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句集 酒都西条 3 (2009年 9月~2010年 8月)
香川雅司
9月 1日
おしどりで健康散歩秋の朝
9月 2日
新学期みんな集まり携帯かな
9月 3日
新型のインフルエンザで学級閉鎖
9月 4日
爽やかにサイクリングで風を切る
9月 5日
動員は防災の日の訓練ぞ
9月 6日
瀬戸内の水軍城の月夜かな
9月 7日
村上の水軍の墓に秋日かな
9月 8日
秋めくやフラワーセンターのコーヒーの木
9月 9日
稲刈りをする鎌持つ手力入り
9月 10日
秋の午後秀策の墓に参りけり
9月 11日
うろこ雲源氏物語あはれなり
9月 12日
撫子や人の名に付く雅かな
9月 13日
石仏の前で話する九月かな
9月 14日
秋の日や縁石に足を取られけり
9月 15日
コスモスの咲き初むるや空青し
9月 16日
にょきにょきとお化けの如き茸かな
9月 17日
どの家も灯をともして虫時雨
9月 18日
新しき政治始まる秋高し
9月 19日
俳句また俳句の二年子規忌かな
9月 20日
大空に澄んだ大気豊の秋
9月 21日
コンサートへ若作りして馬肥ゆる
9月 22日
秋晴れや飛行機雲はけにけり
9月 23日
彼岸花火宅の人の今はなし
9月 24日
秋分の日のクリーニング二つかな
9月 25日
高速のシルバーウィーク混みにけり
9月 26日
秋蝶の回り回りて涼しけり
9月 27日
横綱の力安定 9月場所
9月 28日
銀色の十寸穂の芒すっくと立つ
9月 29日
包丁に残りし梨の甘みかな
9月 30日
秋黴雨レースの時だけ晴れまほし
10月 1日
遠方よりほろほろと鮭の便りかな
10月 2日
ごみ出して秋の夕焼け見つけたり
10月 3日
秋雨を蹴散らす車の轟音かな
10月 4日
名月やサーキット場の夜は更けて
10月 5日
秋晴れや旗を打ち振る観客かな
10月 6日
秋の昼勝利のシャンペンかけ合へり
10月 7日
燈下親し源氏物語読みにけり
10月 8日
台風の列島をおおふ雲の渦
10月 9日
大風の後や紅葉深まれり
10月 10日
屋台練り高山祭りきらびやか
10月 11日
西条の銘酒美味き秋祭り
10月 12日
お酒入り足取り軽く秋麗
10月 13日
清々しい風に吹かれて体育の日
10月 14日
新米の赤きラベルが並びけり
10月 15日
球入れや声援受けて運動会
10月 16日
秋空に光り輝く新星かな
10月 17日
はるかなる高原涼し草紅葉
10月 18日
大き目の林檎選んで特売日
10月 19日
坂道を登ればいとしちちち鳴く
10月 20日
もみいづる並木風になびきけり
10月 21日
時代かな干柿売るはネットにて
10月 22日
天高く羽根の如き秋の雲
10月 23日
蝗飛ぶその先秋の飛行機雲
10月 24日
泡立草踏み込めざる空地かな
10月 25日
燈下親し次は何をぞ読まんや
10月 26日
真夜中に風雨強しや年尾の忌
10月 27日
熱燗や一週間のご褒美かな
10月 28日
ゆく秋を惜しみながらも源義忌
10月 29日
おやつにぞ西条柿熟しけり
10月 30日
秋日和近づく季節の気配かな
10月 31日
栗飯やコンビニ弁当の甘さかな
11月 1日
赤き蟹車道を急ぎ渡りけり
11月 2日
香ばしき松茸飯の夕餉かな
11月 3日
文化の日頭をひねって作句かな
11月 4日
木枯しや木の葉わが身にまとわりぬ
11月 5日
日本勢 F1撤退秋尽きぬ
11月 6日
紅葉狩氷の花の咲きにけり
11月 7日
いと甘き瀬戸田の蜜柑試食せり
11月 8日
