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え さ し
オホーツク枝幸地区
水産流通基盤整備事業 事前評価
資料4-1
オホーツク枝幸漁港の概要(1)
オホーツク枝幸地区主な漁業種類ほたてがい桁曳網、さけ定置網、かにかご
○ オホーツク枝幸漁港は、ほたてがい桁曳網漁業、さけ定置網漁業を中心とした生産・流通拠点。
○ 枝幸町では、漁業が全産業の生産額の6割、就業者数の3割を占める一番の基幹産業。
ホタテガイ漁場
オホーツク枝幸漁港(第2種漁港)
オホーツク枝幸北漁港(第2種漁港)
(ブランド化に取り組んでいる水産物の例)
「枝幸かにまつり」を毎年開催しており、町をあげて水産物をPRしている。※H29入込数は31,800人
音標地区
岡島地区
徳志別地区
山臼地区
乙忠部地区
1
オホーツク枝幸漁港の概要(2)
○ 枝幸町における水産物陸揚量は4万トン、金額は80億円(※H18~27平均)であり、ホタテが、その約6割の量を占めている。
○ ホタテは、EUや中国等へ輸出されるなど、北海道の主要輸出品目として重要な役割を担っており、枝幸町周辺地域はその主要な生産拠点となっている。
【北海道内からの水産物輸出額】 【品目別構成】
枝幸町全体の陸揚量の6割陸揚量4万トン、金額80億円
ホタテガイ陸揚状況 輸出額の2/3がホタテガイ
ホタテガイは主に剥身冷凍で中国やアメリカ・EUに輸出される。
また、中国には干し貝柱も輸出されている。
〇枝幸町の水産業の位置づけ
2
枝幸港
山臼
0 2 4 6 8 10 (km)
乙忠部
音標
目梨泊
オホーツク枝幸漁港の概要(3)〇ホタテガイの陸揚形態○ 枝幸町の沖合にはホタテガイ漁場が60kmにわたり広がっており、その漁場が4区画に
分けられ、毎年異なる区画で漁獲を行っている。(4輪採)
○ 本操業(漁獲)や漁場造成(種苗放流)では、最も近い港を基地として利用している。
本操業(6~11月)サイクル図
目梨泊
枝幸港
山臼
乙忠部
音標
0 2 4 6 8 10 (km)
漁場造成(3~5月)サイクル図
成長した4年貝を漁獲する。
本操業の翌年に
漁場造成のため、種苗放流を行う。
特志
別
3
ほたて
がい
3,231 56%
さけ類
1,397 24%
けがに
377 6%
からふとます
277 5%
なまこ類
187 3%
たこ類
121 2%
その他
224 4%
平成27年 漁獲量の魚種別内訳 平成27年 漁獲高の魚種別内訳
オホーツク枝幸漁港の港勢
【平成27年港勢】利用漁船隻数 ・・・・・・・・ 324隻漁獲量 ・・・・・・・・ 14,317トン漁獲高 ・・・・・・・・ 58.1億円主な魚種 ・・・・・・・・ ホタテガイ、サケ、ケガニ
(資料:H27港勢調査)
主な漁業種類ほたてがい桁曳網
さけ定置網かにかご
ほたて
がい
9,886t 69%
さけ類
3,364t 23%
たこ類
229t 2%
するめいか
168t 1%
けがに
144t 1%
えい類
105t 1%
その他
422t 3%
14,317トン 5,814百万円
オホーツク枝幸漁港は、我が国の主な水産物輸出品目であるホタテガイ・サケ類の割合が高い。
ホタテガイ・サケ類が約9割
ホタテガイ・サケ類が約8割
4
オホーツク枝幸漁港の現状と課題①(波浪対策)
○ 港口からの侵入波や既存施設からの越波により、泊地静穏が保たれない状況。
(外郭施設の必要性)
航帯以外は出漁できる海況
防波堤からの越波により、港内静穏が保たれない状況である。(乙忠部地区)
(航路帯)
→近年の波浪の激化により、当地区では設計沖波をH28に改訂。
護岸からの越波により、用地や漁具の破損など漁業活動に支障をきたしている。(音標地区)
5
オホーツク枝幸漁港の現状と課題②(衛生管理対策の推進)
○ 陸揚げ岸壁周辺は鳥類が飛来し、異物混入の恐れがあるほか、直射日光や雨などの影響を受けている。(天蓋施設の必要性)
○ 漁船や岸壁の洗浄後の排水は直接港内に流入している。(排水施設の必要性)
漁船のポンプで漁港内の水をくみ上げ
洗浄した水は岸壁から港内に流入
鳥類が飛来し、糞など異物混入のおそれがある。
直射日光や雨の影響
→食の安全と安心に対する消費者の関心の高まり、水産物の輸出拡大などを踏まえ、
衛生管理対策の推進が求められている。
6
オホーツク枝幸漁港の現状と課題③(漁船の大型化対策)
○ 漁船の大型化により、係船岸不足による陸揚げ待ちや、船底を損傷等の被害が発生。
(水域施設及び岸壁増深の必要性)
旧基準船新基準船
陸揚げ待ち
○漁船基準の変更により、10~20t クラス船は必要水深が、-3.0m ⇒ -3.5mに変更。
→岸壁や泊地の構造水深は、-3.5m ⇒ -4.0m が必要.
