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試験番号 7494
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンの
哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験報告書
試験番号 7494
2017年 3月21日
独立行政法人 労働者健康安全機構
日本バイオアッセイ研究センター
試験番号 7494
目 次
[項目] [ページ]
表題 ⅰ
試験目的 ⅰ
GLP対応 ⅰ
試験ガイドライン対応 ⅰ
試験委託者 ⅰ
試験施設の名称及び所在地 ⅰ
試験日程 ⅱ
業務分担 ⅱ
試資料の保管 ⅱ
試験責任者の署名、捺印及び日付 ⅱ
運営管理者及び試験責任者陳述書 ⅲ
信頼性保証証明書 ⅳ
本文 ⅴ
試験番号 7494
i
表題:4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンの哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験
試験目的
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン(被験物質番号:4362)の染色体異常誘発性の有
無についてチャイニーズハムスター培養細胞(CHL/IU細胞)を用いて検索した。
GLP対応
試験は、平成23年 3月31日付け、薬食発0331第8号、平成23・03・29製局第6号、環保
企発第110331010号、厚生労働省医薬食品局長、経済産業省製造産業局長、環境省総
合環境政策局長連名通知「新規化学物質等に係る試験を実施する試験施設に関する基
準について」に準拠して実施した。
試験ガイドライン対応
試験は、平成23年3月31日薬食発0331第7号厚生労働省医薬食品局長、平成23・03・
29製局第5号経済産業省製造産業局長、環保企発第110331009号環境省総合環境政策局
長連名通知「新規化学物質等に係る試験の方法について」(最終改正、平成27年12月21
日付け、薬生発1221第1号、20151209製局第1号、環保企発第1512211号)の別添「哺
乳類培養細胞を用いる染色体異常試験」に準じて実施した。
試験委託者
厚生労働省 医薬・生活衛生局 医薬品審査管理課 化学物質安全対策室
東京都千代田区霞が関1-2-2
試験施設の名称及び所在地
独立行政法人労働者健康安全機構 日本バイオアッセイ研究センター
神奈川県秦野市平沢2445番地
電話:0463-82-3911 FAX:0463-82-3860
試験番号 7494
v
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンの
哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験報告書
試験番号 7494
本 文
試験番号 7494
本 文 目 次
[項目] [ページ]
1.要約 1
2.試験材料
2-1.被験物質 2
2-2.被験物質溶液 3
2-3.陽性対照 4
2-4.陰性対照 4
2-5.使用した細胞 5
2-6.代謝活性化 5
3.試験方法
3-1.採用した試験方法 7
3-2.試験構成 7
3-3.短時間処理法による試験 7
3-4.連続処理法による試験 8
3-5.染色体標本の作製 9
3-6.細胞増殖率の測定 9
3-7.染色体の観察 10
4.試験成績
4-1. 短時間処理法による試験 12
4-2. 連続処理法による試験 14
5.結果の判定 15
6.予見することができなかった試験の信頼性に影響を及ぼす疑いのある
事態及び試験計画書に従わなかったこと 15
7.参考文献 15
試験結果表 1~6 16
試験結果図 1~6 22
試験番号 7494
1
1. 要約
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンの染色体異常誘発性の有無を、チャイニーズハ
ムスター肺由来培養細胞(CHL/IU)を用いて検索した。
染色体異常試験の短時間処理法(6時間処理-20時間培養)は、細胞増殖抑制試験及び染
色体異常予備試験の結果に基づき、-S9処理で最高用量を1.4 mg/mlとして公差0.20で
1.2、1.0、0.80、0.60、0.40、0.20 mg/mlの7段階、+S9処理で最高用量を0.060mg/ml
として公差0.010で0.050、0.040、0.030、0.020、0.010 mg/ml の6段階に設定した。
細胞増殖率(対的細胞数増加、RICC: Relative Increase Cell Count)は、用量が増える
に従い減少し、-S9処理で0.4、0.6、0.8 mg/mlの各用量において85、60、38%、+S9処
理で0.03、0.04、0.05、0.06 mg/mlの各用量において57、49、44、28%であった。-S9
処理で0.8 mg/ml以上の用量、+S9処理で0.06 mg/mlの用量において40%未満となって
いた。染色体異常の評価はRICCが40%以上の処理群を対象とした。-S9処理、+S9処理
ともに、構造異常を持つ細胞の出現率及び数的異常を持つ細胞の出現率は、何れの被験
物質用量においても0.7%以下であり、陰性対照と比較して統計学的に有意な増加は認め
られなかった。
一方、連続処理法については、細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験の結果に
基づき、24時間処理は最高用量を 0.60 mg/mlとして公比2で 0.30、0.15、0.075、
0.038、0.019 mg/ml の6段階、48時間処理で最高用量を 0.30 mg/mlとして公比2で
0.15、0.075、0.038、0.019、0.0094 mg/mlの6段階で実施した。試験の結果、RICC
は、24時間処理で0.019、0.038、0.075、0.15、0.30、0.60 mg/mlの各用量において
101、98、97、85、53、28%、48時間処理で0.0094、0.019、0.038、0.075、0.15、
0.30 mg/mlの各用量において97、93、84、60、32、7%となっていた。染色体異常の