立冬や因島大橋光りけり
11月 9日
冬麗太公望が勢揃ひ
11月 10日
冬の日を浴びて輝く船と海
11月 11日
冬の雨子供自転車滴たる
11月 12日
寒四郎大物俳優逝きにけり
11月 13日
レジ横におでん目につくコンビニかな
11月 14日
時雨忌やまた島へ旅いたしたし
11月 15日
冬の午後航跡の網の如くなり
11月 16日
元校舎への道みかん落ちてをり
11月 17日
見物の後は鍋物あればよい
11月 18日
マスクする人見て新型思ひ出す
11月 19日
大相撲行司背中で送り出し
11月 20日
暦売人気力士の勢揃ひ
11月 21日
古暦あと二枚とぞじっと見る
11月 22日
学び舎の坂を登って冬紅葉
11月 23日
小春日に誘はれて島巡りせん
11月 24日
水軍の本拠地行く一葉忌
11月 25日
寒卵今日の力の源なり
11月 26日
冬の海川の如き潮流かな
11月 27日
短日のサイクリングや息弾む
11月 28日
日向ぼこ一時の休息空を見る
11月 29日
夕暮れに冬の月日に照らされて
11月 30日
縄跳びをする道落葉たまりけり
12月 1日
冬薔薇引き返してぞ眺めけり
12月 2日
冬の日にしまなみ海道一巡り
12月 3日
水鳥の波打ち際に一羽立つ
12月 4日
冬時雨銀杏落葉を踏んで行く
12月 5日
海霧や冬の一日始動せり
12月 6日
南極の離れ氷山冬の午後
12月 7日
商店はクリスマスにぞ力入れ
12月 8日
どこから来てどこへ行くやら冬の蝶
12月 9日
散紅葉今年の色にぞ染まりけり
12月 10日
我歩き犬駆け行く師走かな
12月 11日
肩すくめ書き物する寒さかな
12月 12日
ボーナスを貰へし頃がなつかしや
12月 13日
よろよろと窓ガラス這う冬の蝿
12月 14日
お歳暮の品定めする季節かな
12月 15日
かじけ猫体日向にゆだねけり
12月 16日
町中の騒音押し寄せ山眠る
12月 17日
重なりし落葉土にぞ還りゆく
12月 18日
一人ひとりの顔を浮かべて賀状買う
12月 19日
点々と屋根化粧する初雪かな
12月 20日
着ぶくれてただ鼻をぞすすりけり
12月 21日
凍て空の三日月見る間の短かりき
12月 22日
お手軽に料理の予約年用意
12月 23日
宇宙の飛行士に冬至無関係
12月 24日
紅茶一杯の幸せクリスマスイヴ
12月 25日
穏やかな日に感謝のクリスマス
12月 26日
どこへ行く親子寄り添ふ冬木道
12月 27日
今年の日を指折り数へ布団干し
12月 28日
はるばると氷海目指し観測船
12月 29日
大き目の門松立てて福よ来い
12月 30日
ゆく年や買い物客で賑わひぬ
12月 31日
大晦日掃除買物大わらわ
1月 1日
賀状着く音今年の扉開きけり
1月 2日
鳥の巣の入り口つららひかりけり
1月 3日
舞ひ上がる小雪の彼方の家並みかな
1月 4日
読初や果て無き本の世界かな
1月 5日
当たらざる予報の空の淑気かな
1月 6日
仕事始景気回復祈りけり
1月 7日
松の内と思ふ間に七日かな
1月 8日
お披露目のスケートリンクイナバウアー
1月 9日
正月の凧思いの外に高かりし
1月 10日
鞆の浦船乗初のいろは丸
1月 11日
今年の元気勢ひつけて吉書かな
1月 12日
緊張後笑顔連なる成人式
1月 13日
初場所や記録更新なりにけり
1月 14日
面白き計画立てて去年今年
1月 15日
冬晴れの日差しを浴びて身引き締まる
1月 16日
松過ぎて普段通りのニュースかな
1月 17日
降ってはとけ降ってはとけたる雪景色
1月 18日
寒林の囲む青空わずかなり
1月 19日