キール部に擦れ
→平成18年に「測度法」(船舶のトン数の測度に関する法律)が改正されたことを踏まえ、
安全、効率的な操業を目的に漁船が大型化。
7
オホーツク枝幸漁港の現状と課題④(防災・減災対策)
○ 大規模災害が発生し、漁業活動が長期休止となった場合、地域経済に与える影響が大
きい。このため、水産業の早期再開のための対策が急務。(岸壁耐震化の必要性)
(北海道内で被災した施設)
30年に1回の割合で、震度5弱以上の地震が発生するおそれがある。
○災害発生後、陸揚施設が使用できなくなると、復旧までの期間漁港の水挙げが減少し、地域経済に大きな影響をあたえる。
→岸壁の耐震化を図ることで、水産業の早期再開を図り、被災時の漁獲損失を防ぐ。
期待される効果
(他漁港の事例)
8
新規計画の主な内容 (音標地区)
①越波を防止するための護岸嵩上げ②航路静穏確保のための防波堤整備③漁船の大型化に対応した水域施設の増深④係留施設不足解消のための岸壁・船揚場整備⑤漁具洗浄や漁具移動効率化のための用地改良
漁業活動の効率化
①ほたてがい、さけを対象とした天蓋施設、排水施設の整備
衛生管理対策
防災対策
①大規模地震被災時における漁業活動早期再開のための岸壁耐震化
漁港ストックの活用
①上架作業等効率化のための用地改良②陸揚時就労環境改善のための岸壁傾斜
等の改良
音標地区
①護岸嵩上げ
②防波堤新設③水域増深
④岸壁整備
②岸壁改良
①用地改良
⑤用地改良
④船揚場整備
おとしべ
9
新規計画の主な内容 (乙忠部地区)
乙忠部地区
①ほたてがい、さけを対象とした天蓋施設、排水施設の整備
衛生管理対策
漁港ストックの活用
①上架作業等効率化のための用地改良
防災対策
①大規模地震被災時における漁業活動早期再開のための岸壁耐震化
漁業活動の効率化
①越波を防止するための防波堤・護岸嵩上げ②係留施設不足解消のための岸壁整備③漁船の大型化に対応した水域施設の増深④効率的に上架作業を行うための船揚場改良
①防波堤・護岸嵩上げ
②岸壁整備③水域増深
④船揚場改良
おっちゅうべ
10
新規計画の主な内容 (山臼地区)
漁業活動の効率化
①越波を防止するための防波堤・護岸嵩上げ②港内静穏確保のための突堤整備③航路静穏確保のための外防波堤整備④漁船の大型化に対応した水域施設の増深⑤効率的に上架作業を行うための船揚場改良
①ほたてがい、さけを対象とした天蓋施設、排水施設の整備
衛生管理対策
防災対策
①大規模地震被災時における漁業活動早期再開のための岸壁耐震化
漁港ストックの活用
①上架作業等効率化のための用地改良
山臼地区
①防波堤・護岸嵩上げ
②突堤整備
③外防波堤整備
④水域増深
⑤船揚場改良
やまうす
11
オホーツク枝幸地区の主な便益(全体)
衛生管理対策により、品質と鮮度が確保された水産物の出荷が可能となる。このため、輸出量増大に加え、国内の販路拡大も見込まれる。
港内の静穏度対策により、漁獲物の安定供給が可能となる。このため、加工業者等の収益向上や地域雇用の安定化が見込まれる。
○定量的な効果
○定性的な効果
便益
1.生産物生産コストの削減効果 1.35億円 67.65億円
2.漁獲機会の増大効果 1.47億円 73.63億円
3.漁獲物付加価値化効果 3.21億円 160.71億円
4.漁業就業者の労働環境改善効果 0.02億円 1.18億円
5.避難・救助・災害対策効果 0.15億円 7.38億円
計(総便益額) 6.21億円 310.55億円
総便益額(現在価値化) 101.35億円
