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School of Human Nursing 人間看護学部 82

人間看護学部 - University of Shiga Prefecture · 精神看護 松本 行弘 甘佐 京子 牧野 耕次 比嘉 勇人 表3.人間看護学部教員組織(平成26年8月1日)

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School of Human Nursing

人間看護学部

82

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は、平成8年3月に閉科された。

2.開設後のあゆみ(表1)

①滋賀県立大学人間看護学部の開設

 平成15年4月、看護短期大学部は改組転換

され、待望の「人間看護学部(4年制)」が開設

された。しかし、学舎の建築が間に合わず、新

学舎は翌16年3月に完成した。同年4月9日

に、第2期生62名を新学舎に迎え入れること

ができた。なお、短期大学部は、平成17年3月

に閉学した。

② 地域交流看護実践研究センターの設置

 平成16年4月、地域に開かれた教育・研究を

進めるため、学部の附属施設として「地域交流

看護実践研究センター」が開設された。本セ

ンターは、看護師資格をもつ専任の職員が配

置されているユニークな組織で、全国から見

学者がつめかけた。翌年の平成17年10月には、

「感染管理認定看護師教育課程」を開講し、平

成22年に閉講するまでに76名が資格を取得し

た。修了者は、それぞれの病院に戻り感染症対

策のレベルアップに多大な貢献をした。

沿革

1.人間看護学部の開学まで

① 滋賀県立短期大学看護学科(2年課程)

 人間看護学部の前身は、昭和25年4月に工

業・学芸の2学科で発足した滋賀県立短期大

学に遡る。昭和46年4月、同短大に、疾病や健

康に関する問題を解決する能力を身につけた

看護師を養成し、不足していた看護師を補充

する目的で、「2年課程の看護学科」が開設さ

れた。

②滋賀県立短期大学看護学科(3年課程)

 2年課程の看護学科は、入学時に准看護師

の資格を要したため、資格を持たない高等学

校普通科の学生は受験できなかった。そこで

昭和63年4月、高等学校から直接学生を受け

入れることを目的に、「3年課程の第一看護学

科(定員40名)」が発足した。同時に、2年課程

は「第二看護学科」と名称変更し看護師の養成

を続けたが、平成2年3月に廃止された。

③滋賀県立大学看護短期大学部

 平成7年4月、滋賀県立短期大学は4年制

の滋賀県立大学に改組転換されたが、看護学

科のみ3年課程の「看護短期大学部」として存

続することとなった。なお、短期大学の各学科

人間看護学部のあゆみ

表1.人間看護学部のあゆみ年 月 日 事   項

2003 4 1 滋賀県立大学人間看護学部開設(平15) 5 7 第 1 回人間看護学セミナー開催「SARS とインフルエンザ」

7 25 新学部棟着工2004 3 30 新学部棟完成

4 1 新学部棟供用開始、学部付属施設「地域交流看護実践研究センター」開設6 12 人間看護学部開設1周年記念式典・記念講演会開催

2005 3 滋賀県立大学看護短期大学部閉学記念式典・記念講演会開催3 31 滋賀県立大学看護短期大学部閉学10 地域交流看護実践センターにて、「感染管理認定看護師教育課程」開講

(2008 年より休講、2010 年中止)2007 4 滋賀県立大学大学院(修士課程)開講(以後定員変更あり;12 名→ 8 名)2008 4 カリキュラム改正2010 4 学生募集定員を変更(特別推薦:15 名を 20 名に、後期:15 名を 10 名に)

滋賀県立大学大学院人間看護学研究科(修士課程)に、「CNS コース慢性疾患看護学分野」開講

2012 3 CNS コース慢性疾患看護学分野が、慢性看護専門看護師教育課程に認定4 カリキュラム改正

学生募集定員を変更(編入:県内各高等学校の推薦枠を2名から3名に増)2013 学生募集定員を変更(編入:20 名を 10 名に、前期:30 名を 40 名に)2014 「看護探究コース」「助産師課程履修コース」「保健師課程履修コース」開設(学部学

生からの選抜の方法を確定、編入入試をコース別に変更)

