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幼保・小一貫指導の充実をめざして
就学前教育と小学校の就学前教育と小学校の
連携の推進連携の推進
平成19年3月
山口県教育委員会
子どもたちの育ちや学びは、幼児期から小学校以降にかけてどのように
連続・発展しているのでしょうか。
小学校での生活や学習の基盤となる知・徳・体の力は、就学前教育では
遊びの中でどのように培われていくのでしょう。また、それは、小学校に
おいてどのように生かされ育まれていくのでしょう。子どもたち一人ひと
りの育ちの連続性に目を向けながら、幼保・小の教員や保育士が連携して
指導・保育することが大切です。
就 学 前 教 育
保育所 幼稚園
認定こども園
小 学 校
保 護 者
・教員・保育士等の交流・授業・保育の交流・合同研修会、連絡協議会・幼児児童の合同活動・合同保護者会 等
小学校区・ブロック別幼保・小連携推進連絡会
市町教育委員会主催幼保・小一貫指導研修会
相互理解・連携
子どもの育ちや学びを連続的なものととらえ、就学前教育から小学校への移行を円滑にするこ
とが大切です。そのために、子どもの視点に立って遊びや生活、学習を見つめ直し、育てたい力
を明らかにした上で、必要な環境構成、教員や保育士のかかわり方を工夫することが求められて
います。
また、幼児と児童の合同学習や交流活動は、意義やねらいを幼保・小の担当者が共通理解し、
保護者や地域の理解や協力を得ながら、教育・保育の内容や方法を工夫・改善することが大切で
す。
教員の派遣
【幼稚園(保育所 】 【小学校】)
【幼保・小連携の研修会等】
・幼稚園・保育所にお
ける幼児期の教育や
育ちの理解
・小学校教育を見通し
た指導
小学校低学年での
指導や教育課程の
工夫・改善
指導者として、
就学前教育の理
解の促進
県内の幼保・小一貫指導の拡充
幼保・小一貫指導の推進
幼児教育長期研修の実施小学校教員を幼稚園に1年間派遣(保育所での一定期間の体験研修を含む)し、幼児期の育ちを
踏まえた小学校低学年での指導の在り方について実践的な研究を進めています。研修の後は、幼稚
園教育課程研究協議会、幼児教育研究大会、各地域の研修会等で研修成果の普及を図るなど、県内
各地で幼保・小一貫指導を推進しています。
教育・保育内容の連続性
相互理解
提情
供報協
力
育ちの連続性を踏まえ、幼保・小の指導・保育を見直しましょう
下関地域 防府地域周南地域
岩国・柳井地域
幼児教育長期研修派遣教員 ~わたしたちの研修成果・実践を広めます~
下関市立文関小学校教諭 河田 弘子
(長府幼稚園派遣)
幼保・小の連携を図るために3つのことを提案したいです。①友達と一緒に学習できるような形態で授業を行い、子どもたちが安心して授業に参加できるようにする。②絵本の読み聞かせを教科学習で活用したり、学校生活の合間に取り入れたりする。③保護者の不安は子どもの不
。安であると考えて保護者との連携を図る
下関市立向山小学校教諭 柴田 千明
(市立川中幼稚園派遣)
幼稚園では、子どもをやる気にさせる言葉掛けの仕方、一人ひとりの思いや育ちを大切にした環境構成の仕方など、小学校でも生かせることをたくさん学びました。小学校に戻ってからは、教室が子どもにとって安心できる場であるよう、教員の子どもに寄り添う姿勢や柔軟な場の設定が大切だと感じています。
防府市立佐波小学校教諭 冨士本典子
(松崎幼稚園派遣)
幼稚園、保育所の子どもたちと小学生の短時間の交流だけでは見ることのできない就学前教育。幼児の実態と、それにかかわる幼稚園教諭の指導方法や支援の仕方を知ることで、今までの自分の指導について深く考えさせられました 「目の。
」 、前の子どもをしっかり受け止める とはどういうことなのだろうかと・・・。
防府市立牟礼小学校教諭 平尾 智美
(小郡幼稚園派遣)
幼稚園や保育所の子どもたちは、遊びの中で人や物に主体的にかかわり、いろいろなことを学んでいます。この学びは小学校以降の学習につながると考えられます。それを踏まえて就学前教育では遊びの質を高めること、小学校教育では遊びの中で経験した学びを生かせる授業づくりをすることが大切だと思います。
周南市立福川南小学校教諭 中村 良子
(市立福川南幼稚園派遣)
入学前の「まなび」や「くらし 、入学」後の「学習」や「生活」を知ることは、
。よりよい教育をする上で重要なことですなぜなら、子どもの発達は連続しているからです。また、なめらかに接続していくために、子どもが未来を展望し、あるいは成長の足跡を振り返る交流活動を仕組むことが大切だと考えています。