(年間便益額) (総便益額)
12
①外郭施設整備に伴う漁船耐用年数の延長 41,927
② 〃 漁船避難時間の短縮 1,009
③ 〃 係留状況確認時間の短縮 5,954
④ 〃 上架漁船見回り時間の短縮 12,980
⑤ 〃 陸揚げ作業時間の短縮 3,164
⑥ 〃 漁具見回りの時間の短縮 4,067
⑦ 〃 漁具移動時間の短縮 440
⑧ 〃 清掃作業時間の短縮 1,914
⑨ 〃 波待ち時間の解消 5,880
⑩水域施設整備に伴う漁船耐用年数の延長 53,398
⑪係留施設整備に伴う係留待ち時間の短縮 1,430
⑫船揚場整備に伴う漁船移動時間の短縮 180
⑬ 〃 上架時間の短縮 764
⑭リフト式上架施設整備に伴う上下架時間の短縮 969
⑮用地舗装に伴う労働時間・経費の削減 866
⑯用地整備に伴う漁具の保管作業時間の短縮 360
135,302合計
中分類 小分類
水産物生産コストの縮減効果
年間標準便益
年間便益額
135,302千円/年
オホーツク枝幸地区の主な便益①
(1)水産物生産コストの削減効果
13
<⑩水域施設整備に伴う漁船耐用年数の延長>
• 漁船の大型化による船底接触事故等により、船体の消耗が激しくなっている。航路泊地の整備により必要水深が確保され、漁船耐用年数の延長が図られることから、この効果を便益として計上。
年間便益額
対象漁船隻数 × 平均トン数 × ( - ) × 漁船建造費 =1
整備前漁船耐用年数
1整備後
漁船耐用年数
53,398千円/年
整備前 整備後
キール部に擦れ
水深が浅いので、船底がぶつかる!
水深が確保されるので、船が傷まない!
増深
(具体事例)
14
オホーツク枝幸地区の主な便益②
港口が荒れなくなった
ので、出漁できる!
• 波浪により航路静穏が確保されず、外海では操業可能な場合でも出漁を断念していたが、施設整備後は航路静穏が確保され、出漁機会の増加が見込まれることから、この効果を便益として計上。
147,256千円/年年間便益額
( 整備後の出漁日数 - 整備前の出漁日数 ) ×
平均単価
=
漁業所得率
( 整備前の年間漁獲高 / 整備前の年間延べ出漁回数 )
× ×
整備後
外海は漁ができるのに、
港口の波が高くて
出漁できない!
整備前
(2)漁獲機会の増加効果
15
オホーツク枝幸地区の主な便益③
野天での陸揚げ作業のため、雨や直射日光による鮮度低下や鳥糞等の異物混入のおそれがあったが、屋根付き岸壁を整備することにより、当該岸壁で水揚げされる水産物の品質低下を防ぐことができることから、この効果を便益として計上。
321,424千円/年
年間便益額当該岸壁で水揚げされる 衛生管理効果の水産物
年間陸揚金額 × 価格に占める割合 - 維持管理費 =
野天での陸揚げため、
鮮度低下・異物混入により魚の単価が下がる
整備前
衛生管理された魚のため、単価が維持できる。
整備後
(屋根付き岸壁整備イメージ)
(3)漁獲物付加価値化の効果
16
オホーツク枝幸地区の主な便益④
年間便益額(全体)
(4)漁業就業者の労働環境改善効果
• 現在、港内静穏が悪く、出漁準備や陸揚時に漁船が動揺し、過酷な就労環境。• 施設整備後は港内静穏が確保され、安全な陸揚作業が可能となる。この効果を便益計上。
1,452千円/年年間便益額
=
( 整備前の作業状況の基準値 - 整備後の作業状況の基準値 ) ×
労働環境改善が図られる延べ作業時間 ×労務単価
船が大きく揺れて、非常に危険
!
船の揺れが少なく、安全!