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表2.人間看護学部教員組織(平成17年)講 座 領 域 教 授 助教授 講 師 助 手

基礎看護学 専門基礎 石田 英實          藤田きみゑ          山田  明        基礎看護 森下 妙子   伊丹 君和 本田可奈子    豊田久美子     久留島美紀子

成育看護学 母性看護 髙橋 里亥   古川 洋子 金森 京子    岩谷 澄香     嶋澤 恭子  小児看護 藤井真理子 大脇万起子 古株ひろみ 流郷 千幸

成熟看護学 成人看護 竹村 節子 沖野 良枝 横井 和美 米田 照美          前川 直美  老年看護 筒井 裕子 北村 隆子   安田 千寿

環境看護学 地域看護 堀井とよみ   西田 厚子 岡本 里香    土平 俊子   滝澤 寛子 今村  香  精神看護 松本 行弘   甘佐 京子 牧野 耕次    比嘉 勇人      

表3.人間看護学部教員組織(平成26年8月1日)講座 領域 教授 准教授 助教 助手

基礎看護学 専門基礎 山田  明森   敏安原  治

基礎看護 清水 房枝 米田 照美 仲上 恵子伊丹 君和 川端 愛野

成育看護学 母性看護 炭原 加代 古川 洋子 中村 和代渡邊 香織 渡邊友美子

(特任)板谷裕美 本岡 夏子小児看護 古株ひろみ 川端 智子 玉川あゆみ

成熟看護学 成人看護 糸島 陽子 横井 和美 大門 裕子 中川 美和荒川千登世 酒田 宴里

伊藤あゆみ老年看護 望月 紀子 平田 弘美 山田 博子

環境看護学 公衆衛生看護

飯降 聖子 植村小夜子小林 孝子

馬場  文 小島 亜未川口 恭子

精神看護 松本 行弘 牧野 耕次 小沢 加奈甘佐 京子

教育実践支援室(人間看護分室)   大脇万起子    

③ 大学院修士課程の開講

 平成19年4月、大学院修士課程を開講した。

本課程は、より豊かな感性と人間性、高度専門

職業人としての高い倫理観を備え、実践科学

としての看護学を探究するより高い能力を持

つ看護職者の育成を目指して設置された。定

員は開設時12名であったが、その後8名に減

員している。

④ CNSコース「慢性疾患看護学分野」の開講

 平成22年4月には、修士課程にCNSコース

「慢性疾患看護学分野」を開講した。平成24年

3月、本課程は「慢性看護専門看護師教育課

程」に認定された。

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講座 領域 役職 氏名    基 礎看護学

専門基礎 教 授 石田 英實 H22.3.31 退職  

  教 授 藤田きみゑ H23.3.31 退職    教 授 山田  明        教 授 森   敏 H22.7.1 着任    教 授 安原  治 H22.10.1 着任    基礎看護 教 授 森下 妙子 H19.3.31 退職      教 授 豊田久美子 H21.3.31 退職      教 授 平河 勝美 H19.10.1~

H22.3.31着任・退職  

    教 授 清水 房枝 H23.8.1 着任      講 師 伊丹 君和     平成23年教授に昇任    助 手 山田 博子 H20.4.1 着任 平成24年老年へ配置換

平成25年助教に昇任    助 手 本田可奈子 H25.3.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 久留島美紀子 H21.12.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 江藤美和子 H18.4.1~

H20.3.31着任・退職  

    助 手 大久保(仲上)恵子 H24.5.1 着任  成 育看護学

母性看護 教 授 髙橋 里亥 H19.3.31 退職  

    教 授 岩谷 澄香 H24.3.31 退職      教 授 炭原 加代 H19.4.1 着任      教 授 渡邊 香織 H24.4.1 着任      講 師 古川 洋子     平成25年准教授に昇任    助 手 金森 京子 H24.3.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 嶋澤 恭子 H20.3.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 正木紀代子 H18.4.1~

