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農林中金総合研究所 2011年 3月 18日号
調査第二部 お問い合わせ:03-3233-7753 Mail: [email protected]
安藤範親
世界各地に広がるリスク 今週は、15 日に東京株が 1,015 円安(終値)と過去 3 番目の下げを記録、17 日には外国為替市場で円相場が一時、1ドル=76円台の過去最高値を更新した。東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故の状況が投資家心理に影響を与えており、今や相場は原発の惨状に左右される局面となっている。 また、震災による日本経済停滞に伴って、自動車や電子、通信など世界中の製造業への部品供給の停滞や、それに伴う世界原油貿易量の 1 割を占める日本の原油需要減少が懸念され、また、「レパトリ」(自国への資金回帰)連想による円買い意識の高まりなど世界経済に大きな影響が出ている。このような状況に対し、今朝「G7 財務省・中央銀行総裁電話会談」が開催され、円売り協調介入が実施された。 次に、世界に目を向けると、依然として中東情勢不安が続いており、15 日に、バーレーンが 3 ヶ月間の非所事態宣言を発令、17 日には、リビアへの軍事介入賛成姿勢を米国が示唆、また、国連安保理がリビア上空の飛行禁止決議を採択した。日本の震災のみならず、中東情勢や欧州財政不安、経済のファンダメンタルズなど、世界中でリスクが累々としている。 軟調な米住宅動向 米国では、景気回復感が高まってきたものの、住宅市場は低迷しており、その回復の遅れが指摘されている。16 日に発表された「住宅着工件数(2 月)」は前月比▲22.5%の 47 万 9,000 戸と、27 年ぶりの減少率に、さらに、今後の住宅建設動向の先行指標となる「住宅着工許可件数(2 月)」は、同▲8.2%の 51 万7,000戸と過去最低となった。1月にほぼ9年ぶりの低水準となった中古住宅販売価格の低迷が、新築住宅販売に影響を与えているようだ。次週は、21 日に「中古住宅販売件数(2 月)」が発表、エコノミスト予想(ブルームバーグ)平均によると、同▲4.5%の 512 万戸が見込まれている。また、23 日には「新築住宅販売件数(2 月)」が発表され、予想は同 2.1%の 29 万戸と増加する見込み。 主要経済指標 米国では、24日に「耐久財受注(2月)」、25日に「国内総生産(10-12月期GDP確定値)」、「ミシガン大学消費者マインド指数(3 月)」が、日本では、22 日に「全産業活動指数(1 月)」、24 日に「貿易統計(2月)」、25 日に「消費者物価指数(全国 2月、東京 3月中旬)」が発表される。
≪来週のポイント≫
来週のスケジュール(3/21~3/25)
月 日 国内の予定 海外の予定
3 月 21 日(月) 休日:春分の日 米 「中古住宅販売件数(2 月)」
3 月 22 日(火) 流動性供給入札実施(発行額 3,000 億円
「全産業活動指数(1 月)」(2p に予測掲載)
米 「FHFA 住宅価格指数(1 月)」
3 月 23 日(水) 国庫短期証券(3 ヶ月)(発行額 4.8 兆円)
宮尾日銀政策委員会審議委員講演
米 バーナンキ FRB 議長講演
米 「MBA 住宅ローン申請指数(先週分)」
米 「新築住宅販売件数(2 月)」
EU 「ユーロ圏鉱工業新規受注(1 月)」
3 月 24 日(木) 2 年利付国債入札実施(発行額 2.6 兆円)
「貿易統計(2 月)」(2p に予測掲載)
米 「新規失業保険申請件数(先週分)」
米 「耐久財受注(2 月)」
EU EU 首脳会議(~25 日)
3 月 25 日(金) 「消費者物価指数(全国 2月、東京 3月中旬)」
(2p に予測掲載)
米 「国内総生産(10-12 月期 GDP確定値)」
米 「ミシガン大学消費者マインド指数(3 月)」
EU 「ユーロ圏マネーサプライ(3 月)」
3月 11日に発生した平成 23年東北地方太平洋沖地震で被害に遭われた方々に心からお見舞い申し上げますとともに、行方不明になられている方々の安全が一刻も早く伝えられますことを弊社
一同お祈り申し上げます。
農林中金総合研究所 無断転載を禁ず。本資料は、信頼できると思われる各種データに基づき作成しておりますが、その正確性、完全性を保証するも
のではありません。本資料は情報提供を目的に作成されたものであり、投資のご判断等はご自身でお願い致します。
http://www.nochuri.co.jp/
1
農林中金総合研究所
1.来週発表予定の経済指標予測
1 月の全産業活動指数【3 月 22 日(月)13:30】 <当社予測>全産業活動指数:前月比3.5%(12月:同▲0.2%)
毎月勤労統計(確報)では建設業の所定外給与が前月比▲0.4%と減少しており、建設業活動指数の
低下が予想される。一方、全体の約 2 割のウエイトを占める鉱工業生産(確報、季調値)は同 1.3%と上
昇。さらに、同じく 6 割強のウエイトを占める第 3 次産業活動指数(季調値)が同 2.1%に上昇したことか
ら、1 月の全産業活動指数は 6 ヶ月ぶりに大幅上昇が予想される。(安藤)
2 月の貿易統計【2 月 24 日(木)8:50】 <当社予測>通関貿易収支:原系列 6,760億円(1月:▲4,753億円)、季調済 5,550億円(1月:1,918億円)
10 年秋にかけて一時的に輸出の減速が
見られたものの、基調としては鉄鋼や自
動車を中心に数量ベースでの増加が続
いている。1 月分の輸出額は中国の春節
休暇の影響を受けて前年比増加率が大
幅に鈍化したが、2 月上中旬分の輸出は
堅調に推移していることから、前年比
10.7%と見込んだ。一方、輸入額につい
ては資源価格の上昇などを受けて、同
11.6%の増加と予想する。この結果、通
関貿易収支は 6,760 億円の黒字と予想
する。(岡山)
