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熱雑音干渉計 2000 10 10 1 熱雑音干渉計の意義 める いわれている する 各コンポーネント テストベンチ から れた これま 案された各 しい (Non-Gaussian etc...) 推定の時代は終わりにしませんか? 2 感度を決める要因 める 因、 しく ターゲット する について にま める 1 1 - セットが つあるこ している。あ 、お きる す。 1

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坪野研輪講資料熱雑音干渉計

沼田健司

2000年 10月 10日

1 熱雑音干渉計の意義

• 研究の意義

– 干渉計型重力波検出器の最終感度を決めるといわれている熱雑音の直接的な研究

– 積極的な熱雑音の低減法の確立

– 実際の検出器に導入する前の各コンポーネントのテストベンチ

• 目指す物理

– 低損失な機械系の共振から離れた領域での熱雑音の振る舞い

– 損失分布が非一様な系、複雑な系での熱雑音の振る舞い

– これまでに提案された各種推定法の検証

– 新しい物理の発見 (Non-Gaussian etc...)

”推定”の時代は終わりにしませんか?

2 感度を決める要因

熱雑音干渉計の感度を決める要因、もしくはターゲットとするものの特性について簡単にまとめる1。

1以下、鏡-懸架系のセットが二つあることは無視している。あと、おのおのの文字の意味は推測できるものは略す。

1

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2.1 Pendulum Thermal

一般に最終段のみの熱雑音で決まると考えてよい2。Structure dampingだとすれば、(√Gは)f−5/2即に従う。

Gpend(f) =4kBTmω

ω20φp

(ω2 − ω20)2 + ω

40φ

2p

∼ 4kBTω20φp

m

1ω5

(1)

√Gpend(f) = 2.6× 10−20m/

√Hz(1kgm

) 12(φp

10−7

) 12(f01Hz

)(100Hzf

) 52

(2)

Viscousなら f−2で最悪を見積もっておくならそちらを使用。直接測定できれば、どちらか判断できる。ワイヤの損失分布との関連も興味あり。一般には、低周波から働く非常によい防振系がなければ、見えてこない (後述)。

2.2 Brownian Motion

いわゆる鏡の熱雑音と呼ばれてきたもので、Structure dampingであろうとされている。観測帯域で、f−1/2。スポットサイズ (r0)3に対する依存性も、r

−1/20 。

GBR(f) ∼ 4kBT (1− σ2)√

2πEr0

φm

ω(3)

√GBR(f) ∼ 1.2× 10−19m/

√Hz

(7.2× 1010Pa

E

) 12 (1cm

r0

) 12(φm

10−6

) 12(100Hzf

) 12

(4)

材質としては溶融石英を想定 (以後も同様4。ただしポアソン比 σ = 0.17は 0と近似している。)。直接測定できれば、損失が少ない系の共振から離れた周波数での熱雑音の周波数依存性、鏡の損失分布との関係などが直接調べられることになり、興味深い。振り子の熱雑音とクロスする周波数は、

∼(√

2πω20

mEr0

φp

φm

)1/4

(5)

∼ 46Hz(1kgm

) 14(f01Hz

) 12(

E

7.24× 1010Pa) 1

4(r01cm

) 14(φp

10−7

) 14

(10−6

φm

) 14

(6)

全パラメータに関して非常に弱い依存性 (1/4乗)である。

2低周波 (10Hz付近)までの感度の向上を目指すなら、TAMAのような磁石によるダンピングは用いることはできない。

3Levin, Braginsky らは TEM00モードの強度が 1/eになる半径を r0 と定義している。これは、一般にビーム半径と呼ばれる、強度が 1/e2 になる半径 w0 と、r0 = w0/

√2の関係にある。

4サファイアの場合、以下の値を参照 : E = 4 × 1011Pa, α = 5.0 × 10−61/K, σ = 0.29, ρ = 4.0 ×103kg/m3, C = 7.9 × 102J/kg/K, λ∗ = 40J/m/s/K