H19.3.31着任・退職  

    助 手 西川みゆき H19.4.1~H23.3.31

着任・退職 平成22年助教に昇任

    助 手 桑名亜希子 H20.4.1~H24.3.31

着任・退職 平成23年助教に昇任

    助 手 渡邊友美子 H24.9.1 着任      助 手 本岡 夏子 H25.4.1 着任      助 手 中村 和代 H26.4.1 着任    小児看護 教 授 藤井真理子 H19.3.31 退職      教 授 北川かほる H19.4.1~

H22.3.31着任・退職  

    助教授 大脇万起子     平成22年母性看護に配置換 平成26年教育実践支援室

(人間看護分室)に配置換    講 師 古株ひろみ     平成22年准教授に昇任    助 手 流郷 千幸 H18.3.31 退職      助 手 鬼頭 泰子 H18.4.1~

H25.3.31着任・退職 平成22年助教に昇任

    助 手 川端 智子 H22.4.1 着任 平成25年助教に昇任    助 手 玉川あゆみ H25.8.1 着任  

成 熟看護学

成人看護 教 授 竹村 節子 H21.3.31 退職  

    教 授 奥津 文子 H21.4.1~H26.3.31

着任・退職  

    准教授 糸島 陽子 H22.4.1 着任 平成26年教授に昇任    助教授 沖野 良枝 H23.3.31 退職 平成21年教授(基礎)に昇任    講 師 横井 和美     平成21年准教授に昇任    准教授 荒川千登世 H22.4.1 着任  

表4.人間看護学部教員組織(特任教員は含まず)

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講座 領域 役職 氏名    成 熟看護学

成人看護 助 手 米田 照美     平成19年助教に昇任平成22年基礎に配置換

    助 手 寺田美和子 H18.4.1~H20.3.31

着任・退職  

    助 手 前川 直美 H24.3.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 大辻(大門)裕子 H21.4.1 着任 平成24年助教に昇任    助 手 北脇(川端)愛野 H22.4.1 着任 平成23年基礎に配置換

平成26年助教に昇任    助 手 中川 美和 H24.4.1 着任      助 手 伊藤あゆみ H24.4.1 着任      助 手 酒田 宴里 H25.4.1 着任    老年看護 教 授 筒井 裕子 H19.3.31 退職      教 授 望月 紀子 H25.4.1 着任      准教授 畑野 相子 H19.4.1~

H24.4.30着任・退職  

    助教授 北村 隆子 H24.3.31 退職 平成19年教授に昇任    准教授 平田 弘美 H24.5.1 着任      助 手 安田 千寿 H24.3.31 退職 平成20年助教に昇任

環 境看護学

地域看護 教 授 堀井とよみ H22.3.31 退職  

    教 授 土平 俊子 H18.3.31 退職      教 授 飯降 聖子 H22.4.1 着任      准教授 西島 治子 H19.4.1~

H22.3.31着任・退職  

    准教授 植村小夜子 H22.4.1 着任      准教授 小林 孝子 H25.4.1 着任      講 師 西田 厚子 H22.3.31 退職 平成19年准教授に昇任    講 師 滝澤 寛子 H21.3.31 退職      助 教 家根 明子 H21.4.1~

H22.3.31着任・退職  

助 教 松井 陽子 H22.4.1~H26.3.31

着任・退職

    助 手 岡本 里香 H22.3.31 退職 平成19年助教に昇任    助 手 今村  香 H19.3.31 退職      助 手 玉水 里美 H19.4.1~

H21.3.31着任・退職  

    助 手 馬場  文 H22.4.1 着任 平成25年助教に昇任    助 手 大橋 順子 H23.4.1~

H25.3.31着任・退職 平成24年助教に昇任

    助 手 小島 亜未 H25.4.1 着任      助 手 川口 恭子 H26.4.1 着任    精神看護 教 授 松本 行弘          教 授 長江美代子 H19.4.1~