評価はRICCが40%以上の処理群を対象とした。24時間処理における構造異常を持つ細
胞の出現率は、0.30、0.15 mg/mlの被験物質用量において3.0%となり、陰性対照と比
較して統計学的に有意な増加を示し(p<0.01)、また、統計学的に有意な増加傾向を示し
ていた。
以上の結果より、本被験物質のCHL/IU細胞に対する染色体異常誘発性は陽性と判定
した。
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノンの構造異常誘発のD20値は、1.8 mg/mlであった。
試験番号 7494
2
2.試験材料
2-1.被験物質 (被験物質番号:4362) 2-1-1.被験物質の性質
化 学 物 質 の 名 称 (IUPAC 命名法による)
4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
別 名 4-ヒドロキシベンジルアセトン
構 造 式 又 は 示性式
(いずれも不明の場合
は、その製法の概要)
HO CH2 CH2 C
O
CH3
試験に供した 化学物質の純度
100.0% 試験に供した化学
物質のロット番号 CTQ1368
不純物の名称及び 濃度(含有率)
-
C A S 番 号 5471-51-2 蒸 気 圧 -
分 子 量 164.20 分 配 係 数
(1-オクタノール/水分配係
数)
-
融 点 84.0℃ 常温における性状 白色結晶性粉末
沸 点 -
水:-
安 定 性 光:光により変質するおそれがある
熱:-
溶媒 溶解度 溶媒中の 安定性
溶媒 溶解度 溶媒中の安定性
溶媒に対する溶解度等 水 17 mg/ml 未満* - DMSO 170mg/ml 以上* -
エタノール - - その他() - -
供 試 製造年月日 2014年2月
使 用 期 限 設定なし〔製造元の商品保証の期間(入手より半年)内に試験を実施した〕
* 日本バイオアッセイ研究センター内の試験による
** ジメチルスルホキシド
2-1-2.保管及び取り扱い
被験物質は、被験物質保管区域の冷蔵庫に遮光して保管した。被験物質の取り扱
いは、黄色灯下で行った。
試験番号 7494
3
2-2.被験物質溶液 2-2-1.被験物質溶液の調製
被験物質を秤量し、DMSOを加えて溶解した溶液を最高濃度溶液(処理最高濃度の 100倍)とした。これをDMSOで段階希釈して各溶液を調製した。調製作業は、黄色
灯下で行った。
使 用 溶 媒名 称 製 造 元 L o t N o . グ レ ー ド 純度 (%)
DMSO 和光純薬工業㈱ AWF1092 インフィニティピュア 100.0
溶 媒 選 択 の 理 由
被験物質は水に対して、試験に用いるのに十分な溶解度を示さ
なかった(17 mg/ml未満)が、DMSOに対しては十分な溶解度 (170 mg/ml以上)を示した。また、被験物質に水、DMSOを加えた際には、
発色、発泡、発熱等の変化が認められなかった。以上のことから、 DMSOを溶媒として選択した。
被験物質溶液の性状 溶解
被験物質が難溶性の
場合における分散等
の方法
-
溶液の調製から使用
までの保存時間と
温度
短時間処理法による試験 細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験 60分 25℃
染色体異常試験 15分 25℃
連続処理法による試験 細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験 30分 25℃ 染色体異常試験 15分 25℃
純 度 換 算 の 有 無 無し
2-2-2.被験物質溶液の処理
細胞への処理は、調製した被験物質溶液を速やかに培養液へ添加することにより
行った。被験物質溶液の培養液への添加量は、処理溶液総量の1.0%とした。処理作
業は、黄色灯下で行った。
被験物質溶液の処理量
被験物質溶液 S9 mix 培養液
短時間処理(-S9) 0.03 ml - 3.0 ml
短時間処理(+S9) 0.03 ml 0.20 ml 2.8 ml
連続処理 0.05 ml - 5.0 ml
試験番号 7494
4
2-3.陽性対照 2-3-1.陽性対照物質
物 質 名 製 造 元 Lot No. グレード 純 度 溶媒名
陽性対照
マイトマイシンC (MMC)
和光純薬工業(株) ECP4367 生化学用 989 g/mg (力価)
超純水
シクロホスファミド
(CYP) 和光純薬工業(株) SAF6104 生化学用 99.4% 超純水
陽性対照
物質溶媒 超純水 自家製 - (ミリ-Q水) -
2-3-2.陽性対照物質の選択理由
MMC、CYPともにCHL/IU細胞を用いる染色体異常試験に広く使用されており1)、
日本バイオアッセイ研究センターにおける背景データも豊富なため。
2-3-3.陽性対照物質溶液の調製、保存について
MMC、CYPともに、所定の濃度溶液を調製、分注し、凍結保存(-30℃)したもの
を1本ずつ使用した。
2-3-4.陽性対照物質及び用量
短時間処理法
-S9処理:マイトマイシンC(MMC) 用量 0.12 g/ml
+S9処理:シクロホスファミド(CYP) 用量 6.0 g/ml
連続処理法
24時間処理:マイトマイシンC(MMC) 用量 0.040 g/ml
2-4.陰性対照
陰性(溶媒)対照として、DMSOを培養液に添加した。
試験番号 7494
5
2-5.使用した細胞
2-5-1.細胞
CHL/IU(チャイニーズハムスター新生仔肺由来の株細胞)のクローン11[国立衛生試験
所(現国立医薬品食品衛生研究所)より1985年11月14日入手]をマイコプラズマの汚染が
無いことを確認して使用した。
2-5-2.選定理由
この系は、染色体異常試験において化学物質に対する感受性が高いことが知られ
ていて、データも豊富なため1)。
2-5-3.細胞の特徴
1) 培養条件
培養液: 10%非働化仔牛血清(Biowest社、ロット番号:S12160S0750)を含む
イーグルMEM(日水製薬㈱)
条件: 5%CO2 、37℃で培養し、2~4日毎に継代した。
2) 増殖
プレート上で単層状に増殖
倍加時間: 約14時間
3) 染色体
染色体数モード: 25本
4) 保存
DMSO(和光純薬工業株式会社、インフィニティピュア)を培養液に10%になるよ