2

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2.3 Thermoelastic Damping

熱分布が緩和する際に、位相遅れを伴うために発生する損失。周波数に対して f−1、スポットサイズに対して、r−3/2

0 。

GTE(f) =8√2πα2(1 + σ)2

kBT2λ∗

ρ2C2

1r30

1ω2

(7)

(λ∗:熱伝導率,α:線膨張率)

√GTE(f) = 1.4× 10−21m/

√Hz(

α

5.5× 10−71/K

)(2203kg/m3

ρ

)(8)

×(6.7× 102J/kg/K

C

)(λ∗

1.4J/m/s/K

)1/2 (1cmr0

)3/2 (100Hzf

)(9)

室温で、線膨張率の大きいサファイアでは容易に brownianを凌駕する。スポットサイズが小さい場合はさらに深刻。低温にすれば、容易に小さくなる (周波数に対する依存性もある周波数で変化)。溶融石英の場合、一般には brownianの方が大きいが、基線長が短いものを用いることが多いから、どちらが優勢かはパラメータによる。ちなみに、brownianの方が支配的になるためには5(GBR > GTE)、

r0 >α

ρC

√Tλ∗Eπφmf

∼ 160µm (10)

Cavity長とスポットサイズの間には、

r20 =Lλ

π√1− g2 (11)

g = 1− LR

(12)

(片方平面鏡の場合)の関係があるので、Brownianが支配的になる周波数は6、

f =√1− g2Lλ

α2λ∗ETρ2C2φm

∼ 390Hz (13)

Thermoelasticが振り子の熱雑音とクロスする周波数は、

∼(ρ2C2r30

√2π

2α2Tλ∗mω0φp

) 13

(14)

スポットサイズを変えることで動きやすい。

5以下、これまでに使っている代表的な値を代入した結果のみを示す。6g = 0.99としている。

3

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2.4 Shot Noise

PDH法で信号をとるとき、その shot noiseレベルが原理的な最終感度。√Gshot(f) =

λ√ηPDChν0

8P0J0(m)J1(m)F(1− AlossF

π

) (15)

Cavity poleの効果を考えるなら、cutoff c/(4LF) の lowpass特性で割ればよいが、ここで扱う場合は無視できる (L = 1cm, F = 104 → 750kHz)。いくつか仮定を施すと、

√Gshot(f) ∼ λ

√2hν0

8F√P0

(16)

√Gshot(f) ∼ 1.1× 10−20m/

√Hz

(104

F

)(500mWP0

) 12

(17)

実際には、復調系などの回路のノイズも混入するので、ここまではいかない。また逆に、PDH法でレーザの周波数安定化をした場合には、shot noise が達成できる周波数安定度を制限する。 √

Gfreq(f) =ν

L

√Gshot(f) (18)

√Gfreq(f) = 3.1× 10−5Hz/

√Hz(10cmL

)(104

F

)(500mWP0

) 12

(19)

したがって、Reference cavity(MC)は長く high finesseに、test cavityは (帯域確保のためにも)短く high finesse にするのが定石。

同じことだが、どれだけの周波数安定度が必要かは目標感度 δxと cavity長 Lから決められる。

δν =ν

Lδx = 2.8mHz/

√Hz(1cmL

)(δx

10−19m/√Hz

)(20)

Free run 時のレーザの周波数ノイズは、たとえば 3mの場合、

2.2kHz/√Hz(1Hzf

)0.825

(21)

なので、100Hzでは安定化のゲインは 18000 必要となる。

2.5 Seismic Noise

防振系の伝達関数をH(f)とすると、地面振動により決まるノイズは、以下の程度。

√Gseis(f) =

10−7

f2|H(f)| (22)

たとえば、式 (6)の brownianと振り子の熱雑音の交点を見るためには、防振比にして 170dB@50Hz必要。振り子 thermalを見るためにはさらに必要で、1Hzの振り子だけで実現しようとすると、4,5段は必要になる7。従って、必然的に低周波防振が必要となる。