H21.3.31着任・退職  

    教 授 比嘉 勇人 H22.2.28 退職      講 師 甘佐 京子 ~H21.3.31

 H22.4.1~

  平成21年退職平成22年准教授で着任平成23年教授に昇任

  助 教 山下真裕子 H21.12.1~H25.3.31

着任・退職  

  助 手 牧野 耕次     平成19年度助教に昇任平成25年准教授に昇任

    助 手 牧原(小沢)加奈 H25.8.1 着任  

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「疫学」「保健統計学」「保健医療福祉行政論」を

合わせ25単位、「公衆衛生看護学実習」を5単

位、計30単位の履修を求めることとした。同じ

く助産師課程では、「基礎助産学」「助産診断・

技術学」「地域母子保健」「助産管理」を合わせ

17単位、「助産学実習」13単位、計30単位とした。

 カリキュラム改正に伴うもっとも大きな変

化は、全員必修であった保健師課程を、平成24

年度入学の学部生および平成26年度入学の編

入生から、定員30名の選択制としたことであ

る。すなわち、それまで本学部の卒業生はすべ

て保健師国家試験受験資格を得られたが、30

名に限定されることになった。これは、滋賀県

が県下3大学(本学、滋賀医大、聖泉大)に、実

習受け入れ人数を30名ずつ割り当てたことに

よる。

定員変更と入試改革、組織の改編

1.定員変更と入試改革(表6)

 人間看護学部の第1回入試は、平成15年1

月15日に推薦入試、同3月2日に一般入試が

実施された。平成16年以降、一般入試は前期30

名と後期15名に分けて実施され、翌17年から

第3年次に編入生20名を受け入れた。平成22

年から、推薦入試の定員を15名から20名に増

員し、それに応じて後期入試の定員を15名か

ら10名に削減した。

人の流れ

 開学時(平成17年)および現在(平成26年)の

教員組織と、領域別の教員の変遷をまとめた

(表2-4)。

カリキュラムの変遷(表5)

 人間看護学部の教育課程は、全学共通基礎

科目(語学、情報処理、健康・体力科学、人間学)

の上に、専門基礎科目(体のしくみと機能、健

康科学、疾病論、人間性心理論など)と基礎看

護科目(基礎看護学、基礎看護技術、看護理論

など)を配し、さらにその上に、成育看護学(母

性・小児看護)、成熟看護学(成人・老年看護)、

環境看護学(地域・精神看護)の専門科目を配

置している(図1)。

 保健師・助産師・看護師の養成校は、国家試

験の受験資格を得るために教授すべき科目・

単位が、保健師助産師看護師学校養成所指定

規則により規定されている。この指定規則

が平成20年と23年に改正され、その際にカリ

キュラムの見直しを行った(表5)。

 平成23年の改正では、看護師課程の教育を

重視する観点から、看護師・保健師・助産師の

いずれの課程の学生も履修できるように、「選

択必修科目群(21科目)」を配置した(12単位以

上履修)。保健師課程では、「公衆衛生看護学」

表5.カリキュラム改正のポイント

■平成 20 年の改正(平成 21 年度生から適用)○看護師教育 看護実践能力の向上を主眼に置いたカリキュラム改正が行われ、新たに統合分野が新設され、

「看護の統合と実践」という教育内容が追加された。総単位数は 93 単位から 97 単位となった。○保健師教育 保健福祉行政論を従来の 2 単位から 3 単位に増加。臨地実習を 3 単位から 4 単位に増加した。総単位数は 21 単位以上から 23 単位以上になった。○助産師教育 臨地実習・助産学実習の充実のため従来の 8 単位から 9 単位に増加した。 総単位数が 22 単位以上から 23 単位以上になった。

■平成 23 年の改正(平成 24 年度生から適用) 看護実践能力の強化に向けた教育内容の充実。 保健師教育は大学による選択制の導入を可能とする。○保健師教育 地域看護学を公衆衛生看護学に改め、「個人・家族・集団・組織の支援」とし、組織を追加した。総単位数が 23 単位以上から 30 単位以上になった。○助産師教育 総単位数が 23 単位以上から 30 単位以上になった。

図1.人間看護学部の科目構成

87School of Human Nursing

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26年の編入試験は、「看護探究コース」「助産師

課程履修コース」「保健師課程履修コース」の

コース別に募集した。また、学部生の助産師・

保健師課程の内部選抜は、筆記試験に代わり

GPAを採用することとした。

2.組織改変

 平成26年4月、教育実践支援室人間看護分

室を設置した。

(学部長/森 敏)