2 月全国、3 月東京都区部の消費者物価【3 月 25 日(金)8:30】 <当社予測>3月東京 総合:前年比▲0.1%(2月:▲0.1%)、コア:同▲0.4%(2月:▲0.4%)
2月全国 総合:前年比▲0.1%(1月:0.0%)、コア:同▲0.3%(1月:▲0.2%) 昨今の国際商品市況の高騰によってエネ
ルギーや食料品が先行き値上がりするとの
予想が強まっている。一方で、家電エコポ
イント制度の規模縮小に伴い、薄型 TV な
ど対象エコ家電の売れ行きが大きく鈍って
おり、耐久消費財価格の下落圧力は一段
と強まっている。基本的にエネルギー価格
上昇により、物価下落圧力は弱まる傾向に
あるものの、消費関連の財・サービスに対
する需給バランスはあまり改善が進んでい
ないことから、コア部分の前年比下落は続
くだろう。(南)
-50
-25
0
25
50
75
-1,000
-500
0
500
1,000
1,500
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
通関貿易出超額と輸出入の動向
出超額(季節調整済、左目盛)
輸出金額(右目盛)
輸入金額(右目盛)
(資料)財務省統計
(10億円) (%前年比)
-3.0
-2.5
-2.0
-1.5
-1.0
-0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
全国消費者物価の推移
総合
生鮮食品を除く総合
食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合
(資料)総務省統計局
(%前年比)
http://www.nochuri.co.jp/
2
2.株式市場 矢島 格
◎相場概況 (3/11~3/18前場) 【米国(NY)市場】(3/11~3/17)
米国株式相場は、日本の大震災と原発事故を嫌気して大幅安となった。
11日は反発。日本の地震の報に売られて始まったが、サウジでのデモで懸念されていたほどの混乱が起きなかった
ことが好感された。週明けの14日は下落。日本の地震の状況が明らかになり投資家心理が悪化した。15日も続落。
FOMC(連邦公開市場委員会)から出された景気回復の強さを示す声明は好感されたもの、日本の大震災への懸念に
より売りが優勢となった。16日は、日本の原発事故の悪化を警戒して大幅安。17日は反発。日本当局が原発事故の被
害を封じ込めるとの期待が高まった。
<終値>ダウ平均:11,774.59(前週末比▲269.81)、S&P500:1,273.72(同▲30.56)
ナスダック総合:2,636.05(同▲79.56)
【東京市場】(3/14~3/18前場)
東京株式相場は、大震災と原発事故を受け暴落。リスク回避のため換金売りによって大型株の下げがきつかった。
14日は大幅下落。取引開始直後から売りが殺到した。15日も、原発事故への警戒感が高まり大幅続落。16日は急反
発。売られ過ぎ感が台頭し買い戻しがはいった。しかし、17日は反落。為替市場で円高が進み史上最高値の1ドル=
76円台を付けたことや原発事故の悪化が嫌気された。18日前場は、G7が円高阻止に向けた協調介入実施に合意し、
円売り介入が実際に行われたことを受けて反発。
業種別では、33業種中31業種が前週末比で下落。ほぼ全面安。
<終値>日経平均:9,120.93(前週末比▲1,133.50)、TOPIX:821.86(同▲93.65)
◎来週の日本株相場予想 (3/22~3/25)
原発事故をめぐる動向には依然として予断を許さず、変動幅の大きいボラタイルな動きが続くだろう。しかし、徐々に
相場は落ち着きを取り戻し、大幅安の反動からの買い戻しの動きが優勢になる局面も想定できる。また、今後の政府
当局による政策対応が注目される。
●決算発表 注目銘柄 (変更になることがありますのでご注意ください) 資料:Bloombergデータより農中総研作成
米国 ~ (3/22)ウォルグイーン、ディスカバリー・ファイナンシャル・サービス、シンタス (3/23)ゼネラルミルズ、ペイチェックス (3/24)ベストバイ、オラクル
日本 ~ (3/22)モロゾフ (3/25)日本オラクル など
5
15
25
35
45
55
65
5
15
25
35
45
55
65
1/24 2/1 2/9 2/18 2/28 3/8 3/16
(千億円)(億株) 東証一部 出来高
出来高 株数 出来高 金額
7,500 7,750 8,000 8,250 8,500 8,750 9,000 9,250 9,500 9,750 10,000 10,250 10,500 10,750 11,000 11,250 11,500
1/25 2/2 2/10 2/21 3/1 3/9 3/17
日経平均株価の日足グラフ
25日移動平均線
50日移動平均線
100日移動平均線
(円)
-25% -20% -15% -10% -5% 0% 5%
TOPIX水産・農林鉱業建設食料品繊維紙パ石油石炭ゴム化学ガラ・土鉄鋼非鉄金属機械電気機器輸送用機器精密機器その他工業不動産陸運海運空運倉庫・運輸関連情報通信電気ガスサービス医薬卸売小売証券等保険その他金融銀行
TOPIX 業種(33)別前週末比変化率
農林中金総合研究所
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3
農林中金総合研究所
3.債券市場 寺林暁良
◎相場概況(3/14~3/18 前場)
◎来週の相場予想(3/22~3/25)
◎国債入札結果
長期金利(新発 10 年国債利回り)は、11 日に発生した東北地方太平洋沖地震の影響により、非常に
ボラタイルな展開となった。
週初は、日経平均株価の大幅続落に合わせて急低下し、15日には一時1.145%(先週末比▲12.5bp)
となった。しかしその後は、株価の回復に合わせて急転し、週央にかけては 1.2%台半まで上昇する場面
