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「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」 テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み 自動車産業生産技術アドバイザー (日産自動車九州㈱) 榎本 三樹 この活動は、福岡県直方市に構える 直方精機(株)の改善活動をまとめたものです。この工場は金型 設計製作・プレス加工・3 次元レーザー加工・組立工程(溶接、パイプ曲げ)・プラスチック製品等を専 門とする自動車部品製造工場であります。私が担当させて戴くことになり、半年が経過致しました。 今回、改善活動の事例として紹介させて戴きます。 ①組立工程内のムダな動きや歩行ロスを減らしたいという組立部門係長の想いが強かった。 ②作業性向上に繋がる改善活動がスムーズに進まなく、困っていたが係長に承諾をとり、実施に踏み切った。 ③また、作業者より作業性が悪いとの声もあがっていた。作業性を向上させる事が必須である事を認識。 ④そこで、組立工程のレイアウト変更やレーザー加工工程の作業性改善を進める事で合意した。 ⑤プレス加工では、良品質で不具合は工程内でおさえる。・・・と言う強い意志をもつプレス加工の部長 の提案や目標達成に向け改善に着手した。 1)組立工程のレイアウト変更による歩行数の削減 <レイアウト図>現状把握 作業の流れは 1 番の銅 箱カット工程から 2 番 目の銅箱スポット工程 へカットしたものを運 搬(25 歩 ) し、2 番 でスポットされたもの を 3 番 へ 運 搬(6 歩 ) とムダ歩行が発生して いる。ムダ歩行と認識 されてない。 2 番銅箱スポット工程から 3 番のスポッ ト仮付け工程4mと離れている。次の工程 へ運搬するのにムダ歩行となっている。 6 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.11 自動車産業競争力強化支援室

自動車産業競争力強化支援室「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」 テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み 自動車産業生産技術アドバイザー

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Page 1: 自動車産業競争力強化支援室「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」 テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み 自動車産業生産技術アドバイザー

「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み

自動車産業生産技術アドバイザー(日産自動車九州㈱)

  榎本 三樹

1.はじめに この活動は、福岡県直方市に構える 直方精機(株)の改善活動をまとめたものです。この工場は金型設計製作・プレス加工・3 次元レーザー加工・組立工程(溶接、パイプ曲げ)・プラスチック製品等を専門とする自動車部品製造工場であります。私が担当させて戴くことになり、半年が経過致しました。 今回、改善活動の事例として紹介させて戴きます。

2.背景①組立工程内のムダな動きや歩行ロスを減らしたいという組立部門係長の想いが強かった。②作業性向上に繋がる改善活動がスムーズに進まなく、困っていたが係長に承諾をとり、実施に踏み切った。③また、作業者より作業性が悪いとの声もあがっていた。作業性を向上させる事が必須である事を認識。④そこで、組立工程のレイアウト変更やレーザー加工工程の作業性改善を進める事で合意した。⑤ プレス加工では、良品質で不具合は工程内でおさえる。・・・と言う強い意志をもつプレス加工の部長

の提案や目標達成に向け改善に着手した。

3.改善活動事例  NO.1(組立工程)の現状把握1)組立工程のレイアウト変更による歩行数の削減

<レイアウト図>現状把握作業の流れは1番の銅箱カット工程から2番目の銅箱スポット工程へカットしたものを運搬(25 歩 ) し、2 番でスポットされたものを 3 番へ運搬(6 歩)とムダ歩行が発生している。ムダ歩行と認識されてない。

2番銅箱スポット工程から 3番のスポット仮付け工程4mと離れている。次の工程へ運搬するのにムダ歩行となっている。

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6 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.11

自動車産業競争力強化支援室

Page 2: 自動車産業競争力強化支援室「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」 テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み 自動車産業生産技術アドバイザー

5.改善活動事例 NO. 2(3次元レーザー工程)の現状把握と対策実施

4.改善活動事例 NO.1 (組立工程)の対策実施

1)レーザー工程作業性向上

対策の実施として、1番、2番、3番工程を集結する事で歩行数の大幅削減(36歩 /回の削減)となった。この改善により、完成品の運搬ロスやムダな歩行を無くし、作業者の疲労軽減を図ることができた。年間効果としては、大きな成果を上げることはできませんでしたが、無形効果としては、成果ありと判断しています。