うに加え、液体窒素中(-196℃)で保存したものを融解、培養して試験に使用した。
2-5-4.継代数
国立衛生試験所(現国立医薬品食品衛生研究所)より継代数16を入手し、試験には
総継代数21~37(当センターでの継代数は5~21)で使用した。
2-6.代謝活性化
2-6-1.S9の入手方法等
自製・購入の別 購 入 (製造元 キッコーマンバイオケミファ株式会社)
製 造 年 月 日 2016年 9月 9日 製造 *
購入の場合のLot No. RAA 201609A
保 存 温 度 -80℃
* 製造日から6か月以内のS9を使用した。
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6
2-6-2.S9の調製方法
使 用 動 物 誘 導 物 質
種・系統 ラット・ Sprague-Dawley
名称 フェノバルビタール(PB) 5,6-ベンゾフラボン(BF)
性 雄 投与方法 腹腔内投与
週齢 7週齢 投与期間
及び
投与量
1日目:PB 30 mg/kg体重 2日目:PB 60 mg/kg体重 3日目:PB 60 mg/kg体重 BF 80 mg/kg体重 4日目:PB 60 mg/kg体重 5日目 S9調製
体重 184 – 227 g
2-6-3.S9 mixの組成
成 分 S9 mix 1 ml中の量 成 分 S9 mix 1 ml中の量
S9 0.3 ml NADP 4 mol
MgCl2 5 mol Na-リン酸緩衝液 -
KCl 33 mol その他(HEPES) 4 mol
グルコース 6-リン酸 5 mol - -
2-6-4.S9 mixの処理条件
1.プレート法 2.浮遊細胞法 3.その他( )
S9量(最終濃度) 2 %
S9蛋白量 (最終濃度 ) 0.43 mg/ml
処理時間 6 h
培養(回復)時間 20 h
備考 -
試験番号 7494
7
3.試験方法
3-1.採用した試験方法
試験は、平成23年3月31日薬食発0331第7号厚生労働省医薬食品局長、平成23・03・
29製局第5号経済産業省製造産業局長、環保企発第110331009号環境省総合環境政策
局長連名通知「新規化学物質等に係る試験の方法について」(最終改正、平成27年12
月21日付け、薬生発1221第1号、20151209製局第1号、環保企発第1512211号)の別添
「哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験」に準じて実施した。
3-2.試験構成
染色体異常試験は、短時間処理法による試験及び連続処理法による試験により構成
した。短時間処理法による試験において陰性と判定したため、連続処理法による試験
を行った。
3-3.短時間処理法による試験
短時間処理法による試験(6時間処理-20時間培養)は、代謝活性化法による場合(+S9
処理)、及び代謝活性化法によらない場合(-S9処理)の条件下で実施した。
3-3-1.細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験
試験は、各用量2枚のシャーレを処理して、細胞増殖抑制試験に用いた。処理した
2枚の内の1枚を用いて染色体標本を作製した(染色体異常予備試験用)。細胞毒性(増
殖抑制)の指標として、RICCを用いた。試験は、試験は、ガイドライン(上記3-1)で
求められる最高用量(2mg/ml、2 l/mlまたは10 mMのいずれか低い濃度)としては1
0 mM(約1.7 mg/ml)が適切であったため、1.7 mg/mlを最高用量とし公比2で8段階
の用量で実施した。染色体標本作製前に位相差顕微鏡による観察を行った。-S9処理
で0.027 mg/ml以下の用量、+S9処理で0.013 mg/mlの用量は明らかに毒性が無い
と判断し、また、+S9処理で 1.7 mg/mlの用量は細胞数が著しく減少していたため、
染色体標本を作製しなかった。作製した染色体標本については全て染色体観察を行
った。細胞増殖抑制試験の対照として陰性対照、染色体異常予備試験の対照として
陰性対照及び陽性対照を設けた。
試験番号 7494
8
実験方法
60㎜シャーレに120000個(30000個/ml×4 ml)の細胞を播種し、1日間培養後に
培養液を交換 (-S9処理:培養液 3.0 ml、+S9処理:培養液 2.8 ml及びS9mix
0.2 ml)した。直ちに、被験物質溶液(0.03 ml)を添加し、6時間作用させた後に、
リン酸緩衝生理食塩液(PBS)で一回洗浄し、新しい培養液3.5 mlを添加した。さら
に20時間培養後に生細胞数計測及び染色体標本の作製を行った。また、被験物
質溶液処理時に、無処理のシャーレ3枚を用いて生細胞数計測を行った。
3-3-2.染色体異常試験
試験は、各用量2枚のシャーレを処理して、染色体標本の作製及び生細胞数計測を
行った。用量は、細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験の結果に基づき、-S9
処理で最高用量を1.4 mg/mlとして公差0.20で1.2、1.0、0.80、0.60、0.40、0.20
mg/ml の7段階、+S9処理で最高用量を0.060 mg/mlとして公差 0.010で0.050、
0.040、0.030、0.020、0.010 mg/ml の6段階に設定した。染色体標本は、処理した
全てのシャーレについて作製し、染色体観察を行った。試験の対照として、陰性対
照及び陽性対照を設けた。実験方法は、3-3-1と同じ方法で実施した。
3-4.連続処理法による試験
連続処理法は、24時間処理(24時間処理-0時間培養)及び48時間処理(48時間処理-0
時間培養)とし、代謝活性化系を用いないで行った。短時間処理法における染色体異常
試験の結果、細胞毒性の強く出る用量で構造異常を誘発しているため、連続処理法は
24時間処理及び48時間処理を実施した。
3-4-1.細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験
試験は、各用量2枚のシャーレを処理して、細胞増殖抑制試験に用いた。処理した
2枚の内の1枚を用いて染色体標本を作製した(染色体異常予備試験用)。細胞毒性の
指標としてRICCを用いた。短時間処理法による試験の結果を参考に最高用量を 0.