もみられた。週末も、株式相場の反落や円相場の上昇から 1.1%台後半まで低下した後、日本政府によ
る対ドル為替介入の実施などにより再び 1.2%台半ば近くまで上昇するなど、ボラタイルな動きが続いて
いる。
16日の 20年債入札は、テールは拡大したものの入札倍率は上昇するなど、予想に反して順調な結果
となった。イールドカーブは、日銀の潤沢な資金供給の継続を背景に短~長期で低下したが、将来的な
財政悪化の懸念もあり、超長期で上昇した。18 日 11:00 時点の長期金利は 1.215%(先週末比▲
5.5bp)、債券先物中心限月 6月物は、138 円 62 銭(先週末比+42 銭)。
原発事故の収拾や電力・石油受給の見通しについて不確実性が高いなか、今後の見通しは立てにく
いが、国債は安全資産であるとの見方は変わらないため、急激な金利上昇は今後も起こらないだろう。た
だし、来週も株式相場や為替相場の騰落に大きく影響されるボラタイルな展開が続くと思われる。
入札日 銘柄(回号) 表面利率 発行予定額 応札倍率 テール 最低価格 最高利回
3/16 20年利付国債(#125) 2.2% (2.0%) 1.1兆円 4.13倍 (2.64倍) 22銭(14銭) 100.75円 2.146%
(資料)財務省ホームページより農中総研作成。表面利率、応札倍率、テールの( )内数値は前回入札時の値
1.10
1.15
1.20
1.25
1.30
1.35
1.40
1/5 1/20 2/3 2/18 3/4 3/18
新発10年物国債利回り
(資料)Bloombergより農中総研作成
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
9/18 10/18 11/18 12/18 1/18 2/18 3/18
イールドスプレッド
5Y-2Y 10Y-5Y 20Y-10Y
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
3M 6M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y 10Y15Y20Y30Y40Y
(%) 日本国債のイールドカーブ(週末)
2011/3/18 (今週)
2011/3/11 (先週)
2011/2/18 (先月)
2010/12/17 (3ヵ月前)
2010/9/17 (6ヵ月前)
▲0.2
▲0.1
0.0
0.1
0.2
0.3
3M 6M 1Y 2Y 3Y 4Y 5Y 6Y 7Y 8Y 9Y 10Y15Y20Y30Y40Y
先週差 先月差 3ヵ月前差
http://www.nochuri.co.jp/
4
4.外国為替市場・商品市況岡山正雄
◎相場概況(3/14~3/18 前場)
【外国為替市場】
今週の円ドル相場は週を通して円高基調となり、17 日には戦後最高の円高水準となったが、18
日には為替介入で円安方向へ。先週 11 日の震災発生直後は一時、1 ドル=83.30 円の円安水準となっ
た。しかしその後は、震災復興資金を確保するため国内企業が海外資産を取り崩し、リパトリエーション(本
国への資金還流)を行うとの思惑や、円キャリートレードの解消を受けて、週を通して円高が継続。為替介
入への警戒感はあったものの、17 日には一時 1 ドル=76.36 円と戦後最高値を更新とした。その後も 1 ド
ル=80 円を割る円高水準が続いていたが、18 日朝の G7 財務省・中央銀行総裁電話会談で、2000 年 9
月以来の協調介入に合意し、実施したことから円安方向へ反転。週末にかけては 1 ドル=81 円台前半で
取引されている。
ユーロドル相場は、前週末比ユーロ高水準。週初は 14 日のユーロ圏首脳会議において EFSF(欧
州金融安定化ファシリティー)の拡充が決まったことからユーロ高へ。その後も水準を維持し週末にかけて
は 1ユーロ=1.40 ドル前後での取引。ユーロ円相場は週を通して円高ユーロ安が継続し、17 日には一時
1 ユーロ 106.50 円と 10 年 9 月以来の円高水準となった。その後、1 ユーロ=110 円台まで戻し、18 日に
は協調介入が行われたことでさらに円安へ。週末にかけては 1 ユーロ=114 円台前半で取引されている。
【商品市況】
原油相場は、日本での震災発生で、投資家のリスク許容度が低下し下落基調となったが、週末にかけて
17 日に国連安全保障理事会がリビアへの飛行禁止区域設定を承認したことから、中東不安が高まり上
昇。週末にかけて 1バレル=101 ドル台前半での取引。金相場は週初に震災によるリスク回避買いで上昇
したものの、週半ばは投資家心理の冷え込みから下落。その後、週末にかけてはドル安を受けて上昇し、
1 トロイオンス=1,410 ドル台前半での取引。
◎来週の相場予想(3/21~3/25)
円ドル相場は協調介入がどの程度のレベルで続けられるかが注目される。介入が継続されなければ、円
安方向への推移は限定的となろう。ユーロドル相場は、材料乏しく方向感のない展開か。
76
78
80
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84
76
78
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2010/12/24 2011/01/21 2011/02/18 2011/03/18
(円/ドル) 円/ドル・レート
25日移
動平均
円高
50日移動
平均
円安
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108
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112
114
116
106
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2010/12/24 2011/01/21 2011/02/18 2011/03/18