銅パイプを治具にセットし、位置決めしたら、固定の為電気インパクトを使用しているが、重く、ボルトのがじりも発生する。

バランサーを利用し天吊りし、傾斜をつけスタート位置に戻る。同様に治具セット工程にも水平展開し、取付と取り外しに改善を実施。

従来、平行に並んでいた治具取り外し工程の台をコの字型に囲む事で、歩行数も削減でき、作業性も向上した。

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7BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.11自動車産業競争力強化支援室 TEL:092-622-0040お問い合わせ

Page 3: 自動車産業競争力強化支援室「自動車産業アドバイザー改善事例紹介」 テーマ:生産性向上及び品質改善活動の取り組み 自動車産業生産技術アドバイザー

6.改善活動事例 NO. 3(プレス加工工程)品質不具合の現状把握

 8 号機 35 tプレス機 日産工機向けとブラジル向け(プレスロットで 500 個 / 日)

 8 号機 35 tプレス機 日産工機向けとブラジル向け(プレスロットで 500 個 / 日)

正規部品 正規加工品 不良加工品

8 号機にて 1番から 4番の型にブラケットを順番に左、送りにしてプレスされていきます。先ず、1番のブラケットをV字にプレスし、2番でV字されたブラケットの末端をフランジプレスを行う。3番目に奥に押し当ててセットするが、隙が発生したり、奥に入っていなければ、4番でプレスされたときに、円形状が変形し、本来ゴムホースが入れやすい様に少し、オフセットされなければならない部分がプレスさせていない。この様にして不具合が発生していた。標準作業書には問題なく奥に押し当てる様になっている。

型に合わせるだけでブラケットをセットする。

末端を手前に当てセットし、フランジプレスを行う。

末端フランジ部を奥に押し当て、セットする。

位置は決まっていないが、V字プレスを行う。

6-2 各プレスの拡大

6- 1要因解析  

ブラケットが型にきちんと入ってなく曲げが出来てない。円も変形している。

8 BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.11

自動車産業競争力強化支援室

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7.改善活動事例 NO. 3(プレス加工工程)品質不具合の対策実施

今回の改善で品質に対し、標準作業書の改訂や4Mでの変更時、教育の重要性など全員が不具合に対し、認識することができ、意識向上が図られた。

セットする際、押し当てにて、隙のない様に、密着させ、マグネットに押し当てる。

押し当て時に密着する様にマグネットが設置されている。

近接スイッチを設置し、ブラケットを押し当て近接スイッチを叩かないとアンマッチとなり、釦を押しても作動しない。

「九州カーエレクトロニクス展示商談会 in デンソー」開催のお知らせ カーエレクトロニクス分野において、株式会社デンソー及び関連企業等に対して、九州・山口の地元企業が有する技術・製品を提案することにより、新規参入や取引拡大を図ることを目的とした展示商談会を開催します。

※上記展示商談会の記事内容は、予定であり、変更の可能性があります。

主  催 九州自動車・二輪車産業振興会議(事務局:福岡県自動車産業振興室)

参加企業【出展者】 カーエレクトロニクス分野への新規参入や取引拡大を積極的に図ろうとする九州及び山口県内の企業

【来場者】 株式会社デンソー及び関連企業等

日  時 平成27年1月22日(木)・23日(金) 2日間 10:00 ~ 17:00(最終日は16:00終了)

場  所 株式会社デンソー本社(愛知県刈谷市)

出 展 料 1ブース 30,000 円

8.まとめ今後の課題

9.今後の課題

*�今回の NO.1 ~ NO.3 の歩行ロス、作業性向上、品質向上改善を実施することで、作業者の意識改革と全員参画により、職場の活性化となった。

*女性が主体で運営する優しいライン造りを推進する。*品質と効率化を更に追求して業界 NO.1 を目指した取り組みを推進する。*現場の2S 1Y と活動の見える化を推進する。

9BUSINESS SUPPORT FUKUOKA 2014.11自動車産業競争力強化支援室 TEL:092-622-0040お問い合わせ