整備前 整備後
外郭施設整備に伴う漁業者の快適性・安全性の向上 1,452
係留施設整備に伴う漁業者の快適性・安全性の向上 542
上架施設整備に伴う漁業者の快適性・安全性の向上 77
用地整備に伴う漁業者の快適性・安全性の向上 288
2,359合計
中分類 小分類 年間標準便益
漁業就業者の労働環境改善効果
(具体事例)
17
①漁獲不可能回避額
14,757 千円/年
②災害復旧回避額
震災1回あたり漁獲不可能回避額
= 545,593 千円
震災1回あたり災害復旧費回避額
= 234,200 千円
年間便益額
( 震災1回あたり休業損失回避額 + 震災1回あたり災害復旧回避額 ) × 災害発生確率
=
• 耐震性能を強化した岸壁がないため、大規模災害による施設被害を受けると、復旧作業中は休漁となり、被災施設の復旧に多くの費用を要するが、整備後はこれら被害を防ぐことができることから、これらの効果を便益として計上。
(復旧する2年間の損失額) (2年間で要する復旧費用)
ここここここここここここここここここ
ここここここここここここここここここ
整備前整備前 整備後
地震や津波による岸壁や防波堤の被害で出漁や陸揚げ
ができない
耐震・耐津波対策した主要な岸壁において漁獲ができる
地震や津波による被害で大規模な改
修工事が必要
耐震・耐津波対策により主要な岸壁及び防波堤工事の
必要がない
整備後
( 1/31-1/75 )
ここここここここここここここここここ
ここここここここここここここここここ
オホーツク枝幸地区の主な便益⑤(5)生命・財産保全・防御効果
18
本事業に要する事業費
事業費
外郭施設 53.00 億円
水域施設 6.30 億円
係留施設 32.40 億円
輸送施設 1.20 億円
漁港施設用地 3.30 億円
計(事業費) 96.20 億円
総費用額(現在価値化) 72.65 億円
19
事業費(億円) 96.20億円
整備予定期間 平成30年度 ~ 平成39年度
便益(億円)(年単純合計)
6.21億円
総費用(C)(億円)
C = 72.65億円
総便益(B)(億円)
B = 101.35億円
費用便益比(B/C)
B/C =1.40
費用対効果分析結果
20
兵庫県播磨灘地区
水産環境整備事業【事前評価】
~マコガレイの生活史に配慮した
水産環境整備の推進~
資料4-2
兵庫県播磨灘地区の位置及び概要
【兵庫県播磨灘地区の概要】兵庫県播磨灘地区は、東部は明石海峡、南部は鳴門海峡に接し、海峡部付近は潮流の
影響で起伏が激しい海底地形となっており、中でも明石海峡の潮流により形成された「鹿ノ瀬(明石海峡西側に形成された東西約20km、南北約5kmの天然の浅瀬)」は、瀬戸内海有数の好漁場として知られている。その他の海域は単調な海底面がひろがり、水深は概ね40m未満である。
【兵庫県播磨灘地区の漁業の概要】主な漁業:船曳網、小型底曳網、まき網、刺網、一本釣り漁業、ノリ養殖、カキ養殖漁業生産量(H27):8万8千トン(県の67%) 生産額:267億円(県の60%)
家島諸島
淡路島
鳴門海峡
紀伊水道
大阪湾
明石海峡
兵庫県播磨灘地区の範囲
1
主要対象種の漁獲動向と原因及び対応方向
○香川県、岡山県と連携した「播磨灘地区水産環境整備マスタープラン」に基づき、マコガレイの生活史に着目した水産環境整備や資源管理措置を講じてきた結果、近年カレイ類の漁獲量は回復傾向にある。
0
200
400
600
800
1,000
H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27
漁獲
量(t)
播磨灘におけるカレイ類の漁獲量の推移(兵庫県)
播磨灘水産環境整備マスタープラン策定(H23.8)
0
200
400
600
800
1,000
1,200
1,400
H1 H2 H3 H4 H5 H6 H7 H8 H9 H10H11H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26H27
漁獲
量(t)
播磨灘におけるカレイ類の漁獲量の推移(兵庫県)
資源をより高位で安定した水準へ回復させ、海域全体の生産力を上げるためには、餌料生物量の増大や生息適地の拡大等の水産環境整備を更に講じていく必要がある。 2
マコガレイの生活史
播磨灘におけるマコガレイの生活史は、①産卵期(誕生):12月下旬~1月に概ね30m以浅の岩礁帯近傍の砂泥域で産卵②仔魚~稚魚期:孵化後約30日間浮遊生活の後、3~4月に10m以浅の砂泥域に着底③幼魚~成魚期:7月以降、行動域を拡大し、翌年5月頃全長16㎝以上となり漁獲加入④産卵期(出産):12月産卵のため接岸し、産卵後2月頃まで沿岸域に分布。3月以降深所へ移動
-10m
-20m
卵
仔魚
砂礫域~岩礁域
海面
-40m
-30m
播磨灘におけるマコガレイの深浅移動
播磨灘におけるマコガレイの
生活史の模式図
3
-10m
-20m
卵
仔魚
砂礫域~岩礁域
海面
-40m
-30m
餌料培養礁
マコガレイの生活史に対応した整備