60 mg/mlとして、公比2で7段階の用量で実施した。 24時間処理及び48時間処理と
も 0.0094 mg/mlの用量は、位相差顕微鏡による観察で明らかに毒性が無いと判断
し、染色体標本を作製しなかった。作製した染色体標本については全て染色体観察
を行った。細胞増殖抑制試験の対照として陰性対照、染色体異常予備試験の対照と
して陰性対照及び陽性対照を設けた。
実験方法
60㎜シャーレに120000個(30000個/ml×4 ml)の細胞を播種して、1日培養後に
培養液を交換(5.0 ml)した。直ちに、被験物質溶液(0.05 ml)を添加し、被験物質
処理開始から24時間または48時間作用させた後に生細胞数計測及び染色体標本
の作製を行った。また、被験物質溶液処理時に無処理のシャーレ3枚を用いて生
細胞数計測を行った。
試験番号 7494
9
3-4-2.染色体異常試験
試験は、各用量2枚のシャーレを処理して、染色体標本の作製及び生細胞数計測を
行った。用量は、細胞増殖抑制試験及び染色体異常予備試験の結果に基づき、24時
間処理では最高用量を0.60 mg/mlとして公比2で 0.30、0.15、0.075、0.038、
0.019 mg/ml の6用量に、48時間処理では最高用量を0.30 mg/mlとして公比2で
0.15、0.075、0.038、0.019、0.0094 mg/ml の6用量に設定した。染色体標本は、
処理した全てのシャーレについて作製し、染色体観察を行った。試験の対照として、
陰性対照及び陽性対照を設けた。実験方法は、3-4-1と同じ方法で実施した。
3-5.染色体標本の作製
染色体標本の作製2時間前に、コルセミドを最終濃度0.1 g/mlとなるように添加した。
2時間後培養液を遠沈管に移し、一定量のトリプシン溶液で細胞を剥して単一細胞の懸
濁液とし、遠沈管に加えて染色体標本作製に用いた。遠沈管を遠心[1000 rpm(185×g)、
5分]し、培養液を除去し、75 mM KCl溶液4 mlを徐々に添加して、37℃で20分間の
低張処理を行った。冷却した固定液(エタノール 3:酢酸 1) 0.5 mlを徐々に添加して
遠心した。上清を除去し、冷却した固定液4 mlを徐々に添加して固定した後、遠心し
た。この操作を3回繰り返した後、適当な密度の細胞浮遊液を作製した。清浄なスライ
ドグラスを並べて、細胞浮遊液を滴下した。これを乾燥後、2.5%ギムザ液(pH6.8)で1
2分間染色し、水洗後乾燥させた。
3-6.細胞増殖率の測定
染色体標本作製のために一定量のトリプシン溶液で細胞を剥し、単一細胞の懸濁
液としたものの一部を用いて、血球計算盤で生細胞数を測定し、相対的細胞数増加
(RICC)を算出した。同時に、相対的細胞数(RCC: Relative Cell Count)を算出した。
結果表1、3、4及び6にはRICCを示し、さらに、結果表3及び6にはRCCを併せて示
した。
RICC(%) = [処理した培養細胞における細胞数の増加 (終了時-開始時)]
×100 [陰性対照の培養細胞における細胞数の増加(終了時-開始時)]
RCC(%) = [処理した培養細胞における細胞数 (終了時)]
×100 [陰性対照の培養細胞における細胞数(終了時)]
試験番号 7494
10
3-7.染色体の観察
染色体構造異常については、各培養器当たり150個(各用量当たりでは予備試験:
150個、本試験:300個)の分裂中期細胞を観察した。数的異常については、各培養器
当たり150細胞以上の分裂中期細胞を観察した(構造異常細胞の観察と並行して行い、
構造異常の観察対象となる細胞が150個に達するまで観察した)。染色体異常の誘発率
は、染色体に異常を持つ細胞の出現率で表した。観察は、コード化した標本を用いて
ブラインド法で行った。
3-7-1.異常の分類
a) 構造異常
切断 (染色分体型)
交換 (染色分体型)
切断 (染色体型)
交換 (染色体型)
その他 (断片化など、ただし細粉化は含まない)
b) ギャップ (染色分体型・染色体型)
c) 数的異常
倍数体
その他 (核内倍加等)
試験番号 7494
11
3-7-2.観察基準
CHL/IU細胞が株細胞であること及びその染色体の特徴を考慮して観察基準を下記
とした1,2)。構造異常の観察対象は、染色体数が25±2本の細胞とした。 a) 構造異常
1) 切断 断片が染色分体の縦軸からずれているもの。同一線上にあっても、その幅が染色
分体の太さを越えるもの(ただし、細長い染色体では、この基準としない)。染色体型
の切断については、動原体を持たない染色体があるため正確に判定できるもののみ
スコアした。 2) 交換
1本又は複数の染色体の2ヶ所以上で生じた切断が互いに結合したもの。染色体型
については、環状、二動原体等明確に判断できるもののみとした。 3) その他
断片化:交換型を含まず、多くの染色体にギャップ、切断があるもの。
b) ギャップ 非染色部分が染色分体の縦軸上にあり、その幅が染色分体より狭く、非染色部分の形
状が明確なもの。
c) 数的異常 1) 倍数体
3倍体(37本)以上のもの。異数性については検索しなかった。 2) その他
核内倍加等。
3-7-3.判定
以下の判定基準により結果の判定を行った。
構造異常細胞あるいは数的異常細胞(倍数体、核内倍加を含む)の出現率について、
次に掲げる全ての要件を満たすものと認められた場合に陽性と判定した。
a) 少なくとも1つの濃度において、陰性対照と比較して統計学的(フィッシャー正
確検定)に有意に増加していること
b) 傾向検定(コクラン・アーミテージ検定)において、用量依存性があること
c) 試験結果が、当センター陰性対照の背景データの分布(二項分布)から外れて
いること
以上の要件に合致しない場合を陰性とした。なお、ギャップのみを持つ細胞は
構造異常細胞に含めなかった。
試験番号 7494
12
4.試験成績
4-1.短時間処理法による試験
4-1-1.細胞増殖抑制試験
短時間処理法の試験結果を表1及び図1に示した。RICCは、用量が増えるに従い
減少し、-S9処理で0.43、0.85、1.7 mg/mlの各用量において85、53、17%、+S9
処理では0.013、0.027、0.053、0.11 mg/mlの各用量において99、97、36、32%で
あった。-S9処理で1.7 mg/mlの用量、+S9処理では、0.053 mg/ml以上の用量にお