 平成24年には、「試験科目の理系シフト」と

「県内高校の推薦枠拡大」の2つの入試改革を

行った。それまで理科は1科目のみ課してい

たが、これを2科目に増やした。また、一校当

たり推薦枠を2名から3名に拡げた結果、推

薦入試の出願者が増加した。

 平成25年には、編入生の定員を20名から10

名に減らし、減員分を前期の定員に上乗せし

た。その結果、一般・推薦入試を合わせた定員

は70名となった。このころ、多くの看護系大学

が第3年次の編入学制度を廃止したが、本学

では定員を10名に削減するに留まった。平成

表6.学部定員の推移前期 後期 推薦 合計 編入

平成 15 45 15 60

平成 16 30 15 15 60

平成 17 30 15 15 60 20

平成 18 30 15 15 60 20

平成 19 30 15 15 60 20

平成 20 30 15 15 60 20

平成 21 30 15 15 60 20

平成 22 30 10 20 60 20

平成 23 30 10 20 60 20

平成 24 30 10 20 60 20

平成 25 40 10 20 70 10

平成 26 40 10 20 70 10

平成 27 40 10 20 70 10

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人間看護学部設立の頃

まれていくという慌ただしい状況であったが、

無事移転が終了した。

人間看護学部棟完成

 完成した人間看護学部棟(写真1)では、第

1期生、そして新たに迎え入れた第2期新入

生62名、看護短期大学部3年生が、共に学んで

いた。

 平成16年6月12日には、人間看護学部開設

一周年記念式典が交流センターホールで挙行

された。式典終了後、大阪府立看護大学(現大

阪府立大学)学長の小島操子先生をお迎えし、

学部開設記念講演「これからの看護・看護学教

育のめざすもの」が開催された。式典・講演会

には500名を超える参加者があった。記念講演

会終了後は、人間看護学部施設見学会も行わ

れた。小島操子先生をはじめご来賓の方々、看

護関係者、大学関係者など多くの方々が施設

見学に参加された。

 平成17年3月24日に、短期大学部にとって

最後となる学生の卒業式が県立大学の交流セ

ンターで行われた。午後からは、滋賀県立大学

短期大学部閉学記念式典が挙行され、記念講

演会では、文化庁長官の河合隼雄先生が「医療

と心」をテーマに講演された。滋賀県立大学短

期大学部は平成17年3月31日をもって閉学と

なった。

(准教授/古株ひろみ)

人間看護学部開設当時

 人間看護学部は、滋賀県立大学看護学部設

立準備委員会の発足(平成13年3月23日)、文

部科学省による大学設置認可(平成14年12月

19日)を経て、平成15年4月1日に開設のはこ

びとなった。初年度の人間看護学部の入学者

選抜試験では、特別選抜試験と一般選抜試験

が実施された。特別選抜には、15名の募集人員

に対して42名が受験(実質倍率2.6倍)、一般選

抜試験には、募集人数45名に対して1,011名が

受験(実質倍率22.5倍)し、第1期新入生61名

を迎え入れた。しかし、建設予定地の遺構の発

掘により、人間看護学部棟の工事は学部開設

に間に合わず、平成15年7月に遅れて着工と

なった。学部開設の際には、新任教員の研究室

と新入生の講義室は、滋賀県立大学看護短期

大学部の校舎を改装して使用されることと

なった。

 学部学生は、英語などの全学共通科目を受

講するため、自転車などで犬上川を渡り大学

へ移動する、といった生活が1年間続いた。学

部開設後のオープンキャンパスも、学部棟が

建設中のなかで行われたため、大学の一角に

設けられた人間看護学部コーナーに短期大

学部から必要な物品を運び込み、運営すると

いった状況であった。このような開催にも

関わらず、乳児のモデル人形を用いた沐浴と

いったさまざまな体験を通して、高校生や、保

護者の方々から人間看護学部に関して多くの

熱心な質問が寄せられた。人間看護学部での

学びが広く伝えられる場となった。

 平成16年3月10日に新学舎移転のための説

明会が行われた。その後、実習室等の物品の

整理や梱包、研究室の梱包などの作業に追わ

れる中、増え続ける段ボール箱の隙間を見つ

け、年度末の仕事に取り組む日々が続いた。平

成16年3月29日から3月31日までの3日間で、

看護短期大学部の校舎から人間看護学部棟

(E棟)への引っ越しが行われた。完成を急ぐ

内装工事の横を、大量の段ボール箱が運び込

写真1 完成した看護棟(E棟)