①稚魚期を対象とした増殖場整備浮遊仔魚の着底や稚魚期の育成を促進するため、着底域に投石や、餌料培養礁からなる基質を設置し、資源への加入を促進
②幼成魚期を対象とした増殖場整備大規模石材礁の整備手法を用い、生産性の低い単調な海域の餌料環境の改善を図り、幼魚~成魚の育成を促進
○成長段階に応じた生息環境の整備
稚魚育成場の整備
餌料培養礁に着生した海藻
大規模石材礁造成イメージ図
石材礁の付着生物と蝟集するメバル稚魚育成場内のマコガレイ稚魚
投石状況
幼成魚育成場の整備
4
事業計画及び内容
マスタープランの指標種であるマコガレイの生活史に配慮した増殖場整備により、カレイ類、メバル、カサゴ等の資源増大を図り、播磨灘海域全体の生産力の底上げを目指す。
家島諸島
【事業内容】
事業主体:兵庫県
○事 業 量:増殖場 106.9ha
(5漁場6工区)
○事 業 費:3,030百万円
○事業期間:H30~H39
事業予定箇所概要図
未成魚~成魚期の多棲域(主要漁場)
主な産卵場
孵化仔魚(1~3月)の移動経路
主な孵化仔魚の着底場
稚魚期(5~8月)の移動経路
未成魚期(9月以降)の移動経路
家島南漁場
播磨一宮漁場
播磨五色漁場
播磨湊漁場
播磨丸山漁場
凡例整備予定増殖場
播磨一宮漁場、播磨五色漁場、播磨湊漁場、播磨丸山漁場
家島南漁場
主に幼成魚期を対象とした増殖場整備(石材礁)
主に稚魚期を対象とした増殖場整備(着定基質)
5
水産物の生産性向上効果①
増殖場整備(石材礁及び着定基質)によって新たに収容される幼稚魚が漁獲可能サイズに成長し、期待される漁獲量を便益として算定
増殖場(石材礁及び着定基質)による生産量増大効果
標準年間便益 71,911千円/年
漁獲量増加
便益額
対象種の幼稚魚が新たに増殖場に収容
増殖場内のカサゴ幼魚増殖場内のメバルの群れ 増殖場内のマコガレイ稚魚
漁獲サイズに成長増殖場外で漁獲 6
【家島南】石材礁によるメバル、カサゴ、カレイ、マダイの生産増加便益生産量増加便益=期待漁獲量(kg)×平均単価(円/kg)×所得率(%)
【播磨一宮、播磨五色、播磨湊、播磨丸山漁場】着定基質によるメバル、カサゴ、カレイ、マダイの生産増加便益生産量増加便益=期待漁獲量(kg)×平均単価(円/kg)×所得率(%)
水産物の生産性向上効果②
増殖場(大規模石材礁)整備による回遊性魚類(アジ)の生産量増大効果を便益として算定
増殖場(大規模石材礁)の魚礁機能による生産量増大効果
【家島南漁場】三ツ頭島工区(石材礁1基)、加島南工区(石材礁8基)
生産量増加便益=有効体積×1空㎥当たりの漁獲量×平均単価×所得率
便益額
標準年間便益 20,628千円/年
既設石材礁の計量魚探映像
石材礁に蝟集するアジの群れ
石材礁に蝟集した魚を漁獲
7
地域産業の活性化効果
増殖場整備による生産量の増加により、消費地市場等への出荷過程で流通業者に帰属する便益(所得増加額)を算定
漁業外産業への効果
○メバル類・カサゴ・カレイ類・マダイ【家島南漁場】(石材礁)、【播磨一宮、播磨五色、播磨湊、播磨丸山漁場】(着定基質)
○回遊性魚類(アジ)【家島南漁場】(石材礁)
所得増加便益=魚類増産額×消費地・産地市場間の価格上昇率×流通業者の所得率
便益額
標準年間便益 80,503千円/年
漁獲の増加 出荷増による流通業者の所得増加 8
自然環境保全・修復効果
増殖場(大規模石材礁)整備により増加する付着生物が、体内に窒素を固定・貯留することによる水質浄化効果(下水処理施設での処理費用から便益を算出)
付着生物による水質浄化効果
【家島南漁場】効果便益=
増加する付着生物平均現存量×生物体の窒素含有率×1㎏あたり年間処理経費※付着生物の現存量は平衡状態に達した後は増減しないことから、便益額は効果計測期間中1回のみの計上
便益額
総便益額 1,035,124千円
付着生物が体内に窒素を固定・貯留することにより水質浄化
付着生物平均現存量1,755トン
着定基質設置による付着生物現存量の増加
9
事業の投資効果
便益項目 年間便益 総便益
漁獲可能資源の維持・培養効果 92,539千円 13.54億円
漁業外産業への効果 80,503千円 11.78億円
自然環境保全・修復効果 34,504千円(※) 7.18億円
合計 207,546千円 32.50億円
※効果計測期間中1回のみ便益額を計上していることから、便益額の総計を効果計測期間の30年で割り戻した値を年間標準便益額としている。
事業費(億円) 32.50億円
整備予定期間 平成30年度~平成36年度
便益(億円)(年単純合計)
2.08億円
総費用(C)(億円)
C=22.41億円
総便益(B)(億円)
B=32.50億円
費用便益費(B/C) B/C=1.45 10
しらつか
白塚地区
海岸事業(高潮対策事業) 事前評価
資料4-3
1
① 白塚漁港海岸事業の概要
白塚漁港海岸
白塚漁港海岸(三重県津市)
当漁港海岸は、背後地に主要国道23号や民家が密集する伊勢湾沿岸中央部の県庁所在地津市に位置している。既設の海岸堤防は、昭和28年の13号台風及び昭和34年の伊勢湾台風を契機に昭和37年にかけて