(円/ユーロ) 円/ユーロ・レート
円安
円高
25日移
動平均 50日移
動平均
80
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84
86
88
90
92
94
96▲8
▲6
▲4
▲2
0
2
4
6
10/02 10/04 10/06 10/08 10/10 10/11 11/01
(円ドル)シカゴIMM円ポジション(先物のみ)
円ポジション(左軸)
円ドル(右軸)
(1万コントラクト)
(注)1コントラクト=1250万円
84
89
94
99
104
109
11/01/12 11/02/09 11/03/09
(US$/B)原油価格の動向(WTI先物、期近)
(資料)Bloombergデータから農中総研作成
農林中金総合研究所
http://www.nochuri.co.jp/
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農林中金総合研究所
5.指標分析・注目点
①今週のレビュー
南 武志
3 月 11 日に発生した東北地方太平洋沖地震は、その直後に太平洋岸を襲った大津波とともに大きな
傷跡を残した。次々に明らかになる被災地の惨状には胸が痛むが、政府・東京電力などの説明とは裏腹
に、事態が悪化している福島第一原発の事故は人々を恐怖に陥れている。日本銀行による追加緩和策
と潤沢な資金供給によって、マネーマーケットの動揺はとりあえず抑えられた状況であるが、株価は震災
の状況やそれによる生産活動の落ち込み、さらには原発事故によって非常に不安定な状況となっている。
また、単純に考えれば為替レートは円安になってしかるべきだが、国内投資家が対外資産を売却すると
の思惑などから円高圧力が高まり、16 日には史上最高値となる 76 円 36 銭まで進行した。
また、東北・関東地方の発電所が一部ストップしたことから、関東地方およびその周辺では計画停電に
入っている。本措置は、現在休止中もしくは地震で停止している火力発電所が稼働するまで(とりあえず 4
月いっぱい)続くとのことであるが、夏に向けて冷房需要が強まるほか、生産ラインや物流の回復などに伴
い企業活動が活発化した場合、東日本で恒常的な電力不足に陥る懸念が浮上している。すでに、首都
圏では「帰宅優先」ということで、娯楽目的での消費支出が自粛される動きが強まっているが、今後の景
気動向を見通す上で電力供給の制約を意識せざるを得ない状況となっている。これまでいくつもの国難
を乗り越えてきた日本の底力を信じたいが、当面は景気悪化は避けられないだろう。
以下、今週発表された経済指標について振り返ってみたい。1 月の第三次産業活動指数は前月比
2.1%と、2 ヶ月ぶりのプラス。不動産業(前月比▲1.4%)、宿泊業(同▲2.4%)、娯楽業(同▲4.6%)など
が低下したものの、12月に落ち込んだ卸売業(同4.7%)・小売業(同3.7%)が反動増となったほか、情報
通信業(同 2.6%)、その他サービス業(公務等を除く)、電気業(同 5.9%)、金融・保険業(同 1.8%)、医
療業(同 1.8%)、自動車整備業(同 3.2%)などの上昇により、堅調な伸び率を確保した。
また、大地震発生が起きたことで、企業経営者の見方は様変わりしたものと思われるが、1~3月期の法
人企業景気予測調査(調査時点:2月 15日)によれば、企業経営者の景況感(貴社の景況判断BSI)は、
耐久財消費刺激策の反動減の影響もあってか、製造業を中心に「下降」超の状態が続いていることが明
らかとなった(全産業ベースでも大企業は 2 期連続、中堅企業は 14 期連続、中小企業は 91 年 10~12
月期以降)。業績見通しについては、10年度に続き、11年度も増収増益見込みであるが、伸び率は鈍化
することが予想されている(なお製
造業では 10 年度下期、11 年度上
期は減益見込み)。一方、設備投
資計画については、10 年度分はや
や下方修正されたが、増加見込み
であり、11年度分も上期までは増加
予想となっている(新年度入り前の
調査であり、調査時点では下期は
減少予想ながら、先行き上方修正
の可能性もある)。
-40
-30
-20
-10
0
10
20
30
-80
-60
-40
-20
0
20
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60
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
2006年
2007年
2008年
2009年
2010年
2011年
ビジネスサーベイの比較(大企業製造業)
日銀短観 (左目盛)
法人企業景気予測調査 (左目盛)
鉱工業生産 (右目盛)
(資料)内閣府、財務省、経済産業省、日本銀行
(%) (%前年比)
http://www.nochuri.co.jp/
6
②政策分析:2011年度予算関連
岡山 正雄 「つなぎ法案」
3月1日、総額92兆4,000億円にのぼる2011年度一般会計予算案が衆議院で可決され、参議院に送ら
れた。予算案は「衆議院の優越」が認められているため、かりに参議院で否決され、両院協議会が開催さ
れたにもかかわらず協議がまとまらない場合や、参議院の受理後、30日が経過した場合(参議院は2日に
受理しているので、3月31日が期限)でも予算案は年度内に可決されることが確実となっている。
しかしながら、今回可決されたものは、予算案のみであり、予算執行にあたって必要な予算関連法案
の可決は見送られた。予算関連法案の中には、①11年3月で期限を迎える租税特別措置の継続法案、
②子ども手当の増額法案などが含まれている。
このうち①の租税特別措置には、牛肉やチーズなどの415品目の輸入品への関税軽減措置や、不動
産売買時に支払う登録免許税の軽減税率、中小企業を対象とした法人税の軽減税率などがある。いず