周南市立勝間小学校教諭 手嶋 正枝
(岩国市立ちどり幼稚園派遣)
幼児教育の現場にふれ、子どもの立場に立った指導の実際がよく分かりました。否定する言葉は極力使わず、ほめ励ますことがとても効果的に働いているのを見て、今までの指導の在り方を反省させられました。また、児童は生活科につながる体験を園で積んでいるので、一歩進んだ授業の展開に努めています。
柳井市立柳井小学校
教諭 前田 哲也(柳井幼稚園派遣)
小さな胸に希望と不安を抱きながら入学してくる子どもたちの目線に立って支援します。園生活の流れを意識しつつ、遊びから学習への滑らかな移行を図ります。幼保・小の職員や保護者同士の連携を深め、子どもたちをしっかりと支える体制をつくります。幼児教育への小学校教員の関心と理解を高めます。
厚狭・萩地域各地域の研修会、
幼稚園、保育所、小学校
の研修を応援します。
平成19年度は、岩国市、
周南市、美祢市、下関市で派
遣教員4人が研修します。
山口市立秋穂小学校教諭 川尻 裕子
(市立宮野幼稚園派遣)
幼稚園での研修を通して、生活や学習の基盤となる幼児期に思いきり遊ばせることの大切さを感じました。子どもたちは、遊びからたくさんのことを学んでいます。その遊びの要素を小学校低学年の授業に取り入れるなどして、幼児教育から小学校への滑らかな移行を図りたいと思っています。
周南市立周陽小学校教諭 明石 一代
(市立周栄幼稚園派遣)
遊びは素晴らしい!特に砂場遊びは最高の育ちの場だと思いました。幼児の、砂の質感や色の違いで遊びを工夫する鋭
、 、い感覚 道具を共有し協力して遊ぶこと想像力、話す力、創造力、謝る心と許す、 、 、 、心 また作る意欲 発見や喜び 満足感
失敗感など、すべて就学以降の学力の基礎につながっていると感じました。
長門市立向陽小学校
教諭 末永 昌子(あおい幼稚園派遣)
遊びや生活を通した総合的な学びの中で、物や人と豊かにかかわり、確かな力を身に付けてきている幼児の姿は、研修前に私が抱いていた以上に高いレベルのものでした。育ちの連続を意識した指導に努めることが、子どもたちの能力をさらに伸ばすことにつながると実感しながら、小学校教育に取り組んでいます。
山陽小野田市立埴生小学校
教諭 野村 京子(市立埴生幼稚園派遣)
幼稚園、保育所などで行われている就学前教育と小学校の教育の間には大きな段差があるため、幼児の中には小学校入学に不安や戸惑いを感じる子どもがいます。子どもが感じる段差を少しでも低くするためには、小学校の教員が幼児教育や子どもの育ちについて理解を深めることが大切だと思います。
各地域の実情に応じて、幼稚園、保育所、小学校の教員や保育士が、幼児児童理解や教育・保
育の内容や方法の工夫・改善について話し合い、互いに共通理解できる場を設けましょう。
○○市幼保・小連携教育推進研修会
幼保・小の教員や保育士が互いに理解し、
連携し合うことをねらいに開催しています。
研修会日程:A市の例9:30~11:00 公開保育・授業11:15~11:30 開会行事11:30~12:00 全体会
(趣旨説明、公開保育・授業説明)13:00~14:30 パネルディスカッション「なめらかな移行のための幼保小連携の在り方」
(派遣教員がパネラーとして参加)14:45~16:15 講演
「幼保・小連携の必要性」16:15~16:30 閉会行事
○○地域幼保・小地域連携推進協議会
幼保・小と家庭、地域社会が連携して子ど
もを育てる意識の醸成と共有化を図っていま
す。合同保育・授業の参観、研究協議等への
参加により、接続期の生活習慣・学習習慣や
人間関係づくり等の在り方について、広い視
野から意見交換することができます。
構成メンバー:D市の例・幼稚園長、教職員、保護者代表・保育所施設長、保育士、保護者代表・小学校長、教職員、保護者代表・民生委員児童委員協議会代表・母子保健推進協議会代表・食生活改善推進協議会代表 等
■大学教授等の
学識経験者、幼
児教育長期研修
派遣教員にも内
容に応じて参加
を依頼。
:C市の例幼保・小ワークショップ研修
市教委主催の幼保・小連携教育推進協議会
でのブロック別研修をもとに、日常の連携、
交流活動の実践につなげています。
第1回
■ (派遣教員がパネラーとして参加)シンポジウム
「幼・保・小の連携って何だろう」
ワークショップ型研修■
各校・園の実践をもと
に成果と課題をまとめ、
連携の意義・ねらいを共
通理解。
第2回
■ブロック毎に連携計画
を作成し、重点的な取組
事項を発表。
年度末
■各ブロック別に連携の
成果と課題をまとめ、次年度の計画を作成。