復旧・整備されたもので、整備後50年を経過し老朽化が著しい。また、南海トラフの地震発生が逼迫している中、堤防高も不足している。本地区南側の津松阪港海岸にて実施されている直轄工事と連携して当該事業を行うことにより、大規模地震による津波や高潮から背後地の被害の防止を図る。
白塚漁港海岸(白塚工区)
白塚漁港海岸(河芸工区)
津松阪港海岸
白塚地区(国交省水・国局)
2
小
小
中
保保
病
病
河芸工区 白塚工区
駅
駅
小
小
中
水
小学校
中学校
水産加工施設
DID地区
保
病
保育所
病 院
数 写真位置
防護ライン
防護区域
避難施設
凡例
水
津波避難ビル
津波避難ビル
水水
水水
水
水
水
水
水 水
水
水 水 水
水
水
13
12
11
10
14
15
23
571
6 49
8
② 白塚漁港海岸における背後地域の重要性
この地域は、背後地にDID(人口集中地区)を抱え(集落人口は6,268人・県内2位) 、民家のほか保育園、小学校、中学校、鉄道等公共施設が多数存在する重要な地区であり、大規模津波や高潮等により被災を受けると、甚大な被害が懸念される。南海トラフ地震発生が逼迫する中、早急な対策を行う必要がある。
栗真地区(国交省港湾局)
上野地区(国交省水・国局)
白塚地区(国交省水・国局)
志登茂川
田中川
中ノ川
①豊津小学校 ②排水機場
③住宅団地(河芸地区)
低平地であるため大雨時にはポンプ排水が必要
白塚漁港海岸背後の平地に住宅が密集。津波避難に適した高層建物は少ない。
明治6年創立 12学級236人が在籍
② 白塚漁港海岸の重要性
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保育園の写真
④さくら保育園
⑥近鉄豊津上野駅
①水産加工場
⑦水産加工場
製氷、養殖餌冷凍加工場
⑤水産加工場
認可定員90名の私立保育園
河芸地区の玄関口。通勤通学利用者が多い いかなご等の水産加工場
② 白塚漁港海岸の重要性
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⑪商業施設
国道23号沿いに大型集客施設が多数立地
⑨市民センター⑧白塚診療所
⑩住宅地(白塚工区)
白塚地区に広く分布するDID(人口集中地区)
内科のほか、介護支援サービスも実施している 120名収容の大ホールを有し地域の拠点となっている
② 白塚漁港海岸の重要性
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⑬水産加工場
小女子の加工・天日干しを行う加工場
加工場の写真
(防護ラインから少し外れているものでもいいです)
駅の写真
⑭水産加工場
16の加工場で直販も実施し、地域経済に貢献
⑮近鉄白塚駅
⑫水産加工場
白塚地区の玄関口。通勤通学利用者が多い
こうなご
水産加工施設が連なって立地している
② 白塚漁港海岸の重要性
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白塚漁港は、県内第2位の陸揚量を誇り、陸揚げ後すぐに加工する必要のある魚種(かたくちいわし、まいわし、いかなご、しらす)が多いことから、当該漁港背後地域は江戸時代より煮干し、しらす干し、小女子等水産加工業の盛んな地域(水産加工経営体数34で県内最多)となっている。白塚漁港における陸揚げ金額が8.7億円、加工場の出荷額が60億円であることから、ひとたび大規模
津波や高潮等により漁港背後地の水産加工場などの漁業関連施設が被災すると、地域経済に甚大な影響が発生する。
全国 三重県 白塚漁港東海3県に
占めるシェア※
総生産量(t)
4,619,000181,000 12,000 475,000
全国8位 三重県2位 2.5%
まいわし(t)
340,11924,953 3,573 44,281
全国5位 三重県2位 8.1%
かたくちいわし(t)
168,74520,973 7,152 36,966
全国2位 三重県1位 19.3%
いかなご(t)
29,2191,918 857 4,165
全国5位 三重県1位 20.6%
白塚漁港海岸背後地域における水産業の全国及び県内での役割
■ 白塚漁港における陸揚げ金額 8億7,300万円【三重県6位】■ 白塚漁港地域の水産加工出荷額 60億円 【県内シェア7.3%】
※上段:東海3県(静岡、愛知、三重)の漁獲量、下段:白塚漁港が占める割合
③ 白塚漁港の地域における重要性
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③ 白塚漁港の地域における重要性
小女子(いかなごの稚魚)は、入港するとすぐに船上で加工業者により入札され、陸揚されるとすぐに加工場の大釜で茹で上げられ、天日干しにて仕上げられる。出来上がった品は、その日のうちに全国へ出荷される。白塚漁港地域の水産加工場からの出荷額は60億円となっている。
陸揚げ 運搬 釜茹で
天日干し
製品
船上での入札の様子
加工場に直送
釜茹で加工の様子
天日干しの様子
名古屋圏大阪圏へ