いてRICCが 40%未満となっていた。
4-1-2.染色体異常予備試験
短時間処理法の試験結果を表2に示した。構造異常を持つ細胞の出現率は、-S9処
理の1.7 mg/mlで10.7%、+S9処理の0.21、0.43 mg/mでそれぞれ、12.7、19.0%で
あった。しかし、細胞増殖抑制試験のRICCは、-S9処理の1.7 mg/mlで17%、+S9
処理の0.21、0.43 mg/mでそれぞれ、28、0%であり、強い細胞毒性を伴う用量での
結果であったため、染色体異常の評価はからは外すこととした。染色体異常試験の
評価の対象となるRICCが40%以上であった用量は、-S9処理の0.85 mg/ml以下、
+S9処理の0.027 mg/ml以下であり、これらの用量では構造異常を持つ細胞の出現
率及び数的異常を持つ細胞の出現率は0.7%以下で、陰性対照と比較して統計学的に
有意な増加は認められなかった。
以上の結果から、本試験の用量設定は、-S9処理で最高用量を1.4 mg/mlとして公
差0.20で1.2、1.0、0.80、0.60、0.40、0.20の7段階、+S9処理で最高用量を0.060
mg/mlとして公差0.010で0.050、0.040、0.030、0.020、0.010の6段階に設定した。
試験番号 7494
13
4-1-3.染色体異常試験
短時間処理法の試験結果を表3及び図2、3に示した。構造異常を持つ細胞の出現
率は、-S9処理の1.2、1.4 mg/mlで6.0、13.0%であったが、RICCは-S9処理の1.2、
1.4 mg/mlで12、2%であり、強い細胞毒性を伴う用量での結果であったため染色体
異常の評価はからははずすこととした。染色体異常試験の評価の対象となるRICC
が40%以上であった用量は、-S9処理の0.60 mg/ml以下、+S9処理の 0.050 mg/ml
以下であり、これらの用量では、構造異常を持つ細胞の出現率及び数的異常を持つ
細胞の出現率は0.7%以下で、陰性対照と比較して統計学的に有意な増加は認められ
なかった。RICCは、-S9処理の0.20、0.40、0.60、0.80、1.0、1.2、1.4 mg/mlでは、
それぞれ、99、85、60、38、30、12、2%、+S9処理の、0.010、0.020、0.030、
0.040、0.050、0.060 mg/mlでは、それぞれ、92、73、57、49、44、28%であった。
試験番号 7494
14
4-2.連続処理法による試験
4-2-1.細胞増殖抑制試験
連続処理法の24時間処理および48時間処理の試験結果を表4及び図4に示した。
RICCは、24時間処理で0.15、0.30、0.60 mg/ml の各用量において96、65、36%、
48時間処理で0.075、0.15、0.30 mg/ml の各用量において61、44、15%となり、
24時間処理で0.60 mg/ml、48時間処理で0.30、0.60 mg/mlの用量において、RI
CCが40%以下を示した。
4-2-2.染色体異常予備試験
連続処理法の24時間処理および48時間処理の試験結果を表5に示した。RICCが
40%以上の処理群を評価対象とした。構造異常を持つ細胞の出現率及び数的異常を
持つ細胞の出現率は、何れの被験物質用量においても2.0%以下であり、陰性対照と
比較して統計学的に有意な増加は認められなかった。
このため、本試験の用量設定は、この結果及び細胞増殖抑制試験の結果を考慮し
て、24時間処理で最高用量を0.60 mg/mlとして公比2で0.30、0.15、0.075、0.038、
0.019 mg/ml の6段階、48時間処理で最高用量を0.30 mg/mlとして公比2で0.15、
0.075、0.038、0.019、0.0094 mg/mlの6段階に設定した。
4-2-3.染色体異常試験
連続処理法の24時間処理および48時間処理の試験結果を表6、図5、図6に示した。
RICCは、24時間処理で0.019、0.038、0.075、0.15、0.30、0.60 mg/mlの各用
量において101、98、97、85、53、28%、48時間処理で0.0094、0.019、0.038、
0.075、0.15、0.30 mg/mlの各用量において97、93、84、60、32、7%となってお
り、24時間処理で0.60 mg/ml、48時間処理で0.15、0.30 mg/mlの各用量で40%未
満であった。
染色体異常試験はRICCが40%以上の処理群を評価対象とした。24時間処理の構造
異常を持つ細胞の出現率は、0.30、0.15 mg/mlの被験物質用量で3.0%となり、陰性
対照と比較して統計学的に有意な増加(p<0.01)を示し、統計学的に有意な増加傾向
を示していた。
また、実施した全ての染色体異常試験の陰性対照及び陽性対照の値は、当センタ
ーのバックグラウンドデータの範囲内にあり、試験が適切に行われたことを示して
いた。
試験番号 7494
15
5.結果の判定
連続処理法の24時間処理において、構造異常細胞の出現率について、以下の3つの統
計処理を行ったところ、①0.15、0.30 mg/mlの被験物質用量において、陰性対照と比較
して統計学的に有意(p<0.01)となった。②傾向検定の結果、被験物質の用量依存性
が有意となった。③0.15、0.30 mg/mlの被験物質用量において、異常細胞の出現率が当
センターの陰性対照の背景データの分布(二項分布)から外れていた。
以上の結果より、本被験物質のCHL/IU細胞に対する染色体異常誘発性は陽性と判定
した。なお、陰性対照との比較において多重性を考慮して補正を行った(Bonferroni法)
ところ、0.15、0.30 mg/mlの被験物質用量ともに統計学的に有意の結果(p<0.05)と
なり、上記と同様に陽性の判定となった。
構造異常誘発のD20値は、1.8 mg/mlであった3)。
6.予見することができなかった試験の信頼性に影響を及ぼす疑いのある事態及び試験
計画書に従わなかったこと
予見することができなかった試験の信頼性に影響を及ぼす疑いのある事態は発生し
なかった。また、試験計画書に従わない事態は発生しなかった。なお、試験委託者の希
望により、試験委託者名称の記載の一部を変更した。
7.参考文献
1) 祖父尼俊雄監修:染色体異常試験データ集、LIC、東京、1999.
