(1.3%)

76,791(90.0%) 7,789(9.1%)I:740(0.9%)

62,572(93.9%) 3,430(5.1%)I:652(1.0%)

81,773(96.5%) 2,283(2.7%)I:705(0.8%)

39,752(96.6%) 1,223(3.0%)I:168(0.4%)

64,239(95.5%) 2,335(3.5%)I:679(1.0%)

77,067(99.8%)I:33(0.0%) R:93(0.1%)

48,062(99.7%)I:40(0.1%) R:88(0.2%)

84,621(99.7%)I:130(0.2%) R:165(0.2%)

79,822(96.1%) 2,086(2.5%)I:1,155(1.4%)

74,464(49.4%)75,092(49.8%)I:1,311(0.9%)

84,515(54.3%) 66,174(42.5%)I:4,937(3.2%)

49,257(96.0%) 1,147(2.2%)I:882(1.7%)

114,034(70.7%) 43,462(26.9%)I:3,901(2.4%)

100,378(80.6%) 22,196(17.8%)I:1,899(1.5%)

146,118(90.7%) 8,824(5.5%)I:6,221(3.9%)

71,544(87.8%) 8,897(10.9%)I:1,015(1.2%)

107,365(84.7%) 12,886(10.2%)I:6,526(5.1%)

145,889(99.9%)I:35(0.0%) R:83(0.1%)

95,068(99.9%)I:33(0.0%) R:79(0.1%)

160,695(99.6%)I:417(0.3%) R:294(0.2%)

98,511(63.1%) 55,384(35.5%)I:2,103(1.3%)

 日本のアシネトバクター属菌のカルバペネム耐性率については,JANISの2013年1〜12月の年報によると,イミペネム,メロペネム共に2.3%となっています.ただし,2014年にはヨーロッパを旅行中に医療行為を受けた後に帰国した患者さんから,カルバペネム耐性肺炎桿菌,VREと共に多剤耐性アシネトバクターが検出された事例が報告されています10). 昔から日本にいるアシネトバクター属菌の多くは環境菌なので,標準予防策を実施していれば医療環境でむやみに感染拡大することはまずありませんが,A. baumanniiは普通の環境菌ではありません.2004年に油で汚染された土の中から検出され11),土壌が重油で汚染された時に環境をきれいにする油分解性バクテリアの一つと言えます.

21 22 2015 No.85 2015 No.85

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Page 4: 講演 3 忍び寄る多剤耐性菌の恐怖! 早期検出と感染防止対策 …(Shigella spp.) (Yersinia spp.) S(硫黄)がCarbon(炭素)に置き換えられた

忍び寄る多剤耐性菌の恐怖!早期検出と感染防止対策の重要性

講演3

 A. baumanniiはいくつかの遺伝子型(ST)に分けられ,PasteurST1(=International clone I)やPasteurST2(=International cloneⅡ)の遺伝子グループがヨーロッパやアメリカで広がっており,最近では国内でもときどきアウトブレイクを引き起こすようになっています(図10).

抗菌薬の新薬開発状況 2008〜2012年の間にアメリカ食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)で承認された抗菌薬はtelavancin(2009年)とceftaroline(2010年)の2つで,どちらの薬剤もMRSA感染症の治療薬です.CREなどのグラム陰性桿菌に有効な薬剤は現在開発中で,承認される

までにはまだ時間がかかるような状況です.  また,M DR Pによる感 染 症も複数報告されていて,2014年にはカルバペネム耐 性 遺 伝 子GES - 5を保持したMDRPが報告されました12).GE Sという名前は,1998年にフランス領ギアナ(French Guiana)で最初に発見されたESBLという由来によるものです13). GE S - 4(2 0 0 4年報告14))やGES-5(2004年報告15))はカルバペネムに耐性を与えるのですが,これは活性部位の一部を構成している170番目のアミノ酸が変異することにより,カルバペネムが分解されやすくなっていると考えられています.

参考文献

1) Osano E, et al. Antimicrob Agents Chemother. 1994; 38(1): 71-8. 2) Kumarasamy KK, et al. Lancet Infect Dis. 2010; 10(9): 597-602. 3) Melano RG, et al. Carbapenemase-producing Enterobacteriaceae in Ontario,

2008-2011 <http://www.qmpls.org/DesktopModules/SunBlog/ViewPrint.aspx?EntryId=95>

4) Brink A, et al. S Afr Med J. 2012; 102(7): 599-601. 5) Nagano N, et al. Jpn J Infect Dis. 2013; 66(1): 79-81. 6) IASR Vol.34 p.237-8: 2013年8月号 7) Kempf M, Rolain JM. Int J Antimicrob Agents. 2012; 39(2): 105-14. 8) Master RN, et al. Ann N Y Acad Sci. 2013; 1277: 1-7. 9) Liu CC, et al. Int J Antimicrob Agents. 2013; 41: 318-24. 10) IASR Vol.3 p.200-1: 2014年8月号 11) Sarma PM, et al. Can J Microbiol. 2004; 50(6): 405-14. 12) IASR Vol.35 P.227-8:2014年9月号 13) Poirel L, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2000; 44(3): 622-32. 14) Wachino J, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2004; 48(8): 2905-10. 15) Vourli S, et al. FEMS Microbiol Lett. 2004; 234(2): 209-13.