7機械系の共振や慣性モーメントなどで実際には見積もりどおりの防振比がなかなか取れない。

4

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10-21

10-20

10-19

10-18

10-17

10-16

Sens

itiv

ity

[m/r

tHz]

101

102

103

104

Frequency[Hz]

Total Brownian Thermoelastic Pendulum Shot Noise Seismic Noise

図 1: 各雑音源

2.6 Photothermal Noise

鏡に入射する光子数が揺らぎ、熱膨張を通じて光路長の変動をもたらすもの。

Gphoto(f) = 2α2(1 + σ)2hνWabs

(ρCπr20)21ω2

(23)

(Wabs : 吸収される熱量)

√Gphoto(f) = 8.2× 10−24m/

√Hz(

α

5.5× 10−71/K

)(Wabs

50µW

) 12(2203kg/m3

ρ

)(24)

×(6.7× 102J/kg/K

C

)(1cmr0

)2(100Hzf

)(25)

スポットサイズにもっと強く依存 (r−20 )。表面の状態 (吸収率)やパワーにも強く依存する。Finesse

高く (入射パワーが大きく) loss が大きい場合は問題となりうる。

2.7 その他

パワーが強く鏡が軽い場合に問題になる radiation pressure 8、 熱揺らぎと反射率の変化がカップルする thermo-refractive noiseなど。現実には、これら原理的に決まるノイズが見えてこないことがもっとも大きな問題となる。残留ガス、熱レンズ、散乱光、制御系やドライバなどの回路のノイズ、ミスアラインメントなどによる感度の低下、強度雑音、ビームジッタ、クリープやクリークなどなど。原理的なノイズをプロットするとたとえば 図 1 のようになる。

8それと shot noiseの兼ね合いで決まっている量子限界 (SQL)領域は当然見えない。

5

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3 iTNI (international Thermal Noise Interferometer)

3.1 目的

• そもそもは初期 TNIで測定できない、振り子の熱雑音を防振系を強化することで測定することだった。

• TNIの拡張のみならず、低温を考慮したまったく別の干渉計の構想に発展した模様。• Riccardo Groupを中心とした国際協力 (?) LIGO, VIRGO, TAMA

3.2 特徴

• 将来の低温干渉計/低周波防振系の要素を取り込んだ、低温での熱雑音測定 (?)

3.3 場所

• 初期実験は KEKか柏?? 将来的には CALTECH ?

3.4 セットアップ

• 公募中。オープンだから決める権利は誰にでもあるそうだ。• Riccardoの漠然としたアイデア : 低周波防振系としては SASを用いる。冷却も行う。最終段に基線長 1cmか 50cmの cavity(二つのセットアップが可能)を二つ吊り差動測定を行う。基線長の短いほうでは、thermoelastic、長いほうでは structure の測定ができないか? 長いのを用いる場合には、よいMCが必要になるはず?

3.5 参考文献

• 2000年夏の LSCの Riccardoの話

まだ全く漠然としているので、文献としてはほとんどないが、計画としては進行するのではないかと想像。うまくいけば面白いが、大変、かつ LIGO IIIとか IV がターゲットとなる長期的なプランと考えるべきだろう。

4 TNI using the 40m

4.1 目的

• TNIでは、brownian, thermoelastic 両方を測定できる可能性があるが、LIGO I では brow-nian がずっと大きいと考えられている。このような状況で熱雑音を観測しておいたほうがよいのでは??

• thermoelasticを小さくするには、スポットサイズを大きくすればよい。40mの鏡の曲率を落して両者の差をさらに大きくする。

• 40mで brownian が見えるようにし、将来的に TNIは低周波防振を入れて振り子の熱雑音に特化する。

6

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図 2: LIGO with fused silica mirror 図 3: LIGO with sapphire mirror

4.2 特徴

• 長基線長。安定化やアラインメントに非常に厳しい要求が課されるはず。

4.3 場所

• CALTECH 40m (Mark III) ?