れも、軽減税率を継続する法案が可決されなければ、増税となる。
また②は現行15歳以下の子供1人あたり、養育者に13,000円支給していた子ども手当を、3歳未満の子
供1人あたり7,000円増額する法案である。これが年度内に可決されない場合、時限立法である現行の子
ども手当法が3月に期限を迎え、09年度まで実施されていた児童手当が復活し、支給も減額される。
このように、予算関連法案が可決されない場合、各方面に影響を及ぼす。かつて08年の福田内閣時に
は、道路特定財源のために徴収していたガソリンの暫定税率の根拠法が3月に失効し、再可決される4月
30日までの間、当税を徴収できない事態に陥った。この結果、ガソリンスタンド業界は深刻な値下げ競争
を強いられたり、地方自治体の収入が減少するといった影響が出た。
このような事態を回避するために、9日、民主党は野党に対して「つなぎ法案」賛成への協力を求めた。
これは期限切れになる法律について、審議を継続するために暫定的に期限を延長するものであり、租税
特別措置を3ヶ月、子ども手当を6ヶ月延長とする法案を提出する。
これに対して、13日、自民党は民主党との会談で、租税特別措置の「つなぎ法案」に賛成する方針を
伝えた。その後、17日には自民党・公明党の野党両党から「つなぎ法案」を提出し、民主党がそれに賛成
する形で成立させることで合意したことから、少なくとも、租税特別措置に関しては「つなぎ法案」が可決
する見込みとなった。
東北地方太平洋沖地震補正予算案
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震では、東北・北関東を中心とする地域で甚大な被害が発生した。今回の地震で震度6以上の地震が発生した自治体の居住人口は210万人、事業所数は10万事業所と、ほぼ1995年の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)で同震度以上を観測した地域の人口、事業所数と同じ規模である。加えて広い範囲に渡って津波の被害に見舞われたため、被害は
兵庫県南部地震を遥かに上回るものと考えられる。 この被害を受けて、野田財務相は14日に会見し、当座の救援物資については10年度予算の予備費(1,700億円)を活用して被災地へ届ける方針を表明した。また被害状況が明らかになってから補
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7
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正予算編成に着手するとしているが、兵庫県南部地震より被害規模は大きいと見られるため、補
正予算の規模も兵庫県南部地震時に編成した約3.4兆円を上回る見通しを示した。 この補正予算の財源については、15日に民主党・岡田幹事長は会見を行い、マニフェストに掲げた高速道路無料化の財源を被災地の高速道路復旧に充てることや、子ども手当の増額分を被災
地で現物給付に充てる案も示唆したほか、17日には、現行の高速道路休日割引や子ども手当自体も野党が議論の対象とした場合は、応じる姿勢を見せた。11年度予算に計上されているマニフェスト関連予算は計4.7兆円(うち前年度からの拡充分:1.1兆円)であり、高速道路休日割引はかつて高速道路会社に投入した3兆円のうち2兆円が残っている。また残りの財源のうち、インフラ復旧分は建設国債、その他の部分は特例公債(赤字国債)でまかなう案も示している。そのため、特例公債法案の可決に向けて野党への協力を求めている。 一方、自由民主党は15日に谷垣総裁が会見を行い、10・11年度予備費(11年度:1.2兆円)、11年
度予算案に計上された、高速道路無料化に伴う経費と子ども手当の全面廃止により残りの財源を
確保し、5兆円規模の緊急対策を講じる案を示した。 このように与野党ともに今回の災害に対して、大規模な補正予算を作成することは一致してい
るものの、その財源については、一致していない状況であり、今後の国会で議論が必要である。
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③指標予測:日銀短観 3月調査
南 武志
4月1日に、日銀短観3月調査が公表される。3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とその直後の
大津波により、東日本の太平洋沿岸は大きな直接的被害を被ったほか、資本設備などの被災による生産
ラインのストップ、福島原発の事故への不安、関東・東北エリアのライフライン寸断と電力不足問題、交
通・物流網の混乱・停滞などが当面の景気展開にとってボトルネックとなる恐れが強い。ただし、日銀短観
では、送付後約2週間後に「回収基準日」を設定しており、それが3月短観の場合、3月9日前後となってい
るケースが多い。通常、その回収日までに7~8割の企業がアンケートを返送しているとのことであり、震災
やその後の影響などは結果に十分反映されていない可能性が高い。また、各企業とも震災対応を最優
先としていることもあり、大きく景況感が悪化した企業からのアンケート回収が滞っていることも十分ありうる
だろう。つまり、震災前に回収できた結果では景況感の改善が見込まれる反面、震災後に回収できたア
ンケートでは景況感は当然大きく悪化していると予想される。しかし、その数は通常の調査よりも少なく、
悪化が薄まっている可能性があることを十分踏まえた上で、3月短観の予想を行わざるをえないことを予
め了解いただきたい。(ちなみに、阪神・淡路大震災直後の95年2月調査では、大企業製造業のDIはマイ
ナス幅が縮小、景況感の改善を示した)
わが国の景気は、2010年夏場には急激な円高進行、海外経済の先行き不透明感の強まり、耐久財刺
激策の効果一巡などもあり、生産・輸出が小幅ながらも低下するなど、足踏み状態に入った。実際、10~