89School of Human Nursing

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 人間看護学研究科修士課程は、平成19年4

月開設を目指し、まず学部開設2年目である

平成16年6月に大学院設置準備委員会が召集

された。委員は、初代学部長である筒井裕子教

授を中心に、委員長として土平俊子教授、副委

員長として比嘉勇人教授を含む11人の教授で

構成された(表7)。

 研究科の設置目的は、社会の多様なニーズ

に対応すべく、「看護職固有の専門性をより高

度で広く実践的・開発的に展開していくこと

ができる主体的・独創的な看護者の育成」であ

る。その目的を達成するため、設置準備委員会

では数十回の検討を重ね、『基盤看護学分野』

と『生涯健康看護学分野』の二つの研究分野を

設置することを決めた。

 平成18年には文科省より設置認可申請が承

認され、翌19年に開講のはこびとなった。また、

この2分野に追従するかたちで平成22年度に

『CNSコース慢性疾患看護学分野』を開講し、

平成23年に、日本看護系大学協議会から認定

をうけた。これにより、三つの分野をもつ研究

科となった。本研究科は、県内二つめの看護系

大学院、また県内初のCNSコースをもつ大学

院として、キャリアアップを目指す県内外の

多くの看護職者の期待を集めることとなった。

 『基盤看護学分野』は、看護学を体系的に捉

え、学問として発展させていくことができる

人材の育成を目的とし「専門基礎領域」「基礎

看護学領域」「精神看護学領域」「地域看護学

(H25より公衆衛生看護学)領域」の4領域を

置いた。また、『生涯健康看護学分野』は、全て

のライフステージにある個人とその家族の健

康課題に対して、問題解決と健康の維持向上

に貢献できる人材の育成を目的とし「母性看

護学領域」「小児看護学領域」「成人看護学領

域」「老年看護学領域」の4領域を置いた。さら

に、『CNSコース慢性疾患看護学分野』は、増加

する慢性疾患患者が社会で生活を営む中で健

康管理を維持していけるよう総合的に援助す

る高度専門職者の育成を目的として設置され

た(次項参照)。

 開設時、研究科生の定員は全分野併せて一

学年12名であり、初年度は13名の入学生を迎

えそのスタートを切った。平成21年3月には

2年履修の研究科生4名を初めての修了生と

して送り出すことができた(表8)。しかしな

がら、本研究科開設時(H19)には、全国で101

校であった看護系大学院数も平成24年には

140校を超え、修士課程への受験生は減少傾向

になった。国内において看護教育を「量よりも

質の時代」に変換しつつある状況の中、本研究

科においても平成25年度からは、より質の高

い充実した教育を目指し、入学定員を12名か

ら8名に削減し、現在に至っている。

 研究科修士課程の修学年限は2年間である

が、研究科生の背景として有職者の看護職が

多数を占めることを予測し、開講時より大学

院設置基準第14条特例を適用することで3年

制の履修コース(夜間・休日の授業)を設けて

いる。それにより、有職者の修業が可能となり、

県内で就業する看護職者に学びの場を提供し

ている。

 教育内容の構成としては、教育面での共通

化を図る見地から、「基盤看護学分野」と「生涯

健康看護学分野」両者の基盤となる「共通科目

群」を履修。また、「専門科目群」に「特別研究」

8単位を含め、選択・必修科目を合わせて30単

位以上履修する。

 開設した平成19年から平成26年3月(平成

25年度)までの 6年間で、延べ61名の入学生

を受け入れ、46名の修了性を輩出した(表8)。

修了生の多くは、県内外の医療施設および教

育機関で活躍している。

(教授/甘佐京子)

人間看護学研究科のあゆみ

90

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表7.�大学院設置準備委員会の構成(H16〜H17)