4.4 現状

• すでに立ち消えになったと思われる。• Riccardo と Eric Blackの頭の中に漠然とあった。彼らは (場所も近いので)いつもこういう会話をしている。

4.5 コンセプト

スポットサイズは、cavity長が長いほど、鏡が平面に近いほど大きくなる。Brownianはスポットサイズの-1/2乗に比例、thermoelasticは-3/2乗に比例。TNIのスポットサイズは 155µmしかないので、3.8cmある LIGO に対して、brownianで 16倍 ((155µm/3.8cm)−1/2)、TEで 3800倍((155µm/3.8cm)−3/2)大きくなる。ここで提案されている 40mの実験では、曲率を 14.2kmにし、スポットサイズを 1.3cmと大きくすることで、LIGO I の状況に近づけようとしている。Brownianで LIGOの 1.7倍、TEで 4.63倍と許容範囲になるはず (??)。ちなみに旧 40m(Mark II)の最高感度は、3× 10−19m/rtHz @450Hz。

4.6 セットアップ

• 旧 40m形式  (Locked-FP) ?

4.7 参考文献

• LIGO-T000051-00-R, A possible thermal noise measurement using the 40-meter, 4/14/00,Eric Black

7

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図 4: 40m with fused silica mirror 図 5: 40m with sapphire mirror

5 TNI(Thermal Noise Interferometer)

5.1 参考文献

• LIGO-T980052-00-D, TNI Design Outline, Eric Black

• LIGO-G000127-00-D, The Thermal Noise Interferometer, Ken Libbrecht et al.

• LIGO-T980053-00-D, Common mode rejection of laser frequency noise in the TNI, EricBlack

• LIGO-T000077-00-R, TNI mode cleaner/laser frequency stabilization system, Eric Blacket al.

などなど。

5.2 目的

• Cavity の熱雑音のスペクトル (brownian) を直接測定する。

• Thermoelasticも重要なノイズとなることが分かってしまったので、そちらもターゲット。• 現 TNIでは振り子の熱雑音はターゲットでない。

5.3 特徴

• 地面振動と周波数ノイズを除去するために、二つの cavityを用意し、差動測定を行う。

• 同相除去は完全ではないので、他の方法でのこれら二つのノイズの除去も行う。• レーザの安定化段には LIGO PSL と同様の構成がとられている。安定化のために計 3つのcavityが用いられる (はずだった)。

• Test cavity そのものは短基線長 (1cm)。

• 防振はスタックと一段振り子。

5.4 各部

配置図は 図 6。スタック上の写真は 図 7。目標感度曲線は 図 8, 9, 10。10−19m/√Hz@10-10kHz

を目指す。この場合、必要とされる周波数安定度は 3mHz/√Hz。CMRR 10を仮定すれば 10倍要

求は緩和され、安定化のゲインとしては、7000@100Hz 程度が必要となる。

8

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図 6: TNI layout

図 7: 写真

9

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5.4.1 レーザ安定化

二つの段からなる。レーザは NPRO126 500mW。

• 周波数ノイズを大幅に落とす段 LIGOのPSL(Pre-Stabilized Laser)と基本的に同じ。LASERThermal(FSR分の振幅), PZT(DC-数 kHz), 広帯域 EOM 3つのアクチュエータで一体の固定キャビティ(reference cavity)にロック。

• PSLをMCにロック。低周波はMC自身の長さ制御に用いる。高周波は広帯域AOMで周波数をシフトする。9。MCはリング型 (50cm,F = 2500程度)。おのおの懸架される。共振はアクティブにダンプされる (40m形式?)。基本的なデザインは、LIGO small optics suspensionと同じ。LIGO 12m MCのプロトタイプに用いられていたもの。

5.4.2 周波数ノイズ評価

10%ほどの光はサンプルされ、analyzer cavityに入射。reference cavityと構成はほぼ同じ。違うのはレーザ光に対してロックする点。低周波を analyzer cavity の温度に返す。Analyzer cavityの信号は analyzer cavity自身の雑音を含むので上限を与えるだけである。2つの cavityを同様な構成にしておくことで、柔軟な構成が可能。すべて PDH法でロック。PSL, analyzer cavity, referencecavity, MCに必要な SBはひとつの EOMで供給。...とこれが当初の案。