出荷
水産加工場
出荷額60億円!(H27年白塚水産加工業協同組合売り上げ額)
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④ 白塚漁港海岸における現状と課題
既設の海岸堤防は、昭和28年の13号台風及び昭和34年の伊勢湾台風を契機に昭和37年にかけて復旧・整備されたもので、整備後50年を経過し老朽化が著しく、堤防高も不足している。昭和49年の災害により、当該地域一帯で大規模な浸水被害が発生しており 、津市内一連の海岸を防
護するため、施設の改良・機能回復を行うことが急務となっている。
S49災害
S49災害
伊勢湾台風による被害
豊津上野駅周辺における浸水状況
S49災害
河芸地区周辺における浸水状況
高波による越波の状況
伊勢湾台風
コンクリートの劣化とひび割れの状況
完成箇所 すり付け 現況
堤防高の不足(直轄完成箇所と既設箇所との比較)
TP6.0 TP4.5
既設の海岸堤防高さは、T.P.4.0~5.0mの暫定断面で整備されたもので、高潮対策として必要な高さが不足しているものであり、また、整備後50年を経過して老朽化が著しい。同市内の津松阪港海岸直轄事業では、T.P.6.0mに堤防を嵩上げしているところ、当該工事が完了し
た際、一連の海岸における堤防断面に大きな差が生じてしまうことになる。このため、ひとたび高潮浸水被害が発生すれば、ここから浸水が広がり、地域全体に大きな被害を発生させることが懸念される。
老朽化の状況堤防の現況高さと計画高(T.P.)
コンクリートの劣化状況
現況高 計画高
白塚工区 4.0~4.5 6.0河芸工区 5.0 6.0
単位(m)
コンクリートのひび割れ状況
コンクリートのひび割れ状況
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直轄事業で整備した箇所と堤防高で段差が発生
④ 白塚漁港海岸における現状と課題
一方で、液状化対策は、技術的な検討も難しく、単位延長当たりの整備費用が大きいことから、交付金による整備では時間がかかり過ぎてしまい、直轄海岸事業と連携した一連の防護ができなくなってしまう。直轄工事の整備効果を最大限発揮させ、地域を一体となって守っていくためには、補助率の嵩上げによる特例補助事業により早急に対策を行う必要がある。
4.93m(5.00-0.07)
現況施設高 液状化による沈下地震時の広域地盤変動後
L1津波高3.6m
4.05m(4.93-0.88)
3.37m(4.05-0.68)
広域地盤変動
-0.88m液状化
-0.68m
堤防の高さに関するイメージ(河芸工区)
老朽化・沈下
破堤
地震発生時に想定される広域地盤変動による88cmの沈下、液状化による68cmの地盤沈下により、L1クラスの津波でも、当該漁港海岸から津波の越流が発生する。津波の越流は堤防の破堤を引き起こし、近隣海岸を含め背後地に甚大な被害が発生することから、緊急に液状化対策が必要である。
越流
L1津波
-0.07m
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④ 白塚漁港海岸における現状と課題
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⑤ 新規計画の内容
暫定断面の嵩上げとともに地盤改良を実施
河芸工区 白塚工区
海岸堤防の改良
陸閘の整備海岸堤防の改良
堤防完成イメージ→
地盤改良工
1m嵩上げ
陸閘の整備
白塚工区計画断面河芸工区計画断面
既設堤防断面1.5~2.0m嵩上げ
既設堤防断面
完成した隣接海岸
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⑤ 白塚漁港海岸における主な便益
■貨幣化した便益項目
①災害による精神的被害の算定(災害により受けた精神的ショックや疲労、被災の可能性の意識よりくる恐怖心)
②災害による人的損失被害の算定(災害における死傷者の逸失利益、病院への搬送や治療に費やす医療費)
③災害による緊急輸送路遮断損失の算定(被災個所への救援の遅れ、う回路利用に伴う時間的損失)
○浸水防護便益(高潮・津波等により浸水が予想される背後地域(想定浸水地域)内の家屋、農作物、公共土木
施設、公益事業等の資産を評価し、浸水被害軽減額を便益とし、「高潮」「津波」の別に算定)
・対象施設家屋 1,014棟家庭用品 1,014世帯農漁家 85軒事業所 56軒
■便益に算入していない項目(貨幣化が困難な効果)
・施設の資産価値
家屋資産額 187 千円/㎡
家庭用品評価額 13,004 千円/世帯
農漁家償却資産評価額 1,578 千円/軒
農漁家在庫資産評価額 507 千円/軒
事業所償却資産評価額 38,292 千円/軒
事業所在庫資産評価額 15,584 千円/軒
「治水経済調査マニュアル(案)各種資産評価単価及びデフレーター」(H29.2改正)
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⑥ 事業の投資効果