筒井裕子教授(学部長)

土平俊子教授(委員長)

比嘉勇人教授(副委員長)

石田英實教授 岩谷澄香教授 竹村節子教授豊田久美子教授 藤井真理子教授 藤田きみゑ教授堀井とよみ教授 山田 明教授

(副委員長以下アイウエオ順)

表8.�人間看護学研究科入学者と修了者数入学者数(人)

修了者数(人)

平成19年度 13平成20年度 12 4平成21年度 8 8平成22年度 7 12平成23年度 8 7平成24年度 8 9平成25年度 5 6述べ人数 61 46

91School of Human Nursing

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師教育課程の編成にあたって以下の点に留意

した。

①地域連携の方策と継続看護に必要な能力を

身につけ、地域医療へ貢献できる科目を配置

した。②継続看護を展開する能力を養う内容

を重点的に組み込んだ。③他職種との連携を

深めリーダーとして革新的な実践が担えるよ

う、研究スキルを身につけるための科目を設

けた。④慢性病者の発病から死に至るまでに、

必要とされる専門的な支援方法を教授するこ

とも科目内容に含んだ。具体的には、「慢性看

護学特論」「慢性看護支援論」など、演習、実習、

課題研究を含む9科目を新たに開講した。

 平成26年現在、本学より2名の慢性疾患看

護専門看護師が誕生し高度な看護実践を行っ

ている。

(准教授/横井和美)