5.4.3 強度安定化

レーザ直後で 10%ほどの光をサンプルして、LASERの intensity adjust inputに返す。レーザ直後でサンプルすることが重要で、そうでなければ、光学系によって導入された強度ノイズがレーザに戻ることになる (??)。NPROの強度と周波数には強い相関があるので、強度安定化のフィードバックが周波数ノイズを生むかもしれない。

5.4.4 Test Cavity

Cavity長は 1cm程度。円柱形の溶融石英 (始めHerausだったが最近 Corning7980に変わった?)で直径、高さとも 4inch。全面研磨。局率は最初 1m。フィネスは 105 を目指す。低周波でレーザに対してロック。鏡自身にアクチュエータつける。1loopで懸架。高周波の誤差信号からデータを得る。残留周波数ノイズや地面振動は二つの cavityを用いることで容易に除去できるはず (CMRRとしては 100程度を予想)。Test cavityのための SBはMCの後に入れられた EOMで行う。が、ノイズを導入する可能性はある。

5.5 現状

立ち上がりは早かったが、計画としては大幅に遅れており、”LIGOからもお荷物的存在となりかけている”(T氏談)。当初の計画がオーバースペックかつ複雑だったのが原因ではないかと想像。以下、川村氏の情報や見学したときの情報を元に書くと... 巨大真空タンクの脇に大きな光学定

板があり、その上に analyzer, reference cavity用の真空タンクも乗り、光路は完成していたようである。2つの cavity はレーザに対してロック/レーザに対して feedback ができるようになっていた。MCも入れられていたが、MCの制御を reference に返すための AOM がなくて、MCの透過のためだけに (?) reference の信号を MC に返すことをやろうとしていた。が、これではMCは何も役にたたず冴えないので、reference の方を排除してしまい、Laser PZT + MC massのループだけでやってみることにした。結果として、図 11 のようなサーボができていることがわかり、UGF100kHz とれ、低周波でGU入れると目標ゲインは取れるだろうと分かった。Analyzerもどうせ周

9高周波では laserが cavityを追いかけ、低周波では cavityが PSLを追いかける。

10

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図 8: TNI Phase I expected sensitivity

図 9: TNI Phase II expected sensitivity

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図 10: TNI Phase III expected sensitivity

図 11: Servo for MC mass & PZT

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波数ノイズの上限が分かるだけなので、しばらく前になくしてしまった。安定度は test cavity から分かることになる。(なので、光学定板に乗っていたほとんどのものが不要になった。) PZTに返すことで強度変調が生まれてゲインが制限される問題も、実際に PZTに信号を加えた際の復調信号を調べたところ、回避できそうだと分かった。また、電気系のノイズやショットノイズ、finesseや鏡の内部共振の測定などをやってきたそうである。現在は、回路としてありあわせのものを使っているので、作り直したり、テストマスを吊るためのワイヤを待っていたりする。テストマスが吊られるのは今年 12月かそれ以降になる。

6 参考 : Photothermal Noise Interferometer

TNIと同じ場所で photo thermal noise の測定の準備も行われている。

6.1 原理

配置は 図 12 のような感じ。high power のレーザに強度変調をかけて cavity にあてて、それによる変化を弱い probe 光を用いて得ようというもの。 Probe 光の方は cavity ロックにも利用。

6.2 現状

信号らしきものが出たが、実は cavity を作らなくても出てしまうことがわかったそうである。同じレーザから出た二つの光が混じってしまう/回り込みによるものと考えられ、そもそもの配置に疑問符が。川村さんが pump と probe の混じらない、リング型 cavity で行う提案をしてきたそうだ。

6.3 参考文献

• LIGO-T000001-00-R, How to measure Braginskii’s photo-thermal effect, Erik Black

など

7 LFF(Low Frequency Facility)

VIRGOでは、主に回転超新星からの単色重力波 (数 Hzから 1kHz程度)の検出のために、低周波領域への感度の拡張に力が注がれており、数Hz以上 300Hz以下はすべて熱雑音で感度が制限されることになっている。10Hz付近での感度は 10−18(m/rtHz)。振り子と鏡の熱雑音は 40Hz付近でクロスすると見られている。これら熱雑音の研究のために、 LFF を準備している。

7.1 文献

• J. Opt. B : Quantum Semiclass. Opt. 2(2000)172, The Low Frequency Facility, R&Dexperiment of the VIRGO project , F. Benebid et al.