12月期のGDP速報によれば、これまでの景気持ち直し局面での牽引役であった民間消費と輸出がいず
れもマイナスとなったこともあり、実質経済成長率は前期比▲0.3%(同年率▲1.3%)と、5四半期ぶりのマ
イナスとなった。一方で、10年末あたりから輸出・生産が再び回復する動きも散見され始め、近い将来、踊
り場状態からの脱却が実現するのでは、との期待も浮上していた。海外に目を転じても、中国など新興国
経済は、インフレ懸念などの問題を抱えつつも、堅調な推移が続くと見られるほか、米国経済も徐々に回
復力が伴いつつあるとの予想が強まっていた。中東情勢の緊迫化などによる資源価格高騰への警戒感
は根強いが、今回の3月短観では震災前までの、先行き景気回復期待が反映された内容となるだろう。
(1)業況判断DI
前回12月調査では、代表的な大企業製造業の業況判断DIは5と、「良い」超だったものの、7期ぶりに
悪化となった。エコカーやエコ家電を対象とした消費刺激策の終了もしくは規模縮小にともない、電気機
械や自動車を中心に悪化したが、年明け後も耐久消費財の販売不振は続いている。ただし、非常に緩
変化幅②-① 変化幅③-②
製造業 5 ▲2 3 ▲2 ▲4 ▲7
非製造業 1 ▲1 1 0 ▲1 ▲2
製造業 ▲12 ▲23 ▲15 ▲3 ▲25 ▲10
非製造業 ▲22 ▲29 ▲23 ▲1 ▲33 ▲10
(資料)日銀短観を基に農林中金総合研究所作成
中小企業
最近 ① 先行き 最近 ②
業況判断DI(「良い」-「悪い」、%ポイント)
2010年12月調査 11年3月調査
大企業
先行き ③
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やかながらも自動車販売は台数ベースで持ち直しつつあるほか、前述の通り、海外経済の回復テンポが
再び強まったこともあり、輸出の増勢も強まり、生産水準も直近ピーク(10年5月)にほぼ並んできた。なお、
1~3月期の法人企業景気予測調査によれば、大企業・製造業の景況感(貴社の景況判断BSI)は2四半
期連続のマイナスながらも、マイナス幅は縮小している。以上の点を踏まえ、製造業の業況判断DIは、大
企業が3(前回12月調査時点から▲2ptの悪化)、中小企業が▲15(同▲3pt)と、いずれも2期連続の悪化
と予測した。なお、先行きに関しては、大企業が▲4(今回から▲7pt)、中小企業が▲25(同じく▲10pt)と、
3期連続での悪化見通しが見込まれる。繰り返しになるが、震災による悪影響が十分に反映されたもので
はない。
一方、非製造業については、年明け後、民間消費の持ち直しが僅かながらも見られており、製造業と
同様に再び持ち直しの動きが出てきた。一方、中小企業については、交易条件悪化に伴う大企業のコス
ト圧縮継続やデフレのしわ寄せや金融機関の融資態度の厳しさ、公共事業関連予算の大幅削減などが
景況感の改善に対して抑制的に働いた可能性が高い。以上から、大企業は1と、前回12月時点から横ば
い、中小企業は▲23と同じく▲1ptの悪化と予測した。先行きも消費関連の反動減への警戒感などから、
大企業、中小企業とも景況感悪化という見通しになると予想。
(2)設備投資計画
これまでの企業業績の持ち直しによって、設備過剰感が残っているものの、民間企業設備投資は総じ
て回復傾向にある。ただし、このところ機械受注や資本財出荷などがやや足踏みする動きも見られたこと
から大企業では若干下方修正されるものの、例年、期を追って上方修正される中小企業では上方修正さ
れると予想する。10年度設備投資計画(ソフトウェア投資額を除く、土地投資額を含む、金融・保険業を除
く)は、大企業(全産業)が前年度比 2.5%(うち、製造業 2.8%、非製造業 2.3%)へ下方修正、中小
企業(同)は同▲5.0%(うち、製造業 10.0%、非製造業▲12.5%)、全体では同1.0%と、3年ぶりのプラ
ス計画となるだろう(上方修正)。また、今回から集計が始まる11年度計画については、年度入り前の調査
ということもあり、例年通り、やや慎重な内容となるだろう。
①2010年度計画
実績 10年3月調査 09年12月調査 11年3月調査 10年12月調査
全規模 ▲18.2 ▲17.8 ▲18.8 1 .0 0.4大企業 ▲15.5 ▲14.2 ▲13.8 2 .5 2.9中小企業 ▲21.5 ▲23.5 ▲30.7 ▲5.0 ▲8.3
②2011年度計画
10年度 11年度10年3月調査 11年3月調査
全規模 ▲3.9 ▲4.5大企業 ▲0.4 ▲0.5中小企業 ▲19.4 ▲20.0
(資料)日銀短観を基に農林中金総合研究所作成
(注)全産業ベース、土地投資額を含み、ソフトウェアは含まず。
09年度実績と10年度以降はリース会計対応ベース。
設備投資計画調査(対前年度比、%)
10年度09年度
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6.今週の主なできごと
月 日 政治・財政 経済・金融 海外・その他
3 月 11 日(金) ・片山総務相:地震で 4 月予定
の統一地方選挙延期の可能性
を示唆、また、地デジ完全移行
に関して延期する考えはないと
改めて強調
・石原都知事:4 選出馬表明
・東日本大震災(東北地方太平
洋沖地震)が発生、M9.0
3 月 12 日(土) ・菅首相:福島第 1 原発を上空
視察
・福島第 1 原子力発電所:1 号
機水素爆発で放射線漏出、20
キロ圏内に退避指示
・ユーロ圏首会議:安定化基金拡
充やギリシャ向け融資の条件緩
和で合意
3 月 13 日(日) ・政府:東日本大震災を激甚災
害に指定する政令を閣議決定
・菅首相:国民に節電を呼び掛
けるとともに、東京電力管内で
「輪番停電」の実施を了承、蓮
舫行政刷新相、節電啓発担当
大臣を兼務へ
・菅首相:自衛隊派遣態勢を 10
万人規模に増強するよう指示
・自民党谷垣氏:支援税制を復
興ニューディール政策と位置付
けた時限増税を提案、首相賛
同