各小学校区別 幼保・小連絡協議会
地域にあるいくつかの幼稚園や保育所から
入学するという実情を踏まえ、情報交換や交
流の機会を設け、日頃から指導方法等の話し
合い、検討・実践を大切にしています。
連絡協議会立ち上げのフロー:B市の例
各校区ごとの取組
・校長、園長会議の開催
・相互訪問、相互参観の実施
・園、学校だよりの相互配付
・子育て講演会、研究会の開催
市教育委員会
校長会 幼・保連合会
市教委担当が幼・保園長会議にて趣旨説明
幼保・小連絡協議会を発足
市町全体での取組例
小学校区・ブロック別での取組例
幼保・小一貫指導の取組が進んでいます
幼保・小で育てたい子ども像を「自立的な生活態度」「社会性」「豊かな感性」「学ぶ意欲」
の4つの視点から掲げています。また、幼児期は自発的な遊びや生活自体が学びであり、総合的
に発達していくという特徴を踏まえ、「育てたい力」「体験させたい活動」「保育士や教員の援
助やかかわり」を発達段階ごとに示し、学校教育に引き継がれる道筋を明らかにしています。
幼保から小へと連続・発展する育ちの姿をとらえ、連続・一貫した指導の工夫・改善やカリキ
ュラムづくり等の参考にしてください。
本単元の指導・支援 単元の目標 研究の視点
幼児期の遊びを生かした学習・おにごっこ、ボール遊び、昨年度の活動「いかだはいかが」を想起 ・幼児期の水遊び・コミュニケーション力の内容・目標とのつながり
環境の構成・自ら次 と々活動を展開していくことのできる環境(得点板、メダル、トロフィフラフープ、石、ロープ、ワールドカップ、教師の支援など)
単元構成協同的な遊び(グループ分け)、場の設定、幼児期の経験を生かす、弾力的な時間運用
評価の工夫 自己評価・相互評価
情報交換・役割分担幼稚園・保育所に足を運び情報交換、TT
保護者との連携学年だより・保護者参観
◎自分の力に合っためあてをもち、水遊びを楽しむ、水遊びに挑戦できる。
◎安全面に気を付けながら、新しい水遊びを考えることができる。
◎友達と仲良く協力して活動に取り組むことができる。
コミュニケーション力(円滑な人間関係調整力)① あいさつをする。② 人の話を聞く。③ 自分の思いを話す。④ 我慢したり、自分をお さえたりする。⑤ 相手を思いやり助け合 う。
教員同士の相互理解共同研究・実践
保護者との連携
実践例 接続期の学習 1年体育科学習指導案「ぼくらのわぁるどかっぷ」
基本的な学習習慣の徹底
:E小学校の例合同保育・授業の共同研究
幼児児童の発達やそれぞれ
の教育・保育内容を踏まえ、
保育・教科・総合的な学習の
時間のねらいを達成する互恵
性のある単元開発を行ってい
ます。また、5歳児10月か
ら1年生1学期にかけて「接続期の学習(カ
リキュラム)」を設定し、実践しています。
:F小学校の例小学校教員保育所体験研修
夏季休業中に、園児や保育の実態を把握し、
カリキュラムの改善を図ることを目的として
実施しています。年度末には、小学校全教員
と関係保育所との連絡会を行い、就学につい
て共通理解を図っています。
F小学校への就学A保育園
B保育園F小学校
保育所との交流は、特別
な行事を組むのではなく、
まず、保育・授業や集会、
給食等に参加することから
始めたい。
「1年生だから○○はでき
ないだろう」という視点でな
く、「1年生でも□□したら
できるのではないか」という
見方に変えていきたい。
義務教育課Webページ「つながる子どもの育ち」掲載
( )URL http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/gyosei/kyo-gimu/tsunagaru/top.htm
幼保・小一貫指導の目的や、
連続・一貫した指導を行うため
のポイントを紹介しています。
「育てたい力」を次の4つの視点から、27
の具体例をあげて紹介しています。
① 自分のことが自分でできる子ども
② 社会生活のルールやマナーを守る子ども
③ 感性豊かで思いやりのある子ども
④ 表現を楽しみ学びに関心をもつ子ども
各園所・小学校での取組例
各園所・校内研修、保護者会等の資料としてお役立てください
幼児教育長期研修派
遣教員からの報告に基
づき、幼保・小一貫指
導のための実践例を紹
介しています。
幼児期から小学校低学年にかけ
て、発達段階において「育てたい
力」を保育所保育指針、幼稚園教
育要領、小学校学習指導要領を踏
まえて示しています。つながる育
ちの一つの例として、それぞれの
地域の幼稚園、保育所、小学校の
育ちの様子や指導について話し合
いましょう。