高潮浸水被害防止効果=高潮による年平均被害額=Σ(年平均確率)×(平均想定被害額)= 347百万円/年
高潮浸水被害防止効果については、各発生確率毎の高潮被害額を合計して算定した。
※年平均確率:ある代表的確率年とそれより一つ大きい代表的確率年との差。
本事業においては、代表的確率年を下記のとおりとした。
代表的確率年=1/3、1/4、1/10、1/20、1/30、1/40、1/50
※平均想定被害額:ある確率年における想定被害額とそれより一つ大きい確率年における想定被害額の差。
白塚工区における高潮浸水エリア(確率年1/50)
年平均確率
白塚工区 河芸工区
合計平均想定被害額 年平均被害額 平均想定被害額 年平均被害額
高潮
(1/3-1/4) 42,958 3,578 98,103 8,172 11,750
1/4-1/10) 569,521 85,428 289,822 43,473 128,901
(1/10-1/20) 1,213,603 60,680 505,843 25,292 85,972
(1/20-1/30) 1,467,335 24,456 1,315,731 21,933 46,389
(1/30-1/40) 2,131,877 17,765 2,883,218 24,017 41,782
(1/40-1/50) 2,703,165 13,516 3,763,224 18,816 32,332
合計(年平均) 205,430 141,709 347,139
(単位:千円)
⑥ 事業の投資効果
=(高潮被害防止効果、347百万円)+(津波被害防止効果、211百万円)=558百万円/年年間便益額
津波浸水被害防止効果については、液状化の発生するおそれのある河芸工区のみにおいて算定した。
※本事業における供用開始年以降の地震発生確率は、地震調査委員会における長期的な地震発生確率の評価式を用いて算定した。
※津波による被害額は、南海トラフ巨大地震による過去最大クラス(L1)の津波における被害額を算定した。
津波浸水被害防止効果=津波による年平均被害額=Σ(発生確率)×(津波による被害額)= 211百万円/年
(単位:千円)
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河芸工区における津波浸水エリア
年度 発生確率河芸工区
備考被害額
発生確率×被害額
津波
H29 0.000000000 0 0 評価年度H30 0.022319319 0 0
事業期間H30~H39H31 0.023337626 0 0
H40 0.028152699 15,016,422 422,753
供用期間50年
H41 0.028159828 15,016,422 422,860H42 0.028066524 15,016,422 421,459
H87 0.002341706 15,016,422 35,164H88 0.002144407 15,016,422 32,201H89 0.001961956 15,016,422 29,462合計 10,534,689
年平均 210,694
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⑦ 費用対効果分析結果
事業費(億円) 21.8
整備予定期間 平成30年度~平成39年度
便益(億円) (年単純合計) 5.6
総費用(C) (億円) C=17.6
総便益(B) (億円) B=91.6
費用便益比 (B/C) B/C=5.21
感度分析建設費 (+10%~-10%)建設期間(+10%~-10%)防護資産(-10%~+10%)
B/C=4.77~5.73B/C=5.11~5.32B/C=4.68~5.73
資料4-1_事前_北海道オホーツク枝幸スライド番号 1スライド番号 2スライド番号 3スライド番号 4オホーツク枝幸漁港の港勢スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8スライド番号 9新規計画の主な内容 (音標地区)新規計画の主な内容 (乙忠部地区)新規計画の主な内容 (山臼地区)オホーツク枝幸地区の主な便益(全体)スライド番号 14スライド番号 15スライド番号 16スライド番号 17スライド番号 18スライド番号 19スライド番号 20スライド番号 21
資料4-2_事前_兵庫県播磨灘地区兵庫県播磨灘地区兵庫県播磨灘地区の位置及び概要主要対象種の漁獲動向と原因及び対応方向マコガレイの生活史マコガレイの生活史に対応した整備事業計画及び内容水産物の生産性向上効果①水産物の生産性向上効果②地域産業の活性化効果自然環境保全・修復効果事業の投資効果
資料4-3_事前_三重県白塚漁港海岸スライド番号 1スライド番号 2スライド番号 3スライド番号 4スライド番号 5スライド番号 6スライド番号 7スライド番号 8スライド番号 9スライド番号 10スライド番号 11スライド番号 12スライド番号 13スライド番号 14スライド番号 15スライド番号 16スライド番号 17