仏像の頭の雪の帽子かな
1月 20日
鍋囲み旅の話が咲きにけり
1月 21日
蝋梅や自転車押して通りけり
1月 22日
出初式赤青黄の水放つ
1月 23日
大寒やコートを脱いで外出す
1月 24日
昼間なお氷張る池竹林寺
1月 25日
山鳩の巣作りするや冬日和
1月 26日
鷽替や受験生のお守りかな
1月 27日
サクサクと竹林寺へ落葉踏む
1月 28日
わらわらと飛行機雲や春隣
1月 29日
ピリ辛の雑炊で顔赤かりき
1月 30日
きらきらと水の笑ふや冬麗
1月 31日
厳島岩屋大師や冬の山
2月 1日
おでん買ふ厳島弥山の茶店かな
2月 2日
神の鹿つぶらな瞳春隣
2月 3日
冬日和善男善女寺参り
2月 4日
福豆や帽子と手で受けにけり
2月5日
風あれど立春大吉末広がり
2月6日
ゆるゆると貨物が通る春の霜
2月7日
縦走に春の雪舞ふ牛田山
2月8日
水仙やキャッチボールをする親子
2月 9日
白雲の二月の空に鳶かな
2月 10日
春時雨調べものする夜更けかな
2月 11日
山笑ふそろばんの木を見つけたり
2月 12日
流氷の接岸に沸く歓声かな
2月 13日
キャンパスの梅の便りや五輪咲く
2月 14日
白滝の春山辺にて麿崖仏
2月 15日
春の海スローモーションの船が行く
2月 16日
早春や五輪の結果確認す
2月 17日
木の芽風俳句手帳尽きにけり
2月 18日
スケートのコンマ一秒の明暗かな
2月 19日
春の山稜線くっきり浮かびけり
2月 20日
春浅し雑誌数冊眺めけり
2月 21日
春光や親子川辺でお弁当
2月 22日
三味線の調べをのせて春の風
2月 23日
火の輪舞秋吉台の山焼きかな
2月 24日
親子にて受験の下見春麗
2月 25日
学校の近くで食事してのどかなり
2月 26日
あたたかやスクールバスに揺られけり
2月 27日
春雨や急ぎ足の帰り道
2月 28日
栄冠の涙を見せて二月尽きぬ
3月 1日
摘草の三人揃って大漁かな
3月 2日
春雨や恥ずかしくて傘貸せず
3月 3日
春日やただ検索と格闘す
3月 4日
福寿草写真を撮る気分かな
3月 5日
図書館のはしごをするや春浅し
3月 6日
囀りに合わせて足取り軽くなり
3月 7日
春炬燵パソコンのスイッチ入れにけり
3月 8日
啓蟄や人もあちこち動き出し
3月 9日
雛祭り人形飾って町興し
3月 10日
春雨や開館を待つ列できぬ
3月 11日
春麗国会議事堂そびえけり
3月 12日
上野の西郷さん早や花見かな
3月 13日
赤々と朝日見ゆる春日和
3月 14日
旅終わりのんびりとして山笑ふ
3月 15日
春の風強けれども親切あり
3月 16日
名調子講談聞いて大石忌
3月 17日
寿司食べて蜆汁飲み温まる
3月 18日
春の鳥いと軽やかに囀れり
3月 19日
雨降って連翹黄の驚かす
3月 20日
年度末花見の宴どこにせん
3月 21日
待ちわびた春の開幕プロ野球
3月 22日
雪柳日の恵み受け咲きにけり
3月 23日
春疾風屋根もビニールも飛びにけり
3月 24日
センバツや高校球児の夢かなふ
3月 25日
桜咲く週末の天気気になれり
3月 26日
セリーグの春の球宴開幕す
3月 27日
風吹いて背中向けたる余寒かな
3月 28日
俳句手帳買ひに行きけり誓子の忌
3月 29日
菜の花や用事帰りの道草かな
3月 30日
ぶるぶると花も凍える春の雪
3月 31日
自転車の軽やかさや水温む
4月 1日
春休み学生食堂閑散なり
4月 2日
入学式羽織袴で笑顔かな
4月 3日
四月馬鹿嘘でもいいからいいニュース
4月 4日
お花見の席取る間にバドミントン
4月 5日