2) 日本環境変異原学会編:化学物質による染色体異常アトラス、朝倉書店、東京、1988.
3) 厚生省生活化学安全対策室監修:化審法毒性試験法の解説(改訂版)、化学工業日報社、
東京、1992.
試験番号 7494
16
表1 細胞増殖抑制試験結果(短時間処理法)
代謝活性化法によらない場合(-S9処理::6-20h) 代謝活性化法による場合(+S9処理:6-20h)
用量(mg/ml) 細胞増殖率(%) 用量(mg/ml) 細胞増殖率(%)
0 100 0 100
0.013 100 0.013 99
0.027 96 0.027 97
0.053 94 0.053 36
0.11 94 0.11 32
0.21 93 0.21 28
0.43 85 0.43 0
0.85 53 0.85 0
1.7 17 1.7 0
[備考] 括弧には処理時間及び回復時間を記入した。
細胞増殖率は陰性対照群を100%とし、用量の低い順に記録した。
細胞増殖率は2枚のシャーレの平均値を表示した。
細胞増殖率は相対的細胞数増加(RICC)で表示した。
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
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表2 染色体異常予備試験結果(短時間処理法)
処理時間 S9 被験物質の用量
染色体構造異常の出現頻度(%)ギャップの
出現頻度染色体数的異常の出現頻度(%)
(h) mix (mg/ml) 観察細胞数 染色分体切断 染色分体交換 染色体切断 染色体交換 その他 総異常細胞a) (%) 観察細胞数 倍数体 その他 総異常細胞
陰性対照 [DMSO] 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
(1%)
0.053 150 0 0.7 0 0 0 0.7 0 150 0 0 0
0.11 150 0 0.7 0 0 0 0.7 0.7 150 0 0 0
6-20 - 0.21 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.43 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.85 150 0 0.7 0 0 0 0.7 0.7 150 0 0 0
1.7 150 1.3 10 0 0 0 10.7 0 150 0 0 0
陽性対照 [MMC] 150 2.7 32.7 0 1.3 0 35.3** 4 150 0 0 0
(0.00012)陰性対照 [DMSO] 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
(1%)
0.027 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.053 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
6-20 + 0.11 150 0 2 0 0 0 2 0 150 0 0 0
0.21 150 2 10.7 0 0 0 12.7 0 151 0.7 0 0.7
0.43 121 2.5 17.4 0 0 0 19 5 123 1.6 0 1.6
0.85 TOX TOX
陽性対照 [CYP] 150 3.3 30 0 0.7 0 31.3** 0.7 150 0 0 0 (0.006)
[備考] 1.処理時間の欄には、処理時間-回復時間の順に記入した。 a) Fisher exact test: ** p<0.01
2.Fisher exact testはRICCが40%以上の処理群を検定対象とした。
TOX:分裂中期細胞が観察されなかった。DMSO:ジメチルスルホキシド
MMC:マイトマイシンC
CYP: シクロホスファミド
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
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表3 染色体異常試験結果(短時間処理法)
処理時間 S9 被験物質の用量
染色体構造異常の細胞数(出現頻度%) ギャップの
出現数
相対的細胞数
相対的細胞数増加
染色体数的異常の細胞数(出現頻度%)
(h) mix (mg/ml) 観察細胞数 染色分体切断 染色分体交換 染色体切断 染色体交換 その他 総異常細胞数 (%) (RCC, %) (RICC, %) 観察細胞数 倍数体 その他 総異常細胞数
陰性対照 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
[DMSO] 150 0 1 0 0 0 1 0 100 100 151 1 0 1
(1%) 300 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 0 0 0 0 0 0 98 96 150 0 0 0
0.20 150 0 0 0 0 0 0 0 101 102 151 1 0 1
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) (100) ( 99) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 1 0 0 0 0 1 0 90 82 150 0 0 0
0.40 150 1 1 0 0 0 1 0 93 88 150 0 0 0
300 2( 0.7) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) ( 92) ( 85) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 78 60 150 0 0 0
0.60 150 0 2 0 0 0 2 0 77 59 150 0 0 0
300 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) ( 78) ( 60) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 1 0 1 0 2 0 66 38 150 0 0 0
6-20 - 0.80 150 1 2 0 0 0 3 0 65 37 150 0 0 0
300 1( 0.3) 3( 1.0) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 5( 1.7) 0( 0 ) ( 66) ( 38) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 2 0 0 0 2 0 59 27 150 0 0 0
1.0 150 0 3 0 0 0 3 1 63 32 150 0 0 0
300 0( 0 ) 5( 1.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 5( 1.7) 1( 0.3) ( 61) ( 30) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 9 0 0 0 9 0 49 8 150 0 0 0
1.2 150 1 9 0 0 0 9 0 53 15 152 2 0 2
300 1( 0.3) 18( 6.0) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 18( 6.0) 0( 0 ) ( 51) ( 12) 302 2( 0.7) 0( 0 ) 2( 0.7)
150 0 18 0 1 0 18 3 46 2 151 1 0 1
1.4 150 2 20 0 0 0 21 1 45 1 152 2 0 2
300 2( 0.7) 38( 12.7) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 39( 13.0) 4( 1.3) ( 46) ( 2) 303 3( 1.0) 0( 0 ) 3( 1.0)
陽性対照 150 4 48 0 0 0 50 3 84 72 150 0 0 0
[MMC] 150 1 52 0 0 0 52 1 85 72 150 0 0 0
(0.00012) 300 5( 1.7) 100( 33.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 102( 34.0)** 4( 1.3) ( 85) ( 72) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
陰性対照 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
[DMSO] 150 0 0 0 0 0 0 0 100 100 150 0 0 0
(1%) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 1 0 0 0 1 0 94 90 150 0 0 0
0.01 150 0 0 0 0 0 0 0 97 94 151 1 0 1
300 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) ( 96) ( 92) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 0 0 0 0 0 1 81 65 150 0 0 0
0.02 150 0 1 0 0 0 1 0 90 80 150 0 0 0