・自民党:税制改正法案のうち
期限切れとなる減税措置を延
長する「つなぎ法案」に賛成へ
・名古屋市議選:減税日本が最
大勢力に
・リビア:カダフィ大佐、ロシアと中
国、インドに対し、リビアの石油
業界に投資するよう呼び掛け
3 月 14 日(月) ・菅首相:ロシア大統領と電話会
談、ロシアは、人道支援のほか
にエネルギー供給面の協力を
行う用意があると表明
・都知事選:松沢神奈川県知事
が出馬取りやめ、石原知事の出
馬表明で
・海江田経産相:石油備蓄 3 日
分 126 万 kl 放出を発表
・福島第 1 原子力発電所:3 号
機水素爆発
・ムーディーズ:東電を格下げ
方針で見直すと発表
・ゆうちょ銀:9都県の局外ATM
稼働停止
・日銀:追加金融緩和発表、資
産買い入れ基金を 5 兆円増
額、即日供給オペ実施
・ビーニスマギ欧州中央銀行
(ECB)専務理事:金利を徐々に
再正常化する方針と述べる
・アイルランド:ヌーナン財務相、
融資金利引き下げ条件として、
法人税率引き上げには応じられ
ないと言明
・韓国、香港:日本からの輸入生
鮮品を放射能検査する方針へ
3 月 15 日(火) ・与野党:震災復興のため補正
予算編成で、子ども手当や高速
道路無料化を見直して財源を確
保する方向性で一致
・民主党:竹島署名問題で土肥
議員が離党
・菅首相:第一原発 20-30km 圏
に屋内退避要請
・政府・東電:原発事故対策で統
合本部設置、初会合開催
・生命保険協会:今回の地震で
地震免債を不適用と決定
・島根銀行上場、初値 685 円
・みずほ FG、グループ証券と信
託銀を完全子会社化へ
・日経平均暴落:終値 1,015 円
安、下落率3番目9,000円割れ
・大証:日経平均先物のサーキ
ットブレーカーを発動
・福島第 1 原子力発電所:2 号
機水素爆発、4号機火災
・ドイツ:メルケル首相、福島第 1
原発の事故を受け、老朽原発一
時停止し、安全性点検を発表
・EU:全原発のストレステスト(耐
久検査)実施で合意
・フランス原子力安全機関:福島
第 1 原発はレベル 6 に相当する
との見解を明らかに
・FOMC:景気判断を上方修正、
景気回復は一段と堅調な足取り
・バーレーン:反政府デモ激化で
非常事態宣言
3 月 16 日(水) ・政府:全国自治体などに被災
者の受入れを要請
・米アップル:iPad2 の日本発売
を延期
3 月 17 日(木) ・政府:仙谷民主党代表代行を
官房副長官に、藤井官房副長
官を首相補佐官に起用すると発
表
・衆院:統一地方選を延期する
特例法案が可決、18 日にも成
立の見込み
・みずほ銀:システム障害、
ATM一時すべてストップ
・アステラス製薬:米パーシード
社を 100%子会社化
・H&M:関東の全 10 店舗休止、
スタッフら最大 2,000 人関西へ
・陸自:ヘリコプターによる福島
第 1原発 3号機へ冷却水投下
・円相場一時 1 ドル 76 円 25 銭
に、16 年ぶりの更新
・国連安保理:リビア上空の飛行
禁止決議を採択
・オーストリア中銀ノボトニー総
裁:原発事故で日本から追加的
な需要が発生し、原油価格の上
昇圧力が高まるとの見通し示す
・中国人民銀行高官:人民元急
伸は容認できないとする一方、今
後 5 年の人民元年間上昇率とし
て 3%なら耐えられると語る
3 月 18 日(金) ・G7 緊急電話会議:円売り協調
介入合意、実施
・みずほ銀:給与振り込みでき
ず、最大 62 万人
・日銀:5 日連続で緊急オペを
含む大規資金供給を実施、当
座預金残高 30 兆円の大台
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6.今週の主なできごと
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7.内外経済指標の動向(グラフ)
▲ 15
▲ 10
▲ 5
0
5
10
09/1 09/7 10/1 10/7 11/1
(%) 稼働率指数:季調済前月比(1月)
鉱工業生産(確報)
稼働率
稼働率指数は、前月比3.6%と3ヵ月連続で上昇した。鉱工業
生産指数の確報値は、同1.3%と速報値(同2.4%)から下方
修正された。
▲ 80
▲ 60
▲ 40
▲ 20
0
20
09/3 09/9 10/3 10/9 11/3
(ポイント) 法人企業景気予測調査
:景況判断BSI(1~3月期)
全規模全産業
大規模製造業
法人企業景気予測調査の景況判断BSI(前期比)の全規模
全産業は、▲1.1と2四半期連続で0を下回った。また、大企業
製造業は、▲3.2。
▲ 4
▲ 2
0
2
4
09/1 09/7 10/1 10/7 11/1
(%) 第3次産業活動指数:季調済前月比(1月)
第三次産業活動指数は、前月比2.1%と2ヵ月ぶりに上昇し
た。
40
50
60
70
80
90
09/3 09/9 10/3 10/9 11/3
(ポイント)ミシガン大学消費者信頼感指数(3月速報)
総合指数 現況指数 先行指数
ミシガン大学消費者信頼感指数の総合指数は、燃料価格上
昇への懸念などにより68.2と前回より▲9.3ポイント下落した。
また、現況指数は83.6、先行指数は58.3。
3,000
3,500
4,000
4,500
5,000
300
350
400
450
500
9/24 11/5 12/17 1/28 3/11
(千人)(千人) 新規失業保険申請件数(3月12日週)
新規失業保険申請者件数
4週移動平均失業保険継続受給者(右軸)
新規失業保険申請者件数は、38.5万人と事前予測(同38.8
万人)を下回った。また、失業保険継続受給者数(3月5日週)
は、370.6万人。
【日本】
【米国】
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13
▲ 3
▲ 2
▲ 1
0
1
2
3
09/2 09/8 10/2 10/8 11/2
(%)月間小売売上高:季調済前月比(2月)