白木蓮凛と花の咲き誇る
4月 6日
入社式自分が社荷なう心意気
4月 7日
雑草でも生きているよとなずなかな
4月 8日
花の命短ければ写真撮る
4月 9日
チューリップ合わせた如く咲き開く
4月 10日
花万朶宇宙飛行士遊泳す
4月 11日
久しぶりに通る道には蒲公英かな
4月 12日
つばくろや蔵並びたる酒の街
4月 13日
傘差して花筏をぞ見送れり
4月 14日
春風ややばい連発の学生かな
4月 15日
小雪降る高山祭りの賑わひかな
4月 16日
花蔽ふ道の端をぞ通りけり
4月 17日
古ぼけた本取り寄せて山笑ふ
4月 18日
初蝶や山菜祭りに寄せられて
4月 19日
黒々と耕す農夫に道を聞き
4月 20日
ひらひらと名残の花が一つ二つ
4月 21日
いっぱいに作物育つ穀雨かな
4月 22日
武田山ここにも人家落椿
4月 23日
予報では季節はずれの寒き春
4月 24日
鶯や初登山する翁かな
4月 25日
書き物にあってよかった春炬燵
4月 26日
春の山今は昔ぞ馬場の跡
4月 27日
晩春の野山に狭き城跡かな
4月 28日
文献のコピーして帰途に八重桜
4月 29日
チューリップ童謡心に浮かびけり
4月 30日
驚異の雑技団来て夏隣
5月 1日
子供らが走り回りて四月尽きぬ
5月 2日
五月入り上海万博開幕す
5月 3日
連休のフラワーフェスティバル夏近し
5月 4日
蒲公英の桃源郷や極楽寺山
5月 5日
鯉幟ベッキー歌うフェスティバル
5月 6日
夏めいて錦帯橋の遊覧船
5月 7日
薫風や岩国城を見学す
5月 8日
子供の日高速爆音航空ショー
5月 9日
今年も早やあやめ咲きたる季節かな
5月 10日
夏空へ高く噴水上がりけり
5月 11日
川辺に提灯の如き藤の花
5月 12日
雨上がりブールバールの躑躅咲く
5月 13日
花水木新しき道も早や十年
5月 14日
大輪の白に白重ね富貴草
5月 15日
夏の日や胸を張って闊歩する
5月 16日
夏の虻山中の道で通せんぼ
5月 17日
平安の雅を今に賀茂祭
5月 18日
山中の滝道ランナー駆け登る
5月 19日
この道やあやめ盛りとなりにけり
5月 20日
ビール園アルバイトの腕太くなり
5月 21日
田植え機がでんと主役の小さき田
5月 22日
咲き誇る我家の薔薇はピンクなり
5月 23日
これだけのあまた種ある苺喰ふ
5月 24日
渓流に涼を求めて川開き
5月 25日
連日の五月雨降って濁流かな
5月 26日
ひたすらにゴールに向かふや五月闇
5月 27日
草刈りの音聞き暑くなりにけり
5月 28日
短夜や机仕事のはかどれり
5月 29日
山道で蜻蛉飛ぶまで一休み
5月 30日
大岩にへばりつきたる皐月かな
5月 31日
夏空や高層ビルの突き出たり
6月 1日
駅前に遠雷届き道普請
6月 2日
夏の日やサーカス去りし空地かな
6月 3日
これからが暑くなるよと雲の峰
6月 4日
水芭蕉白き妖精繭となり
6月 5日
更衣クリーニングの季節かな
6月 6日
軽快にジョギングするや青田風
6月 7日
大山で松明かざし山開き
6月 8日
修験道走り去りたる青蜥蜴
6月 9日
蛍見の旅の慕情の広告かな
6月 10日
夏草や背丈ほどにぞ伸びにけり
6月 11日
秋刀魚の目氷の中で光をり
6月 12日
夏蝶やケーキの話盛り上がり
6月 13日
黙々と青き合羽着て田植えかな
6月 14日
五月雨て故郷の青き山々かな
6月 15日
梅雨晴れやワールドカップの初戦かな
6月 16日
梅雨深く朝傘の列急ぎ行く
6月 17日
今日限りの連絡船や穴子食ふ
6月 18日
自転車に蛇の驚き去りにけり
6月 19日