• Phys. Lett. A 266(2000)1, Suspension for the low frequency facility, G. Cella et al.

• Phys. Lett. A 243(1998)187, Plane parallel mirrors Fabry-Perot cavity to improve Virgosupperattenuators, M. Bernardini et al.

• Il Nuovo Cimento 114(1999)1197, Refrected wave-front sensing computation and experi-mental digital control of a cavity, A. Di Virgilio, et al.

13

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図 12: PTNI layout

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• Optics Commnmications 162(1999)267, Transmittivity profile of high finesse plane parallelFabry-Perot cavities illuminated by Gaussian beams, P. La Penna et al.

7.2 目的

• VIRGO仕様に懸架されたテストマスの熱雑音を 10−18(m/rtHz)@10Hz で測定する。数Hzからの熱雑音のスペクトル測定を可能にする。

• 主に振り子/バイオリンの熱雑音がターゲット。• 第二世代の懸架系のテストベンチにするために、将来的にはさらに 100倍の感度向上を目指す。

7.3 特徴

• VIRGO と同じスケールの R&D SA (Super Attenuator) にテストマスを取り付けることで低周波からの測定を可能にする。

• 二枚の平面鏡で構成される超短基線長 cavityを用いる。ただし、差動測定ではない。

7.4 場所

• INFN Pisa。 VIRGOの全面的な支援を受けている。

7.5 防振系と test cavity

最終的には全部の光学系/機械系を真空中に入れるが、最初は光学系のみ大気中に置く。

7.5.1 R&D SA

アセンブルの手順、制御などのテストベンチとなっている。現在は制御ループの試験中。基本的には TAMA SASと同じであるが、各段に温度ドリフト補正用のコントロールが入っているのでより複雑。来年の頭には LFFとして完成していることになっている。トータルの目標防振比は、240dB@数 100Hz。

7.5.2 Marionetta

Filter 7 につけられたコイルから制御。鏡の x,y,yaw,pitchの制御可能。

7.5.3 Test cavity

高フィネス FP cavityを SAから吊る。片方は、VIRGO仕様 (鏡 20kg, reference mass付き)、他方は、補助鏡。補助鏡は最初は小さな鏡にする (Corningの石英)。光圧の影響を避けるために、錘となるマスをそこから吊る。補助鏡自体は VIRGO鏡と同様に、(marionettaからではないが)懸架される。測定されるのは二つの鏡の熱雑音が混合したもの。Cavity長制御のフィードバックは本物同様に VIRGO鏡のみに返す。

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図 13: Mechanics

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7.6 光学系

主な光学系は二つ。周波数安定部 (モノリシック reference cavityにロック)とメインの cavity。ともに、PDH法で誤差信号を取る。変調は 12MHz。全光学系は直径 1mの光学定板に設置される。真空に引くことも可能で、一体の鉄から作られて

いる。

7.6.1 レーザ周波数ノイズ

Cavity長 1cm とすれば 10−2Hz/rtHz で目標感度 10−18m/rtHz を達成できるはず (実際にはcavity長 100µmというのも考慮しているので要求はさらに軽いと思われる)。これまでに、400mWNd:YAG MISER をフィネス 19000 の ring cavity にロックした10。このキャビティはULE製。鏡は Optical Contact。制御は、LASERの thermal, PZTおよび EOM(1MHz以上)に返す。実際の安定化レベルは図 15。目標は達成できている (?)。5kHz以下のフラットな部分はショットノイズ。実際の LFFではモノリシックな ULEで、長さの半分程度 (13cm)のものを用いる予定。構成は同じで、制御はデジタルと思われる (RAMPEAUTOとかいうシステム)。