図2. 専門看護師教育課程認定書

 大学院修士課程において、高度な専門職業

人を育成し看護の質向上を図る(日本看護

協会・日本看護系大学協議会)ことを目的に、

1994年(平成6年)「専門看護師」制度が発足し、

現在、「がん看護」「精神看護」「慢性疾患看護」

など11分野が特定されている。

 専門看護師Certified Nurse Specialist

(CNS)は、卓越した専門的能力を持つ実践者、

スタッフナースへの相談者や教育者、研究者、

保健医療福祉ニーズのケア調整者、倫理的課

題への調整者として、看護現場において看護

ケアの質の向上に貢献する使命を帯びている。

 平成19年の大学院人間看護学研究科の開校

時より準備されてきた専門看護師教育課程

は、平成23年度に「慢性疾患看護専門看護師分

野」で認定をうけた(図2)。平成19年に実施さ

れた「保健医療をめぐる現状とその要因の地

域間格差に関する統計的分析」によると、滋賀

県は「入院医療費が低く、病床数は少なく、平

均在院日数が短い」グループに属していた。入

院療養ではなく在宅治療を継続している人々

が他府県よりも多く、また、健診受診率が低く、

メタボリックシンドロームリスク保有者割合

は男女ともに高かった。このことから、慢性病

の代表である「生活習慣病」のハイリスク患者

が多いにも関わらず、住民に対し早期発見・早

期治療にむけての働きかけが効果的になされ

ていないという問題点が明らかになった。こ

のような問題を抱える滋賀県では、地域特性

に応じた革新的な活動を担える慢性疾患看護

専門看護師の育成が重要であり、本学の責務

と考えられた。

 したがって、本学の慢性疾患看護専門看護

CNSコースの開講とあゆみ

92

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地域交流看護実践研究センターのあゆみ

図3. 地域交流看護実践研究センター組織図

本学部教員が地域の看護職から、研究手法な

ど研究に関するあらゆる相談を受けている。

本センターでは、日頃の看護活動での疑問、看

護介入の評価や検証・開発など、共に考える場

として、看護研究の相談体制の整備・改善を

行ってきた。②文献検索支援。研究に取り組む

ための図書情報を広く提供できるように整備

し、支援してきた。随時、センター専属職員の

対応が可能である。③看護研究学習会。看護

協会と共催での学習会の企画・運営を行って

きた。本学部教員に講師を依頼している。この

学習会の目的は、研究に必要な知識・技術を身

に付け、各職場における指導・教育の役割を担

う人材育成である。④共同研究。本学部教員と

県内看護職による共同研究をコーディネート

し、研究遂行を支援している。共同研究は、研

究相談や看護研究学習会から、さらに研究を

深めるものであり、双方的に教授でき、研究活

動が充実するよう支援している。共同研究は、

報告書の提出を求めるとともに、共同研究発

表会を企画し、研究成果の共有の場とするこ

とを提供している。

 センターのもう一つの主要な活動は、研修部

門の活動である。例年、講演会と専門講座を開

催し、看護の質を高めるための生涯学習の機

会を県内看護職に提供してきた。①講演会。看

護に関する事項だけでなく、現在、社会の中で

関心が寄せられている保健医療福祉に関する

広域な事柄をテーマとし、開催してきた。主に

看護職を対象として、外部講師を招いての開

催であったが、他の保健医療福祉職や一般市

民も参加できる会を企画してきた。②専門講

座。本学部の各看護学領域が輪番制で企画し

主催することで、大学教員の持つ専門性を県

内の看護職に情報提供する機会となっていた。

(4)結語

 本センターは、教育研究機関の附属施設で

ある。今後もこの機能を最大限に生かし、さら

なる地域貢献に尽力することを誓う。

(センター長/望月紀子)

(1)緒言

 地域交流看護実践研究センターは、平成15

年4月に短大から昇格した滋賀県立大学人間

看護学部の附属施設として、翌年(平成16年)

4月に開設された。本センターは、地域に根ざ

し、現場に学ぶとともに、地域に開かれた教育

研究を進めるという人間看護学部の特色を具

体化する使命を持っている。そして、県内の保

健医療福祉機関と県立大学人間看護学部との

交流・連携を深め、この地域の保健医療福祉に

おける看護課題と、その対応を探究し、学術

研究の充実と看護職の質向上に寄与してき

た。また、この様な中にあって、滋賀県立大学

は、文部科学省が推し進める「地(知)の拠点

(Center of Community)整備事業」に応募し

採択され、平成25年度から5年間、補助を受け

ている。

(2)組織構成(図3)

 センターは、本学人間看護学部の教員が、セ

ンター長、副センター長および地域交流専門

委員を務め、運営している。センターの運営に

は、人間看護学部教授会と滋賀県内の保健医

療福祉機関の看護系関係者で構成する運営協

議会を置いている。研究部門では、研究相談・

文献検索支援・看護協会と共催での看護研究

学習会、そして、本学部教員

と県内看護職との共同研究

の窓口を担ってきた。研修部

門では、講演会と専門講座を

開催してきた。

(3)センターの活動

 平成17年10月に、地域交流

看護実践研究センターにて

「感染管理認定看護師教育課

程」が開講された。平成22年

の閉講までに76名の「感染

管理認定看護師」を輩出し

た。センター設置から現在ま

での研究部門の活動は以下

のとおりである。①研究相談。

93School of Human Nursing

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「未来看護塾」の活動

写真2.未来看護塾の活動

での「ちびっ子広場」、地域長寿会での「健康教

室」などを企画し、幅広く活動を行っている。

 このように、看護学生が看護実習以外の場

でさまざまな人々と交流し、ボランティア活

動を行うことは、学生自身の「感性」を高める

とともに、看護職を目指す者としての資質を

培うことができる貴重な体験となっている。

また、学生間の縦と横のつながりはもちろん、

地域住民との関係性も深められ、社会性やコ

ミュニケーション力の向上にもつながる。今

後も引き続き、「未来看護塾」のますますの発

展と継続に向け、支援していきたい。

(未来看護塾顧問・教授/伊丹君和)

 未来看護塾は、滋賀県立大学「近江楽座」の

プロジェクトチームとして11年間継続して採

択され、活動を続けている。未来看護塾の活

動目的は、地域の人々と共に活動するなかで、

「すべての人々が心も身体も生き活きと健康

に生活していく」ことを志向し支援すること

である。

 具体的な活動としては、「定期的活動」とし

て、彦根市立病院、NPOぽぽハウス、城南保育

園などでボランティアを行うほか、「生き活き

健康支援活動」として、被災地である宮城県南

三陸町での「いきいき健康交流広場」や地域

商業施設での「応援! 生き活き健康生活(写

真2)」、病院や地域でのクリスマス会、湖風祭

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