手際よく胡瓜刻んで食事かな
6月 20日
夏蝶や車の陰に休みをり
6月 21日
炎天下メロン無造作に並びをり
6月 22日
雨上がり紫陽花の青映えにけり
6月 23日
家造り今真っ盛りの夏至かな
6月 24日
喉元にメロンの甘さ纏わりぬ
6月 25日
夜明け頃蚊の声がして目覚めけり
6月 26日
六月や先を夢見るワールドカップ
6月 27日
猛暑日やパタパタとあおぐ団扇かな
6月 28日
万緑や人なき家の破れ窓
6月 29日
朝顔やどちらに伸びよか柵の上
6月 30日
サッカーの試合にわいて六月尽く
7月 1日
にぎやかに遠方の電話灯涼し
7月 2日
熱々の饂飩を啜って半夏かな
7月 3日
草刈りの音と雨音の合わされり
7月 4日
大雨の降り続きたり楸邨忌
7月 5日
サルビアや今日レストラン休みかな
7月 6日
レーダーの天気図を見る梅雨晴間
7月 7日
七夕の子の短冊の願かな
7月 8日
学園でゆるり演奏合歓の花
7月 9日
七月や雲中駆ける特急かな
7月 10日
緑陰に包まれチャペル佇めり
7月 11日
夏の川爆笑の渦の落語かな
7月 12日
待ち時間涼を求めアイスティ
7月 13日
寿司屋にて仲間集ひて暑気払い
7月 14日
遠方で人の声して雷走る
7月 15日
白百合の気高き白の一輪かな
7月 16日
荒梅雨や山肌の土砂削りけり
7月 17日
のうぜんの庭よりこぼれ道並ぶ
7月 18日
梅雨明けが南の熱風呼びにけり
7月 19日
練り歩く鉾巡行や無事祈念
7月 20日
猛暑日にわざわざ日焼けに海に行く
7月 21日
夏空の青どこまでもまぶしけり
7月 22日
図書館の中では目立つサングラス
7月 23日
ゆらゆらと新しき浮輪水弾く
7月 24日
エアコンの涼風求める大暑かな
7月 25日
河童忌や短編永久の名作なり
7月 26日
光る汗さらに汗かく麦茶かな
7月 27日
扇風機埃被って買い換える
7月 28日
青空に吸い込まれるや蝉時雨
7月 29日
それぞれに顔の違ふトマトかな
7月 30日
西日落ちやうやう今日の帰途につく
7月 31日
川蜻蛉いつも変わらぬ水流かな
8月 1日
七月や古傷ながめ尽きにけり
8月 2日
縮景園あまねく蝉に占拠され
8月 3日
球場で風船の舞ふ夏の夜
8月 4日
街路樹の日陰に沿って信号待ち
8月 5日
ここへ来てパンの耳食べ夏の鳥
8月 6日
爽やかな一陣の風夏過ぎぬ
8月 7日
真夜中に夢からさめる雷鳴かな
8月 8日
原爆忌米もまた平和願ひけり
8月 9日
きれぎれに大きく鳴くや秋の蝉
8月 10日
球場に上がる花火と歓声かな
8月 11日
秋の暮犬に引かれて散歩かな
8月 12日
長崎忌天主堂での祈りあり
8月 13日
台風が来ると早めに帰りけり
8月 14日
息抜きに黒葡萄をぞ一つまみ
8月 15日
宮島の水中花火迫りけり
8月 16日
改めて非戦の誓ひ終戦日
8月 17日
虫の音の早や涼しげに夜更けぬ
8月 18日
保護色の草叢からバッタ飛ぶ
8月 19日
現地にて一度見てみん阿波踊り
8月 20日
汗かいてTシャツ重き残暑かな
8月 21日
屋根の上ひょいと出たる秋の月
8月 22日
蝉法師高校野球の覇者決まる
8月 23日
書籍を整理処分し燈下親し
8月 24日
日本中残暑長引く予報かな
8月 25日
枝豆やコップ片手に日暮れぬ
8月 26日
夕暮れにしばしの憩ひ秋の風
8月 27日
窓開けて虫の音聞きけりいつまでも
8月 28日
旗持って集団登校新学期
8月 29日
冷やし中華召しませ島渡る前に
8月 30日
円高が話題賑わす八月かな
8月 31日
豊の秋米余りとぞ言われけり