7.6.2 強度ノイズ

周波数安定化状態での強度ノイズは dP/P = 10−6/rtHz @10Hz が測定されている。PDH法の変調周波数が十分高いので、誤差信号への影響はないが、Radiation pressureを通じてノイズ源となる。それから考えると、10−7/rtHz 以下に抑えることが必要。実際には PD2で行う (?)。

7.6.3 アラインメントとモードマッチング

アラインメント制御は鏡に返す。誤差信号はWard 法で取得。これまでの実験では、2cm FPcavity(平面鏡、フィネス 2000以上)とVIRGO用のデジタルフィルタ、QPDを用いて制御できている。感度は 3× 10−13m/rtHz で用いたレーザの周波数ノイズで感度は制限。短いキャビティ/スポットサイズが小さくかつほとんど不安定な cavityなのでアラインメント制御は困難そうだが基線長が短いのが救いか。これらの結果はいくつか論文になっている。

7.7 懸架系の熱雑音の見積もり

当初は鏡の熱雑音ではなく、振り子 (ワイヤ込み)の熱雑音の方が先に検出されると考えられているので、現在のところはその検出に集中している。出力信号は二つの振り子の熱雑音が混合したものであるが、解析によって両者の損失を分離することは可能であると考えている。主に見えるはずなのは、補助鏡の振り子/ワイヤの熱雑音なので、こちらのサスペンション (二重振り子)のシミュレーションが行われている。方法としては一般的な手法 (力から変位への伝達関数を計算し揺動散逸定理を適用)。Structure

dampingを仮定。計算されているノイズは図 16。パラメータは以下のとおり (たぶん実際もそれに近いと思われる)。

• 補助鏡:質量 5kg, 直径 11.5cm, 厚さ 5.6cm (重過ぎない??)

• おもり:質量 10kg, 直径 10cm, 厚さ 16cm 鉄製。

• ワイヤ:直径 850um, 上段 0.4m, 下段 0.3m, φ = 10−3 クランプされる。

最初の4つのピークが振り子のモードであとがバイオリン。この4つのピークを測定することで、クランプのテストを行えるはずだとか。

10Opt. Lett. 21(1996)582, Ultrahigh-spectral-purity laser for the VIRGO experiment, F. Bondu et al.

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図 14: 光学系

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図 15: レーザ安定度

図 16: 予測されるスペクトル

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ワイヤにおける acoustic emissionの測定もターゲットにしている。それぞれのバイオリンの雑音が測定できるはずなので、どこでそれが起きたのか区別できる。それぞれのピークの相関をとることでこれらのノイズは除去可能となるはず。この種の解析は non-Gaussianの主要な要素と考えられている懸架系の excess noiseを調べるのに有効となるはず。ちなみに、VIRGO鏡の内部モードの熱雑音は 2× 10−19m/rtHz @50Hz であるので、この補助

鏡を用いている限り見ることはできない。

8 ACIGAの計画VIRGOと協力してやっており、人の交換などをしている。本人らに聞いて詳しくは調査中。感

度は、1.5× 10−19m/rtHz@10-500Hz。Flexureの熱雑音を測定するとのこと。

8.1 文献

• General relativity and Gravitation, 32(3)399,2000, Laser stabilization for the measurementof thermal noise, K.G. Baigent et al.

その他、MG9 での発表など。

8.2 現状

ANUで周波数安定化 (tilt lock)、強度安定化 (squashing)の実験が終了したとのこと。

9 3m ?

2台 SAS - FP cavity を長基線/低周波まで使える/SB透過できる MC として利用? これまでの3mを使った場合の周波数安定度は、8mHz/rtHz @200-1kHz。High finesse, high power 化でより高い安定度を狙える? 3台目の SASに短基線長 high finesse FP cavity 2つで差動測定? 独自性としては、3mFPがうまく動けば一番乗りできる可能性があること、振り子 thermalもいけるかもしれないこと?

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