小売売上高
除自動車
小売売上高は、前月比1.0%と事前予測通りとなった。自動
車を除いた小売売上高は、同0.7%。
400
500
600
700
09/2 09/8 10/2 10/8 11/2
(千件)住宅着工件数:季調済年率(2月)
住宅着工件数
建設許可件数
住宅着工件数は、前月比▲22.5%の479千件と、事前予測
(566千件)を大幅に下回った。また、先行指標となる建設許
可件数も、517千件と事前予測(570千件)を下回った。
▲ 1.5
▲ 1.0
▲ 0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
09/2 09/8 10/2 10/8 11/2
(%)生産者物価指数:季調済前月比(2月)
完成財計
コア
生産者物価指数(PPI)の完成財計は、前月比1.6%と事前予
測(同0.7%)を上回った。食料品・エネルギーを除くコアは
0.2%。
▲ 0.4
▲ 0.2
0.0
0.2
0.4
0.6
0.8
09/2 09/8 10/2 10/8 11/2
(%)消費者物価指数:季調済前月比(2月)
総合
コア
消費者物価指数(CPI)の総合は、前月比0.5%と事前予測を
(同0.4%)を上回った。また、食料品・エネルギーを除くコア
は、0.2%
▲ 2.0
▲ 1.5
▲ 1.0
▲ 0.5
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
09/2 09/8 10/2 10/8 11/2
(%)鉱工業生産指数:季調済前月比(2月)
鉱工業生産
稼働率
鉱工業生産は前月比▲0.1%と事前予測(同0.6%)を下回っ
た。また。、稼働率は同▲0.2%。
(資料)Bloombergより農中総研作成
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新発
10年
国債
利回
債先
10年物
中心
限月
金利
スワップ
レート
5年物
(円-円)
仲値
無担保
コール
翌日物
TIBOR
ユーロ円
3ヵ月
LIBOR円
3ヵ月
TIBOR
ユーロ円
6ヵ月
金利
先物
(利回)
中心
限月
円ドル
スポット
レート
東京
17:00
現在
ユーロ
ドル
スポット
レート
ユーロ円
スポット
レート
東京
17:00
現在
日経平均
株価
(225種)
TOPIX
終値
NYダウ
工業株
30種平均
ナスダック
総合上海総合
米国
財務省
証券
10年物
国債
利回
LIBOR
ドル
3ヵ月
独国
10年物
国債
利回
NY
金先物
期近
WTI
期近
11/01/24 1.230 139.61 0.661 0.085 0.3354 0.189 0.446 0.350 82.84 1.364 112.54 10,345.11 917.18 11,980.52 2,717.55 2,695.72 3.404 0.30 3.150 1344.5 87.8711/01/25 1.245 139.39 0.682 0.082 0.3354 0.189 0.446 0.350 82.41 1.368 112.64 10,464.42 929.28 11,977.19 2,719.25 2,677.43 3.328 0.30 3.144 1332.3 86.1911/01/26 1.235 139.61 0.664 0.095 0.3354 0.189 0.446 0.350 82.15 1.371 112.32 10,401.90 922.64 11,985.44 2,739.50 2,708.81 3.415 0.30 3.185 1333.0 87.3311/01/27 1.250 139.78 0.650 0.088 0.3354 0.189 0.446 0.350 82.86 1.373 113.30 10,478.66 929.66 11,989.83 2,755.28 2,749.15 3.387 0.30 3.206 1318.4 85.6411/01/28 1.215 139.92 0.637 0.087 0.3354 0.189 0.446 0.345 82.65 1.361 113.25 10,360.34 919.69 11,823.70 2,686.89 2,752.75 3.321 0.30 3.148 1340.7 89.3411/01/31 1.215 140.02 0.635 0.087 0.3354 0.189 0.446 0.350 82.04 1.369 111.75 10,237.92 910.08 11,891.93 2,700.08 2,790.69 3.370 0.30 3.155 1333.8 92.1911/02/01 1.230 139.72 0.654 0.088 0.3354 0.189 0.446 0.350 81.80 1.383 112.43 10,274.50 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(資料)Bloombergより農中総研作成。最終日は11時現在
長期金利 短期金利 外国為替 海外金利 その他
内外金融市場データ内外株価指数
OPEC
バス
ケット
価格
93.2091.8092.5893.4294.1095.5396.3997.6697.7196.8596.0296.1296.9397.5997.3798.2499.0098.6899.7799.08100.59104.01105.88111.01108.31108.50108.27110.84110.48111.42112.03109.55109.96110.71109.18107.87106.56105.80
農林中金総合研究所
http://www.nochuri.co.jp/
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