300 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) 1( 0.3) ( 86) ( 73) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 77 57 150 0 0 0
6-20 + 0.03 150 0 0 0 0 0 0 0 77 57 150 0 0 0
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) ( 77) ( 57) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 2 0 0 0 2 0 75 52 150 0 0 0
0.04 150 0 0 0 0 0 0 0 71 46 150 0 0 0
300 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) ( 73) ( 49) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 71 46 150 0 0 0
0.05 150 0 0 0 0 0 0 0 69 41 151 1 0 1
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) ( 70) ( 44) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 1 0 1 0 2 2 63 30 150 0 0 0
0.06 150 1 0 0 0 0 1 0 60 25 150 0 0 0
300 1( 0.3) 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 3( 1.0) 2( 0.7) ( 62) ( 28) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
陽性対照 150 0 43 0 0 0 43 0 74 51 150 0 0 0
[CYP] 150 2 45 0 0 0 47 0 72 48 150 0 0 0
(0.006) 300 2( 0.7) 88( 29.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 90( 30.0)** 0( 0 ) ( 73) ( 50) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
[備考] 1.処理時間の欄には、処理時間-回復時間の順に記入した。 a) Fisher exact test: ** p<0.01
2.各群のプレートごとのデータを1及び2行目に記入し、その合計を3行目に記入し、括弧内に出現頻度を記入した。
3.相対的細胞数(RCC)と相対的細胞数増加(RICC)の二種類の細胞増殖率を示した。4.Fisher exact test, Cochran-Armitage testともにRICCが40%以上の処理群を検定対象とした。
TOX:分裂中期細胞が観察されなかった。DMSO:ジメチルスルホキシド
MMC:マイトマイシンC
CYP: シクロホスファミド
数的異常-S9 mix 有意差なし
+S9 mix 有意差なし
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
傾向検定(Cochran-Armitage test)
構造異常-S9 mix 有意差なし
+S9 mix 有意差なし
試験番号 7494
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表4 細胞増殖抑制試験結果(連続処理法)
(24-0h)処理による場合 (48-0h)処理による場合
用量(mg/ml) 細胞増殖率(%) 用量(mg/ml) 細胞増殖率(%)
0 100 0 100
0.0094 100 0.0094 101
0.019 101 0.019 93
0.038 97 0.038 75
0.075 96 0.075 61
0.15 96 0.15 44
0.30 65 0.30 15
0.60 36 0.60 0
[備考] 括弧には処理時間及び回復時間を記入した。
連続処理法は代謝活性化法によらない方法による。
細胞増殖率は陰性対照群を100%とし、用量の低い順に記録した。
細胞増殖率は2枚のシャーレの平均値を表示した。
細胞増殖率は相対的細胞数増加(RICC)で表示した。
被験物質名:4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
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表5 染色体異常予備試験結果(連続処理法)
処理時間被験物質の用量
染色体構造異常の出現頻度(%)ギャップの
出現頻度染色体数的異常の出現頻度(%)
(h) (mg/ml) 観察細胞数 染色分体切断 染色分体交換 染色体切断 染色体交換 その他 総異常細胞a) (%) 観察細胞数 倍数体 その他 総異常細胞
陰性対照
[DMSO] 150 0 0 0 0 0 0 0.7 150 0 0 0
(1%)
0.019 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.038 150 0 0.7 0 0 0 0.7 0 150 0 0 0
24-0 0.075 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.15 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.30 150 0 2 0 0 0 2 0 150 0 0 0
0.60 150 0 2 0 0 0 2 0 150 0 0 0
陽性対照
[MMC] 150 0.7 30.7 0 0.7 0 32** 3.3 150 0 0 0
(0.00004)
陰性対照
[DMSO] 150 0 0 0 0 0 0 0 151 0.7 0 0.7
(1%)
0.019 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.038 150 0 0.7 0 0 0 0.7 0 150 0 0 0
48-0 0.075 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.15 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
0.30 150 0 1.3 0 0 0 1.3 0 150 0 0 0
0.60 89 0 12.4 0 0 0 12.4 1.1 90 1.1 0 1.1
陽性対照
[MMC] 150 1.3 34 0 0.7 0 34.7** 0 150 0 0 0
(0.00004)
[備考] 1.処理時間の欄には、処理時間-回復時間の順に記入した。 a) Fisher exact test: ** p<0.012.Fisher exact testはRICCが40%以上の処理群を検定対象とした。
TOX:分裂中期細胞が観察されなかった。MMC:マイトマイシンC
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
21
表6 染色体異常試験結果(連続処理法)
処理時間被験物質の用量
染色体構造異常の細胞数(出現頻度%) ギャップの
出現数
相対的細胞数
相対的細胞数増加
染色体数的異常の細胞数(出現頻度%)
(h) (mg/ml) 観察細胞数 染色分体切断 染色分体交換 染色体切断 染色体交換 その他 総異常細胞数 (%) (RCC, %) (RICC, %) 観察細胞数 倍数体 その他 総異常細胞数
陰性対照 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
[DMSO] 150 0 1 0 0 0 1 1 100 100 150 0 0 0
(1%) 300 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) 1( 0.3) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 1 0 0 0 1 0 100 99 150 0 0 0
0.019 150 0 0 0 0 0 0 0 101 102 150 0 0 0
300 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) 0( 0 ) (101) (101) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 1 100 101 150 0 0 0
0.038 150 0 0 0 0 0 0 0 98 95 151 1 0 1
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 1( 0.3) ( 99) ( 98) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 1 0 0 0 1 2 99 98 150 0 0 0
24-0 0.075 150 1 1 0 0 0 2 0 99 96 151 1 0 1
300 1( 0.3) 2( 0.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 3( 1.0) 2( 0.7) ( 99) ( 97) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 2 0 0 0 2 0 95 86 150 0 0 0