略歴 荒川宜親(あらかわ よしちか)

1983年 名古屋大学医学部 卒業1983〜84年 南生協病院等で卒後臨床研修1989年 名古屋大学大学院医学系研究科博士課程修了 名古屋大学医学部細菌学 助手1994年 同上 助教授1996年 国立予防衛生研究所 細菌・血液製剤部 部長2002年 国立感染症研究所 細菌第二部 部長2011年 国立感染症研究所 名誉所員 名古屋大学大学院医学系研究科 分子病原細菌学/耐性菌制御学分野 教授現在に至る

 GES-4の遺伝子構造を図11に示しますが,全体がトランスポゾン[P30参照]に担われていてその一部がインテグロン[P30参照]という構造になっており,染色体上やプラスミド上のさまざまなところに移動したり菌株間を伝達拡散する能力をもっています14).

Gサイエンス学術会議 2013年3月,インドで開催されたGサイエンス学術会議で,病原微生物の薬剤耐性問題は人類への脅威であり,さらなる対策が必要であることを参加国にて合意し,Gサイエンス学術会議共同声明として,同年6月17〜18日に開催されたイギリスでのG8サミットに提出しました.イギリス政府の首席医療補佐官であるProf.DameSallyDaviesは,G8サミットで各国の首脳に薬剤耐性菌対策が緊急課題であることを警告しています.また,世界保健機関(WHO)も耐性菌の拡大はすでに深刻な状態にあると判断し,医療関係者らに抗菌薬の処方を最小限に押さえることを呼び掛けています.イギリスのキャメロン首相は2014年7月には医学的に暗黒時代に戻ろうとしているという談話を出し,イギリス政府は国を挙げて耐性菌問題に対する取り組みを強化しようとしています.アメリカのオバマ大統領は2014年9月に大統領令を発して,薬剤耐性菌にはさらなる戦略的な対策の強化が必要だと号令をかけています.このような状況を受け,2015年5月にドイツで行われたG7の会議では,再度,学術会議の各国のメンバーが自国のリーダーに対してGサイエンス学術会議共同声明を提出しました.

多剤耐性菌対策の要点 日本の現状を考えると,まず,海外から侵入してくる新型の多剤耐性菌を早期発見することが大事です.新型耐性菌を適切に検出し対応できるような体制を構築する必要があります.具体的には,必要な検査の実施,検査技師の知識や技術の研鑽の奨励,および看護師や薬剤師,医師の新型耐性菌に対する知識の充実などがあります.また,院内感染対策,医療関係感染対策のためのICT活動など感染制御の普段からの実施と技術的研鑽が重要です.最後に,地域ごとの医療機関の連携や協力の強化があります. 具体的な対策については,海外への渡航歴を必ず聞き,渡航歴があればその地域で流行している耐性菌についても調べます.検査結果が出るまでは,可能であれば個室管理とし接触予防策を励行します.検査室で特殊な耐性パターンを示す株が分離された場合は,放置せずに詳しく解析することが大切です. また,具体的な注意が必要な細菌として,VRE,C. difficile,CREなどの糞口感染で広がる耐性菌は,排便介助,おむつ交換等の際の接触予防策と手指衛生が重要になります.MDRPやMDRAなどは低栄養でも水分があれば室温程度で増殖可能なので,環境の衛生管理が重要ですし,セラチア属菌は6月から夏場にかけて問題となることが多いので点滴の汚染に注意が必要です. 今回紹介した耐性菌だけでなく,さまざまな耐性菌について厚生労働省のJANISや薬剤耐性菌研究会などインターネット上でも多くの情報が提示されています.是非,このようなサイトも活用していただき,日常業務や感染対策に役立てていただきたいと思います.

Schematic comparison of the genetic environments of three class 1 integrons mediating blaGES-4 on pKGL502 and pKGS502 and blaGES-3 on pKGB525.

pKGS502

GESの遺伝子アミノグリコシド耐性遺伝子とセットで移動

pKGL502

pKGB525

intI1blaGES-4 aacA1 orfG orfA

IS26 IS6100 orf6

IRt

orf5

intI1

5'-CS truncated 3'-CS

truncated qacEΔ1

gene cassetts

blaGES-3 aacA1 orfG orfA IS26 IS6100 orf6

IRt

orf5

IRt

図 11 GES-4 の遺伝子構造

International clone Ⅰ = Pasteur ST1 = Bartual ST = ST109(CC109)(former European clone Ⅰ)

International clone Ⅱ = Pasteur ST2 = Bartual ST = ST92(CC92)(former European clone Ⅱ)

Pasteur ST2

Pasteur ST1Bartual STST113

ST109

CC113

ST92

ST103

ST110

CC92

CC110

CC103

CC109

図 10 A. baumannii の ST の比較と分布

Wachino J, et al. Antimicrob Agents Chemother. 2004; 48(8): 2905-10.

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