0.15 150 2 6 0 0 0 7 1 94 84 150 0 0 0
300 2( 0.7) 8( 2.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 9( 3.0)** 1( 0.3) ( 95) ( 85) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 3 0 0 0 3 0 82 53 150 0 0 0
0.30 150 3 4 0 0 0 6 0 82 52 150 0 0 0
300 3( 1.0) 7( 2.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 9( 3.0)** 0( 0 ) ( 82) ( 53) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
136 0 8 0 0 0 8 0 72 26 136 0 0 0
0.60 70 3 3 0 0 0 6 3 73 30 70 0 0 0
206 3( 1.5) 11( 5.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 14( 6.8) 3( 1.5) ( 73) ( 28) 206 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
陽性対照 150 2 41 0 0 0 42 4 92 79 150 0 0 0
[MMC] 150 7 36 0 0 0 42 0 92 80 150 0 0 0
(0.00004) 300 9( 3.0) 77( 25.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 84( 28.0)** 4( 1.3) ( 92) ( 80) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
陰性対照 150 0 0 0 0 0 0 0 150 0 0 0
[DMSO] 150 1 1 0 0 0 2 0 100 100 150 0 0 0
(1%) 300 1( 0.3) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 96 95 150 0 0 0
0.0094 150 0 0 0 0 0 0 0 98 98 151 1 0 1
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) ( 97) ( 97) 301 1( 0.3) 0( 0 ) 1( 0.3)
150 0 0 0 0 0 0 0 93 91 150 0 0 0
0.019 150 0 0 0 0 0 0 0 95 94 150 0 0 0
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) ( 94) ( 93) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 1 0 0 0 1 0 89 85 150 0 0 0
48-0 0.038 150 1 0 0 0 0 1 0 86 82 150 0 0 0
300 1( 0.3) 1( 0.3) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 2( 0.7) 0( 0 ) ( 87) ( 84) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 69 60 150 0 0 0
0.075 150 0 0 0 0 0 0 0 68 59 150 0 0 0
300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) ( 69) ( 60) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 0 0 0 0 0 0 49 33 150 0 0 0
0.15 150 0 3 0 0 0 3 0 46 30 150 0 0 0
300 0( 0 ) 3( 1.0) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 3( 1.0) 0( 0 ) ( 48) ( 32) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
150 0 6 0 0 0 6 0 29 7 150 0 0 0
0.30 150 1 3 0 0 0 4 1 28 6 150 0 0 0
300 1( 0.3) 9( 3.0) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 10( 3.3) 1( 0.3) ( 29) ( 7) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
陽性対照 150 1 62 0 0 0 63 6 84 79 150 0 0 0
[MMC] 150 7 72 0 0 0 76 1 71 62 150 0 0 0
(0.00004) 300 8( 2.7) 134( 44.7) 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 ) 139( 46.3)** 7( 2.3) ( 77) ( 71) 300 0( 0 ) 0( 0 ) 0( 0 )
[備考] 1.処理時間の欄には、処理時間-回復時間の順に記入した。 a) Fisher exact test: ** p<0.01
2.各群のプレートごとのデータを1及び2行目に記入し、その合計を3行目に記入し、括弧内に出現頻度を記入した。
3.相対的細胞数(RCC)と相対的細胞数増加(RICC)の二種類の細胞増殖率を示した。
4.Fisher exact test, Cochran-Armitage testともにRICCが40%以上の処理群を検定対象とした。
MMC: マイトマイシンC
DMSO: ジメチルスルホキシド
MMC: マイトマイシンC
被験物質名:4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
傾向検定(Cochran-Armitage test)構造異常 24-0 h 有意差あり
数的異常 48-0 h 有意差なし
数的異常 24-0 h 有意差なし
構造異常 48-0 h 有意差なし
試験番号 7494
22
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
0 0.25 0.5 0.75 1 1.25 1.5
細胞
増殖
率(%
)
用量(mg/ml)
図1 細胞増殖抑制試験結果(短時間処理法)
-S9処理
+S9処理
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
23
0
10
20
30
40
50
0 0.25 0.5 0.75
染色
体異
常細
胞の
出現
率(%
)
用量(mg/ml)
図2 染色体異常試験結果(短時間処理法、-S9処理)
構造異常
数的異常
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
※0.8 mg/ml以上の用量はRICCが40%未満のため評価の対象から除外した。
試験番号 7494
24
0
10
20
30
40
50
0 0.01 0.02 0.03 0.04 0.05 0.06
染色
体異
常細
胞の
出現
率(%
)
用量(mg/ml)
図3 染色体異常試験結果(短時間処理法、+S9処理)
構造異常
数的異常
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
※0.06 mg/mlの用量はRICCが40%未満のため評価の対象から除外した。
試験番号 7494
25
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
100
110
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
細胞
増殖
率(%
)
用量(mg/ml)
図4 細胞増殖抑制試験結果(連続処理法)
24時間処理
48時間処理
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
試験番号 7494
26
0
10
20
30
40
50
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6
染色
体異
常細
胞の
出現
率(%
)
用量(mg/ml)
図5 染色体異常試験結果(連続処理法、24時間)
構造異常
数的異常
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
※0.6 mg/mlの用量はRICCが40%未満のため評価の対象から除外した。** p<0.01
** **
試験番号 7494
27
0
10
20
30
40
50
0 0.05 0.1 0.15
染色
体異
常細
胞の
出現
率(%
)
用量(mg/ml)
図6 染色体異常試験結果(連続処理法、48時間)
構造異常
数的異常
被験物質名: 4-(p-ヒドロキシフェニル)-2-ブタノン
※0.15mg/ml以上の用量はRICCが40%未満のため評価の対象から除外した。